『海街diary』ネタバレあらすじ|鎌倉に住む四姉妹を描いたノスタルジックな家族映画

人の絆を絶妙な表現力をもって映し出す是枝裕和監督による映画『海街diary』。家族の葛藤を描きつつ、日本の身近な生活にあった文化を映していることで、観ている人に懐かしさや憧れなどノスタルジックな気分を味わわせてくれます。

 中心となる四姉妹を、綾瀬はるかさん、長澤まさみさん、夏帆さん、広瀬すずさんが演じ、2018年に惜しくも亡くなられた樹木希林さんも姉妹の大叔母として登場しているほか、堤真一さんやリリー・フランキーさんなどなど豪華俳優陣が出演しています。そんな映画『海街diary』のあらすじや魅力をご紹介していきます。

海街diary あらすじ出典:映画『海街diary』公式サイト

 同名漫画を実写化した『海街diary』について

海街diary あらすじ

出典:映画『海街diary』公式サイト

2015年6月13日に劇場公開された映画『海街diary』。原作は、第11回文化庁メディア芸術マンガ部門優秀賞とマンガ大賞2013を受賞された吉田秋生さんの同名漫画です。吉田秋生さんといえば、過去にもドラマや映画で実写化された作品も多く、最近では2018年にアニメ映像化された『BANANA FISH』の原作者でもあり、大ベテランの漫画家さんです。

 そんな吉田秋生さんの『海街diary』を映画化したのが、是枝監督。映画を観た吉田先生は「幸福な時間だった。そしてなんかちょっぴり、くやしかった。(笑)」と感想をもらしています。
第68回カンヌ国際映画祭に正式出品された映画『海街diary』。惜しくも受賞には至りませんでしたが、第39回日本アカデミー賞では、最優秀作品賞を受賞し、是枝監督は最優秀監督賞、優秀脚本賞、優秀編集賞を獲得。各スタッフ方も優秀音楽賞(菅野よう子さん)、最優秀撮影賞(瀧本幹也さん)、最優秀照明賞(藤井稔恭さん)、優秀美術賞(三ツ松けいこさん)、優秀録音賞(弦巻裕さん)を獲得されました。

10秒で分かる『海街diary』 

出典:映画『海街diary』予告編

ざっくりあらすじ鎌倉の一軒家に住む三人姉妹は、出て行った父親の葬儀で、腹違いの妹・すずに会う。中学生のすずは、すでに実の母親を亡くしていて、後家の陽子(中村優子)(とその幼い息子と暮らしていた。葬儀で気丈に陽子を支えるすずを見た長女・幸の提案で、一緒に鎌倉で住むことになる。三姉妹を育てた祖母は亡くなっていたが、その家での慎ましい暮らしにすずが加わり、しだいに四人姉妹としての絆が芽生えていく。三姉妹の母親(大竹しのぶ)は、父と離婚後に家を出たきり音信不通になっていたが、祖母の七回忌に現れ、姉妹の抱えていた想いがしだいに明らかになっていく――。

 是枝監督は、「人間中心ではなくもっと大きな時間というものを描きたいとも思った映画」と話しており、四姉妹の生活や葛藤を丁寧に描きつつ日本文化の美しさを含めながら、大きな時の流れも感じさせる映画になっています。きっと、観終わったあとには、静かな優しさが胸に広がり、自分の人生の最後に思い出せる大切なものをみつけたくなるでしょう。

『海街diary』のネタバレあらすじ

ここからはガッツリとネタバレ有で結末まであらすじを解説していきます!

【あらすじ①】家を出て行った父の葬儀

海街diary あらすじ出典:映画『海街diary』公式Twitter

ある日、鎌倉の一軒家に暮らす三姉妹(幸/綾瀬はるか、佳乃/長澤まさみ、千佳/夏帆)の元に、15年前に家を出て行った父の訃報が届く。姉妹は父の葬儀のため山形を訪れた。

そこに出迎えたのは、父が出ていく原因になった女性との娘で中学生の浅野すず(広瀬すず)だった。腹違いの妹の存在に複雑な想いをもっていたが、実際に会ったすずは、しっかりしていて素直ないい子だった。

