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『ブラック・スワン』ネタバレ解説 ! 狂気と美が宿る傑作サイコ・スリラーの結末とは!?

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2010年に公開された映画『ブラック・スワン』。可憐な印象があるナタリー・ポートマンが見せる華やかなバレエ界の映画かと思いきや、R15指定のあるサイコスリラー映画です!本作でプリマを演じるために徹底的に肉体を鍛え上げたナタリー・ポートマン。夢と幻想で現実が歪んでいくキャラクターを演じています。彼女の新しい一面をみることができる本作のあらすじとネタバレを含めてご紹介していきます!!

『ブラック・スワン』について

生真面目な少女が、元ダンサーである母親の期待を背負いバレエに全てを捧げる姿を、美しくも狂気的な描写で描きあげた一作です。メガホンを取ったのは鬼才ダーレン・アロノフスキー監督。得意とするサイコスリラーな展開に目が離せません。

美しいプリマたちが多く登場し、一見華やかなストーリーのようですが、人間の根底に眠る憎悪や嫉妬といった感情が乱れる物語です。そんな映画『ブラック・スワン』のあらすじを、出演者の魅力に触れつつ紹介していきます!

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10秒で分かる『ブラック・スワン』の簡単なあらすじ

元バレリーナの母・エリカと娘・ニナ。妊娠を機に自身の夢を諦めたエリカは、ニナへ全てを託していた。熱心な支えはニナのプレッシャーとなりのしかかる。そんな中、所属するカンパニーの次の演目が「白鳥の湖」に決定。

見事にチャンスを掴んだニナは主役に抜擢されるもプレッシャーに押しつぶされかける。エリカの監視の元、遊びを知らずに育ったニナにとって人間の裏面を描いた「黒鳥」の役はとても難しかった。さらに魅力あふれる新人の存在に焦り、無意識な自我が現れた幻影とも闘いながら大舞台へと向かうのだった。

ネタバレ注意『ブラック・スワン』のあらすじを詳しく紹介

ここからはネタバレを含んでいます!ご注意ください!!

【あらすじ①】生真面目な主人公ニナ

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出典:映画『Black Swan』公式Facebook

ニューヨークのバレエカンパニーに所属するニナ・セイヤーズ(ナタリー・ポートマン)。ニナの母・エリカ(バーバラ・ハーシー)も同じく元プリマであり、ニナを身ごもったことで夢を娘に託していた。その期待から友人との外出を禁止し携帯で常に連絡を取るという異常な束縛を見せており、ニナのバレリーナとしての才能は育てたがエリカ以外の人間に対しては臆病にさせていた。

ニナが所属するカンパニーの次の演目は、三大バレエのひとつである白鳥の湖に決定する。プリマの世代交代が噂され、主役の「白鳥の女王」への抜擢は全バレリーナが望むことだった。
ニナはカンパニーのプリマ・ベス(ウィノナ・ライダー)への憧れを抑えきれず隠れてベスの私物を盗んでいた。その日はルージュを手に取り、気持ちを高めていたのである。そんな中、演出を務めるトマ(ヴァンサン・カッセル)はレッスンの様子を見に訪れた。

新・プリマの候補となったニナだったが、遅刻して入室してきた新人のリリー(ミラ・クニス)に気がそれてしまい踊りを失敗する。自宅でも必死に練習するニナの過度な練習は自身の身体を蝕んでいく。生真面目すぎるとエリカの指摘を受けたニナは、トマへの色仕掛けで主役の座を勝ち取れないかと考えたはじめ、自分に自信を持たせるために盗んだベスのルージュを引きトマの元へと向かった

男性への免疫がないニナは、いざトマを前にすると恥ずかしく逃げたくて仕方なかった。そんな初心なニナの振る舞いを挑発するかのようにトマは、別のバレリーナを主役に決めていると煽ってくる。私を主役に抜擢してと真っ直ぐに伝えたニナ。その覚悟を試すかのように、トマは突然キスをするが驚いたニナは咄嗟にトマの唇を噛み、逃げ出してしまう。
数年間ニナを見てきたトマは、自分を抑制することに長けている「白鳥」向きのニナが人に抵抗する新たな一面を知り、「黒鳥」を任せる賭けに出るのだった。

