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今は亡き名監督・今敏監督の『パプリカ』他神映画4作品特集

ひとっとび編集長

今監督といえば、知る人ぞ知るアニメ業界では有名な方でテレビアニメ「妄想代理人」を制作。代表作の映画といえば「パプリカ」で知られています。少しミステリーチックな作品が多く、でも人の感情を豊かに表現しているものばかり。不思議な世界観で一度観るととても印象深く忘れられない作品が多いです!

今回は、そんな今敏監督の手掛けた映画作品前4作を徹底解説していきます!

今敏監督について

今監督は、1963年10月12日、北海道札幌市で生まれました。父親が転勤族だったこともあり、道内を転々とし、最終的には釧路に一番長く住んでいたようです。今監督の後の主要テーマである「イマジネーションと現実の融合」は釧路に住んでいた時と上京したときの生活のギャップから成り立ったもののようです。アニメ業界へはよく読んでいた「童夢」の作者“大友克洋”さんの漫画アシスタントから入り、いくつか作品を出版した後1991年に『老人Z』でアニメ制作へ携わり、1997年に竹内義和原作『PERFECT BLUE』で初のアニメ監督デビューを果たします。

その後は3つのアニメ映画作品を世に送り、2010年5月に“膵臓癌”と宣告され余命半年と告げられました。途中まで進めていた『夢みる機械』は断念し、身の回りの整理をしていましたが、ファンへは報告せず、2010年8月24日に亡くなられました。世間やファンの方に対しては亡くなった翌日の日付でブログを通し、膵臓癌だったことや余命宣告されてからの生活などを細かく伝えるとともに、長年の御礼を掲載しています。

今敏監督の手掛けた映画特集

それでは、今監督が世に遺したアニメ映画作品をご紹介していきます。どれも不思議な世界観で考え深いものを感じる作品となっています。

また今監督の作品は好き嫌いが分かれるかと思いますが、少しでも興味が沸いたら一度は手に取って作品の中に入ってみてください。後悔しない作品なのは間違いありません!ぜひチェックしてみてください。

1.PERFECT BLUE

今敏監督の映画①
出典:Amazon.com

あらすじ

未麻はアイドルグループの一員として活動を続けてきたが、突如グループを脱退し、アイドルから女優に転身する。周りの反対もあったが、未麻は女優業を始める。

初出演のドラマでは一言のみの役だったが、次の役では“レイプシーン”や“ヘアーヌード”写真集などアイドル時代には考えられない仕事をこなしていく。次第に軌道に乗り始める未麻だったが、『これは本当の自分なのか』『本当にやりたいことなのか』を考えるようになり悩み始める。そんな中、ネット上で未麻になりすまし勝手にWEBサイトを開設され、そこには虚実が混ざった「アイドルとしての未麻」がサイトを更新していた。精神的に追い詰められてく未麻。さらに追い打ちを懸けるように、事務所に爆弾付きの手紙が送られてきたり、未麻の周りの人が次々に殺されたりと、彼女の周囲で不可解な出来事が起こっていく…。果たして未麻の周りで何が起こっているのだろうか。

今敏監督『PERFECT BLUE』の撮影裏話

■この作品は、当初“オリジナルビデオシリーズ”として企画されていましたが、1995年の阪神淡路大震災でプロダクションスタジオが被害を受け、そのまま実行するには予算が足りなかったそうです。よって、より予算の低い“アニメ映画”で再度企画が練られた作品です。

■「犯人がいかに狂った人間か」に重きを置いて制作していた今監督。「境界があいまいになる」をテーマとして原作者の竹内さんにも許可をいただき、原作の内容を変更して制作されました。

ココがすごい‼今敏監督の腕の見せ所‼

この『PERFECT BLUE』は今監督が初監督をした作品でもあり、とっても想い入れのある作品ではないでしょうか。原作の内容を変更した今監督ですが、竹内さんからは「アイドル・ホラー・熱烈なファン」のキーワードが出てくれば任せると言ってくださったそうで、この夢と現実が混ざってしまう空間を作り出すのは、今監督の得意分野ですよね。絶妙なホラー感と自分が夢と現実どちらにいるのか、わからなくなる。そんな精神不安定さを表現するところも、今監督ならではでした。

また作中で、未麻がストーカーとの遭遇した場面、真犯人の目的を知る場面など、アイドルが常に抱えていそうな悩みが恐怖と一緒に描かれていて、見ごたえがありますよ。どこにでもありそうな、だけど実際に起こったら本当に恐怖だよねと思わせるようなストーリーです。

