これを知っていれば映画マニア!!カルト・ミッドナイト映画15選その②
大好評のカルト・ミッドナイト映画15選のパート2となります!カルト映画と言うのは前回紹介した『エル・トポ』が筆頭となり、“カルト”というカテゴリー分けが生まれました。
実際の定義づけは難しく、有名・マイナー問わず「一部の熱狂的なファンに絶大な支持を得ている」ことがカギとなっているのです。クオリティの高い・低いは関係ないため、いかに鑑賞者に愛されているかが重要ですね!
今回も隠れた名作(?)を沢山ご紹介いたしますので、カルト好きさんや興味を持っている方は要チェックですよ~。
目次
おすすめカルト・ミッドナイト映画
出典: Amazon
①ケンタッキー・フライド・ムービー
「マニアにはたまらないオムニバス形式のブラックコメディ」
あらすじ
舞台はアメリカ合衆国に存在するケンタッキー州。全90分で全22話のオムニバス・ストーリーが楽しめる。
おすすめ!カルトポイント
決してケンタッキー・フライド・チキンは全く関係ないのでご注意ください(笑)これといった筋書きはない映画で、全22話のオムニバス・ストーリーが延々と続いていく作品です。
あのファーストフードは全く関与していないのに、のっけから体に悪い「油」をイジる、女性の裸体や下ネタがバンバン登場する、「ニガー!」などと言ってはならない禁句が飛び出す、有名B級映画「燃えよドラゴン」を長尺でパクる……といった、これぞカルト映画!という要素がふんだんに詰め込まれています。
それをコメディ形式が進んでいくのですが、気軽にハハハ!と笑えるものから「これ、いいの?」と苦笑いしてしまうものまで、笑いのバリエーションが揃っているのも特徴的。もちろんアメリカン・ジョークや少々理解できないストーリーもありますので、好き嫌いはハッキリと分かれてしまうかも。
アメリカでの公開は1977年。撮影期間はたったの28日という超最短&低予算で制作された映画ですが、予想以上のヒットとなったのだとか。スタッフも当時は全員無名・新人であったにも関わらず、この作品で知名度を上げたといっても過言ではありません。
日本でも1978年で公開されており、実は1983年に地上波で放送されたのです。今ではテレビ放映ができないであろう作品のため、非常に貴重な時代でしたね!タブーとブラックコメディ満載の危うさがたまりません。バラエティ番組を観るような気持ちで楽しんでください。
②悪魔のいけにえ
出典:Amazon
「レザーフェイスはトラウマ級の怖さ」
あらすじ
アメリカテキサス州にて、近頃は墓荒らしが頻発しているという。若い男女5人組は墓荒らしに遭っていないか確かめるべく、里帰りをすることに。途中、ヒッチハイクにて青年(エドウィン・ニール)を車に乗せるも、彼は頭のおかしい言動を取り、車内は混乱する。結局青年を無理矢理降ろし、再度仕切り直したところガソリンが足りなくなってしまった。
ガソリンを分けてもらうために5人は民家を訪れるが、その付近にはソーヤー家という不気味な一家が住んでおり……。一人、また一人と殺されていくのであった。
おすすめ!カルトポイント
今となっては認知度も高い本作ですが、実は公開当初は大問題となったそう。グロテスクでショッキングなシーンが多いために、全米では公開禁止を食らってしまったのです。また罪のない男女が殺される、レザーフェイス(お面)は人間の皮膚で作られているという設定も、当時の人たちからすれば恐ろしいものだったのでしょう。
今やスリラー映画やホラー映画も発達し、随分と熱狂的なファンも増えました。しかしかつてはこういった映画がそう多くなかったために、処分や規制も厳しかったことが予想されます。
確かに現代のホラー映画を見慣れていても、『悪魔のいけにえ』は気味が悪く、終始イヤ~な雰囲気に包まれているんですよね。「どのホラー映画の中でもコレが一番怖い」と嘆く声もあるほど!嫌悪感を掻き立てる仮面、残酷な殺人方法、ソーヤー家の室内の荒れ具合……ホラー・スリラーの基本要素である「不気味さ」の全ての原点のような作品ですよ。
制作予算があまりなかったそうですが、チープな感じは見受けられません。「元祖・後味悪い系ホラー」であり、これを観ずしてホラー映画は語れないかも?続編やスピンオフも制作されているため、長く愛されている作品とも言えますね!
