映画『来る』結末ネタバレ | 見えない「あれ」の正体とは ?
日本ホラー小説大賞を受賞した澤村伊智氏が手がけた作品『ぼぎわんが、来る』。得体の知れない恐怖に立ち向かう霊媒師「比嘉姉妹」の活躍を、『嫌われ松子の一生』(2006年)や『告白』(2010年)『渇き』(2014年)などで数々の映画賞を獲得した中島哲也監督が独特の世界観をそのままに映画化に挑みます!
目次
映画『来る』とは
トビくまくん
ジャパニーズホラーの代名詞として今や有名な「リング・貞子(さだこ)」「呪怨・伽椰子(かやこ)」に匹敵する厄災「あれ」。原作の澤村氏が三重県に伝わる妖怪として生み出したオリジナルのおばけで、人に見える恐怖の対象よりも、それ自体が「人々に恐れられているもの」という対象としたと語ってるんだ。
過去の作品で起用した豪華俳優陣を贅沢に使い、間違いなく中島監督の代表作になるであろう戦慄のホラー作品だよ。いったい、何が「来る」のか…?ここからは、まずは全体の流れを解説し、徐々にネタバレを含みながら「あれ」を追ってみようか。
10秒で分かる映画『来る』ザックリあらすじ
ざっくりあらすじ「安定した会社で良き仲間に囲まれながら素敵な家庭を築いている」そんな順風満帆と思われた主人公の田原秀樹(妻夫木聡)が突然の怪異に襲われます。
秀樹は周りに起こる怪異を親友に相談し、オカルトライターやキャバ嬢霊媒師を紹介してもらって一緒に怪異との対峙を目指すも、怪異の怨念は想像以上に強力で、暴走する怪異「あれ」は次々と死傷者を出していきます。
事態を重く見た野崎は、日本最強の霊媒師と言われているキャバ嬢霊媒師の姉・琴子に連絡します。
琴子は多忙のあまり代役を薦めますが、信頼する代役がやられてしまったため、日本最強霊媒師の名に懸けて日本最強の霊媒師軍団を田原家に招集し、怪異「あれ」と対峙することに——。
前半では人間関係のドロドロとした陰湿さがじっくりと描かれ、後半では一気に壮大な霊能力バトルが繰り広げられます。人によっては、シュールなエンタメとして受け取る方もいらっしゃるでしょう。劇中に登場する「あれ」が一体何だったのか、その姿さえ最後まで明かされずに物語が終わる為、鑑賞後にあれこれと想像力を掻き立てられる作品でもあります。
映画『来る』を詳しくネタバレ解説
【映画『来る』あらすじ①】勤め先まで「あれ」が来る!
老舗菓子メーカーで営業マンをしている田原秀樹(妻夫木聡)は、取引先のスーパーに勤める香奈(黒木華)と出会い恋におちる。
結婚を控えたふたりは、祖父の法事の際秀樹の実家で、昔から地元で言い伝えられている「ある化け物」について聞かされる。その話を聞いた秀樹は、その夜に子供の頃に体験した出来事を夢の中で思い出すーー。幼少期に当時寝たきりだった祖父と留守番をしていると、突然何者かが玄関の扉を叩く。
「ちが……つり……」聞き覚えのない声と言葉に恐怖を覚えた幼い秀樹はその場をつくろうも、「ヒ……デキ……サン……」と自身の名前を呼ばれ、スリガラスの扉には血まみれの手が叩きつけられる。我に返って目を覚ました秀樹は、過去に行方不明になった幼なじみの少女を少し思い出すのであった。
その後結婚したふたりは新居を構え、香菜のお腹には待望の子供が宿る。
そんなある日、勤め先へある訪問者が現れ、後輩の高梨(仲野太賀)から伝言を受けた秀樹は会社の待合室に出向くが、誰もいない。伝言を預かった高梨にもどんな相手だったかはっきり覚えておらず、不思議に思っていると突然高梨は背中に激痛を覚える。大きな傷跡が現れて高梨は血を流しながら気を失い、搬送先の病院で見る見るうちに衰弱していき死んでしまう。
【映画『来る』あらすじ②】マンションの部屋に「あれ」が来る!
