映画『ノッティングヒルの恋人』結末ネタバレ | 90年代の名作ラブストーリー！
90年代を代表するラブストーリー『ノッティングヒルの恋人』。『プリティ・ウーマン』でのキュートな演技が印象的なジュリア・ロバーツと、「ロマンティック・コメディの帝王」とも呼ばれるヒュー・グラントがW主演を務めた豪華な映画です。
ゴールデングローブ賞では最優秀作品賞・最優秀男優賞・最優秀女優賞にノミネートされるなど、演技、ストーリーともに評価された作品でもあります。20年たった今でも色あせない名作を振り返っていきましょう！！
目次
『ノッティングヒルの恋人』とは
監督は『Jの悲劇』や『恋とニュースのつくり方』などサスペンスからコメディまで幅広いジャンルの作品を手がけるロジャー・ミッシェル監督。脚本は『Mr.ビーン』シリーズや『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』などのコメディやラブストーリー作品を数多く作り上げてきたリチャード・カーティス。この2人は本作でラブコメ映画の金字塔を打ち立てました！
舞台はロンドンのノッティングヒル。賑やかなマーケットや主人公の家、友人の家、お店、公園などは実際にノッティングヒルにあります。そのため、本作が公開されてから現在までノッティングヒルには多くの『ノッティングヒルの恋人』ファンが訪れ、物語に想いを馳せています。それほどまで本作は多くの人に影響を与えてきました。
ロンドンの街並みと不安定でキュンとする物語は最高の相性です！両想いなのに周りに振り回される2人の関係にはドキドキします。「シュールで楽しい」本作でもう一度恋をしませんか？
10秒で分かる『ノッティングヒルの恋人』の簡単なあらすじ
ロンドンのノッティングヒルで旅行書専門店を開いているウィリアム（ヒュー・グラント）。ある日、人気女優アナ（ジュリア・ロバーツ）が来店します。2人は恋に落ちますが、マスコミや周りの目のせいで、2人の仲はなかなか縮まりません。さらにアナのスキャンダルで2人の距離は離れていきます……。
美人で有名な女優と、ごく普通の男性との恋愛を描いた『ノッティングヒルの恋人』。『ラブ・アクチュアリー』や『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズなど、ロンドンを舞台にした恋愛映画が好きな人にオススメ！実はこれらの作品の脚本を担当したのも、本作の脚本家リチャード・カーティスです。リチャード・カーティス脚本作品には登場人物たちの笑える失敗や、心温まる友情も共通しています。
『ノッティングヒルの恋人』ネタバレあらすじ
ここからは、更にネタバレ有であらすじを解説していきます。
【あらすじ①】ノッティングヒルの街角で
ノッティングヒルで旅行書専門店を営んでいるウィリアム。彼の店にある女性がやって来た。どこかで見た事があると思いつつも接客をしていると、別の客が彼女にサインを求める。彼女は世界的に有名なアメリカの女優アナ（ジュリア・ロバーツ）だったのだ。
彼女と交わした会話は特に意味もなかったが、それでもウィリアムにとっては夢のような時間だった。もう会うこともないだろう。そう思っていたが、すぐ再会することになる。街角でアナにオレンジジュースを思いっきりかける、という形で。
アナのブラウスはオレンジジュースでベタベタに。ウィリアムはすぐそこの自分の家に来ないか？と提案する。ウィリアムの人の良さから、アナは彼を信用してバスルームと電話を借りることに。いろいろと世話を焼いて和ませようとするウィリアムに、アナは思わずキスをしてしまった。
思いがけない行動に驚くウィリアム。何でもないことなのだろうと思いつつも、しばらくは電話を気にする日々が続いた。同居人のスパイク（リス・エヴァンス）に「他に電話はなかったか？」としつこく聞いていると、スパイクは「そういえば数日前アナってアメリカ人から電話があったよ」と思い出した。
【あらすじ②】妹の誕生日会
アナに電話を折り返すと「お礼をしたい」と、イギリス滞在中のホテルに招待された。ウィリアムは、はやる気持ちを抑え、彼女の部屋に行く。ところが部屋には記者や映画関係者でいっぱい！アナが出演する映画の試写会の時間が押しており、記者のインタビュー時間と、アナとの約束の時間がかぶってしまったのだ。
