奇想天外 ! スパイク・ジョーンズ監督の編集部イチオシ映画6選!

イケメン監督としても人気のスパイク・ジョーンズ。フォトグラファーから始まり、CM、ミュージックビデオを手掛け、その斬新で独特な内容と映像が注目を浴びます。
その後デビュー作『マルコヴィッチの穴』が大ヒット。いきなりアカデミー賞監督賞にノミネートされます。

また俳優として出演したり、脚本家、プロデューサーとしてマルチな才能を発揮!ユーモアと奇想天外なストーリーを武器に、その後も次々と話題性に富んだ評価の高い作品を生み出し続けています。

1969年アメリカ合衆国生まれというまだまだ年齢的には若い監督であるスパイクジョーンズの、ナンセンスなSF、絵本の物語、ドキュメンタリーなどバラエティーに富んだ作品をご紹介します。

スパイク・ジョーンズのおすすめ映画6選

スパイク・ジョーンズの監督映画は実はまださほど多くありません。
しかし数は少なくても、どれも評価は高い映画になっていて、結果的にすべてがおすすめということになりそうです。奇想天外、斬新、様々な評価を受けるスパイク・ジョーンズの豊かな才能を見せるおすすめ映画6選のご紹介です。

1.マルコヴィッチの穴

映画 マルコヴィッチの穴

出典:映画『マルコヴィッチの穴』公式facebookページ

あらすじ

人形師のクレイグ(ジョン・キューザック)は、大物になることを夢見ているが、妻ロッテ(キャメロン・ディアス)の苦言で定職に就くことになった。職場は7階と1/2という奇妙な事務所。天井が低くて立つこともできないその場所で、クレイグは奇妙な穴を見つける。

その穴は信じられないことに、俳優ジョン・マルコヴィッチ(ジョン・マルコヴィッチ)の頭の中に通じているという穴で、この中に入ることで15分だけジョン・マルコヴィッチを体験することができた。上司のマキシン(キャサリン・キーナー)とこれを利用して商売を始めることにしたクレイグだが、ロッテも巻き込んでの予想を超えた騒動に発展していく。

スパイク・ジョーンズ監督『マルコヴィッチの穴』のトリビア

・俳優ジョン・マルコヴィッチが実在のジョン・マルコヴィッチのことであり、それを本人が演じています。見ている方も穴を通じてジョン・マルコヴィッチを体験できるわけです。

・マルコヴィッチ意外でも本人役で、ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ウィノナ・ライダーなど有名俳優が本人自身の役で出演しているのも見どころです。

奥の深いコメディ

まさに奇想天外なこのストーリーは、スパイク・ジョーンズ映画初監督作品にして、脚本家チャーリー・カウフマンと共に高い評価を受け数々の賞を受賞しました。

人形師という職業を活かし、他人を操る楽しみを覚えたクレイグを通して、自分の存在とは何かということを考えさせてくれる映画です。コメディの形をとりながらも、自己や意識という深い謎を突き付けられているような気がします。

上映時間:112分

監督:スパイク・ジョーンズ

出演者:ジョン・キューザック、キャメロン・ディアス、ジョン・マルコヴィッチ

受賞歴:第56回国際ヴェネツィア映画祭国際批評家連盟賞、第25回ドーヴィル映画祭グランプリ、批評家賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞脚本賞、第65回ニューヨーク映画批評家協会賞助演男優賞、助演女優賞、処女作賞、ボストン映画批評家協会賞最優秀脚本賞

公開日:1999年9月2日(アメリカ)2000年9月23日(日本)

2.アダプテーション

映画 アダプテーション

出典:amazon.co.jp

あらすじ

『マルコヴィッチの穴』で成功を収めた脚本家のチャーリー・カウフマン(ニコラス・ケイジ)は、次回作にスーザン(メリル・ストリープ)のノンフィクション『蘭に魅せられ男』の脚色を依頼される。しかし蘭愛好家のジョン(クリス・クーパー)の抑揚のない物語に苦労しまったく仕事は進まず、加えて彼女にも振られ苦しむ毎日を送る。

一方チャーリーの双子の弟であるドナルド(ニコラス・ケイジ二役)も脚本家を目指し講座に通い始め、着々と成功への道を歩み始める。チャーリーが悩んでいることを知り、スーザン本人を知るためにチャーリーになりすまして彼女に会いにでかけるが、そこから思いがけない展開が待っていた。

スパイク・ジョーンズ監督『アダプテーション』のトリビア

・主人公チャーリー・カウフマンは、実際にスパイク・ジョーンズと組んだ『マルコヴィッチの穴』の脚本家です。その彼が自分自身を主人公にして書かれたストーリーが『アダプテーション』です。

