映画『バイオレントナイト』のネタバレ解説|型ハズレのサンタが大暴れ!
サンタクロースは子どもたちのアイドル。優しくて穏やか、とっても温かいおじいさんのイメージですが……この作品に登場するサンタは一味違います。
酒飲みで口が悪く下品、けれども勇敢で憎めないキャラクター。そんな彼がイヴの夜に一家を救うべく大暴れ!
大量の血とギャグ、涙、そして気持ちの良いアクションがふんだんに盛り込まれた全く新しいクリスマス映画が『バイオレント・ナイト』です。
過激なグロ描写満載ですが、どこか脱力したギャグと感動要素に心惹かれる人多数。サンタクロースのイメージを“いい意味で”塗り替えてくれるでしょう。
他作品のオマージュも含まれシネマ好きにはたまらないはず!今までになかった斬新な発想で、あなたもクリスマスの魔法にかけられてみませんか。
魅力いっぱいの112分間をどうぞお楽しみください。
目次
映画『バイオレント・ナイト』について
アクション映画に特化した87ノース・プロダクションズより誕生した『バイオレント・ナイト』 。
「クリスマスが舞台の作品なのにアクション?」と、アンバランスに感じた人は多いかもしれません。
それもそのはず。本作は聖なる夜にサンタクロースが血みどろ祭りで大暴れするという、ファンタジー界のタブーを突き破ったような内容なのです!
年齢制限(R15指定)のある作品ながらも、米国では公開1週目で興行収入約19億円と驚異の数字を叩き出しています。クリスマスシーズンに合わせた公開となり、話題を呼びました。
最終的に興行収入は約100億1,055円を記録。制作費約27億円を遥かに上回る素晴らしい成績を収めたのです。
監督はホラーやコメディを得意とするトミー・ウィルコラ。『処刑山』シリーズや『ヘンゼル&グレーテル』が主な代表作であり、制作数が少ないながらも評価の高い作品を揃える実力派監督です。
テンポが良く飽きの来ないストーリーに有名映画のオマージュを盛り込むなど、小技が効いているのも映画マニアの心を掴むポイントと言えましょう。
『バイオレント・ナイト』 も様々な作品のオマージュを含み、細部にまでこだわった作品作りに注目が集まっています。
10秒で分かる!映画『バイオレント・ナイト』 の簡単なあらすじ
出典:Youtube
それはクリスマス・イヴのこと。物欲にまみれ、クリスマスへの純粋な気持ちを子どもたちに嫌気が差したサンタクロース(デヴィッド・ハーバー)は、パブで酒浸り。重い腰を上げて仕事に励んでいます。
どの子どもたちもサンタへのお礼はなく、ただ欲しいものを伝えるのみ。呆れ果てる中、一軒だけおいしいクッキーとミルクを用意した家に巡り合います。そこはとある富豪一家が集う素晴らしい豪邸でした。
きちんとしたおもてなしにサンタは感動。酔いに任せて室内で小休止していたところ……悲劇が訪れます。なんと一家が聖なる夜を過ごすこの空間に、過激派の武装集団が侵入したのです!
奴らの狙いは金庫に隠されている3億ドルの現金。脅される一家に忍び寄る身の危険。サンタはすぐさまその場を立ち去ろうとするものの、武装派集団のメンバーに見つかり、トナカイは逃亡するわでてんやわんや。結局騒動に巻き込まれてしまいました。
一度は見て見ぬふりを考えたものの、彼はお礼のクッキーとミルクが頭から離れません。戦闘能力もない状態でサンタは一家を救出すべく、集団に立ち向かうことを決めるのですが……。
映画『バイオレント・ナイト』 のネタバレあらすじ
それではネタバレを含みながら『バイオレント・ナイト』 のあらすじをご紹介します。
毒とパンチが効きまくった、聖なる夜の大騒動をお楽しみください。
【あらすじ①】泥酔サンタと富豪一家のイヴ
ユニバーサル・ピクチャーズ公式Facebook『バイオレント・ナイト』 紹介ページ
サンタクロース(デヴィッド・ハーバー)はパブでやさぐれながら酒を流し込む。
今日は誰もが心待ちにしたイヴの夜。プレゼントを運ばなければならないものの、現代っ子たちが欲しがるのは現金にゲームやガラクタと、とにかく物欲にまみれていた。彼はそんな現実に嫌気が差しながらも、仕方なく空を駆け回ることに。
一方でライトストーン一家は、クリスマス休暇を実家で過ごす計画を立てた。夫・ジェイソン(アレックス・ハッセル)と妻・リンダ(アレクシス・ラウダー)は別居中であるものの、娘・トルーデイ(リア・ブレイディ)のためを思って屋敷へと向かう。
ライトストーン家は実業家として成功を収めており、裕福な一族として名が通っている。
