『昼下がりの情事』ネタバレあらすじ|ピュアで小悪魔的なヘップバーンが魅力的!

タイトルから、ちょっと怪しい想像をする方もいるかもしれませんが、ご安心ください!健全なロマンチック・コメディ映画です。オードリー・ヘップバーンの代表作でもある『麗しのサブリナ』を手がけた名匠ビリー・ワイルダー監督が脚本も書き、またもヘップバーンの魅力が溢れる名作を作り上げました。

純粋な少女のような女性でありながら、大人の男性を振りまわす小悪魔的な主人公・アリアーヌを、妖精のようなヘップバーンが可憐に演じ、男女問わず魅了されてしまいます。そんな『昼下がりの情事』のあらすじと見どころをご紹介!

ロマンチックな『昼下がりの情事』について

昼下がりの情事 あらすじ
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出典:株式会社ニューライン公式サイト

1957年のアメリカ映画『昼下がりの情事』。ハリウッドの往年の大スターであるゲイリー・クーパーが大富豪のプレイボーイを演じ、その相手役をオードリー・ヘップバーンが演じています。

オードリー・ヘップバーンは、この作品でゴールデン・ローレル賞主演女優賞を受賞。脚本を手がけたビリー・ワイルダー監督とI・A・L・ダイアモンドは、全米脚本家組合賞のコメディ部門で最優秀脚本賞を受賞しています。

主題歌「魅惑のワルツ」のロマンチックなメロディは特に印象に残り、映画の中でもキーになっているのはもちろん、効果的な使われ方をしています。当時、アメリカを代表するシンガーのジェーン・モーガンが歌ったレコードが大ヒットし、その後もパーシー・フェイスやナット・キング・コールなど大勢のアーティストたちによってカバーされています。

10秒で分かる『昼下がりの情事』の簡単なあらすじ

ざっくりあらすじある日、父親の依頼人X氏が妻の浮気相手・フラナガン氏を銃で殺害しようとしていることを知ってしまう。そして、X氏が不倫現場のリッツホテルに乗り込む前にX夫人と入れ替わるのだった。その出会いをきっかけに、アリアーヌはフラナガンに恋をしてしまう

アメリカ人で大富豪のフラナガンは、世界中を飛び回っており、次に再会したのは一年後だった。オペラハウスで偶然再会した二人は、また午後4時にリッツホテルで会うことになる。世界中に女性がいるプレイボーイのフラナガンに恋するアリアーヌは、興味を引こうと作戦を考える――。

オードリー・ヘップバーンに興味がある人にはもちろん、ファンでない方にもお勧めできる名作です。現代では表現できない雰囲気と洒脱な会話、品のあるコメディを堪能できる映画となっています。

『昼下がりの情事』のネタバレあらすじ

【あらすじ①】出会い

昼下がりの情事 あらすじ
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フランスの大都会パリは、あらゆる職業、あらゆる人々が場所も時間も関係なく恋する街。そんなパリで、私立探偵をしているクロード・シャヴァス(モーリス・シュヴァリエ)は、音楽院に通う娘のアリアーヌ(オードリー・ヘップバーン)と二人で暮らしていた。アリアーヌは、父の事件ファイルをこっそり読んでは、数々の恋の事件に少女のような憧れを抱いていた。

ある日、アリアーヌは、父の依頼者X氏(ジョン・マッギヴァー)が妻の不倫相手・フラナガン氏(ゲイリー・クーパー)を殺害しようとしていることを知ってしまう。場所と時間は、リッツホテルのスイートルームに夜10時。アリアーヌは、学校が終わると警察に電話するが相手にされず、男友達のミシェル(ヴァン・ドゥード)にリッツまで送ってもらう。

X氏が乗り込んでしまう前に、アリアーヌは隣の部屋のベランダを伝ってスイートルームに忍び込み、X夫人(リズ・ブールダン)と入れ替わる。事件は回避されたが、アリアーヌは、フラナガンと成り行きでキスをしてしまう。フラナガンは、突然あらわれた不思議なアリアーヌに興味を抱き、パリ滞在最終日である翌日午後4時に同じスイートルームで会う約束をするのだった。

