『最強のふたり』は相性抜群!じんわり心温まる名言&ブラックジョーク集
2012年9月1日に日本で公開された、実話が基になったフランス映画『最強のふたり』。なんとフランスでは、3人に1人が観たと言われるほど大ヒットしました!その面白さと心温まる物語は日本でも話題となり、日本公開のフランス映画の中で興行収入ランキング歴代1位という記録を打ち立てました。フランス映画を観たことがなくても楽しめる作品です!
そんな『最強のふたり』の魅力の1つが、ドリスとフィリップの掛け合い。「えっそんな事もジョークにしちゃうの!?」と驚いてしまうようなブラックジョークや、胸がギュッと締め付けられる名言が数多く登場します。
今回はそんな名言の数々を通してフィリップとドリスの関係性について徹底的に解説していきます!
『最強のふたり』の名言から元気と勇気をもらいましょう!
目次
『最強のふたり』は実話が元のお話
出典:IMDb
日本ではあの『アメリ』を超える興行収入となった大ヒット映画『最強のふたり』は、とあるふたりの実話が元になっています。
彼らの名前はフィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴ(作中の”フィリップ”)そしてアブデル・ヤスミン・セロー(作中の”ドリス”)。
史実のフィリップも、かつてコルシカ島で公爵の位にあったディ・ボルゴ家の血を引く、正真正銘貴族の家系で大富豪。世界でも有数のシャンパンメーカーの重役を務めていましたが、42歳の時、パラグライダー事故により頸椎を損傷し、全身麻痺となってしまった点は作中でも忠実に描かれています。
ドリスのモデルとなったアブデルは、実際は黒人ではなくアルジェリア出身の、地中海系。24歳でフィリップと出会い、介護人を務める事になりました。
全てがノンフィクション、という訳ではありませんが、映画『最強のふたり』は彼らの実際のエピソードを基にして作られています。
ちなみに、史実のフィリップがアブデルとの共同生活について著した本も販売されています。これが大ヒットし、出版されてから10年という年月を経てフランスで初の映画化が決定する形となりました。ご興味がある方は是非ご覧になってみてくださいね。
『最強のふたり』のあらすじ
スラム街出身の黒人の青年・ドリス(オマール・シー)は、失業手当を受給するために不採用通知を集めていた。そこで、手っ取り早く不採用にしてもらおうと、ある面接にやってくる。
それは、事故のため全身麻酔になってしまった大富豪・フィリップ(フランソワ・クリュゼ)の介護士を決める面接だった。
障害者であるフィリップに対して、全く気を遣わないドリス。フィリップはそんなドリスを自分の介護士に選ぶ。介護はまったくの未経験で、そのうえ「いつでも辞めていい」という投げやりな思いから雑に仕事をこなしていくドリスを、まわりの人間は快く思わない。しかしフィリップは、ドリスの遠慮のないストレートな態度を気に入っていたのだった。
ふたりは徐々に打ち解けていき、いつの間にか心を許し合える親友に。そんなフィリップとドリスには、それぞれ乗り越えなければいけないことがあり……。
名言?迷言??『最強のふたり』のブラックジョーク集
じんわり温まる名言…の前に、この作品がいかにユーモアに溢れた温かい作品であるかをご理解頂く為に、まずは作中に登場する「ブラックジョーク」をご紹介いたします!
作品をご覧になった方はよくご存じかと思いますが、この作品、日本じゃ「エッ!?」「その発言はアウトでしょ!」とヒヤヒヤさせられるような、いわゆる”ブラックなジョーク”が数多く登場します。これがもう、本当に観ていてヒヤヒヤしてしまう内容ばかりなんです。
通常、障害者の方には腫物を扱うかのような態度で接し、言葉選び1つとっても慎重~になってしまうところ。しかし、このふたりにはそんな倫理観、関係ありません!ぶっ飛んだ会話劇を繰り広げてくれています。早速いくつかご紹介していきます!
