映画『ペット・セメタリー』のネタバレあらすじ|死んだ方がマシ?邪悪な呪いの結末は……?
ホラー界の重鎮スティーブン・キング自身が脚本を書き下ろしたホラー映画『ペット・セメタリー』。強すぎる家族愛故に、邪悪だと知りながらすがってしまう人間の愚かさ・愛情深さに焦点が当てられた作品です。
いけないと理解しながらも失ったものを取り戻したい、と願い行動に移してしまう主人公の行動をとても愚かだなと思う一方で、どこかで理解してしまうようなリアルさがいつか必ず訪れる「死との向き合い方」を考えさせてくれます。
本作品はスティーブン・キング自身の体験から着想を得たそうで、当時出版社には「怖すぎる」と発表を止められていたのだとか。
ここでは、そんな映画『ペット・セメタリー』のネタバレあらすじ・キャスト・見どころなどを徹底解説。記事後半では、2019年に公開されたリメイク版との違いも細かく比較していきます!
※一部重大なネタバレが含まれているため、映画をまっさらな状態で楽しみたい方は閲覧に注意してください。
目次
映画『ペット・セメタリー』について
出典:IMDb
本作『ペット・セメタリー』は1989年に公開されたアメリカ映画。物語の元となったのはスティーブン・キングが1983年に発表した同名小説。映画化の際もスティーブン・キング自身が脚本を手がけました。
おどろおどろしいペット霊園が出てきたり、グロテスクな亡霊が出てきたり……と全体的な雰囲気はホラー色強めですが、「家族愛故にダブーを犯してしまう」という家族愛や人間の愚かさに焦点を当てた作品です。
発想の元になったのはスティーブン・キング自身の実体験から。そういった背景から、原稿はもっと早くに仕上がっていたものの出版社に「怖すぎる」という理由で待ったをかけられていたという制作秘話も存在しています。
そんな本作は1992年に続編の『ペットセメタリー2』が制作されたほか、2019年にもリメイク作品が公開されました。
ちなみに原題となった『Pet Sematary』はペット霊園という意味。
霊園の正しいスペルは「Cemetery」ですが、映画内の墓場の入口に掲げられている子どもの字で書かれた看板「Pet Sematary」をそのままタイトルに使用しています。
10秒で分かる!映画『ペット・セメタリー』の簡単なあらすじ
妻子と飼い猫を連れてメイン州の田舎町に越してきたルイス(デニーズ・クロスビー)は、勤務初日に運ばれてきた青年パスコー(ブラッド・グリーンクィスト)の処置にあたる。頭が砕けていたため蘇生の見込みはなかったが、ルイスは最後まで出来るだけの処置を行い最後を看取ることに。
その夜、真夜中に目を覚ましたルイスはパスコーの亡霊に出会う。
彼はルイスの自宅近くにある森の中のペットの墓場(ペット・セメタリー)を案内し、この木の壁の先に行ってはいけないと忠告する。
それから数日後、娘の愛猫チャーチが死んだと知ったルイスは隣人ジャド(フレッド・グウィン)に言われるまま壁の先に猫の遺体を埋めてしまう。すると翌朝、チャーチが生き返り……。
映画『ペット・セメタリー』のネタバレあらすじ
【あらすじ①】ペットたちの霊園
出典:IMDb
医者のルイス(デイル・ミッドキフ)は妻のレイチェル(デニーズ・クロスビー)、幼い娘エリー(ブレーズ・バーダール)、末っ子ゲイジ(ミコ・ヒューズ)と灰色の大きな猫チャーチを連れてメイン州の田舎町へと引っ越しをする。
新しい家はとても大きく、広い庭つき。レイチェルも子どもたちも大喜びするが、向かいの道路には昼夜問わずオリンコ社の大型トラックが猛スピードで走っていた。引っ越し直後に道路に出てしまったゲイジは危うく轢かれそうになったところを、道路を挟んだ先に住む老人・ジャド(フレッド・グウィン)に間一髪で助けられて命拾いする。
エリンは森に続く小道の先が気になるようで、一家はジャドに案内してもらうことに。そこには死んだペットを弔う墓(ペット・セメタリー)があり、子どもの字で書かれた墓標が大量に刺さっていた。