③デス・レース2000
出典:Amazon
「ついツッコミを入れたくなる、ハラハラ感皆無のレース」
あらすじ
舞台は西暦2000年。国民が毎年心待ちにしている「デス・レース」が開催されることとなった。ニューヨークからロサンゼルスまでの距離を走り、ただ一着になるだけでなく、様々な方法でポイントを稼ぎながらゴールを目指さなくてはならない。
スタート地点に立って、一気にゴールを目指す参加者たち。しかし昨年の優勝者であるフランケンシュタイン(デビッド・キャラダイン)は、ある目的を持って参加していた。邪魔をしたり、されたりで一気に白熱するレース。栄光を掴むのは、一体誰なのか……!?
おすすめ!カルトポイント
ツッコミどころしかない『デス・レース2000』。まずポイント稼ぎのルールは人を轢き殺すことであり、子供や老人など弱者を殺すことで更にポイントアップ!というマズすぎる内容(笑)
「安楽死デー」と称して車椅子に乗るお年寄りを道端に並べる看護師さん、今じゃ批判殺到間違いなしの描写がバンバン炸裂します。これぞカルト映画ならでは!と頷いてしまうほど、ブラックでマニアックな笑いがあなたを誘いますよ。
正直ストーリーもグダグダでまぁ酷い部分も多いのですが、約84分一気に観れてしまう不思議な中毒性があります。基本的にレース→休息→レースの繰り返しなので、内容もそこまで濃くありません。無理矢理ストーリーを引き延ばすために、エロシーンを盛り込んでくるのもB級あるあるなのかも(笑)
チープな雰囲気、ふざけた車などのデザインが妙に面白く思えてしまうのもおすすめできるポイント。絶対に現代では制作できないであろう“カルト感”を心行くまで楽しんで頂きたいですね。
アメリカで公開されたのは1975年で、あのシルベスター・スタローンが大ヒットする前に出演している作品でも知られています。超低予算であったため、ギャラも驚くくらい安かったのだとか……。しかしそれでも作品は一部で猛烈な支持を得て、シリーズも制作されているほどの人気ぶり。
公開から40年以上経ちますが、今でも映画館でリバイバル上映がなされるほどの熱狂的なファンが多く存在していますよ!
④バタリアン
出典:Amazon
「ゾンビ、強すぎない!?異色のゾンビ映画登場」
あらすじ
主人公のフレディ(トム・マシューズ)はある医療会社でバイトをすることになったが、上司のフランク(ジェームズ・カレン)から会社の倉庫にミイラと化したゾンビが保存されている事実を知らされる。二人は興味本位で倉庫へ向かってしまった。
奴らが保管されているであろう箱を叩くと、国の陸軍が開発したガス「トライオキシン245」が倉庫中に充満してしまい、大パニックに!異臭騒ぎとなり、二人は気を失ってしまった。
このガスには死体をよみがえらせてゾンビ化させてしまう働きがあるため、倉庫に保存されていた死体たちは次々とゾンビと変貌していく。気づけばあっという間に周りはゾンビだらけ。人間VSゾンビの壮絶な戦いが幕を開けた……。
おすすめ!カルトポイント
まず倉庫にそんな危険物体(と、物質)が納めてあること自体問題なのでは……と、のっけから感じてしまうほどビックリな設定。ゾンビといえば「殺してもよみがえる」「数が多い」「ゆっくりとした動作」といったイメージを抱きますが、本作のゾンビは想像を超える力強さ!
