愛され続ける映画『プラダを着た悪魔』のあらすじ解説 | 王道サクセスストーリーの魅力に迫る

 

2006年の公開以来、今なお支持を集めるお仕事映画『プラダを着た悪魔』。ハイ・ブランドが次々に登場し、女性たちのお洒落なコーディネートが注目を集めた本作は、公開当時も話題になりました。

NYの大都会をお洒落な女性たちが闊歩する姿を見るだけでも充分満足できますが、一見華やかなファッション業界のシビアな舞台裏、そしてファッション業界に限らず、忙しい日々で奮闘するキャラクターたちの姿に、多くの人が共感できるドラマ性があることが本作の魅力です。そんな本作のあらすじとその魅力を解説していきましょう!

『プラダを着た悪魔』ネタバレあらすじ

【ネタバレあらすじ①】悪魔との出会い

プラダを着た悪魔 あらすじ出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

ニューヨークへやってきたアンドレア・サックス(アン・ハサウェイ)ことアンディは、シェフをしている恋人のネイト(エイゴリアン・グレニアー)との私生活も順風満帆。ジャーナリストをめざす彼女は、今日ファッション雑誌「ランウェイ」編集部へ面接を受けに行くのだ。

ファッションに興味がない彼女は、「ランウェイ」のことも、「ランウェイ」の編集長ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)の名前さえ知らなかったが、この職場で1年アシスタントを経験すれば、編集者として働けると期待していた。

しかし、お洒落のかけらもないアンディの姿に第1アシスタントのエミリー(エミリー・ブラント)はすっかり呆れ顔。ミランダ直々に面接してくれることになったが、ファッションセンスのなさを指摘され、あっさりと追い返されてしまう。

「私はファッションの知識はゼロ、だけど頭は切れる」そう言い残して「ランウェイ」を後にするアンディ。ミランダはその意外性を買い、アンディは第2アシスタントとして働くことになる。

しかし、まだこの時は、これが怒涛の日々の幕開けとは知らなかった……。

【ネタバレあらすじ②】突きつけられる無理難題

プラダを着た悪魔 あらすじ
出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

アンディは出勤初日から、怒涛の日々が始まったことを実感する。朝早くからエミリーに電話で叩き起こされ、電話ではガッバーナの綴りが分からず、ミランダが出勤すればデスクに、バッグとコートをドカッと置かれ、おつかいを頼まれれば、エミリーから電話が入って次から次へと用事が増えていく。

そんな慌ただしい日々にも、ようやく週末が訪れる。オハイオから父がNYへ来てくれたのだ。父と夕食をとり、日頃の忙しさから解放されるアンディだったが、その時マイアミ出張中のミランダから電話が入った!

翌日にひかえた双子の娘たちの演奏会に出席したいので、今日中に何としてもマイアミからNY行の飛行機を確保しろと言うのだ。しかし、飛行機はハリケーンのため、一便も飛ばない。とうとうアンディは、ミランダの要求に応えられなかった。

案の条、オフィスでミランダから叱責されるアンディ。「あなたは、お洒落で細くてランウェイに憧れる、使いものにならないバカな子たちとは違うと思ってたから雇ったの。でも、その子達以上にあなたには失望させられたわ

アンディはついに堪えきれず、ファッション・ディレクターのナイジェル(スタンリー・トゥッチ)の前で愚痴をこぼしてしまう。「彼女は私が努力しても、認めてくれない」と。

しかし、ナイジェルはアンディを励ますどころか、「君は努力してない。グチを並べてるだけだ」と指摘する。そして、「ランウェイ」が数々の偉大なアーティストたちを掲載してきたこと、それがどれほど世界に影響を与えたか、それに突き動かされたどれだけの人々が、ここで働くことを望んでいるかを熱く語った。

アンディは、ファッション業界そのものをバカにして、なんの情熱も持たずにいた自分に気づく。この業界に足を踏み入れたからには、自分自身の認識を大きく変えなくてはいけない。そう気づいたアンディは、ナイジェルにあることをお願いする。

