【解説】映画『オリエント急行殺人事件』(2017)あらすじ•ネタバレ•キャスト紹介!
列車内での殺人事件を解き明かすミステリー映画『オリエント急行殺人事件』。原作はアガサ・クリスティの小説であり、二度目の映画化で大きな話題を呼びました。容疑者は乗客全員、そしてそれぞれにアリバイを持った状況で、主人公の名探偵ポアロはどう事件を解決していくのでしょうか?
ミステリー好きはもちろんのこと、あまりそのジャンルに触れてこなかった方にも楽しめる作品です!
本記事ではネタバレを含んだあらすじや原作との違いなどを紹介していきますので、未鑑賞の方はご注意ください!アリバイを持った個性的なキャラクターの解説もしています!
目次
- 『オリエント急行殺人事件』について
- 10秒で分かる『オリエント急行殺人事件』の簡単なあらすじ
- 『オリエント急行殺人事件』のネタバレあらすじ
- 『オリエント急行殺人事件』の登場人物&解説
- エルキュール・ポアロ役/ケネス・ブラナー
- ブーク役/トム・ベイトマン
- エドワード・ラチェット/ジョニー・デップ
- ヘクター・マックィーン/ジョシュ・ギャッド
- エドワード・ヘンリー・マスターマン/デレク・ジャコビ
- キャロライン・ハバード夫人/ミシェル・ファイファー
- ナタリア・ドラゴミロフ公爵夫人/ジュディ・デンチ
- ヒルデガルデ・シュミット/オリヴィア・コールマン
- メアリ・デブナム/デイジー・リドリー
- アーバスノット/レスリー・オドム・ジュニア
- エレナ・アンドレニ伯爵夫人/ルーシー・ボイントン
- アンドレニ伯爵/セルゲイ・ポルーニン
- ピラール・エストラバドス/ペネロペ・クルス
- ビニアミノ・マルケス/マヌエル・ガルシア=ルルフォ
- ゲアハルト・ハードマン/ウィレム・デフォー
- ピエール・ミシェル/マーワン・ケンザリ
- 『オリエント急行殺人事件』のラストシーンを考察!
- 映画『オリエント急行殺人事件』と原作の5つの違い
- まとめ
『オリエント急行殺人事件』について
出典:20世紀スタジオ ホーム エンターテイメント公式YouTubeチャンネル
原作はアガサ・クリスティが1934年に出版した小説『オリエント急行の殺人』です。アガサ・クリスティと言えばミステリー作品を得意とし、日本でも絶大な人気を誇る小説家の一人。一度1974年に本作は映画化されているのですが、2017年版は二度目の映像化となりました。43年ぶりの映画にファンはきっと驚いたことでしょう!リメイクと言えど大筋はほとんど変わりがないので、旧作品が好きな方にも楽しめますよ。
監督は俳優兼映画監督のケネス・ブラナー。『ハリーポッターと秘密の部屋』のギルデロイ・ロックハート先生や、なんと本作の主人公・ポアロを演じているんです!彼の場合、主演兼監督はそう珍しいことでなく、役を演じながら脚本や監督を務めていることも非常に多いのだそう。もちろん作品によっては、徹底的に裏方へ回っていることもあります。
監督、脚本、俳優業をこなす天才的な人物であり、『ダンケルク』、『TENET』と有名作品に次々と出演。そして『オリエント急行殺人事件』の次回作『ナイル殺人事件』でも再び主演・監督を担当しています。
映画『TENET テネット』の実力者揃いなキャストと撮影裏話を紹介!10秒で分かる『オリエント急行殺人事件』の簡単なあらすじ
出典:20世紀スタジオ ホーム エンターテイメント公式YouTubeチャンネル
名探偵のポアロは更なる事件解決のために、オリエント急行にてロンドンへ向かうことに。なぜか閑散期なのに列車は満席で、ポアロはただならぬ気配を感じていました。そんな中ラチェットという男性が命を狙われているそうで、ポアロに警備を依頼します。しかしポアロはラチェットの行いが好きになれず、あっさりと頼みを断るのでした。
その晩、列車内の様子が少しばかりおかしくなり……なんと翌朝、ラチェットが遺体で発見されたのです。乗客たちにはそれぞれのアリバイがあったことで、見事に全員が捜査対象となってしまいました。
そしてオリエント急行は雪の影響で走行が一時ストップする状態に。ポアロはこの事件を無事に解決できるのでしょうか……。
