スタジオジブリ第1作目の映画『天空の城ラピュタ』のあらすじをネタバレ解説
スタジオジブリの作品で人気の高い作品、『天空の城ラピュタ』。子供の頃に一度は観たことがある人は多く、壮大な世界観にとてもワクワクさせられましたよね。
大人になってから再度視聴すると、より一層本作の魅力に気づくことでしょう。今回は『天空の城ラピュタ』についてネタバレを交えながら解説していきます。
内容を忘れてしまった人も大丈夫、一緒にラピュタの世界を振り返ってみませんか?
目次
映画『天空の城ラピュタ』について
1986年に日本で公開された『天空の城ラピュタ』ですが、実はスタジオジブリ初制作となった映画なんです!
前作の『風の谷のナウシカ』は「トップクラフト」というジブリの前会社によって作られたため、“スタジオジブリ”の名前は使用されていませんでした。ラピュタをきっかけに『となりのトトロ』、『火垂るの墓』と続くので、なんだか思い入れが深くなってしまいますよね。
公開当時から高い人気を博していたと思われがちですが、なんとジブリ作品の中では観客の動員数、興行収入共にワーストだったそう。あまり評判が良くなかったため、最初から爆発的な支持を得ることができなかったのです。しかしジブリ側はそう状況を重く受け止めておらず、「まずまずの成績ではないか」とコメントを残しています。
監督は誰しもが知る、宮崎駿氏が担当。「子供向けのアニメ映画」を意識しながら本作の企画を立ち上げたそうです。公開直後はあまりふるわない成績でしたが、配給会社のアンケートによれば満足度が高いとの意見が多かったとか。そして数年に渡ってジワジワと人気をアップさせ、現在の認知度へと辿り着きました。
10秒で分かる『天空の城ラピュタ』の簡単なあらすじ
シータ(横沢啓子)は、政府のとある機関の飛行船にて囚われていた。彼女が母から受け継いだ青い石のペンダントには謎の力があるらしい。政府だけでなく、海賊までもがその石を狙い、大人たちは襲撃を仕掛けてくる。ひょんなことからシータは飛行船から落下してしまうのだが、ペンダントのお陰で一命を取り留めた。
空からゆっくりと落ちてくる彼女を見かけ、救いの手を差し伸べるパズー(田中真弓)。空から降ってきた女の子と、1人の少年が出会い、パズーは少女を守ろうとするが……。
映画『天空の城ラピュタ』のネタバレあらすじ
【あらすじ①】謎の青い石
飛行船にてうつむく少女、シータ(横沢啓子)。政府より派遣された特殊機関の諜報員、ムスカ(寺田農)により、彼女は囚われの身となっていたのだ。奴らは彼女が首から下げる“青い石のペンダント”であり、この石には特殊な力が秘められていると言う。
石を狙うのは彼らだけでなく、ドーラ―一家という海賊も同じだった。飛行船を襲撃し、シータを狙う。彼女は勢い余って逃亡をはかり、運悪く手を滑らせて飛行船から落下してしまった。しかし石の力によって体は浮遊し、ゆっくりと地上へ降りてくることとなった。
その様子を見ていた鉱山で働くパズー(田中真弓)は、シータをキャッチ。1人の少女を助ける運びとなったのだ。シータが追われていることを知り、パズーは彼女へ協力することに。どこへ行っても追手が現れ、様々な危機に見舞われる2人。
途中蒸気機関車にてドーラ―一家と鬼ゴッコ状態となるのだが、暴走が過ぎて線路が崩壊してしまった。谷に落ちそうになるパズーとシータだが、これまた青い石のお陰で浮遊。海賊やパズー、その場にいた全員が石の力を目の当たりにするのだった……。
【あらすじ②】シータの正体
どこへ行っても追手が現れるため、鉱山の洞窟へ。するとポムじい(常田富士男)が現れ、謎の青い石についての話を耳にすることとなる。どうやらこの石はラピュタに人間によって作り出された飛行石の結晶らしい。そして天空に浮かぶお城“ラピュタ”のカギとなるものだったのだ。
パズーは亡き父から「ラピュタを見たことがある」と幼少期から聞いていたため、とにかく大興奮。ラピュタ行きを夢見るのだった。
しかし地上へ戻った途端、ムスカらと鉢合わせてしまい2人は連行されてしまった。閉じ込められるパズー。そしてシータはムスカにより、ある施設で壊れたロボットを見せつけられることとなる。もうロボットは動かないものの、ラピュタより落ちてきたことは間違いない。
あの城はかつて巨大な力と素晴らしき科学が発展し、天空より世界中を支配していたのだと言う。現在は滅びているのだが、未だどこかで存在をしているのだ。青い石、つまり飛行石はラピュタ人が城へ戻るために受け継ぐためにもの――。シータにはもう一つ名前があり、「リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ」。彼女はラピュタ族の末裔だったのだ!
