【微ネタバレ】現代に通じる名言ばかり!『コクリコ坂から』に登場する名言・名セリフをご紹介
日本アカデミー賞優秀賞、ゴールデンクロス賞日本映画部門では銀賞、東京アニメアワード優秀作品賞・音楽賞と数々の賞を受賞した評価の高い作品『コクリコ坂から』。2011年に公開され、興行収入は44.6億円という素晴らしい数字を叩き出しました。
元々は『なかよし』に連載されていた漫画ですが、スタジオジブリによって制作が行われ、設定の改変やオリジナル要素を加えたアニメーション映画となっています。『上を向いて歩こう』というシンプルかつ真っすぐなキャッチコピーは、物語の世界観をよく表現していると言えるでしょう!
学校を舞台にした恋愛映画なのですが、本作にはどんな名言が散りばめられているのでしょうか?
印象に残るセリフたちをご紹介致します!
目次
『コクリコ坂から』のあらすじ
舞台は昭和38年、夏。主人公の松崎海(長澤まさみ)は海外へ行った母の代わりに「コクリコ荘」を切り盛りしていた。父親は船乗りだったが、朝鮮戦争にて命を落としている。海の日課は毎朝コクリコ荘のある丘に旗を掲げること。少女でありながら自立する海を見て祖母・花(竹下景子)は「いつか代わりに旗をあげてくれる人が現れるといいのだけど」と、彼女を少しばかり心配していた。
そんなある時、校内で配られた新聞「週刊カルチェラタン」にて旗を上げる少女についての記事が掲載されていた。海のことを指すのではないかと騒ぐ友人に、彼女本人もちょっぴり興味が湧く。
その後、記事を読んだ日の昼休みは大騒ぎとなってしまう。どうやらカルチェラタンでは部室が設けられているようだが、建物本体の取り壊しが決定したらしい。猛抗議する生徒達に圧倒される海たちをよそ目に、一人の男子生徒が高い位置から防火水槽へ入水。まるでデモのような騒ぎっぷりだが、飛び込んだ男子生徒に海は手を差し伸べてしまう。それがカルチェラタン取り壊しの反対運動に積極的に取り組む風間俊(岡田准一)との出会いだった。
二人が手を取り合う姿を写真部に押さえられ、ちょっぴり不機嫌になる海。しかしこの風間との出会いが、彼女の心を動かす出来事へと繋がるのだ――。
【ネタバレ】『コクリコ坂から』の全あらすじを解説!昭和を舞台にした青春物語の魅力を紹介『コクリコ坂から』の印象的な名言・名セリフ
本作は淡い恋心を抱く海と風間の青春劇を描いていますが、ただの恋愛映画ではありません。カルチェラタン取り壊しに対する生徒たちの意識的な取り組みには感動を覚えますし、二人の関係性にはどこか切なさを覚える場面も。非常に”深い”物語が、美しい映像と情景描写で進んでいくのです。夏の横浜、そして懐かしの昭和30年代の風景は言葉で言い表せぬほどの温かさがありますね。
そんな映像の美しさに加え、印象的なセリフや名言が多いのも『コクリコ坂から』の魅力の一つ。真っすぐで素直な少年少女たちだからこそ織りなせる言葉たちを、ぜひお楽しみください!
【名言①】「素敵な人ができて、あなたが旗を上げなくてすむようになったらいいのにねえ」
これは松崎花、海の祖母が彼女を心配して発したセリフです。海外へ行った母の代わりに「コクリコ荘」を一生懸命切り盛りする海、毎日7人分の食事を作る姿はまるでお母さんのよう!「夕食を作るから、帰るわ」と友達の誘いでさえ断るほどで、自分の仕事を全うしています。
毎日父を想って旗を上げる海に対し、花はどこか寂しさを覚えたのかもしれません。毎日頑張っている孫の姿を見ているからこそ、彼女をしっかりと支えてくれる人がいれば……などと思い、この言葉がポロリと出たのでしょう。海に対する思いや花の優しさが溢れているセリフですね。
ちなみに花の願いは見事に届き、毎日旗を上げる姿を見届けてくれる人物がいました。物語の展開をそっと期待させてくれる、序盤の大切な名言です。
【名言②】「これ買ったの、30円で」
カルチェラタン取り壊しの抗議パフォーマンスのために、自ら防火水槽へ飛び込んだ風間俊。この勢いの良さに生徒たちは大興奮!たちまち校内で大注目を浴びることとなりました。そんな彼に手を差し伸べてしまい、2ショットまで撮られてしまった海は恥ずかしさのあまり、ツンツンとした態度を取ってしまいます。
最初はあまり彼のことをよく思っていなかったのですが、放課後「風間さんのブロマイド買っちゃった」を微笑む妹・空の姿が……!30円で購入してしまい、サインが欲しいからと海にカルチェラタンへ同行するよう頼み込みます。行かないと言い続ける海、結局は空と一緒に足を運ぶことになるのですが。