『オリエント急行殺人事件』のネタバレあらすじ
【ネタバレ①】名探偵ポアロ
エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は有名な名探偵で、この日もエルサレムで窃盗事件を解決していた。ひと仕事を終え休暇を満喫するためにフェリーへ乗り込む前、メアリ・デブナム(デイジー・リドリー)という一人の女性に遭遇する。ポアロは得意の推理で彼女の職業(家庭教師)を当て、メアリを驚かせた。彼女には医者のアーバスノット(レスリー・オドム・Jr)という連れがいたようで、ポアロは二人の関係をもひっそりと見抜いていた。
イスタンブールに到着し、偶然にもブーク(トム・ベイトマン)と再会。彼は寝台会社の重役であり、この後オリエント急行に乗ってここを出発しなければならないようだ。そして偶然が見事に重なり、ポアロも事件発生により英国領事館へ呼ばれてしまったのである。
ブークのはからいで無事列車に乗ることはできたものの、閑散期にも関わらず車内は満席。一等席でさえ満杯で、結局マックィーン(ジョシュ・ギャッド)という男性と相部屋になってしまった。
【ネタバレ②】オリエント急行の乗客たち
一等席の乗客たちは皆上流階級の人物ばかりで、ただならぬ雰囲気があった。翌日の朝食後、美術商のラチェット(ジョニー・デップ)がポアロに話しかけてくる。どうやら彼は悪事を働き命を狙われているようで、ポアロに護衛を頼みたいとのことだった。しかしポアロは彼の行いや人間性に嫌気がさし、頼みをあっさりと断わるのだった。
その晩、隣のラチェットの部屋から物音がする。更に不審な物音や人影が続いていると、列車が雪崩により急停車。路線から外れてしまい、救助隊が来るまで一同は身動きの取れない状態に陥ってしまった。乗客たちはそのことに不満を漏らすも、動かない以上はどうにもならない。
だが恐ろしき事態は連続し、なんと雪崩の次はラチェットが遺体で発見されるという事件が勃発!死因は刺殺であり、12か所を刃物でメッタ刺しにされていた。医者でありアーバスノットによれば犯行は深夜0~2時頃とのこと。傷の深さは見事にバラバラであり全く一貫性がない。
乗客が戦慄する中、ブークはポアロに犯人探しをしてほしいと依頼した。もちろん引き受けたものの、ラチェットの部屋からは「H」が書かれたハンカチ、睡眠薬など様々な証拠品が多く、ポアロは酷く頭を悩ませることとなる。
【ネタバレ③】ラチェットの本当の正体
部屋から一枚の紙きれが現れ、それを火であぶると二年前に起きた「アームストロング誘拐事件」の脅迫状であることが発覚する。誘拐事件とはパイロットであるアームストロング氏の娘・デイジーが誘拐され、身代金を渡したのに娘が殺害された事件のこと。ショックのあまりデイジーの母・ソニアは早産と共に死亡、アームストロングも自殺をしてしまったのだ。そして肝心の犯人・カセッティは今も行方知らずのまま……。
だがこの脅迫状から、ラチェットの正体がカセッティであることが明らかになる。つまり彼を殺したのはアームストロングに近しい人物という推測ができるのだ。ポアロは乗客一人一人に聞き込みを開始し、同じ一等席に狙いを絞った。だが一人一人には見事なアリバイがあり、犯人を特定することが困難であった。
ハバード夫人(ミシェル・ファイファー)は「犯人が自分の部屋の中にいた」と証言し、ドラゴミロフ公爵夫人(ジュディ・デンアチ)のメイドであるヒルデガルデ・シュミット(オリヴィア・コールマン)はオリエント急行の車掌とは別の車掌を見たと言う。
現在明らかになっているのは、ドラゴミロフ公爵夫人がデイジーの名付け親だということと、マックィーンの父親が誘拐事件によって社会的地位と権力を奪われていたことのみ。途中マックィーンに全ての疑いが降りかかるが、取り調べ中にハバード夫人が部屋にて何者かに刺されてしまう。ナイフはラチェットを刺殺した時に使ったものと同じであり、彼の疑いは白紙へと戻った。
幸いハバード夫人も命に別状はなかったが、捜査は振り出しへと戻ってしまう。
【ネタバレ④】明らかになっていく真実
