『風立ちぬ』名言集 | 希望を捨てなかった人たちの言葉

映画『風立ちぬ』は、2013年に公開されたスタジオジブリの長編アニメ映画です。戦車・飛行機等、総合模型情報誌「モデルグラフィックス」に連載されていた『風立ちぬ』の原作をアニメ化した作品で、実在した飛行機設計技師の堀越二郎をモデルに作られています。

飛行機に憧れていた少年・堀越二郎が飛行機設計技師となり、大震災の中出会った薄幸の少女・里見菜穂子と出会い、強い意志を貫いてふたり生きていく愛の物語です。時代は大正から昭和に移ってやがて戦争が始まり、二郎と菜穂子だけでなく全ての人たちが運命に試されながら生きていた頃の物語となっています。


出典:映画『風立ちぬ』公式Twitter

あらすじ

出典:映画『風立ちぬ』予告編

幼い頃から飛行機に憧れていた堀越二郎は、夢の中に現れた尊敬する飛行機設計技術者のカプローニ伯爵に激励されて、同じように飛行機設計技術者を志す。勉学に励んで東京帝国大学に入学し、飛行機の設計を学ぶのであった。ある日二郎は、実家から東京へ向かう列車の中で里美菜穂子という少女と出会って少しだけ話をするが、車中で関東大震災に見舞われる。

その後ふたりは別れてしまうが、数年を経て軽井沢の避暑地で再会する。二郎は菜穂子にプロポーズするが、菜穂子は結核を患っており、治ったら結婚しようと約束するのだった。菜穂子は結核を治すために人里離れた療養所に入院するが、ふたりは一緒に暮らそうと決意を固める。

『風立ちぬ』の心に残る名言・名セリフ

映画『風立ちぬ』の名言や名セリフを語る人物は、二郎や菜穂子のふたりだけではありません。会社の同僚、二郎が尊敬するカプローニ伯爵なども、それぞれの立場や思いで二郎や映画を観ている人たちに語りかけてきます。夫婦の愛、憧れへの努力、そしてこの映画の最大のテーマである「生きる」とは何なのかを語る名言・名セリフをまとめましたので、ご紹介します。

【名言①】「飛行機は戦争の道具でも、商売の手立てでもない、飛行機は美しい夢だ」

風立ちぬの名言
出典:映画『風立ちぬ』公式Facebook

夢の中で、カプローニ伯爵がまだ幼い二郎に言ったセリフです。二郎は飛行機に憧れていたものの、自分が近眼であることを気にしていたので、伯爵に近眼でも飛行機設計技術者になれるかと聞きます。すると、「もちろんなれる、パイロットは他に大勢いるし、君は美しい飛行機を設計すればよいのだ」と答えてくれ、二郎は安堵します。そして「飛行機は美しい夢だ」と言ってくれます。近眼で悩んでいた二郎でしたが、伯爵の言葉に励まされて技術者の道へと進みます。尊敬している人の言葉がどれだけ偉大で勇気づける力を持っているのか、分かるシーンです。

【名言②】「風が立つ」「生きようと試みなければならない」

風立ちぬの名言
出典:映画『風立ちぬ』公式Facebook

東京へ向かう列車のデッキで二郎の帽子が飛ばされてしまったのを、菜穂子がすばやくつかまえてくれます。二郎に帽子を渡しながら菜穂子はフランス語で「Le vent se lève(風が立った)」と言い、そのすぐ後に二郎が「lève, il faut tenter de vivre(生きようと試みなければならない)」と続けます。これらは当時日本でも人気があったフランスの詩人・ヴァレリーの詩の一節ですが、ふたつの言葉は、あうんの呼吸で滑らかに繋がります。まるで二郎と菜穂子の出会いが運命づけられていたかのような、ふたりセリフです。

【名言③】「生きているって素敵ですね」

風立ちぬの名言
出典:金曜ロードSHOW!公式Twitter

軽井沢の避暑地で偶然再会したふたりは、突然の天気雨に見舞われます。1本の傘にふたりで入り、土砂降りの中を進んでいくと雨が途中で止み、その不思議な現象にふたりは感動します。そして晴れた青空を見上げて菜穂子がサラっと言います。この時菜穂子は結核を患っていて、毎日自分の命について考えていたこともあり、素直に感じたことや思ったことを何の抵抗もなく言えたのでしょう。少女の様に微笑む彼女がとても美しく見えるシーンです。

【名言④】「それでも俺は与えられたチャンスは無駄にしない」

風立ちぬの名言

出典:金曜ロードSHOW!公式Twitter

二郎の同僚・本庄のセリフです。二郎は会社からの帰り道、ひもじそうな子供にお菓子をあげようとしますが、子供は彼の手を振り切って逃げてしまいます。そのことを本庄に話すと、本庄は自分たちが今作っている飛行機の費用は、日本中の貧しい子供たちに給食費とお菓子を与えられるくらいの金額だと答えます。そして自分はそうだと知っていても飛行機を作ることは止めずに、与えられたチャンスを無駄にしないと言い出すのでした。日本の子供たちの現状を知りつつも、飛行機作りへの熱い思いが垣間見えるセリフです。

