【ネタバレ考察】『ミッドサマー』のあらすじ&伏線を徹底解説!映画の舞台はまさかの日本…?
映画『ヘレディタリー / 継承』で一気に知名度を上げたアリ・アスター監督の最新映画『ミッドサマー』。終始光が降り注ぐ美しい舞台で物語が展開される、異色のホラー映画です。
心霊こそ現れないものの、人間達の生み出す狂気が酷く恐ろしいのでトラウマになる人が続出したのだとか….。
しかしただ怖いだけでなく、その世界観に引き込まれてしまうのも魅力の一つと言えるでしょう。しかも映画を手掛けたアリ・アスター監督は、日本を舞台にホルガ村を考案したというのですから驚きですね!
この記事では、映画『ミッドサマー』をネタバレ有りで考察していきます!!
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目次
白夜の狂宴に背筋も凍る!映画『ミッドサマー』について
出典:ミッドサマー公式HP
前作の『ヘレディタリー 継承』が大ヒットしたため、『ミッドサマー』の公開は大きく期待を寄せられていました。というのも、『ヘレディタリー / 継承』が「2018年で最も怖いホラー」と評価されていたからです。
最恐ホラー映画『ヘレディタリー/継承』のネタバレ解説&伏線回収監督アリ・アスター氏の作品の持ち味は生々しい、じっとりとした怖さ。モンスターや心霊が現れる「ビックリ系」の怖さではなく、身近に潜むようなリアルさが人気の理由です!ホラーやスリラーが苦手な人にはちょっぴり辛い、切れ味の鋭さがありますが、好きな人にとってはたまらないでしょう。
『ミッドサマー』はホラー映画でありながら、全編を通して暗い画がないことで大きな話題に。基本的にホラー=薄暗い、というイメージがありますので、その斬新な発想に多くの人が注目しました。ちなみに本作は「フェスティバルスリラー」と称しており、その単語も目新しく注目を浴びました。
ホルガ村のモデルは日本?
アリ・アスター監督はインタビューで『ミッドサマー』をつくるにあたり、今村昌平監督作の『楢山節考(ならやまぶしこう)』(1983)を参考にしたと言っています。
『楢山節考(ならやまぶしこう)』は民間伝承の棄老伝説を題材とした小説を映画化したもの。山奥にある貧しい部落の慣習にならって年老いた母を背板に乗せて真冬の楢山へ捨てにゆく物語です。自ら進んで「楢山まいり」の日を早める母と、優しい孝行息子との愛情が悲惨な行為と相まって描かれています。
批評家からも絶賛され、1983年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞しています。
日本人の特に慣習に倣う傾向と、儀式に対してのこだわりの強さを参考にしたんだとか。確かにお墓参りや成人式など、形式的なものが多いですし、根強く残っていますよね。
10秒で分かる映画『ミッドサマー』の簡単なあらすじ
出典:A24公式Youtube
大学生のダニーはメンタルが不安定な面があり、恋人であるクリスチャンに頼り切りの日々を過ごしていました。そんな中、ダニー同様精神状疾患を抱える彼女の妹が、両親を巻き込んだ一家心中にて死亡。ダニーの精神不安は、更に大きいものとなってしまったのです。
一方でクリスチャンは不安定なダニーにうんざりしている最中。別れたい気持ちも強く、周りの友人にも本心を打ち明けていますが、最後の一言がどうしても言えません。
次の夏、クリスチャンは友人・ペレの誘いで、スウェーデンのホルガ村に行く予定を計画。そこでは90年に一度の夏至祭が行われており、彼らは論文を書くために向かうのだとか。
ダニーにはその計画を一切を知らせていなかったため、激怒されてしまいます。ですが、ひょんなことから彼女も旅行へ同行することになります。
ホルガ村には雲一つない青空が広がり、明るい村人に迎え入れられて満足げな学生たち。しかし徐々に「ミッドサマー(夏至祭)」の狂気に気づいてしまい――。
映画『ミッドサマー』のネタバレあらすじ
以下、ネタバレとなりますのでご注意ください!
