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【考察】映画『縞模様のパジャマの少年』あらすじをネタバレ|ラストシーンに込められたメッセージとは

たかなし亜妖

 

迫害を受けていたユダヤ人たちが、強制収容所で労働を強いられていた歴史をテーマに取り上げた映画『縞模様のパジャマの少年』。

主人公・ブルーノの父親は軍人で、迫害を行っている側の人間。しかし何も知らないブルーノはユダヤ人の男の子と秘密の友情を紡いでしまうという物語です。

無邪気で純真無垢な少年が引き起こした悲劇は、視聴者の胸に必ず突き刺さるもの。そして人種差別やその時代の惨たらしさを主張し、非常に考えさせられる作品です。

「トラウマ」「胸糞」などと言われがちですが、『縞模様のパジャマの少年』は非常に意味がある後味の悪さです。重いテーマが苦手な人も必ず観てほしい、それくらいにメッセージ性が強いものとなっていますよ!!

本記事はネタバレを含みますので未鑑賞の方はご注意ください。

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目次

映画『縞模様のパジャマの少年』について

縞模様のパジャマの少年
出典:Amazon.com

アイルランドの作家・ジョン・ボインの小説を基に制作された『縞模様のパジャマの少年』。本作は2006年に発刊後ベストセラーとなり、最優秀児童書部門・最優秀オーディオブック部門にて受賞。見事な功績を残しました。

原作は日本で発売されたのが2008年であり、ちょうどスクリーンでもこの年に本作が公開されました。

イギリスとアメリカの合作で映像化され、監督・脚本はマーク・ハーマンが担当。彼はミュージカルやコメディなどジャンル問わず制作しています。

作品の冒頭部分でもどこかミュージカルらしい要素が含まれているため、マークのこだわりが十分につまっていますね!

日本では興行収入が約4.2億円で着地。公開から10年以上が経過しても、今なお愛され続ける作品です。

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10秒で分かる!映画『縞模様のパジャマの少年』の簡単なあらすじ

出典:Miramax公式YouTubeチャンネル

8歳の少年ブルーノ(エイサ・バターフィールド)は父親の仕事の都合で、都心部のベルリンを離れることになりました。友人らとの別れに悲しむブルーノ、しかし父のラルフ(デヴィッド・シューリス)は軍人です。国に背くわけにはいきません。

家族は遠く離れた田舎で新たな暮らしを始めることに。ですが家の裏には謎の“農場”があり、子供部屋から見えるようになっていました。そして室内に度々、汚れたパジャマを着た人間が出入りしているのです。

学校にも行けず、ただ家の中を過ごすだけの日々にブルーノは退屈していきます。それに農場やパジャマを着た人たちがずっと気になっていました。

大人たちは彼が行動範囲を広げることに反対しますが、遂に母親の目を盗んで禁じられていた林の向こう側へと進んでしまい……。

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映画『縞模様のパジャマの少年』のネタバレあらすじ

【あらすじ①】引っ越した先は

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

ベルリンで暮らす8歳のブルーノ。家は裕福で、第二次世界大戦の真っ最中でありながら何不自由ない生活を送っている。冒険小説や探検が大好きなブルーノはとても無邪気で、純真無垢な少年であった。

だからこそ父親が軍人でも、仕事の内容や国の動きに関しては知識がない。父・ラルフ(デヴィッド・シューリス)ナチス党員であり、昇進したことに対しても深い興味を示さなかった。

ただこの件により、一家はベルリンを離れて遠くの田舎町へ引っ越しをすることに。ラルフの昇進よりも友人らと別れなくてはならない事実に不満を持つブルーノ。

ほどなくして旅立ちの日はやってくる。都心から遠い、郊外の大きな一軒家で暮らすこととなった。ラルフの偉大さを噛みしめながら新たな生活をスタートさせるのだが、子供部屋からは見知らぬ“農場”が見える。

