【映画ネタバレ】『ヴァチカンのエクソシスト』はワクワクが止まらない刺激たっぷりのオカルトホラー!
エクソシストといえば、多くの人が70年代の映画『エクソシスト』を思い出すでしょう。
恐ろしき悪魔の強襲に衝撃のラスト、ホラー界を代表する有名作品として現在も根強い人気を誇ります。
『ヴァチカンのエクソシスト』も題材である悪魔祓いは同じですが、「どうせエクソシストと似てるんでしょ?」と疑って、鑑賞を遠ざけてしまうのは損!
なぜなら本作は王道のオカルト映画ながら、観る者全てを飽きさせないワクワクの展開、そして悪魔との対決がとても刺激的だからです。
ホラーファンにもたまらない演出に加え、謎解き要素もバッチリ。今までのエクソシストへの概念を変えるような作品、それが『ヴァチカンのエクソシスト』!
見どころや実在したアモルト神父についても触れていきますので、ぜひ本作の世界観を楽しんでいただきたく思います。
目次
映画『ヴァチカンのエクソシスト』について
本作の主人公であるアモルト神父は実在した人物。
ローマ教区の悪魔祓い師として活躍。のちに他の神父5名で国際エクソシスト教会を立ち上げるなど国際的に知名度が高く、数多くの著書を出版しています。
本映画は著書「エクソシストは語る」を基に制作されました。彼は生涯数万回の悪魔祓いを行ったそうですから、作中の出来事はあくまでその中の一つに過ぎません。
アメリカでは公開後瞬く間に話題を呼び、興行収入は日本円で約69億円に着地。製作費は約24億円のため大成功を収めました。
監督はジュリアス・エイヴァリー氏。オーストラリアの監督兼脚本家として活躍中。
スリラーやホラー、アクションまで幅広く手掛け、代表作は『ガンズ&ゴールド』や『オーヴァーロード』、『サマリタン』です。
10秒で分かる!映画『ヴァチカンのエクソシスト』の簡単なあらすじ
ガブリエーレ・アモルト(ラッセル・クロウ)は数々の悪魔祓いをこなしてきた優秀な神父。
ある日、ローマ教皇から依頼を受け変わり果てた姿の少年・ヘンリー(ピーター・デソウザ=フェイオニー)の元へ。
ヘンリーに近づくと、ただの病気ではなく悪魔に憑依されていることがわかりました。けれども奴は、誰も知り得ないであろうアモルト神父の過去を知っているのです。
ただの悪魔ではないことを確信した神父は若き司祭のトマース(ダニエル・ソヴァット)と共に、少年とその家族を救うために動きます。
すると中世ヨーロッパで起きた痛ましい過去が炙り出されていき……。
映画『ヴァチカンのエクソシスト』のネタバレあらすじ
以下はネタバレを含みますので未鑑賞の方はご注意ください。
【あらすじ①】エクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父
1984年、イタリアのトロペアにてガブリエーレ・アモルト神父(ラッセル・クロウ)は悪魔祓いのためにある一家を訪ねる。
悪魔に取り憑かれた長男を前にエクソシズムを開始するアモルト。悪魔は抵抗し連れてきた黒豚に憑依するが、豚を殺して同時に悪魔を始末した。
時は過ぎ、1987年ローマにて。アモルトは許可なくエクソシズムを行ったとして枢機卿から詰められてしまう。
彼は「以来の98%は儀式の要らぬもの。原因は悪魔以外のものだが残りの2%は違う」と主張。なので今回審議にかけられている件は前者だと説明しても、納得がいかない枢機卿の面々。
アモルトは動じることなく「文句があるならボスのローマ教皇に直接言え」と言い残し、その場を去った。
のちにローマ教皇からスペインのある修道院へ向かってほしいとの依頼が。この修道院はかつて問題を起こしていたことから、注意するようにと忠告をされていたのだ。
【あらすじ②】少年に取り憑いた屈強な悪魔
一方でシングルマザーのジュリア(アレクサンドラ・エッソー)は娘エイミー(ローレル・マースデン)と息子ヘンリー(ピーター・デソウザ=フェイオニー)を養うために、いわくつきである修道院の修復の仕事を行っていた。