実家へ帰省するとジェイソンの妹・アルヴァ(エディ・パターソン)、ライブ配信に夢中のバート(アレクサンダー・エリオット)、そしてアルヴァの彼氏であるモーガン(カム・ギガンデット)の姿が。
全員でジェイソンとアルヴァの母である経営者のガートルード(ビヴァリー・ダンジェロ)を迎え、華やかなクリスマスパーティーが開始される。(458
【あらすじ②】クリスマス・イヴの悲劇
ユニバーサル・ピクチャーズ公式Facebook『バイオレント・ナイト』 紹介ページ
パーティーも終わり、両親に見守られながらベッドに入るトルーデイ。「サンタさんは本当にいるの?」との問いにジェイソンは「いるよ」と答えた。そしてサンタと通信できる、という呈でトランシーバーをプレゼントする。
彼女の一番の願いはパパとママが再び一緒に暮らすこと。寝室を後にした夫婦はトルーデイが願いをトランシーバーへ向かって話している声を聞いてしまい、複雑な気持ちに。
その頃、ほろ酔いサンタは煙突からライトストーン家にお邪魔していた。
おいしいクッキーにたっぷりのミルク、サンタへのお礼は完璧。久しぶりに満足したサンタはいい気分になって、家の片隅でくつろいでしまう。
誰もが心を落ち着ける夜間帯に悲劇は訪れた。パーティーのために呼んだケータリング業者だが、実はライトストーン家の財産3億ドルを狙う武装集団だったのである。
警備スタッフをあっさりと一掃し、現金を奪うため一家全員は人質に。油断が許されぬ中、サンタは他人の家のマッサージチェアでスヤスヤ居眠り……。
しかし、集団の一人に見つかってしまい予想外の揉み合い勃発!戦闘能力ゼロのサンタは太刀打ちするも、銃弾の音によりトナカイが「GOサイン」と勘違い。夜空へと姿を消してしまう。
屋敷には人質に取られたファミリーと複数名の過激派集団、そして取り残されたサンタクロース。長くて恐ろしいクリスマスイヴの夜が幕を開ける……。
【あらすじ③】トランシーバー越しのSOS
敵を倒したサンタはその場を立ち去ろうとするものの、お礼を用意してくれたこの家族を見捨てることができない。一家を救うべく、彼は動き始める。
仕留めた敵の通信機を借り、武装派集団とコンタクトを取った。奴らは一家以外の存在を知って少々困惑するも至って冷静。すぐさま捜索へと向かう。
一家がリビングに集められ脅かされる中、トルーデイはジェイソンからもらったトランシーバーを所持していた。
「サンタさんと通信ができる」といった言葉を信じ、一か八かで話しかけてみると……サンタが敵から借りた通信機と接続!トルーデイとサンタはトランシーバー越しに繋がった。
彼女からのSOSをサンタは受け止め、武装派集団と本格的な戦闘を決意する。
だが集団は手強く、3億ドルだけではなく一家を傷つけることさえも平気で行う。窮地に追い詰められたジェイソンは娘へ「本当はサンタなんていない。プレゼントは親が買っている」と現実を突きつけた。
ショックを受けたトルーデイはリビングから一人で逃亡。屋根裏部屋へと隠れてしまう。
【あらすじ④】子どもたちの笑顔のために
トルーデイはサンタと屋根裏部屋で通信をしていた。「こうして直接と話しているのに、パパはサンタがいないって言うの」と、先ほどまでのいきさつを説明する。サンタは集団に見つからないよう注意を促しつつ、彼女の気持ちを落ち着かせていた。
そして彼は自分の過去を明かす。サンタは元々戦士であり、かつては血に飢えた人物だったそうだ。現在は愛する妻と1100年共に過ごしており、今でも心から愛していると優しげなな口調で語った。
集団の勢いが増し、本格的な戦闘状態に陥ったサンタは捕まってしまう。リーダー格であるスクルージ(ジョン・レグイザモ)は彼をガートルードが雇ったセキュリティと勘違いするが、明らかに格好が“サンタ”なのである。すでに残りのメンバーは「本物のサンタなんじゃ?」と思い始めていた。
実際に本物であるため、かつてプレゼントをあげた子どもたちのことは覚えており、魔法によって1人1人の情報を持っている。サンタはスクルージが子ども時代の悲しい出来事によりクリスマスが嫌いな事実を指摘し、過去にあげたプレゼントまで言い当てた。
「本物だ!」と驚くメンバーと、それでも信じないスクルージ。とうとうプレゼントが入った袋を燃やされてしまい、サンタは魔法の力で煙突から外へ脱出。
外には味方と思われた特殊部隊が到着。これで助かると思いきや……。奴らもまたライトストーン家を裏切った集団。3億ドルを手にするために、遂に金庫の扉が開く。
