実話を元にした映画『永遠に僕のもの』のあらすじネタバレ解説|ラモンの死の真相は?
1971年、アルゼンチンで衝撃の事件が起こったのをご存じでしょうか?ブロンドのカールがかった髪、大きな憂いめいた瞳、艶やかな柔らかい唇、殺人や窃盗を繰り返した彼はその天使のような容姿から「死の天使」や「黒い天使」と呼ばれます。
『永遠に僕のもの』は、アルゼンチンで実際に起こった連続殺人事件をもとに、「死の天使」と呼ばれた青年を描いた衝撃クライム青春映画です。
なぜ彼は「悪魔」になってしまったのか?”永遠に僕のもの”の意味とは?実際の事件とともに、『永遠に僕のもの』のあらすじやキャスト、見どころなどもネタバレを含みながら解説していきます!!
美少年が大好きな方や、ロブレド・プッチ事件をご存じの方、この映画をおさらいしたい方に参考にしていただければと思います!
目次
実話をもとに描いた映画『永遠に僕のもの』について
『永遠に僕のもの』は、『ジュリエッタ』や『人生スイッチ』などを手掛けたスペインの巨匠、ペドロ・アルモドバルのプロデュース作品です。監督にはアルゼンチンの新鋭監督で世界各国の映画祭で賞を受賞してきたルイス・オルテガをむかえ、今作が映画デビューとなった新星ロレンソ・フェロが「死の天使」と呼ばれた凶悪犯カルリートスを演じました。
また、第71回カンヌ国際映画祭、ある視点部門への正式出品や、第91回アカデミー賞外国語映画賞ではアルゼンチン代表作品への選出など、世界からの評価も高いです。
海外メディアからも「傑作!強い衝動に満ちた、真の犯罪ドラマ」(Screen international)や「アルモドバルの官能的なセンスに溢れていて最高」(NPR)と評価されるほど人気を博しています。それほどまでに、この映画は狂気と純粋さが折り重なりあい、魅惑的な美しさを放っているのでしょう。
『永遠に僕のもの』のモデルになった「ロブレド・プッチ事件」について
何度か触れたように、本作はアルゼンチンで実際に起こったロブレド・プッチ事件という出来事がモデルになっています。
一体どんな事件だったのか、カルリートスはどんな人物だったのか、解説していきます。
実在した「黒い天使」カルロス・ロブレド・プッチとは?
わずか1年の間に11件の殺人、17件の強盗、強姦や強制わいせつ罪、誘拐、盗難などの罪を犯して終身刑の宣告を受けた人物こそ、本作カルリートスのモデルとなっている、カルロス・ロブレド・プッチです。小柄で童顔、巻き毛の長い髪の中性的な容姿のため、警官の一人は彼を「青年版のマリリンモンロー」と表現したと言われています。
彼はオートバイを盗んだことで少年院に入れられ、出所後に入学した高校で出会ったのがラモンのモデルとなったホルヘ・アントニオ・イバンニェスです。彼がカルロスを父に紹介し、強盗仲間に引き込みました。これこそが、「黒い天使」「死の天使」の誕生です。
2019年1月には、67歳の誕生日をむかえたカルロスにはもう天使の面影はないものの、今でもアルゼンチンで彼の名を知らな人はいないと言われるほど、人々に強烈な印象を残しました。
その容姿で人々を困惑させた「ロンブローゾ理論」とは?
ロブレド・プッチ事件において世間の注目をより集めるきっかけになったものは、やはりカルロスの容姿でしょう。当時、人々には「ロンブローゾ理論」が広く信じられていました。これはロンブローゾという人物が、醜い容姿が犯罪を誘発すると唱えたもので、生まれつきの犯罪者は、突き出た目や浅黒い肌、かぎ鼻、広い額、歯ならびの悪さなどをもっているのだそうです。
カルロスはこの理論に全く当てはまらないばかりか、中流階級の家庭に生まれ、両親とも温和な性格、カルロス本人もひねくれた性格をしているわけではなく、犯罪者とは程遠い人間でした。
特に世間を驚かせたのが彼の容姿。人々は彼の天使のような美貌に魅了されていったのです。
10秒でわかる!『永遠に僕のもの』の簡単なあらすじ紹介!
