『悪の教典』のあらすじネタバレ〜結末|観た人を絶望に追い込むサスペンス映画
皆に好かれる人気教師の裏の顔はサイコキラー……。観る人全てを絶望と恐怖に追い込んだサスペンス映画『悪の教典』。容赦のない殺害シーンときめ細やかなストーリー構成が話題を呼び、密やかなファンも現れたのだとか。過激な描写は観る人を選びますが、刺激的な内容にあなたもハマってしまうかも?
本記事はネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意ください。多数登場するキャラクターの解説も行っていきますよ~!!
目次
実写版『悪の教典』とは?
【ネタバレなし】あらすじ
ある私立高校で英語教師として勤務する蓮実聖司は「ハスミン」の愛称で生徒から親しまれていた。校内では様々な問題が引き起こされるも、有能な彼を頼る者も多い。非常に信頼度の高い教師と言える。
だが一部では、そんな蓮実を疑っている人間も。実は蓮実自身裏の顔があり、かつては両親を殺害した過去を持つ、正真正銘のサイコキラーなのだった。自分に疑念を抱く者を一人、また一人と殺害していく。次々と犠牲者が現れる中、生徒たちは……。
【キーパーソン】登場人物紹介
蓮実 聖司(はすみ せいじ):伊藤英明
出典:映画『悪の教典』公式HP
本作の主人公であり「ハスミン」の愛称で生徒から親しまれている教師。一見有能な頼れる人物ですが、裏の顔は殺害を躊躇なく行うサイコパス!自分にとって邪魔になる人間は、例え親でも容赦なく殺害しています。頭が回ることから事実を隠蔽・捏造することも得意で、逮捕歴はありません。
表と裏の顔を完璧に使いこなすため、彼の表面だけを見ていればサイコキラーであることなんて分からないはず。その「完璧」さがより恐怖を増長させるのです。
片桐 怜花(かたぎり れいか):二階堂ふみ
出典:映画『悪の教典』公式HP
本作のもう一人の主人公。作中では一番の常識人と思えるほど”普通”の女の子です。少し引っ込み思案でおとなしいところがありますが、蓮実の危うさに気づき警戒心を強めていました。
しかし冷静さが良い方向に働き”惨劇の夜”では生き残ることに成功。そしてラストは察しの良い目を持っていることから、彼が頭のおかしい人物を演じていることさえ見抜きました。個性的なキャラクターではありませんが、クラスの中でも地に足がついている人物と言えるでしょう。
早水 圭介(はやみ けいすけ):染谷将太
出典:映画『悪の教典』公式HP
勉強ができるもののカンニングに手を染めたり、しばらく学校を休む予定を立てていたりとなかなかのワル。見た目が不良らしくないので、言動とのギャップが凄まじいキャラクターですね !
テスト中の携帯電話禁止に伴い、妨害電波が発せられていたことをいち早く疑い始めます。そして同じく蓮実を怪しく思っていた教師・釣井からある話を聞くも……その様子が盗聴され、生徒の中で初の犠牲者となってしまうのでした。ただし最後までカンニングの仲間や釣井に関しての情報は一切吐くことなく息耐えていった悲惨な人物です。
前島 雅彦(まえじま まさひこ):林遣都
出典:映画『悪の教典』公式HP
美術部に所属しており、その腕を披露して文化祭ではマネキンにリアルな特殊加工を施し一躍話題に。ですが顧問の久米先生と同性愛の関係にあったため、相手の自宅に出入りしていたのです。
惨劇の夜では久米の靴を蓮実が履いていることから、彼に罪をなすりつけようとしていることに気づきました。しかし猟銃で撃たれ、喉を刃物で突き刺されるといった惨たらしい殺害方法で命を落としてしまうのです。
夏越 雄一郎(なごし ゆういちろう):浅香航大
出典:IMDb
怜花や圭介と仲の良い友人の一人。圭介から妨害電波の話を聞き、彼ほどではありませんが蓮実への疑念を抱くようになります。惨劇の夜では校内を逃げ回らず、落ち着いた様子で対処。
教室に留まってやり過ごす方法を取りますが、最後の最後で追い詰められてしまう絶体絶命のピンチに。なんとか機転を利かせて怜花と生き残り、唯一の生存者となります。ラストの蓮実の様子を見て「狂っている」と感情を露わにするのでした……。
安原美彌(やすはら みや):水野絵梨奈
出典:映画『悪の教典』公式HP
万引きの件をゆすられ教師の柴原から肉体関係を迫られている女子生徒。その件を蓮実に打ち明け、無事に問題は解決するのですが……彼に恋してしまい、次はそっちと肉体関係を持つことに。ですが、彼が行方不明となった生徒の携帯を所持していることを知ってしまいます。美彌の存在に危機感を覚えた蓮実は屋上で彼女を突き落とすのです。
