映画『トレインスポッティング』のネタバレ解説|舞台・エジンバラの歴史が関連

 

セックス・ドラッグ・バイオレンスが三拍子そろった青春映画『トレインスポッティング』。3つの中でも「ドラッグ」が物語のキーパーソンとなっており、ヘロインから抜け出せない自堕落な若者たちを生々しく描いています。

薬物中毒の恐ろしさだけでなく、中毒者を自覚しながらもがき続ける主人公の姿には考えさせられるものがありますね。物事がうまくいかない時、モヤモヤとした日々が続いている時にぜひおすすめしたい作品です。本作はネタバレを含みますので未鑑賞の際はご注意下さい。

 

トガりまくってる青春映画!?『トレインスポッティング』について

イギリスで制作され、1996年の公開した『トレインスポッティング』。冒頭から芸術性の高いイメージシーン、衝撃のヘロイン吸引から始まり、多くの観客の心を虜にしました。

ヘロイン中毒の若者がテーマでありながら薄暗い雰囲気はあまりなく、わざとスタイリッシュに描いているのが本作のスゴいところ。ブラックコメディのような要素も取り入れられ、決して「お涙頂戴」のストーリーにはなってない部分もミソですね!

芸術性の高さや脚本のきめ細やかさ、そして俳優陣の演技力が高い評価を受け、英国アカデミー賞脚本賞、エンパイア賞英国作品賞など様々な賞を受賞しています。監督は「28日後…」や「スティーブ・ジョブズ」でお馴染みのダニー・ボイル。作中のサウンドや映像が特徴的であり、時折混ざるブラックユーモアには個性がキラリ。ジャンルに縛られず、幅広い作品作りをしていることでも有名です。

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10秒で分かる『トレインスポッティング』の簡単なあらすじ

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舞台はスコットランドのエジンバラ。レントンはヘロイン中毒に陥っており、仲間も薬物や犯罪に溺れながら意味のない日々を送り続けていました。何度も薬物を断つ決意をするものの、毎度その意志は打ち砕かれているのです。

ヘロイン断ちを繰り返し、レントンを含めた中毒者三人はようやく”禁ヤク”を本格的に始めることにしました。

しかしヘロインがなければつまらない人生、物事は相変わらずうまくいきません。現実にぶつかれば再びヘロインに走り、地の底を這う若者たち。セックス、ドラッグ、バイオレンスにまみれた日々だが、果たして彼らはどうなってしまうのでしょうか――。

 

 

『トレインスポッティング』のネタバレあらすじ

【ネタバレ①】ヘロインと”禁ヤク”、変わらぬ日々

トレインスポッティング ヘロイン
トレインスポッティング公式Facebook

レントン(ユアン・マグレガー)は仲間のシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)とスパッド(ユエン・ブレムナー)と共にヘロインに溺れる日々。今まで何度もクスリ断ちを試みるも成功したことは一度もない。この日もレントンは断薬を決意し行動に移すも、結局売人の元へ走り、元へと戻ってしまうのだった。

仲間内のベグビー(ロバート・カーライル)とトミー(ケヴィン・マクキッド)はクスリこそやらないものの、レントンら同様無機質な日々を送っていることに変わりはない。ベグビーはケンカ中毒であり、一度暴れたら手が付けられないほどの暴君。下手すれば薬物中毒よりも厄介な人物だ。

ヘロインや暴力、犯罪に溺れる中彼らは一斉にクラブへ。レントンはダイアンという強気で美人な女性に一目ぼれし、勢いで一夜を共にする。だがダイアンの正体は中学生だった。逮捕を恐れるレントンに対しても彼女は強気。「通報されたくなかったらまた会いましょ」の言葉をきっかけに、ダイアンとの関係は続く。

 

【ネタバレ②】心の隙間を埋めるには……

トレインスポッティング ドーン
トレインスポッティング公式Facebook

レントンがダイアンと過ごす一方で、スパッドやトミーもそれぞれの恋人と夜を楽しんでいた。だが二人は失態を冒しフラれてしまう。その悲しみが耐えられず、結局彼らは断薬の12時間後にヘロインを再開。トミーでさえ薬物中毒の仲間入りだ。

そんなある日のこと、薬物仲間のアリソン(スーザン・ヴィルダー)が叫び声を上げる。彼女の子供が死んだのだ。若者らは号泣し、父親であろうシック・ボーイはレントンに「何か言ってくれ」と声を荒らげる。ヘロインでしか心の痛みを和らげることができない彼らは、またもクスリに溺れる。