聞き込みを続け、ポワロはルドルフ伯爵と、その妻エレナ・アンドレアニ伯爵夫人に出会った。エレナは精神を病んでおり「睡眠薬がないと眠れない」とのことだったが、その薬はラチェットの部屋にあった物と一致していた。彼女はデイジーの母・ソニアの妹であることが発覚する。そして彼女は「地理を家庭教師に教わった」と語ったため、ポアロは家庭教師=メアリを思い出す。つまりアームストロング家の家庭教師=メアリという推測だ。
翌朝メアリを呼び出すと彼女は家庭教師をしていたことを白状。しかしその途端アーバスノット医師がポアロ目掛けて銃を撃つ。犯人が自分であることを吐き、アームストロング氏が軍隊時代に世話になった人物であることを医師はかした。医学部に通わせてくれたのも、彼のおかげだったと語るのだ。
アーバスノット医師が銃を構えている間一髪のところで、ブークが助けに現れる。そしてタイミング良くオリエント急行の復旧工事も完了するのであった。
【ネタバレ⑤】真犯人とその犯行理由とは…?
乗客たちはトンネルの中で待機していた。ポアロは乗客らに真実を話し始め、「自分が犯人だ」と自白したアーバスノット医師の発言を否定した。なぜなら彼は軍人時代の狙撃手でありながら、銃弾はポアロの腕をかすめただけ。殺す気があったのなら殺害などは簡単だと言うことだ。このことから殺す気がないとポアロは推理した。
彼の出した結論は「ラチェットを狙う人間が彼を殺し、列車から出ていったこと」と「乗客全員が犯人」の二つ。乗客全員の共通点や背景をあぶり出せば、全員が誘拐事件に関与しており、ラチェット(=カセッティ)を恨んでいることが明らかになるのである。そしてハバード夫人はソニアの母親だったのだ!娘を亡くし、今回の事件の発起人は彼女だということが明らかになる。
殺人を犯しているものの、ラチェットは多くの人の幸福を奪った。こうして現在も苦しみ続けている人々がいる――、このことからポアロは彼ら全員に裁きを下すことはできなかった。この真実を消すためにポアロは乗客たちに銃を差し出し、自分を殺すように仕向けるも、彼らはしなかった。ハバード夫人は自殺を試みるも、肝心の銃弾は入っていない……。
ポアロは全員の気持ちを確認し、その後オリエント急行は無事に走り出す。そして「ここに犯人はいない。みなさんに平安が訪れますように」と言い残し、彼は次の事件解決への場へと歩み出すのだった。
『オリエント急行殺人事件』の登場人物&解説
エルキュール・ポアロ役/ケネス・ブラナー
世界一の探偵ポアロは抜群の推理力であちこちから引っ張りだこ!物語の最初、途中、最後も仕事の依頼でいっぱいでしたね。今回の事件にて「善悪は必ずしもハッキリつくものではない」ということを知ったのです。彼の考えが変わったきっかけとなる出来事となりました。
立派なヒゲがよく似合い、作中でもヒゲにこだわりをもっていそうなお茶目な描写がありましたね(笑)
主人公のポアロ役兼監督を務めたのは、イギリス人俳優のケネス・ブラナー。シェイクスピア俳優としてシェイクスピアの舞台の主役を務めた経験もあるほどの実力派俳優です。次回作の『ナイル殺人事件』でも、監督兼ポアロ役を続投しています。
ブーク役/トム・ベイトマン
ポアロの友人であるブーク。ポアロに混み合っているオリエント急行の席を空けてくれたりと、素晴らしき権力を発揮しています。事件後も彼を徹底的にサポートしたりと、頼もしい一面を見せました。
アーバスノット医師を取り押さえたり、活躍するシーンもありましたね!乗客の中で唯一アームストロング家に関与していない人物です。
ブーク役はイギリスの俳優トム・ベイトマン。イギリスのテレビドラマや映画に出演し、続編もブーク役として出演されるそうです。
エドワード・ラチェット/ジョニー・デップ
急行内でポアロに自分の護衛を依頼したラチェット。どうやら悪徳な商売をしており、命を狙われているのだとか。そんな彼の考えや行動に嫌気が差したポアロは依頼を断り……その晩、見事にラチェットは殺されてしまいました。
殺害され、登場シーンが少ないのですが(笑)ラチェット役はジョニー・デップが演じています。見事に「イヤな奴」を演じているジョニデ、必見ですよ~!
