【菅田将暉・小松菜奈】『糸』結末までのあらすじネタバレ!みどころも解説!
先日、結婚を発表した菅田将暉と小松菜奈のW主演で話題となった映画『糸』。
120組を超えるアーティストにカバーされ、ウエディングソングランキングでも長年上位に位置する中島みゆきの代表曲の一つが「糸」です。その名曲が映画『糸』として2020年8月に公開されました。
多くの人が愛する楽曲だけに、その内容も気になることでしょう。
平成の時代に実際に起こった出来事を絡めながら、18年にわたる一組の男女を追った壮大なラブストーリーです。
「初めて愛したあなたは今どこで生きていますか?」このフレーズが刺さるあなたに、おすすめの映画です!
映画『糸』のあらすじやネタバレ、キャスト、みどころについて紹介していきます。
目次
映画『糸』について
2020年8月に公開された映画『糸』は、中島みゆきの名曲「糸」を原案とした、菅田将暉と小松菜奈のW主演のラブストーリーです。実力も人気もある二人の演技が注目を集め、2020年度の日本アカデミー賞では、二人揃って主演男優賞、女優賞を受賞しました。また音楽賞も受賞しています。
監督は、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』『64-ロクヨン-』『楽園』『護られなかった者たちへ』と話題作を手掛ける瀬々敬久監督。
脚本は林民夫さんで『永遠の0』『空飛ぶタイヤ』と人気小説の映画化に携わり、日本アカデミー賞脚本賞を受賞しています。
音楽プロデューサー・亀田誠治さんが劇中歌を担当しています。
男女の出会いを縦糸と横の糸に比喩した糸の歌詞のように、平成の30年をそれぞれに駆け抜けた若い二人の切ないラブストーリー。物語の舞台となる北海道や沖縄・シンガポールでのロケーションも美しく開放的です。
「なぜ めぐりあうのかを 私たちは何も知らないーー。」歌詞の世界観と平成の出来事を絡め、一組の男女とそれぞれの人生を描きながら再び編み込まれるラストに感動の涙が止まりません。
10秒で分かる!映画『糸』の簡単なあらすじ
平成元年生まれの高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)は、13歳の時に北海道の花火大会で出会い、初めての恋をした。漣は、葵がお弁当を作って来てくれたサッカーの試合の日に好きだ、と帰り道で告白する。その日葵はまだ家に帰りたくない、と別れを渋ったが翌日丘の上で会おう、と漣は答え別れた。
しかし、当日葵は美瑛の丘に現れなかった。一家で夜逃げし行方不明となっていたからだった。札幌にいることがわかり、アパートを探し出し見つけた葵は、母親の恋人から殴られた跡を隠すために眼帯をしていた。
事情を知った漣は葵を守るために逃避行を決意し、列車で函館の近くまで行く。しかし無人のキャンプ場のロッジで一晩過ごすと翌日には警察に発見され、二人は引き離されてしまう。その後、葵は母親に連れられ東京に引っ越して、蓮と葵は会えないままになっていた。
そして8年後、漣と葵は同級生の結婚式で再会するーー。
映画『糸』のネタバレあらすじ
【あらすじ①】出会い
平成13年に二人は初めて出会う。部活帰りの漣(南出凌嘉)は、美瑛の花火大会に駆けつけ、そこで 園田葵(植原星空)に出会い恋に落ちた。
ある日葵が、いつもの約束の場所にこないので、漣は家を訪ねるもいなかった。近所の食堂のおばさん(倍賞美津子)に尋ねると、家族で夜逃げ同然出て行ったと知る。
札幌に引っ越した葵を探し当てた漣は、養父の暴力がひどくなっていることを知り、ここから逃げ出そうと葵を連れて行く。
函館から青森に逃げようとするも、翌日には警察に見つかってしまう。雪道を必死に逃げる二人を追う大人たち。暴力から逃げ出したいだけなのに、二人を警察や母親、その恋人が押さえつける。二人の繋いだ手が無残に離された。
【あらすじ②】8年後の再会
平成21年の竹原直樹(成田 凌)、後藤弓の東京での結婚式に葵(小松菜奈)が現れた。漣(菅田将暉)も 直樹の友人としてその結婚式に参加していた。
ようやく漣は葵に話しかけるが、久しぶりの近況を語り合うただの同級生の会話になってしまう。
漣は北海道のチーズ工房で働いていると話し、葵は東京で大学生になったと話した。
その後、すぐに帰ることになる葵に、このままでは帰せないと漣は彼女を追いかける。しかし「会えてよかった」葵はそう言うと男性が乗ってきた車に乗り込み、帰っていった。