ウィリアムはなんとかアナと話すことができたが、他の記者と同じように数分だけ。だから落ち着いて話せるよう、夕食に誘うウィリアムだったが、今日はちょうどウィリアムの妹ハニー（エマ・チャンバース）の誕生日。友人の家で誕生日会をするのだ。しかし、アナは「じゃあ妹の誕生日会に一緒に行くわ」と快諾してくれる。
ウィリアムの彼女はどんな人だろう、と友人たちが噂していると、ウィリアムが有名人アナを連れて登場した。当然驚いたが、友人たちはアナを温かく迎え入れる。
デザートのチョコレートブラウニーが余ると「一番みじめな奴に食べる権利がある」とみんな自分の経験を話し出す。アナも「自分にだってある」と注目されるからこその苦痛や幼い頃からの苦労を話した。
帰宅中、アナとウィリアムは私有地の公園でベンチを見つける。男性が亡くなった妻への愛をつづったベンチだ。「一生を共にする人もいるのね」とアナはつぶやく。女優としてではない、アナの素の心に触れてウィリアムはますます彼女に惹かれていった。
【あらすじ③】スキャンダル
次の日もアナとウィリアムはデートをし、ますます距離が近くなっていった。そして、アナはホテルに来ないか？と誘う。しかし、ウィリアムはすぐ帰ることになった。アメリカにいるはずのアナの恋人がイギリスに来ていたのだ。アナは恋人とともにアメリカに帰国。ウィリアムももう忘れようと、友人から女性を紹介してもらう。しかし、彼女以上の女性はなかなかいなかった。
ある日、アナのスキャンダルがイギリスでもニュースとなる。ヌード写真が流出したのだ。そんな時に再びアナがウィリアムの元に現れた。恋人とも別れ、昔の写真が出回り、記者に追いかけられる生活に疲れて、ウィリアムに助けを求めてきたのだ。
ウィリアムは初めて会った時のように世話を焼き、楽しいひと時をすごす。他愛もない話をしたり、台本の読み合わせに付き合ったり、2人は仲を深めていった。
ところが次の日、家の前は記者でいっぱいになってしまった。男性の家に泊まっていることがまた報道される。スキャンダルが増えたことでアナはパニックに。ウィリアムに怒鳴って家を出て行ってしまった。
【あらすじ④】アナの告白とウィリアムの決断
そろそろアナのことを忘れて先に進まなくては。ウィリアムはそう考えていたがなかなかショックから立ち直れない。アナが去ってから1年後、アナが映画の撮影のためイギリスに来ていることを知る。
撮影現場に行くとアナが「話があるから」と現場で待たせてくれた。しかし、そこでウィリアムは、アナが出演者に「過去の人よ。なんで来たのかしら」と話しているのを聞いてしまった。今度はウィリアムがアナの元を去った。
数日後、アナがウィリアムの店を訪れた。そしてウィリアムに告白する。「また私のことを好きになってほしい」と。しかし、周りの目や人々に振り回されてその度に傷ついてきたウィリアムは「NO」と返事をした。
アナが出ていった後、自分の決断は正しかったのだろうかと友人たちに相談することに。友人たちはウィリアムの決断を尊重し励ましてくれた。だがスパイクは「なんてマヌケな大バカだ」とウィリアムを罵る。ウィリアムはアナとの会話を再び思い出し「大変だ、僕は間違ってた」と気付いた。
アナはホテルで記者会見を開いている。帰国し、しばらく女優活動を休止するのだ。記者たちからは、これからの活動予定について、スキャンダルについても質問が飛んでいる。ウィリアムは記者たちに混じってアナに質問した。
「もし、タッカー氏が間違っていたと気付いたら？やり直したいと言ったら彼にチャンスを与えますか？」アナの返事は「Yes」。そして今度は、アナはアメリカに帰国しないと発表した。
ウィリアムとアナは結婚した。アナがレッドカーペットを歩くとき、隣にはウィリアムがいる。そして私有地の公園にある、あの愛がつづられたベンチにはウィリアムとお腹の大きくなったアナがいた。
『ノッティングヒルの恋人』のキャスト
ウィリアム・タッカー/ヒュー・グラント
