映画『ピンクとグレー』のネタバレあらすじ解説|
『ピンクとグレー』はジャニーズ事務所のグループNEWSのメンバー、加藤シゲアキさんの小説が原作です。映画『ピンクとグレー』は、加藤シゲアキさんと同じくジャニーズ事務所のグループHey! Say! JUMPのメンバー、中島裕翔さんが映画初出演にして主演を果たしたことが話題となりました。
公開前から注目を浴びていた本作は、公開された劇場が全国で100以下と少ないながらも公開2日間で動員7万人を突破しました!興行収入6億円(2016年3月時点)越えのヒット作です。
この記事では、映画『ピンクとグレー』のネタバレを含めたあらすじ、原作との違い、物語の仕掛けなどについて解説していきます。最後までぜひご覧ください!
目次
映画『ピンクとグレー』について
映画『ピンクとグレー』は2016年に公開されました。人気アイドルNEWSの加藤シゲアキさんが芸能界の嘘と現実をリアルに描いた同名小説は、日本中に衝撃が走りました。
監督は『世界の中心で、愛を叫ぶ』『北の零年』など数々の話題作に携わってきた行定勲監督、脚本は第53回岸田國士戯曲賞受賞の劇作家、蓬莱竜太さんが手掛けます。
一躍人気俳優となった親友が自殺した。自身は売れない俳優だったが親友の伝記を書いた事で時の人となった主人公が、無力感や自分の力で得たものではない偽りの名声に苦しみ、次第に自分を見失い自暴自棄になっていく姿がつづられます。この物語の真実に誰もが胸を掴まれてしまうはず。
映画は原作を大幅にアレンジして再構成しているため、小説にはなかったエピソードも盛り込まれています。原作者である加藤シゲアキさんも私服でカメオ出演しているので、探してみて下さいね!
10秒で分かる!映画『ピンクとグレー』の簡単なあらすじ
スター俳優として人気の絶頂にあった白木蓮吾(中島裕翔)が、突然自ら命を絶ってしまいます。第一発見者は親友の河田大貴(菅田将暉)でした。
同じ団地で育ち、同じ青春時代を分かち合ってきた蓮吾と大貴。芸能事務所にスカウトされて2人でドラマのエキストラに参加しますが、蓮吾だけ監督に気に入られます。その後、蓮吾だけがみるみるスターの階段を駆け上っていき、大貴は取り残された気持ちになってしまいました。2人は空気が悪くなりケンカして同居も解消してしまいます。
3年後、大貴は幼馴染のサリー(夏帆)のヒモになっていました。その頃、高校の同窓会があり、喧嘩別れしたままの蓮吾と大貴は気まずいままでしたが、次第に仲直りをしていきます。
映画『ピンクとグレー』のネタバレあらすじ
【あらすじ①】幼馴染の3人
白木蓮吾(中島裕翔)という、大人気スターが自殺するところから物語が始まる。
蓮吾の死を発見したのは、蓮吾の幼い頃からの親友である河田大貴(菅田将暉)だった。蓮吾はなぜ自殺してしまったのか。なぜ、6通の遺書があるのか。
小学校5年生の頃、大貴は埼玉の団地へ引っ越してきた。そこに蓮吾も住んでいた。大貴は、「しょーもな!」と言いながら、ボールを壁へぶつけている。そこへ、蓮吾とサリーがやってきて、「しょーもな!」と真似をした。それ以来、大貴、蓮吾、サリー(夏帆)はいつも遊ぶ仲になり、幼なじみとなる。
高校生になってからも3人は仲良しだったが、思春期の大貴はサリーを異性として意識してしまい、今まで通りに接することができずに微妙な距離を置いていた。蓮吾の部屋に大貴が遊びに来ている時、サリーがやってきた。大貴は、蓮吾が部屋を出た時にサリーを押し倒してしまい、サリーはショックを受けて逃げ出す。サリーが部屋までやってきたのは、蓮吾に本命チョコを渡すためだった。引っ越すことが決まっていたサリーは、最後に思いを伝えようとしたのだ。
