灰原哀のコナンに対する心情に迫る驚きのヒット作!映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』のネタバレ解説!
2023年に公開された『名探偵コナン』の劇場版シリーズ、映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』はシリーズでも屈指の注目作となりました。
八丈島近郊にできたインターポールの施設パシフィック・ブイ近郊を舞台に、宿敵である黒の組織たちとの直接対決を描き、映画ならではのド派手な演出が目白押しの映画となっています。
そして更に注目は今作のキーキャラクターに選ばれた、コナンの仲間の灰原哀。今まではっきりと描かれてこなかった彼女の新一に対する思いにも迫る驚きの展開が用意されていた映画にもなっていたのです。
目次
映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』とは
2023年4月14日に劇場公開を果たした劇場版『名探偵コナン』シリーズ第26作目。近年の劇場版シリーズでは、主人公のコナンに加えて、準レギュラーキャラクターにスポットを当てることでおなじみですが、今年はコナンと同じく薬によって体が縮んでしまった灰原哀と、宿敵黒の組織に注目。八丈島近海を舞台に劇場版スケールの大事件が繰り広げられます。
今回監督を務めるのは、TVアニメ『モブサイコ100』シリーズや映画『BLUE GIANT』(2023)、そしてヒット作『名探偵コナン ゼロの執行人』(2018)を手がけた立川譲さん。そして脚本を同じく『名探偵コナン ゼロの執行人』やドラマ『相棒』シリーズで知られる櫻井武晴さんが担当しています。
本作は公開1日目にして興行収入は8.5億円、観客動員数58万人をt歯しスタートダッシュから歴代シリーズでも1番の成績を記録しました。
10秒で分かる!映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の簡単なあらすじ
出典:東宝MOVIEチャンネル
園子の招待で東京・八丈島にホエールウォッチングに来ていたコナンたち。偶然警視庁の面々が乗る警備艇の存在に気づいたコナンは、船に忍び込むことで八丈島近海に建設された海洋施設「パシフィック・ブイ」を訪れます。
そこは世界中の警察が持つ防犯カメラをつなぐ施設で、今まさにヨーロッパの警察組織ユーロポールの管轄するネットワークとの接続が進められていました。
しかし、加えて新技術として導入が進められた顔認証システム「老若認証」の危険性を察知していた黒の組織の面々も施設に潜入していました。
システムの開発者と共に宮野志保の可能性があると判断された灰原哀が、組織に誘拐されてしまいます。システムを利用しようとする黒の組織と、灰原の救出を誓うコナンとの戦いが始まります──。
映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』のネタバレあらすじ
映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』のあらすじを、結末に至るまで詳細に紹介します。以下、ネタバレになっているのでご注意ください。
【あらすじ①】ユーロポールでの事件発生
ドイツのフランクフルトにあるユーロポール防犯カメラネットワークセンター職員のニーナが殺されてしまう事件が発生。犯人は新一を子供の姿にしてしまった黒ずくめの組織だった。組織の面々はある計画を進めていた。
その事件を知らないコナンは、灰原哀のブローチの購入権を老婆に譲ったのを見ていた園子の取り計らいで、蘭や阿笠博士、少年探偵団の面々らと八丈島のリゾートホテルにやってきていた。
ちょうど八丈島の近海に世界中の防犯カメラを繋ごうとしているインターポールの施設「パシフィック・ブイ」ができるニュースを聞いた矢先、赤井秀一から電話がかかってくる。
ドイツのユーロポールネットワークセンターに何者かが侵入し、その目撃者がジンに殺されたこと。そしてその犯人がジンであり、侵入者がラムの側近ピンガであることを知らされるのだった。
【あらすじ②】黒の組織に襲われる灰原哀
港で偶然に黒田管理官と白鳥警部の乗る警視庁の船を見つけたコナンは、こっそり船に乗り込んでいた、その行き着いた先は例のパシフィック・ブイだった。
侵入したことを気づかれてしまったコナンだったが、幸運にも同行を許してもらいパシフィック・ブイの防犯カメラのシステムや、直美・アルジェントが開発したAIによる高度な顔認証「老若認証」を見せてもらう。
