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【ネタバレ注意】映画『TENET テネット』を登場人物と出来事単位で解説

ネジムラ89

2020年9月18日より日本でも公開がスタートした映画『TENET テネット』

時間が逆行する仕掛けが盛り込まれた本作では、公開まもなく高評価に加えて、内容がわからない・理解できないという口コミが多くSNSなどで広まり話題となりました。

逆行弾やアルゴリズム、プラトニウム214など…初めて聞くような単語も解説されないのが、映画をより難しくしています。

この記事では、映画『TENET テネット』を観て、「何が起こっているのかわからない!」と感じた人のために、あの時何が起こっていたのかを図解も踏まえて徹底解説していきます!!

この記事からわかること
  1. 『テネット』の登場人物・キャスト
  2. 【図解あり】『テネット』の解説
  3. 鑑賞前に知りたい4つのポイント
  4. 登場人物視点で追う『テネット』
  5. 出来事で追う『テネット』

『TENET テネット』について

2020年8月26日より世界で公開がスタートしたアクション映画が『TENET』。そして9月2日からアメリカで公開がスタートし、満を持して9月18日に日本でも公開がスタートしました。

『TENET』の監督を務めるのは、『インセプション』『インター・ステラー』などで知られるクリストファー・ノーラン監督。ノーラン監督と言えば、3DCGをあまり使わないこだわりを持つ監督としても知られています。

公開時期がコロナ禍ということもあり、当初の上映時期から延期を余儀なくされた『TENET』でしたが、公開間も無く大ヒット。世界興行収入は10月を目前にした時点で300億円に迫る勢いとなっています!コロナ禍という逆境の中ではありながら、多くの人々を映画館へ呼び戻す役割を担いました。

『TENET テネット』の鑑賞前に知っておきたい4つのこと

『TENET テネット』をご鑑賞する前に知っておくと、映画がより一層深く理解できるポイントを4つ紹介していきます。

①ノーラン映画の特徴

クリストファー・ノーラン監督の映画といえばこれまでにも多くの作品を監督してきました。これまでの監督作品をおさらいしていきましょう。

クリストファー・ノーラン監督作品一覧

  • フォロウィング(1998)
  • メメント(2000)
  • インソムニア(2002)
  • バットマンビギンズ(2005)
  • プレステージ(2006)
  • ダークナイト(2008)
  • インセプション(2010)
  • ダークナイトライジング(2012)
  • インターステラー(2014)
  • ダンケルク(2017)

『メメント』がスマッシュヒットを果たしたノーラン監督は、徐々にスケールの大きな作品を任されることになり、バットマンの新たな3部作シリーズの第2作目『ダークナイト』は記録的なヒット作品となりました。その後、『インセプション』『インターステラー』といったSF超大作を手がけるようになり、すっかりノーランブランドを確立していくことになります。

ノーラン監督作品の特徴として、時系列を入れ替えたり、宇宙空間の時差を物語に取り入れたりと時間や空間を超越したギミックを盛り込んだ作品が多いですそれらをファンタジーとして登場させるわけでなく、理詰めで現実的な物語に盛り込んでいきます。

また、超現実的なテーマを用いながらも撮影のためにトウモロコシ畑を栽培したり、舞台セットごと回転させたりと、出来るだけCGを使わず、実写を主軸にした撮影をすることでも有名です。

『TENET』でも衝撃のオスロ空港の貨物機を衝突させるシーンは、実際の飛行機をぶつけて撮影しているというのだから驚きです…!