この事件をきっかけに犯罪をも犯すようになった一同だが、運悪くレントンとスパッドは逮捕された。だがスパッドのみが実刑を受け、レントンは執行猶予。執行猶予中は断薬と薬物を繰り返しながら苦しむも、幸い流行していたエイズには感染していなかった。

自宅療養中ほっと胸をなでおろすレントンだが、仲間のトミーがエイズに感染していたことが発覚する……。

 

【ネタバレ③】レントンの元に訪れる闇

トレインスポッティング ロンドン
トレインスポッティング公式Facebook

ダイアンと会う日々は続いており、何もしていないレントンに対し「何か始めなきゃ」と背中を押す。彼女の言葉をきっかけにレントンは物件案内の仕事を始め、ヘロインと縁遠い生活を送り始める。順調な生活は続いていたが、ある時窃盗罪で追われる身のベグビーが訪ねてくる。街中を堂々と歩けない彼はレントンの家に居座り、とうとうシック・ボーイも現れ、以前のような状態になりつつあった。

レントンは二人を追い出すため許可なく物件に住まわせてしまい、クビ。更にはトミーが死亡してしまい、葬儀のためにエジンバラへ戻るのだった。久しぶりに集結した4人、葬儀の後にベグビーとシック・ボーイはクスリの大量取引について話を始める。スパッドもカネが必要なことから、取引に加担するつもりなのだ。

少しでもミスをすれば即逮捕の危険な案件。レントンは頭を悩ませるも彼らと協力することにした。

 

【ネタバレ④】大量取引の果てに

トレインスポッティング 2キロ
トレインスポッティング公式Facebook

目的は2キロのヘロインを4000ドルで売りさばくこと。4人は緊張しながらロンドンへ向かい取引をホテルの一室で始めた。しかし見事に足元を見られてしまい、取引額は1600ドルに留まってしまう。けれども売れたことに変わりはない、取引後はパブで祝杯を挙げ、全員の気分は高揚していた。

トミーとベグビーが席を外した瞬間「ギャラを持ち逃げするか」とレントンはスパッドへ提案。スパッドが戸惑っていたため実行には移さなかったが、そんな中ベグビーはいつもの喧嘩中毒を発揮。レントンはそれを見て何とも言えぬ気持ちを抱いていた。

全員が寝静まった後、レントンは起きていたスパッドを見てみぬふりをしてホテルを後にした。そう、金を持ち逃げしたのだ。一部をスパッドに残し、後は全て丸貰い。新たな人生をスタートするべく、爽やかな笑顔のレントンが朝の街を練り歩いていた。

 

 

『トレインスポッティング』のキャスト

マーク・レントン/ユアン・マグレガー

トレインスポッティング マーク
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何度も断薬と再開を繰り返し薬物中毒に苦しくレントン。辞める意思を持っていても誘惑に負けてしまう彼の姿は、見ていて痛々しいものがありますね。決して心根が腐っているわけではないので、彼が再びヘロインに手を出すシーンには「またかー……」と失望感を覚えてしまいました。

最終的に金を持ち逃げしたレントンですが、いつから仲間を裏切ると決めていたのでしょうか。スパッドに話を持ち掛けた時から?それともロンドン行きを決めた時から――?仲間がいながらどこか孤独を生きている、彼からはそんな寂しさを感じます。

レントンを演じるのはユアン・マグレガー。薬物に溺れるシーン、フラッシュバックに苦しむシーンなど、抜群の演技力で鑑賞者を虜にしました!本作ではエンパイア賞・最優秀男優賞や ロンドン映画批評家協会賞・最優秀男優賞を受賞。『スターウォーズ』シリーズや『ゴーストライター』などでも知られている有名俳優さんです。

 

シック・ボーイ/ジョニー・リー・ミラー

トレインスポッティング シック・ボーイ
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マークと共に行動することが多かったシック・ボーイ。決して彼も心の底からの悪人ではないのですが、ヘロインを辞められない弱さを持っています。犯罪で金儲けをすることしか考えられないため、レントンに比べると遥かに常識を逸脱した人物と言えるでしょう。

最後にはレントンに裏切られてしまいましたが、ベグビーのように発狂はしていなかった彼。一体どんな心境で朝を迎えたか非常に気になるところ。ちなみにシック・ボーイがレントンに対して思った内容については続編で明らかになりますよ!

