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【ネタバレ】映画『X エックス』の前日譚『Pearl パール』!凶暴なシリアルキラーの悲しき過去が胸を打つ!

たかなし亜妖

観客の度肝を抜いた恐ろしき殺人夫婦が登場するホラー映画『X エックス』。高い完成度と骨のあるストーリーが話題を呼び、前日譚である『Pearl パール』がようやく公開されました!

今回の主役は前作にて大活躍(?)した凶暴な老婆パール。『X エックス』ではただただ怖くて気味が悪い存在でしたが、彼女は悲しき過去を抱えていたのです。

純真無垢な夢見る少女がなぜシリアルキラーになったのか?ネタバレを含みながら解説をしていきますよ。

『Pearl パール』はシリーズ第一弾の『X エックス』を観ずとも理解はできますが、なるべく鑑賞済みであることを強く推奨します!

その理由もあらすじと共に紹介していきますので、ぜひ最後までご覧くださいね。

映画『Pearl パール』について


出典:映画『Pearl パール』公式Twitter

赤を基調とした世界観が素敵!……と思いきや、よく見ると手元が血まみれ。

衝撃のビジュアルポスターが目を惹く『Pearl パール』は、2022年に公開されたホラー映画『X エックス』の続編です。

A24初となる3部作シリーズの第二弾であり、第一作目で強烈なインパクトを残した老婆パールが主人公。彼女の過去にフォーカスしながら物語が進みます。

製作国のアメリカでは2022年9月に公開し、全米2935館で上映開始。公開初週で約4億5000万ほどの興行収入を得て好調なスタートを切りました。

約1年近く遅れてようやく日本公開へ漕ぎつけた『Pearl パール』。国内でも高い人気を誇り、完結編である『MaXXXine』にも注目が集まっていますよ!

監督は前作に引き続きタイ・ウェストが担当。ホラー好きの間ではよく知られている『V/H/S シンドローム』や『ABC・オブ・デス 』を手掛け、本シリーズででさらに知名度を上げました。

三部作もどのような展開になるのか、今から楽しみですね。

10秒で分かる!映画『Pearl パール』の簡単なあらすじ

ハピネットファントム公式YouTubeチャンネル

時は1918年。パール(ミア・ゴス)は戦争に行った夫ハワード(アリステア・シーウェル)の帰りを待ちながら実家の農場を手伝い、父親の介護をする日々です。

けれども両親との暮らしは楽ではありません。決して裕福ではなく、植物人間に近しい状態の父親。そして娘へ厳しい態度を取る母親。

パールはいつか人前に出てスターになることを夢見ていましたが、現実は程遠く息苦しい日々が続くばかり。時折街へ出て映画を楽しんでは夢を捨てきれないままでいたのです。

ある日薬を買いにやってきたパールは、映画館で映写技師と出会います。

彼との出会いにより夢を諦めない気持ちが再び起き起こるものの、同時に彼女の秘めていた狂気までもが開花してしまい……。

映画『Pearl パール』のネタバレあらすじ

以下はネタバレを含みますので未鑑賞の方はご注意ください。

【あらすじ①】スターになりたい少女の現実


映画『Pearl パール』公式サイト

1918年、テキサスの田舎で暮らすパール(ミア・ゴス)。

歌って踊るスターになる夢を捨てきれず、時折母親のドレスを盗んでは自身が脚光を浴びる想像をしていた。けれども彼女を現実に引き戻す母親は、農場の手伝いに専念するよう厳しく接する。

農業を営んでいながらも実家は裕福でなく、ドイツ系の一家は立場が弱い状況。スペイン風邪も流行しており、要介護となった父親を看病しながら女性2人で生計を立てていかねばならない。

それでも夢を追い続けたいパールは家畜たちを「観客」と言い、彼らに自らのショーを見せつけては楽しそうに踊るのだった。

ただパールは母親に「現実を見ろ」と言われること、農場での暮らしなどから強いストレスを感じている。

おまけに夫のハワード(アリステア・シーウェル)は戦争に行ったまま、まだ帰る目途さえ立っていない。

彼女の中の狂気はゆっくりと育ち、最初の矛先は動物。オンステージの“観客”として顔を出したガチョウに苛立ち、一刺し。死体は川に住むワニへ食べさせてしまう。

【あらすじ②】膨らむ夢


出典:映画『Pearl パール』公式Twitter

父の薬を買うために街へ出たパールは、母親に内緒で映画館へ寄り道。映像の中で楽しそうに踊るダンサーに目を奪われ、ますます自身の夢は膨らむばかり。

帰りに映画館の前でパンフレットを立ち読みしていると、映写技師(デヴィッド・コレンスウェット)に声を掛けられた。パールへ彼へスターを夢見ていることを伝えると、技師は彼女を肯定した。