数の増え方は尋常じゃないですし、走るのはあり得ないくらい早いです(笑)基本ゾンビに見つかれば命はないレベルに襲い掛かってくるのも『バタリアン』ならでは。人間と同等の知恵もあるようで、彼らが電話を掛けている姿はシュールで、ついつい笑ってしまうはずです。
ビジュアル・ポスターを見ればゾンビが少し可愛らしいキャラクターに思えますが、実際動いているところは不気味。人間の脳味噌を食らいつくすシーンは、ちょっぴり生理的嫌悪感を覚えてしまうかもしれません……。
なぜかスウェーデンにて、理由もわからず上映禁止となった面白エピソードも(笑)ゾンビ映画の金字塔である『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の影響を大きく受け、作中でもそのタイトルが登場するほどです。ほぼパロディのようなものですね。
ゾンビ映画ファンにはたまらない、「脳味噌を攻撃しても死なない」常識を覆すゾンビたち。コメディタッチで描きながらもラストシーンはかなり辛辣。予想の斜め上をいく物語も、長きにわたって愛されている秘訣なのでしょう。
⑤悪魔の毒々モンスター
出典:Amazon
「掃除用モップが世界を救う!カルトすぎてB級すぎる?」
あらすじ
いじめられている気弱な青年・メルヴィン(マーク・トーグル)は清掃員の仕事をしていた。勤務先のジムに通う不良軍団にいつもいじめられ、馬鹿にされる生活を送っている。
ある日不良グループがひらめいたイタズラで、メルヴィンは騙されてしまい有毒廃棄物が入ったドラム缶へ体ごと突っ込んでしまう。そして気弱な出っ歯の青年から、顔が醜くひしゃげている、恐ろしき毒々モンスター(ミッチェル・コーエン)へ変化してしまったのだ!
モンスターへと変貌を遂げた彼は醜い見た目ながらも、悪者を嗅ぎつける特殊な能力を持っている。掃除用モップを持ちながら正義を振りかざし、町の悪者を懲らしめるべく立ち向かっていくこととなった。そして盲目の女性、サラ(アンドリー・マランダ)と出会うこととなり……。
おすすめ!カルトポイント
B級映画を専門に扱う「トロマ・エンターテイメント」によって製作され、『悪魔の毒々モンスター 東京へ行く』『悪魔の毒々ハイスクール』『チキン・オブ・ザ・デッド/悪魔の毒々チキンバリューセット』など様々な毒々シリーズを展開。1984年に公開されて以来、多くの作品が世に発表されています。
B級、そしてカルト映画ながら物語や設定がしっかりと作りこまれており、おバカ要素を含めながらも観る者を惹きつける魅力があります。「毒々モンスター」という醜く奇妙なキャラクターですが、観ているうちに愛らしく思えてくるのも非常に不思議な部分でしょう。
町中の悪を懲らしめるのがメルヴィンの役目だが、その内容は目つぶしや臓物が出てしまうほどの暴力など、少々やり過ぎ感も否めません。ですがトコトンやりこんでいく姿には、つい応援したくなってしまうほど。
見ているのがイライラするくらいいじめられっこで気弱な体質だった彼が、モンスターになることで変わっていく……そんなところも見どころの一つ。ただ悪者退治をするのではなく、その後の逆境が待ち受けるシーンまで丁寧に描かれているのが、本作の評価されるべきポイントでしょう。ストーリー性はしっかり、でも少しカルト要素も欲しい!そんな気持ちを満たしてくれるのが『悪魔の毒々モンスター』なのです。
⑥トレインスポッティング
出典:Amazon
「ヘロイン中毒の行く先は……若者たちの青春劇」
あらすじ
スコットランドで生きるレントン(ユアン・マクレガー)はろくに働きもせず、仲間達と共にヘロイン漬けの日々を送っていた。何度も薬物を断つ決断をするものの、そう簡単にはやめられない状態が続く。レントンは本格的にやめようと決意し、今度は女性関係に走るも、一夜を共にした相手がまだ学生なことに気づく。仲間達もそれぞれ失敗し、再びヘロインを使用してしまった。
しかしある日薬物が原因で、仲間内の赤ん坊が死亡してしまう。それでも辞められない青年達の暴走はエスカレート、遂には犯罪を犯してしまい……。堕ちるところまで堕ちてしまった若者達は、無事に這い上がることができるのだろうか?