しかし、金庫の中身は見事に空である。実は3億ドルはジェイソンが相続人となっており、このお金を盗んで家族と逃亡する計画を立てていたことを自白。
スクルージはキレまくり、命の危険を脅かされたため彼はお金の在り処を口にしてしまう。現金が隠されているのは倉庫ではなく、庭のオブジェだった。
【あらすじ⑤】血と雪にまみれたクリスマスの魔法
サンタはハンマー片手に、追加でやってきた武装派集団を片付けていた。その間トルーデイはホーム・アローンを真似てトラップを仕掛け、屋根裏まで追ってきた敵と立ち向かう。
遂にサンタとトルーデイは顔を合わせ、屋根裏で出会う。残りの奴らを一掃するためにもリビングへと向かった。
リビングではすでにアルヴァ、バート、リンダが1人を仕留めており、なんと残りはたったの数名。外で現金を持ち逃げしているメンバーを追うことに。
協力した上で生き残ったジェイソンとリンダは再び気持ちが燃え上がり、勢いでキス。それを見たトルーデイは非常に満足そうな表情を浮かべていた。
ようやくサンタが集団を追い詰め、スクルージとの最終決戦。ボロボロになりながらサンタは勝利するも、深い傷を負った彼は力尽きてしまい……。一家に見守られながら息を引き取った。
――と思いきや、トルーデイの「信じる心」をきっかけにクリスマスの奇跡が!サンタは見事に生き返り、「これはクリスマスの魔法だ」と説明。トナカイもプレゼントの袋とメモを持って戻ってきたことで、ようやく仕事再開の運びとなる。
サンタはトルーデイに別れを告げ、プレゼントを配るためにソリへ再び乗り込むのだった。
映画『バイオレント・ナイト』 の登場人物・キャスト
本作は登場人物が多く様々なキャラクターが登場しますが、その中でもストーリーの核を担うのがこの2人。
やさぐれつつも子どもの純真無垢な気持ちを受け止めるサンタと、素直な心を持ったトルーデイをピックアップします。
サンタクロース/デヴィッド・ハーバー
私たちが想像するサンタクロースは体格が良く、ヒゲの似合う温厚なおじいさん。そのイメージを忠実に再現したのがアメリカの超ベテラン俳優、ディヴィッド・ハーバーです。
序盤の酒浸り具合、心がささくれてプレゼント運びを投げやりに行う演技は流石のもの(笑)トルーデイと顔を合わせ、優しく抱きしめた時の柔らかい表情には、誰もが心を奪われたことでしょう。
『007 慰めの報酬』や『イコライザー』、『ブラック・ウィドウ』など有名作品に多数出演。映画を中心に活躍しています。
トルーデイ・ライトストーン/リア・ブレイディ
超現実的なプレゼントを欲しがる子どもが多い中、両親の関係修復を願うトルーデイ。
おもちゃやお菓子が一番欲しい年ごろでありながら、一番の願いが2人の仲直りだなんて……。優しく、純粋な子ども心を持った彼女。大人が忘れがちな感情を今一度思い出させてくれる、魅力いっぱいのキャラクターです。
トルーデイを演じるのはリア・ブレイディ。2022年から表舞台に立ち始めた新人子役ですが、すでに4本の映画に出演しています!
日本公開された作品への登場は『バイオレント・ナイト』 が初。今後の成長が非常に楽しみな女優さんですね。
『バイオレント・ナイト』 が面白い5つの理由
ユニバーサル・ピクチャーズ公式Facebook『バイオレント・ナイト』 紹介ページ
『バイオレント・ナイト』 は日本でも大人気で、「面白い!」との声が続出しているそう。本国アメリカでも高い興行収入を叩き出した作品ですが、多くの人々から支持を得る理由はどこにあるのでしょうか。
これから映画を見る上での面白ポイントを5つ挙げるので、鑑賞の際の参考にしてくださいね。すでに鑑賞済みの方は自分の感想と照らし合わせると、より作品が味わい深くなるかもしれませんよ。
ギャグ満載!クスリとくるブラックさがたまらない
タイトルだけを見ると恐ろしいスプラッター映画のように思えますが、実際はコメディなのです。ホームドラマ系の軽快なギャグではなく、危ない橋を渡るようなブラックさがじわじわとした笑いを誘います。
モーガンがヒモっぽい人物なことや(発言もだいぶ突っ込みどころ満載)、アルヴァのカネの亡者っぷり、序盤のサンタの言動など。「それ、いいの?」と思わず言いたくなるようなドス黒さがたまりません。
笑えるシーンを要所要所で押さえてくるため、最後まで飽きずに鑑賞できるでしょう。
有名作品のオマージュ、映画好きはテンションが上がる!