いいように利用された挙句殺害される、悲壮感極まりないキャラクター。しかしラストでは生存している様子が確認されるので、結果的には命を落とさずに済んだようです。
柴原 徹朗(しばはら てつろう):山田孝之
出典:映画『悪の教典』公式HP
無口な体育教師の柴原は美彌の万引きを口外しないことを条件に、体を要求します。しかし蓮実の行動により関係を持たなくなり、以来彼女に近づいている様子を見せません。生徒に「ジュースでも買え」と、意外と人のよさそうな一面も見せました。
惨劇の夜ではさすまたで蓮実の動きを止めようとしますが、美彌の下着を投げられ、手にしたときに殺害。シリアスな本作ですが、彼の存在がちょっぴりコミカルに描かれているので、良い意味で気が抜ける存在です(笑)
【ネタバレあり】あらすじ&結末
起:ハスミンの疑い
出典:映画『悪の教典』公式HP
両親は夜な夜な息子の蓮実聖司(伊藤英明)について密談していた。父親は息子が「他者への共感能力に欠ける。社会から隔離するべき」とまで指摘するが、そんな場に聖司本人が現れ両親を殺害する。それは彼が14歳の時の出来事であった。
時は経過して、蓮実は私立高校に勤める英語教師となっている。有能な一面を見せ、生徒の集団カンニングには範囲を限った妨害電波を出す案を発表。信頼も厚く、親しまれる人物となっていた。本当の顔は両親を刺殺したサイコパスであるが、多くの者はそれに気づいてすらいない。蓮実本人も完璧なまでに「いい人」を演じていたからだ。
自分にとって不都合な人物は消すという考えを持ち、まずターゲットとしたのはモンスターペアレントの清田(滝藤賢一)。娘がクラスでいじめられていると思い、度々学校へと怒鳴りこみにくる厄介者。そんな彼を邪魔に思った蓮実は清田の家を全焼させ、焼死させる。そして立て続けにクラスの不良生徒・蓼沼(KENTA)を消すべく、容赦なく殺害。一気に二人がこの世から姿を消した。
この時、蓮実に最初から疑いを持つ教師の釣井(吹越満)は、彼をリサーチすべく動き始めていた――。
承:疑いは確信に
出典:IMDb
この頃、カンニングに手を染める生徒・早水(染谷将太)も、妨害電波の件で蓮実に疑いを持っていた。そして釣井から蓮実の経歴を聞かされ、疑念はますます深いものとなる。彼は初めから教師を目指していたのではなく、過去の経歴に一貫性が全くないのだ。更には過去に在籍していた県立高校で事件が起きていることまで知り、二人の疑いは確信へと変わっていく。しかし蓮実はこのやりとりを盗聴しており、邪魔者となり得る釣井と早水を殺害。早水に限っては半田ごてで拷問を食らうという悲惨な死を遂げた。
蓮実はハーバード大学にいた経歴があり、その際にクレイ(JAB)という同級生と手を組んで殺人を繰り返していたのである。だがある時彼に必要性を感じなくなり、突如クレイを焼き殺す。それが勤務先に知られ、彼は逃亡するがごとく日本に戻ってきたのだった。
清田、蓼沼、釣井、早水、全て証拠もなく殺してきたはずだったが、蓮実と肉体関係を持つ生徒・美彌(水野絵梨奈)に蓼沼の携帯を所持していることが知られてしまう。体育教師との断れない肉体関係を救ってもらった美彌は蓮美に恋をしていたのだが、彼にとって邪魔者の一人となってしまった。文化祭の泊まり準備の日に、自殺と見せかけて屋上から突き落とされ、彼女もまた命を落とすのだった。
転:究極の選択肢
出典:IMDb
美彌を殺した矢先に一人の生徒が屋上に来てしまい、蓮実は慌ててその女子生徒を殺害。このままでは証拠隠滅のアリバイが作れない、そう考えた末に思い付いたのが「全員皆殺し」である。シナリオとしては術部顧問・久米(平岳大)と前島(林遣都)が同性愛で体の関係を持っていたことを知られ、逆上した彼が全員を殺し、心中を図ったというもの。久米はクレー射撃が得意であったため、それを仕立て上げるために蓮実は射撃での殺害に挑むこととなる。
久米本人を呼び出し殺害、そして次々と生徒と教員を殺していく。そして生徒が逃げられないように妨害電波を用いて、公衆電話も全て使えないように徹底した。文化祭の準備を楽しんでいた生徒たちも、校内に響き渡る銃声に不安を抱く。そして蓮実は自身で校内放送を行い「銃を持った男が校舎内にいる。屋上に避難しろ」と指示をした。パニックになった生徒は屋上に行く、別のフロアに行く、などバラバラの行動を取り、見つかり次第容赦なく殺されていった。