【名言⑤】「日本の飛行機をひとりでしょっているような顔してらぁ」

風立ちぬの名言

出典:金曜ロードSHOW!公式Twitter

ドイツの戦闘機を視察に来た本庄が、ホテルのベッドで眠りこけてしまう二郎にかけたセリフです。普段の本庄は斜に構えていてあまり笑顔を見せないクールな人物で、いつもどこか少し神経質なところがあります。でも同僚である二郎の大らかさや、ちょっと間の抜けた行動に、本庄は精神的に助けられていました。滅多に冗談も言わない本庄ですが、二郎の寝顔で心癒されて思わず口をついたセリフです。

【名言⑥】「僕はあなたを愛しています。帽子を受け止めてくれたときから」

風立ちぬの名言

出典:金曜ロードSHOW!公式Twitter

関東大震災で別れたふたりは、軽井沢の避暑地で偶然再会し、夕食を共にします。その時に二郎が菜穂子にレストランの階段でプロポーズするセリフです。その言葉を聞いて菜穂子は喜びますが、自分が結核にかかっていることを告げます。それでも二郎は、「あなたを愛しています」と菜穂子への熱い思いを静かに、そしてまっすぐに伝えるのでした。普段から物静かで女性に対して奥手に見える二郎ですが、ヤルときはヤル! そんな菜穂子への愛が溢れているのがわかる瞬間のセリフです。こんなにまっすぐ見つめられて、プロポーズを受けない女性はいませんよね。

【名言⑦】「仕事をしている二郎さんを見るのが一番好き」

風立ちぬの名言

出典:金曜ロードSHOW!公式Twitter

上司・黒川の家に間借りして一緒に暮らし始めたふたりでしたが、菜穂子の病状は思わしくなく、布団の中から菜穂子が二郎に言ったセリフです。二郎は飛行機の設計が上手くいかず、家に持ち帰って仕事をしますが、隣には菜穂子が寝ていました。菜穂子は設計図に真剣に向かう二郎の横顔を見ながらこのセリフを言うのでした。好きな男性の真剣な横顔がカッコよく見えるのは、「恋する女性あるある」ですよね。菜穂子のこのセリフに激しく共感した女性は多いのではないでしょうか。

【名言⑧】「美しいところだけ、好きな人に見てもらいたかったのね」

風立ちぬの名言

出典:金曜ロードSHOW!公式Twitter

菜穂子の結核はどんどん悪くなる一方でした。顔色も悪くなっていきますが、二郎に心配かけまいと重い体を起こして、化粧して頬紅をさし、女としての涙ぐましい努力をしていました。しかし菜穂子はこれ以上衰えていく姿を二郎に見せるのは耐えられずに家を出、元いた山の療養所に帰っていくのでした。二郎の妹が会いに来た時菜穂子は既におらず、追いかけようとする妹をその場にいた黒川夫人が止めて言うセリフです。いつまでも好きな人の前で綺麗でいたいと思う女心を、痛いほど感じさせるシーンでした。

【名言⑨】「行きて帰りし者なし、飛行機は美しくも呪われた夢だ」

風立ちぬの名言

出典:金曜ロードSHOW!公式Twitter

初めて二郎がカプローニ伯爵と出会った大草原で、無数の戦闘機が空に吸い込まれていくのを見ながら伯爵が言ったセリフです。二郎は飛行機に憧れて飛行機設計技術者になったのに、自分の作った飛行機に乗った若者はひとりも帰って来なかったと嘆きます。するとカプローニ伯爵は、飛行機は美しいけれども戦争に使ってしまえば呪われたものに過ぎないという意味のことを、二郎に言います。戦争の悲惨さや、戦争が終わったあともずっと人々の心に残り続ける虚無感がわかるシーンです。

【名言⑩】「あなた生きて、生きて」

風立ちぬの名言

出典:金曜ロードSHOW!公式Twitter

カプローニ伯爵と二郎が大空に舞い上がる無数の飛行機を見上げた後に菜穂子が現れて、二郎に呼びかけるセリフです。愛する妻が結核で亡くなったうえに、自分の設計した飛行機も結局は戦争で戻らなかった。そんな状況にどうしようもなく虚しさと悲しさを感じ、生きている意味を失った二郎でしたが、彼女の言葉で「生きる」という意味を取り戻します。愛する人を失う辛さは誰でも耐えがたいものがあります。でも何があろうと生きていかなければならない、と思わせてくれるシーンです。そして、この映画最大の見せ場と言ってもいいでしょう。

まとめ

映画『風立ちぬ』に登場する人物たちの名言をご紹介しました。大震災と戦争という激動の中を生き抜いてきた二郎と菜穂子の夫婦愛が分かる作品でしたね。そして人間は何があっても生きていかねばならないという、強いメッセージも含まれている作品なので、登場人物たちの言葉には力強さが感じられます。現代も生きづらい世の中ではありますが、辛い時に『風立ちぬ』を観れば、きっと勇気をもらえることでしょう。