キャバ嬢をしていた葵は、水島(斎藤工)に経済的援助を受ける関係となり二人は同棲していた。しかしリーマンショックにより水島は破産し雲隠れする身になる。葵は水島を追って逃亡先の沖縄に来た。
漣はチーズ工房の先輩、香(榮倉奈々)と付き合い出すようになる。
【あらすじ③】それぞれの道へ
平成22年、漣は訪れた市役所で偶然に葵と出会う。役所からの通知がきっかけで、彼女は母親を探しに来ていた。
漣は13歳の時警察に捕まった後、札幌に行ったが会えなかったと伝えた。葵は中学を卒業するとキャバクラで働いていたこと、そして今は沖縄で男の人と暮らしていると漣に話す。
二人はそれぞれの人生を歩み出していた。
葵が歩んだ9年を聞き、漣はもうその過去を手放そうと思う。
そして伯父さんを探し当てて葵の母がすでに亡くなっていたことを知る。葵は本当は謝ってほしいのではなく母に抱きしめてほしかったと泣く。「手を離してごめん」漣はあの時からなんども繰り返し胸に沈めた言葉を告げ、葵を抱きしめた。
そして葵を送って飛行場へ。「あの街で普通に生きていく」という漣に「私は世界を飛び回る」と葵は答え幼い時の会話を逆にして繰り返した。
そして二人はそれぞれの場所に戻った。しかし葵が沖縄に戻ると、水島は金を残し消えていた。
【あらすじ④】シンガポールと北海道
その後、キャバクラにいた時の同僚 玲子(山本美月)に誘われ、シンガポールに葵は渡りネイリストとして働くことになる。しかしトラブルに巻き込まれ葵は、これを機に起業しようと思い立つ。
そして冴島(高杉真宙)も誘い、3人で企業資金を貯めネイルの店を立ち上げた。小さな店が開設されたその日は平成23年3月11日、日本を未曾有の地震が襲っていた。
同じ日、漣は病院に向かっていた。そこにはガンの告知を受けた妊娠中の香がいた。出産を優先すると決めた香は、その後無事出産しガンも摘出して、親子3人の幸せな生活を送っていた。
しかし3年後ガンが再発。抗がん剤治療が始まり、また香の髪は抜け帽子を被っていた。
平成26年、幼い結を残して香は亡くなった。
平成27年、葵は玲子と店を運営し7周年を迎える頃には、メディアでもとりあげられるくらいに成長していた。
しかし玲子の裏切りにより、店は倒産してしまう。残された葵は日本へ帰り、冴島はシンガポールで再起を図ろうとしていた。
会社の破綻から1年後、冴島がエステの会社を立ち上げ葵のもとにやってきて、一緒にシンガポールでやろうと誘う。しかしその時、葵はネット上で話題になっていた子ども食堂のニュースを見た。そして葵は北海道へ向かう。
【あらすじ⑤】結末はハッピーエンド!
おばあさんの元を訪ねる葵を、「おかえり」と言ってくれ温かい食事を準備してくれた。
おばあさんの作った食事を食べながら、帰る場所があったんだと号泣する葵。その葵の背中をそっと抱く少女が結(稲垣来泉)だった。
家に帰った漣は、結の話から葵が帰ってきていることを知り走り出す。
葵はフェリーで函館から青森に行こうとしていた。
時は平成31年4月30日。フェリー乗り場は令和へのカウントダウンで賑わう人々で溢れかえっていた。人々の合間を縫っての葵の名前を呼びながら探し続ける漣。カウントダウンが終わり令和があけた。フェリーが出航し漣は、がっくりと肩を落とす。しかしその時手を後ろから掴む人がいた。その手をしっかり握っていたのは葵だった。
映画『糸』の登場人物・キャスト
映画『糸』のメインキャストを子役も含め紹介していきます。
高橋漣/菅田将暉(少年期:南出凌嘉)
北海道で生まれ育ち、チーズ工房で働いている。中学時代の逃避行事件で、葵の手を離したことが心の傷となっている。
菅田将暉さんは2009年のドラマ『仮面ライダーW』で初主演を務めて以降、ドラマ、映画で大活躍している俳優さんです。同年映画『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』で映画初主演を果たし、2013年に映画『共喰い』で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しました。その後も多くの作品に出演し数々の受賞歴を持ち現場からも天才的俳優との呼び声の高い菅田さんです。2017年には「見たこともない景色」で歌手としてもデビューし、活躍されています。
南出凌嘉
南出凌嘉(みなみで りょうか)君は2005年8月10日生まれの17歳です。
2012年から子役として活動しています。
漣としての演技を見ても、将来が楽しみな俳優になることは間違いないですね!