すずの実母はすでに他界し、父の葬儀で泣き悲しむ後妻の陽子を気遣いながら、陽子の連れ子である弟の面倒をみていた。陽子は出棺前の挨拶を悲しみでできないと、すずにさせようとする。それを聞いた長女の幸は「これは大人の仕事です」と、すずを守るのだった。

海街diary あらすじ出典:映画『海街diary』公式Twitter

帰り道、すずが父の大切にしていた三姉妹の写真を渡しに追いかけてくる。幸の希望ですずは、父とよく行った見晴らしのいい丘に三姉妹を案内した。そして、そこからの眺めは鎌倉に似ているのだと知る。三姉妹から、(父の世話をしてくれて)“ありがとう”と言われたすずは、葬儀でも見せなかった涙をみせた。

駅のホームで電車に乗り込む三人を見送るすずに、幸は、鎌倉で四人で暮らさないかと提案する。驚いて戸惑うすずだったが、笑顔の三人をみて「行きます」と言うのだった。

【あらすじ②】四人姉妹の生活がはじまる

海街diary あらすじ出典:映画『海街diary』公式Twitter

すずの荷物が届き、鎌倉で四人での生活がはじまる。すずは鎌倉の中学校に転入し、地元のサッカークラブ・オクトパスにも入団して仲間ができ、順調に過ごす。しかし幸は、すずが家の中で遠慮していることを気にかけていた。

そうした日々の中、次女の佳乃は、付き合っている彼(坂口健太郎)が怪しい男にお金を渡していたことが分かる。留守番電話には彼からの別れのメッセージが残されていた。
一方、長女の幸は、新設されるターミナルケア病棟への異動を打診される。そんな話を、付き合っている同じ病院で働く椎名(堤真一)に話す。実は椎名には、心の病をもつ妻がいるのだった。妻が不安定なためデートをキャンセルされても、幸は平静を装っていた。

そんな中、幸が家に帰ると、すずは梅酒を飲んで泥酔していた。そして「陽子さんなんて、大っっ嫌い。お父さんのバーカ!」と、たまっていた思いを吐露する。はじめて感情を露わにしたすずは、その後、姉妹とも自然な関係を築いていくのだった。

【あらすじ③】祖母の七回忌

海街diary あらすじ出典:映画『海街diary』公式Twitter

ある日、すずは同級生たちと一緒に山猫亭でしらすを乗せたパンを食べる。それは、亡き父との思い出の味だった。姉達には父の話をしづらいすずは、サッカー仲間であり、クラスメイトでもある風太(前田旺志郎)に父の話をする。話を聞いた風太は、淋しそうなすずを誘う。風太のこぐ二人乗りの自転車が峠をこえると、現れたのは両側から桜の枝が伸びた満開の桜のトンネル。その桜の下を自転車で降りるすずは、全身でその優しい光を浴びるのだった。

出典:【公式】フジテレビムービーTwitter

祖母の七回忌で、すずは三姉妹の母・佐々木都(大竹しのぶ)と顔を合わせることになる。ぎこちないながらも都は、すずに「仲良くね」と優しく言う。法事が終わって都や大叔母(樹木希林)と一緒に四姉妹が家に戻ると、幸と都がケンカになり、すずは、自分の母が三姉妹とその母親から父を奪ったのだと改めて痛感してしまう。

幸と二人で夕飯を作るすずは「ごめんなさい。奥さんがいる人を好きになるなんて、お母さん、良くないよね」と謝る。その言葉が深く突き刺さる幸。都が札幌へ帰る日、幸は6年ぶりに都とゆっくり話す。わだかまりが少し解け、祖母の最後の梅酒を手渡して見送るのだった。

【あらすじ④】進んでゆく道のり

海街diary あらすじ出典:【公式】フジテレビムービーTwitter

信用金庫に勤める佳乃は、地元で愛され続けている海猫食堂の二ノ宮(風吹ジュン)から弟との遺産相続の相談を受けていたが、病気のため店をたたむことを伝えられる。衝撃を受ける佳乃だったが、行動を共にしていた課長(加瀬亮)から自分たちのできること“遺言書作りの提案”を気づかされ、前を向いて進もうと努力する。