シック・ボーイを演じるのはジョニー・リー・ミラー。俳優業に専念するために高校を中退したという熱心ぶり。映画のみならずテレビドラマでも主演やレギュラーを務め、現在も積極的に活動を続けています。

 

ベグビー/ロバート・カーライル

トレインスポッティング ベグビー
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仲間内で唯一薬物に手を出していない人物ですが、まるで中毒者が暴れているようなキレっぷり。喧嘩中毒であり、下手すると薬物中毒よりタチが悪いかも……。“根っからのワル”で犯罪を何とも思っていません。だいぶ個性的なキャラではありますが色々と「分かりやすい」ので、逆に「好き!」という声も多いのだとか(笑)

ベグビーを演じるのはロバート・カーライル。本作で人気に火がつき、同監督の作品『28日後…』にも出演しています。難しい役どころも多いのですが、演技力はバツグン。これからもどんな活躍をするか楽しみですよね!

 

スパッド/ユエン・ブレムナー

トレインスポッティング スパッド
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5人の中では最も気弱そうな雰囲気であり、穏やかな性格をしています。ヘロインにすっかり溺れてクスリ断ちができない日々。彼の場合は「ちょっと流されやすいタイプ」なのかもしれませんね。心優しさや穏やかな一面をレントンは知っていたために、分け前のお金を残したのでしょう。

スパッドを演じるのはユエン・ブレムナー。実は当初レントン役を受け入れるはずだったという裏話が!『ワンダー・ウーマン』など数々の作品に出演し、本作の舞台版にも登場していますよ。

 

トミー/ケヴィン・マクキッド


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ベグビー同様ヘロインに手を出していなかった仲間の一人。しかし恋人に振られたことが引き金となり、彼らと共に薬物中毒に陥ってしまいます。針を回し打ちしていたためエイズにも感染する悲惨っぷり……。最終的には一人寂しく、ネコがいる部屋で息絶えてしまったのでした。

トミーを演じるのは本作で映画デビューとなったケヴィン・マクキッド。俳優だけではなく声優も務めており『グランド・セフト・オート』や『コール・オブ・デューティー』といったゲームにも出演しているんですよ。

 

ダイアン/ケリー・マクドナルド

トレインスポッティング ダイアン
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クラブでひときわ色気を放っていた美しいダイアン。レントンも勢いで声を掛けてそのまま夜を共にするも、正体は学生だったのです!翌日制服を着て登場する彼女を見て、絶句するのも無理はありませんね(笑)

お酒もタバコもセックスも上等!なダイアンですが、家族仲が悪くなさそうなのが意外なポイントです。

ダイアンを演じるのはケリー・マクドナルド。ケリーもトミー役のケヴィン同様、本作で初の映画デビューを果たした人物なんだとか。本作で一気に知名度が上がり、現在はすっかり有名女優になりました。元々はバーで働いていたそうなので、物凄いジャンプアップですね!

 

 

『トレインスポッティング』の解説

トレインスポッティング 鉄道
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タイトルの意味は?

『トレインスポッティング』と聞いて、タイトルの意味がピンと来る人も少ないでしょう。なぜならこの言葉は直訳すると「鉄道オタク」と意味だから!鉄道もオタク要素も一つもないのに、なぜこのタイトルなんだ!?と思ってしまいますよね。

実は当時のエジンバラで、鉄道の廃車置き場が薬物中毒者の溜まり場となっていました。つまり『トレインスポッティング』とは“薬物中毒”を示す隠語だったのですね。ちなみに他にも『些細なことに夢中になる』といった意味合いもあり、レントンらの行動を見ていれば2つの意味が理解できるかもしれません。

些細なこと=心や意思の弱さを現わしているといった推測も出来ます。なんとなく受け入れてしまうタイトルですが、こんなに深い意味が込められていたとは驚きです。

 

当時のスコットランド、時代背景とは?

スコットランド 最悪のトイレ
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トミーが恋人にフラれた後、山へ行くシーンがありましたね。この時にレントンは国に対し「こんな国はクソだ!」などなど、とにかく吠えまくり。これはただ彼らが個人的に不満を抱いているだけでなく、隠された時代背景が関係しているのです。

1980年から90年代にかけて、イギリスは1979年に起きた第二次オイルショックの影響に巻き込まれています。その結果失業率が増加し、この矛先はスコットランドやイングランドに向いていきました。(※この二つの地域は製造業が盛んであったため※)イギリスは状況の回復をはかりますが、製造業に向けてはほとんど配慮をしてくれません。つまりスコットランドという地は、存在する国からも冷遇を受けていたのです。

