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宮本正樹&水石亜飛夢『国民の選択』インタビュー

ひとっとび編集長

 

「原子力発電の廃止を問う国民投票が行われることになったら?」という架空の日本の未来を舞台にした映画『国民の選択』が、2021年3月5日に公開されます。

本作のメガホンをとったのは、日本国憲法第九条をテーマにした映画『第九条』の宮本正樹監督。そして主演を務めたのは「あなたの番です」や、現在放送中のテレビ朝日系列「魔進戦隊キラメイジャー」で人気の水石亜飛夢さん。

「原発に対して無知な人にこそ、本作を観てもらえたら」という宮本監督の想いが込もった本作について、今回は主演の水石さんと宮本監督のお2人にお話しをお伺いしました。

「原発」というワードの重さと覚悟

水石亜飛夢さん(左)、宮本正樹監督(右)

ーー役にキャスティングされた時のお気持ちはいかがでしたか。

水石亜飛夢さん(以下、水石):日本が抱える問題をテーマにした作品に出演することが今まであまりなかったので、お話しをいただいた時は、ワードから伝わるプレッシャーが大きかったです。より一層頑張らなくては、と思いました。

ーー本作のテーマが「原発」ということで準備がかなり大変だったのではないでしょうか。

水石:ご縁をいただいてから撮影までの日数がかなり長かったのですが、いざ台本をいただいた時はまず文字数の多さに衝撃を受けました。初めて見るくらいの文章量と専門用語に、これカンペで撮影するわけじゃないよな…と思うくらいで(笑)

出演者皆が俳優としての何かを試されているような脚本だと感じました。

ーー宮本監督としても、かなりチャレンジングな脚本内容だったのでしょうか。

宮本正樹監督(以下、宮本):そうですね、俳優人生の中で一回あるかないかくらいの文字数だったと思います。そもそも今まで原発を題材にしたドキュメンタリーはあっても劇映画はないですし、今後も作られないと思うので、生涯で関われることがあまりない貴重な機会になったはずです。

水石くんの演技も本当に素晴らしかったですし、俳優陣皆、セリフがしっかり入っていました。

ーー本作は観客側が知識を得られるような、教養的な内容が多いと感じたのですが、どこか特定の層に向けて制作されたのですか。

宮本:基本的には原発に無関心な人にもわかるような内容にしようと心がけました。

ーー東日本大震災から今年で10年となりますが、当時を振り返っていかがでしょうか。

国民の選択

水石:当時は15歳で僕がまだ中学生の時で、もちろん震災に対しての考えは今とは違うのですが…。震災当時を振り返ってみると、あの時の怖さや日本全体が原発というものに怯え、混乱したことをは今でもはっきり覚えています。

でもあれから10年が経つとなると、自分自身も「薄れているな」と実感することがありますし、台本を読んでさらに気づかされた部分が大きかったです。

この作品を経て、セリフ等で学んだ知識はもちろんのこと、震災を経て悲しい思いをしたことや未だに解決できていないこと、違う問題も忘れてはいけないなと学ばさせていただきました。

ーー映画を撮る前と撮った後では、心境の変化はありましたか。

水石:ありましたね。あれだけ「原発」というものが日本をまわしている部分もありつつ、ある種の爆弾を日本も抱えながら過ごしていて、そこに悲しんでいる人もいれば、わかっているけど目を向けない人もたくさんいるんだなと思いました。

ーー監督は長い期間をかけて準備されてきたと思いますが、ご自身の中で、制作前と後ではどのような変化がありましたか。

宮本:映画は本当にたくさんの人の力が必要で、しかもみんなが良い仕事をしないと素晴らしい映画はつくれないと思っています。

今回みなさんがいい仕事をしてくれて、いい映画ができたと思っているので、この映画を1人でも多くの人に観てもらわないといけないといけない、素晴らしい商品をお客さんに届けないといけないという、仕事への責任感とプレッシャーを感じています。

作る前より作った後の方がプレッシャーが強くなりました。(笑)

予想外のパンデミックと今後の作品への影響

国民の選択

ーー撮影後の話をすると、コロナウイルスの影響でいろいろ制限が生まれてしまっていると思いますが、その影響はいかがでしたか?

宮本:撮影中はコロナのコの字もなかったのですが、撮影が終わってからちょっとずつ話を聞くようになってきましたね。でもその段階でも、ここまで問題になるとは思っていなかったですね。

水石:ちょうど撮り終わってちょっと終わったくらいに、でしたよね。

ーー落ち着いたかと思ったらまた流行り出してと…、エンタメ業界にはかなり辛い年になりましたね。

宮本:そうですね。ただ、今日本人の関心はコロナに集まっているので、原発政策はやりやすいんですよ。実際に、原発再稼働に向けてどんどん動いていっています。そういうことも含めて、「もっと関心を持っていかないとやばいよ」という危機感をこの作品から伝えたいですね。

ーー 新型コロナウイルスを題材にする映画を作る予定は、今のところありますか。

宮本:やはり社会派映画監督として考えたりはしているんですけど、まだ状況が解明できていなかったりするので…。もちろん、飲食店の方々や介護施設、病院で奮闘しているお医者様など様々な切り口があるとは思うんですけどね。

ーーでは、今後どのような映画を撮る予定ですか。

宮本:まだ企画段階なのですが、太平洋戦争の後にシベリアへ抑留された人々をテーマにして映画化する話が進んでいるので、自分的にはコロナの話題よりもシベリア抑留の方ばかり考えていました。(水石さんを見ながら、)もちろん出ていただけるのであれば是非出演していただきたいですが…(笑)