ドリス「知らなかった」
フィリップの介護役として採用されてすぐ、彼を車椅子まで運び込んだ時の掛け合い。座らせただけでは力が入らず崩れ落ちてしまうので、しっかりとベルトで固定する必要があった為の発言ですが、初っ端からぶっ飛んでいますね。二人の独特な距離感をここから既に感じ取る事ができます。
フィリップ「実験」
こちらも、採用されてすぐのやり取り。フィリップの脚のマッサージをしようとしたところ、用意された熱湯の熱さに驚くドリス。興味本位でフィリップの脚に熱湯が入った容器を当ててみるも、反応無。そこで、熱湯を直接脚にかけてみる事にしたドリスでしたが、フィリップはそれでも全くの無反応。
「たまげた」「満足したか?」こんなやり取りの後、フィリップのマッサージを担当しているマルセルが慌てて止めに入ります。
しかし、フィリップはしれっとしたように「実験」と答えるのです。この掛け合いで、裕福で一見紳士的に見えるフィリップも、実はかなりお茶目でジョーク好きというのが見えてきますね。
ドリス「ダメだ。健常者用」
普通に聞くと、障害者を差別するかのような発言ですが、これもフィリップとドリスにかかれば「笑えるブラックジョーク」なんです。「冗談だよ、笑えるだろ。健常者しか食べちゃダメ。ブラックだ、あんたにぴったり」大爆笑しながら語りかけるドリスに「面白い」とどこか楽し気に返すフィリップ。結局その後チョコを食べさせてあげるのですが、なんともヒヤヒヤする発言ですよね。
ドリス「2つとも?」
「そういえば、そんな体でアッチ方面はどうしてるの?」と女性関係について切り出すドリス。それに対してフィリップはこう答え、2人で大爆笑。体が不自由な相手に対して性の事情に踏み込むなんて、通常なら非常識だと非難されてしまいそうなもの。しかしフィリップはどこか楽しそうにドリスとの会話を続けます。
ドリス「マジに教えてくれ」
フィリップ「良い人生だった」
飛行機の中でのふたりの会話。ふと大きな音がして、飛行機を怖がるドリスに対してフィリップはこう言います。「マジに教えてくれ」と不安げに問うドリスに「いい人生だった」と続け、慌てふためくドリスを見て心底ご満悦といった顔で楽しそうに微笑むフィリップ。
いつも冗談を言ったり、からかったりと軽妙なやり取りをする2人。このセリフもその1つです。海外映画ならではのジョークですよね!
作中には、このように2人の絶妙な掛け合い>が沢山あるので、ぜひ楽しんで頂きたいです。
『最強のふたり』の心温まる凸凹コンビの名言集!
立場を越えた友情が描かれている『最強のふたり』。しかし決して重い映画ではないのだという事を、十分ご理解いただけたのではないでしょうか?
ここからは一転して、ふたりの掛け合いから感じる深い深い絆にぎゅっと胸を締め付けられるセリフをご紹介していきます。まだ作品を知らないあなたも、じっくり楽しみたくなること間違いなし。
さあ、心温まる『最強のふたり』の世界観を堪能しにいきましょう!
【名言①】「地上に残せる唯一の足跡だから」
芸術の良さが分からないドリスに対して、「なぜ人は芸術に惹かれると思う?」と問うフィリップ。「商売になるから」と答えるドリスに対し、フィリップが続けて言う言葉です。
絵画などの芸術品は、作者が亡くなった後でも世に残り続けますよね。そんなメッセージを「唯一残せる足跡」と表現するのは、とてもおしゃれで知性的ではないでしょうか。
また、フィリップは妻を病気で亡くしているため、生きている間になにかを残すということに対して熱い思いを持っています。これは、フィリップにしか言えない言葉ですよね!
ちなみにこの直後、先ほどブラックジョークで挙げた”チョコレート”の掛け合いが繰り広げられます。シュールながらも温かみを感じて、思わずクスっとさせられてしまう1シーンです。
【名言②】「私に同情していない証拠だ」
「乱暴で前科もあるドリスは危険だから離れた方がいい」と友人に忠告される場面で、フィリップが放ったセリフです。「ただ身体が大きく健康で脳みそもある。彼の素性や過去など、どうでもいい事だ」とも続けます。
障害を持っていようがお構いなしに”ひとりの人間”として接してくれるドリスの態度を、フィリップは気に入っていました。それまでどの介護士の事も気に食わず長続きしなかったのに、障害をネタにしたジョークや、ちょっぴりお下品な下ネタで一緒に心の底から笑い合えてしまうような、遠慮の無い真っ直ぐなドリスと過ごす時間が、ただただ楽しくて仕方無かったのです。
周りの人達は障害を抱えた自分に気を遣うばかりで、対等に向き合える人がいなかったフィリップにとって、ドリスの存在はとても大きい物となっていきます。
2人の絆の深さがうかがえるステキなセリフです!
【名言③】「馬みたいに荷台に乗せろって?」
フィリップと外出する事になり、障害者用の車へ車いすごと載せるよう指示されるドリス。すかさずこのセリフを吐きます。このセリフからは、フィリップの事を純粋に「一人の人間」として捉えているのが感じ取られますね。
結局、すぐ隣に留めてあった高級車の助手席にフィリップを載せて、楽し気にはしゃぐドリス。そんなドリスを、フィリップも心底楽しそうに見つめます。「障害者として」ではなく「一人の人間」として自分と接してくれるドリスに感謝しているようにさえ見える、名シーンです!