家のことがあって農場を出られないものの、技師は「自由に生きたらいい」と一言。

いつでも裏口のドアをノックしてくれれば好きな映画を観させてくれるとのことで、パールへフィルムの一部をプレゼントする。

心が躍ったパールは帰り道、自転車を飛ばしながら帰路へつく。途中でフィルムをなくしてしまうが、探している最中カカシが映写技師に見えて混乱状態に。

すっかり“スイッチ”が入った彼女はカカシ相手に演技を始め、スター気分に酔いしれていく……。

それでも農場での生活が終わることはない。

薬代のお釣りを映画代に遣ったとはいえず、帰りにキャンディを買ったとウソをつくパール。すると母親は娘から夕食を取り上げ、この食事を翌日の朝に回せと言う。

スペイン風邪をひどく気にし、現実的な母親との生活にパールは限界寸前。

そんな中、義母と義妹が農場へ来訪し、義妹ミッチー(エマ・ジェンキンス=プーロ)より、後日教会でオーディションがあることを聞く。

ミッチーも親に内緒で参加するそうでパールも気分上々。2人だけの秘密を交わし、興奮しきった彼女は夜中家を抜け出して街へと向かった。

【あらすじ③】狂気の目覚め


映画『Pearl パール』公式サイト

向かった先は例の映写技師の部屋。技師は「いいものを見せてあげる」と言い、ポルノ映画をみせつける。

驚く彼女に対し、まるで出演を促すかのような口ぶり。パールは何とも言えない気持ちを抱えるが、技師が話すヨーロッパ進出に強い興味を示す。

けれどもスターになるアテもなければ、母親は娘の行動に目を光らせる一方。

夢を捨てきれないパールへ対し厳しく咎める母。玄関寸前だったパールはオーディションを受ける旨を伝え、2人は大げんかになってしまう。

母親は「私より上だと思うな」と激高し、娘は「私の方が上よ!」と吠える。パールが母を暖炉の方へ追いやるとワンピースの裾に引火してしまい、母は深いやけどを負うのだった。

体は動かないけれど意識がある父親は2人の揉み合いを見て怯えるばかり。パールは立てなくなった母親を地下室へ投げ入れた。

そもそも、父親は数日前パールに川へ突き落される寸前までいっているのだ……。彼はただ、娘の狂気的行動を黙って見ていることしかできない。

【あらすじ④】スターになるの


出典:映画『Pearl パール』公式Twitter

翌日、技師と体の関係を持ったパールは母親をそのままにした状態で彼を招き入れる。……が、地下室から変な音がし、食卓が汚れていることに妙な違和感を覚える技師。

パールは「地下室にいるのは犬」と説明したものの、数分後には「犬なんていない」と返事がころころと変わりゆく。

そんな彼女が怖いと感じた技師は用事を思い出したから帰ると言い出すが、態度が豹変したパールは苛立ちを抑えきれない。逃げるようにして車に乗り込む彼を刺し、ワニの餌として川へ放り投げてしまった。

パールの狂気は止まらず、オーディションへ参加する前に父を絞め殺し、豪華なドレスに身を纏って協会へ。

教会前でミッチーと落ち合い、パールの荷物の多さに驚く義妹。気持が急いているのか、もう巡業の身支度をしてあると言う。

「合格するのは私」と絶対的な自信を持ち、待機列で順番を待った。

【あらすじ⑤】シリアル・キラーの誕生


映画『Pearl パール』公式サイト

遂に自分の番がやってきたパールは全力で自身の世界観を表現するが、求めている人材ではないと秒で落選。

今欲しいのは手元にない存在、「アメリカ系のブロンド美女を探している」と言われてしまった。

オーディション不合格により協会の外で大泣きするパールを見つけたミッチーは、彼女を心配して家まで送った。

パールを励まそうとするも、彼女自身は様々なことを口にするばかり。ハワードにさえ言えない想いがあると言う。ミッチーは自分をハワードに見立てて「本音を話してみて」とパールへ打診。

すると、訥々と語り始めた。

  • 良い家に生まれた彼に好かれたことが嬉しかった
  • 彼なら私をこの農場から連れ出してくれると思えた
  • それなのに彼は農場暮らしを望んだ、それが許せなかった
  • あなたの意見を受け入れたのに、あなたは戦争へ行ってしまった

