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映画『ほんとうのピノッキオ』あらすじネタバレ解説|本作が社会風刺と言われる理由は?

たかなし亜妖

 

キー多くの人々が知っているピノキオとは、ディズニーが手掛けるアニメーション作品のことを指すでしょう。カラフルで愛らしいキャラクターの世界観がとても魅力に感じますよね。

けれども“ピノキオ”ではなく“ピノッキオ”。そして原作に忠実な「真のピノッキオ」を描いた実写映画がスクリーンへ登場。その名も『ほんとうのピノッキオ』です。

色鮮やかなイメージとは大きく異なり、どこか不気味で妖しげなダークファンタジー。ただ可愛らしい、ただメルヘンなだけではなく、風刺的な面もはらんだストーリーは必見ですよ。

映像も目を惹く美しさで、あっという間に本作の虜になってしまうかもしれません。

果たして“ほんとうの”ピノッキオはどんなストーリーを抱えているのでしょうか?本記事はネタバレを含みながら解説していきますので、未鑑賞の方はご注意ください。

映画『ほんとうのピノッキオ』について

2019年12月にイタリアで公開された『ほんとうのピノッキオ』。公開直後に大ヒットを飛ばし、興行収入は1500万ユーロ(※日本円で約19億円!※)を記録しました。

2019年~2020年で公開された作品の中でも良く、興行成績ランキングでは6位。瞬く間に話題となり、アメリカや日本の劇場にも上陸する運びとなったそう。

作品の完成度が高いことで知られ、第93回アカデミー賞では2部門にノーミネート。ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では15部門ノミネート→うち5部門受賞、など、様々な賞レースで好成績をおさめました。

内容だけでなくメイクアップアーティストのマーク・クーリエが手掛ける特殊メイクも、高い評価を受けている理由の一つです。

監督はマッテオ・ガローネ。イタリアでは賞レースの常連的監督で、『ゴモラ』、『ドッグマン』でよく知られる人物です。本作は念願かなっての制作だったそうで、彼が6歳の頃からすでに構成があったとか。

この思い入れの強さも、素晴らしい映画を輩出できた秘訣ではないでしょうか?

10秒で分かる!映画『ほんとうのピノッキオ』の簡単なあらすじ

出典:Happinet phantom公式YouTubeチャンネル

貧しい生活を送る木工職人のジェッペット(ロベルト・ベニーニ)は街にやってきた人形劇の影響で、一体の人形を創り上げようとします。

サクランボ親方(パオロ・グラジオッシ)から立派な木を譲り受け、美しい人形を造形。“ピノッキオ(フェデリコ・エラピ)”と名付けると、動かないはずの彼から心臓の鼓動が聞こえ……。ピノッキオは人間同様に動き出しました。

実はこの木、不気味にも譲る前から動いていたもの。サクランボ親方は怖くなり、腰を抜かしたからこそジェッペットへ引き渡したのです。

「息子ができた」と喜ぶジェッペット。教えずとも最初から知識が備わっていたピノッキオですが、やんちゃが過ぎて様々なことに巻き込まれてしまいます。

人の言いつけを守れず、自由奔放なピノッキオ。徐々に「人間になりたい」と思い始めるのですが、その願いは叶うのでしょうか。

映画『ほんとうのピノッキオ』のネタバレあらすじ

【あらすじ①】謎の丸太

ほんとうのピノッキオ
出典:映画『ほんとうのピノッキオ』公式サイト

木工職人のジェッペット(ロベルト・ベニーニ)は、食事もままならないほど困窮していた。食堂へ行ってもお金が払えず、店主の同情を買って食べ物を恵んでもらう日々。

そんな生活をしていると町には派手な人形劇が。呼び込みの男性の言うことも聞かず、車の中を覗いてみると……美しい人形がズラリ。この感動が忘れられず、ジェッペットは「私も人形が造りたい」と思い始めるのだった。