②TENETの時間の順行と逆行の仕掛け

テネット 解説

© 2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

『TENET』で用意された時間や空間を超越したギミックは、時間の逆行です。本来は一方通行で前にしか進んでいかないはずの時間が、特定の物質だけ逆行したり、特定の人物だけ巻き戻したような動きを見せたりといった仕掛けが用意されています。

この時間の逆行の仕掛けについては、映画の序盤でバーバラによって解説されます。

この逆行は“エントロピー”が減少することで発生するとされます。このエントロピーとは、熱力学の世界における方向性の数値のことで、本来この数値が拡大していくことで、こぼれた水はコップに戻ることはないし、人間をかならず歳をとっていくことになります。

本来減少することはないはずのエントロピーが、この映画では減少したことで時間の逆行が成立しています。

作中ではどうやってこの現象が生まれていくのかが、物語を追っていくことで判明します。順行する時間の流れを逆行するキーとなるのが、回転ドアです。回転ドアを通ることで、エントロピーの減少が実現し、時間が逆行するのです。

ちなみに作中では、順行を赤・逆行を青でそれとなく表現しているので、色をヒントにすると読み取りやすいです。

③逆行世界のルール

逆行する世界には下記のように、いくつかルールが設けられています。

  1. 回転ドアが時間の順行と逆行の起点になる
  2. 逆行している人間は順行世界の空気を吸えない
  3. 生身で過去の自分に触れてはいけない
  4. 一度起こったことは必ず起こる

まず前述のように、かならず回転ドアが順行と逆行の起点になります。登場人物はかならず回転ドアに入ることで時間の向きを変え、逆行した状態で道具を使うことで、銃口に弾丸が戻って行ったり、車が逆走をして迫ってきたりします。この回転ドアは、オスロとタリンのなど複数個存在することが確認できます。

2つ目は、逆行している状態にいる人間は、順行の人間にはない制限が設けられること。順行の世界の空気は吸えず、活動するには逆行した空気を呼吸器を通して、摂取する必要があります。

3つ目は、生身で過去の自分には触れてはいけないとされます。作中でこの現象は描かれていませんが、バーバラから対消滅するからと口頭で注意を受けています。オスロ空港で主人公が逆行する自分と組み合うシーンは、直接触れ合うことがあれば、消滅する危険のあったシーンだと言えます。

最後に、一番大事なことは、“一度起こったことはかならず起こる”ということ。

登場人物は逆行することはできても、過去での失敗をなかったことにすることはできませんん。このルールを主人公は知っていき、最終作戦へと挑んでいくことになります。

④映画の鍵となるSATOR式とは?

『TENET』では作中に登場するキーワードとして、SATOR式と呼ばれる回文(頭から読んでも逆から読んでも同じ文)からの出典が多く見られます。

その回文というのが

SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS

意味は、“農夫のアレポは馬鋤(す)きを曳(ひ)いて働く”という文。上から読んでも下から読んでも同じ文字列/意味になっています。

映画のタイトルや組織名となっている“TENET”は英語で“信条”という意味ですが、おそらくその意味だけでなく、単語自体も回分の一節にも登場する存在として象徴的に引用されているのでしょう。

実はこの回文に登場する単語は、そのほかにも作中に登場しています。贋作を作る画家の名前がアレポ(AREPO)であったり、オスロ空港のフリーポートを管理する会社の名前はロータス(ROTAS)です。耕作人という意味を持つSATORという言葉も、宿敵・セイターを指していることも見逃せません!

登場する細部に至るまで、秘密が盛り込まれているのです。

【ネタバレなし】『TENET テネット』のあらすじ

ウクライナの首都キエフ。ここのオペラハウスでは、多くの観客で賑わう中、突如テロ事件が発生する。罪もない人々が虐殺されようとする中、CIAの特殊部隊は館内に突入する。

主人公(ジョン・デイビッド・ワシントン)も特殊部隊の一人として参加していたが、任務の途中にテロ組織によって捕らえられてしまう。

死を覚悟し薬を口にした主人公だったが気づくと、謎の組織によって救出されていた。

フェイ(マーティン・ドノヴァン)と名乗るその男は、主人公に未来からの脅威に立ち向かい、世界を救うという任務を与えるのだった。時間を逆行する力の存在を教えられた、主人公は、その正体を探るべくインドのムンバイへやってくる。協力者として現れたニールと共に、主人公は武器商人プリヤの居る高層ビルに侵入するのだったーー。

『TENET テネット』のキャラクター紹介

『TENET テネット 』に登場するキャラクターを紹介していきます。

下記の記事ではより詳しくキャストを紹介していますので、ぜひご覧になってください。

テネット 解説 映画『TENET テネット』の実力者揃いなキャストと撮影裏話を紹介!