【あらすじ②】主役の重圧、元プリマの事故

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出典:映画『Black Swan』公式Facebook

トマによる選出で決まった「白鳥の湖」の配役表が張り出された。ヴェロニカが新たなプリマの座を取るだろうと思っていたニナだったが、なんと主役に名前を挙げられたのはニナようやく認められた嬉しさから、トイレへ駆け込み誰にも気づかれない場所で母に報告の電話をするのだった。

しかし、喜んでばかりはいられない。ニナがトマに直談判したことを知ってか知らずか、トイレの鏡にはアバズレ女の文字が。カンパニーにはニナの座を狙うライバルばかりだった。
そしてニナの前には、「黒鳥の演技が大きな壁になって立ちはだかる。さらに予測不可能で表現豊かな演技を見せる新人・リリーの存在は、ニナを追い詰め始めた。

そんな心境の中、参加した資金提供者への会合の席で次作の「白鳥の湖」の主演と紹介される。同時に、ニナが憧れていたベスの引退も発表されたのだった。パーティーが終わった頃、真逆の境遇に納得がいかないベスは、ニナを罵り責める。落ち込むニナを部屋に招待したトマはニナが黒鳥を演じきるために、自分の性的な一面を解放する様にとアドバイスをした。

1人になり、トマの言葉を思い返しこれまでしたことのない自慰行為に挑もうとしたが、エリカと2人暮らしのニナには難しく諦めるのだった。そんな時、レッスン中のバレリーナ達に、ベスが事故に遭い入院したというニュースが駆け巡る。見舞いに行ったニナはベスの病状を目の当たりにし、動揺を隠せなかった。

【あらすじ③】母とのケンカ、リリーとの夜遊び

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出典:映画『Black Swan』公式Facebook

どんなことが起ころうとレッスンは止められない。身体の不調と克服できない“黒鳥”の壁に追い詰められていく。レッスン後、悔し泣きしているところをリリーに見られてしまったニナ。自宅へ戻りお風呂で自慰に挑むも、自分でかいてしまった傷が広がっている幻覚に追われ、不安でいっぱいになるのだった。

レッスンではトマに追い詰められ、やり場のない気持ちを解消できずにいた。家ではエリカからしつこく干渉されうんざりしていたところ、自宅にリリーが訪ねて来る。友人との交流を断絶され続けていたニナは当てつけも兼ねて家を飛び出す。リリーと食事する中で、初めてのドラッグや男性と過ごす愉しみを知ってしまう

エリカからの電話も無視しリリーとタクシーで帰宅する。案の定怒ったエリカが待ち構えていた。反抗的な態度を問い詰めるエリカをあざ笑うように、リリーと部屋にこもり一線を超えたニナ。快楽の絶頂で目が覚めた時、すでにレッスンの時間を過ぎてしまっていた。エリカは反抗した娘をいたぶるかのように、起こさなかったのだった。

急いで向かったレッスン場で代役として踊るリリーの姿を見て焦りを隠せずリリーに対して、朦朧としていた昨晩の記憶の答え合わせをする。リリーはニナの家には一緒に帰っておらず夢でリリーを求めてしまっていたことが明るみになってしまった

新たな愉しさを覚えたニナの踊りは前日までと変わっていた。しかし、リリーが代役である事実は変わらない。トマにリリーだけは代役から外してほしいと懇願するが、なだめられはぐらかされる。

公演前日だというのに、リリーに役を取られまいと自主練習に励んでいると、レッスン場の電気が消え見かけた人影を追うと、トマとリリーが絡み合うところを目撃してしまった。しかしトマの様子が一変し黒い羽を纏った姿へと変わる。幻想に追われたニナは現実との境目がわからなくなるのだった。

【あらすじ④】幻覚は最高潮、舞台初日へ

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出典:映画『Black Swan』公式Facebook

主役を奪われるという不安を誰かと共有したいニナは、これまで盗んできたベスの所有物をかき集め病室へ向かった。しかしベスは未来を失った絶望から抜けておらず、「自分には何もないと爪ヤスリで自分を傷つけ始め怖くなったニナは逃げ去る。

帰宅しても気持ちは落ち着くことはなく、エリカが描いた絵にすら追いつめられ、自分をあざ笑っているように見えすべて破り捨てた。異変を感じたエリカが現れ、事情を聞こうとするがニナは拒絶。今度は部屋で着替えようとすると背中から黒い羽が生えている幻影に襲われる助けたい一心のエリカを突き放したが、ニナは気を失ってしまうのだった。