高梨の死から2年後。長女「知紗(ちさ)」も2歳になり、秀樹は「泣き虫パパのウルルン子育て日記」というブログを立ち上げ、すっかりイクメンになっていた。
しかし香菜は育児ノイローゼから部屋に引き籠もりがちになり、ブログを書きながら眠ってしまった秀樹は、また幼い頃の実家の夢を見る。またも得体の知れない何かが「ちが……つり……」怯える秀樹が逃げようとすると今度は「知紗……知紗……」と娘の名前を呼ばれる。秀樹が夢から覚めると、かたわらに寄り添う知沙が「連れて行くって、知紗を」と言う。
事態を重くみた秀樹は、地方の言い伝えといった怪奇現象に詳しい民俗学者で、親友の津田大吾(青木崇高)に相談する。秀樹の話した内容から、自身の知識では手に負えないと判断した津田は、裏の世界に詳しいオカルトライター野崎和浩(岡田准一)を通じて、キャバ嬢霊媒師の比嘉真琴(小松菜奈)を紹介してもらう。
現場を見てみたいと言った真琴は、怪異の中心である田原家のマンションに出向き、さっそく「あれ」と対峙する。部屋に祀られた大量のお守りは裂け、部屋中の物が飛び交うなか真琴は必死に追い払う。その場は難を逃れたが、中途半端な除霊行動が逆に「あれ」を刺激してしまい、異変を察した真琴の姉で日本最強の霊媒師である比嘉琴子(松たか子)は、真琴の後始末として多忙の自分に代わって霊媒師・逢坂セツ子(柴田理恵)を紹介する。
しかし健闘虚しく逢坂セツ子は敗れ、右腕を持っていかれてしまう。
ますます強力になっていく「あれ」に対抗すべく、琴子は秀樹に「あれ」を自宅に迎え入れさせ、その先は琴子が対抗策を電話で指示する。だが電話で話していた琴子は「あれ」がなりすましたもので、罠にかかった秀樹は迎え入れた「あれ」に殺されてしまう。
【映画『来る』あらすじ③】公衆トイレまで「あれ」が来る!
秀樹の死から1年後、香菜は以前勤めていたスーパーに復職していたが、仕事中に知沙の保育園からたびたび呼び出され、勤め先での立場や人間関係が悪化していくーー。
職場で思うようにいかないのは知沙のせいだとノイローゼになり、また知沙が死んだ秀樹パパを恋しがり、秀樹パパの方が優しかったなどと比べられたりと、香菜の知沙に対する嫌悪感が徐々に増していくようになる。
香菜は思う。知沙が思うような良いパパなんかじゃない!と……。
世間的にイクメンパパだと思われていた秀樹だが、実際は育児をまったくしておらず、子育て日記をブログにアップして周りからの評価を楽しんでいるだけだった。また香菜がアルコール依存症の母親に育てられた片親家庭という境遇も馬鹿にしており、モラハラを思わせる態度を時折とっていたのである。そんな結婚生活を耐えてきた香菜にとって、秀樹の死は悲しくなかったのだ。
ある日、田原家に真琴が様子を見にきた際に「あれ」が再び来る……。真琴は身を挺して香菜と知沙を逃がし、2人は行くあてのないまま公衆トイレの個室に逃げ込むが、そこにも「あれ」は追ってきており、香菜は惨殺され知沙は連れ去られてしまう。
【映画『来る』あらすじ④】琴子軍団との決戦に「あれ」が来る!
自らを犠牲に田原親子を逃がした真琴は一命を取り留めており、野崎に病院へ運ばれる。
悪い霊気を伴う傷を負って意識が戻らない真琴の病室に、日本最強の霊媒師・比嘉琴子が現れ、邪気を祓ってくれる。琴子は霊媒師のプライドに懸けて「あれ」と戦うことを決意し、どんな厄災にも対抗できる、あらゆる策を練る。ふだん仕事でつき合いのある警察上層部の協力で田原家のマンション周辺を完全封鎖し、地元沖縄から最強霊媒師軍団を呼び寄せる。
しかし「あれ」は集結する霊媒師たちを次々と殺していき、霊媒師仲間の半分が失われてしまう。猫の手も借りたい琴子は、野崎に「あれ」を呼び込む場所として田原家の部屋を掃除してもらい、野崎はそのまま除霊に参加する。
「まず、鳥が鳴きます……」その言葉を皮切りに、壮大なお祓いの儀式が始まるーー。
設けられた祭壇で舞う巫女、榊(さかき)を手に神式の儀式をする神主、錫杖(しゃくじょう)を手に念仏を唱える修験者(しゅげんじゃ)など、様々な祭りごとで「あれ」を迎え入れる。