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2.千年女優

今敏監督の映画②
出典:Amazon.com

あらすじ

藤原千代子(荘司美代子)は、伝説の元大女優。30年前に突然姿を消し、引退してその後は人前に現れることはなかった。ある日、勤めていた映画会社「銀映」の撮影所が古くなり取り壊すとのことで、映像制作会社の社長・立花源也(飯塚昭三)は元々千代子の熱烈なファンだったこともあり、千代子の居場所を突き止め、カメラマンの井田恭二(小野坂昌也)とともに、インタビューに向かった。そこで、立花は千代子に小さな箱を渡した。千代子が開けるとそこには、無くしたはずの「古びた鍵」があったのだった…。千代子は昔の話をポツポツと話し始めた。

幼い頃、思想犯の少年に恋をしてしまったこと。少年を匿い、いつか約束の場所で再会をしようと誓ったこと。その少年が持っていた鍵のこと。彼との再会を夢見て女優になったことなど自分の人生を語り始めた千代子。やがて千代子が演じてきた役の映画の世界と現実が一体化しながら物語は進んでいく。そこに立花と井田は巻き込まれていくのだった。

今敏監督『千年女優』の撮影裏話

■「千年女優」は今監督のオリジナルストーリーになっています。始まりは、監督のパソコンに入った一つのメモ。『かつて大女優と謳われた老女が自分の一代記を語っているはずが、記憶は錯綜し、昔演じた様々な役柄が混じりはじめ、波瀾万丈の物語となっていく。』このメモをもとに、映画製作に取り掛かったそうです。アイディアは残しておくものですね

■「原案やタイトルをつけたのは、もちろん今監督ですが、物語やキャラは勝手に独り歩きしていくもの。監督はまとめ役にしかすぎません。」とコメントしています。

ココがすごい‼今敏監督の腕の見せ所‼

今監督の主要テーマである「イマジネーションと現実の融合」。まさに千代子が演じてきた役柄と現実で「鍵の君」を探す自分が混ざりながらも、女優として生きていきます。どちらが本当の千代子なのか、観ているこちらもハラハラしていくような感覚に襲われます。でもどちらも本当の千代子。キャッチコピーの「千年かけても会いたい人がいます」という言葉はとても心に響きますよね!

またラストで千代子が言っている「だって私、あの人を追いかけてる私が好きなんだもの」。この言葉で再会することが重要なのではなく、一生涯かけて追いかけてきた自分が重要なのだということがはっきりわかります。今監督ならではの、ラストに隠さず真相をもってくるところも見どころです。

 

 

3.東京ゴッドファーザーズ

今敏監督の映画③
出典:映画『東京ゴッドファーザーズ』公式サイト

あらすじ

世の中は、幸せムードいっぱいのきらめく聖なる夜・クリスマス。ホームレス生活をしていたギン(江守徹)、ハナ(梅垣義明)、ミユキ(岡本綾)は、クリスマスプレゼントがあるかもと、ごみ箱を漁っていた。すると、ごみ箱の中から赤ん坊が出てきたのだ。三人は驚き、警察へ届けようとするが、オカマホームレスのハナは昔から母親になることに憧れており、その提案を却下。一日だけ面倒を見たいと言い出した。ギンとミユキは渋々付き合うことになり、その赤ん坊に勝手に『清子』と名づけ三人はゴッドファーザーとなったのだった…

翌日から清子(こおろぎさとみ)の本当の親を見つけようと言い出すハナ。手がかりは、清子が捨てられていた時に寝ていた籠に入っていたコインロッカーの鍵。そのコインロッカーには、おそらく親であろう人物の写真とスナックの名刺が入っていた。まずはスナックへ行ってみようと行動を起こす三人。だが道中トラブルに巻き込まれていた男を助けると、その男はお礼がしたいと自分の娘の結婚式に招待した。だがそこで見た新郎は、ギンがホームレスになるまでに追い込んだ借金取りの男だった…‼さらにハナやミユキにもホームレスになってから会っていない人や縁を切っていた人など、清子の親を探す旅の中で、いろいろな繋がりがあり、偶然の再会を果たしていく。聖なるクリスマスが引き起こす感動ストーリー

今敏監督『東京ゴッドファーザーズ』の撮影裏話

■今作には、東京の実際に存在する建物がいくつか出てきていますが、今監督は「場所を特定されることを好まない」ため、“東京にありそうな風景”を作り出したそうです。ロケや写真などを参考にして、『東京らしさ』が完成したのでしょう。

