話題の新感覚映画『THE GUILTY/ギルティ』あらすじネタバレ!聴覚と想像力で事件を解く
斬新な手法で新たな映画表現の第一歩を記した映画『THE GUILTY/ギルティ』。日本では小規模に公開されていたため、見落としていた方も多いのではないでしょうか?シンプルながら世界中の映画賞で観客賞を総なめ、辛口の批評で知られるサイト「ロッテントマト」で批評家スコア98%、観客スコア86%(2019年現在)という高スコアを獲得するなど、非常に高い評価を得た作品です。この記事では、そんな傑作『THE GULITY/ギルティ』のネタバレや見どころポイントなどをご紹介します!!
目次
映画『THE GUILTY/ギルティ』について
出典:映画『THE GUILTY/ギルティ』公式Twitter
本作の監督を務めたのは、スウェーデン出身のグスタフ・モーラーです。監督自身、長編映画デビュー作品でありながら、初長編映画でアカデミー外国映画賞候補、インディペンデント映画(自主制作映画)を対象とした映画祭では最大規模を誇るサンダンス映画祭で観客賞を受賞、さらに各映画賞で軒並み高評価を得ました。
評価された理由として、いわゆる「ワンシチュエーション映画」と呼ばれる突飛なアイディアを武器にした作品でありながら、しっかりとした脚本、飽きさせない展開を見事に描ききったというのがあります。映画の醍醐味である「視覚」を封じ、代わりに全てを「聴覚」での演出に振り切る、挑戦的な設定ですが、決して一発屋で終わらない傑作でした。
また、すでにハリウッドでのリメイクが決定しており、主役のアスガーはなんと怪演でおなじみのジェイク・ギレンホールが演じます!ジェイク自身も高く評価しており、自身の映画制作会社でこの映画を撮るということで、期待も高まりますね!
『THE GUILTY/ギルティ』のキャスト
アスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)
緊急通報司令室で働くオペレーター。ある事件がきっかけで前職を辞め、今に至る。
イーベン(イェシカ・ディナウエ)
緊急通報司令室に通報した謎の女性。拉致されそうになっていることしかわからず、素性は不明。
ミケル(ヨハン・オルセン)
イーベンの隣にいる男性。彼女を拉致していると思われる。イーベンと同様に、素性は不明。
ラシッド(オマール・シャガウィー)
アスガーの相棒的な存在。明日の裁判で、彼のために偽証する予定。
映画『THE GUILTY ギルティ』あらすじ【ネタバレ】
【『ギルティ』ネタバレあらすじ①】誘拐事件の発生で退屈な仕事が一変
警官だったアスガーは現在、緊急通報司令室のオペレーターとして働いている。事件や犯罪に巻き込まれた人々の通報を司令室につなぎ、警察官や警察車両をさせる役目だ。ここでは、通報してきた人の名前と住所、外にいる場合は付近の携帯電話基地局がわかる。
いつものように緊急通報を受けるアスガー。その日も薬物患者がバットトリップをしたという通報や、強盗に襲われたという口調の荒い男からの通報をさばいていた。しかし、その日受けた通報は少し変わっていた。
アスガーはイーベンという女性から通報を受ける。最初はたどたどしく、噛み合わない話に酔っ払いが間違ってかけてきたのだと思っていたが、様子がおかしい。側にいる男に拉致されそうになっていることを仄めかしており、緊迫した状況のようだ。どうやら、イーベンは子供に電話をかけているフリをして通報しているらしい。イーベンはとっさに機転を利かせ、イエスかノーで答えられる質問をする。
アスガーの質問から、イーベンは今男に拉致されそうになっている状況とわかる。現在地はコペンハーゲンの北で、白い車で高速道路に乗ろうとしているところまで判明する。すぐ司令室に報告し、高速道路の出口に警察車両を配備させるアスガー。それらしき車を見つけるが、違った車両だったようだ。イーベンを見つけるには、彼女が乗っている車のナンバーが必要だ。とりあえず、ダメ元で彼女の自宅に電話をかける。
電話に出たのは幼い子どもだった。子供の名はマチルデ、年は6歳。家には、彼女とまだ赤ん坊の弟オリバーがいるらしい。彼女によると、父が母の髪の毛を掴み、ナイフを持ったまま出ていったという。イーベンと一緒にいた男は彼女の元夫だった。アスガーは、マチルデからイーベンの携帯番号を聞き出し、父親の名前と車のナンバーを割り出す。
マチルデの父親の名前はミケルと判明する。アスガーは、「ママを助けて」と泣きながら訴えるマチルデに必ず助けると約束し、電話を切る。
【『ギルティ』ネタバレあらすじ②】駆り立てられる正義感
再び司令室に連絡し、今判明した情報を伝える。さらにマチルデを保護するために早急にイーベンの家に警察を送るよう指示する。しかし司令室はお役所仕事でなかなか思うように動いてくれない。痺れを切らしたアスガーはサブ(控え室)に入り、かつての上司に電話をかける。昔のよしみで、イーベンの家に警官を送ってほしいと頼む。