一方でサクランボ親方(パオロ・グラジオッシ)は仕事をしていると、手に取った1本の丸太がひとりでに動いていることに気づく。

腰を抜かして怯えているところへ、ちょうどジェッペットが登場。「創作のための木が欲しいのだが」と交渉へやってきたのだ。

丸太の存在を恐ろしく感じた親方、見事な木だがそれを彼へ譲渡。何も知らぬジェッペットは質の良いものが手に入ったことへ大喜びし、早速創作活動に励む。

【あらすじ②】問題児・ピノッキオの誕生

ほんとうのピノッキオ
出典:映画『ほんとうのピノッキオ』公式Twitter

創作途中から丸太より心臓の鼓動が聞こえ、不思議に思うジェッペット。美しい人形が完成し、ダメ元で「パパだよ。パパと言ってごらん」と話し掛けた。

すると「パパ」と予想外の返事があり……。魂の宿った木の人形、ピノッキオ(フェデリコ・エラピ)が誕生。ジェッペットは息子ができたと喜び、2人の生活がスタートしていく。

……と思ったのも束の間。ピノッキオはすぐに歩き方を覚え、一目散に外へ走り出してしまった。ようやくジェッペットが姿を見つけると、今度は暖炉に足を突っ込んで足を燃やしてしまうピノッキオ。非常に手がかかる存在なことは間違いない。

ピノッキオはとても攻撃的な子供だった。コオロギ(ダヴィデ・マロッタ)の忠告にも耳を貸さず、父の言いつけも守れない状態だ。

「学校へ行きなさい」と見送られても、人形劇が気になって学校を抜け出す始末。これが後ほど、悲劇を招くことさえ知らず……。

【あらすじ③】ピノッキオの冒険

ほんとうのピノッキオ
出典:映画『ほんとうのピノッキオ』公式サイト

ジェッペットが衣類を売ってまで買った教科書を引き渡し、ピノッキオは人形劇を鑑賞していた。すると彼の存在が座長の目に留まり、糸がついていないのに動いている点に興味を持たれてしまった。

ピノッキオは一度捕らわれるも「パパのところへ返して」と懇願。その素直な想いに感動した座長は、金貨5枚を手渡してピノッキオを解放した。

再び自由の身になるも、人形劇の車は町から遠く離れた場所へと移動している。1人になって困り果てている途中、キツネ(マッシモ・チェッケリーニ)とネコ(ロッコ・パパレオ)と出会った。

ピノッキオが金貨5枚を所持していることを知ると、2人は「金貨をとある場所に埋めると倍になる」と嘘をつき、お金をだまし取ろうとする。

コオロギの忠告もまた無視し、まんまと罠にハメられるピノッキオ。顔を隠した強盗(正体はキツネとネコ)に襲われ、絶体絶命の危機に。しかし運よく妖精(アリーダ・バルダリ・カラブリア)に助けられ、心優しきカタツムリ(マリア・ピア・ティモ)としばらく洋館で過ごすことに。

【あらすじ④】「人間になりたい」

ほんとうのピノッキオ
出典:映画『ほんとうのピノッキオ』公式Twitter

ウソをつくとピノッキオの鼻は無意識に伸びてしまう。妖精らと別れたとはキツネとネコと再会し、遂に金貨を全部騙し取られてしまった。

途方に暮れていると別れたばかりの妖精が助けてくれる。彼女達と暮らすうちにピノッキオは人間になりたい気持ちが湧いてくるのだが、「人間になるにはいい子になることが前提」と告げられる。

彼女達と暮らすうちに、ワガママで言うことのきけないピノッキオの性格に変化が訪れていた。

きちんと学校に通って勉強し、友達もできた。先生から褒められるほど成長していったが、ここでまたも彼の悪い癖が出てしまう。

同級生が「馬車に乗って楽しい町へ行く」ことを決めたらしく、ピノッキオはまんまとその話に乗ってしまった。行き先は確かに楽園のような場所だったが、これまた大人の悪い罠。

やってきた子供たちはロバに変えられ、曲芸師に売り飛ばされる。もちろんピノッキオも売られるが、運よく元の姿へ戻ることに成功。そしてジェッペットのところへ帰ろうとするのだが……。

【あらすじ⑤】感動の再会

ほんとうのピノッキオ
出典:映画『ほんとうのピノッキオ』公式Twitter

ジェッペットはピノッキオを探しに行ったまま、もう長いこと戻っていないらしい。「海に向かって行った」、その情報だけを頼りにピノッキオも走り出す。

だが海を泳いでいるとサメに食われてしまう。中には捕らわれた諦めモードのマグロと、予想外にもジェッペットがいた。外への脱出は無理だと弱気になるジェッペットに「大丈夫、僕を信じて」と言うピノッキオ。見事に脱出し、マグロのおかげで町へ辿り着くことができた。