ヘクター・マックィーン/ジョシュ・ギャッド
ラチェットの秘書を務めるマックィーン。彼の側近であるため一番始めに殺害の疑いをかけられてしまいます。実際にラチェットの金を横領しており、アルコールに依存しているなど怪しき要素がいっぱい。ポアロも途中まで彼が犯人だと睨んでいましたが、マックィーンの尋問中に別の被害者が出てしまい……。
マックィーンを演じるのはジョシュ・ギャッド。俳優や声優として活躍しており、『アナと雪の女王』のオラフ役でも有名ですね!
その後マックィーンの父は世間から非難の声を浴び、死亡。は父の死、そしてメイドのスザンヌへの気持ちがあったために、今回の殺人へと加担することになったのでした。
エドワード・ヘンリー・マスターマン/デレク・ジャコビ
ラチェットの執事であるマスターマン。マックィーン同様、近しい人物であるため彼にも疑いの目が向けられます。しかしこれといった怪しさが出てこず、犯人だと決めるには証拠がまるでないのです……。
マスターマンを演じるのはデレク・ジャコビ。舞台俳優として活躍していますが、映画にも多数出演。抜群の演技力で数々の賞を受賞しています。
キャロライン・ハバード夫人/ミシェル・ファイファー
非常にお喋りなハバード夫人は、事件を異様に気にかけています。なぜなら事件発生の夜に犯人が部屋にいたと証言、そして日中何者かに肩を刺されてしまいました。恐怖に震えるハバード夫人は、一刻も早く事件解決を望む一人の女性なのですが……。
ハバード夫人を演じるのはベテラン女優のミシェル・ファイファー。『スカーフェイス』や『アントマン&ワスプ』など有名作品に次々と出演しています。62歳とは思えない美貌で、現在も精力的な活動を続けています。
ナタリア・ドラゴミロフ公爵夫人/ジュディ・デンチ
犬を二匹連れて急行に乗り込むセレブな雰囲気たっぷりの夫人。亡くなった旦那さんのお金で富豪に上り詰めたのだそう。典型的な「お金持ちのおば様」であり、デイジーの名付け親だったことを自ら明かしました。誘拐事件については強く知っているようですが……?
ドラゴミロフ公爵夫人を演じるのはジュディ・デンチ。『007』シリーズでM役として多く出演し、『ヴィクトリア女王』でも主演を務めたことでも有名ですね!現在86歳になるそうですが、非常に美しいマダムです。
ヒルデガルデ・シュミット/オリヴィア・コールマン
ドラゴミロフ侯爵夫人のメイドであるヒルデガルデ。彼女の証言は「ミシェル(オリエント急行の車掌)以外の車掌を見た」とのこと。実際にミシェルのものではない制服のボタンがあり、この証言はより捜査を難航させるのです。
ヒルデガルデ役はオリヴィア・コールマン。イギリスの女優であり『女王陛下のお気に入り』でアカデミー助演女優賞を受賞しています。
メアリ・デブナム/デイジー・リドリー
オリエント急行の乗客の中で、一番最初にポアロと接触する人物です。アーバスノット医師とはかなり親し気に見えるのですが、なぜか取り調べの時には「親しくない」と言い切るのでした。それによりマックィーンのような疑いが彼女へ向けられるのですが……。
メアリを案じるのはデイジー・リドリー。デビューは2013年と最近で、まだ28歳の若き女優です。2015年より『スターウォーズ』シリーズに出演していましたが、現在は卒業されたそう!