【ネタバレあらすじ③】生まれ変わった姿

プラダを着た悪魔 あらすじ出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

翌日ナイジェルにコーディネイトされ、モードな装いで出社するアンディ。あまりの変身ぶりに、エミリーもミランダさえも驚きを隠せない。ファッションもプロとしての姿勢も「ランウェイ」に染まることを覚悟したアンディは、雑務をそつなくこなせるようになり、徐々にミランダの信頼を勝ち取っていく。しかし、仕事が軌道に乗り出したころ、アンディは思わぬ失敗をしてしまう。

現在進行中の号の見本を届けにミランダの家を訪れた際、アンディは双子の娘たちにそそのかされるまま2階にあがって、ミランダと夫が口げんかする様子を目撃してしまったのだ。

翌日ミランダから、今まで以上の超無理難題を突きつけられてしまうアンディ。それは、出版前の『ハリー・ポッター』の次回作を双子のために手にいれ、もしその日の3時までにできなければ会社に戻ってこなくていいという、実質上のクビ宣告だった。

途方に暮れてクビを覚悟するアンディだったが、以前パーティーで知りあったエッセイストのクリスチャン・トンプソン(サイモン・ベイカー)に電話すると、友人経由で出版前の原稿を入手してくれた。与えた課題をアンディが完璧にこなしたので、今回ばかりはぐうの音も出ないミランダ。その後、急きょ出席することになったパーティーでも、見事にミランダのアシストをし、アンディはアシスタントとして、先輩のエミリー以上の活躍を見せる。

【ネタバレあらすじ④】パリコレをめぐる騒動

プラダを着た悪魔 あらすじ出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

有能なアシスタントとして成長したアンディを、ミランダはエミリーに代わってパリコレに同行させると告げる。アンディは、パリコレを目標にエミリーが無理なダイエットを続けてきたことを知っていたため、最初は断ったが、ミランダ相手に断りきれるはずもなく、しかたなくパリ行きを決める。しかしこのことで、仕事の成功と裏腹に関係が悪化していたネイトからは別れを告げられてしまう。

様々なトラブルを乗り越えて、パリに到着するアンディ。「ランウェイ」お抱えのデザイナー・ジェイムズ・ホルトのショーも成功し、彼のブランドを立ち上げることになった。そして、そのパートナーにナイジェルが選ばれ、アンディは独立することになった彼と祝杯をあげる。さらに、アンディはパリでクリスチャンと再会し、彼と一夜をともにする。

しかし、翌朝クリスチャンから思わぬ情報を耳にする。出版社の会長がパリ「ランウェイ」の編集者ファレをミランダの後任編集長に据えようとしており、そのことをホルトの祝賀会で発表するというのだ。アンディはミランダにその情報を伝えようとするが、軽くあしらわれてしまう。

祝賀会で登壇したミランダは、ホルト・ブランドの責任者にナイジェルでなく、ファレを任命することで編集長のイスを守る。独立の夢を阻まれ、失望を隠せない様子のナイジェル。

ミランダは「ランウェイ」編集長のポストを狙う動きに気づいており、会長もすでに説得ずみだったのだ。

【ネタバレあらすじ⑤】アンディの決断

プラダを着た悪魔 あらすじ出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

「あなたは私に似てる。人が何を求め必要としているかを超え、自分のために決断できる

祝賀会後の車中で、ミランダはアンディにそう告げる。ナイジェルの独立を阻んでまで編集長の座を守ったミランダに、アンディは憤りをあらわにする。しかし、ミランダはすでにアンディ自身が、パリ行きに同行するためにエミリーを捨てる決断をしたのだと指摘する。

いらないものは容赦なく切り捨て、最高のものを追及する自分自身を信じ、ファッション界に君臨してきたミランダ。彼女は、華やかに報道陣の前を歩きだした。自分はミランダと違う。そう気づいたアンディは、もうミランダのあとには続かず、反対方向へ歩み出す。アンディは吹っ切れたように、仕事用の携帯を噴水に投げ込んだ。

その後、「ランウェイ」を辞めたアンディは、ネイトとも関係をやり直すことができた。

ある編集社で面接を受けたアンディは、こんな話を聞かされる。「ランウェイ」にアンディのことを問い合わせたところ、ミランダ本人から「彼女を雇わなければあなたは大バカ者だ」とFAXが来たというのだ。アンディはミランダの推薦もあって、その編集社で働くことになった。

面接の帰りにミランダを見かけるアンディ。ミランダは彼女を見かけても素知らぬ顔で車に乗り込むが、その顔は小さく微笑んでいた。 

『プラダを着た悪魔』のメインキャスト紹介

ここからは、撮影中のトリビアなども踏まえて『プラダを着た悪魔』のメインキャストをご紹介していきます!