おすすめ!カルトポイント
原作は小説である『トレインスポッティング』。自堕落な若者たちを映像化し、衝撃的な内容でカルト的人気を誇りました。ヘロイン漬けである序盤~中盤は画面も常に薄暗く、汚らしい雰囲気に包まれています。まるで地獄の底のような画が並び、特にレントンが駆け込んだ「スコットランドで一番汚いトイレ」のシーンを観れば、必ず身の毛がよだつはず。
働きもせずただただ薬物に溺れる若者たちの様は救いようがなく、気持ちがギュッと締め付けられることもあるでしょう。
しかし「観ていて鬱になる」映画ではなく、どこか爽快感があるのもクセになる点です。何度も薬物断ちに失敗したレントンが変わっていく様子から目が離せません。ヘロインの恐ろしさ、薬物中毒者の怖さを思い知れるほか、一人の人間の成長を見届けられるのも良いですね。
セックス・ドラッグ・バイオレンスと三拍子そろったこの作品、パンチのある映画を観たい時にはぜひどうぞ!
⑦アリス
出典:Amazon
「摩訶不思議なアリスの世界へ、ようこそ」
あらすじ
アリス(クリスティーナ・コホウトヴァー)は部屋で一人、退屈していた。すると何やら置物のウサギの入ったショーケースから音が聞こえる。注意深く見てみると置物のウサギは動き出し、ケースを割って出ていってしまった。懐中時計を気にしながら遅刻すると呟くウサギは、机の引き出しへと姿を消す。
気になったアリスは引き出しへ顔を突っ込むと、そのまま別世界へ……。ウサギを追いかけてもなかなか捕まらない。アリスはどうなってしまうのか?
おすすめ!カルトポイント
皆さんのよく知る『不思議の国のアリス』ではなく、ヤン・シュヴァンクマイエルが監督を務める実写×アニメーションが織りなす、摩訶不思議な異色の世界です。ただのおとぎ話ではなく、どこか残酷なダークファンタジー。アリス以外は全て人形であり、目が飛び出ている、可愛げのないキャラも特殊な世界観を作り出す重要な要素となっています。
ほとんど台詞がないのも特徴で、アリスのナレーションが淡々と進んでいくのみ。ウサギは置物であることから、身体の内側にはオガクズが詰め込まれています。ほころびればそれを自分で縫合する……なんだか儚いげで、どこか奇妙な気持ちになるのも『アリス』だからこそ。
本来『不思議の国のアリス』とは掴みどころのないストーリーで、主人公であるアリスも一言多いタイプ。本作は原作と全く別物となっているものの、“掴みどころのなさ”は非常に忠実です。夢々しい物語ではなく、大人向けのファンタジーを楽しみたい方にはうってつけでしょう。
オチもしっかりと用意されていて、ラストのどんでん返しに息を呑んでしまうはず。個性的な映像に気を取られがちですが、ぜひストーリーも推測しながら鑑賞して下さいね。
⑧マニアック
出典:Amazon
「マザコンの変態男が、日夜女性の頭皮を狙う狂気」
あらすじ
近頃のロサンゼルスでは、女性の頭皮が髪の毛ごと剥がされている死体が相次いで発見されていた。主人公の中年男性・フランク(ジョー・スピネル)はマネキンの修復技師として働いているも、女性への殺害が辞められずにいた。つまり犯人はフランク。頭皮を剥がしてはマネキンに被せて、夜な夜な愛でる行為を繰り返している。
犯行がバレずにいる中、フランクはアンナという女性カメラマンに対して恋をした。初めて自分を理解してくれる相手だと思い、どんどん彼女にハマっていってしまう。しかしアンナは、彼を恋人の対象と思っておらず……。
おすすめ!カルトポイント
生身の人間ではなく、マネキンに愛を注ぐ男の異様な姿を描いた作品。女性の頭皮を剥ぎ取ってマネキンに被せ、悦に入っている様はもうトリハダもの!性癖をこじらせてしまった救いようのない中年男を、ジョー・スピネルがリアルに演じています。
決して美しくない主人公で、でっぷりと太ったお腹、観る者をゾワッとさせる怪しげな演技に吸い込まれそうになりますね。また生身の女性を愛したことがないので、少し優しくしてくれるアンナが現れると「理解してもらった!」と思ってしまう妄想っぷり。現実にも存在しそうな迫力に、驚いてしまう人も多いはず。