だが地下でガス爆発が起こり、作業員たちは早々に撤収。挙句の果てにはヘンリーの様子が急変し、発作や自傷行為が目立つようになる。
病院へ連れていっても異常なし。困惑しているとヘンリーは今までにない顔つきと声色で「神父を連れてこい」と主張。
ジュリアは担当のトマース神父(ダニエル・ソヴァット)を部屋に入れるが、「お前じゃない!」と怒ったヘンリーは物凄い勢いで神父を突き飛ばした。
そこで派遣を依頼されたのがアモルト。
ヘンリーの部屋に入り、彼と対話すると明らかに様子がおかしい。悪魔祓いには悪魔の名が必要不可欠だが、彼に取り憑いた“ヤツ”は簡単に名乗ろうとはしないのだ。
アモルトの痛ましい過去を見事に当て、幻覚まで見せる屈強な悪魔……。一筋縄ではいかぬことを確信した神父は家族に事情を聞き、本格的なエクソシズムの準備を始める。
【あらすじ③】修道院のカタコンベ
ヘンリーは父親が亡くなった事故現場に居合わせており、そこから一切口がきけなくなった。
ジュリアも成長と共に「祈り」を忘れ、それが悪魔に付け込まれた原因である点を説明。アモルトが彼らにお願いすることはただ一つ、「祈ること」だ。
トマース神父はエクソシズムの訓練を受けていないが、基本中の基本はなんとなく理解していたため、助手として今回の事件に加担する。
だが悪魔の力は強力で口が非常に達者。それぞれの弱み(過去の罪)を言い当て、挑発に乗ったトマース、幻覚を見せられたアモルトによって悪魔祓いは失敗。部屋をあとにした。
今までの悪魔とは異なり、力が強いことに対し疑問を持ったアモルトはこの修道院の秘密を調べることとなる。
庭の井戸の蓋を開けると、カタコンベ(共同地下墓所のこと)が登場。悪魔の脅威がより強まる中、アモルトとトマースはさらに謎を調査すべく地下室へと向かった。
【あらすじ④】修道院に隠された秘密
地下には隠し部屋があり、数々の遺体が眠っていた。
一つだけ檻の中に閉じ込められた遺体が部屋の真ん中に置かれ、エクソシズムに失敗をするとその人自身を守るために檻の中へ入れると言う。
この場所ではかつて異端審問が行われており、凶悪なサタンが修道院を乗っ取ってしまったのだ。教会は痛ましい過去を隠蔽するべく地下室に遺体を隠し、封印したということ……。
ヘンリーに憑依した悪魔の名はアスモデウス。ヤツはアモルトを利用し、ヴァチカンを内部から破壊するのが狙いだった。
エクソシズムを行う上で悪魔の名を唱えれば、彼らの力は弱まるもの。再びヘンリーの部屋へ向かい、神父と家族が揃ってアスモデウスへ立ち向かう。
【あらすじ⑤】バディの誕生
アスモデウスの力は強力で2人の神父を前にしてもまだなお抵抗を続ける。あまりの勢いにトマースは気絶。エイミーにも取り憑き、ジュリアを殺そうと襲い掛かった。
このままでは全滅し、家族を救えないことを危惧したアモルトは自分に悪魔が取り憑くように誘導。
見事に家族は正気を取り戻し、車で修道院から離れることに成功したがアモルトの中にアスモデウスが宿ってしまう。
自我を失う前に自殺を図るアモルトだが、悪魔の力で簡単に死なせてはもらえない。地下室へと向かい、家族を見送ったあとに神父の後ろを追いかけるトマース。
アモルトはアスモデウスの玉座に腰を掛けた。その姿を前に覚えたラテン語で祈りを唱えるトマース。力が弱まったところでアモルトと力を合わせ、アスモデウスを地獄へ葬った。
無事に事件を解決した2人は後日、ローマの資料館へと招待される。世界中には悪魔が多数封印されている場所があり、エクソシズムを行ってほしいと言われるのだ。
「1人では無理だが2人なら」と答えるアモルトは、隣にいるトマースの顔を見る。もちろんトマースは「どこまでもお供します」と返事し、新たなバディが誕生するのだった。
映画『ヴァチカンのエクソシスト』の登場人物・キャスト
個性的な神父アモルトと初々しい新米神父のトマース。最終的には素晴らしきバディを組むのですが、お互い良い意味で正反対かも?
物語の中心となる2人をピックアップして紹介しますよ!