 幸は、恋人の椎名から小児がんの先端医療を学びに渡米することを聞く。そして、妻とは別れるからついてきてほしいと言われる。佳乃と千佳に打ち明けると、佳乃と口論になってしまうが、その後「この家なら大丈夫だよ」と言われるのだった。それでも幸は、亡くなる前に父やすずの近くにいればもっと何かできたのかもしれないという後悔があり、家族のいる鎌倉を離れないことを選ぶのだった。

【あらすじ⑤】父の残したもの

海街diary あらすじ出典:映画『海街diary』公式Twitter

地元の花火大会のあと、すずは風太に、誰にも言えないでいた想いを口にする。「私がいるだけで、傷ついている人がいる」。すずは、ずっとそう思っていた。風太に話を聞いてもらい、すこし心が軽くなって家に帰ると浴衣を着た姉たちが待っていた。そして、家の庭で四人そろって花火をするのだった。

すずが鎌倉にきて一年が過ぎると、すっかり鎌倉の家の生活に馴染んでいた。ある日、すずは、幸に連れられて山を登る。するとそこは山形で見た丘からの景色とそっくりだった。そして、幸から「すずはここにいていいんだよ。ずっと」と言われる。今までの不安な想いが安心に変わり涙が溢れでるのだった。

夏が過ぎるころ、二ノ宮の葬儀が行われた。悲しみに沈む四姉妹だったが、山猫亭の店主(リリー・フランキー)から二ノ宮の様子を聞き、幸せな最後を迎えたと知る。その帰途、浜辺を歩きながら、すずから父も亡くなる前に二ノ宮のように「まだ綺麗なものを綺麗って思えるのが嬉しい」と話していたことを聞く。そんな話をしながら、すずの存在を愛おしく感じる姉たちなのだった。

『海街diary』のキャストと人物紹介

香田幸(長女)/綾瀬はるか

海街diary あらすじ出典:映画『海街diary』公式Twitter

広島県出身の綾瀬はるかさんは、1985年3月24日生まれ。第25回ホリプロタレントスカウトキャラバンをきっかけに芸能界入りされました。演技に真摯に向き合う姿勢は、各方面から評価が高く、こなせる役の幅も広いので、数多くのドラマや映画に出演されています。
この『海街diary』で、第39回日本アカデミー賞で優秀主演女優賞を獲得。天然ぼけなキャラクターやコミカルな役も得意な綾瀬はるかさんですが、今回は真面目な長女役。看護師をしながら、姉妹で暮らす家を守り、家族をまとめている長女を見事に演じられています。

綾瀬さん演じる「幸」は祖母の亡くなった後も妹たちを支えるためしっかりした真面目な性格に。父や母を許せずにいるが、心の病をもつ妻と離婚できない同僚医師(堤真一)と不倫関係になり、自分が当事者になってはじめて、どうにもならない気持ちや状況があること知る。また、母の新たな一面に気づくことで、心の整理をつけていく。

香田佳乃(次女)/長澤まさみ

海街diary あらすじ出典:【公式】フジテレビムービーTwitter

最近では、出演したドラマの映画版『コンフィデンスマンJP-ロマンス編―』が2019年5月に公開されるなど、ドラマや映画、舞台で活躍する長澤まさみさん。静岡県出身の1987年6月3日生まれ。小学校6年生の時に、東宝シンデレラオーディションで見事グランプリに選ばれました。そして、その直後に『クロスファイア』で映画デビューを果たされています。

この『海街diary』で、第39回日本アカデミー賞で優秀助演女優賞を獲得誰もが知る実力派女優の長澤まさみさんが今回演じるのは、次女役。何ともぴったりな配役ですよね!自然な演技でリアリティを感じさせてくれます。

そんな長澤まさみさん演じる「佳乃」は地元の信用金庫に勤める。長女の幸とは違い、自由奔放。母親に似て、男の人がいることで安心するタイプなので、幸とよくケンカする。男運がなく人が良すぎて利用されやすく、付き合っている彼(坂口健太郎)のうそが発覚して別れた後、仕事に打ち込むようになっていく。