残虐描写もそこそこにあり、おでこに刃物を突き付けて頭皮を剥がしていく時に「イタタタ……」と思ってしまうことも。物語はそこまで濃いものではありませんが、女性の頭皮に異常なまでの執着を示した作品。狂った男がどういった方向へ向かっていくのか、結末が気になって仕方がありません。
出典:楽天
⑨バスケット・ケース
「カルト・ホラーの傑作と呼ばれた、兄弟の復讐劇」
あらすじ
ニューヨークへやってきた青年・ドゥエイン(ケヴィン・ヴァン・ヘンテンリック)は大きなバスケットケースを抱えて旅をしていた。宿屋に中身を怪しまれるものの、決して人前で公開することはない。どこへ行くにもバスケットは必要で、ある医師の元へ向かっていく。
彼の右の脇腹には大きな傷跡があり、これはシャム双生児であった兄・ベリアルが切り離された跡なのである。ドゥエイン本人は至って普通の見た目をしているが、兄は化け物にしか見えない。恐ろしいほどの狂気で人を殺し、大量の食物を食らうモンスターのような存在であった。
ベリアルは自身を手術した医者を恨み、復讐を試みている。それに協力すべく行動していたドゥエインだったが、段々とすれ違いが生じて……。
おすすめ!カルトポイント
シャム双生児であった双子を大人の意思で引き剥がしてしまう、そして化け物の兄は捨てられた……という過激すぎる設定が話題を集めました。80年代カルトホラーの傑作とも言われています。ベリアルは恐ろしい見た目をしており、とてもドゥエインと同じ兄弟と思えません。
しかし二人は異常な絆で結ばれており、当初はベリアルに徹底的に加担します。というのも、兄の存在を全面から否定したのは彼らの父親。ドゥエイン本人は大切な兄と思っていたのでしょう。大人達の意志に振り回される子供、そしてそれが憎しみへと変わる――。そんな痛々しいメッセージさえ感じ取れるほどです。
また主人公である兄弟が、どんどんすれ違っていってしまうのも見どころの一つ。弟は生身の肉体を持っていますが、兄は人間としての形ですらないのです。しかし意思だけはハッキリと持っており、その部分は人間となんら変わりはありません。やるせない現実に、鑑賞者も胸が締め付けられるはず。
様々なメッセージ性を含んだ考えさせられる作品です。ただ怖いだけのホラーでは満足できない方におすすめですよ。
出典:Amazon
⑩タクシードライバー
「英雄と狂人は、紙一重なのかもしれない」
あらすじ
小さなタクシー会社に、ドライバー希望の男性が現れた。彼の名はトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)、近頃不眠症が続いているため、あえてタクシー運転手という職業を選ぶことに。孤独を生きる彼は、通常の運転手なら嫌がるような歓楽街や黒人街も躊躇なく行くため、仲間内では「銭ゲバ」呼ばわりされているのだった。
あまり人との関わりが得意でないトラヴィスは、気になる相手ができてもうまくアプローチできず空回り。日に日に心が荒んでいくさなか、幼い娼婦の女の子がタクシーへ乗り込んでくる。すぐに客引きの男に連れ去られるも、彼が自分の方向性を決めるにはふさわしい出来事だった。そしてトラヴィスは自分の手で、悪党に手をかけることを決意する。
おすすめ!カルトポイント
戦争帰りのトラヴィスはその後遺症で不眠に悩まされ、眠れないのを理由にタクシードライバーを始めます。常に孤独のため楽しみはポルノ映画くらい。仕事仲間もおらず、好きな人が出来ても空回りして、むしろ相手に罵声を浴びせる始末……。不器用な男が歪んだ正義を手にし、振りかざしていく様子はどこか狂気的なものを感じます。
一般的な映画なら、孤独な男が正義に目覚め、人生が明るくなる……という筋書きでしょう。しかし本作は決して“真正面からの正義”ではないのです。娼婦を見かけても助けてあげたいというよりかは、自分の自己満足のために動いているといった感じ。
「人間味のない正義」と言っても過言ではないでしょう。鑑賞後の無機質な感覚は、他の映画では味わえないはず。決して鬱になる映画ではないのですが、いい意味で心が満たされない作品かも……?