ムスカはシータへ「パズーの安全を保障する代わりに、自分へ協力しろ」と脅しをかけ、彼女は要求を飲む。そして2人は離れ離れになってしまった。
【あらすじ③】ラピュタを目指して
シータのはからいにより助かったパズーだが、突き放されたような錯覚に陥ってしまう。しかし休んでいる暇などなく、彼の家にはドーラ―一家が押し寄せていた。最初は激怒したパズーだが、一家の“ママ”と呼ばれるドン、マ=ドーラ(初井言榮)により、「シータはあんたの安全を守ったのだ」と説明される。
一家はこのままムスカらのいる建物へ攻め入る予定だ。ママの一言によりハッとさせられたパズーは同行させてくれるように頼み、一家と手を組むことに。
一方で再度囚われてしまったシータは、祖母より教えてもらった「困った時のおまじない」を思い出し、口に出す。すると飛行石は強い輝きを放ち、壊れたはずのロボットが復活してしまうのだった。このおまじないとは、ラピュタの復活を解いてしまうものだったようで……。
ロボットは大暴れ、建物は崩壊と大きな騒ぎになるが、騒動のお陰で一家とパズーはシータを救い出すことに成功。再会する2人だが、飛行石はなんとムスカの手に渡ってしまっていた。彼はラピュタを目指して巨大な飛行船へと乗り込んでいく。
パズーとシータは一家を手伝う代わりに、ドーラ―と行動を共にすることとなった。2人もラピュタを目指して向かう運びに。
【あらすじ④】ムスカの目的
一家の飛行船で手伝いをしながら前へ進むたくましい2人。順風満帆にコトが進んでいたと思いきや、早々にムスカらへ見つかってしまう。激しい攻撃を受け、見張り台にいたパズーとシータは飛行船から切り離されて嵐へと巻き込まれてしまった。
目を覚ますと知らない土地。なんと2人は念願のラピュタへと辿り着いたのだった。荒々しいロボットもおらず、彼らの手によって美しい自然が守られていることを知る。けれども油断はならず、ムスカら軍とドーラ―一家もまとめてこの帝国へ降り立っていたのだ。一家は縄で繋がれており、運悪くシータは捕まってしまう。
ムスカは軍に身を寄せていたのではなく、本当の目的はラピュタ帝国の力で世界を支配することだった。彼自身もラピュタ王の末裔であり、軍など自分の知ったことではない。ラピュタの持つ高い科学力にも目を付けていたため、シータを捕らえながら、邪魔者は端から始末していく冷酷な一面を見せる……。
【あらすじ⑤】そして2人は……
このままでは残された人間、そしてパズー、自分までもが危ない。シータは彼の手から飛行石を奪い去り、走って逃げることに。その間にも逃亡に失敗した軍の人間達が次々と命を落としていく始末。パズーもシータを助けに行くのだが、ラピュタの持つ力は果てしなく強い。苦戦しつつもなんとか彼女の元へ。
だがシータとパズーはムスカに追い詰められてしまい、力を合わせて滅びの呪文である「バルス」を唱えた。すると飛行石は強い力を放ち、ムスカの瞳は輝きに耐え切れなくなってしまう。城は見事に崩壊、目をやられたムスカは奈落の底へと落ちていくのだった……。そして飛行石は白の上層部と共に天高く昇っていき、人の目に見えないどこかへ移動していく。
ラピュタは崩れ去ったものの、不思議なことに大樹の一部だけは残っていたことから一命を取り留めた2人。ちょうどドーラ―一家も全員無事で、空での再会を果たすことに成功したのだ!お互いの無事を喜び合い、パズーとシータは一家へ別れを告げる。帰路につき、あの港町へ降り立つのであった。
映画『天空の城ラピュタ』のキャスト
パズー/田中真弓
若くして鉱山で働く少年のパズー。正義感が強く、真っすぐな性格が視聴者の心を震わせます。一人暮らしだったり、残業をこなしていたりとなかなか大変な中で生活をしているご様子。彼のたくましさが冒頭部分より伺えることでしょう。
シータと出会ってからは行動力の強さが目立ち、“少年”という言葉では片づけられないほどの男らしさを見せるのもパズーの魅力。2人がどんな将来を描くのかは明らかになっていませんが、ついつい気になっちゃいますよね!
パズーを演じるのは『ONE PIECE』『幽☆遊☆白書』などでお馴染みの田中真弓さん。少年役が本当によくハマる声優さんで、聞き慣れた声はどこか安心感を覚えるはず。爆発的な人気を誇るベテラン声優さんです。
シータ/横沢啓子
可愛らしいおさげがチャームポイントのシータですが、ただ愛らしいだけのヒロインではありません。ムスカの頭を瓶で殴る、軍の人間にタックルするなど、見た目からは想像のつかない強さを持っています!普段はとても女の子らしいので、そのギャップにキュンときてしまいますよね(笑)
彼女もまたパズー同様、行動力があってたくましいキャラクターでしょう。ヒロイン=守られるもの、の概念を良い意味で壊してくれる。シータはそんな存在だと思います。
シータを演じるのは横沢啓子さん。『エスパー魔美』の佐倉魔美や『にこにこぷん』のぴっころで知られるあの声優さんです!透明感のある少女ボイスが可愛らしく、実は2005年のキャスト入れ替えまで『ドラえもん』のドラミちゃん役も担当していたんですよ。
ムスカ/寺田農
本作のイケメン悪役であるムスカ。常に口調やペースを崩さず、冷静に自身の計画を進めていく姿はまさに冷血。ラピュタの力に惹かれ、世界を支配することを企みます。しかしパズーとシータの力により城は崩壊。崩れ去っていくラピュタと共に亡命していくのでした……。
彼の計画は失敗に終わりましたが、心を奪われた城そのものと消えていくことはある意味幸せだったのでは?なんて考えてしまいます。
ムスカを演じるのは俳優・声優の寺田農さん。80~90年代の映画やVシネマなどに数多く出演し、ナレーションなどでも活躍。2022年の現在でも俳優業を継続しているそうですよ!