1971年、ブエノスアイレス。17歳のカルリートスは子供の頃から他人の持っているものを欲がる性格だった。自分の天職が窃盗であることに気づいた彼は、留守の家にためらいもなく入っては勝手にレコードをかけ、ジュエリーやバイクを盗む日々を送っていた。真面目で善良、優しい両親は、そんな息子の素性を知っていたがまともな性格に戻ると信じカルリートスを転校させる。そこで、カルリートスが出会ったのがラモンだった。
彼の野性的な男らしい魅力に惹かれたカルリートスと、カルリートスの美しい外見と中身のギャップに魅せられたラモンは、次第に仲良くなり、犯罪に手を染めていくようになる。殺人や強盗、様々な犯罪を犯す二人だが、次第にお互いの気持ちはすれ違っていくのだった……。
映画『永遠に僕のもの』のネタバレあらすじ
【あらすじ①】カルリートスとラモンの出会い
1971年のブエノスアイレス。留守の豪邸を発見したカルリートスは、まるで息をするかのごとくその家に強盗に入っていた。勝手にレコードをかけ、ダンスを踊り、宝石やバイクを盗んで帰宅するカルリートス。真面目で善良な父と、優しく温かい母は、毎日のように知らないものを持って帰るカルリートスを見て、彼が盗みをしていることに気づいていたが、まだまともな性格に戻すことができると信じ彼を転校させることにする。
転校先で、カルリートスは野性的な瞳を持つラモンに惹かれ、喧嘩を売る。一方のラモンもカルリートスの美しい容姿と平気で盗みをする中身とのギャップに魅せられていく。そこで、ラモンはカルリートスを両親に会わせる。裏社会の人間で薬物依存症でもあるラモンの父ホセに、カルリートスは盗みを持ち掛け三人は銃砲店へ侵入、成功する。ホセはカルリートスのことを天才だと思う一方で、事前のプランを無視して勝手に行動する無謀さに危険を感じていることをラモンに伝えるのだった。
【あらすじ②】強盗や殺人を繰り返していく二人…….。
ある日、カルリートスとラモンは裕福な老人の屋敷に侵入する。いつものように何食わぬ顔で屋敷に入るカルリートスだったが、物音に起きてきた老人と遭遇した瞬間に何の感情もなく発砲してしまう。動揺するラモンをよそに、淡々としているカルリートスは、老人が死ぬ間際に見ていた壁際に飾ってあった絵画を持ち帰ると、自分の部屋に飾るのだった。翌朝、カルリートスを起こしにきた母オーロラは、カルリートスのベッドで銃を発見する。それでもカルリートスは銃口を母に向け、「本物の銃をママに向けると思う?」と平然と聞くのだった。オーロラは動揺を隠せなかった。
次第にカルリートスは実家を出て、ラモンの家で寝泊りするようになる。ホセが老人を射殺したことをカルリートスに問い詰めると、「”僕たち”がやった。三人でチームだよ」と平然と答える。そんな彼を危険だと感じているホセを横目に、マイペースなカルリートスは水を飲みに台所へ行く。そこでカルリートスの纏う不思議なオーラに惹かれ、ラモンの母、アナはカルリートスに欲情するが、彼は女性には全く興味がなかったのだった。
その後本格的に盗みをしていくために、カルリートスとラモンはホテルに住み始める。ある日、宝石店に忍び込んだカルリートスはイヤリングを耳につけた。苛立っていたラモンだったが、カルリートスの姿に思わず「マリリンモンローみたいだ」とつぶやく。その後、急いで宝石をカバンに詰めていくラモンにカルリートスは「そう焦るな」と止め、「盗みをやっているんだぞ」と言うラモンに対し、「違うよ。生きてるんだ。楽しまなきゃ。」と不気味なまでに冷静に諭すのだった。宝石店の奥で金庫を見つけたカルリートスは金庫を裏側から焼いて開けようとするが、ラモンに制止されてしまう。
盗んだ品を売るために、二人は美術収集家のフェデリカの行きつけのバーに行く。しかしゲイであるフェデリカは、絵を売りたいのであれば性的サービスをするよう言い放つ。一方、フェデリカとラモンの様子を見たバーの店員は、ラモンのことをゲイだと勘違いしてしまい、性的な事なら店外で交渉するようラモンに言う。その店員の言葉に激怒したラモンは酒の瓶で店員を殴り、カルリートスと店を後にするのだった。
【あらすじ③】ラモンのテレビ出演と逮捕——次第にすれ違っていく二人の距離…..。