しかしその矢先、パシフィック・ブイに侵入していたベルモットとバーボンによって直美は誘拐されてしまう事件が発生する。
その上、直美の持っていたUSBに残されていたデータには、死んだはずのシェリーが灰原哀と同一人物だとする記録が残されていた。
それを発見した黒ずくめの組織は、真夜中にコナンたちが宿泊していたホテルに侵入。コナンたちの追走も虚しく、灰原も黒ずくめの組織に誘拐されてしまった。
【あらすじ③】新たに死者が発生
翌日、灰原は黒ずくめの組織たちの持つ潜水艦に連れ去られたことを確信したコナンはその事情を警察たちに話していた。
前日の直美の誘拐事件や防犯カメラの映像の改ざんの記録からも、パシフィック・ブイ内に黒の組織の協力者が居ると思われたが、そんな矢先にドイツ出身のエンジニア、レオンハルトが毒薬を服用し亡くなっている姿が発見される。
異常事態が続く中、コナンは安室透からの情報で夕方にジンがヘリコプターから潜水艦へ合流するという情報を受け、灰原を救出するならそこしかないと悟るのだった。
一方の灰原は潜水艦の中で目覚め、直美と合流していた。そこで直美と自身の姉である宮野明美との縁や、老若認証開発の理由を聞かされるのだった。人種差別をなくそうとして考えられた老若認証だったが、直美はそれをその開発をきっかけに組織に脅されてしまうのだった。
【あらすじ④】灰原の救出作戦
ジンの到着が近づき潜水艦が浮上したことにより、コナンと灰原の探偵バッジがついに通じるようになった。キールの協力もあり、潜水艦からの脱出の手立てを知った灰原は、直美を励ますことで共に潜水艦からの脱出に臨む。
ジンの到着を機に灰原たちは、予定通り脱出を試みる。ジンによって殺されかけるも、またもやキールの助けによって無事艦外への脱出に成功。阿笠博士の開発した水中スクーターで駆けつけたコナンに救出されるのだった。
パシフィック・ブイに保護された直美と灰原。しかし事件はまだ終わっていない。コナンはいつものように毛利小五郎を眠らせて、レオンハルト殺害の犯人がエンジニアのグレースであることを追求する。
実はグレースの正体こそ、赤井より情報をもらっていた黒の組織のピンガだったのだ。
【あらすじ⑤】潜水艦との対決
ついに正体を現したピンガ。しかし、うまく逃げ出したピンガを追い詰めるコナンだったが、なんとピンガはコナンが工藤新一であることを突き止めていた。
老若認証を不要と判断した黒の組織は、パシフィック・ブイに対する攻撃を開始した。館内の人々が脱出する中、潜水艦から放たれる魚雷により、ついにパシフィック・ブイは爆破されてしまう。
しかし、コナンの合図によりその潜水艦の所在が水上から確認できるようになった時。対潜水艦用の武器を準備をしていた赤井秀一による攻撃が命中。組織は潜水艦を脱出せざるを得なくなり、隠蔽のための自爆によりピンガは新一のことを報告することなく死んでしまうのだった。
しかし、一方のコナンも水中で意識を失っていた。万事休すを迎えたコナンだったが、それを助けに来たのは灰原哀だった。口移しで空気を送り込んだことで、意識を取り戻したコナン。正体もバレて窮地のコナンに対して自身の思いを巡らせる灰原だった。
無事に水上に戻り、コナンの行動により大惨事を免れる灰原。駆けつけるコナンを押しのけ、助けに来た蘭に強引に人工呼吸をしてもらう灰原は、先ほどの新一との口づけを蘭に“返す”のだった。
映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の登場人物・キャスト
江戸川コナン(工藤新一)/ 高山みなみ
高校生探偵の工藤新一が、黒の組織に飲まされた薬の影響により、小学生の姿になってしまったのが江戸川コナンです。得意の推理力で、子供ながらに身の回りの事件を解決に導いていきます。
子供の姿になり不自由な身体能力を隣人の阿笠博士の発明によりサポートしてもらい、特殊なサッカーボールを作り出せるボール射出ベルトや、人並み外れた蹴りを実現するキック力増強シューズを駆使して、犯人を追い詰めたり、アクシデントにも立ち向かいます。
幼馴染である毛利蘭には子供の姿になってしまったことを隠しつつ、コナンとして毛利家に上がり込んでいたのですが、一時的な解毒剤で新一の姿に戻った際に蘭に告白。無事恋人同士になりました。
現在は完全に元の姿に戻るべく、黒の組織について調べている最中です。
灰原哀 / 林原めぐみ
コナンと共に小学校に通う少年探偵団の一人が灰原哀です。その正体は実は黒ずくめの組織の一人である宮野志保で、コードネームはシェリーです。