「人がゴミのようだ」だけじゃない!愛すべき悪役ムスカの名言・名セリフマ=ドーラ/初井言榮
序盤は敵のような立ち位置であったマ=ドーラ、通称“ママ”ですが、パズーを手を組んでからはすっかり味方ポジションに(笑)ドンを務めるだけあってか懐は大きく、人として魅力的な部分をたくさん見せてくれました。言葉尻は強いものの、そこには深い愛情が備わっていることは事実。シータとパズーではなく、意外とママの虜になってしまう視聴者が多いとか……?
ママを演じるのは初井言榮さん。主に女優業がメインですが、吹き替えやラジオドラマをこなす多才な一面も。数多くの作品に出演されましたが、病気により61歳と若くして逝去。実はあの有名声優さんのチョーさんが付き人をしていたそうですよ。
これを知ればもうマニア?『天空の城ラピュタ』のトリビア5選
“ラピュタ”の由来とは?
“ラピュタ”とは元々ガリバー旅行記第3編からきているもの。ここでは“ラピュータ”(ラピュタ王国)という名前の天空の城が登場しているんです。
王国に住むラピュータ全市民は科学者であり、常に進歩することを重視しています。『天空の城ラピュタ』でも科学の力が発展していたので、その設定が受け継がれているご様子。ラピュタファンなら併せてガリバー旅行記もチェックすることで、より一層世界観の深さを感じられるでしょう。
一瞬しか映らない、ドーラの若き頃の姿
なんやかんやで2人をサポートした心強きドーラ。一家を手伝うことを交換条件として、パズーとシータを飛行船へ同乗させます。その時ドーラがシータを部屋に招き入れ、洋服を着替えさせるのですが……彼女の室内によ~く注目してみてください。なんとベッドの隣には、若かりし日のドーラの写真が大きく貼られているんですよ!
「若い頃の自分にそっくり」とシータへ言っているのも納得するほど、かなり見た目はそっくり。海賊の頭を張っているドーラですから、きっと昔からカッコ良い女性だったのでしょうね。
ムスカの年齢は意外と若かった!?
大佐という地位を持つムスカ、相当をキャリアを積んでいるのでは?と思いがちですが、設定は28歳と案外若め。貫禄があるせいか、どうしても30歳をゆうに超えているように思えてしまいますよね(苦笑)パズーやシータと親子くらい離れているような気がするものの、実際は20歳も離れていないのがちょっぴり不思議な部分かもしれません。
ちなみにムスカは『未来少年コナン』の登場する悪役・レプカの祖先という裏設定が!!!かつてジブリから発売されたラピュタの公式ブックにて、そう記されているのだそうです。どちらも宮崎駿氏が監督をしている作品なので、意外なところで繋がっている部分に面白さを感じますね。
ロボット兵には2つのタイプがある
作中に登場するロボット兵ですが、2つのタイプがあることに気づきましたか?まず序盤に出てくる壊れたロボットは、腕にトゲトゲがついていました。それとは打って変わって、ラピュタにて花を摘んできたものはトゲがなかったのです。
攻撃を仕掛けてくる荒々しいタイプ=トゲあり、穏やかなタイプ=トゲなし、といった感じで描き分けられているんですよ。ラストで城の崩壊時に落下していくのは前者のみ。よ~く注目して観てみてください!
小説版ではその後のことまで書かれている
映画では騒動の後、ドーラ―一家と別れた2人は鉱山に戻ってエンディングを迎えています。小説版にはその続きがあり、パズーとシータは離れて暮らしているのでした。パズーはラピュタへ行った事実を誰にも口外せず、シータとは文通をしながら交流を続けていたのです。
未完成だった飛行機を再び作り続けており、彼女へ会いに行く計画を立てている……と手紙ではそう語っています。シータのバッサリと斬られた髪の毛も元通りになっており、いかに時間が経ったかが分かりますね。いずれにせよ幸せそうなラストを迎えるので、つい笑顔がほころんでしまいます。
まとめ
長きにわたって愛される映画『天空の城ラピュタ』。裏設定などを知ることでより面白味を感じることでしょう。ストーリーそのものも分かりやすく、観終わった頃には胸の奥が温まっていくような感覚を覚えますよ。
すっかりハマってしまった方は、ぜひ小説版やガリバー旅行記など関連作品にも触れてみましょう。より『ラピュタ』のことが好きになってしまうかもしれません!
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