【あらすじ①】不安定なダニーと別れたい彼氏
大学生のダニー(フローレンス・ピュー)には躁うつ病を患っている妹がいた。彼女からのメールに嫌な予感を感じていたので、彼女本人も不安定になっていたのである。彼氏のクリスチャン(ジャック・レイナー)に電話をして気持ちを落ち着かせるものの、なかなか安定はせず、抗不安薬にさえ手を出している状態。
電話口で彼女をなだめるクリスチャンですが、本心は相当うんざりしているご様子。周りの友達にも別れを促されるほどで、付き合いをやめるか悩んでいる雰囲気が流れている。
電話がやっと切れたと思ったら、再び繰り返されるダニーからの着信。半分呆れた様子で電話に出ると、ダニーの妹が両親を巻き添えに一家心中してしまった事実が耳に飛び込んできたのだった。
ダニーにうんざりしていたクリスチャンでにも、この件には動揺を隠せない。そして彼は踏みとどまってしまい、遂に別れを切り出すことは出来なかった。
【あらすじ②】90年に一度の夏至祭へ
クリスチャンはダニーを気遣って、パーティーへ誘い出す。彼の気遣いは嬉しかったものの、そこでクリスチャン達がスウェーデンのホルガ村へ行く計画を立てていたことを知ってしまう。友人のペレによる誘いで、その地では90年に一度の夏至祭が行われるとのことだった。
教えてくれなかったことにダニーは大激怒!結局隠し事をしていたクリスチャンは罪悪感に苛まれ、ダニーを誘ってご機嫌をとることに。
夏至祭へと誘ったペレはスウェーデンからの留学生で、夏至祭には兄弟や親戚などが集まっているのだとか。
ダニー、クリスチャン、マーク(ウィル・ポールター)、ペレ(ヴィルヘルム・ブロングレン)、ジョシュ(ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)はウキウキでスウェーデンへ。
ホルガは雲一つない青空に、広がる大自然。白装束を着た男女の集団が踊り、色どりの鮮やかな花冠が美しい。素晴らしき情景が辺り一面に広がっていた。
そして村人は彼らを優しく受け入れ、辺り一面には穏やかな柔らかな空気感に包まれていた。。現地にはサイモン(アーチー・マデクウィ)とコニー(エローラ・トルキア)という男女もいて、二人もまた夏至祭に招待された人物だそう。
【あらすじ③】笑顔と青空の下で繰り広げられる恐怖
夏至祭は9日間にわたって開催される予定で、食事は全員でとるのが基本中の基本。食事も初老の男女が上座に座り、この二人が食べなければ始まらない……という特殊な風景が繰り広げられている。ダニーらは少々動揺するものの、村人に合わせて食べ進めることにした。
食事が終わると、村人は一斉に崖のある場所へ。よく分らないまま、一同も後を追うことに。すると崖の上には先ほど上座に座っていた初老の女性が立ち尽くしていた。
崖の下から人々が見守る中、なんと女性は崖から身を投げてしまったのだ!驚きのあまり動揺を隠せないダニー達。すると続いて初老の男性も飛び降り、床へ叩きつけられる鈍い音が響く……。
女性は即死だったが、男性はまだ息を引き取っていない。すると村人は男性の顔めがけて、鈍器を振り下ろすのだった。
潰れる男性の顔、あまりの急な事態にパニックになるダニー。仲間も衝撃的な光景にどうしていいか分からず、嫌な雰囲気になってしまう。だが村長は「この儀式は村の伝統。歳を取り続けて死んでいくよりもこれが彼らにとっての幸せだと主張。
なかなか理解できない理論で、スウェーデンに訪れた若者たちの空気は徐々に悪化していくのだった。
声を荒らげて抗議するサイモンとコニー。翌日コニーが荷物をまとめて出ていこうとすると、サイモンの姿はどこにも見当たらない。村人曰く、サイモンはすでに先に駅へと向かっていったとのこと。不思議に思う一同ですが、その時は何の疑いも持っていなかったのだ。
【あらすじ④】次々と起こる異変
元々この夏至祭を論文にしようと思っていたのは、友達のジョシュ。しかし先程の老人の死を見て、クリスチャンは動揺しながらも「この儀式を論文にする」と言い出し、二人は口論になってしまった。