「あれ」が来る!その瞬間周りは闇に覆われ、邪気に襲われた術者たちが次々と倒されていく。そして除霊中の部屋に「あれ」に操られた真琴が現れ、野崎を襲うが琴子の術で除霊され意識を取り戻す。同じく異界から現れた知紗を祭壇前で拘束することに成功し、知紗に向かって琴子がつぶやく「ほんとに恐ろしい子……」
知紗は「あれ」を引き寄せるどころか手なずけてしまい、繋がりを強めすぎてしまっていた。知紗ごと「あれ」を異界に帰すべく、八咫鏡(やたのかがみ)を知紗に使ってお祓いが始まる。しかし知紗が苦しむ様子に耐えられない野崎は、鏡を割ってお祓いの邪魔をする。その結果、抑え込みかけていた「あれ」は暴走し、琴子にさえ入り込んでしまう。
琴子は何とか耐えながら、知紗を抱える野崎と真琴を室外に逃がし、「あれ」との一騎打ちに挑む。印を結んだ琴子……。「来なさい!」その瞬間、「あれ」はマンションの窓から一気に吹き飛ばされる。
意識を取り戻した野崎は真琴と合流し、知紗を連れてこれからのことについて考えるのであった。
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映画『来る』の豪華キャスト陣
【田原秀樹】/妻夫木聡
「あれ」に狙われている「イクメンパパ・田原秀樹(たはらひでき)」役は、映画『ウォーターボーイズ』以降、数々の映画やドラマで主要な役を演じてきた妻夫木聡(つまぶきさとし)さんです。
最近では現代日本を代表する俳優のひとりに数えられ、その人気は日本だけに留まらず、中国や韓国・台湾・香港などアジア圏を中心に活躍の場を広げています。
劇中では勘違いイクメンに目覚め、外面の良い主人公のひとりを演じています。
謎の怪異「あれ」がターゲットとして狙う被害者の筆頭ですが、巻き込まれる家族を守るために奔走するも「え?主人公なのにもう?」という早いタイミングで、残念な姿に変わり果ててしまいます。
【比嘉琴子】/松たか子
真琴の姉で「日本最強の霊媒師・比嘉琴子(ひがことこ)」役は、数々の月九ドラマで主演し、史上最年少で『第47回NHK紅白歌合戦』の紅組司会に抜擢されるなど、若年層から老年層まで幅広く知られる女優、松たか子(まつたかこ)さんです。
劇中では日本最強の霊媒師で真琴の姉・比嘉琴子を演じており、クライマックスシーンでは琴子率いる霊媒師軍団と、最恐の「あれ」が規格外の戦闘シーンを繰り広げます。
まさに「最強VS最恐」の対決は目が離せません!
【比嘉真琴】/小松菜奈
「あれ」に戦いを挑む「キャバ嬢霊媒師・比嘉真琴(ひがまこと)」役は、ファッションモデルで活躍中に今作の監督である中島哲也さんに発掘され、映画『渇き』で女優デビューを果たした小松菜奈(こまつなな)さんです。
劇中では日本最強の霊媒師である姉・琴子に憧れて霊媒師を目指すものの、その分野で生きていく過酷さを味わわせたくない琴子から反対されます。
キャバ嬢をしながらも奥底に眠る霊媒師としての才能を見抜いていた野崎に今回の怪異に駆り出され、「あれ」と対峙することになります。
【田原香奈】/黒木華
育児ノイローゼ気味の「お悩み主婦・田原香奈(たはらかな)」役は、映画・ドラマ・舞台・声優など、様々な場所で活躍している女優、黒木華(くろきはる)さんです。
劇中では育児に悩みながら、亡き主人の親友・津田の策略で落ちるところまで落とされてしまいます。悪霊の仕業に見せかけてお守りをハサミで切ったり、津田と肉体関係を持ってしまったりと、寂しさから悪い方へ行動してしまう悲しい主婦です。
【野崎和浩】/岡田准一
「あれ」の謎に迫る「オカルトライター・野崎和浩(のざきかずひろ)」役は、ジャニーズ事務所でも屈指の演技派俳優、ひらパー兄さんこと岡田准一(おかだじゅんいち)さんです。
劇中では「オカルト、政治、ヤクザ、風俗」と金になれば何でも扱うフリーライターで、津田の相談を受けて霊媒師の血筋である真琴を紹介します。過去に中絶させた罪悪感から、子供を産めない体の真琴と、両親を失った知紗を大事にしようとします。
武将や軍人役の多い岡田さんですが、映画『ファブル』で演じる殺し屋や今回のようなアンダーグラウンドなライターなど、泥臭い役もカッコイイです!