【あらすじ②】プレイボーイに恋するアリアーヌ

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大人の魅力をもつフラナガンに突然出会って恋に落ちたアリアーヌだったが、プレイボーイで有名なフラナガンに会うことをためらっていた。しかし、“断るため”と口実をつくってリッツのスイートルームを訪れてしまう。そしてそのまま二人は、フラナガンが発つ夜10時までの時を過ごす。出発の時、アリアーヌはフラナガンの胸にあった、一輪のカーネーションを貰って見送るのだった。

その後もアリアーヌは、フラナガンのカーネーションを大事にとっておき、忘れられない日々を送った。一年経ったある日、ミシェルとオペラ鑑賞をしていると、一階席に女性を連れたフラナガンを見つけるアリアーヌ。休憩時間にまわりを見回していると、フラナガンを見つけ再会を果たす。しかし、フラナガンはアリアーヌを忘れていた。話す内に思い出したフラナガンは、強引に同じ時間同じホテルの同じ部屋で会う約束をして去っていくのであった。

【あらすじ③】プレイガールを演じるアリアーヌ

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音楽にシャンパンに豪華な食事、それがフラナガンの必勝法。フラナガンは、一年前と同じように楽団を部屋に呼びロマンチックなメロディーを奏でてアリアーヌを迎え入れる。

アリアーヌは、父親が依頼人から預かった白テンのコートを着ていた。そして、フラナガンには男性から貰ったと話し、様々な男性の影をちらつかせる。一筋な女性が苦手だと言うフラナガンに対して、アリアーヌはプレイガールを演じるのである。

そして、男は自分だけではないと分かると、フラナガンは自分でも気づかぬうちに嫉妬しはじめる。さらにアリアーヌは、ピクニックに意味深に思えるアンクレットをつけていき、男性から貰ったとフラナガンを挑発する。フラナガンは、アリアーヌに男性が何人いたのか聞きだそうとするが、はぐらかされるのだった。

【あらすじ④】嫉妬に胸を焦がすプレイボーイ

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いつものようにリッツのスイートルームで会うアリアーヌとフラナガン。仲睦まじく過ごしていると、ストックホルムで関係のあったフラナガンの女性から電話が入る。察したアリアーヌは別室に移動する。悲しみにくれるアリアーヌは、フラナガンから質問されていた男性遍歴を録音機に残す。そして、電話が終わったフラナガンに一緒に夜を過ごしたいと誘われるが、予約でいっぱいだと帰っていくのだった。

録音機を聞いたフラナガンは、嫉妬で一晩中ヤケ酒をあおる。気分直しにサウナに訪れると、そこにはX氏がいた。ただならぬフラナガンの様子からX氏は、事実を知るべく探偵を雇うよう私立探偵のクロードを紹介する。フラナガンは、名前も素性も何も知らないアリアーヌのことを知るため、クロードの家を訪れるのだった。

【あらすじ⑤】フラナガンの決断

調査を依頼されたクロードは、詳細を聞くうちにフラナガンの相手が自分の娘・アリアーヌだと察知する。報告書を作ると、リッツホテルにいるフラナガンを訪れた。そして、アリアーヌの相手はただ一人、フラナガンだと報告する。プレイボーイに本気で恋する娘のために、フラナガンにすぐにパリを発つよう説得するクロード。真実を知ってさらにアリアーヌに興味をもつフラナガンだったが、クロードがアリアーヌの父親と知り、父親の真摯な言葉に別れる決意をする。

何も知らないアリアーヌが部屋を訪れると、フラナガンはパリを発つ準備をしていた。突然の出立に戸惑うアリアーヌ。しかし悲しみを押し殺して、駅までフラナガンを見送る。

アリアーヌは、駅のホームでこらえきれず涙を流しても「(汽車の)ススが目に入った」と強がっていた。汽車が動き出しても、追いかけながら必死にプレイガールを演じるアリアーヌに、愛しさがこみあがってきたフラナガンは、ついにアリアーヌを抱きかかえ汽車に乗せるのだった。