園田葵/小松菜奈(子役:植原星空)
漣と運命的に出会いながらも中学生の時に離れ離れになってしまう。母親の恋人からのDVを受け、母からも守ってもらえない。
中学を卒業するまで耐えようとしたが、漣とつかの間の逃避行をする。その後母と東京へ移り、中学卒業後はキャバクラで働いていた。
小松菜奈さんは、2008年にティーン誌「ニコ☆プチ」のモデルとしてデビューしました。2014年に公開された中島哲也監督の映画『渇き。』で鮮烈な映画デビューを果たし、数々の新人賞を受賞しました。
その後映画にも次々と出演し『溺れるナイフ』が映画初主演で菅田将暉さんとの共演でした。マーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙 -サイレンス-』で、ハリウッドデビューも果たしています。今もっとも旬な若手女優さんです。
植原星空
植原星空(うえはらせら)さんは、2006年5月27日生まれの16歳です。劇団ひまわりに所属していて、子役として活躍しています。大河ドラマ『おんな城主 直虎』に出演し知名度があがりました。ダンスも得意らしいですよ。
桐野香/榮倉奈々
漣が働くチーズ工房の先輩。中学時代から10年付き合った男性がいたが、二股をかけられていた。
その男性と別れて、チーズ工房で働きだし漣と出会う。
榮倉奈々さんは中学時代から『SEVENTEEN』の専属モデルとして活躍し、その後女優デビュー。数々のドラマ・映画に主演し、映画『余命1ヶ月の花嫁』も話題になりました。『糸』でもその演技力は高く評価されています。
水島大介/斎藤 工
葵と恋愛関係になるファンドマネージャー・社長。誰にも頼れず生きる若い葵に自分の過去を重ね、経済的に援助し大学に通わせる。
後に、破産し沖縄へ。
斎藤 工さんは、俳優・映画評論家でもあり、映画監督としても活動。監督映画『blank13』は、第20回上海国際映画祭でアジア新人賞部門最優秀監督賞を受賞しています。
独特のセクシーさを持つ魅力ある俳優さんですね。
高木玲子/山本美月
葵の同僚で親友。中卒の葵が働きにでたキャバクラで先輩として出会った後に、シンガポールで共に働く。
山本美月さんは『CanCam』の専属モデルとしてデビュー。以降女優さんとしても活躍。2020年に俳優の瀬戸康史さんと結婚しました。
結/稲垣来泉 (右)・中野翠咲 (左)
漣と香の娘。
幼少期を中野翠咲ちゃんが、少女期を稲垣来泉ちゃんが演じました。泣いている人を抱きしめる結ちゃん、可愛くて愛おしいかったですね。
中野翠咲(なかのみさき)ちゃんは2015年8月24日生まれです。稲垣来泉(いながきくるみ)ちゃんは2011年1月5日生まれです。CMやドラマにひっぱりだこな子役さん達なので、これからも見る機会がありそうです。癒やされますね。
映画『糸』のみどころ3つ
映画『糸』のみどころ3つ、音楽・キャスト・ストーリーに分けて解説します。
音楽の力で見せる名シーン
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「糸」は1998年にリリースされた中島みゆきさんの名曲です。中島みゆきさんが知人の結婚式のお祝いとして制作した歌だと言われています。その歌詞には糸を人に見立てて男女の出会いの奇跡やその絆の尊さが歌われています。
「糸」
シンガポールで裏切りにあい、事業が失敗した葵が食堂でカツ丼を食べるシーン。
そこの店で流れる「糸」の音楽。「大丈夫」そう葵が言いながら食べ物を口に押し込むとても良いシーンでした。
音楽に心救われる瞬間、誰にでも経験があるのではないでしょうか。
ちなみにこの日本食堂は、シンガポールの中心部から少し離れた団地の一階に実在しています。
「ファイト」中島みゆき 作詞・作曲
あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた
女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる 悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる ~~~~~~~ ファイト! 闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう ファイト! 冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ |
映画の中では、香そして漣の友人の竹原直樹が歌います。
東日本大震災3.11のPTSDに苦しむ妻・利子の演技もひかりました。言いようのない切なさや虚しさを歌いつつ、最後は力強い意志の力に持っていかれます!
ファイトには”応援”の意味以外に”闘え”という意味があります。
この歌は、まさしく世の理不尽さや、見て見ぬ振りをする弱い自分に対し闘え!と鼓舞する歌です。
キャストたちの演技力!
