マーベル作品を読み解くアベンジャーズ楽曲一覧 | 曲や歌詞の作品との繋がりも考察!
公開されるたびにヒットし、アベンジャーズ最終作である『アベンジャーズ エンドゲーム』はもはや社会現象となったMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)。世界中にファンを持つMCUですが、その劇中で使われる楽曲には、重要な意味があることをご存知でしょうか。この記事では、そんなマーベル映画の楽曲に焦点をあてて作品をご紹介します!!
【注意!】この記事にはマーベル映画全般のネタバレを含みます。未鑑賞の方は十分ご注意ください。
目次
- アベンジャーズシリーズで使われている楽曲には意味がある?
- アベンジャーズシリーズ楽曲一覧 | 作品との関係性も考察
- 【アベンジャーズの曲①】”Iron Man”/アイアンマン
- 【アベンジャーズの曲②】”Institutionalized”/アイアンマン
- 【アベンジャーズの曲③】”Shoot the Thrill”/アイアンマン2
- 【アベンジャーズの曲④】”Ain’t No Mountain High Enough”/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
- 【アベンジャーズの曲⑤】”Mr. Blue Sky”/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.2』
- 【アベンジャーズの曲⑥】”Come a little bit closer”/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.2』
- 【アベンジャーズの曲⑦】”Father and Son”/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.2』
- 【アベンジャーズの曲⑧】”Troubleman”/『キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー』
- 【アベンジャーズの曲⑨】”All the Stars”/『ブラックパンサー』
- 【アベンジャーズの曲⑩】”Immigrant Song”/『マイティ・ソー バトルロイヤル』
- 【アベンジャーズの曲⑪】”Come as you are”/『キャプテン・マーベル』
- 【アベンジャーズの曲⑫】”Dear Mr. Fantasy”/『アベンジャーズ エンドゲーム』
- 【アベンジャーズの曲⑬】”Supersonic Rocket Ship”/『アベンジャーズ エンドゲーム』
- 【アベンジャーズの曲⑭】”It’s Been a Long Long Time”/『アベンジャーズ エンドゲーム』
- 【アベンジャーズの曲⑮】”Back In Black”/『スパイダーマン ファーフロムホーム』
- まとめ
アベンジャーズシリーズで使われている楽曲には意味がある?
MCUで使用されている楽曲はしっかりとした意図を持って選曲されており、特にジェームズガン監督作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』以降その傾向が顕著です。宇宙が舞台でありながら、70から80年代のヒット曲をBGMとして使うそのセンスに世界中が度肝を抜かれました。その他の作品でも、まるでキャラソンのように昔のヒット曲を流したりと、映画において既存曲を使う例としては最たるものでしょう。
MCUにおける選曲は、過去のヒット曲にとどまらず、あるアルバムのマイナーな一曲や、ワンヒットワンダーまで(いわゆる一発屋)と幅広く、マーベル映画にとって音楽がいかに重要であるかがわかります。
アベンジャーズシリーズ楽曲一覧 | 作品との関係性も考察
【アベンジャーズの曲①】”Iron Man”/アイアンマン
「アイアンマンが死から蘇ったのだ。」
映画『アイアンマン』のエンド・クレジットでは、この曲が使われていました。”I am Ironman.”というセリフから始まるこの曲は、まさにトニーにピッタリですね。『アベンジャーズ』では、トニーがブラック・サバスのTシャツを着ていましたよね。
もしかすると、マーベル映画史上最高の名台詞であるトニーのあの言葉は、ここから生まれたのかもしれませんね。
【アベンジャーズの曲②】”Institutionalized”/アイアンマン
「やつらは俺を施設に閉じ込めたんだ。それが唯一の解決策だといったんだ。」
トニーが地下のガレージでエンジンを組み立てているシーンでこの曲が流れます。アイアンマンの曲と言えば、ハードロックやヘビメタというイメージですが、このようなスケーターズロックなども取り入れていました。
アイアンマン演じるロバート・ダウニーJr.は、この映画に出演する以前は薬物問題で何度も逮捕されており、拘置所から撮影所に通ったという過去もありました。この曲は、そのような彼の暗闇の時代を示唆しているのかもしれません。
【アベンジャーズの曲③】”Shoot the Thrill”/アイアンマン2
「俺の銃を撃つ準備はできているぜ。」
『アイアンマン』のラストで正体を明かしたトニーは、『アイアンマン2』で冒頭のスタークエキスポのシーンからド派手にこの曲をかけながら登場します。派手好きのトニーにピッタリな選曲ですよね。
さらに、『アベンジャーズ』では、ロキが地球に攻めてきたとき、ナターシャのジェット機をハッキングしてまで大音量でこれをかけながら登場していました。トニーのハードロック好き(特にAC/DC好き?)は、後にある者に受け継がれることになります。
【アベンジャーズの曲④】”Ain’t No Mountain High Enough”/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
「どんなに高い山があろうと、どんなに深い谷があろうと、どんなに広い川があろうと、私たちを妨げることはできない。もし君が必要とするなら、いつでも私を呼んでくれ。」
主人公ピーターが肌身離さず持っているウォークマンには、亡き母が残した「最強ミックス」のテープが入っています。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のラストシーン、母が残した小さい箱を開けると、そこには「最強ミックス vol.2」が。一曲目に流れたこの曲は、時を超えた母親の愛が感じられる素敵な曲でした。
また、見方を変えると宇宙を救うヒーローのセリフとも取れますよね。素敵なラブソングをヒーローソングとして捉えた素晴らしい選曲です。
【アベンジャーズの曲⑤】”Mr. Blue Sky”/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.2』
「ミスターブルースカイ、僕らはどこで間違ったんだろう?」
「ミスターブルースカイ、君に会えて嬉しいよ。周りを見てごらん、みんなが君を見て微笑んでいる。君の事は忘れないよ。」
冒頭から流れるご機嫌なこの曲。1作目ではヘッドホンでピーター1人で聞いていたのが、2作目ではスピーカーでみんなで聞いている、という曲が流れるシチュエーションだけでガーディアンズの結束を象徴する演出も素敵でした。
この曲の中に登場する「ミスターブルースカイ」とは誰なのか?その答えは物語の最後で判明します。陽気な曲調ですが、この作品を見終わった後は、笑いながら涙する曲になること間違いなしです!