主人公 / ジョン・デイビッド・ワシントン

テネット 解説 主人公

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『TENET』の主人公には名前がありません。パンフレットなどでは“名もなき男”として紹介されるのみで、作中では一切名前が明かされることはありませんでした。

オペラハウスの襲撃事件で、捕らえられてしまったことをきっかけに、TENETの任務を与えられ、人類を救うべく各地を飛び回ります。自身もテネットの全容はわかっておらず、事件を追っていくうえで、TENETの秘密を知ることになります。

この名前のない主人公を演じた役者は、ジョン・デイビッド・ワシントン。映画『ブラック・クランズマン』で映画単独初主演を果たし、ゴールデングローブ賞で主演男優賞にノミネートされるといった評価を得ています。

ニール / ロバート・パティンソン

テネット 解説 ニール

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主人公が、TENETの任務を進めていくうえで出会うことになる部下であり、任務のパートナーを務めるのがニール。

インドのムンバイで出会って以降、ノルウェー、エストニア、北シベリアと困難な任務に、主人公と一緒に果敢に挑んでくれます。困難な主人公の要望にも答えたり、主人公の窮地を救ったりと、任務を経て、主人公とも信頼の厚い間柄となっていきます。

実は彼には主人公には明かしていない秘密を持っており、映画の結末でついに主人公にその秘密を明かしてくれます。

ニールを演じたのは俳優のロバート・パティンソン。『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のセドリック・ディゴリー役や『トワイライト』シリーズのエドワード・カレン役などを代表作に持ちます。2021年に公開が予定されている『ザ・バットマン』でバットマン役にも選ばれていることでもまさに旬な俳優の一人です。

セイター / ケネス・ブラナー

テネット 解説 セイター

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『TENET』におけるヴィラン(悪役)として登場するのがセイター

10代の頃に瓦礫の中からプルトニウムを探す仕事をしていた頃に、未来人からのタイムカプセルを発見し、アルゴリズムを起動させて、自らの命を絶ってまで時間の流れを変えてしまおうと画策する危険人物です。

キャットは妻であり、贋作の絵画を落札させたことを脅しに、強引に自分から離れさせようとしない独占欲の強い人物でもあります。自身は身体能力は高くないものの、多くの手下を従えている上に、逆行の仕組みを理解しているため、回転ドアを駆使して、主人公たちを追い詰めます。

セイターを演じるのは俳優であり、自身も映画監督でもあるケネス・ブラナー『オリエント急行殺人事件』では監督を務めながら、エルキュール・ポアロ役として主役も務めました。

キャット / エリザベス・デビッキ

テネット 解説 キャット

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『TENET』におけるヒロインとなるキャラクターがキャットです。

絵画の鑑定士であり、一人息子を持つ母でもあります。夫はセイターであり、過去にトマス・アレポの贋作をセイターに引き渡したことをきっかけに、別れたくても別れることができない状況に陥ってしまいます。

主人公によって、セイターと離縁できるよう行動してもらうのですが、思わぬ形で主人公とセイターの戦いへと巻き込まれていきます。

とっさに感情的な行動に出てしまうことも多く、突然セイターへ歯向かってしまったり、主人公たちの作戦通りに動かなかったりと、かなり追い詰められていることがわかるシーンが多々登場します。

キャットを演じるのは女優のエリザベス・デビッキ。『華麗なるギャツビー』でハリウッドデビューして以降、『エベレスト3D』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』など話題作に続々と出演を果たしています。

プリヤ / ディンプル・カパディア

テネット 解説 プリヤ

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インドのムンバイで主人公が遭遇するのが武器商人のプリヤです。

夫のサンジェイ・シンを表の顔として利用しながら、裏で取引を操る黒幕こそ彼女であることが明らかになります。TENETのことを知っており、ある人の命令に従い組織のために動いているのですが、映画の最後には、思わぬ形で運命に翻弄されてしまう人物という役割を担うことになります。