農場と言えど有刺鉄線のようなものが張られ、少々異様な雰囲気。このことを尋ねても両親は答えてくれず、言葉を濁すのだった。

【あらすじ②】“農場”での出会い

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

「農場に行ってはいけない」、父の言葉を守るブルーノだったが興味が冷めることはない。なぜなら郊外へやってきて、学校へ行くこともなくなったからだった。

家庭教師をつけられても退屈な授業であり、日々はどんどんつまらないものになっていく。だからこそ余計に気になってしまう彼がいた。

農場にいる人々はいつも縞模様の汚れたパジャマを着ている。それに父の部下や周りの人間が、彼らに辛く当たるのがブルーノは理解できなかった。

遂に母親の目を盗んで禁じられていた場所へと向かってしまう。するとそこには同い年のやせ細った少年がおり、2人は意気投合。農場にいる男の子の名前はシュムール(ジャック・スキャンロン)といい、2人は密会をする日々が続いた。

ただしブルーノはまだこの土地の意味を知らない。なぜシュムールやその家族がまとめてここにいるのかさえも。

【あらすじ③】明かされていく真実

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

純真無垢なブルーノは何も理解していないまま、農場だと信じて出入りをする生活が続く。しかしそんなある日のこと――。両親がケンカをしている場面に出くわしてしまい、そこで農場にいる人々がユダヤ人という事実を知った。

家庭教師も「ユダヤ人は悪」「ユダヤ人のせいで戦争が起きた」と教育し、姉のグレーテル(アンバー・ビーティー)はすっかりその思想に冒されてしまう。

けれどもブルーノは納得がいかなかった。かつて屋敷でケガの手当てをしてくれた老人、シュムールの心優しき一面を知っていたからだ。

母・エルサ(ヴェラ・ファーミガ)も父の仕事を深く知らず、過激思想にハマる娘や業務内容について知り精神が不安定になっていく。

農場と呼ばれた場所はユダヤ人収容施設で、時折空へ上がる黒い煙は虐殺後の死体遺棄……。その事実に耐えられなくなったエルサはラルフと口論になる。

【あらすじ④】現実が理解できなくて

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

家庭内の空気が徐々に悪化していく頃、屋敷の中で偶然シュムールを見つけた。彼はグラス拭きをしていたのだ。

ブルーノは近くにあった食べ物を渡し、お腹を空かせるシュムールに食べさせる。しかしコトラー少尉(ルパート・フレンド)に見つかってしまい、恐怖のあまり「その子が勝手に食べた。僕はそんな子知らない」と相手を売ってしまうブルーノ。その日は罪悪感に包まれ、ただ部屋で泣くことしかできなかった。

そしてそんなコトラー少尉も悲劇が訪れる。彼の父がナチスを裏切って逃亡したことから、連帯責任で前線へと送られることになってしまい、屋敷から姿を消した。

ユダヤ人の迫害、ナチへの崇拝が蔓延した世の中だが、ブルーノは未だにその真実には気付けない。国が作った映画ではユダヤ人が収容所で幸福そうに暮らし、彼はそれを真に受けてしまうほどなのだ。

真っすぐで素直、心が汚れていないがために、父のしている仕事を理解できていない。「お父さんはすごい」とラルフを誇りに思うが、その隣ではエルサが複雑そうな表情を浮かべるのだった……。

【あらすじ⑤】無邪気さが呼んだ悲劇

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

後日、大切な友達を犠牲にしてしまったことからブルーノはシュムールへ謝罪をした。もちろん彼は許してくれたが、目の周りはパンパンに腫れている。全身もアザだらけで、酷い仕打ちを受けたのだろう。

その頃戦争に巻き込まれた祖母が死亡。両親はケンカも増え、エルサは遂に爆発してしまう。状況が状況であるために、ラルフは家族3人を別の場所へ移動させる提案をした。

シュムールが気がかりだったブルーノは不満げな顔を浮かべるも、引っ越しは強制。仕方なく最後の別れを告げに行くと、どうやら彼の父がいなくなってしまったらしい。一緒に探すのを手伝うことにした。

パジャマがないと収容施設には入れないため、こっそりと着替えて施設内へと足を踏み入れる。2人でシュムールの父親を探すが、ここで緊急収集がかかり、囚人らは“シャワー室”へ向かうよう命令された。

