『ハッピー・デス・デイ』のネタバレ解説|批評家も絶賛のループ系ホラーとは?
2017年にアメリカで公開されたホラー『ハッピー・デス・デイ』。非常に評判の良い映画でしたが、日本で公開するまでは時間がかかってしまい、待ち遠しく思っていた人も多いことでしょう。
よくある定番の「ループもの」ではありますが、ただのありがちなホラー映画ではありません。ストーリーから登場するキャラクターまで、全てが魅力的な作品です!
鑑賞者を飽きさせない設定から、ラストのどんでん返しまでハラハラすること間違いなし。少しドキっとする場面こそあるものの、心霊が登場するホラーではないので、サスペンスやスリラー好きにも楽しめるはずです!
この記事では、映画ひとっとびの編集部が『ハッピー・デス・デイ』を ネタバレ有りで紹介していきます!未鑑賞の方はお気をつけ下さいね。
目次
何度も誕生日の日に殺される……『ハッピー・デス・デイ』について
主人公が誕生日の一日をループし、何度も同じに殺される……非常に斬新なストーリーで、SNS上でも大きな話題となりました。「ループもの」はそう珍しいジャンルではありませんが、特殊なシチュエーションと設定が異質な雰囲気を醸し出しています。
ビジュアル・ポスターに映る赤ちゃんのお面も不気味で、ゾッとした人もいるのでは?一度見たら忘れらない強烈なインパクトがありますよね。
本作の監督はクリストファー・B・ランドン。あの世界を震撼させたホラー映画『パラノーマル・アクティビティ』シリーズの2~4、そしてスピンオフの監督を務めています。『ディスタービア』や『ヴァイラル』等、スリラーやホラー、サスペンスといったジャンルを得意としているのだとか。彼の手掛けた作品を観ると分かるのですが、ジワジワと追い詰められていく不気味な空気感がホラー好きにはたまらないはず。
ただ『ハッピー・デス・デイ』はそこまでホラー度が高くなく、ホラーコメディと称されるほどコミカルな一面も垣間見えます。ただ怖いだけではなく、何度もループして運命を変えていく主人公の行動力や、キャラクター性の高さも魅力の一つ。
題材が斬新なために鑑賞前からの期待値は高いですが、それを裏切らない丁寧な作品作りが評判の秘訣でしょう。
10秒でわかる『ハッピー・デス・デイ』の簡単なあらすじ
主人公のツリーは寮に住む、ちょっと派手な大学生。誕生日当日も男の部屋で目覚め、父親の電話も見事にバックれ、不倫まではたらく“今ドキ”の女の子です。
少々性格にも難があり、ルームメイトが作った誕生日ケーキも速攻でゴミ箱行きにしてしまいました。
そんな彼女が夜道を歩いていると、トンネルの中には一個のオルゴールが落ちています、音を奏でているオルゴールに近づくと、赤ん坊のマスクを被った人物が現れます。
不思議に思っているツリーですが、あっという間に刺されてしまい……苦しむ中目を覚ますと、再び見知らぬ男のベッドの上。こうして同じ誕生日の日を、何度も繰り返していくことになるのです……。
『ハッピー・デス・デイ』のネタバレあらすじ
以下、ネタバレとなりますのでご注意ください!