【名言④】「一番辛いのは障害じゃない。妻がいないことだ」
飲食店で、フィリップがドリスに昔の話をしていた時に言った言葉です。
フィリップの妻は5回続けて流産してしまい、更に不治の病に侵されて亡くなっていました。最後まで妻を愛し続けていたフィリップ。自分の身体が不自由なことよりも、最愛の人を亡くした悲しみの方が大きいという切ない心情が伝わってきます。
一方で、そんな場面でも、ドリスは決してフィリップを哀れんだり大げさに深刻な表情を作ったりはせず、1人の友人として話を聞きます。すました顔で食事をとり、終いには話の腰を折って店員にデザートを注文する始末。
しかし、そんなドリスの様子を見て、フィリップは心底嬉しそうにニコニコと微笑みます。2人が信頼し合っている様子が伝わる名場面です!
【名言⑤】「息を吸いたい」
ずっと文通をしていた相手と会うはずだったフィリップですが、障害があることを受け入れてもらえるか不安になり、約束を破って逃げ出してしまいます。フィリップが電話でドリスに迎えを呼ぶ際、言った言葉です。
弱い部分を見せたがらないフィリップが、この場面で初めてドリスに本音を打ち明けます。きっと全てを打ち明けられる関係になったからでしょう。フィリップの切ないこの言葉に、胸が締め付けられてしまいますね。
【名言⑥】「俺はバカリっていうんだ、それが本名」
ドリスが自分の生い立ちをフィリップに話している時に言ったセリフです。実は、ドリスは実の両親から子供の出来ない叔母へ養子として譲られ、本当の名前を失ってしまったという過去がありました。
複雑な家庭で育ったドリスは、乱暴に見えて誰にも言えない過去を背負っていたのです。フィリップを心から信頼していたからこそ、暗い生い立ちを素直に話せたのではないでしょうか。
【名言⑦】「もう終わりにしよう、一生車椅子を押すわけじゃないだろう」
ドリスの血の繋がらない兄弟達が助けを必要としていることを知ったフィリップが言った言葉です。
本当はドリスに介護士を続けてほしかったフィリップ。しかし、ドリスが兄弟達を心配していることを知っていました。自分ではなく、兄弟達を優先していいというフィリップの優しさが感じられる言葉ですよね。
【名言⑧】「俺が来てよかった。待ってて」
ドリスが傍を離れてからは代わりの人間が介護士としてやってくるも、自分のことは腫れ物扱いで、ドリスと煙をよく分け合ったタバコも「身体に悪い」と止める始末。
全てをドリスと比べてしまい、ついには「あっちへ行け!」と冷たくあしらい、気分が優れない夜も、助けを求めず1人でグッと症状が治まるのを待つフィリップ。
ドリスの存在がとても大きかったのだと、見ている側も胸を締め付けられるようなとても苦しいシーンです。
そんなフィリップの元へ、状況を聞きつけたドリスが戻ってきます。そのシーンで放ったのがこのセリフ。もう、「待っていました!!」と思わず泣きながらスタンディングオベーションしてしまうようなセリフですよね!!この後、2人はいつものように冗談を言い合い、塞ぎ込んでいたフィリップの心も徐々に絆されていきます。
【名言⑨】「今度は逃げられないからな」
フィリップと再会を果たしたドリスは、フィリップを連れてレストランへやって来ます。
そこでドリスがフィリップに言ったセリフです。実は、ドリスはこっそりフィリップの文通相手をここに招待していました。一度は逃げてしまったフィリップを励ますように、ドリスはこの言葉を告げるのです。ドリスの優しさが伝わってきますね。
無事に文通相手と初対面を果たし、嬉しそうに微笑むフィリップ。そんなフィリップの様子を窓の外から眺め、安心したように笑みを浮かべるドリス…。物語はこうしてラストを迎えるのですが、とにかく最初から最後まで2人の絆が詰まっていて、胸がじんわりと温かくなります。
まとめ
『最強のふたり』に登場する名言をご紹介しました。どの言葉もユーモアがあって温かい言葉ばかりですよね。障害を抱えていようがお構いナシで、無遠慮に人の心へと踏み込んでいくドリス。そんなドリスだからこそ、フィリップも信頼し、打ち解ける事が出来たのだと思います。
この作品からは「相手に合わせて気を遣って取り繕ったりするよりも、自然体でありのままに接する事の方が、相手を幸福にする事ができる」のだというメッセージ性も感じます。
フランス映画と聞くと少し難しそうな印象を持ってしまいますが、『最強のふたり』は決してそういったお堅い話ではありません。社会問題について描きながらも、観ている人に元気を与えてくれるような作品です。フィリップとドリスの名言を思い出せば、いつでも元気をもらえるはずです!