どんでん返しが秀逸!映画『最後まで行く』はラストまで目が離せないクライム・サスペンス!
2023年5月19日公開のサスペンス映画『最後まで行く』。2014年に韓国で制作された作品を日本版にリメイク。
岡田准一さん、綾野剛さんをはじめとした豪華キャストが勢ぞろい!今、話題沸騰中の映画といっても過言ではないでしょう。
大雨のなか母の危篤の知らせを受け、車を走らせる主人公の工藤刑事。仕事に忙殺され、自身の起こした裏金問題が漏洩。
焦る気持ちが抑えられず動揺していううちに母は死亡。絶望した瞬間にその場で男性をはねてしまうなど、不幸が次々と重なります。
窮地に立たされた工藤に拍車をかけるかのごとく、様々な出来事が降りかかり……。果たして彼はどうなってしまうのでしょうか。
緊張状態が続く96分間です。あなたも「最後まで」、工藤の行く末を見届けてみませんか。
目次
映画『最後まで行く』について
なかなかインパクトが強いタイトル『最後まで行く』。2014年に韓国で大ヒットして以来、中国、フィリピン、フランスでリメイクされ、満を持して日本版が誕生しました。
タイトルは国によって異なるため、気になる方は以下の通りに検索してください。
- 『ピースブレイカー』(中国)
- 『A HARD DAY』(フィリピン)
- 『レストレス』(フランス)
映画ファンの間では韓国オリジナル版の定評が高く、日本での公開を心待ちにする声が多く挙がりました。
韓国では5週連続映画ランキングNo.1を記録した本作を手がけるのは、藤井道人監督。
映画『余命10年』や『ヴィレッジ』、ドラマ『アバランチ』で知られ、日本映画界を代表する人物と言えましょう。
『余命10年』では30億円を越える興行収入を叩き出し、今回の『最後まで行く』にも大きな期待が寄せられています。
10秒で分かる!映画『最後まで行く』の簡単なあらすじ
12月28日、年の瀬。刑事の工藤(岡田准一)は妻・美沙子(広末涼子)より母の危篤の知らせを受け、大雨の中車を走らせていました。
大急ぎのなか課長(杉元哲太)から一件の着信。彼らが所属する埃原警察署の裏金問題が週刊誌にタレ込まれ、関与していることを疑われます。
心当たりがあるため動揺を隠せない工藤。なんとか電話を切り、焦る気持ちを押さえて運転を続けていると再度美沙子からの着信が――。
「お母さん、亡くなったって」。
裏金問題の漏洩、母の死。災難が一気に降りかかってきた工藤は絶望し、気を抜いた瞬間、男性を車ではねてしまいました。
男性は即死。動揺した工藤は自分の立場を守るために死体をトランクに入れ、事実を隠蔽。なんとかその場を乗り切りますが、事故を陰で見ていた人物がいるのです……。
映画『最後まで行く』のネタバレあらすじ
以下は映画『最後まで行く』のネタバレを含んだあらすじです。
未鑑賞の方はご注意ください
【あらすじ①】重なる悲劇
12月28日、刑事の工藤(岡田准一)は大雨の中車を走らせている。通話の相手は妻・美沙子(広末涼子)、母が危篤状態なのだ。
慌てていると上司の課長(杉元哲太)から着信が。急いでいるためぶっきらぼうな態度を取る工藤だが、課長の口から衝撃の事実を伝えられる。
「ウチの埃原(あいはら)警察署で仙葉組から裏金をもらった話が週刊誌にリークされた。もうすぐに署に管轄がやってくる。お前、カネ受け取っただろ?」と……。
「もらった」とは答えられない工藤は課長も受け取っただろう、自分だけのせいにするなと反論。
無理矢理電話を切ると、立て続けに美沙子からの着信が。危篤状態の母は、もう亡くなっていた。
絶望をする工藤だが病院へ向かわねばならない。心ここにないまま運転を続けると、見知らぬ女性が飛び出してくる始末。
間一髪のところで事故は起きず、安堵した瞬間男性が飛び出してきた車と衝突……。慌てながら車を降りると、男性は血を流して死んでいた。
母の死、裏金問題の漏洩、そして事故。度重なる悲劇に動揺を隠しきれない工藤だが、向かいからパトカーがやってくることに気づく。
息を潜めながら隠れ、判断能力を失った彼はトランクに死体を投げ入れ、そのまま病院へ向かった。
だが、すぐ近くで飲酒検問が行われており交通課の梶(山中崇)に止められてしまう工藤。
工藤は飲酒運転をしていたのだが、自身が刑事であることから「少しくらい見逃してくれ」と懇願。