【あらすじ①】自由過ぎる女子大生、ツリーに起こる誕生日の悲劇
女子大生のツリー(ジョシカ・ローテ)は目覚めると、そこは同じ寮に住む友人・カーター(イズラエル・ブルザード)の部屋だった。前日は散々お酒を飲んでしまい、二日酔いが酷そうなご様子。彼から鎮痛剤を拝借し、そそくさと部屋を出ていった。
スマホの液晶に表示される日付は9月18日。そう、彼女は誕生日を迎えていたのだ。自身の父親から誕生日パーティーを開くとのことで、延々とスマホが鳴っているもののツリーは無視。二日世の頭を抱えて自分の部屋に戻ると、ルームメイトのロリ(ルビー・モディーン)から手作りのカップケーキを渡された。
本来なら喜ぶべきなのだが、二人はあまり仲がよくないらしい。手渡されたケーキを見事にゴミ箱へ放り投げ、ツリーはそのままキャンパスへと向かってしまった。
途中、カーターに会うも付き合っているわけではないので、どこか気まずい雰囲気になってしまう。彼女には大学病院の教授と不倫関係にあり、正式な彼氏はいないようだ。ロリはこの大学病院に勤務しているため、不倫に関しての小言を言われるも、ツリーには余計なお節介にしか聞こえない。
誕生日当日の夜、彼女が夜道を歩いているとトンネルの中からオルゴールの音が聞こえる。気になって見てみると、一つのオルゴールが落ちており、音を奏でていたのだ。不思議に思っていると赤ちゃんのお面を被った人物が突如現れる。
強気なツリーは怖気づくことなどしないが、あっという間に刺されてしまい、殺されてしまうのだった……。
【あらすじ②】何度も繰り返す悪夢の日々
トンネルにて刺し殺された後、目覚めるとカーターの部屋にいた。「まさか……」と思うと、日付は9月18日!つまりまた同じ“誕生日”に戻ってしまったのである。一回目の誕生日当日は「カーターの部屋で目覚める・父親からの着信・寮を出て勧誘をされる」など一連の流れがあったのだが、なんと全く同じ体験をしてしまう。
不思議に思った彼女はまた殺されぬよう、落ち着いた行動を取り始める。夜に誕生日パーティーへ向かう際は、例のトンネルは通らないようにした。夜道を気を付けながら歩くツリー、無事にパーティー会場へ辿り着くことができた。
しかし扉を開けると、あの赤ちゃんのお面を被った男が!恐怖に襲われ、ツリーは思わず男にパンチ。しかしそれは友人・ニック(ブレイン・カーン三世)のイタズラに過ぎず、無事にパーティーは開始されることになる。そこで彼女とニックは、ちょっぴりイイ雰囲気に……。
盛り上がる友人たちをよそに、ツリーとニックはベッドルームへ。二人だけの時間を過ごそうとした矢先に、あのマスクの人物が再び登場してしまう。最初はニックのイタズラかと勘違いしたツリーだが、またも昨夜と同様に殺されてしまうのだった。
そして目覚めるとカーターの部屋。殺されると9月18日に戻ってしまうことを、三回目にして彼女は知ったのである。一連の流れは前回、前々回と何も変わらない。
殺されたくないがために、この日は不倫相手の元にも行かなかったツリー。行動さえしなければマスクの人物は現れない――、そう思っていると寮の中にも殺人鬼は現れた!バスルームで殺されてしまい、四回目の誕生日を迎えてしまうハメになる。
カーターの部屋で目覚めたツリーは思い切って彼に相談。最初は信じてもらえなかったのものの、彼女の必死ぶりを見て嘘ではないことを確信した。そこで犯人に目星を付けていく方法を取ることに。
【あらすじ③】犯人は誰?
犯人と思われる疑わしい人物を挙げていくと、不倫相手の大学教授・グレゴリー(チャールズ・エイトキン)が思い浮かんだ。夜にこっそり彼の研究室へ入り、引き出しを開けるとあの赤ん坊のマスクが入っているのを見つける。
もう犯人はこの人しかいない!と疑いが確信に変わった瞬間だったが、そこへ例のマスクを被った人物が登場。グレゴリーさえも殺害し、彼が容疑者でないことがここで発覚してしまう。このままではまた襲われてしまうため、ツリーは駐車場にあった車で決死の逃走を図った。
殺人鬼から逃げきれたことに有頂天になる彼女だが、スピード違反で足止めを食らってしまう。しかしここで逮捕された方がよほど安全だと判断したツリー、頭のおかしな発言を繰り返して自ら捕まるように警察へと吹っ掛けた。
予定通り手錠をはめられパトカーへ乗り込むも、そこへしぶとく殺人鬼が……。警察官を見事にひき殺し、辺り一面にはガソリンが撒かれてしまう。手錠をされているため自由のないツリーは叫び、炎が燃え盛ると同時に目が覚めた。
今回はカーターの部屋ではなく、病院で目を覚ました彼女。それでも日付は変わっていない。そして同じ日を繰り返しているが、何度も殺害されているために、身体には大きなダメージが蓄積されていることを知ってしまう。