【あらすじ②】2人の分かれ道
サリーが引っ越してからも蓮吾と大貴の仲は続いた。
蓮吾の姉がバレエの発表中に舞台から転落して死んでしまうなど、様々な葛藤、苦境があった。ある日、蓮吾と大貴は渋谷で芸能事務所にスカウトされる。社長(マキタスポーツ)に気に入れられ、エキストラでドラマに出演することに。そこで蓮吾はアドリブの演技をして度胸があると監督に気に入られ、徐々に蓮吾と大貴との間に差が生まれてくる。
みるみるうちにスターへの階段を駆け上る蓮吾を見て、大貴は置いてけぼりにされた気持ちになっていた。そんな大貴に、蓮吾のバーターとしての仕事が舞い込んでくる。しかし、大貴はNGを連発してしまう。大貴は蓮吾のバーターの仕事を断ってほしいと、社長に願い出る。それだと仕事がなくなるぞと社長は呆れた。
【あらすじ③】親友の死
3年後、大貴は偶然再会したサリーと同棲しながら、無気力な日々を過ごしていた。
高校の同窓会で蓮吾と会った大貴はバツが悪く、仮病を使ってその場を去るが、蓮吾は「もう少し飲む?」と、大貴を誘った。二人は飲み明かし、蓮吾はグレーのライターを大貴に渡す。大貴は、それは申し訳ないとキャバクラのピンクのライターを蓮吾に渡す。蓮吾は「なあ大貴、有名になりたい?明日から有名になれるよ」と言い放った。
翌朝、大貴が起きると、もう蓮吾は家にいなかった。鍵が置かれており「約束の件なんだけど、今日は夜まで仕事あるから、9時にここで待ち合わせして飲もう」と書かれていた。
その日の夜、大貴が訪れると蓮吾は首を吊って自殺していた。大貴は蓮吾の手紙を読んで号泣する。
【あらすじ④】グレーの世界
画面がグレーになる。「カット!!!!」と声が聞こえ、クランクアップが告げられる。ここまでの内容は全て映画の中の出来事だった。本当の白木蓮吾(柳楽優弥)は自殺しており、蓮吾役を河鳥大という芸名で活躍する大貴(中島裕翔)が演じている。大貴役は大貴の先輩の成瀬凌(菅田将暉)が演じていた。
6通の遺書の中から、スター白木蓮吾の自伝を書く事を選択した大貴。大貴は彼女のサリー(岸井ゆきの)と同棲していた。映画の中のサリーは三上麗(夏帆)という、品のない女優である。
白木蓮吾が死んだことで急に注目を浴びた大貴は、芸能界でどう振る舞えばよいのかわからなくなる。そんな大貴を成瀬はあやしげな店に誘った。三神麗と店で偶然会い、酔っていた大貴は関係を持った。その姿を週刊誌に撮られてしまう。
サリーはスターとなった大貴を支えてきたが、三神麗との熱愛写真を撮られ、その気持ちも冷めていく。
サリーは、蓮吾からもらった仕事を大事にしたほうがいいと言ったが、その言い方に大貴はカチンときてしまう。大学時代にサリーに描いてもらった似顔絵をズタズタに切り裂いてしまった。
【あらすじ⑤】死の真相
自暴自棄に陥る大貴は、先輩の成瀬に悪態をつかれたことにも腹を立て、鼻の骨をおる全治1ヶ月の怪我をさせてしまう。騒動はスポーツ新聞の一面に載ってしまった。
謹慎の間、蓮吾の実家に向かった大貴。蓮吾の母(宮崎美子)からあるビデオテープを渡された。そこに写っていたのは、蓮吾と蓮吾の姉の姿だった。「最後は高いところから散るの。誰にも内緒。」と言って、カメラで撮影している蓮吾に抱きついていた。
蓮吾は姉の事が好きだったということを知った。そして、蓮吾の姉は事故死ではなく自殺だった。大貴は蓮吾のマンションへ向かった。ぶらさがった紐に首を通し、椅子を蹴ったが、死にきれずに紐が落ちて転倒した。