『昼下がりの情事』のキャスト

アリアーヌ/オードリー・ヘップバーン

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1929年5月4日~1993年1月20日(63歳没)。亡くなってから長い年月を経てもなお、ヘップバーンの魅力は色あせることなく、現在も多くの人々に愛され続けています。

誰もが知る名作『ローマの休日』(1953年)では、アカデミー賞主演女優賞を受賞しており、翌年公開した『麗しのサブリナ』(1954年)では、そのスタイルやファッションをきっかけに、ヘップバーン自身がファッションアイコンとなっていきました。

映画のイメージが強いヘップバーンですが、『ローマの休日』の前にはブロードウェイの舞台『ジジ』で主役のジジ役を演じています。そしてこのジジ役で、優秀な舞台俳優に贈られるシアター・ワールド・アワードを受賞していて、その実力を知るところとなります。

今はもうヘップバーンを舞台で観ることはできませんが、その魅力は映画を通しても感じられる程です。

フランク・フラナガン/ゲイリー・クーパー

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1901年5月7日~1961年5月13日(60歳没)。アカデミー賞主演男優賞を2度も受賞しているハリウッドの往年の大スターです。

1957年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した『友情ある説得』に出演。『昼下がりの情事』の公開時ではすでに56歳ですが、男性としての魅力を感じさせます。そして、公開時28歳だったヘップバーンとは28歳差がありながらもプレイボーイという役柄もあってか、違和感がありません。

映画だけでは大スターといってもどれくらい人気あったのか分かりづらいですが、若い頃の写真を見ると、現代でも通用するほどの超~イケメンです!!思わず若い頃の映画も観てみたくなるでしょう。

クロード・シャヴァス/モーリス・シュヴァリエ

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1888年9月12日~1972年1月1日(83歳没)。優しい笑顔が印象的なモーリス・シュヴァリエ。アリアーヌの父親役では、ウィットに飛んだ会話と娘への愛情表現が理想的で、こんな父親がいたらいいなと思わせてくれるほどです!

パリ生まれのシュヴァリエは、世界大戦を二度も経験しながらも、フランスやアメリカでシャンソン歌手や舞台・映画俳優を続け、人気スターとなります。長年の功績をたたえられ第31回アカデミー名誉賞を受賞。1972年に亡くなった際には、ロンドン・タイムズ誌で「パリは、その歴史と伝統の一部を失った」と報じられたほどでした。

X氏/ジョン・マッギヴァー

1913年11月5日―1975年9月9日(61歳没)。コミカルな演技が上手いジョン・マッギヴァーは、一度観ると印象に残り、別の映画にちょい役で出ていても気がつく名バイプレーヤーです。

第42回アカデミー賞作品賞を受賞したダスティン・ホフマン主演映画『真夜中のカウボーイ』(1969年)に、オダニエル役として出演。そのほか、コメディ映画『ニューヨーク泥棒結社』(1968年)やスパイ・コメディ映画『マーメイド作戦』(1966年)に出演しています。ヘップバーン主演映画では、『ティファニーで朝食を』にもティファニーの店員としてチラッと出演しています。ご興味のある方は、ぜひ探してみてください。

ミシェル/ヴァン・ドゥード

アリアーヌと同じ音楽院に通う青年で、アリアーヌに翻弄されながらも思いを寄せている役です。恋に落ちたアリアーヌが“魅惑のワルツ”を口ずさんでいると「俗悪な曲はやめてよ。音楽的価値はゼロだ」と言って堅苦しい一面を見せます。かと思うと、オペラ鑑賞のシーンでは、つまらなそうなアリアーヌとは対照的に楽譜を見ながら熱心に指揮者のマネごとや、指揮の勢いでタキシードの脇を破いたりして、ちょっと変わり者でドジな一面を見せたりもするのです。