梶は工藤の悪行を知っているため、諸々のことをやり過ぎだと批判。
車のガラスが割れているのをすぐに見つけ、事故を疑われてトランクを開けられそうになる。
【あらすじ②】疑われる工藤、隠蔽のアリバイ
死体を見られるわけにいかない工藤は交通課と揉めて大騒ぎに。そんな中、タイミングよく監察課の矢崎(綾野剛)の車が到着し揉み合いはおさまった。
矢崎は工藤に用があり、このあと署に来てほしいと言うが病院へ行かねばならない。母の死を伝え、病院の帰りに署へ向かう約束をした工藤は難を逃れた。
病院へ到着すると、時間が掛かったことを怒る美沙子。2人は別居しており、夫婦仲は最悪である。
葬儀屋が来て葬式の話をする間も電話が鳴りやまない。矢崎が署で待っていたため、課長は工藤の来訪をせかす。
だが工藤は死体をどうするかばかりを考えており、葬儀屋の話も一切耳に入ってこない。
署に戻らない工藤を病院まで迎えに来る課長と久我山(駿河太郎)。不審な行動を察されまたもトランクを開けられそうになるが、葬儀場の換気扇の中に隠していたためセーフ。
翌日の朝一番に矢崎と会うようにきつく言われ、この日は何も知られずに済んだ。
翌日、矢崎に会い、責められるかと思いきや裏金問題は監察課で揉み消すとのこと。
だが矢崎は「工藤さん、他に隠していることはありませんか」と、挙動不審な工藤の様子を見て言葉を掛ける。
一瞬迷うものの殺人に関して口を割れない。何事もなかったかのようにその場をやり過ごす。
死体と事故をどう隠すか悩んだ工藤は自身の車をわざとぶつけて代車を使用。
そして葬儀場ではお通夜をせず「母と一晩を過ごしたい」と希望し、個室で棺桶と自分一人の空間を手に入れることに成功。
換気扇に隠した死体を天井裏から運び出し、棺の中に入れる工藤。このまま火葬されるのを狙う完璧な裏工作だ。
【あらすじ③】「お前は人殺しだ、知っている」
裏工作をしていると仙葉組の組長、仙葉(柄本明)がやってくる。
この組から裏金をもらっていた工藤。母の病院代などで出費がかさみ、彼は残された借金のためにお金が必要なのだ。
仙葉は工藤が今の状況から脱するため、とある寺に大量の裏金が隠されている秘密を話す。そのカギを握るのが麻薬取引の凶悪犯、尾田(磯村勇斗)という人物らしい。
尾田を逮捕すれば全てが解決ということで、仙葉は「尾田パクれ」と軽々しく言うのだった。
だが、翌日署で資料を見て愕然とする工藤。尾田はあの日車で轢き殺した人物だったのである。
当然尾田が消えている事実を知らない刑事たち。工藤は悪行が知られないよう何とかかわし続け、いよいよ12月31日の葬式を迎えた。
葬儀場へ向かうと知らない番号からメールが届く。「お前は人殺しだ、知っている」と……。
何件かメールが届いた矢先に非通知の着信。電話に出ると尾田の死体をどこにやったかを問われるが、工藤はしらばっくれる。
電話の相手をバーカ!となじると外では矢崎が待っており、車から引っ張り出されて暴力を振るわれるハメに。工藤がやり取りしていた相手は矢崎だったのだ。
矢崎は17時に貯水池へ死体を持ってくるように言い、そのまま娘を誘拐していく。
【あらすじ④】矢崎が死体に執着する理由
時は戻り12月28日。監察課の本部長の犬として扱われる矢崎は汚い金を裏で回すなど、人には言えない働きをしていた。
もうすぐ本部長の娘である由紀子(山田真歩)との結婚を控える矢崎、常に緊張状態が途絶えない日々の中、ある事件が起きる。
本部長より洞窟に隠された金庫のお金を取ってくるよう指示されたものの、手下として使っていた尾田がカギを持って姿を消す。
12月29日、由紀子との結婚式当日を迎えたものの尾田の件で気が気でない。本部長は年内に金を持ってくるよう矢崎をとことん追い詰める。
尾田の工作は実に巧妙で、金庫を開けるにはカギと矢崎の指紋が必要だったが、すでに尾田の指紋にすり変えられていた。
在り処を探すために仙葉組を頼るが、仙葉は「1億円詰んでくれたら教えてもいい」と強気な交渉に出た。
1億円と引き換えに奴のアジトを突き詰め、尾田へ発砲。尾田は体の数か所に重傷を負った。
ケガをしつつも道路へ飛び出した尾田は、そのまま工藤に轢かれてしまう。だから矢崎は工藤の一部始終を知っていた、ということ。
本部長から見放された矢崎は自分の立場を守るために、死体を血眼になって探していたのだ。