ガブリエーレ・アモルト/ラッセル・クロウ
ローマ教皇に使える偉大な神父様と聞けば、少し近寄り難い存在に思えるかもしれません。
しかしアモルト神父は親しみやすく、時折冗談を口にするなどなかなかファニーなキャラクター!仕事中の真剣さとプライベートのお茶目さのギャップについつい魅力を感じてしまう人物です。
実際のアモルト神父は肺疾患で91歳の時にこの世を去りました。彼は生涯、なんと7万回ものエクソシズムを行い、悪魔と戦ってきたのです。
数多くの本を執筆しているものの、日本語訳された作品は本映画の元ネタとなった「エクソシストは語る」のみ。
世界中ではアモルトの著書が非常に有名だからこそ、わが国でもさらに広がれば良いのですが。
パワフルなアモルトを演じるのはラッセル・クロウ。ベテラン俳優ながら『ヴァチカンのエクソシスト』が初のホラー映画出演なんだとか。
『ディバイナー 戦禍に光を求めて』では初めて監督を務め、俳優、脚本家などマルチに活動中です。
トマース・エスキベル/ダニエル・ソヴァット
初々しい新米神父のトマース。作中では少々頼りない姿を見せ、悪魔の挑発に乗るなどなかなかのやらかしぶりでしたが(笑)悪魔との戦いで急成長!
慣れないラテン語を覚え、アモルト神父を救出。彼の右腕として世界中を飛び回ることとなりました。
実在した人物ではないようですが、国際エクソシスト教会は5名によって発足されたため、その中の1人がモデルになっているのかもしれません。
トマースを演じるのはダニエル・ソヴァット。
2012年から活動をスタートさせ『ビニース』、『イット・フォローズ』や『ドント・プリーズ』などホラー作品の出演が多め。映画、テレビドラマ、バラエティなど幅広く活躍されています。
映画『ヴァチカンのエクソシスト』を観る上での豆知識
日本人にとって宗教や悪魔はあまり親しみがないものですから、唐突に言われても「?」となる要素が出てくるかもしれません。
本作を鑑賞する前に前知識を入れておくとより理解度が深まりますよ。
悪魔祓い(エクソシズム)とは何なのか
悪魔祓い(エクソシズム)とは祈祷や儀式によって悪魔や悪霊などを追い払う行為です。ただ宗教や民族進行において名称や方法や考え方は大幅に異なるのだそう。
本作はキリスト教に基づいて悪魔祓いが行われていますが、こちらも教派によって扱いや専門用語に違いが見られます。
ちなみに作中で「エクソシズムに悪魔の名前が必要」とアモルト神父は言いましたが、実際に儀式を行う際でも名前は必要不可欠。
ここが分からないと取り憑いた人間の中から追い出すことができないため、奴らの名前は私たちが想像する以上に欠かせないものです。
キリスト教と豚の関係性
冒頭で悪魔に取り憑かれ殺されてしまったかわいそうな黒豚さん。
動物が殺される描写は心が痛むものの、宗教上で豚はあまり好かれる存在ではありません。むしろ忌み嫌われることが大半です。
もともとキリスト教で豚を食べるのは禁じられていなかったのですが、彼ら自身は雑食で何でも口にします。
時に他の動物の死体など何もかもを食べてしまう。その特徴が悪魔と重なり、徐々に中世の美術作品においてもいい描かれ方をしなくなりました。
イスラム教やユダヤ教でも衛生面を問題視され「不浄な生き物」として扱われるため、豚は悪い存在と見なされているのです。
だからこそ冒頭であのような扱いを受けたのでしょう。我々からすると非常に痛ましい描写に思えてしまいますけどね……。
登場した悪魔アスモデウスとは
ヘンリーに取り憑いた悪魔の名はアスモデウス。旧約聖書のトビト記などに登場し、ユダヤ教やキリスト教における悪魔の魔王(サタン)。
七つの大罪では「色欲」を司るため、作中での卑猥な発言が多かったのだと推測されます。
人間に取り憑くと愛欲が関係した事件を起こすことが多く、トビト記では美しき娘・サラの中へ入り新婚初夜に夫を殺害する動きを計7回も見せたとか。
破壊と復讐の悪魔とも言われた魔王の力は凄まじく、人間の欲や嫉妬を煽る能力を持つのだそう。
『ヴァチカンのエクソシスト』では頭が回りとても口が達者でしたが、この性質を見ていると妙に納得してしまうところがありますね。
『ヴァチカンのエクソシスト』はただのホラーじゃない!多くの人に“推せる”理由
ジャンルがホラーということで鑑賞を懸念している人が多いかもしれません。
また元祖オカルトホラーの『エクソシスト』と何が違うの?と思う人もいるとか、いないとか……。
筆者個人の意見委はなりますが、先入観だけで本作を遠ざけるのはとても勿体ないですね。
なぜなら『ヴァチカンのエクソシスト』はお楽しみ度が高く、ジメジメとしたホラー作品とは全く異なるからです。
多くの人に“推せる”、いや、“推したい”理由を挙げていきますので、映画館へ行くか迷っている方はぜひ参考にしてください。
冒険心がくすぐられる展開
『ヴァチカンのエクソシスト』はホラーと言えど終始ずっと怖いのではありません。
修道院の謎解きに加え悪魔との激しきバトル、そして勝利のすえ次の任務へ……。展開が冒険ものチックですから不思議と心が躍るんですよね!