プリヤを演じるのはインド映画で活躍していた女優のディンプル・カパディアです

アイブス / アーロン・テイラー=ジョンソン

物語のクライマックスのスタルスク12で、主人公と共にアルゴリズムの起動を阻止する仲間として登場するのがアイブス

任務では主人公と同じ赤チームを担当。順行チームのリーダーとして、メンバーたちをまとめあげます。スタルスク12の地下では、主人公と共に鉄格子の鍵が開けられず、窮地に陥ってしまいます。物語の最後にはニールと共に、主人公と別れを告げ去っていきます。

アイブスを演じるのは、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のクイックシルバー役として出演したアーロン・テイラー=ジョンソンです

バーバラ / クレマンス・ポエジー

物語の序盤で主人公に逆行の仕組みを教えてくれる女性がバーバラ

逆行する武器の研究をしており、主人公に逆行する武器の存在やそのロジックを解説してくれます。

とはいえ、最終的には彼女は“理解する必要はない”として感じ取るように示唆します。彼女が言っていることに理解が追えなくても、そういうものだと開き直った方が、『TENET』を楽しみやすいかもしれませんね。

バーバラを演じるのは女優のクレマンス・ポエジー『ハリー・ポッター』シリーズではフラー・デラクール役として出演しました。

マヒア / ヒメーシュ・パテル

テネット 解説

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オスロ空港で、主人公の任務に協力する仲間として登場するのがマヒア

オスロ空港に貨物機を衝突させるという驚きの任務に駆り出されたり、映画の終盤ではキャットにスタルスクの状況を共有する役割を担います。主人公が前衛ならどちらかという後衛として、作戦を支える仲間として登場します。

マヒア役を務めるのは映画『イエスタデイ』の主人公ジャック・マリク役を務めたヒメーシュ・パテルです

【時系列】ストーリー全体のタイムライン

テネット 出来事の流れ

まずはじめに、映画全体のざっくりとしたタイムラインを追っていきましょう!