出典:Amazon
⑪アタック・オブ・ザ・キラートマト
「Z級映画とも称されるトマトがメインの脱力系映画」
あらすじ
とある町で、一人の女性が死体となって発見された。血まみれに思えた死体だったが、実は全身トマトまみれだったということが明らかになる。次第にアメリカのあちこちでトマトによる被害が相次ぎ、調査をしたところ突然変異によって凶暴化しているとのことだった。
とにかくこの被害を止めねばならない、と特殊捜査のチームまで結成。本腰をいれて大人たちはトマトへ立ち向かうこととなる。
おすすめ!カルトポイント
まずあらすじを読んでいるだけで、何が何だかわからないはず(笑)そうなんです、“トマトが突然狂暴化して人々を襲う”という、つい二度聞きしてしまうような内容なんです!トマトによって人々が殺され、町中は大パニックに。
低予算&チープであるために、トマト本体が恐ろしい化け物だとか、そんな細工は一切ありません。ただただ普通のトマト(一部ホンモノあり)が人々の顔や身体めがけて飛んでくる→大騒ぎする人々、というシュールな光景が繰り返されます。まるでドリフのような「分かり切ったギャグ」も次々と連発され、全身の力が抜けるような感覚を覚えるはず……。
しかしながらここまで突き抜けたZ級映画もそう存在しないために、公開当初から大人気を博したのです。完全にふざけきった作品って、実はそうそう見つからないんですよね。お涙頂戴要素もなし、とにかく最後までおふざけを貫いている姿勢が、大きな人気に繋がったと予測できます。
カルト的な人気を誇るため、日本国内でも度々リバイバル上映がされていますよ。また長い時間を経て、次作の『アタック・オブ・ザ・キラードーナツ』も2016年に登場。何も考えたくない時に観ると、ほどよく体の力が抜けるのでオススメです!
出典:Amazon
⑫血の魔術師
「お腹がいっぱいになるほどのスプラッター・ムービー」
あらすじ
舞台上でショーを展開する魔術師・モンターグ(レイ・セイガー)は若い女性を血に染め上げる残虐ショーを展開していた。見るも無残な姿で痛ましく女性を痛めつけるも、気づけば元通り。彼のイリュージョンは多くの観客の心を掴み、会場は満席になっていた。
ショーを観てモンターグの存在が気になったシェリー(ジュディ・クレア)は、彼にテレビ番組の出演を依頼。だが許可をしてくれることはなかった。しかしショーに登壇した女性は後に死亡していることが発覚し、殺害方法はどちらも共通している。彼のトリックにはどのような仕掛けがあるのだろうか?
おすすめ!カルトポイント
監督のハーシェル・ゴードン・ルイス氏はスプラッター映画を得意としています。そのため容赦のない残虐描写が炸裂、苦手な方は拒否反応を示すレベルのためお気を付けください。モザイク一切なしの臓物がアップになり、これでもか!というくらいの血が吹き出ます。
モンターグの残虐ショーは容赦がなく、腹部を裂かれる、首を斬るなど見るも無残なものばかり。グロテスクなシーンはとてもこだわりがあるようで、体内から飛び出す臓物がとてもリアル……。全体的にチープではありますが、臓物に対する気合はやたらと入っています(笑)
ラストのオチは、ちょっぴりB級感が否めません。残念なような、でも世の中ってそんなもんなような、不思議な気持ちになる作品です。
出典:Amazon
⑬キャリー
「超能力を持った少女は、血の雨に濡れる」
あらすじ
高校生のキャリー(シシー・スペイセク)は内向的な性格をしており、いつもクラスメイトからいじめられていた。ある日体育の終わりに初経が来てしまったキャリー。母親のマーガレット(パイパーローリー)はキリスト信者であるためにそういった教育をしていなかったのだ。驚くキャリーに、クラスメイトのいじめは加速する。
体育教師はそんないじめを見かねてクラスの女子たちを厳しく注意。そして今まで嫌がらせをしたお詫びに、ある人物がキャリーをパーティーへ誘うこととなった。またいじめのワナだと思う彼女だが、パーティへ行く決心をする。
おすすめ!カルトポイント