村の儀式は秘密で行われているもののため、村長が許可を下さないと論文には書いてはならないとのこと。ジョシュはペレにお願いして、村長に聞いてもらうことに。
結果的に写真撮影や人名や地名をだすことはNGという条件付きではあるものの、許可が下りた。だがジョシュは条件を守らず、村の古い本が納められている地に入り込みスマホでシャッターを切ってしまう。すると後ろから頭を酷く殴られ……彼は血を流しながら倒れてしまった。
食事の時間になっても現れないジョシュ。それおろか朝方枯れ木をトイレ替わりにし、老人に激昂されていたマークの姿も見当たらないのだった。しかし夏至祭は顔色一つ変えず続いており、困惑しているのはダニー達だけである。
ダニーは村の女性達に誘われて、踊りの競争へ参加させられることになった。皆で同じ服を着て、花の冠をつけ、最後の一人まで踊り続けるという村独特の競争だ。
一方である女性から呼び出しを受けたクリスチャン。実は数日前からある少女から求愛行動を受けており、その子との性行為を促されているのだった……。
クリスチャンは薬を使われ、全裸の女性たちが取り囲む中少女とセックスに勤しんでしまう。歌を歌いながら二人の行為を取り囲む女性達、異様な光景だが、彼にはもう考える能力さえ残っていない。
そんなこともダニーはつゆ知らず踊り続け、なんと最後の一人「メイ・クイーン」へと昇り詰めていた。村人は祝福し、ダニーは色とりどりの花で飾られたテーブルの上座へ着席。ここから村の方策を願う儀式が行われ、畑へと向かうことに。
しかし“ある歌”が気になって、ダニーはその歌の方向へ向かってしまった!すると中には、少女とセックスをするクリスチャンの姿が……。ダニーは自分の愛する恋人が、見知らぬ村人とのセックスをする場面を目の当たりにしてしまったのである。
泣き崩れるダニー。そして彼女に同調して喚く村人たち。
クリスチャンは我に返り、裸のまま部屋を飛び出して納屋へ入って行った。気が動転したまま納屋を見回すと、見るに堪えないサイモンの死体が目に飛び込んでくる。慌てて引き返そうとすると、彼の背後には村人がいた。粉状の薬を吹きかけられ、意識を失ってしまったのだった……。
【あらすじ⑤】夏至祭の本当の目的とは……
遂に村では生贄を捧げる儀式が始まった。生贄は9人が必要だとされていて、すでに初老の2人は崖の上から飛び降りて亡くなっている。そしてサイモン、コニー、マーク、ジョシュも殺されているので、生贄に必要な人数は残りは3人。
村人からは生贄を志願する2人が現れ、残りは1人。すると肝心の9人目を、「メイ・クイーン」となったダニーへ選ばせるという流れに。
村人の一人か、クリスチャンどちらを選ぶ?という問いに、ダニー迷わずクリスチャンを選んでしまう。夏至祭に誘ったペレは、生贄を捧げるために彼らをスウェーデンへ連れてきたのだ。
9人の生贄は小屋に運ばれ、クリスチャンは薬で身動きが取れない状態に。そのまま小屋は点火され、激しい炎が空へと勢いよく舞い上がった。
泣きながら悔しそうに燃え上がる炎を見つめていたダニー。しかし彼女の顔には、うっすらとした笑顔と、大粒の涙が浮かんでいた。
映画『ミッドサマー』のキャスト紹介
それでは、映画『ミッドサマー』に出演したキャストを紹介していきます。
ダニー役:フローレンス・ピュー
出典:ミッドサマー公式HP
精神不安定で恋人とうまくいかないダニー。悲劇のヒロインと現わしても間違っていないのかもしれません。最終的には「メイ・クイーン」へと昇り詰め、ホルガ村の一員となったように思えますが……とても「幸福になった」とは言い難いキャラクターです。
そんな難しい役どころを演じるのは、フローレンス・ピュー。24歳と若くしてアカデミー賞・助演女優賞にノーミネートされた実力派女優です。まだ出演作品は少ないものの評価は高く、今後も期待度が高まりますね!