段々と内容に重みが増していくパールの独白に戸惑いを隠せないミッチー。

そして数々の殺害を行ったこと、他の男性に目移りしたことまでを激白し、身の危険を感じたミッチーは早々に家を出ようとする。

「誰にも言わない?」「ええ、言わないわ」

このやりとりを終えた後、パールは合格おめでとうと義妹を祝う。

実際には彼女も落選したのだが……“アメリカ系のブロンド美女”が頭から離れないパールは、ミッチーが受かったと錯覚しているのだ。

ミッチーは受かったテイにし、今すぐ家から脱出しようとするが豹変したパールに殺されてしまう。

母親と父親の死体と食卓に座らせ、ウジ虫が湧いた豚の丸焼き机に並べるパール。

おかしな光景が繰り広げられるなか、ちょうどハワードが戦争から帰宅。恐ろしき笑みを浮かべるパールは作った表情で最愛の旦那を迎え入れるのだった。

映画『Pearl パール』の登場人物・キャスト

本作は夢を追う無垢な女性パールを中心に様々なキャラクターにより物語が展開されます。

今回は作品に欠かせない主人公と『X エックス』にも登場した夫のハワード、そしてパールの家族を紹介しますよ!

パール/ミア・ゴス

キュートで純真無垢なパール。厳格な母親との生活に加え恵まれない環境で毎日を送る彼女、若いうちからたくさんの苦労があったのでしょう。

がんじがらめの日々により、パールの心は歪んでいきます。

もし母親が寛容で苦しい環境下に置かれていなければ、彼女はシリアル・キラーに生まれ変わらずに済んだのかもしれない。そう思うと胸が痛くなりますね。

狂気をはらんだ人物ですが、生まれながらの殺人鬼ではない。この要素がパールをより一層魅力的に見せるのでしょう。

パールを担当するのは前作『X エックス』にてマキシーンと老いたパールの二役を熱演したミア・ゴス。

抜群の演技力はもう圧巻、観る者全てを巻き込む圧倒的存在感がゾクゾクしてたまりません!

ハワード/アリステア・シーウェル

本作では登場シーンが少ないハワード。『X エックス』では気味の悪いおじいさんといった印象ですが、実はパールを愛していた好青年だったのです。

戦争から帰り、驚愕の光景に言葉を失った彼。穏やかな農場暮らしに憧れたハワードの夢は呆気なく崩れ去りました……。

若かりし頃のハワードを演じるのはアリステア・シーウェル。

主に海外で活躍する俳優さんで、日本公開の作品にはあまり出演していないご様子。現在はオーストラリア製作のドラマ『Bad Behaviour』に出演しています。

ルース/タンディ・ライト

見ているこっちが苦しくなるほどパールにつらく当たる母親のルース。元々の性格が厳しいのか?と思いきや、彼女もまた今の生活にウンザリしていたのだとか……。

感情が爆発し、娘と大モメするシーンの気迫はそんじょそこらのホラー映画より怖いかも。耐え切れなくなったパールに逆襲されたと言わんばかりの、悲惨な最期を迎えるのでした。

ルースを演じるのはタンディ・ライト。テレビドラマを中心に出演される女優さんで『Nothing Trivial』や『Creamerie』など幅広いジャンルの作品で活躍中です。

パールの父親/マシュー・サンダーランド

本作最大の被害者、パールのお父さんは体が不自由で、娘の凶行をただただ見ていることしかできません。

食卓での母VS娘のバトルは今にも逃げ出したい思い出いっぱいだったことでしょう。何の罪もないお父さんは、豹変したパールの手により命を落としてしまうのでした。

パールの父を演じるのはマシュー・サンダーランド。『サ・ストレンジャー』や『The Devil’s Rock』、『ロスト・シティZ』など多方面で活躍するベテラン俳優さんです。

映画『Pearl パール』の怖すぎポイント5選


出典:映画『Pearl パール』公式Twitter

映画『Pearl パール』は『X エックス』に比べるとホラー要素は薄く、どちらかというとスリラー、サスペンスに近い怖さです。

それでも前作に負けない恐怖度でおくる102分間にゾワッとすること間違いなし。一体どんなところが恐ろしいのかをピックアップして見ていきましょう!

段階を踏んだ狂気の変化にゾクリとくる

序盤から動物をためらいもなく殺し、アヤしい片鱗はあったもののまだ人の心を忘れてはいませんでした。

パールは生まれながらのシリアル・キラーではなく、母親の締め付けと叶わぬ夢への失望、抗いきれない環境などから変化を遂げてしまった悲しき人物です。

殺人が普通になり、虚言を吐くようになり、段々現実と妄想の区別がつかなくなっていく……。

段階を踏んで無垢な少女からかけ離れていく、じっくりと歩を進める彼女の様にはゾクリときます。

お母さん、怖い!に何も言えなくなる“支配”

