映画『パニック・ルーム』あらすじネタバレ解説!密室に閉じ込められた親子の結末は…?
緊急避難用の小部屋「パニック・ルーム」の閉じ込められた親子と、その部屋に隠された財産を欲しがる泥棒たち……。一軒家という密室でお互いの攻防が描かれたサスペンス映画が『パニック・ルーム』です。
ただ怖いだけでなく、それぞれが事情を抱えた上で展開されるストーリーに目が釘付け!限られた登場人物、限られたシチュエーションは視聴者の緊張を大きく煽ることでしょう。ソリッド・シチュエーションスリラーの要素も混じった完成度の高い作品です。
思わず応援したくなる母・メグの行動力、機転の利く娘・サラなどキャラクターも非常に魅力的。気づけば112分間があっという間に過ぎ去るほどの面白さがありますよ!!
本記事はネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意くださいね。
目次
映画『パニック・ルーム』について
2002年にアメリカで公開された『パニック・ルーム』。家の緊急避難用の小部屋に閉じ込められるパニック系ミステリーで、舞台となるのはメグの家のみ。緊迫感溢れる世界観には思わず脱帽してしまうほどです。
シンプルな設定ながらカメラワークにもこだわりを見せ、我々の不安が一層増す演出となっています。この部分はヒッチコック監督の作品を意識しているのだとか。サスペンスの神と言われた人物ですから、『パニック・ルーム』におけるその再現度は非常に高いと言えるでしょう。
監督は『セブン』や『ファイト・クラブ』などで有名なデヴィッド・フィンチャー。サスペンスやミステリーを得意としている監督であり、見ごたえバツグンな作品を次々と輩出しています。
2020年のアメリカで公開予定だった最新作『Mank/マンク』は、Netflixの日本版で配信予定。彼のファンならぜひチェックしておきたいですね。
10秒で分かる!映画『パニック・ルーム』の簡単なあらすじ
出典:IMdb
夫の浮気が発覚し、離婚に至ったメグ(ジョディ・フォスター)は娘のサラ(クリステン・スチュワート)を連れてマンハッタンの豪邸へ住むことに。家にはトラブル対策の緊急避難用の小部屋「パニック・ルーム」もついており、セキュリティが万全状態であった。
本来なら入居まで日数を要する物件だったのだか、不動産屋の不手際で即入居が可能となってしまう。
元々この家は富豪の老夫婦が住んでおり、その財産を狙う男3人組がいた。財産はあの「パニック・ルーム」に隠されているが、空き家と聞いていた彼らにとって、住人がいたことは大誤算。引くに引けないため、そのまま盗みを強行突破しようとする。
そして引っ越し早々トラブルに巻き込まれる親子。パニックルームへと逃げ込むが、泥棒らの目的はそこにある財産であり……。豪邸での恐ろしき攻防が今、幕を開ける。
映画『パニック・ルーム』のネタバレあらすじ
【あらすじ①】マンハッタンの大豪邸
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母親のメグ(ジョディ・フォスター)と11歳の娘・サラ(クリステン・スチュワート)は不動産屋と共に内見へ来ていた。マンハッタンの一等地にふさわしき豪邸であり、以前は富豪の老夫婦が住んでいたという。
脚が悪い老人のためにエレベーターが設置され、セキュリティ対策もバッチリ。トラブルが起きた際に使用する避難用の小部屋「パニックルーム」も備えられていて、中から監視カメラで外の様子を確認できる仕組みだ。
母娘だけでは少々不安な暮らしにとって、これは嬉しい設備である。閉所恐怖症のメグはパニックルームに少々嫌悪感を覚えたものの、この家の資金は離婚した夫・スティーブン(パトリック・ボーショー)が工面することとなっている。
彼がモデルと不倫したため引っ越す運びとなり、心の痛みを隠し切れないメグ。サラへ相談もせず、豪邸への入居を迷わず決めた。
だが家を変えたところで傷が癒えることはない。新たな生活がスタートしたものの、彼女の中ではモヤモヤとした感情が渦巻いていた。
【あらすじ②】手違いの引っ越しと困惑する強盗たち
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防犯用の設定を行い眠りにつくメグ。だかその頃、豪邸には怪しき男ら3人の影があった。防犯装置を無理矢理解除し、中へ侵入してきてしまったのだ。
彼らは以前住んでいた老夫婦の財産が目的で、3人組の1人であるジュニア(ジャレッド・レト)がその夫婦の甥っ子であり、財産をたっぷり所持していることは確認済み。この強盗計画を立てたリーダー格なのである。
そして黒人のバーナム(フォレスト・ウィテカー)は警備会社に勤めており、セキュリティに関する知識があった。生活に困窮しているため、ジュニアの計画に乗ったのだが……。
