唯一無二の世界観!ラース・フォン・トリアー監督の映画7選!
『奇跡の海』や『ダンサー・イン・ザ・ダーク』などで知られているラース・フォン・トリアー監督。
ラース・フォン・トリアー監督は、1956年4月30日にデンマークのコペンハーゲンで生まれました。11歳の時に母親から8ミリカメラを譲り受けると、自主製作映画の撮影に没頭します。コペンハーゲン大学の映画学科を卒業し、1984年に『エレメント・オブ・クライム』で長編映画監督デビューを果たします。監督デビューしてすぐに映画賞を獲得して有名になり、それ以降は唯一無二の演出で名作を数多く世に送り出しています!
こちらの記事では、ラース・フォン・トリアー監督のおすすめ映画を7作品抜粋しました!
ラース・フォン・トリアー監督のおすすめ映画を紹介!
ラース・フォン・トリアー監督の作品は、独特な雰囲気と過激な表現が特徴です。監督自身が、映画製作において他とは違うスタイルを取り入れることを信条としているので、彼にしか出せない世界観を作り出しています。こうして作った唯一無二の映画で、ヨーロッパを中心とした映画賞をこれまでに数多く受賞しました。
そんなラース・フォン・トリアー監督の作品を、公開年順に紹介していきます!
1.奇跡の海
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あらすじ
70年代のスコットランド。信心深いベス(エミリー・ワトソン)は、油田工場で働くヤン(ステラン・スカルスガルド)と結婚した。ヤンは油田工場での仕事が忙しく、なかなか家に帰ってこない。ヤンを深く愛し、彼なしでは生きていけないベスは、ヤンが仕事から早く帰って来るように神に祈っていた。
そんなある日、ベスの願い通りにヤンは仕事から早く戻ってくるが、彼は仕事場のプラットホームで大事故に巻き込まれ、半身不随の状態になっていた。ほとんど寝たきり状態になってしまったヤンは、ベスを愛するあまり、他の男と寝ることを勧める。
ラース・フォン・トリアー監督『奇跡の海』のトリビア!
- 『奇跡の海』は、ほとんどのシーンがスコットランドで撮影されました。
- ラース・フォン・トリアー監督は、本作を撮影するにあたって、デンマークの映画監督であるカール・テオドール・ドライヤーや、スウェーデンの映画監督であるイングマール・ベイルマンなどの映画や撮影技法を参考にしていました。
- 企画当初、ラース・フォン・トリアー監督はベス役をヘレナ・ボナム=カーターに打診していましたが、過激なヌードシーンがあったために出演を断られました。
ラース・フォン・トリアー監督の『奇跡の海』みどころ!
『奇跡の海』のみどころは、不幸な境遇に陥ってしまうベスを演じたエミリー・ワトソンの演技力です。エミリー・ワトソンは本作で映画デビューを果たしましたが、映画初主演とは思えないほどの秀逸な演技と存在感です。観ていると心がずーんとしてしまいますが、お互いの深すぎる愛に胸を打たれます。
2.ダンサー・イン・ザ・ダーク
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あらすじ
シングルマザーのセルマ(ビョーク)は、息子のジーン(ヴラディカ・コスティック)を育てながら、アメリカの工場で働いていた。周りの人々に恵まれ、貧しいながらも満ち足りた生活を送っていたセルマだったが、彼女は先天性の病気に侵されていた。セルマの病気は徐々に視力が失われてしまうというもので、遺伝性のためジーンも手術を受けない限りいずれは失明してしまう。
必死でジーンの手術費用を貯めていたセルマだったが、視力の低下によるミスで工場を解雇されてしまう。さらに、セルマは貯めていたお金を警察官のビル(デヴィッド・モース)に盗まれ、彼女がビルと揉み合っている最中に拳銃が暴発して、ビルは死んでしまった。殺人犯として逮捕されたセルマは、裁判にかけられることになる。
ラース・フォン・トリアー監督『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のトリビア!
- 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』では、アイルランド人歌手のビョークが主人公のセルマを演じていますが、ビョークは劇中で歌われている曲やBGMの作詞作曲も手掛けています。
- 全編を通して手持ちカメラで撮影されているため臨場感があり、観ている側もその場にいるかのような感覚になる撮影技法を使っています。
- ビョークが歌手のトム・ヨークとデュエットした主題歌「I’ve seen it all」は大ヒットし、アカデミー賞やゴールデングローブ賞にもノミネートされました。
ラース・フォン・トリアー監督の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』みどころ!