そのシベリア抑留を生き残った語り手がもういなくなり始めてしまっているので、今作らないと間に合わない可能性があるんですよね。

それでもやはりコロナもしっかり描いていかないといけないのかなとも思っていて、それこそ10年後の人たちに「こんなことがあったんだよ」と伝える義務があるじゃないですか。

ーー「後世に語り継ぐ」となるとどちらも大事だと思いますが、時間的な問題がありますもんね。

宮本:映画となると、着地までがなかなか時間がかかるので、どうしても身軽に動けないことばかりで。小説とかだったら多分パッと書けると思うんですけどね(笑)

コロナの真相がわかるのももう少し時間がかかると思いますし、中国政府がどこまで明らかにするかも分からないので。

SNSを通じた情報発信

ーー宮本監督はSNSを通じて政治的な意見をかなり発信されていると思うのですが、特に気をつけていることを教えてください。

宮本:気にしていることは1点だけあって、一般の人・無関心な人に引かれないように気を遣っています。例えば原発の問題と一言出すだけで「うわ、もういいよ…」となってしまう人や、すぐ「賛成派?反対派?」と聞いてくるような人がいたりで。

日本は「政治と宗教の話はするな」とタブー視されていることもありますので、やはりその辺は気をつけています。危ない人だと思われると、映画を観にきてもらえなくなってしまうので。

ーーその点に関しては、日本と海外の差は激しいですよね。

宮本:日本は、政治と宗教がタブーになっていますからね。でも、タブー視している人にこそ映画を観に来て欲しいんですよ。初めは関心を持っている人に来てもらって、次に、そうではない人も一緒に引っ張ってきてくれたらなと思っています。

ーー今後、タブー視する文化はどうなっていくべきだと思いますか。

宮本:今後、日本は成熟した民主主義国家になっていって欲しいと思っているので、意見が違うとその人の人格や性格をも全否定するようなレッテルを貼る文化をまず打破したいです。意見は違くてもその人の人格や尊厳は認めて、その上でディスカッションをしていけるようにしたいですね。

ーーSNSの話に戻ると、水石さんはTwitterとInstagramをやられていますが、何かこだわりはありますか?

水石:こんなかっこいいことのあとに言えるような話はありませんが(笑)

どちらかといえば僕は表に出ている人間なので、プラスになる何かを発信できればと思っています。だからといって誰1人にも嫌な思いをして欲しくないですし、自分も嫌な思いしたくないから、ポジティブに、簡単に言えば当たり障りのないような感じにしています。後はクスッと笑ってもらえればいいかなと。

SNSをマイナスなところのはけ口にしている人もたくさんいるし、僕自身もネットを見ていると嫌でもマイナスな要素が目に入ってくるので、自分が発信するものくらいは気軽に見られるゆるっとした情報を発信したいなと思っています。

ーー確かに共演者の方との写真をアップしたりしてされていて、ゆるっとした印象を受けました。

水石:今はネットが原因で亡くなってしまったりする方がたくさんいるから、本当にそう言うのが無くなって欲しいなと思っています。もっとみんなハッピーなことを発信すればいいのになあと。

ーーお2人は本作が初タッグで、お互い神奈川県にゆかりがあると思いますが、そこについて何かお話しされましたか?

宮本:僕は実家が座間市で、撮影も座間市で行ったんですよ。

水石:監督のお家で撮影しましたね。(笑)

宮本:そうそう、父親が買った結構広い家があって、高橋家の実家はそこで撮影をすることになりました。役者さんたちにも座間市に来てもらって。

水石くんとはお互い知らない時に、町田らへんですれ違ってそうだよね(笑)

水石:その可能性もありますね…(笑)

「このままではいけない。」作品に込めたメッセージ

映画『国民の選択』ポスター

ーー裏話をありがとうございます。えでは最後に、作品に込めた思いや観客に伝えたいメッセージを教えてください。

水石:今回は僕自身がこの映画に気づかされたものがたくさんありました。今の僕たち若い世代の方が原発に対して「自分のことじゃないな」感じてるのではないかと思っているんですけど、今回の作品の中だったら、例えば国民投票だったり自分に子供が生まれることだったり、僕たちの年齢だとそういった節目節目に向き合っていかないといけないことがくるはずだと言うことを実感しました。

あの時の出来事をもう一度思い出して、僕たち若い世代や僕より若い世代みたいに震災当時の記憶が薄い年齢の人にも、「日本にはこんな怖いことが起きて、それを今でも抱え続けているんだ」ということを知ってもらうきっかけに、この映画がなればと思っております。

宮本:10年前にとても大きい出来事が起きて、東京の人たちが沖縄に避難したりとあの時はみんな大騒ぎしていたのに、10年経ってみるとほとんどの人が忘れてしまっていて。関心がある人も無くなってしまっています。じゃあ福島は今どうなっているかというと、廃炉に向けたプロセスは全然進んでいないし、10年経った今は余計に見えなくなってしまっているんです。

政府は再稼働について着々と準備を進めているけど、「本当にそれでいいのか」と言うことを国民一人一人が考えてもらいたいんですよね。考えた上ならいいんですけど、考えないで「政府が決めたことだから」と従うような状況はよくないと思っています。

原発について今一度この映画をきっかけとして、また震災から10年をきっかけとして、関心を持って考えて欲しいと言うのが僕の強い思いです。

 

監督・脚本:宮本正樹

出演:水石亜飛夢 妹尾青洸 松永有紗 みょんふぁ 藤原啓児 泉はる 白石康介 犬飼直紀 / 南圭介

企画・制作・配給:ディレクターズカンパニー

公開日:2021年3月5日よりアップリンク渋谷ほか

公式HP:https://www.kokumin-movie.com/

公式Twitter:@kokusen_movie

 

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