ピノッキオはジェッペットを支えるために働き出し、どんどん“いい子”へ変わっていった。キツネとネコと三度目の再会を果たすが、彼はもう騙されない。

その様子を遠目で見守っていた妖精は、成長を認めてピノッキオを人間の子供へと変身させる。目が覚めると木の人形ではなくなっており、微笑ましい“親子”は抱き合って喜ぶのだった。

映画『ほんとうのピノッキオ』の登場人物・キャスト

ジェッペット/ロベルト・ベニーニ

ほんとうのピノッキオ
出典:映画『ほんとうのピノッキオ』公式Twitter

貧しい暮らしをしながらも、ピノッキオが誕生したことに大喜び。本当の子供のように可愛がり、ピノッキオへとても深い愛情を注ぎました。

2人の関係性は素晴らしく、最終的には本物の親子へ。「ジェッペットじいさん」と呼ばれる人物ですが、想像していたより少し若々しい気もします(笑)

ジェッペットを演じるのはロベルト・ベニーニ。2002年に公開された『ピノッキオ』では主演・監督・脚本を務めていたんですよ!約20年近くの時を経て、ふたたびおとぎ話の世界へと触れることとなりました。

ピノッキオ/フェデリコ・エラピ

ほんとうのピノッキオ
出典:映画『ほんとうのピノッキオ』公式Twitter

純真無垢だけど世間知らず、“人間の子供”からは程遠かったピノッキオ。大冒険を経て成長し、その頑張りが妖精に認められます。何度転んでも立ち上がり、進む姿勢にはホロリとさせられるものがありました。

少々やんちゃですが、何も知らないがゆえの素直さが可愛らしいキャラクター。人間へと生まれ変わった後は、ジェッペットと幸せな日々を過ごしたのでしょう。

ピノッキオを演じるのは子役のフェデリコ・エラピ。お顔はCGでなく特殊メイクであり、毎回完成には4時間もかかったとか!抜群の演技力で観客を魅力、今後の活躍がとても楽しみですね。

映画『ほんとうのピノッキオ』の原作『ピノッキオの冒険』について

ほんとうのピノッキオ
出典:Amazon.com

『ピノッキオの冒険』のストーリーは映画と同じ?

原作小説『ピノッキオの冒険』は『ほんとうのピノッキオ』とストーリーの流れが同じです。登場する人物も一緒なので原作ファンにはたまらない仕上がりですが、過激な表現は一部修正が加えられているのだそう。

例えば度々ピノッキオへ忠告を促すコオロギ。「脳みそも木で出来ているな!」と言われ、イライラしたピノッキオは勢い余ってハンマーを投げつけていましたね。

このシーンだけでもちょっと衝撃を受けましたが、原作ではなんと腹が立った矢先にコオロギを殺してしまうんです……!

またキツネとネコに吊るされた際に一度死ぬなど、大人でもビックリするようなシーンが(笑)映画ではそんな部分を変え、新しいかたちの『ピノッキオ』として楽しめるよう作られました。

原作を読んでいてなくても『ほんとうのピノッキオ』は楽しめるのか?

元ネタがある作品だと、ついつい原作を読んでいないとキツいかな?と思ってしまいがち。

『ほんとうのピノッキオ』に関してはピノッキオへの知識ゼロでも楽しめますし、きちんと理解できるストーリーとなっています。そのため初見さんお断りといった感じの映画ではないでしょう。安心して鑑賞できるはずです。

しかし多数の個性派すぎる登場人物、“冒険”ということでコロコロと切り替わるシーン、展開の唐突さには違和感を覚えてしまう可能性が。

原作を知っていれば「まぁこういう流れだしな」と飲みこめるのですが、全く知らないと「ん?」と引っかかる場面がいくつか出てくるかもしれません。

あくまでファンタジーの世界であるため、木の人形が普通に学校へ通っていたり、当たり前に妖精や不思議な人々がわんさか出てくるのです。あまりその部分が受け入れられない人にとっては、正直なところ呑み込みが苦しい映画かも。

とは言え作品の完成度は高いですし、原作に忠実な点は本当にパーフェクト。ぜひ多くの方に観ていただきたいと思います!