フェデリカの家に向かった二人。ラモンはフェデリカに気に入られ部屋に連れていかれる。そこでラモンはフェデリカから演技の勉強をすすめられ、テレビ出演の機会を得ることになるのだった。そんなラモンを見て、カルリートスは面白くなかった。その後、二人はバーへと戻った。すると、カルリートスは店の奥で寝ていた二人の店員を何の躊躇もなく射殺するのだった。
数日後、ラモンはテレビ出演を果たす。上機嫌でホテルに戻ってきたラモンだったが、裏社会に通じているラモンの両親からは不評だった。ラモンのことを心から応援する気にはなれないカルリートスだったが、ラモンの前ではテレビ出演に理解を示す素振りをするのだった。
ある日、ラモンの運転する車が検閲に引っかかってしまう。ラモンは身分証を忘れたため、警察に連行されてしまうことに。カルリートスは署長を買収するため金を取りに家に帰宅し、再び署に戻るが、嫌な予感を感じラモンを見捨ててその場を去ってしまうのだった。その後、行き場を失ったカルリートスは、実家に戻ることに。何事もなかったかのように夕食を食べる息子に、母は優しく抱きしめるのだった。そして、三人で旅行に行くことを提案すると、カルリートスは大金の入ったカバンを差し出す。驚きを隠せない父エクターは、そのカバンを自宅の庭に埋めることにしたのだった。
【あらすじ④】ラモンの釈放と、ミゲルの出現——激しい嫉妬に狂うカルリートスの取った驚愕の行動とは!?
保釈されたラモンに、カルリートスは悪びれる様子もなく「罠に気づいたんだ」と言った。しかし、ラモンには留置所で出会った新しい相棒のミゲルがいた。なんとか、ラモンとミゲルと一緒にコンビを組むことになったカルリートス。しかし、ミゲルからラモンの保釈金を払ったのがフェデリカで、ラモンは盗みをやめてフェデリカとパリへ行くと約束していることを聞かされ、心がかき乱されるのだった。
三人は、牛乳の輸送車を強盗することにした。最初は傍観していただけだったカルリートスだったが、輸送車の運転手が銃をこちらに向けてきた瞬間、彼に何発も発砲するのだった。予想外の事態に、ホセとアナはカルリートスに証拠隠滅のため車を燃やすよう冷たく指示し、ラモン一家は引っ越すのだった。
後日、ラモンを助手席にのせて車を走らせていたカルリートスは、故意に衝突事故を起こし、ラモンを帰らぬ人にしてしまった。カルリートスも大けがを負ったものの生き延び、ミゲルとコンビを組むことにするのだった。
【あらすじ⑤】ラモンを失ったカルリートス。ついに警察の手が彼に忍び寄る…….
カルリートスとミゲルは、かつてラモンと侵入した宝石店へ押し入る。カルリートスはうたた寝をしていた警備員を射殺すると、店の奥にあった金庫をバーナーで焼き始める。数分後、ようやく空いた金庫だったが中身は空っぽだった。居眠りをしていたミゲルは、カルリートスが札束を一人占めしたのではないかと疑う。そのことに激怒したカルリートスは、ミゲルを銃殺した後、バーナーで彼の顔を炙るのだった。
翌日、ミゲルと警備員の殺害が公となり、カルリートスは逮捕される。彼は11の殺人と、40以上の強盗を自白したのだった。当時、凶悪な犯罪の数々がロンブローゾの犯人説によるものだったのに対し、カルリートスのブロンドのカールがかった髪や大きな瞳、柔らかな唇は、まるで天使のようだった。この容姿は、ロンブローゾの説を覆すものであり、世間から「黒い天使」「死の天使」などと呼ばれ、国中の話題となった。
捕まってもなお悪びれる様子のないカルリートスは、わざとスプーンを飲み手術に持ち込み、看守の目を盗んで脱走を図る。逃げる汽車の中で、彼は大粒の涙を流すのだった……。
彼は空き家になったラモンの家に行きつく。ラモンのベッドで眠ったカルリートスは、翌朝実家に電話をする。電話に出た母の様子がおかしいことを感じながらも、「会いたい」と伝えるのだった。ラモンの家に残されたラジオをつけると、そこからは以前窃盗に入ったことのある豪邸にあったレコードの曲だった。リズムに合わせ何事もないかのように踊りだすカルリートス。家の周りには大勢の武装警官が囲んでいた……。
映画『永遠に僕のもの』キャスト紹介|映画初出演にして主演!