とはいえ、映画全体の流れは主人公の視点から見る流れと全く同じなので、これから解説する「登場人物ごとのタイムライン」から解説していきます。

登場人物ごとのタイムライン

登場人物たちは順行・逆行を入り乱れるように動いていきます。それぞれ整理をしていくことでわかりやすくなるので、改めて登場人物の動きを追っていきましょう。

主人公の動き

映画を理解する上で一番わかりやすいのが、観客と共に映画で追っていく事になる主人公の目線で追っていく流れです。

テネット 主人公の動き 図解

  1. 【オペラハウスの爆破テロ】
    CIAのエージェントである主人公はまず、オペラハウスでプルトニウム241を回収する任務でウクライナの首都キエフへ。部隊が爆弾を設置するのを発見し、観客を救うべく奔走します。しかし、何者かの襲撃により捕まってしまいます。拷問を受ける主人公は自殺を図ります。
  2. 【時間の逆行を知る】
    目を覚ました主人公。気づくと謎の組織(これがいわゆる“TENET”)に救出されています。ここで主人公は、時間を逆行する未来人が世界を崩壊させる“第三次世界大戦”を企んでいること、時間を逆行する武器があることを知り、それを阻止する任務を負います。
  3. 【ムンバイでプリヤと密会】
    主人公は、逆行する武器の薬莢の成分から、製造元と思われるインドのムンバイへやってきます。ここで協力者であるニールと出会います。2人で協力し、武器商人のプリヤから未来人のエージェントとされるセイターの存在を教えてもらいます。
  4. 【ロンドンでキャットの情報入手】
    情報通のクロズビーと会うため、主人公とニールの2人はロンドンへ移動。セイターに接近するためにクロズビーからセイターの妻のキャットへ接近するために贋作の絵画を預かります。
  5. 【キャットと接近】
    主人公は、美術品による詐欺でセイターから脅されているキャットに会うため、彼女の職場に行きます。その後に行ったレストランで、主人公がオスロ空港にある贋作の絵を盗み出すことを引き換えに、セイターとの仲介をするという約束を交わします。
  6. 【貨物機衝突事故】
    贋作の絵画のあるノルウェーへと移動。オスロ空港にてニールと協力し、貨物機を保管庫へ衝突させて贋作の絵を確保しようとするも、謎の回転ドアを発見。そこから出てきた謎の2人組と格闘の末、取り逃します。
  7. 【セイターと対面】
    セイターに会うべくイタリアへ移動。贋作は破棄して手に入らなかったものの、セイターと対面することができた主人公は、ヨットへ招かれる。そこで偶然セイターの命を救った主人公は、オペラ劇場での1件の目的だったプルトニウム241の強奪を持ちかけます。
  8. 【タリンでカーチェイス】
    プルトニウム241強奪の為にエストニアへ移動。首都タリンにて、警察の手に渡ったプロニウム241が輸送されているところを狙い、プルトニウム241の強奪に成功します。しかし、ここで問題発生。中身が何かのパーツであることが発覚し、さらに逆走車が現れるのです。セイターがキャットを人質に、プルトニウム241を要求してきます。とっさに外箱のみをセイターに渡し、中身を偶然差し掛かった車に投げ入れます。一時はキャットの救出に成功したものの、セイターたちの手下によって主人公は捕らえられてしまいます。
  9. 【キャット負傷】
    回転ドアの前。捕らえられた主人公はキャットを人質に取られ、嘘の中身の在りかをセイターに教えます。ここでキャットは撃たれて致命傷を負います。キャットを救うべく、主人公とニール、そしてキャットは回転ドアに入ります。
  10. 【カーチェイスで事故】
    回転ドアに入り、逆行開始。過去のセイターを追うも、先ほど見かけた事故車が自分が乗っている車だと気づきます。全てを把握していたセイターに箱の中身を奪われ、車に火をつけられてしまいます。
  11. 【順行の自分たちと対決】
    気がつくとニールに救出されていた主人公は、オスロ空港で見つけた回転ドアで順行に戻るためにノルウェーに移動します。ここで過去の自分たちと対面。謎の2人組たちであったことを知ります。
  12. 【箱の中身が奪われる】
    一旦順行の時間軸へ。箱の中身を奪われてしまったため、順行世界を滅ぼすことができるようになったセイター。アルゴリズムが起動する場所がスタルスク12であり、その時のセイターがベトナム湾にいるとわかった主人公は最後の作戦に挑むため、スタルスク12で爆発があった10分前に逆行します。
  13. 【スタルスク12】
    スタルスク12の爆発10分前に到着し、順行へ。北シベリア・スタルスク12にて、アイブスと2人で地下にあるアルゴリズムの確保に挑みます。しかし、あと一歩のところで鍵のかかった扉に阻まれてしまいます。アルゴリズムが起動される直前、扉の反対側で倒れていた死体が動き出し、扉を開けて去っていきました。死体は逆行した兵士だと分かり、無事アルゴリズムを奪還した主人公とアイブスはニールによって爆発寸前に脱出に成功します。
  14. 【真実を知る】
    全ての任務を終えた主人公。そこで、ニールが先ほどの死体の正体だったこと、TENETのボスが未来の主人公であることを知り、ニールと別れを告げます。
  15. 【自分からの指令に反し、プリヤを殺す】
    アルゴリズムの存在を知るキャットをプリヤが殺そうとしているのですが、主人公が登場。未来の自分が与えたという指令に反して、プリヤを殺して映画は終わります。