その頃息子が消えて焦る一家。あちこちら探し回っても姿が見つからず、収容所と家の境界線でブルーノの脱いだ服を見つけてしまう。

だが時すでに遅し。“シャワー室”へ一緒に入ってしまったブルーノとシュムール……。グレーテルとエルサは泣き崩れ、ラルフは“シャワー”が終了した小屋を呆然と見つめることしかできないのだった。

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子役の演技が光る、映画『縞模様のパジャマの少年』のキャスト

ブルーノ/エイサ・バターフィールド

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

ピュアで世間知らずなお坊ちゃんであるブルーノ。父・ラルフの仕事についても詳しくは知らず「お父さんはすごい」と誇りに思っています。

まだ子供であり、傍に居る家族でさえ真実を見せたがりません。だからこそ彼はなかなか今ある現実を受け入れられないのでしょう。

ただこの真っすぐさ、心のキレイさが仇となり、収容施設へ足を踏み入れるという禁忌に触れてしまいます。大人たちによって押さえつけられた冒険心は良からぬ方向へと向き、取り戻せない悲劇を生み出してしまったのでした。

ブルーノを演じるのはエイサ・バターフィールド。7歳と幼き頃から演技を学び始め、現在も注目の若手俳優として活動を続けています。

シュムール/ジャック・スキャンロン

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

ブルーノの唯一の友達となったシュムール。出会った当初は悲痛そうな表情を浮かべていましたが、ブルーノと密会を続けるうちに笑顔が増えていきます。

けれども彼に与えられた運命は変わらず、戦争はどんどん悪化していきます。幼いながら容赦のない仕打ちを受けるも、ブルーノに決して腹を立てることはありませんでした。

まだシュムール自身も父が居なくなった理由、祖母や祖父が命を落として本当の意味を知りません。人権侵害の痛ましさがより一層伝わる、彼はそんな存在でしょう。

シュムールを演じるのはジャック・スキャンロン。本作に出演後、テレビドラマなどの活動を続けていましたが現在は引退しているようです。

ラルフ/デヴィッド・シューリス

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

一家の大黒柱であるラルフ。昇進と共に家族と引っ越し、更なる軍事力増大へ努めますが、徐々にエルサとのすれ違いが起きてしまいます。

ラルフ自身も息子を失ってからはどうなったのでしょうか。厳格な軍人が耐えられぬ現実に直面した時……。物語が終わった後の彼がとても気になってしまいます。

ラルフを演じるのはデヴィッド・シューリス。『ハリー・ポッター』シリーズのリーマスや『ワンダーウーマン』などでも知られていますね。イギリスの俳優であり、映画出演をメインに活動中です。

エルサ/ヴェラ・ファーミガ

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

あまり夫の業務内容を詳しく知らなかったエルサ。あまりの惨たらしさに耐えられず、精神が徐々に不安定になっていきました。

彼女自身もユダヤ人への印象は良いものではなかったはず。けれどもブルーノの手当てをした老人の出来事がきっかけで、気持ちに変化が起きていたご様子。だからこそ今の現実が厳しかったのでしょう。

最愛の息子を失ってしまい、エルサは立ち直れなくなってしまった可能性も。戦争と人権侵害の惨たらしさは言葉に現わせません。

エルサを演じるのはヴェラ・ファーミガ。『死霊館』シリーズのウォーレン役で見かけたことがある人も多いでしょう。美しきルックスに抜群の演技力を持った女優さんです。

グレーテル/アンバー・ビーティー

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

可愛らしい少女らしさに大好きなお人形がぴったりだったグレーテル。家庭教師の影響で染まり切ってしまい、ヒトラーを崇拝するようになったのです。

これにはエルサも心配するほどで、序盤とは顔つきにも大きな変化が起きています。しかしブルーノの死でどう考えが変わったのか……。気になるところではありますね。

グレーテルを演じるのはアンバー・ビーティー。海外のドラマをメインに活動していましたが、2011年を最後に新たな出演作はないそう。早期引退が悔やまれる女優さんですね。

『縞模様のパジャマの少年』のギモンを考察!

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

本作を観ていると「なぜこの部分はこうだったのだろう?」と疑問に思う点が出てくるかと思います。

作中ではハッキリと明言されていないところまで詳しく解説していきますよ!