【アベンジャーズの曲⑥】”Come a little bit closer”/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.2』
「もっと近くに寄り添って、あなたはとても強くて大きくて私の好みだわ。」
囚われたヨンドゥとロケットが檻から脱出、裏切り者のラヴェジャーズたちを皆殺しにする大虐殺シーンでこの曲がスピーカーから鳴り響きます。ラテンのリズムにのせて甘く歌うラブソングが無慈悲な殺戮シーンで流れるというミスマッチさが流石のセンスですよね。
このシーンで使われていること考慮して意訳すると、「かかってこい、このデカブツ野郎」といったところでしょうか。
【アベンジャーズの曲⑦】”Father and Son”/『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.2』
「俺を見てみろ。確かに歳は取ったが、俺は今幸せなんだ。」
「いつも俺の話を聞かない。いつも話し出せば背を向けて、昔話ばかりだ。」
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.2』では、「育ての親と生みの親の狭間で揺れる子どもの心」が重要なテーマの一つでした。育ての親であるヨンドゥとはずっといがみ合っていたピーター。しかし、ヨンドゥは彼の実の父親であるエゴから幼きピーターを救った過去がありました。
息子を思う父と、その本当の思いに気づけない息子との対話を歌にしたこの曲は、いつの間にか親子のような関係になっていたピーターとヨンドゥの関係性ををうまく表現していました。
【アベンジャーズの曲⑧】”Troubleman”/『キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー』
キャップとサムが初めて出会ったのは、朝のランニング中でした。サムはそこで「これを聞けば大体の事はわかるよ。」とキャップにこのアルバムを教えます。律儀にメモしているキャップが可愛いシーンです。
このアルバムは映画のサントラとして作られたものであり、インストゥメンタルの曲がほとんどですが、これを作ったマーヴィン・ゲイは当時の公民権運動やベトナム戦争といった激変する社会を歌った歌手であり、キャップが氷漬けにされて眠っている間にアメリカで起きた事を知るには、なるほどぴったりなアーティストですね。
また、マーヴィンゲイは空軍に入隊していたこともあり、元空軍であるサムと経歴が重なる、というロマンのある繋がりもあります。
【アベンジャーズの曲⑨】”All the Stars”/『ブラックパンサー』
「今夜、私の夢が教えてくれるのかもしれない。」
映画『ブラックパンサー』は初の黒人ヒーローを主人公としたマーベル映画であり、MCUでも最も人気の高い作品の一つとなりました。本作は、楽曲の面から見ても画期的でした。一つの作品のために全てオリジナル曲というMCU初の試み。
本作のサウンドトラックはケンドリック・ラマーが全面プロデュースしたアルバムであり、SZAやThe Weekendといったグラミー賞級の若手も参加するという豪華っぷりです。
キルモンガーとの死闘を経て、世界中へ別け隔てなく自国の技術を提供すると宣言した国王ティ・チャラ。それは彼が目指す理想の人類愛への一歩であり、「愛の話をしよう」と歌うこのラブソングと重なります。
【アベンジャーズの曲⑩】”Immigrant Song”/『マイティ・ソー バトルロイヤル』
「我々は氷と雪の大地よりやってきた。熱い泉が噴き出る白夜の大地だ。神のハンマーが船を引っ張り、我々を新天地に連れて行くのだ。」
ハンマーを破壊され、神としての自信を無くしたソーが精神世界でオーディンに諭され、雷の神として覚醒するシーンでこの曲が流れます。
「神のハンマー」はという歌詞は、まさにソーの武器である「ムジョルニア」を言及しているようで、ソーのキャラソンなのか?とすら思っちゃいますよね。
また、「移民の歌」という曲名からは、物語の最後で難民となってしまうアスガルドの民を連想させます。それまで劣勢だった「リベンジャーズ」が一気に反撃に転じるという最も盛り上がる場面での王道ロックは鳥肌モノです!
