もどかしくて苦しい『タイヨウのうた』名言集
2006年6月17日に公開された『タイヨウのうた』。女優デビュー作ながら第30回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞したYUIは、主題歌・挿入歌も担当し、注目されるきっかけとなった一作です。
1993年公開の香港映画『つきせぬ想い』を原案に、『僕の初恋をキミに捧ぐ』や『パラダイス・キス』の脚本を手がけた、坂東賢治の書き下ろしによるオリジナル脚本で物語は展開します。映画と同年の7月にテレビドラマとして別キャストで放送され、どちらも話題作となりました。さらに2018年には『タイヨウのうた〜Midnight Sun〜』と題して舞台化、同年、『ミッドナイト・サン 〜タイヨウのうた〜』と題して、ハリウッド・リメイクもされた人気の物語です。
物静かな雰囲気の持ち主ながら、歌でしっかりと大事な人に愛情表現をする薫と、サーフィンに打ち込む前向きで明るい少年・孝治の純愛は、あこがれと胸が締め付けられるような名言がたくさんあります!今回はその一部をご紹介します。
出典:Amazon.com
目次
あらすじ
海辺の街に両親と一緒に暮らす雨音薫(YUI)は太陽の光に当たることができない、色素性乾皮症という難病を抱えている。薫は支えてくれる家族や親友と一緒に限られた時間を過ごしながら、「音楽」という生きる為の軸となる活動も大切にしていた。
日光に当たれない薫は、日が暮れてから家を出て、いつも同じ公園でミュージシャンとしてストリートライブを続けている。そんな毎日を繰り返す中で、いつも家の窓から見かける少年・孝治(塚本高史)が気になっていた。ある日のストリートライブ中、偶然目の前を孝治が通りかかる…。
『タイヨウのうた』胸が締め付けられる名言・名セリフ
この映画では難病と立ち向かいながら、最初で最後の恋を楽しむ薫の姿が描かれています。二人の交わす言葉の端々には、「お互いに与えられた時間を大切にしたい」という切ない気持ちが溢れています。大きな壁はあっても、支えてくれる家族と親友の力添えも相まって徐々に気持ちは高まっていきます。環境という選べない生涯の大小はあるとしても、初々しい恋愛のやりとりは、あなたの過去の恋愛と重ねられる部分もあるのではないでしょうか。
それでは、胸がキュッと締め付けられるような初恋を彩り、物語を引き立てるセリフの数々をご紹介します。
【名言①】「来たらぶっ殺す」
自然豊かな美しい街並みが流れる静かな始まりの本編。夜を迎え、ストリートライブへ向かう前に、父・謙(岸谷五朗)と会話をするという薫が初めて言葉を発するシーンでのセリフです。毎晩、同じ場所で深夜にストリートライブをする薫に、「お客はいるのか」と心配し、両親揃って観に行こうと提案した父に対して、薫が返した一言。
華奢な見た目と静かなイメージに見えた物語の始まりで、薫の強気で自立した一面を知ることができるワンシーンですね。
【名言②】「いつも見てました、ずっとずっと見てました。彼氏はいません。」
出典:小泉徳宏監督公式Blog
ストリートライブ中に通りかかった孝治を見つけ、衝動にかられるがまま初めて声をかけたシーンでのセリフです。
いつも自宅の窓から見ていて、太陽の下で友達と和気あいあいしながらサーフィンを楽しむ孝治の姿は、薫には叶わないものでした。
気持ちの赴くまま言葉をぶつける薫の熱意は、ピュアでとても愛らしいですね!