カルリートス / ロレンソ・フェロ
カルリートスはブロンドの巻き毛、吸い込まれるような大きな瞳、艶やかで柔らかな唇、陶器のような白い肌、まるで天使のような容姿を持った17歳。傲慢で、マイペース、無邪気で怖いもの知らずな性格、まるでダンスを踊るかのように、息をするかのように、欲しいものを手に入れ、邪魔をする者は殺していきます。
その容姿から、「黒い天使」や「死の天使」などと世間から呼ばれていきました。
そんなカルリートスを演じるのは、アルゼンチン出身の俳優ロレンソ・フェロです。本作が映画初主演作となるロレンソでしたが、妖艶な容姿と圧倒的な演技力で人々を魅了し、ハバナ映画祭の主演男優賞を始め、数々の映画祭で賞を受賞しています。
「南米のディカプリオ」や「アルゼンチン版ティモシーシャラメ」と呼ばれているロレンソは、俳優だけでなくKiddo Totoという名でラッパーとしても活躍しています。新曲「Two 1 Two」ではPVを日本で撮影するなど、大の日本好きの様子もうかがえます。
ラモン / チノ・ダリン
妖艶な美しさを持つカルリートスとは反対に、ラモンは荒々しくワイルドで、男らしい性格です。ラモンの父が裏社会に通じる人間のため、ラモンも次第に犯罪に手を染めていきますが、本当は俳優になるのが夢です。美しい容姿と悪びれる様子もなく犯罪を犯すカルリートスのギャップに次第に惹かれ、行動をともにしていきます。
ラモンを演じるチノ・ダリンは、アルゼンチン出身の二世俳優です。『ブエノスアイレス殺人事件』や『嵐の中で』、Netflixオリジナル作品の『熱力学の法則』などに出演しています。父はアルゼンチン出身の俳優のリカルド・ダリンで、2016年にはスペイン出身の女優のウルスラ・コルベロと結婚しました。
ホセ / ダニエル・ファネゴ
ホセは、ラモンの父で、裏社会に通じている前科者です。カルリートスとラモンに盗みを持ちかけ、カルリートスの猟奇的な犯罪者の面を引き出してしまった人物ともいえるでしょう。銃砲店に強盗に入ったときから、カルリートスに危険性を感じていました。
ホセを演じたダニエル・ファネゴは、アルゼンチン出身の俳優です。2012年に公開された『偽りの人生』でアルゼンチン映画芸術科学アカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど、アルゼンチンでの映画祭では何度か受賞歴のある名俳優です。
ミゲル / ピーター・ランサーニ
ミゲルはラモンが留置所で出会った新しい相棒です。ラモンとカルリートスと三人で盗みを働いていきますが、ラモンには賞金の分配方法に不満があり、ラモンが死んだあとは、カルリートスと相棒を組み行動していきます。
ミゲルを演じたピーター・ランサーニは、アルゼンチン出身の俳優で、『ゲット・アライブ』や『4×4 殺人四駆』などに出演しています。2015年にはパブロ・トラベロ監督の『エル・クラン』でアルゼンチン映画芸術科学アカデミー賞の新人男優賞を受賞するなど、アルゼンチンを中心に活躍しています。
オーロラ / セシリア・ロス
オーロラはカルリートスの母親です。カルリートスが何度もの盗みをしているのを知りながらも、いつかまともになってくれると信じ、カルリートスを常に優しく温かく包み込んでいます。
オーロラを演じるのは、アルゼンチン出身で、現在はスペインで活躍する女優のセシリア・ロスです。本作の脚本家であるペドロ・アルモドバルの監督作品の常連で、『セクシリア』や『トーク・トゥ・ハー』『アイム・ソ・エキサイテッド!』などに出演しています。アルモドバル監督作品の『オール・アバウト・マイ・マザー』ではヨーロッパ映画賞女優賞を受賞されています。
映画『永遠に僕のもの』3つの見どころ
みどころその①:思わず引き込まれる凶悪犯カルリートスの魅力
本作の主人公であるカルリートスは、その美しい容姿に反して、次々と強盗や殺人を繰り返してきました。しかし、カルリートス自身は自分が何をしているか理解しておらず、罪の概念を持っていません。ただ感じるままに、ダンスを踊るように優雅に、息をするかのように自然に犯罪を重ねていきます。
それが感じられるのが宝石店でのシーンです。計画通りに強盗を進めたいラモンとは正反対に、カルリートスは宝石店のイヤリングを身に着け、強盗を楽しんでいました。そう、カルリートスにとって強盗は楽しむものでしかありません。だから、ミゲルと再び宝石店に侵入し金庫をこじ開けたとき、中身がなくても彼は「なーんだ、そんなものか」程度の反応しかしません。
ミゲルは大金目当てだったので激怒しますが、強盗が娯楽程度のカルリートスにとって大金が手に入るかどうかは重要ではなかったのです。
美しい容姿を持った凶悪犯罪者のカルリートスですが、ワイルドで荒々しい典型的な犯罪者ではなく、何を考えているのか分からない不思議に包まれている人物だからこそ、観客もシーンが進んでいくごとにその魅力に引き込まれていくのではないでしょうか?
