オードリーの名作『ティファニーで朝食を』のネタバレあらすじ|長年愛される魅力とは?
『ティファニーで朝食を(原題:Breakfast at Tiffany’s)』は1958年に出版されたトルーマン・カポーティによる中編小説を1961年に実写映画化したものです。それまでには食べる施設が無かった実際の宝石ブランドショップ・Tiffany & Co.が公式にダイニングスペースを設置するほど、この作品は世界中の人に愛されています!
しかし、映画製作にいたるまでにはかなり揉めたとか揉めないとか。せっかくあらすじをチェックするのなら、このあたりのお話もしっておきたいものです。
この記事では『ティファニーで朝食を』のあらすじや映画化前後の壮絶なエピソードを多数ご紹介していきます!
目次
『ティファニーで朝食を』について
『ティファニーで朝食を』はブレイク・エドワーズ監督作品として1961年10月5日にアメリカで公開されました。主演はハリウッドの名女優・オードリー・ヘップバーン、そしてオードリー演じるホリー・ゴライトリーに興味を抱く男性であるポール・バージャクをジョージ・ペパートが演じるという豪華キャスト・スタッフ陣で映画が製作されました。
日本でも同年の11月8日とアメリカ公開から日を待たずして公開されています。瞬く間に話題作となり、アメリカでの興行収入は日本円で約8億7000万円、世界では約15億2000万円にまで昇りつめました。
また、アカデミー賞では主演女優賞、脚色賞、劇・喜劇映画音楽賞、歌曲賞、美術監督賞の5部門にもノミネートされました。その結果、スタッフであるヘンリー・マンシーニが劇・喜劇映画音楽賞を、挿入歌の「ムーン・リバー」が歌曲賞を受賞し、計2部門のアカデミー賞を受賞する大作となりました。
10秒でわかる『ティファニーで朝食を』の簡単なあらすじ
それでは『ティファニーで朝食を』の簡単なあらすじを紹介いたします。映画を観る前にネタバレはしたくないという方は、ぜひこちらを読んでみてください。
男性作家のポール・バーシャクはある日、この物語の主人公である女性、ホリー・ゴライトリーという謎の人物の隣に引っ越してきます。ホリーは毎週木曜日に刑務所に面談に行く、自分のことをティファニーで朝食を食べるご身分などと表現する、ティファニーに居る時が一番の至福のときだなどとポールに言います。そんな奇妙な行動と性格に、ポールは惹かれ、次第にホリーもフレッドなどとポールを呼んで気に入るようになる。しかし、本物のフレッドはホリーの兄で、次第にホリーの暗い過去と現在が明るみになっていく物語です。
『ティファニーで朝食を』のネタバレあらすじ
「ネタバレをしてから映画を観たい」という方、お待たせしました!また、さきほどの簡単なあらすじを見て、喜劇なのに暗い展開があるのはどうしてだろう、と気になった方もいらっしゃるはずです。
ここからは、『ティファニーで朝食を』のネタバレも含んだあらすじをがっつり紹介していきたいと思います。
やっぱりまだネタバレをしたくないという方はこちらをクリックして、キャスト紹介の部分に飛ぶことができますよ!
