”生きる”とはどういうこと?『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の名言10選!
渡辺一史によるノンフィクション書籍『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』を2018年に実写映画化したのが『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』!
主演を務めるのは『探偵はBARにいる』『恋は雨上がりのように』などで、活躍する大泉洋。重度の筋ジス(筋ジストロフィー)により、体が不自由な鹿野靖明役を演じます。そして、そんな鹿野をサポートするボランティア役を務めるのが高畑充希、三浦春馬の二人。
自由すぎる鹿野に振り回される周囲の人々ですが、次第に鹿野に良い影響を受けていくという人間ドラマが描かれる素敵な映画です!
今回はそんな『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』に登場する心に残る名言・名セリフを集めてみました。
目次
- 『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』のあらすじ
- 『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の心にグッとくる名言・名セリフ10選
- 【名言①】バナナ食べたい。(6分50秒〜)
- 【名言②】命の責任は自分でもちます。(28分35秒〜)
- 【名言③】思い切って人の助けを借りる勇気も必要なんだよね。(33分50秒〜)
- 【名言④】だから、立場は対等だって。同じ人間だもの、力になれたら俺も嬉しいさ。(39分20秒〜)
- 【名言⑤】あの人のわがままは命がけなんです。(58分40秒〜)
- 【名言⑥】先生、俺のボラはみんな、俺の家族なんだよ。(1時間24分15秒〜)
- 【名言⑦】お前、何がしたいんだよ、何が大事なんだ。(1時間29分30秒〜)
- 【名言⑧】人はできることより、できないことが多いんだぞ。(1時間47分30秒〜)
- 【名言⑨】お母ちゃんには自分の人生を生きて欲しいんです。(1時間53分〜)
- 【名言⑩】キスして欲しい キスして欲しい(1時間54分45秒〜)
- まとめ
『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』のあらすじ
鹿野靖明(大泉洋)は幼い頃から、体の筋肉が壊れやすく再生されにくい筋ジスを患っており、34歳となった現在では首と手だけが動かせるのみとなっていた。介助がなければ生きていけない体にも関わらず、病院での生活を求める医師の反対を押し切って、鹿野は市内のケア付き住宅で自ら集めたボランティアに囲まれて、自立生活を送っている。
そんなボランティアの一人である医大生の田中久(三浦春馬)は、ワガママな鹿野にいつも振り回される日々を送っていた。
そんなある日、田中の恋人である安堂美咲(高畑充希)が偶然鹿野宅を訪れる。そんな美咲を見た鹿野は、彼女のことを新人ボランティアと勘違いしたうえ、美咲に一目惚れまでしてしまう。
田中は鹿野の代わりに愛の告白を頼まれてしまったり、美咲も最初は戸惑ってしまうのだが、次第に田中や美咲の心境にも変化が生まれていく。
ところが、鹿野が突然倒れてしまう事件が発生。鹿野は生命の危機に陥ってしまうのだったーー。
『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の心にグッとくる名言・名セリフ10選
『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』では、わがままにも聞こえる鹿野の言葉から、いつの間にか「生きる」とはどういうことかを考えさせられる、そんな不思議な映画となっています。
改めて、そんな鹿野を始めとした作中に登場した印象的なセリフを振り返っていきましょう。
【名言①】バナナ食べたい。(6分50秒〜)
出典:映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式Twitter
映画のタイトルにもなっているこのセリフ。実は映画の最序盤に登場するセリフです。
初めて美咲が鹿野の家を訪れた際に、鹿野は美咲をボランティアだと思ってしまいます。成り行きで一晩ボランティアをやらされることになるのですが、深夜の二時に鹿野はこのセリフでバナナが食べたい、食べなきゃ寝れないと要求してきます。
あくまでも映画のフックとなるエピソードでしかないのですが、このセリフこそ鹿野の自由さを象徴するセリフでした。
ちなみにこの他のシーンにもバナナが登場するので探してみると面白いかも。
ネジムラ89
【名言②】命の責任は自分でもちます。(28分35秒〜)
出典:映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式Twitter
病院にやってきた鹿野。主治医である野原先生(原田美枝子)に、心臓の力が大分弱くなってきているので、入院するように進言されたシーンで登場したのがこのセリフ。
野原先生に「このままだと命の保証はできない」と告げられるも、鹿野は「医者の言う命ってなんですか?」と反抗し、この言葉で締めます。
鹿野の自責と他責の感覚を象徴したセリフであり、“命の責任”というキーワードが考えさせられるシーンでした。
【名言③】思い切って人の助けを借りる勇気も必要なんだよね。(33分50秒〜)
出典:映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式Twitter