目が覚めたニナ。そばで付き添うエリカは、ニナが役に潰されることを何より心配していた。しかし、今のニナには主役を演じきること以外見えておらず、劇場へ向かった。
エリカから連絡を受けていたトマは、リリーが踊ることにしたと注げるが、ニナは聞く耳を持たない。「君の道をふさぐ者は君自身だ。解き放て」とトマは背中を押し、ニナは幻覚が治らないままステージに立った。

最初は順調に役をこなすニナだったが、他のバレリーナ達が視界に入るたび、不安が募り始め、ニナはステージ上でたった一つの大きな失敗を犯し、精神を圧迫されていく。
幕間ニナの部屋にはリリーが居た。そして、「私の番だ」とにこやかに微笑み、黒鳥を代わりに踊る提案を持ちかけてくる。

リリーともみ合いになり、誤って鏡を割ってしまったニナ。リリーがニナの首を絞め上げてくるのに対抗するため、咄嗟にガラスの破片でリリーを刺してしまう黒鳥の出番まで5分前。冷静になったニナは、リリーをバスルームに隠し、ステージに立つ。

これまでにない感情で情熱的な演技をしたニナに観客からの拍手喝采は鳴り止まなかった。黒鳥の成功に勢い余ってトマにキスをしたニナ。楽屋で隠したリリーの死体を誤魔化すため、血をタオルで隠した矢先、リリーが感動を伝えるためにニナの楽屋を訪ねて来る。状況が把握できないニナは、ふと自分のお腹に滲む血に気付く

全てが幻影だと悟ったニナは自分がおかしくなっていることに泣くしかできなかった。最終幕、再び白鳥として踊りきったニナ。客席ではエリカが目に涙を浮かべながら、ステージを見つめていた。
ラスト白鳥が自殺するシーンまで演じきったニナを、観客の拍手が包み込む。これまでにない熱演に感動したトマが駆け寄り賞賛する中、ニナは意識朦朧と完璧よ。と呟き目を閉じたいつまでも鳴り止まない、スタンディングオベーションの拍手の中で。

アカデミー賞受賞!豪華女性キャストに注目

主役ニナはアカデミー賞受賞のナタリー・ポートマン

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出典:映画『Black Swan』公式Facebook

今作で初めてアカデミー主演女優賞を受賞した、ナタリー・ポートマン。ハーバード大学へ現役入学をしている博識な女性ですが、女優としても数々の話題作に出演しています。
1994年公開のレオンでは2,000人以上もの中からヒロインを勝ち取った実力の持ち主。1999年より公開の『スター・ウォーズ』新三部作でのヒロイン、パドメ・アミダラ役の印象が強い方も多いのではないでしょうか?
ラブシーンなどで女性的な一面を見せること避け、強く賢い美人という印象を打ち破った今作では、清純な白鳥と情熱的な黒鳥を見事に演じきっています!

12歳までダンスを習っていたナタリー。念願叶って、ダンスに関する映画への出演となった今作では、撮影の1年以上前からバレエの先生を付け基礎作りも含め本物のバレリーナに近い生活を送ったそうです。厳しい食事制限とトレーニングで9キロ近い減量となった、今作ならではのナタリーの一面はお見逃しなく!

ナタリーとの濡れ場が見逃せない!ライバル役リリーはミラ・クニス

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出典:映画『Black Swan』公式Facebook

プライベートでも仲のいいナタリーと初共演となった今作。女の園のようなカンパニー内でライバルとなる役柄ですが、ただ嫌がらせをするような単純な立ち位置ではありません。母・エリカの束縛の中、20歳を超えてもバレエ以外の外の世界を一切知らない真っ白なニナが、嫉妬や欲情と言った新たな一面を見出すために欠かせないエッセンスなのです。

漆黒の狂気に満たす役柄のリリー、この配役に関してダーレン・アロノフスキー監督はオーディションすらすることなくミラの起用を決めたそうです。
ミラは今作でナタリーとのセックスシーンがあります。毎週買い物に行くほどの距離感の友人とだからこそ演じやすかったという、濃厚な絡み合いにご注目を!