【名言③】「俺と付き合ってください」
薫と一晩を共にすごして、真っすぐに歌う姿に惹かれた孝治が薫に対して告白するシーンのセリフです。
歌う姿を見せてもらった分、自分が波に乗るところも見てほしいという孝治は素直でとても初々しいですね!お互いの気持ちを確かめ合った二人ですが、病気は大きな障害となってのしかかります…。
【名言④】「私は普通に生きていければよかった、それだけでよかったのに。」
病気のことを孝治に打ち明けられずにいた薫は、一方的に終わったものだと勘違いしていました。しかし、孝治はもう一度歌を聞きたいと薫の家を訪ねてきます。その時に、ドア越しに薫が返したセリフです。
相手の未来を考えると、一生治らない病気を抱えた自分は邪魔になると感じた薫の不器用な愛情が溢れる一言ですね。
【名言⑤】「どうしてももう一度君の歌を聞きたくてさ」
薫の歌に聞き惚れた孝治は、オリジナルCDを作る費用稼ぎのために大事なサーフボードを売り、アルバイトを始めていました。そのことを薫に伝えた時のセリフです。
「私なんて」と病気を抱える現実を卑下する薫に前向きさを取り戻させてくれたワンシーンです。
【名言⑥】「太陽が沈んだら会いに行くよ」
薫の父親に夕飯に招待された孝治。帰り道に薫へ伝えた一言です。
数奇な難病を理解し、共に乗り越えようとする健気な孝治の姿勢に胸打たれた方も多いのではないでしょうか?
この夜、ふたりは踏み切りの真ん中で初めてキスをします。とっても印象的でロマンティックなワンシーンですね。
【名言⑦】「なら歌う、私歌うから!」
病状が悪化し、神経に異常が起こったため手の震えが止まらず、ギターがうまく弾けなくなってしまった薫。孝治と過ごした夜、別れ際に薫が言ったセリフです。
「私の手はこんなになっちゃたけど、私の声は聞こえてるよね?」そう言った薫は、孝治が望んでくれたCD化に向けて、足を止めることなく進むことを宣言しました。
もどかしいくらいに不器用ですが、二人の絆がどんどん深くなっていることを確信するワンシーンですね!
【名言⑧】「きっと将来は大スターですよ」
横浜で路上ライブをしたときに、一ファンになったと両親に告白した孝治。
オリジナルCDを作ることを提案した理由を伝えながら、父・謙に言った一言です。
薫の病気が進行すれば、残りの命は短いと知りつつも将来に期待する健気な姿勢にキュンとさせられた方も多いのではないでしょうか?
【名言⑨】「私、死ぬまで生きるって決めたんだから」
母・由紀(麻木久仁子)の手製遮光スーツを着て、海辺で孝治がサーフィンをする姿を見守る薫が言った一言です。きっかけは、父・謙が諦めがちに「もうそんなもの脱いでしまえ」と言ったことです。
孝治と出会って、より一層歌うことが好きになった薫は生きることに目標と明るい兆しを手に入れました。一人の男性との出会いで、大きく人生が変わった薫の明るい表情は、私たちにも勇気をくれますね!
【名言⑩】「同じ唄を口ずさむとき、そばにいて」
劇中、ストリートライブで何度か薫が歌っていた「Good bye days」の歌詞のワンフレーズです。
薫が亡くなったあと、ラジオで流れる薫の歌声は決して悲しい思い出とならず残された人たちの胸に刻まれていました。
ようやくフルコーラス聞くことができた「Good bye dyas」ですが、「かっこよくない優しさに会えてよかったよ」というフレーズはまさに、孝治にあてたラブレターのようですね!
まとめ
ここまで、『タイヨウのうた』から名言・名セリフをご紹介しました。
高校生という恋愛も友情もたんまり愉しめるはずの貴重な時期に、難病と立ち向かう少女の淡い初恋。そして最後の恋でもあるこの物語は、普通の恋愛映画のように順風満帆にうまくいくわけではありません。上手く伝えられない不器用なすれ違いと、病気という生涯と、様々なものに阻まれつつ幸せを掴み取った薫と孝治。憧れてしまうようなロマンティックな街並みは、二人の恋愛を盛り立ててくれます。学生時代にちぐはぐな恋愛を経験した方も、障害に立ち向かいながら恋愛した方も、ぜひ!「あの頃」自分の経験を思い出しながら、二人の恋愛を見守ってみてくださいね!