外へ助けを求めに行った者もいるが、戻ってきた時にあっけなく撃たれてしまう。校内は銃声と生徒の悲鳴で溢れ、とうとうほとんどの人間が命を落としている状態だ。そんな中怜花(二階堂ふみ)と雄一郎(浅香航大)らは屋上にも下のフロアにも行かず、防火シャッターの向こうで立てこもっていた。しかしある生徒が下に降りるためのロープをそのままにしていたがために、蓮実に居場所がバレてしまい……。
結:逮捕、そして次のゲーム
出典:IMDb
生き残った生徒たちは狂ったように逃げ回るも、次々と猟銃の餌食となっていく。そして蓮実は避難袋を使って逃げる生徒も見逃さず殺害。全員殺し切ったと思いきや……避難袋を使って逃げる案を生み出したのは怜花と雄一郎。これで逃げると思わせておきながら、実際は死体に制服を着せて蓮実を勘違いさせたのである。実際の二人は声も出さず、ひっそりと避難袋が入っていたボックスの中へ隠れていた。
そんなこともつゆ知らず、蓮実はミッションをコンプリートした気持ちでいた。久米に自身は拘束されていたというシナリオを貫くために、自らの頭をぶつけて血を流す。そして屋上の美彌は自殺を図ったという完璧なアリバイで、近づいてくるパトカーの音を耳にしていた。
彼の計画は成功したと思いきや、生存者の生徒がいることによって一気に予定が狂い始める。なんと彼の悪行は倒れたAEDによって全て録音されていたのである。よって蓮実の犯行は事実となって認められ、逮捕される運びとなった。
だが蓮実は精神異常をアピールするかのように「悪魔に取りつかれた」と供述。雄一郎は彼を狂っていると表現し怒りを露わにしていたが、怜花は蓮実の様子に驚きを隠せないようだ。そして奴がすでに“次のゲーム”を楽しんでいることに、気づいていた……。
『悪の教典』実写版3つのみどころ!
映画の批評家にも高評価されている『悪の教典』。サスペンスでもあり、ホラーでもある本作の見所を3つに分けて紹介します!
①サイコキラーを完璧に演じ切った伊藤英明
出典:IMDb
サイコパスで裏の顔を持つキャラクターという設定だけを見ると、どこか影のあるオーラを持っていて暗そうな風貌なのでは?と思う人も多いでしょう。しかし蓮実役に抜擢されたのは『海猿』や『陰陽師』シリーズでお馴染みの伊藤英明さん。抜群のスタイルにはつらつとした雰囲気とサイコパスがあまりイコールに思えないのですが……あのアンバランスさがよりサイコキラーの一面を際立たせていることでしょう。
表の裏の顔を見事に演じ切り、人前で見せる明るい表情から一変、淡々と人間を殺害していく冷酷な姿は思わずゾッとしてします。無表情で猟銃の引き金を引くシーンは、まるで人間とは思えないほど凍りついてついていますよね……。蓮実の持つ二面性を完璧に表現した素晴らしい演技は、多くの人を魅了しました!
②カメラワークにより恐怖を演出
鑑賞者が最も印象に残るシーンと言えば恐らく”惨劇の夜”に起きる大量虐殺の部分ではないでしょうか?次々と生徒が撃ち殺されていくグロテスクな描写ではありますが、あくまで撃たれるシーンはほぼ、カメラが「引き」の状態。つまり肝心の撃たれる部分は大々的に見せていないのですね。しかしながら飛び散る血液の量は尋常ではなく、蓮実自身も返り血で汚れていきます。
この血しぶきが溢れかえる「引き」のカメラワークが、私たちの想像力を妙に掻き立たせるのです。「肝心な部分は見えていないけど……これって」と思わせてしまう映し方には脱帽してしまうはず。
また、生徒の死体や荒れ狂った校内を移すことで、悲惨な状況がセリフなしでも伝わってくるでしょう。カメラワークによって恐怖や出来事の痛ましさを表現しているので、ぜひその点も注目してみてくださいね。
③監督は「日本で一番忙しい映画監督」三池崇史
監督を務めるのは海外でも人気の三池崇史さん。極道系のVシネや『殺し屋1』、『龍が如く』、『着信アリ』などのホラー、バイオレンスから『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』や『劇場版忍たま乱太郎』など幅広いジャンルを手掛ける”日本で一番忙しい映画監督”と言われています。「映像可であるなら何でも挑戦する」というスタイルを取っているため、手掛けるジャンルが幅広いのだとか!