妹の空は海と違って少しおてんばな感じ、異性やオシャレに興味津々の”今ドキ”の女の子なんです。まさか彼女がブロマイドを買っているなんて……という「ちゃっかり具合」もまたチャーミングなポイント。とは言え空は最終的に、違う人物と良い感じになるんですけどね(笑)
【名言③】「古いものを壊すことは、過去の記憶を捨てることと同じじゃないのか!人が生きて、死んでいった記憶をないがしろにするということじゃないのか!」
カルチェラタンの取り壊しに関する全学討論会にて、猛反発をした風間が発した言葉です。このあと彼は「新しいものばかりに飛びついて過去を顧みない人々には未来がない」「少数派の意見に耳を傾けない奴らは民主主義を語る資格はない」と続け、討論会は大騒ぎに。乱闘が勃発した瞬間教師が現れ、水沼のとっさの判断によりピンチを免れました。
大人たちからすればカルチェラタンの取り壊しなど、そう大きな問題でないのかもしれません。それに明らかに老朽化しているであろう建物でしたから、せっかくなら新しいものをと考えた生徒もいるのでしょう。しかし風間は「古いものは壊して新しくすれば良い」という思想について反対の声を上げています。
少し大げさにも聞こえる発言ですが、カルチェラタン以外のことに当てはめて考えると非常に重みのある言葉ではないでしょうか?新しいものが出れば古いもの・過去のものは忘れ去られていく、ありがたみさえも忘れてしまう。それを提供してくれた人々の記憶さえもないがしろにする――きっと彼はそのようなことが言いたかったのだと推測します。
何事も便利になった現代社会、しかしそういった過去の記憶や有難みを忘れている私たちには、非常にハッとさせられる名言です。
【名言④】「嫌いになったのならはっきりそう言って!」
解体に反対の声を上げる生徒は少なかったので風間や水沼は苦戦を強いられていました。ひどく汚れており女子には入りづらい空間のカルチェラタン、そこで海は「いい建物だから掃除をしたら?」と彼らにアドバイスを送ります。それがきっかけで協力してくれる生徒も増え、海と風間の距離も徐々に縮まっていくこととなりました。
しかしだんだんと風間の態度がよそよそしくなっていきます。力を合わせて掃除をしていたのかと思いきや、別のポジションへ行ってしまう彼。号外を配っている時も彼女に新聞を渡さず、挨拶だけをサラッと交わす程度でした。
そんな彼の態度にやきもきする海。「嫌いになったのならはっきりそう言って!」と風間に詰め寄るも、そこには苛立ちではなく少しの寂しさが見え隠れしています。私たちからすれば「風間は”好き避け”をしているんだなぁ」と思いますが、当事者である彼女からすれば悲しい問題。甘酸っぱい二人のやりとりに、ついドキドキしてしまうセリフです。
【名言⑤】「私、風間さんが好き。血がつながっていても、たとえ兄妹でも、ずーっと好き」
物語の核心に触れる部分となりますが、実は海と風間は書類上での兄妹だったのです。そのことに衝撃を受けてしまうのですが、最終的には気持ちを振り切って彼に告白をします。一方で風間もお互いの関係性や事実に揺れ動いていたので、一時は彼女を「今まで通り、ただの友達」と言い放ったり、現実を「安っぽいメロドラマ」と言い表すこともありました。
ですが二人は相思相愛だったのです。彼女が旗を上げ続けている時からずっと、結ばれる運命にあったのでしょう。海の告白を受け止めて風間は「オレも好き」と自分の思いを吐き出すのでした。
「血がつながっていても、たとえ兄妹でも、ずーっと好き」……このセリフにこれ以上の説明が必要でしょうか?(笑)確かに二人の関係性は客観的にみれば非常に複雑なものとなるでしょう。ですがそんな障害をも超えるくらいの気持ちを、海は相手にぶつけているのです。ストレートなセリフではありますが、二人の間にまどろっこしい言葉などいりません。この告白シーンを見ているだけで胸が熱くなりますね!
『コクリコ坂から』の名言・名セリフまとめ
甘酸っぱい青春模様が繰り広げられる『コクリコ坂から』。爽やかな物語を心行くまで楽しみたい方におすすめの作品です。生徒たちがカルチェラタン存続に奮闘し、一致団結していく姿も見どころの一つ。ちょっぴり切なくなりたい時に観ると、より心にジーンとくるものがあるでしょう。
恋人と観ればより彼との距離が縮まるかもしれません。恋愛って素敵、そんなことを再確認できる作品と言えますね!忘れかけたあの日の気持ちを、ぜひ思い出してみませんか。