アモルト神父とトマースが力を合わせて悪魔を退治するなんてのも友情・努力・勝利といった要素を感じられて◎(笑)
ましてやベテランと新米がバディを組んで世界を飛び回るなんて、これほど期待値が高まる終わり方はないでしょう。
エンターテイメント性が高く、ついホラージャンルということを忘れてしまいそうになります。
オカルトファンも満足のいくホラー演出
かといってホラー要素が薄いのではありません。悪魔の暴走には心臓ドキリとさせられ、特に作中のSE(音)の演出にはゾッとします。
悪魔の仕業ということが分かっているのに怖い。絶妙な脅かし系描写にはオカルトファンも納得がいく仕上がりですよ。
スプラッタもあり、最後の血みどろトマースはなかなかの見物!
エンターテイメントに全振りしておらず大筋からきちんとハズさない、この塩梅がとても心地よく感じます。
程よく肩の力を抜けるアモルト神父のキャラクター性
アモルト神父は本当にお茶目なキャラクター。ひょうひょうとしていて掴みどころがありませんが、そこもまた人物としての偉大さを感じさせる部分と言えましょう。
トマースとの絡みではうっかり相手が困惑してしまうほどの構えっぷり。
アモルトがトマースの服で手を拭くシーンはついつい笑ってしまいました。地下室の場面は緊張が走るパートなのに……(笑)
とにかくいい味を出しているのがアモルト。ラッセル・クロウの存在感もキャラクターの良さを引き出すエッセンスかもしれません。
『ヴァチカンのエクソシスト』と映画『エクソシスト1』ストーリーの違い
70年代を代表するホラー映画『エクソシスト1』をご覧になったことはありますか。
『ヴァチカンのエクソシスト』はこの作品とストーリーがほぼ同じなのですが、最も異なる点はラストの“オチ”。
『エクソシスト1』は戦いに挑んだ神父が自身に悪魔を憑依させ、自ら命を落としたうえで家族を救います。
『ヴァチカンのエクソシスト』も神父に憑依→自殺を図りますが、成功……と思いきや、サタンに死なせてもらえないという意外な展開に。
さらにそこへトマースが加勢し見事に救出、ハッピーエンドで幕を閉じるのです。
大まかな流れや展開はかなりに通りますから、『エクソシスト1』を観たことがない方は併せて鑑賞すると楽しめるでしょう。
『ヴァチカンのエクソシスト』続編製作決定!?
✟✦───
🤜凸凹神父バディ、爆誕🤛
───✦✟チーフ・エクソシスト×真面目な部下神父
=《最強バディ🫂》『#ヴァチカンのエクソシスト』大ヒット記念❗️
壮絶エクソシズムをチラ見せ👿🔥年の差コンビが挑む、激アツ悪魔祓いの続きは映画館で🎬#ラッセル・クロウvs悪魔 pic.twitter.com/14KxvYocrs
— ソニー・ピクチャーズ映画 公式 (@SonyPicsEiga) July 22, 2023
製作費を大幅に上回る興行収入で大成功を収めた『ヴァチカンのエクソシスト』。配給会社ソニー・ピクチャーズは続編の制作を進める意向を示しました!
現時点では企画進行中といったところで詳細は明かされていません。どうやらラッセル・クロウの続投は確定だそうで、のちのキャストや監督は未定とのこと。
恐らく相棒となったトマースは引き続き登場するかと思いますが、新たな神父キャラの参戦も十分に考えられますね。
もし続編が公開されるなら次はどの著書を基にストーリーが作られるのか?多くのファンが第二弾の制作を強く希望していますから、今から続報を楽しみに待ちましょう!
まとめ
近年様々なかたちのホラー映画が登場するなか、『ヴァチカンのエクソシスト』は一風変わった作品として注目を集めました。
ただ悪魔退治をしてハイ終わり、といった物語ではなく中世ヨーロッパの黒い過去にも触れ、深いストーリー展開で私たちのハートをグッと掴みます。
普段はホラーを見慣れない方にも心躍るようなワクワクの冒険もの要素も備わって、かつてのエクソシストの概念をひっくり返してくれたのです。
ビクッとするネタはいくつかあれど、怖そうだからと言って本作を遠ざけず、ホラーファン以外にもぜひ目を通してほしい映画の一つ。
『ヴァチカンのエクソシスト』の世界観、そして魅力的なガブリエーレ・アモルト神父の人間像に触れればこの上ない面白さを感じられるでしょう。