謎多き女性、ホリーの生活
デビュー作が少し売れてからは鳴かず飛ばずの作家であったポールはニューヨークの5番街にあるアパートに引っ越してきます。その隣の部屋では、華やかな世界に憧れている謎の女性、ホリー・ゴライトリーが変わるがわる男性を招き入れ、その上の階に住むカメラマンのユニオシ,I.Yが怒鳴りつけるといったことが行われていました。
色味は暗いものの、宝飾品を多く身に着けているホリーに興味を持ったポールは根掘り葉掘り聞いてみるも、ホリーは物言いや性格までもが少し変わっているということしかわかりません。そんなホリーにどんどん惹かれてしまうポール。また、ホリーもポールのことを自身の兄の名前であるフレッドと呼んで親しみを憶えていきます。
やがてポールは、ホリーは収監されているマフィアのサリー・トマトという男に毎週会いに行き、彼の話す「天気予報」をそのまま弁護士に伝えることでかなりの額の報酬を受け取り、それで生活していることを知ります。これが、とんでもない事件の始まりでした。
明かされるホリーの過去
ホリーに惹れかかっているポールですが、実は2Eというお金持ちのマダムと不倫をしていました。そんなポールは、自宅のアパートの前にいる年老いた不審な男を見つけます。彼が2Eの旦那が雇った探偵ではないかと、ポールは疑います。声をかけたところ、ルラメーという女性を探しているだけだと主張します。そして苗字が同じであることから、実は彼がホリーの歳の離れた旦那のドク・ゴライトリーであることが判明します。
ドクが探しているルラメーはホリーと名乗っていることをポールが告げると、自分の妻が過去を捨てようとしていることに落胆してしまいます。少し離れた場所にある公園に場所を変え、ポールはホリーの過去をドクから聞くことになります。ゴライトリー家はテキサスに住んでおり、ホリーと兄のフレッドは浮浪者でした。ドクがホリー達を引き取ったものの、家族はかなり貧乏な暮らしを送ってきました。さらにホリーは、金銭目的にドクと、しかも14歳ですることになります。
その後ホリーとあったポールはドクに会い、全て打ち明けられたことを話します。それを知ったホリーはポールと共にドクに離婚を言い渡します。そんなポールも、2Eとの愛人関係を終わらせるとホリーに宣告し、ついに2Eと別れます。ホリーとポールは駄菓子屋でホリーが盗んできたお菓子についてくるおまけの指輪に、ティファニーで互いの名前を刻印してもらいます。
しかし、数日後、ホリーの元に兄・フレッドが戦死したという電報が入ります。心配になったポールがホリーの部屋に入ると、部屋は荒らされており、ホリーは止め処なく涙を流していました。
ホリーの決断と、ポールの落胆
ある日突然、ホリーがポールによそよそしくなってしまいます。ポールは何が起こったかさっぱりわからず、かといって心当たりがあるわけでもないため、困惑してしまいます。
そんなホリーはポールをよそに、図書館で南米について調べていました。ついにその姿を目撃したポールは、ホリーになぜ自分を遠ざけるのか、南米について勉強する理由は、と問い詰めてしまいます。するとホリーは、アパートに出入りしていた男性の一人であり、大富豪のホセ・ダ・シルヴァ・ペオレラと結婚し、彼の祖国ブラジルに引っ越すと言いだします。
人も物も所有することを嫌い、「自分が所有できる人間になるまでは絶対にしない」と家に招き入れていた猫に名前をつけることもなかったホリーが、突如として自分でない人のものになろうとする意味が分からなくなってしまったポールは逆上し、立ち去ってしまいます。その後、ポールは再び作家として活動し始める決意をします。ホリーも極めて家庭的になろうと、ホセの前で努めていました。
大雨の中、ホリーとポールの運命は…
数日後、レストランでの食事から帰宅したホリーとホセのもとに警察が来て、いきなりホリーを連行していきます。なんと毎週ホリーが会いに行っていた収監中のサリーの「天気予報」が麻薬売買の暗号であり、ホリーが密輸に関わっていたと警察が断定してしまったのです。ホリーは何も知らなかったと主張しますが、拘束されてしまいます。
しかも、ホリーの逮捕はサリーがかなり有名なマフィアだったため、世間に大きく報道されてしまいます。ホセはというと、名家に傷がつくからといってホリーとの結婚を無かったことにし、面談にも来ませんでした。そして、ホリーを迎えに来たのは、喧嘩したはずのポールでした。ポールがホセからの破断の手紙を読み終わり、ホリーを慰めるも、ホリーはホセのもとに行くんだと言って聞きません。
翌日、飛行機の離陸も懸念されるほどの大雨の中、ホリーはポールと一緒にタクシーで空港に向かいます。しかし、二人はそこでも喧嘩をしてしまい、ホリーは一緒に向かうはずだった猫をタクシーから逃がし、ポールにいたっては指輪を投げつけてしまい、タクシーを降りてしまいます。一人きりになったことで我に返ったホリーは、自分もタクシーを降りてまず猫を探します。その途中で、同じく猫を探していたポールと会い、二人は猫を発見し、大喜びで抱き合うのでした。
愛おしい『ティファニーで朝食を』のキャスト
『ティファニーで朝食を』のキャラクターは皆若干扱いにくく、クセが強いですが、どこか愛おしい印象があります。そんなキャラクターたちと、演じたキャストを紹介します!