ニールの動き

主人公に反して、より時間軸が複雑になっていくのがニールです。映画のラストでわかるように彼は未来人として、主人公を支える存在として登場します。

  1. 【未来から逆行】
    未来の主人公から任務を任され、未来から過去へ逆行してきます。
  2. 【オペラハウスのテロ】
    ウクライナにあるオペラハウスの襲撃事件で、主人公を逆行する銃を使って救います
  3. 【主人公とプリヤに接触】
    主人公と合流するべくインドのムンバイへ。主人公と再会し、プリヤとの接触に協力します。
  4. 【オスロ空港で逆行の自分たちと対面】
    主人公との作戦に協力すべく、ノルウェーのオスロ空港へ。贋作の絵画の強奪作戦に主人公と挑みますが、ここで逆行する謎の2人組に遭遇。正体が未来の主人公だと気づいたニールは、殺そうとする現在の主人公の行動を止めます。
  5. 【プルトニウム241の強奪】
    プルトニウム241の強奪作戦のためイタリアへ移動。主人公と協力して強奪作戦を実行しますが、途中でセイターに横取りされてしまいます。
  6. 【フリーポートで逆行開始】
    セイターに捕まった主人公と合流。キャットを救うべく、回転ドアで主人公と逆行します。
  7. 【順行の自分たちと対面】
    負傷した主人公を拾い、順行の時間軸に戻るべく、再びノルウェーのオスロ空港へ移動。無事、主人公と順行の時間軸に戻ります。
  8. 【スタルスク12】
    スタルスク12の爆発の10分前に到着。主人公と一緒にアルゴリズムの起動の阻止に挑みます。ニールは逆行する青チームとして参加しますが、ボルコフが爆弾を仕掛けていることを知り、回転ドアへ入ることに。
  9. 【スタルスク12】
    順行になったニール。主人公に爆弾を知らせるべく、クラクションを鳴らし止めようとするものの失敗。敵と勘違いされて青チームから撃たれながらもトラックからロープを垂らすことで、なんとか爆発から主人公とアイブスの救出に成功します。任務の完了を喜ぶに主人公に、未来の主人公から指令を受けていたことを明かし別れを告げます。
  10. 【自分を犠牲に、再び逆行】
    回転ドアで再び逆行(本編中には描かれず)。別の道から地下道に侵入。鉄の扉を閉めて(主人公視点からだと鍵を開ける)主人公を救い、ボルコフに撃たれて死んでしまいます。

セイターの動き

作中で描かれている場面が限られているため、行動が追いにくいセイター。改めて彼の行動を整理していきます。

  1. イタリアにて主人公と対面したセイターは、主人公にプルトニウム241(実際はアルゴリズムのパーツ)の強奪を持ちかけられます。
  2. 主人公からアルゴリズムのパーツを横取りするべくタリンへ移動。セイターはキャットに銃口を向けられますが、難なくキャットを蹴りつけます。捕らえられた主人公がやってくるので、アルゴリズムの中身のありかを聞き出しました。
  3. 回転ドアへ入り逆行するセイター。キャットを射撃します(主人公が目撃する撃ち抜かれるキャットのシーン)。ここで主人公から嘘の情報を聞き出すことに。(ただし実はこの時点で嘘の情報であることは未来からの情報で知っています。)順行状態のため無傷のキャットを乗せ、主人公が銃撃戦を繰り広げる地点にまで行き、アルゴリズムの容器が空であることを確認します。そしてハイウェイで、キャットの乗車する車に乗り換え主人公たちと並走し、主人公たちの車に空である容器を返します。
  4. 逆行してくる主人公の車を爆破。アルゴリズムの最後のパーツを奪い、車に火をつけ、そのまま過去へ逆行していきます。
  5. スタルスク12の爆破前まで戻ってきたセイターはここで回転ドアに入り、順行へ。部下たちにアルゴリズムの起動を任せ、自分はベトナム湾で残る時間を過ごすことにします。
  6. ベトナム湾。キャットと最後の時間を過ごそうとします。ただしそこに居たのは、未来から逆行してきたキャットでした。キャットに撃ち殺されて、死体は見つからないように運ばれていきます。