残虐描写や暴力描写に定評があり、海外では数々の賞を受賞しています。個性的な作品が多く、人間の泥臭さを前面に出した物語がどこかクセになりますね。映画だけに留まらずテレビドラマやアニメ、舞台作品も制作しています。
映画『悪の教典』の知られざるウラ話!
出典:IMDb
大島優子が激怒!?
かつて映画館にて「AKB特別上映会」が行われたのですが、元AKB48の大島優子さんは泣きながら退場してしまったことでニュースで話題になってしまいました。。サイコキラーな蓮実、過激な惨殺シーンや校舎内のリアルな問題……様々な事情が絡む本作ですので、ハッキリと好き嫌いが分かれてしまうのは無理はないでしょう。大島さんは『悪の教典』が生理的に受け付けなかったらしく、話に感情移入してしまい、ショックが大きかったのだとか。
ニュースになった後日、自身のブログには謝罪文が発表されましたが、「あの映画が嫌いです。すいません」と本音をバッサリ。この問題は賛否両論であり「本音を言えるのは素晴らしい」「もっと耐性をつけろ」などネットでは様々な意見が飛び交いました。年齢指定のある映画ですし、グロ耐性がない人にはかなりキツく思える作品なのかもしれません……。
続編の予定が…!?
蓮実が逮捕されて無事に一件落着……と思いきや、映画のラストには「TO BE CONTINUE」と続編を匂わせる文字が!実際に続編の発表はされていませんが、原作者の頭の中には続編の考えがあるとのこと。逮捕されてしまった彼ですが、後継者が存在したり、実刑を受けた後のストーリーが展開されるかもしれません。
また生き残った二人もトラウマを抱えて今後の人生を送っている可能性が……。続編があったとしたら、様々な目線での物語が作れそうな予感がします。もし続きがあるのならぜひ観てみたいものですね!
映画『悪の教典』考察!
出典:IMDb
①次のゲームとは?
怜花は蓮実の毅然とした態度に驚き「こいつは次のゲームを始めている」とラストに呟くシーンがあります。この”次のゲーム”とは一体何なのでしょうか?
蓮実は二人が生存していたことは予想外でしたが、警察に反抗することなく、怜花や雄一郎に襲い掛かることもなく、ただただ素直に従うだけでした。彼から不思議な余裕さえあるように見えますね。その”余裕”を決定づけさせるのが、最後のセリフ。
「これは神の意志でやったもので、頭の中に響いてきた命令だ。生徒は一人残らず悪魔に取り憑かれていたから、これは皆の魂を救うためだった」
つまり精神異常者を咄嗟に演じていたのですね。怜花はこの演技にすぐ気づき、奴が罪を軽くしようと動き始めていることまで悟ったのです。なので「次のゲーム」として考えられるものは罪を軽くするためのシナリオを構築、そして出所後の動きではないでしょうか。精神異常を訴えて罪から逃れ、再び殺人に手を染め続ける可能性が高いのです。
生粋のサイコパスである蓮実はこの逮捕でさえ、人生のステップとしか考えていないのかもしれません。大量虐殺に関して全く悪びれのない様子ですからね……。
②卒業の目的とは?
生徒を虐殺した後に「卒業おめでとう」という意味深なセリフを吐く蓮実。作中にはこれと言った説明もなかったため、殺すこと=卒業となることがイマイチ理解できなかった人もいるのではないでしょうか?
あくまで推測となりますが、卒業とは“生きること”の卒業なのかもしれません。本来ならあの夜に大量虐殺を行う予定などなく、美彌だけを自殺に仕立て上げて殺すつもりでした。しかし彼女の様子を見に来た女子生徒の行動まで想定しておらず、蓮実の計画は大幅に狂ってしまいます。勢いで女子生徒を殺した後、計画の狂いを修正するべく虐殺を実行したのです。思考回路が狂っている蓮実ですから、ただ死ぬ=卒業と比喩しただけなのかもしれません。実写だけではその説明が少し不十分だったので、色々な考え方ができると言えるでしょう。
ただし唯一の生存者を残してしまったため、ここでもまた彼の計画は狂います。蓮実は結局自身の思い通りに、生徒全員を「卒業」させることはできませんでした。
まとめ
ショッキングなシーンの連続で、終盤に向けて畳みかけるような恐怖が増す『悪の教典』。ただ怖いだけではなくサイコキラーをしっかりと描き、一瞬たりとも画面から目が離せない濃いストーリーとなっています。
映画と小説はキャラクター設定などの違いがありますので、併せて読むとより作品を楽しめることでしょう。
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