元プリマ・ベス役に元清純派のウィノナ・ライダー


出典:映画『Black Swan』公式Facebook

今作ではナタリー演じるニナとミラ演じるリリーという若さの象徴だけでは物足りない仕上がりとなったでしょう。ウィノナ・ライダー演じるベスが居てこそニナの汚れなき野心は育ってきたと言えます
ウィノナといえば、1990年公開の映画シザーハンズ』で見せた初々しい姿が印象深い方も多いのではないでしょうか?その後、離婚や境界性人格障害の告白さらには万引きでの逮捕と怒涛のゴシップで、築いた地位から身を引いた時期もありました。2016年より配信されたストレンジャー・シングスシリーズでの好演により評判を取り返しつつあるウィノナ。50歳を過ぎた現在でも美しさは健在です。

元プリマのベスとウィノナの女優人生にリンクする“日陰”な部分と衝撃のシーンの数々を是非ご堪能ください。

鬼才ダーレン・アロノフスキーの壮絶エログロ演出がすごい


出典:映画『Black Swan』公式Facebook

今作の監督は、ドラッグに溺れた男女の人生の転落をセンセーショナルに描いた『レクイエム・フォー・ドリーム』などでハリウッドに新たな風を巻き起こしたダーレン・アロノフスキー監督。
ニューヨーク出身のアロノフスキー監督は、ハーバード大学で映画を学び、卒業制作で手がけた短編作品から高い評価受けていました。
2018年に日本公開予定だった『マザー!』は公開中止になるなど、アロノフスキー監督が送り出す“不可解な事柄”は全世界に衝撃を与え続けています。

今作では、ニナが抱く恐怖やプレッシャー、動揺の数々が幻影となり目の前に表れます。完璧な演技をするために障害となる小さな怪我を取り払う姿や、鏡を用いた幻影は精神の崩壊を示唆しています。もう一つの人格が自分を覗いているという恐怖は、今作を盛り上げる重要なエッセンスです。
さらにヒートアップするニナの自傷行為。肉体を「崩壊」させる幻影は、自分の理想に向かって突き進むニナにとってエネルギーとなり、本来ならば避けて通りたい痛みや恐怖を超越させてしまいます

同監督が手がけた『π(パイ)』では、主人公が“数学”に翻弄されながら、現実と妄想の狭間を生きる模様が描かれています。こちらも併せて鑑賞するとより世界観に浸ることができるかもしれません。

ニナの妄想はどこまでが現実でどこからが幻覚だったのか?


出典:映画『Black Swan』公式Facebook

現実と幻影の見分けがつきづらいシーンは多々。中でもインパクトのあるシーンをピックアップして、おそらくどこまでが現実で、どこからが狂気だったのか解説していきます。

1. ニナの自傷行為の数々

母・エリカも認識していたため自傷行為は本当にあったのでしょう
しかし、プリマ抜擢後。逆剥けを広げたり、背中を刺したり、といった大きな傷になりそうなものはニナが完璧なプリマを目指す上での障害でありクライマックス以外は妄想でしょう。

2. ニナとリリーのセックスシーン

本番直前、リリーの自宅を訪ねてきたリリー。一緒に食事をし、初めてのドラッグを経験したニナ。クラブで一緒に踊ったところまでは現実ですが、ニナはタクシーにリリーとは同乗していません。なぜならリリーはその晩一緒にいたトムと帰宅したからです。
幼い頃から母・エリカがバレリーナの道を諦めたのはニナを妊娠したからだと言い聞かされて来ました。その影響で異性に対して、閉塞的な20年間を過ごしたニナ。妄想することすら出来ません。無意識のうちに性的な魅力を感じて、自慰好意するため選んだ相手がライバルであるリリーというのは不合理なものですね。

3. 事故後のベス

今作では影の象徴とも言えるベス。リリーへの嫉妬と恐怖を抑えられなくなったニナが病室を訪ねたとき、ニナが密かに盗んでいた物を返します。すると、ベスはそのうちの爪やすりで自分を刺し続けるのです。
このシーンは幻想でしょう。なぜなら、ベスの奇行に怯え逃げ出したニナと様子を見に来た看護師はすれ違っています。現実に何度も爪やすりを自分に刺したのならば、看護師は騒ぎ立ててもおかしくないはず。しかし、何事も無いように物語は次のシーンへ。よって、他人に見えておらずニナだけが怯える描写は幻想でしょう。