ジュニアが彼に言わず謎の人物・ラウール(ドワイト・ヨアカム)と連れてきたこと、この物件が空き家と聞いていたのに住人がいたことと、早速聞かされていた話と違うことから軽い揉め事が発生。3人のチームワークはのっけから最悪な雰囲気となる。
どうやら不動産屋の手違いで、本来は住んではならぬ期間内にメグら親子を引っ越させてしまったらしい。
空き巣を働く予定が強盗へと変更となる始末。「オレは降りる」と言い放つバーナムだが、金が必要な事実は変わらない。ジュニアに説得され、致し方なく犯行へ及ぶこととなった。
【あらすじ③】パニックルームからおびき出す作戦
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目を覚ましたメグは強盗が侵入していることに気づき、サラを叩き起こした。彼らと鉢合わせになってしまい、例のパニックルームへと非難する。
強盗の目的はパニックルームにある隠し遺産であるため、立てこもられるのは困る。だが不用意に外へ出られて警察へも通報されたくない……。どうにか避難所の外へ誘導できるよう策を練らねばならないのだ。
浅はかなジュニアとラウールは力づくで外側からパニックルームを突き破ろうとするが、警備会社にいたバーナムはあの部屋がヤワな作りでないことを知っている。
親子らが死なない程度に通気口からガスを送り込み、おびき出す方法を考えたが、メグはルーム内にあったチャッカマンで応戦。部屋の外では爆風が巻き起こり、ジュニアが酷いやけどを負うことになった。
そもそもガスを送り込む手段を考案したのはバーナムだが、“あくまで死なない程度に”だ。しびれを切らして早く仕事を片付けようとしたラウールが量を増やしたせいで、返り討ちにあってしまったのである。
またも3人は大揉めし、序盤よりも関係性は遥かに悪化しているのだった。
【あらすじ④】助けに来た夫
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強盗の様子をルーム内の監視カメラより確認するメグ。スキを狙って電話機と電話線を部屋から回収する作戦に出た。
一瞬パニックルームから飛び出し、持ち込むことに成功。夫のスティーブンや警察に電話をかけるものの、強盗らの妨害により途中で電波が途切れてしまった。
妨害にうまくいった3人だが、またも分け前の件で大喧嘩。遂にリーダー格であったジュニアが「降りる」と言い出し、家から出ようとすると――。凶暴なラウールが彼を撃ち殺してしまう。最も危険人物と2人になってしまったバーナムは半ば強制的に犯行を続けねばならなくなった。
そしてタイミング悪く、家にはスティーブンがやってきてしまう。先ほどの途切れたメグの電話を気にして様子を見に来たのだ。けれどもラウールへ捕まり、酷い暴行を受けてしまう。
監視カメラ越しにその様子を見ていた親子は激しく落胆する。助けに来た彼もまた、人質となってしまった。
そしてサラの持病である糖尿病の発作が起こり、注射をしなければ危険な状態に。注射は部屋に置きっぱなしのため、メグは再びルームの外へと出ていった。
そこでラウールとバーナムの策に引っかかり、娘を残したままメグは外へと残されてしまう。幸いにも注射はパニックルームへ滑り込ませたが、密室には強盗とサラだけで……。
【あらすじ⑤】攻防の結末
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強盗2人も追い詰められた状況で、先ほどの揉み合いでラウールは扉に激しく腕を挟まれ損傷していた。
マイクで外のメグとやり取りするバーナム。彼にも娘がおり、最初から殺人はしない予定だった。メグの要求を飲み、サラへ注射した後に財産の隠し場所へと手を付けようとする。
そしてスティーブンは「警察を呼んでいない」と言っていたが実は通報済みで、警官が訪ねてくる。だがあっさりと家へ上げてしまえばサラが殺されるかもしれない。メグは演技をして追い返すが、妙な怪しさに警官は気づいていた。
パニックルームでは遂に隠し財産を発見――、床下には銀行債2200万ドルが隠されていた。
目的を達成しズラかろうとする強盗だが、メグやスティーブの行動により追い詰められる2人。揉み合いとなり、バーナムは1人で逃亡しようとする。
メグはラウールに押し倒されて危機一髪となるが、戻ってきたバーナムが彼を射殺。一命を取り留めたのである。
彼は再度逃亡するるものの警察が押し入ってきたため逮捕、騒動はようやく終息を迎えたのである。だがスティーブンは死亡してしまった……。
後日、新聞で新居を探す2人。ようやく親子の和やかな日常が取り戻されたのだった。
映画『パニック・ルーム』のキャスト
メグ/ジョディ・フォスター