ホリー・ゴライトリー/オードリー・ヘップバーン
夜な夜な自分の部屋を訪れる男からもらうチップと、サリーからもらう金を浪費しながら生活をする謎の女性です。黒いドレスに派手な宝飾品を毎日身に着け、ティファニーのショーウインドウを眺めるのを日課としています。
ホリーとはニューヨークで名乗っている偽名で、本名はルラメー。ニューヨークに来る前はテキサスで兄のフレッドと浮浪者となっていたところをドクに助けられ、家族とかなり、しかしそれでも貧乏な暮らしをしていました。14歳で自分を引き取ってくれたドクと本当の家族になり、扶養に入る為に結婚することになります。これらのことから、高い身分に憧れた部分が垣間見えることもあります。
物や人を所有することを嫌い、自分の部屋に出入りする猫にも名前を付けませんでした。また、特定の男と付き合わないのも、「所有できる人間になれるまで所有しない」という自分の信念から来ています。
ポール・バージャク/ジョージ・ペパード
自称作家の男。しかし、その実態はデビュー作となる短編集を刊行してからは一冊も書けないでいます。2Eと呼ぶマダムと援助交際していたが、ホリーと出会って親しくなってからは分かれた。ホリーからは彼の兄の名前・フレッドと呼ばれています。
ニューヨークの5番街に引っ越し、ホリーに恋心を抱くようになります。常人離れしたホリーの性格に惹かれるも時に理解できずに悩み、すれ違うことも多くなりましたが、最後にはホリーと仲直りします。
拘束されてしまったホリーを喧嘩中にも関わらず迎えに行ったり、猫と荷物を持って出ていくんだとホリーに諭したり、その猫が最後ホリーによって逃がされてしまったときは探しに行ったりなど、面倒見のいいところもあります。
2E/パトリシア・ニール
ポールの愛人、いわゆる不倫相手。職業はインテリアコーディネーター。ポールの部屋に変える時は300ドルも置いていきます。
ホリーと親しくなったポールに別れを告げられたときにも小切手を置いていこうとしましたが、ポールによって引きちぎられてしまいます。
ドク・ゴライトリー/バディ・イブセン
ポールに2Eの旦那が雇った探偵ではないかと疑われた謎の男。その正体はホリーが14歳のときに結婚した相手でした。馬専門の獣医と農場経営者の二足のわらじを履いています。
子供であったホリーとホリーの兄・フレッドが浮浪しているのを見つけ、引き取りました。そして2人を扶養にいれるためにホリーと結婚をしてしまいます。フレッドが亡くなったことを電報で伝えたのはドクです。
常にお菓子のクラッカージャックを食べています。
ユニオシ,I.Y/ミッキー・ルーニー
ホリーとポールの上の階に住む日系人。カメラマンを生業としていますが、見るからにうまくいってなさそうです。マンションの鍵をいつも失くすいい加減なホリーに夜明け頃の時間帯にチャイムを鳴らされるたり、部屋にいるかと思えば男たちとどんちゃん騒ぎをしているため、いつもホリーに怒鳴っています。
しかし、ホリーが一度「写真のモデルになってあげるわ」と言うとご機嫌になるといった、喜劇のキャラクターならではの一面もあります。
O・J・バーマン/マーティン・バルサム
芸能プロダクションで幹部クラスに属している男性。同時にホリーを取り巻く男性陣の一人。ロサンゼルスでスカウトしたホリーのテキサス訛りを1年かけて直した張本人です。ホリーにスクリーン・テストを受けてもらう準備をしていたところでニューヨークに逃げられてしまっていました。
ホリーが拘束されてしまったときに、保釈するように手配してくれました。
サリー・トマト/アラン・リード
ホリーを取り巻いていた男性陣の一人。その正体はマフィアのボス。刑務所に収監されている間、ホリーと毎週面会していた。その際に「天気予報」をホリーから担当の弁護士に伝えるようにしていましたこが、これこそ仲間へ麻薬売買の指示でした。これが警察にばれ、世間で注目されてしまいます。
『ティファニーで朝食を』の知られざる魅力
オードリー・ヘップバーン演じるホリー・ゴライトリー。常に男性に囲まれている、と聞くとあまり良いイメージを持たないかもしれません。しかし、実際はかなり魅力あふれる女性なんです。