香田千佳(三女)/夏帆

海街diary あらすじ出典:映画『海街diary』公式Twitter

東京都出身の夏帆さんは、1991年6月30日生まれ。まったりと穏やかな雰囲気を持ちつつ、存在感のある女優さんですよね。芸能界に入るきっかけは、原宿でスカウトされてなんだとか。小学5年生でスカウトされるとは、当時から可愛かったんでしょうね。

単独初主演の映画『天然コケッコー』では、2007年度日本アカデミー賞新人俳優賞を獲得され、この『海街diary』で第39回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を獲得。着実に実力をつけているのが分かります。

夏帆さん演じる「千佳」は父親との思い出がほとんどなく父に悪いイメージがない。釣り好きで、すずから父が釣り好きだったと聞き、嬉しい表情をする。おばあちゃん子で、洋服も長女・次女とは少し違ってレトロっぽい雰囲気がある。勤務先であるスポーツ店の店長(池田貴史)と仲が良く、友達以上恋人未満?な様子。一緒に地元のサッカークラブ・オクトパスのサポーターをしている。

浅野すず(腹違いの妹)/広瀬すず

海街diary あらすじ出典:映画『海街diary』公式Twitter

静岡県出身で1998年6月19日生まれの広瀬すずさん。実のお姉さんは、同じく女優の広瀬アリスさん。羨ましくなるほどの美人姉妹ですよね。芸能界入りのきっかけは、そのお姉さんのイベントで事務所の社長にスカウトされたのだとか。その後、ファッションモデルやテレビ・CMを経て、ドラマ『幽かな彼女』(2013年)で女優としてデビュー。

この『海街diary』では、日本アカデミー賞新人俳優賞を獲得しました。様々な場で意欲的に活動を広げる広瀬すずさんが今回演じるのは、腹違いの妹。複雑な家庭環境で育ちながらも素直で真っ直ぐな浅野すずを演じ、先輩実力派女優たちの中にいても引けを取りません。

広瀬錫さん演じる「すず」は、三姉妹やその母親から父をうばった女性の娘ということを後ろめたく思っている。三姉妹と暮らす前は長女だったので、しっかりした長女らしさを持ちつつ、三姉妹と暮らしていくうちに四女らしさがでてくる。

佐々木都(三姉妹の母)/大竹しのぶ

東京都出身のベテラン女優である大竹しのぶさんは、1957年7月17日生まれ。芸能界に入るきっかけは、1973年に初期のジャニーズ事務所を代表するアイドルグループ「フォーリーブス」の北公次さんが主演をつとめるテレビドラマでの一般公募において、相手役に合格したことだそう。そして、1975年の第1回日本アカデミー賞では優秀助演女優賞を獲得されています。

劇中では、夫の浮気が原因で離婚し、その一年後には新しい男性との生活を選び、三姉妹を置いて家を出る母親を演じています。

胸にしまっておきたくなる映画『海街diary』の5つの魅力

【その①】ノスタルジーを感じる

海街diary あらすじ出典:映画『海街diary』公式Twitter

古都・鎌倉を舞台にし、実際にある日本家屋で撮影を行っています。そのせいか、四姉妹の生活にまとう空気がリアルに感じられます。そして、日本の庶民の身近にあった文化を生活シーンに取り入れていることによって、懐かしさと受け継がれているものへの愛情がじわじわ染みてくるのです。

例えば、梅酒作りをしていたおばあちゃんが亡くなった後も、姉妹は毎年庭にある梅の木から実を収穫して自家製の梅酒を作っていたり、そのおばあちゃんが作った10年物の梅酒がもう最後になってしまったりするシーンがあります。または、こたつがあったり、仏壇があったり、みんなで障子の張り替えをしたり、みんなで一緒に食べている何気ない食事風景……そんな日本的な日常生活の風景ノスタルジックな気分にさせてくれるのです。

【その②】リアリティがありつつも、理想的な関係の四姉妹

海街diary あらすじ出典:映画『海街diary』公式Twitter

四姉妹が暮らしていくシーンでは、リアルなシーンがちょこちょこ登場します。例えば、長女の幸と次女の佳乃ちょっとした喧嘩シーン。お風呂の順番であったり、佳乃が幸の服を勝手に着ていたり。または、縁側で三女・千佳が足を次女・佳乃の足に乗せて無意識に甘えていたり。佳乃がすずにペディキュアを塗ってあげたり、など。
なんでこんなにリアリティあるものを書けるのかというと、是枝監督は、脚本を書くときに何組かの三人姉妹に取材をしていたのだそうです。なるほどですよね。