映画『ほんとうのピノッキオ』にまつわる解説

ほんとうのピノッキオ
出典:映画『ほんとうのピノッキオ』公式Twitter

ピノッキオが何度も騙されてしまうのはなぜ?

何度も騙されてイタイ目に遭うピノッキオ。いくら子供といえど「いい加減学習して!」と思った人も一定数いるのではないでしょうか。

純真無垢で超がつくほど素直、器用になんでもこなす一面があるのに、少々脇が甘かったですよね。

この理由はやっぱり、「ピノッキオが人形だから」という部分に尽きます。冒頭でコオロギが「脳みそまで木だ」と嫌味を言っていましたが、結局はそういうこと。生活の基本は難なくこなせても、ピノッキオは人間同様深く考えることができません。

嫌なものは嫌と真っ向から突っぱね、言われたことをすぐ従ってしまう。彼が成長しきるまでは、じっくり考えて行動する様子がまるでありませんでした。

後半になるにつれて「勉強をしなくちゃ」「働かないとお金はもらえない」「騙されない」といった“考える”ことができるようになっていましたね。

ちょっとしたコオロギの一言が、ピノッキオの言動全てを現わすキーポイントとなっていたのです。

本作が社会風刺と言われる理由

『ピノッキオの冒険』そのものが社会風刺と言われており、『ほんとうのピノッキオ』も原作に忠実ですからね。ただ美しいだけのダークファンタジー映画でないことは、みなさんもよく分かったかと思います。

「うまいこと世の中を皮肉っているな~」と思うポイントは多々ありますが、中でもキツネとネコの存在は大きいでしょう。

彼らは足や目に障害があり、ハンディキャップを負っているキャラクターです。一般的な感覚なら、「そういった人々には優しくしよう」と誰もが考えるはず。

しかし彼らは立派な悪人、そこを疑いもせず飛び込んだピノッキオは酷い目に遭いました。この要素はかなりパンチが強く、筆者は非常に何とも言えない気持ちになってしまったのです。

また貧しくて食べ物さえままならないことや、お金を取られても有罪扱いにはならないシーンなど可愛らしい雰囲気だけで終わらせていないのが◎社会風刺的な表現はこの映画のジャンルだからこそより目立つ、といって良いかもしれません。

映画『ほんとうのピノッキオ』の見どころ

ほんとうのピノッキオ
出典:映画『ほんとうのピノッキオ』公式Twitter

本作の見どころはやはり“ピノッキオの成長”!

言うこともきけずわがまま放題、それがマズイ事態を招くことを学び、精神的なステップアップを歩んでいく姿には必ず感動するでしょう。まるで自分の子供を見守っているような、不思議な感覚へ陥ります。

「人を疑わないとどうなるか」「考えないことはどうなるか」の恐ろしさを教えてくれる物語でもありますね。きっとピノッキオのような失敗は、どんな人間でもしたことがあるはず。

失敗をすることが悪いのではなく、その後どうするのか?を、ピノッキオが私たちへと教えてくれますよ。社会風刺や教訓らしい要素も含み、納得させられる仕上がりです。

また映像美も注目ポイントの一つで、ちょっぴりダークで妖しげな雰囲気が漂っているのも魅力的。良い意味で不気味な暗さを演出しているため、どんどん世界観へと惹きこまれてしまいます。まさに“大人のためのファンタジー”とはこのことですね。

まとめ

大きな話題を集めた『ほんとうのピノッキオ』の魅力について紹介してきました。

この世界観の独特さ、映像の美しさ、そして特殊メイクの完成度など、ぜひ実際に見て確認し、楽しんでほしいですね。

摩訶不思議なピノッキオの世界に迷い込んでみてください。きっとあなたの心に響くものが必ずあるはずです。

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この記事を書いた人
たかなし亜妖
たかなし亜妖

フリーライター&シナリオライターの映画好きサブカル女子。ライター歴は一年半くらいでまだまだひよっこ。 「感動よりも恐怖を、お涙よりもスリルを!」を基準に映画を選ぶ人。ホラー、スリラーサスペンス、鬱になりそうな作品が特に好き。でもハッピーな気分になれる海外ドラマも好き。キャラクターものもアニメも好き。要するにかなりの雑食です。