【アベンジャーズの曲⑪】”Come as you are”/『キャプテン・マーベル』
「君はそのままでいい、今までそうしてきたように、俺もそうして欲しいと思ってる。」
『キャプテン・マーベル』は舞台が90年代ということもあり、ロックからグランジにかけてのヒットソングが多く使われていました。ニックと砂漠を走る場面ではTLCの”Waterfall”がカーステレオから流れており、2人の関係が次第に潤っていく様を表現していました。
キャロルがナインインチネイルのバンドTシャツを着てグランジファッションを身にまとっていたことも印象的でしたね。90年代から勢いを増してきたグランジはそれまでのロックと異なり、負の感情に焦点を当てたエモーショナルな音で人気を博しました。中でも、キャロルが精神世界の自分と対話するシーンで流れていたのが、グランジの帝王ニルヴァーナでした。
「感情的になるな」「女として生きろ」と抑圧されてきた彼女が、全ての感情を受け入れ、それを開放させるシーンでこの曲が流れたのは、まさにぴったりな選曲なのです。
【アベンジャーズの曲⑫】”Dear Mr. Fantasy”/『アベンジャーズ エンドゲーム』
「親愛なるミスターファンタジー、一曲歌ってくれよ。俺たちみんなが幸せになる曲をさ。暗い気分を晴らしてくれよ。この暗い気分を取り去って、みんなを笑顔にできるのは君だけなんだ。」
『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』の絶望的な終わり方に落胆した人も多かったことでしょう。『アベンジャーズ エンドゲーム』の冒頭でタイトルバックとして流れるこの曲は、そんなファン達の声を代弁するような歌詞の内容です。マーベル映画がカントリーソングで始まるという斬新さに驚いた方も多いはず。
また、歌詞の”make it snappy”の部分はサノスの指パッチン(snap)を連想させます。少し気だるく、混沌とした感じの曲の雰囲気も映画のはじまりとマッチしています。
【アベンジャーズの曲⑬】”Supersonic Rocket Ship”/『アベンジャーズ エンドゲーム』
「小旅行に出かけませんか?超光速のロケットで。コートをしっかり着込んでくださいね。あなたが行きたいところに行きましょう。」
ロケットとブルースが、ソーに会いにニューアスガルドに行くときに流れる曲ですが、2人が乗るボロい(?)トラックとは真逆の「超音速ロケット」という歌詞のミスマッチ具合が最高ですよね。
しかし、この曲は宇宙に向かう超音速ロケットの曲かと思いきや、「コートをしっかり着込んでくださいね」という歌詞から分かる通り、結局は家で篭って宇宙に想いを馳せるという曲なのです。まさに引きこもりになってしまったソーを思わせますよね。
【アベンジャーズの曲⑭】”It’s Been a Long Long Time”/『アベンジャーズ エンドゲーム』
「覚えていられないくらい時間が経ったの。それは長い長い時間だった。あなたをどれだけ夢に見たのか、あなた無しではどんなに空っぽだったのか、あなたは知らないのでしょうね。」
世界を熱狂させたアベンジャーズシリーズの最終作『アベンジャーズ エンドゲーム』はこの曲で踊るペギーとキャップのシーンで終わります。1945年にリリースされたこの曲は、第二次世界大戦後の初のヒットソングとなりました。
戦場から帰還する恋人や家族への気持ちを歌ったこの曲は、女性目線からのメッセージですが、氷漬けにされ、70年後に現代に蘇ったためにペギーとの約束を果たせなかったキャップの気持ちと取ることもできます。様々な戦場を生き抜いたキャップがペギーとの約束を果たしたラストシーンは最高のハッピーエンドでした。
【アベンジャーズの曲⑮】”Back In Black”/『スパイダーマン ファーフロムホーム』
「やっと戻ってこれたぜ、俺は嬉しいんだ。そう、俺は解放されたんだ。どいつもこいつも蹴散らしてやる、なぜなら俺が戻ってきたんだからな。」
『スパイダーマン ファーフロムホーム』はアイアンマンの意思を受け継ぐピーターの苦悩が重要なテーマでした。ヒーローとしての使命に悩むピーターに、トニーの相棒であり良き理解者であったハッピーは、トニーも同じように悩んだとピーターを励まします。その言葉でヒーローとしての自信を取り戻したピーターは、ミステリオとの最終決戦に向かうプライベートジェットの中でスーツを自作します。
「BGMは任せろ」と言ったハッピーが選んだのはこの曲でした。AC/DCをツェッペリンと勘違いするピーターと大人たちのジェネレーションギャップが、なんだか懐かしいですね。この曲は映画『アイアンマン』の最初のシーンでトニーが車の中で聞いていた曲でもあり、スーツを作るピーターとトニーが重なる感動的なシーンでした!
まとめ
マーベル映画の楽曲とその特徴について紹介しました!今回紹介した他にも、マーベル映画には様々な楽曲が使われており、音楽の側面からマーベル映画を観るのもオススメです!
皆さんもぜひ、お気に入りの曲を探してみてください!