スコットランド1970年ごろから不遇の状態が続き、失業が相次いだイングランドよりも遥かに劣っていたのです。それをレントンらも分かっていたために、言葉に表せない劣等感を覚えていたのでしょう。この影響は2キロのヘロインを取引するシーンにも繋がっており、「足元を見られた」というのも、実はこの理由が絡んでいたりもします。

同じ国でありながらロンドンとスコットランドの差も凄まじいですよね。鑑賞者の誰しもが「ウッ!」となった”スコットランドで最悪のトイレ”と、ロンドンの美しい街並みや物件を比較してみると一目瞭然。思い返せばヘロインを吸っていた場所やトミーの家も、決して綺麗な部屋や家でなかったのです。

時代背景を知るとますます『トレインスポッティング』が深く、興味深いものに思えてくるはず。こちらを頭に入れ再度鑑賞するのもアリですよ~!

 

赤ちゃんが命を落とした理由は?

ヘロイン中毒仲間にアリソンという女性がいますが、彼女は子持ちでした。クスリを注入する傍らで赤ちゃんのドーンが歩き回っているという衝撃的な絵図が続くものの……命は長く続きませんでした。死因がハッキリと作中で描かれていなかったのですが、ドーンの口の周りには泡を吹いた痕跡が見られます。アリソンは薬物を服用しながら子育てをしていたため、その影響を受けてしまった可能性が高いでしょう。

体内に薬物が入ったまま授乳を行えば、当然赤ちゃんの体には同じ成分が行き渡ってしまいます。スコットランドの時代背景もありますし、地を這うような生活を行っているので粉ミルクが手に入らなかったのかもしれません。また薬物に溺れ、ミルクを作ることが面倒になり、そのまま授乳をしてしまったことも考えられますね。

それにしてもヘロインを継続しながら子供を育てていることが本当に恐ろしいと思いませんか?レントンらが最も心を痛めた、悲惨な事故と言えるでしょう。

 

『トレインスポッティング』のウラ話

トレインスポッティング ウラ話
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ここでは『トレインスポッティング』のウラ話をこっそりご紹介します。あなたはいくつ知っていますか?

ウラ話その①ダイアンとケリーの年齢は……

ダイアンは14歳と、日本でいえば義務教育にあたる年齢。レントンがうっかり寝てしまった後、大慌てするのも無理はないですよね(笑)制服姿が良く似合うケリー・マクドナルドですが、演じた当時の年齢は19歳!設定年齢より5歳も上だったなんて、ちょっぴり信じられません。

 

ウラ話その②スパッド役のユエン・ブレムナー、レントンを演じる

元々レントンの候補がユエンだったのですが、結果的にスパッド役へ抜擢。その後『トレインスポッティング 舞台版』が上演されることとなり、彼は遂に舞台上でレントンを演じたのです!映画を観た後に舞台を観ると不思議な感覚になるかもしれませんが、元々は主人公候補でしたからね。本人も演じ分けるのが大変だったことでしょう。

 

ウラ話その③全員がスコットランド出身ではない!?

キャスト陣や脚本家がスコットランド出身であることも本作の特徴ですが、シック・ボーイ役のジョニー・リー・ミラーだけはロンドン出身だったそう。そして監督もイングランド出身。スタッフなどが全員スコットランド出身というわけではないようです。

 

ウラ話その④ヘロインの扱い方が妙にリアルなワケ

ユアン・マグレガーがヘロインを注入・吸引するシーンがやたらリアルだと思いませんか?このシーンにはかなりこだわりを持っていたようで、彼自身が更生施設を訪れて、扱い方を研究したのだとか。演技にしてはとてもリアルですよね……。ユアンの探求心には脱帽します。

 

ウラ話その⑤有名アーティストののオマージュを彷彿させるカット

トレインスポッティング ビートルズ
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4人がロンドンへクスリの取引をしに行く時、カバンを持ちながら優雅に街を歩いていますよね。カンの良い方はもうお気づきかと思いますが、ビートルズの『アービーロード』を意識しているようなカットとなっています。見比べてみるとかなりそっくり、芸術性の高さもこんな1カットから伺えますね。

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『トレインスポッティング』のネタバレまとめ

ただの薬物中毒映画ではなく、若者たちの犯罪をまとめた作品でもありません。そこには彼らの迷い・葛藤・不安・ゆらぎが入り混じって、人間らしさを前面に出した感慨深い映画となっています。一度観ればあなたの心にも必ずレントンらの叫びが届くはず。

題材はハードだとは思いますが、決して重々しすぎず、映像や音楽を用いて個性的に描いているのも非常に魅力的。あなたもぜひ『トレインスポッティング』の世界観に触れてみてくださいね。

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