新しい病院での勤務初日、ルイスのもとに事故で大量出血したパスコー(ブラッド・グリーンクィスト)という少年が運ばれてくる。少年は既に息がない状態で蘇生の見込みはなかったものの、出来るだけの手を尽くそうとしたルイス。
救急車を手配し待っていると、突然パスコーが息を吹き返し「男の心ってのは岩のように固いものだ、またあんたの前に現れる」と言い残して死んでしまった。
【あらすじ②】幽霊の忠告
出典:IMDb
夜。寝ているルイスの元にパスコーが現れ、助けようとしてくれたお礼だと例の墓場を案内される。不気味な夢から目を覚ましたがるルイスに、パスコーは墓場のもっと奥を指さして「絶対に行くな」と念を押す。
翌朝目を覚ましたルイスは布団に寝ていたことに安堵するが、足にはべったりと泥がついていた。
感謝祭でレイチェルが子どもたちを連れて実家に帰省している間、家に残っていたルイスはジャドからチャーチが轢かれたようだと知らされる。エリーにどう伝えるか悩むルイスを見たジャドは「いい場所がある」と墓場の奥地へと誘導。
行き着いた先でチャーチを埋めるよう指示し、言われた通りにしたルイスは翌朝、生き返ったチャーチを見つけるのだった。
混乱するルイスに、ジャドは過去に愛犬のスポットをあの場に埋めて生き返らせたことがあると話し、同情心から教えたのだと続ける。
【あらすじ③】ゲイジの死
出典:IMDb
生き返ったチャーチは以前と打って変わって狂暴になっていた。
シカゴの実家から戻ってきたエリーは、チャーチから腐ったような匂いがすると怪訝な顔を浮かべる。
その後、一家の家政婦が自殺し、あるトラウマを思い出したレイチェルはルイスに胸の内を打ち明ける。
当時8歳だったレイチェルには脊椎の病気を患った姉がいたが、両親が不在の間に痙攣をおこして死んでしまったという。そのときレイチェルは笑いながら周囲に死んだことを触れ回っていたらしいのだ。
あるとき、ジャドを招待して凧あげをしていたルイスたちはゲイジから目を離してしまう。その一瞬の隙に道路に出たゲイジはオリンコ社のトラックに跳ねられて死んでしまった。
悲しみにくれる家族の姿を見たルイスは、レイチェルとエリーが実家に戻っている隙をみてジャドの制止も聞かずゲイジの遺体を墓場に埋めてしまう。
【あらすじ④】甦りと崩壊
出典:IMDb
夜のうちに密かに生き返ったゲイジが真っ先に向かったのは、ジャドの家だった。ルイスの仕事道具の中からメスを拝借したゲイジは彼を切り裂き、最後は噛みついて殺してしまう。
嫌な予感を察知してヒッチハイクで自宅に戻ったレイチェルもまた2番目の犠牲者となり、翌朝ゲイジから電話を受けとったルイスは2人の死と、自分のしでかしたことに気づくのだった。
ケジメをつけるため注射針片手にジャドの家に向かったルイスは、メスを武器にするゲイジともみ合いの末、首筋に注射針を刺すことに成功する。ゲイジが死ぬのを見届けたルイスはジャドの家に火を放ち、死んだばかりのレイチェルなら上手くいくはずだと再び埋めに行ってしまった。
深夜0時。家に戻ってきたレイチェルにキスをするルイス。それに応えたレイチェルは死角から彼を刺し殺すのだったーー。
映画『ペット・セメタリー』のキャスト
ルイス・クリード/デイル・ミッドキフ
出典:IMDb
本作の主人公。医者として働いており、美しい妻・可愛い娘と息子を連れてメイン州の田舎町に越してきました。
とても優しく家族想いな性格ですが、それが仇となって惨劇を引き起こすはめに。
頭が砕けた状態で運ばれてきたパスコーにも最後まで最善を尽くそうとし、気に入られます。
ルイス役を演じたのは、アメリカ俳優のデイル・ミッドキフ。
1985年公開の『Streetwalkin’』にて映画デビューを果たし、本作品への出演で有名になりました。スリラー系ジャンルへの出演が多いです。
レイチェル・クリード/デニーズ・クロスビー
出典:IMDb
ルイスの妻。新生活を楽しんでいましたが、次々と不幸に見舞われていくことに……。
8歳の頃に経験した姉の死がトラウマになっており、「死」にまつわる話をすることに敏感です。