そして、理想的な四人姉妹でもあります。リアリティある姉妹のやり取りだけでなく、監督自身の目線が合わさり、ある種、理想的なバランスのとれた関係を保てる大人の女性たちになっています。そしてそれは、相手を思いやれる人たちだということ。だから、感情的な泥臭いドラマにはならず、女性の美しい側面が表現されているのでしょう。それはもしかしたら、現代では誰もが失いやすい、心美しい人であろうと努力する姿勢そのものでもあるのかもしれません。

【その③】何気ない音楽がシーンの魅力を最大限に引き出している

海街diary あらすじ出典:Amazon.co.jp

是枝監督が、モーツァルトなど様々な作曲家の弦楽四重奏を聴きながら脚本を書いていった『海街diary』。この作品の音楽を担当されたのが、菅野よう子さんです。今回、この作品で日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞しているように、音楽によってシーンがさらに魅力的になっています。光と影のバランスが拮抗している映画だと感じた菅野さんは、「光が52%、影が48%」の比率で音楽を描いていったのだとか。だからこそ、人生の光や影のシーンも心に沁みる映像になっているのかもしれませんね。

 菅野ようこさんは、映画『ハチミツとクローバー』やドラマ・CM、アニメなど、多くの作品の音楽を手がけている作曲・編曲家。一般のファンだけでなく芸能人ファンも多く、今回『海街diary』の音楽担当になったのは、長澤まさみさんが「一度でいいから菅野さんの音楽が流れている映画にでてみたい」と監督に言ったことがきっかけだったのだとか。
『ハチミツとクローバー』のサウンドトラックCDが出ていますが、『海街diary』もオリジナルサウンドトラックCDが発売されています。

【その④】微笑ましいシーンやクスッと笑えるシーンが点在する

海街diary あらすじ出典:【公式】フジテレビムービーTwitter

この『海街diary』では、ふとした日常のシーンが微笑ましかったり、クスッと笑ってしまったりして、心にスッと入ってくるシーンが数多くでてきますたとえば、すずが梅酒に酔う様子をみた幸が、佳乃に「あんたそっくり」と言って二人で見つめあう無言シーン。おばちゃんの浴衣の匂いを姉妹で嗅ぐシーン。花火大会の夜、スポーツ店で勤務する店長と千佳が、釣りの練習をするシーン、などなど。

そして、物語の中では特に三女の千佳に焦点をあてた事柄は出てきませんが、こうした日常シーンのなかに千佳の気持ちが見え隠れし、四女になったすずとも近しい立場で四人姉妹のかかせない存在であることを感じさせています。

【その⑤】大きな時間の流れ

海街diary あらすじ出典:【公式】フジテレビムービーTwitter

一人の人間の人生だけでなく、両親や祖父母、血縁に限らず関わっていく人の中で受け継がれているものも描かれています。たとえば、梅酒作りを祖母から姉妹に受け継がれていることや、海猫食堂のおばちゃんのレシピをリリー・フランキー演じる山猫亭のおじさんが受け継いだことです。

また、すずが自分の存在について考えていた「ここにいてもいいのかな」というセリフは、“産まれてきてよかったのか?”という問いでもあり、人の“誕生”をイメージさせ、祖母や父や食堂のおばちゃんの“死”によって人の最後を感じさせ、その中間の“今”に四姉妹が生きていることが分かります。普段何気なく過ごしている“今”は、そこから人生の最後に向かって時が流れている、ということを改めて気づかせてくれるのです。

 そしてラストは、浜辺の打ち寄せる波際を歩いて行く四人の足あとで、過去・現在・未来を表しているように思えるシーンで終えるのです。

まとめ

海街diary あらすじ出典:【公式】フジテレビムービーTwitter

日本の美しさがたっぷりと詰まった映画『海街diary』。リアルなセリフや役者の演技力や音楽など、映像ならではの表現で繊細に描きだされた絆と時間の物語です。時には、ゆったりとした邦画を観てノスタルジックな気分に浸ってみてはいかがでしょうか?