ギモン①おばあちゃんはなぜ新居に来なかったのか?

最初のパーティーへ登場して以来一切登場することなく、戦争に巻き込まれて命を落としてしまったおばあちゃん。おじいちゃん曰く「具合が悪い」との説明を受け、ブルーノはその言葉をまんまと信じてしまうのでした。

まずパーティーのシーンを思い出してほしいのですが、息子・ラルフの昇進にあまりいい顔をしていませんでした。アレコレいう実母をなだめていたラルフ。そう、おばあちゃんはエルサ以上に迫害や虐殺に嫌悪感を抱いていたのでしょう。

おじいちゃんはヒトラーを支持していますし、何なら息子の仕事に誇りを持っています。けれどもそれが理解できない人間にとって、ユダヤ人収容所が隣接している土地に来るなんてできないですよね。

コトラー少尉の父親のように、国に背けば罰を与えられます。大っぴらに「行きたくない」とは言えないため、病気という嘘をついたということです。

ギモン②なぜブルーノは現実が理解できなかったのか?

いくらピュアと言えど、ブルーノが純真無垢すぎて「なぜこの状態が分かっていないのだろう?」と感じた人もいるかと思います。年齢も年齢ですなので仕方のないことですが、あまりにも心が綺麗すぎて……。見ているだけで胸が痛みますよね。

もともと彼自身は冒険が好きですから、少しファンタジックな思想を持っているのでしょう。それが現実を上手に受け入れられないことに多少は関係していると思います。

また両親がラルフの仕事について頑なに隠し続けていたことも大きいはず。真っすぐに向き合わず、収容所を農場と最初は説明しているなど、わざと戦争の話題を避けている雰囲気がありましたよね。

ブルーノの性格もありますが、両親のやり方が現実と直面できない彼を作り上げてしまったのかもしれません。

ギモン③エルサは夫の仕事を知らなかったのか?

物語が進むにつれてエルサの精神状態は不安定になり、ラルフとの関係が悪化していきます。

彼女は夫の仕事を知っているようで知らなかったのです。まさかユダヤ人を大量虐殺しているとは思ってもみなかったようです。

コトラー少尉に“黒い煙”の説明をされて、ようやくハッとした様子を見せていましたからね。

本作は実話に基づいてストーリーが作られているのですが、実際のエルサにあたる人物もナチが何をしているかは詳しく知らなかったとか。作中でもラルフが「守秘義務がある」と言っていたように、家族間でも戦争の話題はタブーのようなものだったのかもしれません。

心の中では多少理解していても、現実に直面すると頭が追い付かないこともあります。またエルサも愛する夫と家族のために、あまり物事を直視したくなかった可能性も。

だからこそブルーノへ、戦争の話をすることを避けてしまったのです。

まとめますとエルサはラルフの仕事を全く知らなかったわけではありませんが、詳しい内容は分からなかった……といった感じでしょうか。

ギモン④家庭教師のような教育は本当に行われていたのか?

まるで洗脳教育とも呼べる家庭教師のやり方。すっかり染まり切ったグレーテルは大好きだったお人形を全て捨て、ヒトラーに心酔します。

もちろん現実でも行われていた教育法であり、当時は「ユダヤ人は悪」「迫害されて当然」といった考えを子供達へすりこませることが最も重要だったのです。

国に背くことは許されないため、大人たちが積極的な過激な思想を教え込んだのでした。その典型的な例を示すのがグレーテルの存在なんですね。

序盤の可愛らしい雰囲気は消え失せ、途中から攻撃的になっていた彼女。顔つきさえも変わってしまい、いかに当時の教育が恐ろしかったかが分かります……。

ギモン⑤ガス室の悲惨なラスト、なぜあんな終わり方に!?

「衝撃のラスト10分」といった売り文句の映画はこの世に多く存在します。まさに『縞模様のパジャマの少年』はこのフレーズに匹敵する作品ではないでしょうか(苦笑)

ブルーノがシュムールへ「お父さんを一緒に探してあげる」といったあたりからイヤな空気はプンプンしていましたが……。思った通りに転がり落ちていくストーリー、あまりに救いようがなさすぎると思った人がほとんどだとは思います。

けれども戦争の怖さ、子供を巻き込む迫害の傷ましさを伝えるのは十分なラスト。人々の心に深くメッセ―ジを刻み込むには、わざとこのような結末にする必要があったのです。

ガス室をシャワーだと信じて向かってしまった純真さにも泣けます。戦争と人種差別は惨たらしい現実しか呼ばない、そのようなことを示唆するラストでしょう。

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映画『縞模様のパジャマの少年』のココがイイ!