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のみどころは、束の間のミュージカルシーンです。アイルランドを代表する歌手のビョークが主人公のセルマを演じているので、歌唱のクオリティもかなり高いです。
重くて暗い雰囲気でストーリーが進んでいきますが、セルマの回想で時折彼女の美しい歌声を聞き、その間だけは辛い現実から目を背けることができます。息子を思うあまりに自分を犠牲にしてしまうセルマの行動に、涙が溢れてしまう名作映画です。
3.ドッグヴィル
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あらすじ
ロッキー山脈のふもとにある鉱山町ドッグヴィル。そこで暮らしている医者の息子トム・エディソン・ジュニア(ポール・ベタニー)は、ある日美しい女性グレース(ニコール・キッドマン)と出会う。グレースはギャングに追われていたが、頑なに追われる理由を話そうとはしなかった。
そしてトムは謎多きグレースを受け入れ、村人たちに彼女を匿うことを提案する。村人たちは、「2週間以内にグレースが村人全員から気に入られる。」という条件で彼女を受け入れた。グレースは村のために働くようになり、村人たちも次第に彼女と打ち解けていったが、彼女の美しさに狂わされた住人たちは次第に変貌していく。
ラース・フォン・トリアー監督『ドッグヴィル』のトリビア!
- 『ドッグヴィル』は、全9章でストーリーが構成されていますが、全編に渡ってナレーターがその時の状況やキャラクターたちの心情を事細かに解説している風変わりな作品です。
- 撮影はかなり過酷だったそうで、追い詰められていくキャストたちの姿を捉えたドキュメンタリー『メイキング・オブ・ドッグヴィル ~告白~』も映画と同時に製作されました。
- 最小限の家具のみが置かれた殺風景なセットに白線を引き、そこを村に見立てて撮影が行われました。
ラース・フォン・トリアー監督の『ドッグヴィル』みどころ!
『ドッグヴィル』のみどころは、自らの美しさのせいで村人たちだけでなく自分をも壊してしまうグレースの悲しい運命です。グレースを演じたニコール・キッドマンはオーストラリア随一の美人女優として知られていますが、彼女の美しさがこれでもかというほど堪能できます。
村人たちのそれぞれのキャラクターもしっかりと設定されていて、細かなところにもラース・フォン・トリアー監督のこだわりが詰まっています。じっとりとしたナレーターの声も相まって、不穏な雰囲気が漂っている作品です。
4.マンダレイ
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あらすじ
鉱山町ドッグヴィルを後にしたグレース(ブライス・ダラス・ハワード)は、父親(ウィレム・デフォー)と共に次の移住地を探して旅をしている途中、マンダレイという農地に辿り着いた。そこでグレースは黒人が白人に鞭打たれている光景を目の当たりにし、廃止されたはずの奴隷制度がまだ残っていることを知る。
黒人たちの権利を取り戻し、民主的な共同体に変革させるという使命感に駆り立てられたグレースは、黒人奴隷たちを解放して早速行動を起こす。
ラース・フォン・トリアー監督『マンダレイ』のトリビア!
- 『マンダレイ』は、ラース・フォン・トリアー監督の前作である『ドッグヴィル』の続編で、主人公グレースのその後が描かれています。
- 主人公のグレースは、当初前作同様ニコール・キッドマンが演じる予定でしたが、最終的にはブライス・ダラス・ハワードが配役されました。
- 『マンダレイ』の撮影は、前作の『ドッグヴィル』と同様に空虚なセットを使用して行われ、ナレーションによる状況説明が全編に入っています。
ラース・フォン・トリアー監督の『マンダレイ』みどころ!
『マンダレイ』は、前作の『ドッグヴィル』とは違ったグレースの勇敢さを味わえるのがみどころです。ドッグヴィルに住めなくなったグレースが今度はマンダレイという地に行き着き、元いた町で成長した姿を存分に見せています。
グレースは奴隷のように扱われて制圧されてきた黒人たちを解放しようと奮闘しますが、共同体において民主主義を教育することの難しさや、自由が必ずしも幸せだとは限らない歯痒さにいろいろと考えさせられます。
5.アンチクライスト
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あらすじ
とある町に住む夫(ウィレム・デフォー)と妻(シャルロット・ゲンズブール)は愛し合っている最中、息子が窓をよじ登っていることに気付かず、そのまま転落死させてしまう。葬儀の日、妻は倒れて病院へと運ばれ、自分の不注意によって息子を死なせてしまったという罪悪感で悪夢に悩まされる。セラピストである夫は妻を献身的に支えるが、彼女の精神状態はあまりよくならなかった。
そんなある日、妻は夫に「自分が恐怖から逃れられる場所は森の中であり、その場所こそがエデンだ。」と告げた。妻の言葉通り深い森の奥にある山小屋で治療を始めた夫だったが、妻の知られざる顔を知ってしまう。
ラース・フォン・トリアー監督『アンチクライスト』のトリビア!