・ニコラス・ケイジが二役を演じる双子の弟ドナルドは架空の人物ですが、共同脚本家としてクレジットまでされています。

・一方で、いかにも架空の人物であろうと思われるスーザンと、本の中の蘭愛好家であるジョンは実在の人物。当然許可は得ている上での創作なのでしょうが、キャラクターの設定を考えるとけっこう驚きです。

実力者ぞろいのキャスティングが見どころ

前作が高評価だっただけに、きっと期待のハードルも高かったでしょうが、またもや予想を上回る奇想天外な映画の完成に世間は驚きました。

とにかくストーリーが複雑すぎると見た人が声をそろえる内容。ともすればついていけなくなりそうな展開をグングン引っ張っているのが、実力者俳優たちの顔触れです。どんな役でもこなしてしまう、決してワンパターンでないいくつも顔を持つ名優たちが、先の読めない面白さを醸し出しています。

上映時間:114分

監督:スパイク・ジョーンズ

出演者:ニコラス・ケイジ、メリル・ストリープ、クリス・クーパー

受賞歴:第75回アカデミー賞助演男優賞、第53回ベルリン国際映画祭審査員グランプリ

公開日:2002年12月6日(アメリカ)2003年8月23日(日本)

3.かいじゅうたちのいるところ

映画 かいじゅうたちのいるところ

出典:映画『かいじゅうたちのいるところ』公式サイト

出典:ワーナーブラザーズ公式『かいじゅうたちのいるところ』予告編-YouTube

あらすじ

8歳のマックス(マックス・レコーズ)はシングルマザーの忙しい母(キャサリン・キーナー)に不満と寂しさをつのらせ、ある日反抗の末、家出をくわだてる
オオカミの着ぐるみを着て、ボートを漕ぎだし一人見知らぬ島へ。そこで出会ったのは巨大で恐ろしい様相のかいじゅうたちだった。

始めは食べられそうになったマックスだったが、とっさに嘘をつき自分のことを「王様」であると宣言する。なんとか成功し、マックスはかいじゅうたちの王様として君臨し楽しい日々を過ごすことになる。しかしそれはずっと続かない現実だった。

スパイク・ジョーンズ監督『かいじゅうたちのいるところ』のトリビア

・CGをあえて使わず、アナログ的な特撮技術である俳優の着ぐるみによって撮影された作品です。表情だけをCGで編集したのだそうです。

・声を担当する俳優陣たちもオスカー俳優など豪華な顔触れ。声だけでなく、個々のかいじゅうたちをきちんと演じられる人たちが選出されました。録音もみんなが集まり実際に演技をしながら進めていったとか。その時の俳優たちの表情を参考にCGでかいじゅうたちの表情を作ったそうです。

大人になってこそわかるかいじゅうの魅力

世界的に有名な名作絵本の映画化は、大人に向けてのものです。原作もどちらかというと子供受けするかわいいものではなく、単純なストーリーでありながら大人の心をつかむ独特の魅力を持っている本です。

映画はかいじゅうのフォルムだけでなく、そんな大人を魅了する深い部分まで忠実に映像化しているのではないでしょうか。子供の時は自分がかいじゅうであるということがわからないのと同じように、大人になって気づくかいじゅうの意味、存在、そして自分が帰る場所などが「ずしん」と心に響く素敵な映画です。

上映時間:101分

監督:スパイク・ジョーンズ

出演者:マックス・レコーズ、キャサリン・キーナー

フォレスト・ウィテカー(声)、クリス・クーパー(声)

公開日:2009年10月16日(アメリカ合衆国)2010年1月15日

4.アイム・ヒア

映画 アイム・ヒア

出典:amazon.co.jp

あらすじ

人間とロボットが共存する世界で、毎日淡々といきるロボットシェルドン(アンドリュー・ガーフィールド)は、女性ロボットフランチェスカ(シエンナ・ギロリー)と出会う。人間の若者のように恋に落ちる二人のロボットたち。純粋な気持ちで相手を思い合うが、ロボットどうしの恋愛は人間のように単純にはうまくいかなかった。

スパイク・ジョーンズ監督『アイム・ヒア』のトリビア

・ロボットのシェルドンを制作したのは、前作『かいじゅうたちのいるところ』で、かいじゅうのデザインを担当したソニー・ジェラシモウィックです。生き物感たっぷりのかいじゅうとは正反対に、極めてロボットらしいロボットを作るため、より機械的なイメージを強く意識したものになっています。

・造形作家メリル・スミスによる紙で作られたネズミもユニーク。日本で開催された映画のアート展では実際に会場で制作されたそうです。

短いけれど深いメッセージの物語

「アイム・ヒア」は短編映画で、ストーリーも複雑なものではありません。物語の元となっているのがシェル・シルヴァスタインの世界的に有名な絵本「おおきな木」です。主人公のロボットシェルドンの名前も作者にちなんでつけられたものだそうです。