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離婚直後で傷ついた心が癒えないメグ。夫・スティーブンへの未練がまだ残っており、彼への当てつけで豪邸へ住むことに決めたようなもの。それなのに引っ越し早々トラブルに巻き込まれ……。これほど“災難”といった言葉がぴったりな状況はないかもしれません。
身を削ってサラを守る姿に誰もが「母は強し!」と思ったことでしょう。非常に勇敢でパワフルな印象を抱くキャラクターです。
メグを演じるのはジョディ・フォスター。子役から活動し『タクシードライバー』で注目の的となり、『羊たちの沈黙』や『ダウンタウン物語』などヒット作へ次々と出演。監督業も務めるベテラン女優さんです。
サラ/クリステン・スチュワート
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ちょっぴり生意気で冷めた雰囲気の娘・サラ。メグの心理を突くような発言にはドキッとさせられるものがありましたね。冷静で頭がよく回り、パニックルームからの脱出やSOSを求めるために機転を利かせます。
そしてラストでは暴れまわるラウールに飛び掛かるなど、母親譲りのたくましい一面も!親子ともども応援したくなる、とても魅力的なキャラクターです。
サラを演じるのはクリステン・スチュワート。美しきルックスに抜群の演技力、アメリカ国内でも「30歳未満で稼ぐセレブ」として話題に。目が離せない若手トップ女優の1人です。
バーナム/フォレスト・ウィテカー
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豪邸への侵入も消極的で、致し方ない理由から犯行に及んだバーナム。親子を殺すまいと資産だけ奪う術を考えますが、仲間達とどうも折り合いがつきません。
最後まで善人である心は捨てきれず、メグを危機を救うなどの心優しき一面を見せました。しかし彼のしたことは犯罪ですからね……。結局警察に見つかり、逮捕されてしまうのです。
バーナムを演じるのはフォレスト・ウィテカー。アフリカ系アメリカ人俳優ではトップを走り続ける人物で『バード』、『96時間/レクイエム』などに出演。賞レースでも多くの成績を残しています。
ラウール/ドワイト・ヨアカム
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ラウールは犯行のリーダー格であるジュニアより、警備に関しての知識があるバーナムより、最も“ヤバい奴”ということが中盤で明らかになります(笑)誰よりも凶暴で歯止めが効かず、あのまま生かしておけば最悪の状況になっていたかもしれません。
予想のナナメ上をいく行為で、強烈なキャラクター性を放っている……。そんな存在ではないでしょうか?
ラウールを演じるのはドワイト・ヨアカム。元々は歌手として活動していたのですが、俳優業も同時にこなしています。今回のラウールのような危険なキャラを演じる機会が多く、その演技力にも注目ですよ!
ジュニア/ジャレッド・レト
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主犯ながら計画を立てるのがヘタで、行き当たりばったりなジュニア。リーダー性はほぼ皆無で、全てがいつも思いつきです。
そんなやり方が仇となったせいで、自身が連れてきたラウールに射殺されてしまいました。本作ではある意味可哀想なキャラクターかもしれません。
ジュニアを演じるのはジャレッド・レト。ミュージシャンや俳優として活動しており、『アメリカン・サイコ』や同監督の作品『ファイト・クラブ』で観たことがある人も多いはず。主に映画を中心に出演しています。
映画『パニック・ルーム』の疑問を解説
決して難解な内容ストーリーではないものの、ちょっとしたシーンで「あれ?」と疑問を抱いた人もいることでしょう。
物語を最後まで観て、登場キャラクターの行動が理解しづらい部分があったかもしれません。まずはその点について解説していきますね!
警察官はなぜすぐ駆けつけられたのか?
たいていこの手の映画は「警察官が無能」である設定が一般的です(笑)ヤル気のない警察がノコノコと現れ、それぞれの言い分を鵜呑みにして去っていく……。それが王道的な展開ではないでしょうか。
しかし『パニック・ルーム』の警察官はメグの様子のおかしさを見逃しませんでした。中に容疑者がいることを想定した上で、冷静な対応を取っていたのです。そして最後の最後の良きタイミングで駆けつけるという大活躍ぶりを見せました。
きっと彼らはまんまと引き下がらず、あの家を危険だと判断して動き出していたのでしょう。室内に犯人がいることを知っていたため、派手な行動は取らず慎重に様子を見計らっていたことが推測できますね。
メグと対面した2人の警官はすでにスタンバイ済みで、もしかすると鏡が割れる音、銃声なども耳にしていたのかもしれません。
メグはなぜ鏡を割ったのか?