- 製作は本来2005年に始まる予定でしたが、製作総指揮を務めていたピーター・アールベーク・ジェンセンが映画の内容をうっかり話してしまい、ラース・フォン・トリアー監督が激怒したために製作が延期されました。2007年にやっと製作が始まろうとしていましたが、今度はラース・フォン・トリアー監督が鬱病になってしまったため、さらに製作が延期され、その年の年末に製作が始まりました。
- 『アンチクライスト』には激しい暴力描写が登場しますが、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映された時、暴力シーンを見た4人の観客がそのあまりの凄惨さに気絶してしまったというエピソードがあります。
ラース・フォン・トリアー監督の『アンチクライスト』みどころ!
『アンチクライスト』のみどころは、破壊的で悲惨なストーリー展開です。登場人物たちにもそれぞれに役名はなく、無機質な雰囲気で物語が進んでいきます。
主役の夫婦を演じたウィレム・デフォーと、シャルロット・ゲンズブールの演技は高く評価され、数多くの映画賞を受賞しました。
ファンタジックで少し非現実的ですが、引き込まれてしまう不思議な世界観の作品です。
6.メランコリア
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あらすじ
新婚の夫婦ジャスティン(キルステン・ダンスト)とマイケル(アレクサンダー・スカルスガルド)は、ジャスティンの姉クレア(シャルロット・ゲンズブール)が催した結婚パーティに向かっていた。しかし会場へ向かう途中、2人の乗っていたリムジンが細い道で立ち往生し、約束の時間から2時間遅れてしまう。なんとか到着するも、鬱気味で情緒不安定なジャスティンは、横暴な振る舞いで雰囲気をぶち壊しにしてしまった。
パーティで夫のマイケルや、上司のジャック(ステラン・スカルスガルド)との関係も壊してしまったジャスティンは、姉夫婦の家に居候することになる。ジャスティンの精神状態が安定するにつれて、地球に謎の惑星メランコリアが接近していた。
ラース・フォン・トリアー監督『メランコリア』のトリビア!
- 『メランコリア』は、自身も鬱病を患ったことがあるラース・フォン・トリアー監督が出席したセラピー・セッションから着想を得て製作されました。
- 企画当初、主人公のジャスティンはペネロぺ・クルスが演じる予定でしたが、降板したためにキルステン・ダンストが後任となりました。
- 撮影はスウェーデンのトロルヘッタンで行われ、1か月半ほどで終了しました。
ラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』みどころ!
『メランコリア』のみどころは、地球の終焉が近付くにつれて徐々に壊れていくキルステン・ダンストの迫真の演技です。キーファー・サザーランドやジョン・ハートなど、脇を固める俳優陣もかなり豪華で見ごたえがあります。
ラース・フォン・トリアー監督にしか作り出せない雰囲気のファンタジックな作品です。
7.ハウス・ジャック・ビルト
あらすじ
ハンサムな容姿のジャック(マット・ディロン)は、建築家になることを夢見ているが、強迫性障害を持っているためになかなか理想の家を設計することができない。
些細なきっかけで人を殺すことに魅せられたジャックは、アート作品を創作するかのように殺人を繰り返していく。
ラース・フォン・トリアー監督『ハウス・ジャック・ビルト』のトリビア!
- 『ハウス・ジャック・ビルト』を製作するにあたって、ラース・フォン・トリアー監督はシリアルキラーについて研究し、脚本を完成させました。
- あまりの過激さから、アメリカでの公開時には所々でシーンがカットされていましたが、日本公開時はノーカットで公開されました。
- 過激な殺人描写が世界各国の批評家や映画業界人から賛否両論が巻き起こりましたが、ラース・フォン・トリアー監督自身は「過激な表現は必要だと思っている。刺されている人の目だけを映す方が苦痛が増すというのはデタラメだ。」と語っています。
ラース・フォン・トリアー監督の『ハウス・ジャック・ビルト』みどころ!
『ハウス・ジャック・ビルト』のみどころは、シリアルキラーであるジャックの12年間の軌跡を過激に描いている点です。ジャックが人を殺す姿や、その後で丁寧に掃除をする姿など、ジャックの不可解な行動に思わずぞっとしてしまいます。
ラース・フォン・トリアー監督にとって7年ぶりの作品ですが、監督らしい唯一無二の過激な演出や世界観は健在です。ラース・フォン・トリアー監督作品の常連であるマット・ディロンの、狂気の演技から目が離せません。
まとめ
ラース・フォン・トリアー監督の作品を、公開年順に紹介しました。どの作品にも監督ならではの独特の世界観が広がっていて、1作品観るとまた他の作品も観たくなってしまいます。細部までこだわり抜かれた作品たちは、ヨーロッパだけでなくハリウッドの映画界も魅了しています。
今後のラース・フォン・トリアー監督の活躍にも注目です。