クリスチャン役:ジャック・レイナー
出典:ミッドサマー公式HP
ダニーと別れたいけれど言い出せない、見ていてやきもきさせられるキャラクターのクリスチャン。男らしくないと言ってしまえばそれまでなのですが、彼の気持ちが分かる!という男性も多いのでは?最後には生贄にされてしまい、ダニーに「復讐」をされてしまった哀れな男性です。
煮え切らないクリスチャンを演じるのはアイルランドの俳優、ジャックレイナー。2010年にプロの俳優としてデビューしてから様々な作品に出演されています。第10回アイルランド映画&テレビ賞の主演男優賞を受賞している、期待の若手俳優さんです。
マーク役:ウィル・ポールター
出典:ミッドサマー公式サイト
クリスチャンの友人であるマーク。序盤にクリスチャンがダニーからの電話でうんざりしている時、真っ先に別れを促していた人物ですね。ちょっとチャラい感じの、「今時の男の子」といった印象が強いでしょう。ホルガ村にさえ足を踏み入れなければ、今頃普通の生活が過ごせていただろうに……とさえ思ってしまいます。
そんなマークを演じるのは10代から俳優を続けるウィル・ポールター。『ナルニア国物語』や『メイズ・ランナー』にも出演していたため、見かけたことのある人は多いはず。2014年にはイギリスでのアカデミー賞で「ライジングスター」賞を受賞しました。
ペレ役:ヴィルヘルム・ブロングレン
出典:ミッドサマー公式サイト
全ての悪の元凶……といっても過言ではないペレ。彼らの友人でありながら、甘いマスクでホルガ村へと誘い出した人物です。家族を亡くしたダニーに「僕も両親をなくしているから……」と寄り添う姿は、鑑賞後に思い出すとゾッとしてしまうかも。
物語の重要なポジションであるペレを演じるのはヴィルヘルム・ブロングレン。彼自身もスウェーデン出身だそうで、俳優やミュージシャンとして活躍しているそうです。まだ出演作は少ないですが、素晴らしい演技力の持ち主で観る者を魅了します。
ジョシュ役:ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
出典:ミッドサマー公式サイト
ジョシュがホルガ村へ行った理由は、論文を書くためです。それをクリスチャンが途中から「オレも儀式のことを論文にする」と言い出したのを怒っていましたが、無理のない話ですよね。好奇心や探求心が勝ってしまったがために命を落とした、可哀想な青年でもあります。
ジョシュを演じるのはウィリアム・ジャクソン・ハーパー。ミッドサマーのメインキャストは皆20代で非常に若いのですが、ウィリアムは40歳のベテラン俳優!登場人物の中でも全く浮かずに、大学生を最後まで演じ切っているのが素晴らしいですね。「遅咲きの俳優」として有名であり、現在も様々な作品に出演中です。
新感覚!真昼間のホラー映画『ミッドサマー』が怖い3つの理由
アリ・アスター監督が創り出した新ジャンルのホラーである本作がなぜこんなに怖いのか?
話題作(問題作⁉️)となった理由を解剖していきます!
①物語の序盤から不穏な空気
主人公のダニーは精神的に不安定。のっけから家族をなくし、恋人にも煙たがられ、挙句ご機嫌取りをされてホルガ村へ向かう……。こんな不穏な始まり方をする物語、あなたは観たことがありますか?
よくある物語の流れだと幸せな日常が奪われたり、絶体絶命に陥っても必ず救われる、というものが多いですよね。『ミッドサマー』は最初からマイナスの始まりで、最後までマイナス度が酷くなっていくというある意味救いようのない物語。
見方を変えればホルガ村に染まってしまったダニーは、ある意味幸せなのかもしれません。でもそれは偽りの幸福であり、決して本物ではないのでしょう。
②村人の笑顔や統一感の恐怖
村人は皆同じ白装束を着て、常に笑顔が絶えません。ホルガ村へ到着したダニーらを嫌な顔一つせず受け入れ、一見朗らかな印象を受けます。
ですが毎日踊り、歌い、食事も睡眠も同じタイミングで行われるのです。物語の序盤は柔らかい雰囲気に包まれているのですが、観続けているとこちらまでおかしくなりそうな、宗教染みた空間が滲み出ています。
笑顔の裏には何があるか分からない……という気分にさえなってくるので、ジワジワと心理的に追い詰められてくる感覚がします。
③鑑賞サイドも困惑する、終始明るい舞台
ホラー映画だからといって、何も恐ろしき現象が必ずしも夜に起こるわけではありません。むしろ本作は夜に悲劇が降り注ぐことはなく、「常に昼間に何か起きている」というパターン。
太陽が降り注ぐ青空の下で、初老の男女が飛び降り、血を流す様は誰もが動揺することでしょう。周りが明るいので基本的に全て丸見えなのも怖いところ。くれぐれもグロ耐性がない方は、お気をつけ下さいますよう……。
【考察】映画『ミッドサマー』に隠された5つの真実
映画を観ただけでもゾッとする内容ですが、これを知ればゾクゾク度は2倍、3倍に膨れ上がるはず。
実はあの描写にはこんな意味が……と驚く真実を考察しました。これ以上真実を知りたくない方は、この時点で引き返すのをオススメします(笑)
考察①度々映る「絵」が表しているもの
作中では不気味な絵が描かれたタペストリーが登場しますが、これは一体何を意味しているのでしょうか?