パールも怖いのですがルースも同じくらい怖いです(笑)厳格の度が過ぎており、何を言っても論破してくる頑なな姿勢。

厳しい家庭で育てられた人は親による“支配”に心当たりがあり、胸が締め付けられたのではないでしょうか。

結局のところもルースも今の生活に耐えられず、状況を変えられぬことに嫌気が差していたのです。

食卓での感情爆発シーンは自分までもが怒られているような錯覚に陥るので、筆者もその場から逃げ出したい気分になってしまいました。

優しさの裏にある下心、人間のいやらしさが露呈する

まるでパールの味方かのような映写技師ですがポルノ映画をみせた時点で下心が満載。

パールに作品へ出演してほしいかのような口ぶりで、今後のポルノの可能性を語っていましたね。

彼自身駆け込んできた彼女を心配していないわけではないのでしょうが、儲ける方に意識が傾いていたため、心からの親切心ではないでしょう。

優しさの裏にある下心、人間の黒い部分が露呈したところに恐怖を感じてしまいます。

殺人、死体、豚……気分を害す描写の数々

R15指定作品なので覚悟はしていましたが、殺人に死体、ウジ虫が沸いた豚など想像以上に“しっかり見せてくる”ので、とにかく気分を害します(笑)

ミイラ化した両親と食卓を囲むシーンはまさに狂気そのもの。それがあたかも日常のように自然と映し出すところには、恐怖を通り越して感動さえ覚えるかも。

独白、笑顔、脳裏からこびりついて離れないラストシーン

ラストはパールの独り語りが炸裂。ほぼ構図が変わらないのに、訥々と語る彼女の話につい引き込まれてしまうんですよね。

でも機関銃のように喋るパールは怖いです。止めなければ一生言葉を放っていそうな禍々しさに溢れている、そんなシーンと言えましょう。

さらにそのあと死体と食卓囲み→ハワードの帰宅からの!彼女の「作っているけど作り切れていない笑顔」が数分間も映し出されます。これがトラウマ級の表情!

ハワードが憎いような、嬉しいような。この状況を見られてどうしようか……。様々な感情が入り混じったあの顔、ミア・ゴスの演技力をしっかりと感じるラストシーンです。

『X エックス』と『Pearl パール』でのパールの印象が大きく異なる件


出典:映画『Pearl パール』公式Twitter

『X エックス』では奇妙で気持ち悪いおばあさんと思われているパールですが、『Pearl パール』を観始めるとその印象がひっくり返ります。

様々な出来事があってあの姿になったため、見方が変わることは確実ですね。まさかあんな夢見る少女だとは誰もが想像していなかったですから……。

『Pearl パール』鑑賞後に『X エックス』を再度観直すといくつか繋がるシーンやセリフがあるので、繰り返しの鑑賞を強く推奨します!

彼女が言う「ブロンドは嫌いなの」発言が、さらにさらに重く感じることでしょう。

映画三部作遂に完結!続編『MaXXXine』はいつ公開される?

出典:映画『Pearl パール』公式Twitter

三部作の完結編のタイトルは『MaXXXine』。『X エックス』にて行方が分からなくなったマキシーンの実態が今明かされます。

時は進み、舞台は1980年ロサンザルス。ビジュアル・ポスターではブロンドヘアに派手な衣装を纏ったマキシーンがおり、第一作目とかなり印象が変わっていますよ。

  1. 『X エックス』は『悪魔のいけにえ』など70年代ホラーのオマージュ
  2. 『Pearl パール』はスリラー>ホラーのレトロな世界観

同じシリーズでもテイストが毎回異なるので、最終章はどうなるのか?まだ詳細は明かされていませんが、今から日本上陸がとても楽しみですね。

まとめ

儚く散った夢の中で狂気を帯びる少女を描いた『Pearl パール』。

ただ怖いだけではなく現実の厳しさ、やるせなさと強いメッセージ性を含む完成度の高い作品です。

物語が終わってすぐ席を立つのではなく、エンドロールまでしっかりと観て『Pearl パール』の世界を味わってみて。

心地の良い音楽とレトロなポップさ、そして血にまみれたサイコな恐怖がアンバランスでとにかく最高です!

ぜひ『X エックス』も併せて楽しみ、三部作の最終章『MaXXXine』の公開を待ちましょうね!

この記事を書いた人
たかなし亜妖
たかなし亜妖

フリーライター&シナリオライターの映画好きサブカル女子。ライター歴は一年半くらいでまだまだひよっこ。 「感動よりも恐怖を、お涙よりもスリルを!」を基準に映画を選ぶ人。ホラー、スリラーサスペンス、鬱になりそうな作品が特に好き。でもハッピーな気分になれる海外ドラマも好き。キャラクターものもアニメも好き。要するにかなりの雑食です。