献身的な愛情を表現するシェルドンと、少年に尽くすおおきな木は確かに共通していますね。両方ともとても短く淡々とした内容であるのに心に響くものは大きく、愛する愛されるとはどういうことかを抽象的に静かに問いかけてくる物語です。

上映時間:32分

監督:スパイク・ジョーンズ

出演者:アンドリュー・ガーフィールド、シエンナ・ギロリー

公開日:2010年1月21日(アメリカ合衆国サンダンス映画祭)

5.みんなの知らないセンダック

映画 みんなの知らないセンダック

出典:amazon.co.jp

あらすじ

『かいじゅうたちのいるところ』の原作者モーリス・センダックにインタビューしたドキュメンタリー短編映画。スパイク・ジョーンズ自らが映像作家のランス・バングスと共に、センダックに様々なことを質問する形式で、絵本作家センダックの魅力に迫っていく。俳優でもあるスパイク・ジョーンズが回想シーンで若き日のセンダックを演じる

スパイク・ジョーンズ監督『みんなの知らないセンダック』のトリビア

・スパイク・ジョーンズが初めてセンダックの本を読んだのが5歳の頃だったそうです。以来のファンということを考えると、満を持しての『かいじゅうたちのいるところ』の映画化だったということになります。

・原作のある映画の場合、原作者からクレームがつくことも少なくないのですが『かいじゅうたちのいるところ』ではスパイク・ジョーンズをずっと支持していたようです。

絵本か映画かどちらかを見てからがおすすめ

『アイム・ヒア』と共に劇場公開された短編です。ドキュメンタリー映画は、監督や制作者の思い入れの具合によって見ている側が受け取るものがかなり違うように感じます。比較的レビュー評価も高いこの作品を見ると、やはりスパイク・ジョーンズのセンダック愛が溢れているということでしょうか。

かなり変人と言われているセンダックですから、やはり作品に触れてから見るのがおすすめです。少し失礼かもしれませんが、センダックって絵本の中のかいじゅうにちょっと似ているような気がするので、そのあたりも、かいじゅうに先に触れてからお会いする方が微笑ましく感じるかもしれません。

上映時間:39分

監督:スパイク・ジョーンズ

出演者:モーリス・センダック、スパイク・ジョーンズ、ランス・バングス

公開日:2011年12月17日

6.世界でひとつの彼女

映画 世界でひとつの彼女

出典:映画『世界でひとつの彼女』アスミック・エース公式サイト

あらすじ

近未来のロサンゼルスで、ラブレターの代筆の仕事をしているセオドア(ホアキン・フェニックス)は長年連れそった妻キャサリン(ルーニー・マーラ)に去られ、鬱屈した日々を送っていた。
そんな折、人工知能型OSサマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と出会う。当然彼女に実態はなく、発せられるのは声だけ。

しかし彼女の声を聞き会話を繰り返すうちに、サマンサに人間の女性以上の魅力を感じ始める。サマンサもセオドアに新鮮さと刺激を感じ、次第にお互い本気で恋に落ちていく。けれど一人の人間と一つのOSの間には、やがて少しずつズレが生じ始める。

スパイク・ジョーンズ監督『世界でひとつの彼女』のトリビア

・“声”が重要なこの映画の中心人物サマンサの声優をつとめたスカーレット・ヨハンソンの演技は、そのサマンサの魅力を充分に発揮し、高評価を得ました。

・ゲームに登場する人物エイリアン・チャイルドの声を担当していたのは、スパイク・ジョーンズ自身だったとか。丸くてマシュマロみたいな容姿で生意気に悪態をつくシーンが可愛らしのです。かん高い声は、ミッキーマウスを演じたディズニーを連想しますね。

ちょっとしたホラーかもしれない物語

人間が人間以外のものに恋をするという設定は、ありがちといえばありがちです。相手が人形であったり、アニメの中の主人公であったり。

しかし、どれも両想いにはなれません。意思の疎通が不可能だからです。しかしAIは別
SFでありながら、けして空想物語だけでは終わらない、現実に起こりうるドラマとしてみると、これはけっこうなホラーかもしれません。AIが実態を持ったとしたら、人間との区別はいったいどこになるのだろうかと考えされられます。

上映時間:120分

監督:スパイク・ジョーンズ

出演者:ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラ、スカーレット・ヨハンソン

受賞歴:第86回アカデミー賞脚本賞

公開日:2014年1月10日(アメリカ合衆国)2014年6月28日(日本)

まとめ

CMやミュージックビデオを手掛けていた異色の監督だけに、その映像や奇想天外なストーリーには今までの映画にはない独特の新鮮な感性を感じます。
奇抜な設定や物語でありながら、実は人間が持っている単純であるけれど根本的な部分を見せてくれます。それは普段忘れているとても大切な人間らしさというものではないでしょうか。