よーくよーく観て欲しいのですが、序盤に登場する絵はこの物語の最初からオチまで、全てが描かれているのです!劇場では一瞬しか確認できなかった方も、自宅ではぜひ再生を止めてじっくりと見て欲しいもの。
不幸のどん底にいるダニー、そしてラストシーンまでが一枚のタペストリーにまとめられているのです。
そして生贄の一人、イングマールが「ラブストーリー」と称したタペストリー。3コマ目を見てみると、何やら女性が男性へ食べ物を渡していますよね。これはクリスチャンに対して求愛行動をした女性と全く重なっているんです。
何気なく登場する絵も、実は物語とぴったりリンクしているんですね。
考察②奇形の子供が生まれる理由
出典:IMDb
作中にチラッと、奇形と思われる子供が映るシーンがありました。これはホルガ村では近親相姦による出産が行われていることを示唆します。
近親交配では遺伝子の関係上、生涯を持つ子供が生まれやすいというデータがありますので、それを立派に裏付ける描写でしょう。クリスチャンに迫った女性を見ても分かる通り、一族は存続のために外部の種が欲しいのです。近親交配に限界を覚えていたのかもしれません。
考察③飛び降りる儀式、実在していた
鑑賞者の心をえぐる衝撃のシーン、生贄二人の飛び降りですが、実はスウェーデンで実在していた儀式なんです。
「アッテストゥパン」という名称であり、一族に貢献できなくなった者(=老人)が崖から飛び降りる風習。年齢を重ねることにより一族の力になれなくなるため、こうした儀式で生涯を終えるのだそう。
『ミッドサマー』では飛び降りた老人を思いきりハンマーで殴っていましたが、こちらもフィクションではありません。それ専用の道具が存在していたとまで言われているとか……。
アッテストゥパンは崖で行われますが、要するに姥捨て山のようなものと考えて構いません。実在していたなんて、怖くて信じたくないですよね。
考察④「熊」が意味するもの
出典:IMDb
度々登場する熊ですが、北欧神話などではシンボルとなりえる動物。熊を崇拝の対象とし、子孫繁栄や強い力を分け与えて貰えると信仰していたのです。
なので、ラストシーンでクリスチャンが熊の毛皮を着させられていたのは、まさに子孫繁栄(=女性との性交)、強さ(=男性)であるこの二つを満たしていたからではないでしょうか。
生贄として死んでいくことを称える意味も含まれているでしょうし、本性はケモノと皮肉っている部分もあるはず。ダニーに対して真っすぐでなく、友達の論文の題材を盗ろうとしていますからね……。
崇拝している熊をこのように表現するアリ・アスター監督の小技には、もう脱帽です!
考察⑤夏至祭は合計9日間、だが本作では……
「ミッドサマー」と呼ばれる夏至祭は合計で9日間行われるそうですが、よく考えてください。本作を最後まで観ても、9日間の時が経っているようには思えないですよね。
到着してから彼らはすぐに怪し気な点に気づきますし、そこから一人、また一人といなくなるペースが速いです。
あくまで推測ですが、ダニーがメイ・クイーンとなるまでに9日間の時間は要していないことが考えられるでしょう。
この後もダニーはホルガ村で幸せに(?)暮らすのかもしれませんが、もしかすると残りの日数で何かが起きているかも……。想像するだけで恐ろしくて仕方がありません。
映画『ミッドサマー』のネタバレまとめ
青空の下で異様な宴が行われる、異色のホラー映画『ミッドサマー』。今までのホラー映画の概念を壊してくれる、新感覚の作品と言えるでしょう。心霊やモンスターが登場するホラーではなく、どこかサスペンス要素も含んでいるので飽きずに最後まで鑑賞できるはず。
くれぐれも、恋人や家族と観るのはご注意ください!一人でじっくりと鑑賞し、作中に散りばめられた伏線を回収するのも面白いです!