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2013年公開のバイオレンス作品『共喰い』で主人公の高校生役を演じ、第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した菅田将暉さん。それ以降も映画『溺れるナイフ』『帝一の國』『となりの怪物くん』など、様々な役を演じてきました。2017年、ボクサー役を好演した『あゝ、荒野 前篇』でアカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞したその確かな演技力は本作でも発揮されました。時折、アドリブとも思わせるほどリアルな演技に引き込まれます。
『溺れるナイフ』『ディストラクション・ベイビーズ』でも菅田将暉さんと共演している小松菜奈さん。息はぴったりでしたね。
長編映画デビューとなった『渇き。』からその演技力は評判で、本作でも挫折する葵の心情表現は秀悦でした。
サブキャストも演技派揃い
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またサブキャストにも成田凌さん、斎藤工さん、榮倉奈々さん、二階堂ふみなさんなど主役級の俳優たちが揃い、倍賞美津子さん、松重豊さん、田中美佐子さんなどベテラン俳優の演技も素晴らしいです。
倍賞美津子さんの、両手を広げての「おかえり」に泣いたのは、葵だけではないはず。一言のセリフが魂を持って語られると、その背景も全て理解できる気がしますね。
榮倉奈々さんの病床での様子も、芝居とは思えないほどのリアルさを感じました。病床に伏せる香が「運命の糸ってあると思う。でもその糸はたまにほつれる。そして切れることも。でもまた何かに繋がる。生きていれば」と漣に伝えるシーンはとても印象的でした。香を演じ切るため1か月で7キロも減量し、このシーンに挑んだ榮倉さんには脱帽です!
誰にでもある『糸』物語
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企画した平野隆氏は「彼らが最後にそれぞれの“仕合わせ”を見つけ出し、観客の皆様が幸せな気持ちで劇場を後にできる、そんな映画にしたいと企画した」という意図を述べています。作品の肝としたのは「織りなす布は いつか誰かの 傷をかばうかもしれない」という部分です。
共感度が高いのは、この映画が市井の人々の平凡な、誰にでも起こりそうな出会いと別れを描き、それぞれ自分の糸の物語を思い起こさせるからではないでしょうか?
そのため主人公たちを、漣と葵という平成で多くの子供に名付けられた人気の名前にしたのも頷けます。漣の背景が細かく描かれなかったのも、より誰にでも当てはまりやすく考えてのことではないでしょうか?
中学時代の夢と高校時代になって知る現実の自分の道。その時代にはじめて交わる糸の物語。
中島みゆきさんも、自身の曲が映像化されることについて「様々な方がこの曲を唄うのを耳にするたびに様々な色に彩られることに驚きを感じている。今回の映像化により新たな『糸』の姿が見られることを心待ちにしている」と語られています。
私達の人生には、とてつもなく大きなチャンスやアクシデントは訪れないかも知れません。しかし、出会った人の荷物を背負いきれず諦めてしまったり、思いもよらぬ病にかかったり、事業の資金繰りが上手く行かないなど似たような出来事は起こりえます。そのような起こりそうな出来事がこの映画『糸』では描かれているのです。
また初めて人を好きになったその気持ちは、人々の心の中で普段は深く眠っていて忘れてしまっています。それをこの映画『糸』は思い出させてくれるのです。
平成の時代の巡り合い
映画の最初のシーンは「新しい年号は、平成であります」という何度も聞いたフレーズから始まります。
漣と葵が出会った平成13年は、9.11ニューヨークテロが起こった年でした。
その8年後、漣と葵が再会した平成21年は、金融危機に端を発した世界同時不況に陥った年です。
そして葵が、シンガポールでネイルの店を構えたのが、平成23年3月11日でした。平成の時代を生きた誰もが知る出来事が盛り込まれたことで、より身近な物語として感じられましたと思います。
平成元年に生まれ、恋した男女が平成が終わる時に再び出会い、それぞれの糸で織りなした布でお互いの傷を癒やし、新たな布を編み出していく壮大なストーリーでした。
まとめ
「縦の糸はあなた、横の糸は私。逢うべき糸に出逢えることを、人は仕合わせと呼びます」
生きていくことは、辛かったり苦しかったりします。だからこそ人との出会いを大切にしたいものです。最後のエンドロールのウェディングシーンには号泣です。最後のシーンでは菅田将暉さん自らと石崎ひゅーいさんが歌う「糸」も聴けます。
会いたい人に会えない苦しさを経験した今だからこそ、胸にしみる映画です。ぜひ、御覧くださいね!