『昼下がりの情事』のみどころ

【その①】洒脱な雰囲気を醸し出しているヘップバーン

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パリを発つフラナガンをリッツの前で見送るシーン。一度見たら忘れられないこちらのシーンは有名ですよね。フラナガンの胸にあるカーネーションを貰い、それを挟んだ手でスッと別れの挨拶をするのです。洗練された動きに目を奪われてしまいます。 

【その②】お茶目でキュートなアリアーヌ

・ミシェルと二人でオペラ鑑賞に出かけたアリアーヌは、つまらなそうにしています。ふと、ミシェルのタキシードの袖から出た糸が気になりどんどん引っ張ると、内布がひと塊でてきてしまいます。しかし、その内布をタキシードの胸ポケットに入れてポケットチーフにしちゃうのです。なんともお茶目なアリアーヌですよね。

・オペラハウスの観客席にフラナガンを見つけたアリアーヌは、双眼鏡で見つめます。その時、ミシェルが双眼鏡を借りようと手を伸ばすとペチッと手を叩くのですが、そのシーンのちょっとしたやり取りがコミカルで笑えます。ミシェルはあまり登場しませんが、アリアーヌとのやり取りにいい味をだしているんです!

【その③】洒落た会話

父親のクロードとアリアーヌの会話

連日徹夜する父親を心配して「働きすぎよ」と言うアリアーヌに、私立探偵で不倫の証拠集めをしている父親は「医者と同じで呼ばれれば夜も休めんのだ。患者がベッドから出られるまで見届けるんだよ」と返します。下世話なようで、日本人にはなかなかできない洒落た言い回しですよね。

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警官とアリアーヌの会話

事件発生前に警官を派遣してほしいとお願いするアリアーヌに、警官は「パリに星の数ほどあるホテルの部屋で行われる不倫全てに警官を動員していたら、パリ中の警官を動員しても到底足りません。ボーイスカウトまで必要です。半ズボンの少年を不倫の現場にやれますか?」と、すごい理屈で断るのです。ちょっとしたシーンでもこのような洒落たセリフがさらりと使われているのです。

【その④】チャーミングな笑顔

アリアーヌは、チェロの練習をしていると見せかけながら、隣の部屋にいる父親にばれないように、楽譜台にフラナガンの過去の恋の事件ファイルを置いて読んでいます。その時、ある記事に気を取られてチェロが変な音になってしまいます。父親の様子を伺って覗くアリアーヌは、父親と目が合うと笑顔で誤魔化すのですが、そのシーンがコミカルでヘップバーンのチャーミングさが感じられるのです。

【その⑤】ユニークな表現 

アリアーヌ「愛を信じていないの。自信満々で難攻不落。でも弱点ありよ。嫉妬するのよ」「変な人種なのよ。子ども時代に歯列矯正して、ビタミンを飲まされて――変化しちゃうのね。免疫ができ機械化され空気調整されてしまうの。ハートだってないかも」
ミッシェル「じゃ彼はエイリアンかい?」
アリアーヌ「いいえ、アメリカ人よ」

アリアーヌとミッシェルがオケの練習前にフラナガンの話をしているシーンの会話ですが、この会話は、もしかしたら監督ビリー・ワイルダーのシニカルなのかもしれません。“歯列矯正”というユニークな表現を使って、人間自体が一律化され人間の感性が失われていくことを危惧しているセリフに思えませんか?

なんでも合理的であれば良いというものではなく、豊かな感性、音楽とユーモアが大事だと感じさせられる作品になっています。さらに、愛をテーマにしている作品なので、相手を大切に想うはアタマではなくハートで感じるものだと、現代にも通じる大切なメッセージが残されています。

まとめ

昼下がりの情事 あらすじ
出典:Amazon.co.jp

ロマンチックな音楽にのせて展開される恋愛映画ですが、コミカルなシーンも多いので、楽しめる作品になっています。洒落た会話や演出、そして憧れる日本人も多いパリを舞台にした映画。非日常のロマンチックな世界をぜひ味わってみてください。