グレーの映像の中にカラーの蓮吾が現れた。蓮吾は大貴に言った。「1月24日に死ぬって、決めてたんだよ。誰も分かるわけないよ。俺が死んだ理由なんか。」
蓮吾は姉と同じ日に死にたかったのだ。それを知った大貴は、「わかるわけないやん!!」と関西弁になる。大貴はずっと一緒に過ごしていたのに蓮吾の姉への思いを見抜けなかったと告白し、蓮吾は「それでいい。お互い分かりあうことはない」と答えた。
朝が来た。大貴は自分が演じた白木蓮吾の広告を見ながら、渋谷の歩道橋の上で、蓮吾からもらった高級なグレーのライターを、「しょーもな」と呟きながら、投げ捨てた。
映画『ピンクとグレー』のキャスト
白木蓮吾・河田大貴/中島裕翔
映画前半では白木蓮吾を演じている。
後半の現実世界では白木蓮吾の親友の河田大貴(芸名は河鳥大)。
大貴は蓮吾と共に芸能界を目指したが蓮吾だけが売れていった。
人気俳優となった蓮吾が自殺し、蓮吾の伝記を書いたことで注目を浴びるが、自分の力で上ってきたわけではないため自暴自棄に。
ラストで蓮吾の隠された思いを知る。
白木蓮吾と河田大貴を演じるのは中島裕翔さん。
『水球ヤンキース』『僕らのごはんは明日で待ってる』などに出演しています。
本作では夏帆さんとのベッドシーンなど、爽やかなイメージの中島裕翔さんとは違った役どころにも注目です!
河田大貴・成瀬凌/菅田将暉
映画前半では河田大貴を演じている。
後半の現実世界では河田大貴の先輩俳優の成瀬凌。
成瀬凌はズバズバ物を言う性格で、河田大貴はそんな成瀬凌に腹を立てて怪我させてしまう。
河田大貴と成瀬凌を演じるのは菅田将暉さん。
『帝一の國』『溺れるナイフ』などに出演しています。
菅田将暉さんは幅広くいろんな役を演じている印象です。本作は前半と後半で役がガラっと変わっていますが、入り込んでいてさすがですね!
サリー・三神麗/夏帆
映画前半ではサリーを演じている。後半の現実世界では女優の三神麗。
三神麗は、サリーを演じていたとは思えないくらい下品な女優。河田大貴とホテルに行ったところが週刊誌に撮られてしまう。
サリーと三神麗を演じるのは夏帆さん。
『箱入り息子の恋』『海街diary』などに出演しています。前半は2人の初恋の相手であり、物語のキーパーソンとなる重要な役どころ。
後半の三神麗を演じているときは、夏帆さんの清楚なイメージとは真反対の役どころなので、本当に夏帆さん?と思ってしまうくらいです!
白木蓮吾/柳楽優弥
大貴とは同じ団地で育った幼なじみ。
エキストラとして出演した作品で監督に気に入られ、たちまち人気俳優となる。大貴と共に芸能界で活躍する夢を抱きながらも自分だけがスターになっていった。同窓会で再会した大貴に遺書を6通残して自殺してしまう。
白木蓮吾を演じるのは柳楽優弥さん。『ゆとりですがなにか』『アオイホノオ』などに出演しています。
本物の白木蓮吾ということになるので、前半は出演しておらず映画後半のみの出演となっています。
サリー/岸井ゆきの
蓮吾と大貴の幼馴染かつ初恋の相手。
高校生の頃に引っ越して2人とは離れ離れになってしまうが、偶然再会する。大貴が転がりこんできて同棲することになる。優しい性格だが、蓮吾の力で注目を浴びる大貴に本音を言って怒らせてしまう。
サリーを演じるのは岸井ゆきのさん。『愛がなんだ』『おじいちゃん、死んじゃったって。』などに出演しています。
穏やかな雰囲気を醸し出していながら芯は強いサリー役は、岸井ゆきのさんにぴったりです!