縞模様のパジャマの少年
出典:映画『縞模様のパジャマの少年』公式Facebook

衝撃のラストに言葉を失う人多数ですが、筆者は本当に素晴らしい映画だと思います。メッセージ性が強くストーリーも分かりやすい。ヒューマンドラマとしては最高傑作ではないでしょうか?

そんな『縞模様のパジャマの少年』の評価すべきポイントを挙げてみました。ただ「鬱映画」「胸糞」と聞くだけで鑑賞を避けるのはもったいないですよ!

秘密の友情が切ない……。ブルーノとシュムールに胸打たれる!

フェンス越しにできた秘密の友情。誰にも言えることはなく、真反対の位置にあった2人の世界がリンクする瞬間です。

迫害をする側の子供と仲良くなる、なんて皮肉な話ですが、まだシュムール自身も詳しいことは分かっていないのです。恐らく迫害や戦争についてしっかり理解はしておらず、大人の言うがままに連れてこられた可能性大。

全てを分かっていたらブルーノとは仲良くしたがらないですからね。そんなお互いの裏がない友情。とても不思議な関係ですが、子供達に罪はありません。

見ているだけで胸が打たれ、私たちに戦争や迫害の恐ろしさを教えてくれるのです。

ブルーノ役、エイサ・バターフィールドの真っすぐな瞳にキュン

ブルーノ役を務めるエイサ・バターフィールドは「目力がある」と評価を受け、子役時代から注目されていた俳優さんです。

作品を見ていると彼の真っすぐな瞳は本当に綺麗で、目の奥に何の濁りもないんです。ブルーノを純真無垢さを現わすにはぴったりの目。非常に子供らしさが出ていて配役がマッチしていると思いました。

エイサの演技力も素晴らしく、最後までピュアな少年を演じ切れるのは子供ならでは。だからこそ作品の悲痛さがより伝わってくるとも言えますね!

救われないラストが逆に救われる?

ガス室に閉じ込められてTHE・END。「あまりに悲惨すぎる!」と悲しみの声が挙がっていますが……。では、ここでブルーノが助かってしまったらどうなっていたのでしょうか?

きっとシュムールが彼を焚きつけた(=施設内に入るよう誘導した)などと判断され、何らかの形で命を落としていたでしょう。

ブルーノだけ助かっても心の傷は更に深くなり、それこそ取り返しのつかない事態になっていたと思います。

それにブルーノが生きているままだったら、戦争や迫害の怖さを家族も噛みしめることができません。

だからこそ『縞模様のパジャマの少年』のラストは、“救いようのない救い”なのです。彼の死によってもたらされたものはきっとあるはず。ただ苦しいだけのラストではない――、筆者はそう感じてしまうのです。

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まとめ

戦争や人種差別を扱った作品が多い中、『縞模様のパジャマの少年』は特におすすめしたい映画です。

子供同士のはかなき友情にフォーカスし、ここまで傷ましい時代をしっかりと描き上げている点は拍手喝采モノ。生きているうちに必ず一度は見て欲しい、そんなヒューマンドラマだと思いますね。

鑑賞後あなたはどんな感想を抱くでしょうか。きっと今までとは考えに変化も起き、今一度戦争についてしっかりと考えたくなるかもしれませんよ!

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この記事を書いた人
たかなし亜妖
たかなし亜妖

フリーライター&シナリオライターの映画好きサブカル女子。ライター歴は一年半くらいでまだまだひよっこ。 「感動よりも恐怖を、お涙よりもスリルを!」を基準に映画を選ぶ人。ホラー、スリラーサスペンス、鬱になりそうな作品が特に好き。でもハッピーな気分になれる海外ドラマも好き。キャラクターものもアニメも好き。要するにかなりの雑食です。