シンポジウムに登壇した鹿野。来場者の質問で夢を問われた際に、英検2級を獲得し、アメリカへ行くなどを語り、強い気持ちがあれば必ず夢は叶うと語ります。続けて、自分が自立生活を始める経緯を語ります。「結局、誰かの助けを借りないと、できないことだらけだったさ。」と語り、この言葉で締めます。
自立というと人の手を借りずに行動するようなイメージを持つ人も多いですが、鹿野にとっては人の手を借りなければ生きていけないという覚悟を持つこと、に通じていくのがなるほどと思わされます。
【名言④】だから、立場は対等だって。同じ人間だもの、力になれたら俺も嬉しいさ。(39分20秒〜)
大学生だという嘘を打ち明けたことをきっかけに、喧嘩をしてしまった美咲と田中。美咲は恋人と喧嘩したことを、鹿野に話すのですが、鹿野は嘘を本当にしてしまえばいいと励ましてくれます。
笑顔を取り戻した美咲が「立場が逆だね。私が励まされちゃってる。」と言った発言に対して、鹿野が応えるのがこのセリフです。
介護を受けているといっても、ボランティアなので相手も承知の上。あくまでも人と人同士でコミュニケーションの一つの形だというのが鹿野のスタンスなのでしょう。
【名言⑤】あの人のわがままは命がけなんです。(58分40秒〜)
出典:映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式Twitter
人工呼吸器をつけることで、喋られなくなるかもしれなくなった鹿野。鹿野は人工呼吸器は付けないと宣言します。
気管切開をしない治療余地を求めて、田中は父親の病院であれば治療ができるのではないかと訴えかけるのでした。それに対して父親は、患者のわがままに応えるのが正しい医療ではないと反論するのですが、田中はさらにこのセリフで反論します。
観ているこちら側には鹿野のわがままが、ただのわがままではないと知っているだけに、よくぞ言ったと思わせられるシーンでした。
【名言⑥】先生、俺のボラはみんな、俺の家族なんだよ。(1時間24分15秒〜)
出典:映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式Twitter
入院生活が続いた鹿野でしたが、会話もできるようになり、退院を求めます。しかし野原先生は、痰が詰まると命の保証はないと、許容してくれませんでした。痰吸引のためには医師や看護師の処置が必要で、自宅に待機させるわけにもいかない。例外的に認められているのは家族のみだと引き止めるのですが、その時の鹿野の反論がこのセリフです。
「その家族のせいでたとえ死んだとしても、俺は一切文句言わない」と語る鹿野と、それに応えられるボランティアの絆が感動的なシーンです。
【名言⑦】お前、何がしたいんだよ、何が大事なんだ。(1時間29分30秒〜)
出典:映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式Twitter
医者を諦めて、ボランティアも辞めると宣言した田中。鹿野はそんな田中のところへ、直接やって来るのでした。鹿野はこのセリフで田中に問いかけ、正直に生きているか、と訴えかけます。
自分に正直になれない田中は、振り回される身にもなってくれとその時は鹿野を振り切ってしまうのですが、後々、体が不自由な子供の手助けをした際にこの言葉を思い出して、夢を再び追う決心します。
【名言⑧】人はできることより、できないことが多いんだぞ。(1時間47分30秒〜)
出典:映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式Twitter
どうしても二人に仲直りしてほしいと、死んだふりをしてまで強引に田中と美咲を旅行先へ呼び出した鹿野。改めて田中と語りあう鹿野は、できる男ぶるのはやめろよ、と語りかけ、このセリフを言います。
田中との仲も、元どおりになり「そういうとこが本当に嫌いだよ」と笑顔で語りあう二人の姿が感動的なシーンでした。
【名言⑨】お母ちゃんには自分の人生を生きて欲しいんです。(1時間53分〜)
出典:映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式Twitter
物語から7年後、鹿野の遺影の前で鹿野の父と母は手紙を広げます。
“おかあちゃんへ”と宛てられたその手紙は、この言葉から始まります。鹿野がどういう思いで母親を拒絶してきたのか、正直な気持ちが伝えられる印象的なシーンです。
鹿野が「障がい者の世話は家族がするのは当たり前というこの国の常識にささやかながら俺も抵抗しているわけよ。」と笑いながら語るシーンもありましたが、本気でそう思っていたことが分かります。
【名言⑩】キスして欲しい キスして欲しい(1時間54分45秒〜)
出典:映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式Twitter
先生になった美咲は、学校の子供たちと思い出の曲を歌います。
それは、生前の鹿野とカラオケに行ってボランティアたちと一緒に合唱した曲であり、鹿野とデートへ行った時にも演奏された曲であるTHE BLUE HEARTSの『キスしてほしい(トゥー・トゥー・トゥー)』。
この映画を象徴する曲であり、「生きているのがすばらしい」と歌う人間賛歌として元気が出ますし、「キスしてほしい」という最上級のわがままは、鹿野の生き様を語ったような素敵な歌でした。
まとめ
障がい者をテーマにした作品ということで、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』は重たい内容と思われる方もいるかもしれませんが、万人が身近に感じられる前向きなメッセージが詰まった素敵な映画でした。鹿野の生き様を胸に、互いに迷惑をかけ合いながら生きていきましょう!