【逢坂セツ子】/柴田理恵
テレビで有名な「タレント霊媒師・逢坂セツ子(おうさかせつこ)」役は、演芸劇団で有名なWAHAHA本舗(ワハハほんぽ)で久本雅美さんと二大看板で知られる柴田理恵(しばたりえ)さんです。
ふだんテレビで見るイメージと違い、鬼気迫る演技はさすが舞台女優です。
【津田大吾】/青木崇高
自称・秀樹の親友で「民俗学者・津田大吾(つだだいご)」役は、NHK連続テレビ小説や大河ドラマにも数多く出演し、タレントの優香さんとの結婚でも話題になった青木崇高(あおきむねたか)さんです。
劇中では田原秀樹の親友で、オカルトライターの野崎和浩を紹介し、一見親切な親友を演じていますが、その好意とは真逆の悪意に満ちた存在。民俗学者ならではの知識を活かして、秀樹を陥れていく人物です。
【高梨重明】/仲野太賀
「あれ」に遭遇してしまう「秀樹の後輩社員・高梨重明(たかなししげあき)」役は、父に中野英雄さんを持ち、最近の映画やドラマでは引っ張りだこの個性派俳優、仲野 太賀(なかのたいが)さんです。
劇中では田原秀樹が勤める会社で後輩社員を演じ、秀樹に付きまとう「あれ」に遭遇して犠牲者になってしまいます。取り憑かれたのち徐々に衰弱し、最後には秀樹に恨みを抱いたまま死んでいきます。
映画『来る』に登場する「あれ」とはいったい
映画の中での呼び名は「あれ」。悪さをする子供たちを怖がらせるために、大人たちが地元で言い伝える偶像として創られた、一種の化け物です。劇中冒頭で「ぼぎわん」という名前が出てきており、祖父の地元・三重県で創られたお化けなので、「あれ」の正体は「ぼぎわん」です。
ただし劇中で「あれ」のハッキリした描写はなく、秀樹には子供のころに失踪(あれに連れ去られた?)した幼馴染だったり、香奈にはアル中で嫌悪していた母親だったりと、見る者によってそれぞれ違うのです。
「ぼぎわん」について原作者の澤村伊智さんは学生時代に祖母の家であった実体験を語っており、祖母が訪問販売員を引き戸越しに追い返したそうです。その時に古いスリガラスに映る人影がぼんやりと見えたといい、その変な印象から得体の知れない不気味さを感じたようです。そこから見えない相手を創造し、恐怖対象として生み出したキャラクターが「ぼぎわん」なのでしょう。
映画『来る』原作との違いは
出典:Amazon.com
原作は2015年に澤村電磁の名義で書かれた『ぼぎわん』というホラー小説で、のちに『ぼぎわんが、来る』に改題されています。驚くことに、映画版と原作版の内容がけっこう違ったりしています。原作では、
- 映画冒頭の法事シーンがない。(祖父の葬儀で「ぼぎわん」の話はでる)
- 結婚式・新居パーティーがない。
- 秀樹の幼馴染である失踪した知紗は存在しない。映画オリジナルキャラである。
- 香奈は津田と肉体関係を持っていない。(津田が口説く描写はあり)
- 香奈は死んでおらず、廃人状態で生きている。(のちに回復する)
- 「ぼぎわん」を最初に呼び寄せたのは、祖父にDVを受けていた祖母である。
- 最終決戦の舞台は田原家ではなく、真琴の部屋である。
- 最終決戦の霊媒師軍団はおらず、「ぼぎわん(知紗)」と戦うのは琴子と野崎の2人である。
- 映画のラストで琴子の最後が描写されていないが、原作では勝利を表現している。
この他にも、細かいところでもけっこう改変されているようです。気になる方はぜひ原作をお読みください!
映画『来る』続編は来るのか!?
今回の『来る』こと『ぼぎわんが、来る』は、比嘉琴子と比嘉真琴の霊媒師姉妹シリーズの第1弾で、のちに『ずうのめ人形』『ししりばの家』『などらきの首』と執筆されています。
今作の評判しだいで、これらの続編も映像化されていくのではないでしょうか。
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まとめ
原作とはずいぶん違いますが、映画だけ観ても非常に面白い作品になっています。地味で暗いホラーというより、派手なアクション映画に近いホラー映画です!
『リングシリーズ』や『呪怨シリーズ』のように『比嘉姉妹シリーズ』としてこれから更に世に知られていくのではないでしょうか。