新一を子供にしてしまった薬であるAPTX4869の開発者だったのですが、組織から脱出する際に自らその薬を飲んだことでコナンと同様に身体が小学生の姿になってしまいました。元はまだ18歳で新一たちともあまり変わらない年代の人物でした。
現在は阿笠博士の自宅に住まわせてもらい、コナンとともに小学生として生活を送っています。今ではコナンの秘密を知る数少ない理解者であり、彼をサポートする一人として活躍しています。
過去には自身の死も厭わない行動をとったりしていたものの、少年探偵団を始めコナンの周囲の人物とのふれあいを通じて、精神的な成長を果たしてきました。
毛利蘭 / 山崎和佳奈
出典:週刊少年サンデー公式『名探偵コナン』公式Twitter
新一の幼馴染であり、帝丹高校に通う高校2年生が毛利蘭です。小学生の姿となってしまったコナンを、新一とは知らずに自宅に引き取り共同生活を送っています。
空手部の女主将であり、都大会でもNo.1の実力を誇るほど格闘能力に長けており、時には凶器を持った犯人にも果敢に立ち向かいます。一方で性格は心優しく面倒見が良く、コナンたちの保護者として立ち回ることもしょっちゅうです。
新一のことが好きで、突然いなくなってからもずっと帰ってくるのを待っていましたが、修学旅行の際に一時的に元の姿に戻った新一に告白の返事を伝えたことを機に、晴れて恋人同士となりました。
ジン / 堀之紀
黒ずくめの組織の幹部であり、未だその正体が謎に包まれたボスとも連絡を取り合うほどの男がジンです。
かつて取引現場を見られたことをきっかけに、工藤新一に開発中だった薬、APTX4869を飲ませた張本人でもあり、コナンにとっては因縁の相手となっています。
性格は残忍かつ狡猾で容赦無く他人を殺すことができる危険な性格の持ち主です。その徹底ぶりは凄まじく、たとえ組織に貢献したメンバーであったとしてもミスを犯したり、裏切り者の可能性を見出した際には、すぐさま殺してしまうほどでした。
工藤新一がコナンの姿となって生存していることは知っておらず。すでに工藤新一は自分の飲ませた毒薬で死んでいると思っています。一方で灰原哀は何度か生存していることを知り、何度か殺しに現れて来ました。
ベルモット / 小山茉美
黒ずくめの組織の一員であり、ボスのお気に入りともされるミステリアスな美女がベルモットです。
黒ずくめの組織でもキレ者の一人で、度々コナンたちの脅威になる一方で、実はコナンの正体が工藤新一であることに気づいていながらも、未だ組織には報告していなかったりと謎の多い人物です。
安室や本堂といったスパイの面々とは違い、基本的には組織に有利な立ち回りをするため「敵」ではある一方、組織とは別の思惑も隠されていそうな人物です。
表向きにはハリウッド女優のクリス・ヴィンヤードとして活動していたり、千の顔を持つ魔女と呼ばれるほど変装術に長けているといった特徴も持っています。
ピンガ / 村瀬歩
黒ずくめの組織のNo.2とされるラムの“片腕”とされる人物がピンガです。
他人を蹴落としてでも組織の上位へとのし上がりたいという野心的な性格を持ち、中でも組織の幹部であるジンには強い対抗心を燃やしています。
ドイツのユーロポールのネットワークに侵入した際に目撃されてしまい、その素性は謎に包まれながらも、髪をコーンロウに編み上げていることだけが判明していました。
本作でコナンの推理により正体を見破られるも、警察の追っ手を逃れて逃走。老若認証によりコナンが新一であることを突き止めたのですが、それを組織に知らせる前に、ジンの策略により潜水艦の自爆に巻き込まれてしまいました。
ピンガは映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』がシリーズでも初めての登場となります。
キール / 三石琴乃
黒ずくめの組織の一員として様々な任務についている女性がキールです。
しかしその正体はCIAの諜報員である本堂瑛海で、実は組織に潜入しているスパイです。コナンのことを一目置いており、組織の一員として動きつつもコナンたちを助ける動きを見せてくれます。
また別の顔として日売テレビのアナウンサー水無玲奈という顔を持っていましたが、のちにコナンが推理により彼女が黒の組織の一員であることを悟られてしまいました。
コナンの味方ではありつつも、FBIの赤井や公安の安室といった面々とは別組織であることからも、彼らとは単純な協力関係にはありません。
牧野洋輔 / 沢村一樹
八丈島近海に作られたインターポールの施設パシフィック・ブイの局長を務めているのが牧野洋輔です。今回の映画で初登場となるキャラクターであり、事件の容疑者の一人として登場しています。