キャットの動き

最後にキャットの体験するタイムラインを追ってみましょう。カーチェイスシーンの動きが紛らわしいので、翻弄されてしまう人も多いかもしれません。

  1. 主人公と遭遇する前。ベトナム湾で、セイターの船から飛び降りる自由奔放な女性の姿に憧れを抱きます。ここは映画では回想として描かれます。
  2. 主人公と出会ったキャットは、贋作による詐欺で脅されていることを明らかにします。
  3. イタリアのアマルフィで主人公に再会するキャット。しかし、贋作が処分することを主人公が失敗したことを知り、ついにはセイターを殺そうと船から突き落としますが、この時点では主人公によりセイターは救出されます。
  4. セイターと同行してタリンへやってきます。セイターに銃を突き付けるものの、返り討ちに。この後、逆行するセイターに車に乗せられ、脅しの道具に利用された後に、車に置き去りにされます。その後、主人公に救われるも、再び主人公たち共々捕らえられ、セイターに撃たれて瀕死の状態になります。
  5. 主人公たちによって回転ドアに入れられ逆行。ここで治療を受けます。
  6. 主人公たちのおかげでオスロ空港の回転ドアから順行に戻ることに成功します。
  7. 主人公たちにセイターが余命わずかであることを伝え、セイターのアルゴリズムの起動阻止の作戦に協力することにします。
  8. スタルスク12の爆破前まで逆行。セイターが最後に幸せを感じたであろうベトナム湾へやってきて、セイターが自殺しないように時間稼ぎをします。早まってセイターを殺してしまいますが、なんとか主人公たちの奮闘により、セイターの思惑の阻止に成功します。ここで船から飛び降りるのを過去の自分に目撃されます(1.の出来事)。
  9. 無事息子との平穏を取り戻したキャット。道中で怪しい車を見つけたキャットは、主人公に電話連絡をし、暗殺されるのを回避します。

【出来事単位】複雑な出来事を詳しく解説

それでは次に、作中で特に複雑に感じる出来事を解説していきます。

オスロ空港のシーン

ノルウェーのオスロ空港のシーンにスポットをあてて、事件を整理していきましょう。

ここでは大きく分けて2つの出来事が繰り広げられます

1つ目は主人公たちによる、キャットの脅しの道具として使われている贋作の絵画を強奪する作戦です。主人公は、貨物機を保管庫に衝突させることで混乱を招き、その隙に絵画の贋作を盗み出そうとします。

しかし、二人はここで意外な発見をします。それが回転ドアの発見です。この時点では発覚しませんが、後々この回転ドアこそが、人々を逆行させるためのトリガーであることを知るわけです。

2つ目の出来事は、カーチェイスを経て逆行してきた主人公たちが順行に戻るべく、オスロ空港で見かけた回転ドアへ戻る作戦です。ここで主人公は回転ドアに入る際に、過去の主人公とニールに遭遇します。ここに来てやっと遭遇した謎の男たちが、逆行から順行へ移行する自分であったことに気づきました。

タリンのカーチェイスシーン

テネット 解説

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エストニアのタリンのハイウェイで行われたカーチェイスシーン。ここは作中でも特に複雑になっている場面とも言えますね。

このハイウェイでは、最初こそ主人公がプルトニウム241を強奪するための作戦だったのですが、最終的にはそれはアルゴリズムのパーツであったことが分かり、ハイウェイを舞台に主人公とセイターがアルゴリズムのパーツを奪い合う物語になっています

セイターは、主人公を利用して厳重に輸送されるパーツを奪い取ろうとしており、主人公が4台の大型車を使い、パーツを盗み出したところで、逆行したセイターがキャットを人質に、パーツを受け取ります。

ただ、ここで主人公は機転を効かせて外箱だけをセイターに渡すのですが、今度は順行するセイターがやってきて、主人公の持つパーツを奪い取り、横転している主人公の車に火を付けます。

ここで逆行状態にある主人公は、車から漏れ出たガソリンに火をつけられます。車は爆発するのですが、主人公は逆行状態です。逆行の世界では、高温のものは、一気に温度が下がってしまいます。たちまち車内は冷却され、主人公は凍傷状態となってしまいました。

スタルスク12のシーン

映画の大詰めとなるスタルスク12のシーン。

セイターの兵士たちはアルゴリズムを起動させようとしており、主人公率いる軍は、それを阻止しようと考えます主人公率いる軍は赤の順行チームと青の逆行チームで、時間の前後で追い詰める“挟撃作戦”。