後にカーターへ相談していると、一つのニュースが耳に入ってくる。近頃若い女性ばかりを狙う連続殺人鬼・トゥームズ(ロブ・メロ)がいるようで、彼が犯人ではないか?と推測。トゥームズは大学病院に運び込まれたそうで、二人は早速その男の元へ向かうことに。
だが向かった矢先で、すでに死亡している警備員を発見。確かに赤ん坊のマスクの下はトゥームズで、三人は揉み合いに。カーターはそこで死亡してしまうが、ツリーは奴を追い込むことに成功。しかしこのままではカーターが死んだままになってしまうため、一度ツリーはわざと9月18日を繰り返すために自害した。
【あらすじ④】すべての元凶は……
自害したツリーは再び9月18日を繰り返すのだが、以前とは人が違ったようになっていた。声を掛けてきた友達さえ無視するような性格だったが、きちんと挨拶を返している。ロリと仲が悪かった点も見直し、不倫もやめるようグレゴリーに伝えた。
散々無視していた父親とも食事に出かけ、ツリーは段々と顔つきが変わっていったのである。それもこれも、カーターという存在がいたからこそ変われたきっかけとなったのかもしれない。
そして肝心のトゥームズがいる病院へ向かい、最終決戦へ。トラブルこそ起きてしまったものの、見事に彼を仕留めることに成功する。やっと9月18日が終わる、と安堵したツリーとカーターは二人で誕生日を心から祝い、ロリの作ったケーキを口にした。
だが悪夢は終わっておらず、目覚めると再び9月18日……。つまり殺したはずのトゥームズが犯人ではなかったことが明らかになる。理解できずに混乱状態へ陥るツリーだが、一つ引っ掛かる点があった。
それはロリのカップケーキ。同じ18日を繰り返すと、部屋では彼女がケーキを渡してくるのだ。それにトゥームズの入院していた病院は、ロリが勤務している。疑わしく思って、その件について言及すると、彼女はあっさりと「自分が犯人」という事実を激白するのだった。
元々グレゴリーはロリの彼氏だったそうで、ずっとツリーを妬んでいたと言う。ケーキに毒を入れて彼女を殺害したくなるほど、恨めしく思っていたのだ!二人は大げんかになり、部屋の中が滅茶苦茶になるほどの大乱闘が勃発してしまう。殺されそうになるツリーだが、何とかロリを窓から蹴落とし、彼女はこの世から去って行った。正当防衛ということで、ツリーは罪にはならなかった。
彼女が死亡したことにより、9月19日が訪れる。カーターとツリーは部屋にて、二人で喜び合うのだった。
『ハッピー・デス・デイ』のキャスト
ツリー役:ジョシカ・ローテ
見事に性格が悪い主人公(笑)ツリー。序盤は本当に悪態つきまくりで、なんて主人公だ!と驚いた人も多いはず。清々しいまでに性格が曲がっているので、友達を無視、父親を無視、手作りケーキを捨てるシーンはまさに苦笑モノ。そんな彼女は改心した瞬間から、顔つきが変わっていましたね。カーターといる時のツリーはとても幸せそうで、最後まで応援したくなるキャラクターでした。
そんな彼女を演じるのはジョシカ・ローテ。あの『ラ・ラ・ランド』のアレクシス役でよく知られています。元々は劇場女優出身で、素晴らしい美貌に釘付けになってしまいます。ツリーの性格の悪い演技は、拍手喝采モノですね!映画やテレビにも多数出演しているので、また日本公開作品にて、彼女の姿を見られるはず。
カーター役:イズラエル・ブルサード
事件解決のためにツリーをサポートする頼もしき男性、カーター。序盤ではただ優しい人という印象でしたが、ツリーの良き相談相手に、更には恋人になるのは少し予想外でしたね。最後の最後でわざとツリーに「9月18日だよ」と悪戯をする部分も、愛らしきポイント。彼の存在がなかったら、ツリーは今頃どうなっていたのでしょう?
カーターを演じるのはアメリカで活躍するイズラエル・ブルザード。まだ25歳という若手俳優ですが、10代の頃から芸能活動を続けています。演技力に定評があり、多くの作品で主演を務めているのだそう。これからの活動がますます気になる俳優さんですね。
『ハッピー・デス・デイ』が絶賛されるポイントとは?
①主人公の性格・力強さが新鮮!
意外な理由かもしれませんが、ツリーの性格が悪い点を絶賛している人は多いようです(笑)スリラーやホラーで「何もしていないのに悲劇に襲われる」「主人公が驚くほどの善人で応援したくなる」というのはよくあること。
しかしツリーはトコトン悪態を突き、終盤まで性格がブレない部分がとても新鮮だとは思いませんか?ただの遊び人程度ならそこまで突飛した設定ではないのですが、そこへ不倫や肉親への態度、そして友達へも高圧的というパーフェクト具合が、ある意味素晴らしいのです(笑)
そして彼女はトゥームズやロリへ真っ向から立ち向かっていく力強さがあります。か弱い女の子ではなく、車を盗んでかっ飛ばしていくなどパワフルすぎる一面も。非常に勇敢で行動的なのも、鑑賞者の心を惹きつける特徴となっていますね!