ノッティングヒルで旅行書専門店を開いています。妻に逃げられ、店は赤字続き、と運がありません。しかし、誠実で優しくユーモアある男性でもあります。映画や俳優などのセレブには疎い、というのも本作ではポイントになりました。
演じたのは、ラブストーリー作品にはかかせない俳優ヒュー・グラントです。『いつか晴れた日に』や『アバウト・ア・ボーイ』など恋愛がキーとなる作品に多く出演しています。その一方で『コードネームU.N.C.L.E.』や『パディントン2』など恋愛映画以外でも幅広く活躍しています。
アナ・スコット/ジュリア・ロバーツ
世界中で注目を集めるアメリカの大女優。ノッティングヒルでウィリアムと運命的な出会いをします。しかし、彼女にはアメリカに恋人がいたり、パパラッチに追いかけられていたりと思うように行動できません。
男女問わず人々を虜にする女優を演じたのはジュリア・ロバーツです。1988年に映画デビューして以来毎年のように映画に出演しています。『プリティ・ウーマン』ではどんどん洗練していく主人公を演じ、ゴールデングローブ賞主演女優賞を獲得しています。その人気ぶりは本当に「アナ・スコット」のようです。
スパイク/リス・エヴァンス
ウィリアムと一緒に住んでいる友人スパイク。独特の感性を持っており、ちょっと……いえ、かなり変わった人物です。ウィリアムあての電話を全部メモしなかったり、名前を覚えられなかったりと賢くなさそうな言動をします。しかし、急に全てを思い出すこともあり、掴みどころのないおもしろい人物です。
演じたリス・エヴァンスは、『ハリー・ポッター』シリーズのルーナの父親役が印象的です。他にも『アメイジング・スパイダーマン』、『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』など大作に多く出演していました。2020年の『キングスマン：ファースト・エージェント』にも出演が決定しています。
ベラ/ジーナ・マッキー
ウィリアムの友人でマックスの妻。事故の影響で車イス生活を送っています。辛いことをきちんと辛いと言い、それでも笑いに変えようとする強い一面もありました。友人の選択を尊重し、支えようとする姿勢が素敵です！
ベラを演じたジーナ・マッキーは映画だけでなく数多くのテレビドラマに出演しています。映画『ひかりのまち』でも繊細で、それでいて強い心を持った女性を演じて注目を集めました。
マックス/ティム・マッキナリー
ウィリアムの親友で、ベラの夫。料理は下手ですが、周りへのフォローを忘れない紳士です。ベラが「自分は足が悪いし時間がかかるから……」と皆について行こうとしないシーンでは、「何をバカなことを！」と彼女を助手席に乗せます。心優しい夫です！
そんな夫を演じたのはティム・マッキナリー。映画や舞台に出演する俳優です。『ロミオとジュリエット』、『オセロ』などシェイクスピアの古典的な舞台に立つ一方、『ロッキー・ホラー・ショー』などのコミカルなミュージカルにも出演する多彩な俳優でもあります。
『ノッティングヒルの恋人』の5つのみどころ
【みどころ①】実はヘナチョコじゃないウィリアム
「昔のあだ名は『ヘナチョコ』だった」とアナの前でばらされてしまったウィリアム。妻に逃げられてしまった過去もあり、なんだか頼りなさそうな印象を受けます。しかし、彼は本当に「へなちょこ」でしょうか？
確かに、争いを嫌い、すぐ謝る姿勢はなんだか頼りなく見えます。しかし、それは優しさの表れなのです。失敗をすると誠心誠意謝り、出来る限りの世話を焼こうとします。またジョークを言って相手を和まそうとする気遣いまで見せます。
デートに遅れそうになったら、「相手を待たせるよりは」と眼鏡を探すのをやめて度付きのゴーグルを持っていきました。アナの恋人と鉢合わせたら、アナと恋人の2人を傷つけないよう嘘をついて立ち去ります。アナがパニックになったら支えようとしました。好きな女性が悪く言われたら、言い返す勇気もあります。ウィリアムは相手が傷つくくらいなら、自分が傷つくことを選ぶ人間なのです。
男らしい力強さはありませんが、それ以上に人間としての優しさを持っているウィリアムが素敵です！
【みどころ②】初対面のウィリアムにキスをするアナ
突然ウィリアムにキスをしたアナに驚きませんでしたか？大スターにキスされたウィリアムも驚きましたが、それ以上にアナもキスしてしまったことに驚いていました。