順行と逆行の兵士が入り乱れて難解なシーンとなっていますが、その双方の軍が存在しているのがわかるのが、10分間のちょうど中間を示す、ビルの倒壊シーン。ここでは順行側からも逆行側からも攻撃を受け、突如再生したかと思えば、すぐに倒壊してしまう不思議なビルが登場します。これは、順行と逆行から攻撃を受けてしまったことで、わずか数秒しか建っていなかったビルが存在することを示すシーンです。

あのビルはいつ造られたのか?と不思議に思う人も居るかもしれませんが、逆行が成立する以上、『TENET』の世界では最初は瓦礫の状態で、突如再生し、再び崩壊するあり得ない建造物が存在し得るのです。

TENETの気になる専門用語を解説!

映画『TENET テネット 』には、序盤から多くの専門用語が登場します。正直なところ、深く理解していなくても話についていくことはできますが…事前に知っておくと、より映画が面白くなりますよ!

アルゴリズムとは?

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作中で登場する謎の単語・アルゴリズム。これこそがセイターが世界を崩壊させるために集めていた装置で発生させようとしていた出来事です。

10代のセイターは故郷のスタルスク12で、プルトニウムを探す危険な仕事をしている最中に、未来人からのタイムカプセルを発見。中に入っていた金塊と未来人の指示により、各地に散らばるアルゴリズムのパーツを収集します。

このアルゴリズムを起動してしまうと、逆行だった時間が順行になってしまい、順行する世界の存在は瞬時に消滅してしまうのだから恐ろしい話。主人公はそれを阻止するべく、アルゴリズムを起動させないよう戦います。

未来人とは?

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そもそも未来人とは何者なのでしょうか。未来人はセイターにタイムカプセルを経由して、アルゴリズムを完成させて時間の流れを逆行させる方向へと導こうとさせる人たちです

未来人はいわゆる“祖父殺しのパラドックス”を信じておらず、過去に人類存亡の道があると考えたのかもしれません。

ちなみに作中では明確に未来人は登場しません。いや、逆行した主人公やセイターという存在はある意味未来人と言っても差し支えはありません。果たして、この未来人という存在は何者だったのか。そこも『TENET』の観客に想像させる余地として、残されている部分です。

祖父殺しのパラドックスとは?

ではそもそも“祖父殺しのパラドックス”とはなんなのか。これは“親殺しのパラドックス”とも呼ばれるSF用語なようなもの。

もしタイムトラベルができるとして、自分の祖父や親などの祖先を殺してしまった場合、それ以降に生まれるはずだった自分は存在し得るのか?という矛盾を生む話題です。

『TENET』はまさにそんな話で、タイムトラベルをして過去へ干渉しようとする物語でした。本来過去には干渉できないはずが、干渉を可能にしてしまう“アルゴリズム”というアイテムを阻止する物語だったわけです。

しかし、もしかすると主人公がアルゴリズムの起動を阻止するということまでが、運命として決まっていた可能性もあります。

だからこそ、映画の最後に、主人公が自ら下した命令に背こうとすることから、運命に抗おうとしているわけで、これから起こる未来を観客に想起させる、粋な結末となっていました。

まとめ 

作中で描かれていること、描かれていないこと。それぞれを整理していくことで『TENET』という物語は、どんどん想像を掻き立てられる仕組みの映画となっています

まだいまいち理解が追えないという人もぜひもう一度映画を観てみるのも良いでしょう。一度順行して『TENET』を観たあなたは、運命を知る未来人として『TENET』の世界をなぞることができるわけです。

2周、3周して、映画館で描かれていないその後の主人公の運命や、ニールの行動の真意などを想像していくとより面白さが増していくでしょう!

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ネジムラ89
ネジムラ89

缶バッジ販売専門店「カンバーバッチ」のオーナー兼アニメ映画ライター。アニメ映画情報マガジン「読むと アニメ映画 知識が結構増えるラブレター」をnoteにて配信中。その他いろんなとこでアニメ映画話を執筆中。古今東西関係なくアニメ映画を中心とした有益な情報を多くの人に提供できるようにやっていきます。