スティーヴンキングの小説が原作となっているホラー映画。心霊が出てくるのではなく、スティーヴンキングお得意の「人間の恐ろしさが滲み出ている」タイプのホラーです。キャリーは感情が高まってしまうと、傍にあるものが壊れる・動くといった超能力を持っているのです。
何より怖いのはいじめっ子たちと、キャリーの母親。初経が来たからといって実の娘を物置に閉じ込める姿は、異常としか思えません。パーティーへ行くことを告げてもとにかく大激怒!ここまで娘を口汚く罵る母親キャラモ、そうそう見かけないような……。
じっとりと滲み寄る不気味さ、怖さがとにかくたまりません。最も盛り上がるラストシーンまで、絶対に目を離さないようにして。
出典:Amazon
⑭CUBE
「狂いそうになるほどの閉鎖感に、あなたは耐えられる?」
あらすじ
目が覚めると、立方体の四角い部屋に閉じ込められていた男女。全員部屋に連れてこられた記憶があいまいで、共通して同じ服を着ている。なぜ部屋に閉じ込められたのかは分からず、困惑する中、建物全てが立方体の部屋で作られていることを知る。
脱出方法を考えるも、ワナが仕掛けられている部屋もあり、そう簡単に外へは出られないらしい。一同は協力して部屋の脱出を試みるが……。
オススメ!カルトポイント
ソリッドシチュエーションスリラーの金字塔として知られる『CUBE』。延々と続く立方体の部屋を観続けていると、妙な気持ち悪さを覚えますね。理由もわからず閉じ込められた男女達が協力して脱出を試みようとしますが、死人が出るほどのワナが仕掛けられている部屋も存在するのです。
一切外の様子は描かれず、全編通して立方体の部屋しか登場しません。場面が変わらないのはつまらないのでは?と思われそうですが、この「一つの舞台にくくる」のは非常に緊迫感が生まれます。鑑賞者は閉じ込められていないのにも関わらず、どこか息苦しささえ覚えるほど。まるで自分も立方体の中に閉じ込められてしまうような錯覚に陥ってしまうのですね。
そんなリアルさがとてもクセになりますし、テンポの良いストーリーに誰もがハマってしまうはず。また「狭い部屋に長時間閉じ込められたら、人間はどうなるのか?」といった、観察的要素も含むでしょう。一作だけではすべての謎が解明されないため、ぜひ続編もご覧くださいね。
出典:Amazon]
⑮アイズ・ワイド・シャット
「仮面のシーンはトラウマレベル!」
あらすじ
夫婦であるビル(トム・クルーズ)とアリス(ニコール・キッドマン)は、一見幸せそうな家族。家庭も裕福で7歳の可愛い愛娘もおり、はたから見れば何一つ不自由がないように見えているのだ。実際に仲が悪いこともなく、円満な夫婦生活を送っていた。
しかし結婚8年目となるとマンネリ化は否めない。更には二人が行ったパーティが原因で口論になってしまい、アリスには忘れられない人がいると衝撃的な告白をするのであった。ビルは大きなショックを受けるも、次第にアリスがその男性に抱かれる妄想をするようになってしまう。
おすすめ!カルトポイント
まるで成人映画!?と思ってしまうほど大胆なシーンが多い『アイズ・ワイド・シャット』。仲は良いけどマンネリ感が否めない、結婚生活8年目の二人。そのリアルさが話題を呼び、共感する声も多数あがったのだとか。
よくある純愛映画なら喧嘩をして仲直り~の流れですが、本作はビルがいらん妄想にふけってしまいます。挙句の果てには富豪たちが集まる怪しげなパーティーにまで足を運び出し、「愛とは何か?」と深く考えさせられる作品となっているでしょう。一筋縄ではいかない夫婦の悩みを、また違った切り口で展開していくストーリーには脱帽!
過激な描写も多く、パーティーでの仮面のシーンはトラウマになった人も多いはず。観る人を選ぶ映画ではありますが、今なお多くの男女から支持を受けている名作です。
まとめ
前回よりもコア要素が強めの作品を中心にご紹介致しました。かつてはDVDレンタルがなかったまぼろしの作品も、現在では配信やBlu-rayなどで華麗な復活を遂げています。またリバイバル上映も度々行われているため、機会があれば映画館へ足を運んでみるのも良いでしょう。
観ていればあなたも熱狂的な一部のファンになってしまうかも?気になる作品はぜひチェックしてみて下さいね!