主人公ホリーの”所有しない”生き方
ホリーは度々「所有すること」の恐ろしさを口にします。『ティファニーで朝食を』の名ゼリフに、「所有したくないの。所有した物と暮らしていける場所を所有できるまでは」というホリーのあるセリフがあります。普通の人からしたら、どういう意味か分からないですよね。
このセリフは、同じアパートに引っ越してきたポールとホリーの会話です。
ホリーの部屋はあまり家具が無く、殺風景でした。ホリーはこのアパートを気に入っておらず、きっかけがあればすぐにでも出る予定でした。そしてホリーは、憧れのセレブになって豪邸に住むまでは、何も所有したくないというのです。そのため、ホリーの名刺には「旅行中」と書いてありました。ホリーからしたら、あのアパートには住んでないも同然だったのです。
また、所有しないものとしてあげられるのは男性と猫です。猫に至っては、いつも部屋の中に住まわしているにも関わらず、名前をつけていませんでした。名前は、所有しているものがつけるのだと、強い主張をホリーは持っているのです。
自分の夢が叶うまで自分の意志を貫くという生き方に、ホリー・ゴライトリーの魅力を感じますね。
そんなホリーは、心躍るティファニーのようなところに住みたいと言います。『ティファニーで朝食を』というフレーズは、ホリーの本気の夢を言語化したものなのです。
ホリー役は当初オードリーじゃなかった!
『ティファニーで朝食を』の原作者であるトルーマン・カポーティは製作スタッフから映画化の許可を依頼されたとき、ホリーの役をぜひマリリン・モンローにやってほしいと頼んでいました。
その後、なんとカポーティはマリリン・モンローとばったり飛行機で会います。その際、思い立って『ティファニーで朝食を』のオファーをします。マリリン・モンローはその場で言葉を濁して返事を保留しました。その後改めて、「原作の売春婦の役はやりたくない」とはっきり断ったそうです。
ですが製作スタッフも、ホリーにマリリン・モンローは適任ではないだろう話していたのです。その後改めて話し合いが行われた結果、オードリー・ヘップバーンが抜擢されたのです。
波紋を呼んだユニオシの描写
映画がアメリカで公開された後、日系アメリカ人のユニオシの描写にかなりの大批判が殺到するんです。それもそのはず、当時アメリカでは人種差別を排除しようという動きがかなり活発になりつつありました。そんな中でユニオシは出っ歯、低身長、黒縁メガネといったかなり固定概念を強要したかのような容姿でした。これが大変世間の厳しい評価を受ける要因となってしまいました。
当の日本での公開も危ぶまれましたが、その後約1ヵ月後には公開、製作スタッフやアメリカの映画ファンの思惑とは裏腹に、日本でも大ヒットしました。
『ティファニーで朝食を』を実際に楽しめる!
『ティファニーで朝食を』は、公開から数十年経った今でも愛される映画となっています。そして2017年、ついに映画の舞台・ニューヨークのティファニー本店に初のダイニングスペースがオープンしました!
「Blue Box Cafe」と呼ばれるそのお店は、ニューヨークの中心地・5番街にあります。お店の内装は、ブランドイメージそのものであるティファニーブルーで統一され、女性には特に胸が高まる可愛らしさ。特にブランチが人気で、オープンした直後は半年以上予約が取れないほど注目を集めたんだとか!
気になる方はぜひ公式ページをご覧ください!ちなみに2021年までは改装中だそうです。
また、2019年4月には日本にもティファニーのカフェが上陸しました。場所は原宿、期間は3年間となっています!
まとめ
『ティファニーで朝食を』のあらすじを紹介すると共に、愛される理由を紹介することで、これから鑑賞される方にも親しみやすさを伝えられたと思います。物語、キャラクター、セリフ、その影響ぶり、どれをとっても、『ティファニーで朝食を』の魅力を説明するのに充分であります。まだ見ていないという方は、ぜひその世界観に浸ってみてください!
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