【あらすじ⑤】「最後まで、行く」
時は戻り12月31日。葬儀を終えた工藤は火葬される前に死体を棺から取り出すが、久我山に秘密を知られてしまう。
防犯カメラに事故の様子が記録され車のナンバーから割り出されたのだ。致し方なく真実を話すと味方をしてくれた彼は、協力することに。
尾田の死体を確認すると銃弾の跡と金庫のカギを発見。自分が車で轢く前にすでに奴が死んでいた仮説を立て、矢崎の元へ向かう。
途中で久我山は殺され、身の危険を感じた工藤は仙葉に依頼して爆弾を所持。17時に貯水池へ向かい、死体に爆弾を設置して引き渡した。
指紋認証ができる尾田の指は、引き渡す前に切り取っている……。矢崎は工藤を殺そうとするが「自分が死んだらマスコミにタレ込むよう、仙葉組に依頼した」とのこと。
矢崎は工藤へ金のために自分とタッグを組まないかと交渉するものの、そうこうしているうちに爆弾がON。娘を無事に連れて帰った。
後日、洞窟の金庫へ入り大金を目の当たりにする工藤。金をカバンに入れようとすると死んだはずの矢崎が登場。
激しい揉み合いとなり共倒れ。そんな2人を見つめて大金を横取りしていくのは、仙葉組だった。
週刊誌にリークしたのも、尾田にけしかけたのも仙葉の仕業。彼らはずっと組長の手の上で踊らされていたのだ。
怒涛の12月31日が終わり、1月1日の朝を迎えた工藤は体を引きずって車へ。美沙子に電話をかけ「やり直さないか」と話しを持ちかける。
イチから全て再スタート……と思いきや、矢崎はまだ生きていた。後ろから車をぶつけられ、ボロボロになった2人は狂ったような笑みを浮かべて走り出す……。
映画『最後まで行く』の登場人物・キャスト
クズVSクズ……といった大インパクトな主要キャラを始めとし、物語が展開する『最後まで行く』。
ストーリーには欠かせないメインの2人、工藤と矢崎をピックアップして紹介します!
工藤祐司/岡田准一
裏金問題、妻との不仲、、事故、飲酒運転とのっけから「うわぁ」と視聴者をドン引かせる強烈キャラの工藤(笑)主人公にはあるまじきクズっぷりが見ていて逆に清々しいかも?
心の底からの悪人というよりかは不器用さが高じて……といった感じなので、ちょっと憎めないんですよね。
自分で招いたと言えど、不幸続きな悲劇のダークヒーローと呼ぶべき存在。最後は矢崎とどうなってしまったのか、非常に気になるところ。
工藤を演じるのは岡田准一さん。日本を代表する実力派俳優の一人ですから知らない人はいないでしょう。
数々の賞レースで好成績をおさめ、代表作は『木更津キャッツアイ』、『白い巨塔』、『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』など、数えきれないほどです。
矢崎貴之/綾野剛
クールでインテリな印象の矢崎。しかし、それは中盤くらいまでで彼のエピソードが始まるととんでもない人物だったことが発覚します。
真面目で上を目指す気持ちが強すぎるあまり、本部長にいいように使われてしまったのでしょう。サイコな一面が露になり、見事に道を踏み外してしまいました。
「どうとでもなれ」といった自暴自棄さに少し痛々しさを覚えてしまうほど。
矢崎はどんな結末を迎えるのでしょうか。あのくらいの不死身っぷりなら、最後の最後まで生き残るような気もしますが……。
矢崎を演じるのは綾野剛さん。矢崎の狂気的な一面を完璧なまでに演じ、ゾッとした人も多いのでは?
高い演技力で人々を魅了し、『コウノドリ』や『ヤクザと家族 The Family』、『ホムンクルス』など数多くの作品で主演を務めています。
『最後まで行く』が面白すぎる!作品の面白ポイントはココ!
2023年上半期では大注目の作品とも言える『最後まで行く』。
語彙力がない表現かもしれませんが、筆者個人の感想としては「めっちゃ面白すぎる!」です(笑)
一体どんな点が面白いのか?魅力いっぱいの面白ポイントを個人の見解も含めて紹介していきましょう。
誰もが埃まみれ、クズばかりのキャラクターが逆にいい
裏金問題を受け取っていたのは工藤だけではなく、課長も共犯でした。
この署だけが悪質なのかと思いきや、監察課も表には出せない事情を持っています。
そして裏で糸を引いていたのは仙葉組……。主要となるキャラクター全員が埃まみれで見事にクズ!