アーバスノット/レスリー・オドム・ジュニア
アーバスノット医師はかつて軍人の経験があり、見事にラチェットの死亡時刻を推定しました。マックィーンのアリバイを見事に弁明したりと最も“シロ”な人物ですが、物語の終盤では「自分が犯人」と自白を始めるのです……。
アーバスノット医師を演じるのはレスリー・オドム・ジュニア。俳優兼歌手であり、アメリカにて活躍しています。
エレナ・アンドレニ伯爵夫人/ルーシー・ボイントン
美しいエレナですが、精神を病んでいて睡眠薬がないと眠れない状態です。「夜寝ず昼間に寝る」と語っており、事件の話を出すと夫のアンドレニが間に入ったり、彼女自身が癇癪を起こしたりと何やら妙な雰囲気が……。
エレナ役はルーシー・ボイントン。『ボヘミアン・ラプソディー』に出演したことでも大きな話題を呼びましたね!若きセレブ女優として注目が集まっています。
アンドレニ伯爵/セルゲイ・ポルーニン
エレナの夫であるアンドレニ。やたらとエレナをかばっている様子があり、傍から見ればお互いをかばい合っているようにも思えるのです。この夫婦の妙な雰囲気は隠し切れず、ポアロも二人を怪しいと踏むものの……。
アンドレニを演じるのはセルゲイ・ポルーニン。本業がバレエダンサーであり、彼の職業を考慮してアンドレニの仕事も「バレエダンサー」となっています。
ピラール・エストラバドス/ペネロペ・クルス
何やら不思議な発言や雰囲気で周りを惑わせるピラール。宣教師であり、“ある事件”がきっかけでその職業になったのだとか。客室はメアリと同室という立派なアリバイがあるのですが、果たして彼女は何を考えているのでしょうか……。
ピラール役はペネロペ・クルス。日本ではシャンプーのCMで広く知られ『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『誰もがそれを知っている』などにも出演しています。
ビニアミノ・マルケス/マヌエル・ガルシア=ルルフォ
自動車販売をしている人物であり、登場人物の中では最も陽気なキャラクターです。作中では事件に関係なさそうな雰囲気があり、あまりこれといった活躍の場面はありません(笑)ですが彼にも立派なアリバイがあり……。
マルケス役はメキシコの俳優、マヌエル・ガルシア=ルルフォ。映画だけでなくテレビドラマでも活躍しています。
ゲアハルト・ハードマン/ウィレム・デフォー
ラチェットの護衛の探偵、という肩書きでしたが、ポアロにそれが嘘だとすぐに見抜かれてしまいます。突然現れて銃を構えるなど物騒な行動が目立ち、やたらと人種差別をするような発言をするのですが……。
ハードマン役はウィレム・デフォー。『スパイダーマン』シリーズや『アクアマン』などで知られるアメリカ人俳優です。
ピエール・ミシェル/マーワン・ケンザリ
オリエント急行の車掌であるミシェル。ラチェットの部屋を確認したり、夜通し車掌として見張りをしたり、彼のアリバイはポアロがその目でしかと確認しています。事件からかなり遠そうな人物ですが……。
ミシェル役はマーワン・ケンザリ。オランダの俳優でありコメディアンとしての顔も持っています。
『オリエント急行殺人事件』のラストシーンを考察!
『オリエント急行殺人事件』にて容疑者の罪を見逃す」部分に衝撃を覚えた人も多いはず。よくあるミステリーには考えられない、斬新なストーリー展開です。ラストシーンをじっくりと考察していきましょう!
なぜポアロは罪を見逃したのか?