公式も発表していますが、クリスマスの定番『ホーム・アローン』とアクション映画の代名詞(?)『ダイ・ハード』のオマージュがあります。どちらの作品も聖なる夜の出来事なので、話のベースから影響を受けていると言っていいほど(笑)
実際に2つのタイトルが作中のセリフにも登場し、『ダイ・ハード』に至ってはDVDまで登場!オマージュであることを一切隠さないのも好感が持てますね。
全ては「クリスマスの魔法」で解決!いい意味でのテキトーさも◎
サンタは子どもたちの情報や「欲しいものリスト」を所持しています。煙突から家に入ることもできますが、これらは全てクリスマスの魔法によるもの。
とは言っても、この力は万能ではない様子で……戦闘は非常にアナログでした。むしろ無敵人間ではなかったため、“魔法”の範囲が少々いい加減なのも面白さを感じるポイントです。
最後に生き返ったのも魔法の力らしいですが真相は不明(笑)
他にも武装派集団が家族を脅しつつ、リビングでグダグダやっているのも程よい脱力感があります。ガチすぎない恐怖が視聴者を選びすぎず、多くの人に愛される理由なのかもしれません。
容赦のないグロと下品発言連発!なのに清々しいテンポの良さ
先ほど「視聴者を選びすぎず」と説明しましたが、R15指定なのでグロ描写は容赦がありません。後半になるにつれてバイオレンスさはヒートアップ、おまけに下品なセリフも多いためニガテな方は注意が必要です。
けれどもストーリーのテンポが良く、笑いや感動を差し込んでくるのが良い意味でニクいところ!いやらしさがなく、アクションを見ているとむしろスカッとするような爽快感を覚えるでしょう。
決してグロくないとは言えませんが、他の年齢指定作品に比べると少しマイルドな方ではあるかも?トドメの刺し方も個性が光り、ゲームの『モータル・コンバット』のようなコミカルさもうかがえます。
繊細な感動要素が織り込まれ、気づけばうるっときているかも
ただ笑えるだけではなく、しっかりと涙を誘ってくるのが『バイオレント・ナイト』 。
夫婦愛や家族愛、大人が忘れがちになるピュアな感情など、私たちの心を揺らすポイントが盛りだくさん。鑑賞後は心地の良い余韻に浸れると思います。
“クリスマスの魔法”にかかれば気持ちが温まること間違いなし。ぜひ子ども時代に戻ったような気分で(エグいシーン以外は)、サンタの活躍を見届けてみてはいかがでしょうか。
【速報】『バイオレント・ナイト』 次回作制作決定!
ユニバーサル・ピクチャーズ公式Facebook『バイオレント・ナイト』 紹介ページ
すでに次回作の制作が決定している『バイオレント・ナイト』 !
トミー・ウィルコラ監督や脚本家のパット・ケイシー、ジョシュ・ミラーが引き続き作品を担当。現在は第二弾に向けて企画進行中とのことです。
まだ制作発表から間もないため、詳しい情報は明らかになっていませんが期待に胸を膨らませるファンが多いはず。イヴの大騒動が終わった後の話になるのか?それとも翌年のクリスマスの話なのか?何のオマージュがあるのか?想像するだけでワクワクしますね。
今回、日本での公開が2月とクリスマスシーズンからずれてしまったのが残念なところ。次回は12月の上映になることを期待して、続報を待ちましょう。
まとめ
新たなクリスマス映画の一つに加わった『バイオレント・ナイト』 。この存在感の大きさは多数の人を虜にしました。クリスマス×バイオレンスという少々危険な組み合わせが、本作の一番の魅力と言えます。
第二弾に期待しながらもう一度鑑賞するも良し。『ホーム・アローン』や『ダイ・ハード』を観てストーリーの理解を深めるも良し。
早くも2023年ベスト映画になる予感です。ぜひご覧ください!