事情を聞いた上司は、この話は聞かなかったことにするから止めろと言う。そしてアスガーに、明日の裁判に集中するようにと忠告される。アスガーはある事件で裁判を控えているのだった。それが原因で妻のパトリシアは出ていき、外勤から電話番に左遷されているのである。明日の裁判で相棒ラシッドが言う通りに偽証すれば疑いは晴れ、外勤に戻れる。アスガーは電話を切り、自身がやるべき事を思い悩む。
イーベンを助けたいアスガーはシフトの時間が過ぎても控え室で彼女からの電話を待つ。我慢できず、ミケルの携帯に電話をかけるアスガー。するとミケルと電話がつながった。警察であることを名乗り、事情を聞くと相手は電話を切ってしまった。
居ても立ってもいられないアスガーは、相棒のラシッドに頼み込む。しかし、相手は酔ってるようだ。その時、マチルデから着信が。どうやらイーベンの家に警官が到着したらしい。状況を説明するように促すアスガーは、衝撃の事実を知る。弟オリバーはナイフで腹を割かれて死んでいたのだ。
信じることができないアスガーは何度も赤ん坊の容態を確認するが、状況は変わらない。彼は乱暴に電話を切ると、再びミケルに電話を掛ける。捕まりたくないと弱音を吐くミケルに「お前が殺したんだ!被害者はオリバーだ!お前が額に弾をブチ込まれるべきだ!」と激昂するアスガー。ミケルとの電話は切れてしまう。
次はラシッドから電話がかかってくる。彼もミケルの家についたようで、書類の山だらけだと悪態をつきながら家を捜査し始める。アスガーは一旦電話を切り、イーベンの携帯に電話を掛ける。イーベンと電話がつながった彼は、彼女にシートベルトをキツく締め、サイドブレーキを引くよう指示をだす。突然電話が切れる。かけ直してもイーベンは電話に出ない。
しばらくしてイーベンから電話がかかってくる。彼女はワゴン車の荷台にいるという。「もう檻に入りたくない」としきりに繰り返す彼女をなんとかなだめ、荷台に武器になりそうなものを探すよう指示する。レンガ職人のミケルの車にはレンガが積まれていた。そのレンガを使い、ドアが開いた瞬間思いっきりミケルを殴るよう指示を出す。
「できない、やりたくない」と泣き叫ぶ彼女をアスガーは優しくなだめる。ミケルの車が停まり、いよいよ反撃するというとき、イーベンは「オリバーは大丈夫、あれでよかったの」という。様子がおかしいことに気づき始めるアスガー。
彼女はこう続ける。「オリバーのお腹の中に蛇が入っていたの。彼は苦しんで泣き叫んでいたから、お腹の中から蛇を取り出したの。だから大丈夫。」と。オリバーを殺したのはイーベンだったのだ。状況を理解したアスガーは言葉を失う。
【『ギルティ』ネタバレあらすじ③】イーベンの本当の姿
ミケルの家で捜査をしていたラシッドから電話がかかってくる。散らばった書類から判明したのは、オリバーとマチルデの親権は父親のミケルにあること、イーベンは精神科センターに通院していたことだ。
アスガーはミケルに電話を掛け、イーベンを精神科センターに送ろうとしていたことを確認する。イーベンの行方はわからない。アスガーは、医者、弁護士、自治体、警察すらも助けてくれなかったと嘆くミケルをなだめる。アスガーは電話を切り、しばらく思い悩む。
そこへラシッドから着信が。奔走してくれた彼に礼を言ったアスガーは、「明日の裁判で俺のために嘘をつかなくていい。」と言う。アスガーのためを思って偽証しようとしていたラシッドは憤る。すると、イーベンから着信があったとの報告が。
再びイーベンと話すアスガー。彼女は自分がオリバーを殺したことを自覚し始めたようだ。その時、アスガーは電話の向こうに車が通る音がすることに気づいた。イーベンはオリバーを殺してしまった自責の念から、飛び降り自殺しようとしているのだ。アスガーは彼女に自身の罪を告白する。
彼は19歳のヨゼフという少年を殺した。正当防衛でやむを得なかったとはいえ、若い命を奪ったことを背負って生きる決意を彼女に告げる。そして、自分は故意に殺したが、イーベンは違う、君に会いたがっているマチルデに会いに行くべきだと彼女を諭す。
【『ギルティ』ネタバレあらすじ④】最後に…
電話の向こうに聞こえるサイレン。彼女を保護するための警官が到着したようだ。しかし、彼の必死の説得も虚しく、彼女は飛び降りてしまう。何度も電話をかけ直すも、イーベンは電話に出ない。
彼女を救えなかった罪悪感でうなだれるアスガー。そこに司令室から連絡が。間一髪で間に合い、イーベンは無事だという。それを聞いたアスガーはヘッドセットを外し、何も言わずに部屋を出ていく。そして、どこかへ電話をかけるのだった。
まとめ
映画『THE GUILTY/ギルティ』について、作品の評価や見どころ、あらすじについて解説しました。斬新なアイディアと、飽きさせない脚本でありながら、「自己開示」や「罪と罰」といった奥深い要素もある傑作です。それだけでなく、本作では、アスガーの表情や、色や照明で心情を表現する視覚効果など、映画好きも唸る表現技法も見どころです。新しい映画表現として一見(一聴?)の価値アリな『THE GUILTY/ギルティ』、是非ご鑑賞くださいね!