みどころその②:カルリートスとラモンの関係|ラモンはなぜ死んだのか?
カルリートスとラモンはお互いに惹かれあって、コンビとして犯罪を重ねていきます。しかし、彼らは一般的な恋愛関係にあったのかといわれるとそうではありません。少なくとも、ラモンはカルリートスのことを相棒としか見ていなかったのではないでしょうか。
例えば、宝石店でのシーン。鏡越しに銃を構える二人を見て、ラモンは「ゲバラとカストロ」と革命家の名前を出し、自分たちを泥棒のコンビと例えます。一方のカルリートスは「エビータとペロン」とアルゼンチンの大統領夫妻の名前を出します。
ラモンへの愛の告白とも取れる台詞ですが、残念ながらラモンには通じませんでした。このように、カルリートスは出会った時からラモンに恋愛的な魅力を感じていたのではないでしょうか。
俳優になろうとしたり、ミゲルと新しいコンビを組んだり、フェデリカとパリへ行こうとするラモンに、激しい嫉妬を抱いたカルリートスは、ラモンが自分の元から離れてしまう前に、故意に衝突事故を起こして彼を帰らぬ人にしてしまうのでした。
本作の題名でもある『永遠に僕のもの』は、カルリートスからラモンに向けた盛大で嫉妬に狂った愛のメッセージと取ることもできます。
みどころその③:劇中を飾るロックミュージックとダンス
劇中で、カルリートスは3回ダンスシーンがあります。
1回目は、物語の冒頭、ためらいもなく豪邸に侵入し酒を飲みながら、レコードをかけて踊り始めるシーン。観客はその異様さに圧倒されます。強盗に入っているのに焦る様子もなく、当たり前のように踊っているのですから。
このシーンで「踊るように犯罪をする」というカルリートスのキャラクター性を強烈に伝えています。
2回目は、カルリートスがテレビショーでラモンと一緒にダンスをするという妄想のシーンです。ここでも明るいダンスナンバーが流れ、ただ無邪気に楽しむカルリートスが描かれます。
3回目は、引っ越ししたラモン一家の空き家です。母に助けを求めたカルリートスが、ふいにラジオから流れた曲に合わせてダンスを始めます。
このラジオから流れてくる曲は、アルゼンチンの人気バンド、ラ・ホベン・グアルディアの「El Extrano De Pelo Largo」。実はこの曲はカルリートスが豪邸でダンスをするシーンと同じ曲なのですが、カルリートスの状況が全く違います。相棒を失い、両親からも裏切られ、絶望の淵で踊り狂うその様子は美しくも異様です。
まとめ
以上、『永遠に僕のもの』の見どころやあらすじをネタバレありでご紹介してきました。本作は、天使の容姿を持った凶悪犯罪者を描いたクライムムービーである一方で、カルリートスからラモンへ向けた恋愛映画とも取れます。
新星ロレンソ・フェロの魅力にはまってしまった方や、美少年が大好きな方、ロブレド・プッチ事件が気になる方など沢山の方に楽しんでいただける映画となっております。圧倒的な映像美に、ロレンソ・フェロの妖艶な魅力是非みなさまもご覧になってみてください。
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