彼の声優を務めるのは、今作のゲスト声優でもある俳優の沢村一樹さんです。
『名探偵コナン 黒鉄の魚影』と関連があるTVエピソードたち
今回の『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は実は、過去のTVアニメシリーズとも深い関係のある映画となっています。以下のエピソードを見ておくと、より映画を楽しめるようにできています。
TVアニメ第128話「黒の組織10億円強奪事件」
灰原哀の姉である宮野明美が登場するエピソードが第128話「黒の組織10億円強奪事件」です。
妹と共に黒の組織を抜けようとした明美は、その条件として組織の仕事を請け負ったのですが、組織によって騙され、共犯者の殺害の罪などを被せらたまま殺されてしまいます。そんな彼女の最期を看取ったのがコナンでした。
このころはまだ灰原哀は登場しておらず、のちに登場した際に彼女が宮野明美の妹だったと明らかになりました。
TVアニメ第230話〜231話「謎めいた乗客」
スキー旅行に向かったコナンや少年探偵団の面々が路線バスに乗るのですが、ある二人組によりバスジャックされてしまう事件です。
いつもは強気な灰原でしたが、黒ずくめの組織に敏感な灰原が、何者かの気配に怯えてしまうのですが、かつてはまだ正体不明の存在だった黒の組織にスパイとして潜入していた赤井秀一や、FBIであることを隠していたジョディといったキャラクターが登場する今となっては懐かしい放送回です。
このエピソードのクライマックスでは、爆発しようとするバスに灰原が一人残って死んでしまおうとするシーンが登場します。そんな灰原を決死の思いで救ったのがコナンでした。コナンと灰原の関係性が一つ前進する重要なエピソードとなっています。
TVアニメ第500話「赤と黒のクラッシュ 遺言」
今作でも活躍し、わずかにそのバックボーンに触れられるキールこと瑛海の具体的な過去が描かれるのが、第500話「赤と黒のクラッシュ 遺言」です。
かつて父親のイーサンと共にCIAの諜報員として黒の組織に潜入していた瑛海でしたが、組織に正体を知られてしまいそうになる窮地を迎えたところをイーサンが自ら裏切り者として犠牲になったおかげで、瑛海が組織で生きながらえることになる具体的な過去が描かれました。
この「赤と黒のクラッシュ」シリーズは、死んだと思われていた赤井秀一が実は生きていたことが明らかになるエピソードでもあり、第491話〜第504話にかけて描かれる歴代でも最長のシリーズとなっています。
TVアニメ第701話〜704話「漆黒の特急(ミステリー・トレイン)
今回の映画でも言及されている、黒の組織がシェリーを殺したと思っていた具体的な事件が、TVアニメ第701話〜704話で描かれた「漆黒の特急(ミステリー・トレイン)」です。
一時的に元の姿に戻った灰原の存在を知った黒の組織は、シェリーが乗車しているであろうミステリートレインを襲撃します。危機が迫る灰原でしたが、コナンや同乗していた仲間たちがそれを見越して動いており、見事シェリーが死んだことを偽造することに成功しました。
この事件で安室透が黒の組織のバーボンであることが判明するなど『名探偵コナン』の話が大きく進展する節目のエピソードでもありました。
ちなみに『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の公開の直前である2023年1月6日にTVシリーズ特別編集版として劇場上映された『名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン』のメインエピソードとなっているのもこの事件です。
ダイジェストにはなってしまいますが、これを見れば灰原哀の登場から、彼女の成長や現状を知ることができるので、映画の予習や復習の助けとなる一本になっています。
まとめ
『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は黒の組織が勢ぞろいする、という意味でも見どころの映画でしたが、その対決ぶりももちろん見応えがありましたが、やはり見どころはキービジュアルにも大きく描かれた灰原哀でした。
『名探偵コナン』のヒロインといえば毛利蘭ですが、今作ではそのヒロインである毛利蘭が居ながらも側で支える立場をとることの多い灰原哀の心境に迫るエピソードとなっていました。
ある意味、灰原哀にとっての毛利蘭との折り合いがつけられる決定的なシーンが描かれるという意味では、コナンの物語の中でも、これまでにない衝撃の映画となっていると言っても過言ではないでしょう。