■監督の作業デスクのメモに「意味のある偶然の一致にあふれた世界」とあったそうで、作品を観た方は「あ~なるほど!」と思えるほど、ぴったりの言葉です。これから観る方は、この言葉を頭に入れて観てみるとより一層面白さが深まるでしょう。

ココがすごい‼今敏監督の腕の見せ所‼

この映画では、『偶然の一致』が重要ポイントになります。ラストシーンに近づくにつれて、「こんな偶然ある!?」と思えるほど、色んな人が繋がっていて、でも違和感を覚えさせないようなスムーズな物語の作りになっています。

また、作品を重ねるごとに思うのが見事な作画です。どの建物も景色も本物かのように綺麗に描かれていて、アニメ映画であることを一瞬忘れてしまいそうになるのも、今監督ならではの作品です。ミステリアスなストーリーが多い中、この作品は感動系であり心温まる作品になっています。

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4.パプリカ

今敏の映画④
出典:映画『パプリカ 』公式サイト

あらすじ

時田浩作(古谷徹)が開発した他人の夢を共有する装置『DCミニ』。千葉敦子(林原めぐみ)はDCミニを利用して、精神不安定な患者の治療を行う“サイコセラピスト”として研究所で働いていた。夢の中で敦子は『パプリカ』という女性になり治療を行っていた。敦子はトラウマを抱えている刑事・粉川利美(大塚明夫)の夢に入り込み治療を終え、研究所へ戻ると試作段階であるDCミニが何者かによって盗まれたことを知る。

研究所の所長・島寅太郎(堀勝之祐)と開発者の時田と、理事長・乾精次郎(江守徹)の元へ報告しに行くと、その途中島が発狂し窓から飛び出してしまう。一命は取り留めたが、脳を調べてみると、同僚の氷室啓(阪口大助)によって盗まれ、島が発狂するように仕掛けられたことが判明した。

敦子と時田と職員の小山内守雄(山寺宏一)で氷室の自宅へと向かった。すでに無人だったが、部屋中に怪しい人形やパソコンが置いてあり、もはや現実なのか悪夢なのかわからなくなっていた…‼そして三人は真相をつかみ、DCミニを取り戻すことはできるのだろうか。

今敏監督『パプリカ』の撮影裏話

■この作品にはなんと、今監督や原作者の筒井さんが特別ゲストで声優をされています。バーテンダーという脇役ですが、自分の作品に出演してしまうなんて、おちゃめさを感じますよね

■実は、原作者の筒井さんたっての希望で今監督のアニメ映画になったのだとか。数年にわたり構想を練った監督は「基本ストーリー以外はすべて変えた」とコメントしています。

ココがすごい‼今敏監督の腕の見せ所‼

作品を重ねるごとに、独特な世界観を繰り広げる今ワールド。基本のイマジネーションと現実の融合は変えずに、『パプリカ』ではさらに“悪夢”のキーワードを加えて、「人は精神的におかしくなるとこうなる」というのを見事に描かれています。作中に出てくる氷室の部屋の中は、不気味さが際立っていて、悪夢なのか現実なのか、観ている視聴者側にも考えさせるような作りになっています。

また今監督ならではの、絡まり合ったストーリーにも注目です。登場人物どのキャラも大切で、どこかしらに繋がりがあって、ラストはカチッとハマるような複雑だけどすっきりするようなストーリーです。少しミステリアスな内容もあるので、苦手な方もいるかもしれませんが、今監督最後の作品になっていますので、ぜひチェックしてみてください。

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まとめ

以上、駄作なしの今敏監督アニメ映画ご紹介でした!

今ワールドが満載でしたよね。この独特な世界観は好きな方はとてもハマるかと思います。ミステリアスでホラーな反面、感動や登場人物の思いなど、どの作品も鮮明に描かれています。また、現実では考えられない物語の流れなど、アニメの中だからこそ表現できるものを感じます。でも一つも不自然ではなく、ラストは綺麗にまとまって描かれていて、不思議な感覚にさせてくれる作品ばかりです。

亡くなられてしまったことが本当に残念です。今監督のファンであれば、定期的に見返すのもアリでしょう。まだ一度も観たことない方は、ぜひ観る価値のある作品ばかりなので、手に取ってみてくださいね‼

 

この記事を書いた人
ひとっとび編集長
ひとっとび編集長

映画の情報サイト『映画ひとっとび』の編集長。 映画を「なんとな〜く」探している方から、「この映画の考察が知りたい!」というマニアな方まで楽しめるサイトを目指しています! 皆さんの映画ライフがもっと充実するお手伝いができますように。