4. トマとリリーの関係

母・エリカは、女遊びの酷いトマが娘に近づくことを懸念していました。さらに、ベスは資金提供者への会合後、ニナに罵声をあびせるとともにトマとの関係を露呈させました。しかし、ニナに対しては何度も二人きりになりながらトマは決して一線を超えません。兄妹関係の中で指導として煽っているようにも取れますが、明確な発言はありませんでした。
ですが、本番前日追い詰められたニナが見たトマとリリーの交わりは幻想と言えます。それはトマが黒い羽根を纏い、リリーはニナの顔に変わりゆく異常な状況であるからです。女性として魅力に溢れるリリーに憧れ、異性と関係を持つことへの興味がこの状況を生み出したのでしょう。

5. 本番当日

前日に見た、背中から生えた黒い小さな棘やエリカが描いた絵が不気味に表情を変えるといった幻想は、ニナの精神がピークに達していた象徴です。そして本番、ニナは代役のリリーに勝ち取った主役を奪われる恐怖から、リリーを殺してしまいます。これはまさに幻想のクライマックスですね。冷静を取り戻したニナが、部屋の中を見渡しても死体どころか血すら無かったのが現実であると示しています。

あなたはどう見る?衝撃の結末は現実なのか!?

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出典:映画『Black Swan』公式Facebook

監督からの明確な発言はなく、結末の真相やその後は見る者の想像に委ねられています
不気味なシーンが多い今作の中でも、クライマックスとなる「白鳥の湖」公演日。自分の精神が異常な状況に落ちていることに気づいているニナですが、後には引けず、代役のリリーに奪われるわけにもいきません。混乱と自信の無さは見せ場で大きな失敗を招きました。周囲を失望させてしまったという精神的な負担はさらにニナを追い立てるのです。

心底欲した主役に突き進むしかないニナは、リリーと幻想の中で争います。首を締められ命の危険を感じるなか、役である「鳥」のように首を細長く変化させ逃げ切るのです。まさに役と一体化した瞬間でしょう。しかし、当の本人はそのことにまだ気づいていません。ライバルであり邪魔者であるリリーを殺害。極度のパニック状態のなか、ひとまず隠してステージに向かいます。黒鳥のリリーを制し精神的にひとつゆとりのできたニナは解放されていました。「ブラック・スワンとして情熱的で鬼気迫る表情と踊りへと変貌していきます。会場は大熱狂。これまで得たことのない快感で満たされたニナ。

追い込まれるたびに傷つけていた肩の傷から、大きく真っ黒な羽が盛大に現れるのです。妖美な空気感を纏ったニナは、トマに自らキスをする余裕すらあります。以前はたどたどしく噛み返してしまったニナでしたがその時とは違った事情でトマの口に血をつけましたそれは自らの血であったのでしょう。

最終幕を目前に、白鳥の衣装に着替えるため楽屋に戻ったニナの前に現れたのはリリー。まぎれもなく生きているのです。ニナの黒鳥の演技を称賛するリリーの存在で現実へと一気に引き戻されたニナ。楽屋には死体などなく刺していたのは自らの腹部でした。それは自分のお腹に埋まった大きなガラスの破片で気づかざるを得なかったのです。ラストステージに立ったニナは痛みや恐れを超越しバレリーナとしての使命を全うしました。

「完璧だわ」と呟き、皮肉にもこれまで見せたことのない愉悦に満ちた表情で横たわります。トマを筆頭に団員が騒然とすることから、ニナが血を流して倒れているのは現実であるといえます。
そしてトマはニナに「マイ・リトル・プリンセス」と呼びかけるのです。ベスを称賛する際の呼び名と同じ呼び方で。

まとめ

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出典:映画『Black Swan』公式Facebook

バレリーナを描くと聞くと、煌びやかなステージや女性同士のドロドロなせめぎ合いを想像しがちです。しかし今作は、狂っていく主人公にのみスポットが当てられています余分な描写は少なく、じわじわと突き崩す演出はホラーと称されてもおかしくありません。
バレエを嗜みたい方には物足りない展開ですが、痛みさえも忘れて踊るニナことナタリー・ポートマンのひとり芝居には目が離せません。

主人公であるニナだけでなく、それぞれの役が目指すこととしてきたことについて考えさせられる深さを持った一作です。
「シリアスな映像と演出でひとりの心情を丁寧に描いた作品が見たい!」「見る人に結末を委ねてくれる映画が好き!」という方はぜひ観てみてくださいね!

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