②ループものながら飽きさせないストーリー
何度も何度もカーターの部屋で目覚め、同じ誕生日を繰り返す「ループもの」の作品です。タイムループは映画でもよく見かけますが、本作はあちこちに伏線が散りばめられているために全く飽きさせないストーリー展開となっています。
朝カーターの部屋で目覚める、父親からの着信、カーターの友人が訪れる、など一連の流れを見事になぞっていくのですが、不思議と「くどさ」がないのです。物語のテンポがとても良いために中だるみはありません。むしろループしているシーンを観ることで「どこにヒントが隠されているんだ!?」という気持ちにもなってきますね。
序盤からヒントが隠されているのですが、最初はツリーの性格の悪さに驚いてそれどころではないはず(笑)わざと意識を逸らすようにしているんだな~と、作品作りの細かさをしみじみ感じられることでしょう。
③どんでん返しが秀逸!
終わったと思ったら、終わっていない……作中にはそんなどんでん返しがバンバン登場します。特にトゥームズを仕留め、終わったと思った矢先のループに、ツリー同様混乱した人もいるのでは?まさかラスボスがロリだったとは、と驚いてしまうはずです。
そして最後の最後は見事な揉み合いになるのも、また予想の斜め上をいきますね。揉み合いというか、もはや「乱闘」に近いでしょう(笑)部屋の滅茶苦茶になった場面から、いかにロリがツリーに激しく嫉妬していたかが分かります。おそらく不気味なマスクより、怖いのは女同士の恋の恨みなのかもしれません。
自慢したくなる!『ハッピー・デス・デイ』のトリビア3選
本作が絶賛されている理由がわかったところで、自慢したくなるようなトリビアを紹介します!
エンディングが変更されている!?
実は試写会時とは全く異なるエンディングとなっているのです。本作はハッピーな雰囲気で締めくくられるのですが、実はツリーが殺されるというバッドエンドが用意されていたそう。しかも殺害相手は不倫相手の奥さん、ステファニーの予定だったとか!
そのエンディングでも面白かったとは思いますが、試写会では酷評の嵐だっだそう。確かに犯人がステファニーだと、ロリほどのインパクトはないかもしれません。ですが理由は「不倫相手のツリーを憎んでいた」というもの。恋路が深い恨みへと変わってしまった点は、変わらないのですね。
ホラー・コメディと言われているワケ
『ハッピー・デス・デイ』はホラー映画なのですが、時折“ホラー・コメディ”と言われていることもあります。なぜコメディ?と気になっている人も多いですよね。なぜ“コメディ”が付けられているのかというと、ホラーというジャンルの割にコミカルなシーンが多いから、ということ。
確かにドロドロとしたホラーではなく、堅苦しくない部分はありますよね。またツリーの性格もコメディ要素の一つとしてとらえられており(笑)、彼女の勇敢さや言動は少しフフッときてしまうものがありますね。
赤ちゃんマスクを作った人は……
不気味な赤ん坊のお面・通称ベビー・マスクですが、こちらの制作者は有名映画『スクリーム』のマスクを造ったトニー・ガードナー!最初は豚をモチーフにデザインされていたようです。ですが監督のクリストファー・B・ランドンの中には赤ちゃんのイメージが浮かんでいたのだとか。
後に事務所で赤ちゃんのマスクを被って遊んでいたところ、全員の意見が一致し、あのマスクが誕生したそう!そうでなければ今頃、犯人のマスクは豚になっていたのですね。不気味だけどインパクトの強いマスクが生まれたのは、奇跡的な発想だったのかもしれません。
『ハッピー・デス・デイ』のまとめ
斬新なストーリー展開が魅力の『ハッピー・デス・デイ』。ホラーがあまり得意でないひとも観られるライトさがありますので、ぜひ挑戦して頂きたいものです。また恋人や友人と鑑賞するのもおすすめ。満足度の高い作品ですので、続けて続編も観たくなるほどの面白さですよ!
ぜひツリーと一緒にループの世界へ迷いこんで、一緒に犯人探しをしてみませんか?
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