レイチェル役を演じたのは、アメリカ・カリフォルニア州ハリウッド出身のデニーズ・クロスビー。
1979年公開の『10』で映画デビューを果たしました。『新スタートレック』に出演したことで有名です。
エリー・クリード/ブレーズ・バーダール
出典:IMDb
ルイスとレイチェルの娘。猫のチャーチをとても可愛がっています。霊感があるのか、パスコーを通じて夢の中で危険を察知するようになりますが、なかなか信じてもらえず……。
エリー役を演じたのはアメリカ・ニューヨーク州出身のブレーズ・バーダール。
1992年~1995年にかけて放送されていたテレビドラマ『ゴーストライター』に出演したことで知られています。最近は声優・ラジオアナウンサーとして活動しているようです。
ゲイジ・クリード/ミコ・ヒューズ
出典:IMDb
エリーの弟。まだよちよち歩きの幼子で、ルイスたちが少し目を離した隙に脇道に出てトラックに轢かれてしまいます。
悲しみにくれたルイスによって墓場に埋められ、復活しますが……。
ゲイジ役を演じたのはアメリカ合衆国・カリフォルニア州アップルバレー出身の俳優ミコ・ヒューズ。映画デビュー作でもある本作への出演当時は3歳でした。
ジャド/フレッド・グウィン
出典:IMDb
脇道を挟んだ家にひとりで住むお向かいさん。ルイスに墓場の存在を教えた張本人です。
基本的にはいい人なのですが、ちょっといらんことしいな一面も。過去に愛犬を甦らせた経験があり、何が起こるかもよく分かっていたはずですが恐怖を時が風化させてしまったのか、懲りなかったようですね……。
ジャド役を演じたのはアメリカ・ニューヨーク州出身の俳優。
『マンスターズ』『危険な情事』などの出演で知られています。1993年に膵癌で亡くなりました。
パスコー/ブラッド・グリーンクィスト
出典:『Brad Greenquist』公式Facebook
事故にあい、ルイスの病院に運びこまれた青年。ほどなくして死んでしまいますが、最後まで処置をしてくれたルイスに感謝し亡霊となって危険を知らせます。
あの手この手で危険から守ろうとするも、ことごとく無視するルイスを最後まで助けようとしたところを見ると、かなり情に厚い性格のようです。
パスコー役を演じたのはブラッド・グリーンクィスト。
2001年公開映画『Ali』や2011年公開映画『Koibito Tachi no Parade』などへの出演で知られています。
映画『ペット・セメタリー』の見どころ
原作者スティーブン・キングがカメオ出演!
出典:IMDb
本作の元となったのはスティーブン・キングが1983年に発表した同名長編小説。スティーブン・キングといえば『シャイニング』『IT イット “それ”が見えたら終わり』など数多くのホラー小説を手がけてきたことで有名です。
さらに自身の作品にたびたびカメオ出演することでも知られており、本作もご本人がカメオ出演しています。気になる出演箇所は、41分45秒~で登場するミッシーの葬儀を執り行った際の牧師役。15秒ほどの役ですが、わりとセリフもあり、しっかりと映っていますよ。
実話からインスパイアされたからこその身に迫る恐怖
完全な創作話かと思いきや、実は過去の実体験からインスパイアされたという本作。
過去に仕事の都合でオーリントンという小さな田舎に移り住んだスティーブン・キングは、まさに映画内に出てくるような立地の家に住んでいたそう。
子どもたちの作ったペット・セメタリーやそこに続く小道、脇道なども実在しており、実際に娘の猫が死んだときはそこに埋めたことがあるのだとか。
この経験から「もし埋めたはずの死体が生き返ったらどうなるだろうか」と考えるようになり、この物語が生まれました。
小説が発表されたのは1983年ですが、実は原稿自体はかなり前から仕上がっていました。しかし実話から生まれたこその妙なリアルさが「怖すぎる」という理由で発表を止められており、当時契約していた出版社との関係を終わらせるタイミングで出版に踏みきったそうですよ。
映画『ペット・セメタリー』リメイク版との違い