ある意味誰にも同情できないような汚さを思い切り露呈してくるのが、逆に心地良く感じてしまうほどです。
警察署の名前が埃原と「埃」がついている設定も、なかなかスパイスが効いていますね(笑)
全員悪人と言わんばかりの強烈な人々。やり取りを見ているだけでハラハラしてしまいます。
笑えないブラックジョーク満載、肩の力が抜けるコメディ要素も
終始緊張が抜けない作品ではあるものの、クスッとくるようなジョークを混ぜてくるのも『最後まで行く』の魅力的な部分。
工藤が死体や事故を隠しきるために挙動不審さが出て、苦しい言い訳で乗り切るシーンには思わず笑ってしまいました。
死体を隠すために親の棺桶に入れてしまうなど、不謹慎極まりない……(苦笑)
でも、必死になって行動する工藤の焦りがビンビン伝わってくるため、岡田准一さんの演技力がキラリと光る注目の見どころです。
また矢崎の回想も、笑えないはずなのにジワジワきます。彼の苦悩やプレッシャー、今にもブチ切れそうな表情など綾野剛さんの顔芸がすごいすごい!(笑)
ところどころか肩の力が抜けるようなコメディ要素も入っており、程よい小休止感を味わえるでしょう。
犯人がわりとすぐ分かる展開が期待を裏切ってきて◎
『最後まで行く』はいかに工藤が秘密をラストまで隠しきれるか――ではないのです。
むしろ彼にメールや電話をよこした犯人(=矢崎)は中盤ですぐに発覚するので、最大の盛り上がりは工藤と矢崎の戦いに持ってきています。
この展開はなかなか予想できないため、想像の斜め上を行くストーリーの運びには筆者も驚いてしまいました。
ただ犯人が分かったからといってサスペンス要素が抜けることはなく、最後のどんでん返しまで息をつく暇がありません。
「見せる」シーンの作り込みが目を惹く
本作はグイグイと世界に引き込まれていくシーンの作り込みが、緊迫感溢れる空気を増長させています。
例えば冒頭の事故。一度目は尾田の仲間の女性、真由子(清水くるみ)が飛び出してきたものの間一髪で回避。
そしてほっと安堵した矢先に尾田が登場。フェイントをかけてくるあたりがニクいですね(笑)
このシーンは工藤の主観が続き、まるで鑑賞者自身が運転をしているような錯覚へと陥る演出に!
他にも矢崎が後ろからヌルッと現れるところや、大金を前にして激しくバトルなど目を惹くシーンが満載です。
不死身の矢崎、何をしていても生き残るしぶとさがたまらない
どう考えても粉々になったであろう、貯水池での大爆発。それなのに矢崎は生還、例の洞窟へ姿を現しました。
一体どのようにして向かったのかは謎ですが、ゾンビ級の驚異的なしぶとさに思わず拍手をしたくなるでしょう。
「矢崎が死んだと思ったら生きている」が2回も起きるので、ジェットコースターのような急展開を楽しめます。
不死身の杉元(Byゴールデンカムイ)ならぬ不死身の矢崎。なかなかの醜さには妙な魅力さえ覚えてしまうかも。
映画『最後まで行く』ラストはどうなったの?
狂気的な笑いに包まれながら2人が車を走らせる場面で物語は終了します。
工藤が妻の元へ帰ったかも、死亡したのかも不明なままエンドロールが流れるため、ラストシーンは賛否両論なんだとか。
韓国版とオチが全く異なる日本版の『最後まで行く』。2人がどうなったかは視聴者の考えに委ねられているでしょう。
あのまま車を走らせてぶつかり合い「2人の最後(最期)まで行った」という想定もできれば、それぞれが妻の元に帰るかして「本事件の最後(着地点)まで到達した」のか……。
色々な想像ができますよね。ハッピーエンドにもバッドエンドにも取れるラストですから、どう考えても間違いではありません。
ただ、筆者の予想としては工藤も矢崎も職場には非常に居づらい立場なので、妻以外のところに帰る場所がないのでは?と思います。
工藤はもともと周りからあまり好かれていないですし、矢崎も出世ルートが見事に閉ざされているので……。
ですから、2人の戦いは死亡という形で幕を閉じるか、それぞれが家庭へ戻って街を出ていくオチを考えてしまいました。
みなさんもラストシーンを見届けた後は、ぜひ最後の場面についての考察をしてみてくださいね。
きっと『最後まで行く』がより一層味わい深く感じるでしょう。
まとめ
リメイク第4作となる映画『最後まで行く』。鑑賞すればタイトルの意味がなんとなく腑に落ちるでしょう。
全てを描き切らないラストにも不気味さが溢れていて、筆者個人としては非常に評価の高い作品でした。
オリジナル版を鑑賞していなくても十分に楽しめるので、ぜひ劇場へ足を運んでほしいもの。
クズ刑事VSヤバい刑事の醜い戦いは圧巻ですよ!(笑)