乗客全員がラチェット殺害の容疑者だったのですが、ポアロはそれを見逃がし、警察へは「何者かが侵入して殺害し、犯人は逃亡した」と説明しています。本来なら探偵にとってあるまじき行為。ましてや彼は「善悪はハッキリとつけるもの」という探偵らしい考えを持っている人物なのですから、このラストには余計驚いた方も多いはずです。
しかしアームストロング誘拐事件の概要により、ポアロの考えは徐々に変わっていきます。まず事件によって多くの人間が深く傷つき、悲しんでいること。ラチェットに対して同情する価値すらなかったこと……。ここで乗客全員を突き出せば、どんな背景を持っていようと一瞬にして“犯罪者”です。最初から傷ついた人々を更に苦しめる結果となってしまうでしょう。
今まで善と悪に対して区切りをきっちりつけていたポアロも今回の件では激しく悩み、その結果見逃すという答えを導き出したのです。
最後の晩餐のような画、その意味は?
出典:西洋絵画美術館公式サイト
後ほど「原作との違い」でも解説していますが、ラストシーンの謎解きは乗客全員がトンネルの中にいる状態で行われます。全員が横にズラリと並び、まるで絵画の「最後の晩餐」をイメージしているかのよう。
「最後の晩餐」とはイエス・キリストの処刑前日に12人の弟子と食事をしている風景を描いたもので、中心にはキリストがいます。これを作中の画に置き換えると、真ん中にいるのはハバード夫人になっていますね。彼女は首謀者ですから、要するに“裁きを受ける者”ということを忠実にあらわしています。
またキリスト=ハバード夫人ですから、彼女の意見に賛同した人間が横へ並んでいるという見方もできますね。
映画『オリエント急行殺人事件』と原作の5つの違い
その①キャラクターの職業に変更有
アーバスノットは医者として登場していますが、原作ではイギリス軍の大佐として登場しています。なのでアームストロングの恩恵を受けて医者を目指した、という設定とはかなり異なっていることが分かりますね。本来は医者として別の人物・コンスタンティンが登場しています。コンスタンティンの活躍はなかなかのもので、ポアロと一緒に捜査を共にしていくキャラクターのため、登場していないのは非常に残念です。
そしてアンドレニ伯爵はダンサーとなっていますが、実際は外交官。演じているセルゲイ・ポルーニンがバレエダンサーだったことから設定が変更されたそうです。
その②マックィーンはアルコール依存症じゃない?
原作ではマックィーンがアルコールに溺れることなく、ラチェットの金を使い込むこともありませんでした。マックィーンの疑いを高めるために後々追加された設定だと思われます。
その③ポアロのアクションシーンは映画だけ!
アーバスノット医師と揉みあいになったり、列車の上に登ったり……実はコレ、映画限定のアクションシーンなんです。原作は淡々と謎解きが続くので、映画は少しばかりスリル満点の演出となっていますね!よりミステリーらしいのは原作ですが、映画ならではのハラハラ具合が追加されているのも見どころの一つです。
その④真相を突き止める場所がトンネルではなく……
最後の種明かしですが、原作では乗客を食堂に集めて行っています。しかし映画はトンネルの中であり、乗客全員をズラリと横に並べていたのが印象的ですね。「最後の晩餐」の意味を知っていればピンとくるのですが、絵画の意味が分からないとちょっぴり理解のしづらいシーンでもあります。
その⑤事件解決の仕方が異なっていた!
元々はコンスタンティン医師と力を合わせて謎解きを行っていくポアロ。映画では彼がそれとなく警察に説明して終わっていましたが、原作では二人で口裏を合わせたうえで事件を隠蔽するのです。
映画だと自分一人でふっと抱えるポアロの人間性が見えるので、どちらの終わり方もしっくりとくるような気がしますね。
まとめ
ミステリーながら探偵自ら「真実を闇の中へ葬る」作品は、そう見られないのではないでしょうか?乗客全員の完璧なアリバイと危うさに、きっと虜になってしまうこと間違いなし!非常に“善悪”について考えさせられる映画ですので、一度は鑑賞していただきたいもの。
原作や1974年版と併せて観ることでより理解が深まると思います。続編の「ナイル川の殺人」も要チェックですよ。
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