スティーヴンとの“賭け”に出る前に、次々と鏡を割っていたメグ。この行動がよく分からず、「何のためにやっているんだろう?」と疑問を抱いた人も多いと思います。
この描写に関してはハッキリと言及されていないのですが、考えられる理由は以下の3つ。
- 犯人らが足早に逃げないため
- 照明を落として自分の姿を隠し、“賭け”を確実なものにするため
- ガラスの音で彼らの動きを判断するため
奴らを仕留めるために必死でしたから、足早にサッサと逃亡されては困りますからね。また何か危害を加えられるのもマズいため、自分の姿を隠さねばならなかったのです。
「警察に知らせるためにガラスを割った」という見解もありますが、メグの行動を見ていると“そのためだけに大きな音を立てた”とは少々考えにくいでしょう。
非常に勇敢で頭の回る彼女ですから、強盗に立ち向かうつもりでこの行動に出た、というのが最も適しているような気がしますね!
バーナムはなぜラウールを撃ったのか?そして二度目の逃亡をしたのか?
一度は1人で逃げたのですが、ラウールを殺してメグを救いました。そして再び走り出し、警察に見つかる悲しきエンディングを迎えるのがバーナムです。
なぜ戻ってきたのか?そして逃げたのか?この行動について理解を示せなかったという意見はとても多いですね。
けれども彼の性格や当初の予定を思い返してみてください。人を殺すつもりも、傷つけるつもりもなく、ただバーナムはお金が必要なだけだったのです。
ですから強盗3人組の中では最も善人で(とは言っても盗みはいけないことなのですが)、最後まで悪には染まれませんでした。きっと良心が傷んでそのままトンズラすることができなかったのだと思います。
けれども不法侵入に窃盗、挙句の果てには殺人。もう逮捕されれば後がありません。ラウールを射殺して少し我に返ったのか、混乱したのかは分かりませんが、それで二度目の逃亡を図ったのでしょう。
ただしいくら良心があったと言えど、バーナムのしたことは立派な犯罪です。根は悪い人ではないので、堀の中でしっかりと反省してほしいものですね……。
映画『パニック・ルーム』のトリビア
女優の変更?当初はあのスターが出演するハズだった!
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ジョディ・フォスターとクリステン・スチュワート、美しい美人親子がバッチリとハマっている本作ですが、実はこの2人が最初からキャスティングされていたのではありませんでした。
メグ役は元々ニコール・キッドマンが担当していたものの、ちょうど撮影前に出演していた作品でケガを患っていました。そのケガが悪化し、泣く泣く降板せざるを得ない状態に……!
制作陣一同は焦り、悩んだ結果キャスト変更により撮影を続行。ジョディにオファーを出し、彼女が主人公となったことでサラ役にも見直しが入りました。そこでクリステンが抜擢され、無事に撮影を再開することができたのです。
けれどもこの後ジョディが妊娠し、成長期だったクリステンの慎重が撮影期間に伸びてしまうといったハプニングにも見舞われたそう(笑)
数々の苦戦を強いられる中、『パニック・ルーム』をなんとか完成させたスタッフ陣には大きな拍手を送りたいですね。
ちなみにニコール・キッドマンはスティーヴンの不倫相手役として、声のみの出演をしています。一瞬のことなので気づいた人は少ないかもしれませんが、ぜひチェックしてみてください。
カメラワークが秀逸!ヒッチコックを意識した恐怖をそそる撮り方
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本作はヒッチコックの作品を意識した作りとなっており、カメラワークに定評があります。ジャンルはサスペンスなのですが、不安を煽る場面の映し方にはついハラハラしてしまうはず。
ヒッチコックの技法で有名なのは「ドリーズーム」。有名作『めまい』で高所恐怖症のキャラクターが高い位置から下を見下ろす際に使われた技法なのですが、高低差の恐怖がビシビシと伝わってくるんです!
それが『パニック・ルーム』にも反映されており、3~2階から玄関を舐めるように見下ろすカメラワーク……。あれによって更なる緊張感が増していく、そんな感覚を覚えましたよね。
狭い空間だからこそ作り上げられる恐ろしさを、カメラワークがより一層盛り上げています。
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親子と泥棒らのぶつかり合い、油断の許されぬストーリー、そして個性あふれるカメラワーク。サスペンス好きなら楽しめる要素が盛りだくさんの112分です。
それぞれのキャラクターも魅力的で、個人的には同房3人組がちょっぴりヌけている点も面白い部分だとは思いますね!今までにない新鮮さがあり、物語の着地がついつい気になってしまう……そんな作品ではないでしょうか。
恐怖をそそる演出はあるものの、ホラーやスリラーが苦手な人にもきっと楽しめることでしょう。密室系サスペンス好きなら必見の映画です!
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