本作にはリメイク作品があり、2019年に同名タイトルにて公開されています。
ここでは大まかな違いについて解説します。
キャストが変更
30年以上前の映画なので当たり前といえば当たり前ですが、キャストが変更されています。リメイク版での主人公・ルイス役を演じたのは『ゼロ・ダーク・サーティ』
『華麗なるギャツビー』などに出演しているジェイソン・クラーク。妻・キャロル役をエイミー・サイメッツ、娘・エリー役をジュテ・ローレンス、ゲイジ役を ヒューゴ・ラヴォイエ、ルーカス・ラヴォイエが演じました。
家族構成や各キャラクターの設定、大まかなストーリーラインは本作とほぼ同じなので、内容がわかっている分さくっと観れるのではないでしょうか。
墓場がより神秘的な扱いになった
本作ではあくまでも先住民の土地という紹介で、さらっと流された印象ですがリメイク版では邪悪な精霊ヴェンディゴなどの存在も語られ、より神秘的な雰囲気になりました。
ルイスが死体を埋めてしまった理由も、どちらかというとヴェンディゴに唆されて……という要素が強かったですね。自業自得感をやや薄め、霊的に仕上げられていました。
最初に死んだのはエリー
本作では脇道に飛びだしたゲイジがトラックに轢かれて死んでしまいましたが、リメイク版では脇道のど真ん中を歩くチャーチにエリーとゲイジが駆け寄ります。ゲイジは間一髪で駆けつけたルイスに救われたものの、死角に立っていたエリーは横転したトラックに跳ね飛ばされてしまいました。
死因はどちらも同じですが、死に方は本作よりも精神的な残酷さが増した印象です。
本作の間に合わなくて目の前で、というだけでも十分ツラいですが、助けたと思ったのに実はもう一人いたことに気付けなかった……というシュチュエーションは考えただけで気が狂いそうです。
結末が大きく変更された
本作ではエリーの予言らしきものに嫌な予感を覚えたレイチェルが単独で家に帰り、生き返ったゲイジに襲われて死亡。翌朝その事実に気付いたルイスがチャーチとゲイジを始末しに向かい、なんとか決着をつけるも今度はレイチェルを生き返らせてしまい殺されるという終わり方でした。
リメイク版では、ゲイジがバスコーの名前を唱え続けることに嫌な予感を覚えたレイチェルがゲイジを連れて帰宅。
そこでルイスがエリーを生き返らせたことを知り、抱き着く娘に拒絶反応を見せてしまいます。ルイスはレイチェルを説得しようとしますが、拒否したことに怒ったエリーは家を出たフリでルイスを外に誘き出し、その隙にレイチェルを襲います。
その際レイチェルは自分が姉に憑依したかのような悪夢を見せられたりと、リメイク版は悪霊としての側面が強く描かれていました。
一方ルイスはエリーがジャドの家に行ったと思い、家の中の惨劇を見て自分がしでかしたことに気づきます。慌てて帰ったルイスは窓から脱出しようとするレイチェルにゲイジを託され、受けとって車の中へ。
その間にレイチェルも続こうとしますが後ろから刺され、いたぶられることに……。
駆けつけたルイスは後ろから椅子で殴られ、気絶してしまいます。その隙にエリーはレイチェルを埋めに行き、最後は生き返ったレイチェルと共にルイスを殺害。最後は生き返ったルイスも一緒になって3人でゲイジが乗っている車にガソリンを手に迫る……という結末でした。
本作と比較すると、リメイク版は生き返らせたあとの展開がやや長めに描かれているのが特徴ですね。
ルイスも自分の間違いに気付いたようですが、悪霊の前では成す術もなく……という感じでしたね。だからこそ長く尺を取ったわりにちょっと呆気なく感じてしまったのが残念です。
まとめ
映画『ペット・セメタリー』のあらすじネタバレを紹介しました。
愛しているからこそ生き返らせたい、でも愛しているからこそ侵してはいけない禁忌がある……。
そんな難しい「死との向き合い方」を題材に、丁寧に描いた作品です。
スティーブン・キングらしい、ひたひたと迫るような恐怖描写が炸裂していてホラーとしての完成度も高いので、ホラー・スリラー系が好きな方はぜひ視聴してみてくださいね。