62分後の仕掛け
映画開始62分後に衝撃のとある仕掛けがあると告知されていた本作。
劇中では62分まではピンクパート、62分からは画面がモノクロになりグレーパートとなっています。
そして、画面が切り替わったと同時にその仕掛けに驚くことになります。
今まで「白木蓮吾」本人として私たちが見ていた中島裕翔さんが演じていた男は、実際は「河田大貴」だったのです。
菅田将暉さん演じる「河田大貴」は実際は「成瀬凌」という俳優でした。
つまり、それまでのピンクパートのストーリーはすべて映画の中の話だったのです。
夏帆さん演じる「サリー」も実際は「三神麗」という女優で、本物のサリーは岸井ゆきのさんが演じています。
柳楽優弥さん演じる本当の白木蓮吾が残した遺書の通りに大貴が伝記を書き、それが映画になって大貴が蓮吾を演じたのでした。
ピンクパートは今までの自分たちを美化して描いた映画の世界、グレーパートはありのままの自分たちの色のない世界だったのです。
この仕掛けに早く気づけないと物語の後半がよくわからなくなってきてしまうかもしれません。一度見たけどストーリーがわからなくなってしまったという方は、この仕掛けを理解してもう一度観てみるとさらに楽しめるはずです!
蓮吾の死の真相
大貴は、蓮吾の母から渡されたビデオテープで蓮吾の思いを知ることになります。そのビデオテープに残っていたのは蓮吾と姉の姿でした。姉は蓮吾に抱きつき、姉弟ではなく恋愛関係に見える2人の姿だったのです。そして、蓮吾の姉は事故死ではなく自分で死ぬことを選んでいたのでした。
真実を知った大貴は自暴自棄になり蓮吾のマンションで首を吊ろうとしますが、失敗して地面に倒れます。その目に蓮吾が映り、蓮吾は姉と同じ1月24日に死ぬと決めていたと語りました。蓮吾が自殺した日は蓮吾の姉が自殺した日と同じ日だったのです。
実は、蓮吾と姉は恋愛関係にありました。誰にも言えない2人の秘密だったのでしょう。蓮吾のことが全然わかっていなかった、と大貴が泣いても蓮吾はそれでいい、と抱きしめました。蓮吾と大貴、2人の友情を感じることができたシーンでもあります。
原作『ピンクとグレー』と映画との違い
加藤シゲアキさんの原作『ピンクとグレー』は小説デビュー作にしてオリコン本ランキングにもランクインし、好調な売り上げを記録しました。
そんな原作にあえて大幅に改変を加えた本作。小説より設定が複雑になっています。
まず、先ほど書いたように映画『ピンクとグレー』は62分後に世界が変わる構成でできています。しかし、原作にはそんな仕掛けはないんです。急に世界が変わるという構成は映画ならではといえるかもしれません。
そして蓮吾の姉が自殺するシーンは原作では、ダンスの舞台で果敢なパフォーマンスに失敗してほぼ寝たきり状態になります。その後、リハビリで手が動くようになってから自殺しますが、その自殺に蓮吾のことは関係ありません。
しかし、映画では蓮吾と姉に恋愛感情があったという色が加えられています。蓮吾は姉を愛していて姉と同じ日に自殺したとなっていますが、これは原作にはない設定。
原作にない映画オリジナルの設定を加えたことで、より印象的な作品となった映画です。ただ、原作では人間模様をより丁寧に描かれているので映画と小説どちらもおすすめできます!
まとめ
芸能界を舞台に成功と挫折、そして友情を描いた映画『ピンクとグレー』。
青春物語でありながら、変わったストーリー展開でサスペンス要素もあるので話題になるのもわかりますね。加藤シゲアキさんさすがです!
ただ、急なストーリー展開と複雑な設定に理解が追い付かなくなるかもしれません。そんなときは本記事の解説を頭に入れてからもう一度映画を味わってみるのもいいでしょう。