女優として常に周りの目を気にしてきたアナ。初対面の男性にキスをするなんて迂闊なこと、普段なら絶対しないでしょう。
直前までいろいろと世話を焼いていたウィリアムは、アナの周りの男性とは違います。「紅茶飲む？コーヒーは？じゃあ……オレンジジュースは？」なんてちょっとおとぼけたジョークも言いながら世話を焼く彼は、なんだか母親のようです。そんな彼だからアナは気を許したのかもしれません。
アナは恋人にすら「人気俳優の彼女が太ってたらダメだもんな」と軽口を叩かれます。アナは恋人の前でも「女優のアナ」なのです。「一人の女性」として見られていません。
一方、アナはウィリアムの前では「素の自分」を出しています。セリフが覚えられずにイライラしたり、スキャンダルに落ち込んだり、腹を立てたり……ウィリアムといると普通の女性になれるのです。後半、アナが「私も一人の女性よ」と言ったのは、今までずっとあなたの前では「一人の女性」としていたのに……という悲しみも含まれています。
このウィリアムにキスしたシーンは「一人の女性」になったアナの最初のシーンでもあるのです。
【みどころ③】実はキーパーソンのスパイク
アナからの電話をウィリアムに伝えるのを忘れちゃったり、アナが家にいるのをパブで話しちゃったりと余計な行動をするスパイク。しかし、ウィリアムはそんなスパイクを怒ることも縁を切ることもしません。なぜでしょうか？
スパイクは確かに空気を読まない行動に出ますが、空気を読めないからこそできるアドバイスもします。アナが泊まりに来たときは「彼女は君（ウィリアム）に気があるだろ？（ウィリアムも好きなのに）なぜ行かない？」と聞きます。また、ウィリアムがアナを振った時は「君は大馬鹿者だ」と珍しくウィリアムを罵ります。
実はスパイクは相手の気持ちを汲み取るのが上手い人物でもあるのです。口に出して気持ちを確認することで、ウィリアムも自分の考えを意識することができます。
誰かを傷つけることもせず、でも友達が誤ったことをしたら怒れる友人思いのスパイク。物語の重要なポイントには必ずスパイクが関わってきました。
特に、ウィリアムがアナに会いに行けるように、体を張って他の車を止める行動には胸が熱くなります！ちょっと変わった人物ですが、ウィリアムにとって最高の友人です。
【みどころ④】ウィリアムを支える友人たち
ウィリアムの周りにはスパイク以外にも良い友人たくさんいます。類は友を呼ぶと言うように、優しいウィリアムの周りには優しい友人が集まるのです。
ベラとマックスの夫婦は傷ついているウィリアムを見て「今日はここに泊ったらいい」とソファと朝ごはんを提供して良い話し相手になってくれました。また、アナのことを忘れられるように、良い人を紹介したり夕食に招待したりと世話も焼きます。
夕食の時、デザートが余ったら「一番みじめな奴に食べる権利がある」と言って自分の悲しい経験を皆話します。悲しかったことを共有して、悲しみを軽減させる手法はグループカウンセリングのようです。悲しいことを話した後は皆がジョークにして一緒に笑ってくれて、一番みじめでもデザートが食べられます。バカ騒ぎするだけではなく、寄り添いあえる友人関係が羨ましくなります。
【みどころ⑤】物語を彩る音楽
本作で重要になるのがエルヴィス・コステロ歌う『SHE』です。歌詞が本作にピッタリです！なによりこの曲のおもしろいところは、本作のタイミングによって意味も変わることです。
物語も冒頭でこの曲を聞くと「スター女性への憧れ」として受け取れます。しかし、ウィリアムがアナと出会って振り回されると「彼女は美しいけれど、野獣でもあって苦しい」という好きだからこその苦悩を感じます。そして、エンディングでこの曲を聞くと「彼女を好きになる覚悟」の曲に聞こえます。
まるで本作のためにあるかのような曲です！ウィリアムの揺れ動く気持ちにピッタリ。ぜひ本作中のこの曲にも注目してみてください。
まとめ
生きる世界の違う男女の恋愛を描いた『ノッティングヒルの恋人』。恋愛だけではなく、彼らの友情も熱い本作は、何度観ても心に響きます！あなたも彼らと一緒に「シュールで楽しい時間」をすごしませんか？