アンディ(アン・ハサウェイ)

プラダを着た悪魔 あらすじ
出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

2002年『プリティー・プリンセス』で映画デビュー。この映画でアイドル女優のイメージが定着しましたが、2005年の『ブロークバック・マウンテン』でアイドルイメージを脱却しました。

元麻薬中毒者を演じた『レイチェルの結婚』では、演技が高く評価され、初のアカデミー賞主演女優賞ノミネートを果たしました。その後日本でも話題になったクリスファー・ノーラン監督の『ダークナイト・ライジング』(2012)で、原作におけるキャットウーマンを演じ、さらに『レ・ミゼラブル』(2012)ではファンテーヌ役で吹き替えなしのミュージカルシーンを披露して、アカデミー賞助演女優賞を受賞しました。

アンは本作の役作りのために、オークション会社大手のクリスティーズでインターンを経験したそうです。それは「自分にとって未知の世界で、しかも周囲にいる人がみんなスリムだという状況」を体験するためだったそうで、そのおかげで、未熟な自分を脱皮し、デキる女に成長していくアンディをみごとに表現できたのでしょう。

ミランダ(メリル・ストリープ)

プラダを着た悪魔 あらすじ出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

2019年現在で3回のアカデミー賞受賞歴と21回のノミネート記録をもつ、ハリウッドの大女優です。代表作は、『クレイマー、クレイマー』(1979)、『ソフィーの選択』(1982)、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011)など多数。

メリルは、歯に衣着せぬ編集長ミランダを演じるにあたって、クリント・イーストウッドとマイク・二コルズ監督を役作りの参考にしたそうです。「決して声を荒げず、誰もが耳を傾けなくてはならない、一番力のある人間」という印象を与えるイーストウッド氏の話し方と、「辛辣な批評に皮肉を加えて、効果的な物言いに変える」二コルズ監督の言動を取り入れることにより、静かだけれど威圧感のあるファッション業界の女王の風格を作り出しました。

エミリー(エミリー・ブラント)

プラダを着た悪魔 あらすじ
出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

本作『プラダを着た悪魔』でハリウッド映画に進出し、ゴールデングローブ賞助演女優と英国アカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。2009年の『ヴィクトリア女王 世紀の愛』でも、ゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)にノミネートされています。その後もトム・クルーズ主演『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)、『メリー・ポピンズ リターンズ』(2018)など、話題作に出演しています。

エミリーは本作のために、100人以上の女優の中からオーディションで選ばれました。オーディション用に撮影したビデオでは、彼女はデニムとビーチサンダルというラフな格好だったため、合格通知の際に制作陣から「次はドレスで会いたい」と言われてしまったそうです。

ナイジェル(スタンリー・トゥッチ)


出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

1985年に映画デビュー。『バーレスク』(2010)、『美女と野獣』(2017)、『ハンガーゲーム』シリーズなど、数多くの話題作で印象を残してきた名脇役です。2009年公開のピーター・ジャクソン監督作『ラブリー・ボーン』では、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。

長きにわたるキャリアの中で、俳優だけでなく監督・脚本もこなしており、2017年公開の『ジェコメッティ 最後の肖像』が第67回ベネチア国際映画祭でプレミア上映されました。

スタンリーがナイジェル役にキャスティングされたのは、撮影開始の3日前だったそうです。ちなみに、実はスタンリーとエミリー役を演じたエミリー・ブラントは親戚関係にあたります。スタンリーが、2012年にエミリーの姉妹フェリシティ・ブラント氏と結婚したからです。エミリーの結婚式にスタンリーが招待され、そこで初めてフェリシティさんと出会ったのがなれそめなのだそうです。

『プラダを着た悪魔』が多くの人を引きつける3つのポイント

2006年の公開から10年以上がたつ本作ですが、未だに女性から支持を受けています。恋に、仕事に、すべてがうまくいく!なんて理想通りにハッピーな映画ではなく、何か一つが上手くいけばそのために壊れてしまうものがあるところがリアルです。そんなビターな部分も魅力的な本作が、人々を引きつける3つのポイントをご紹介します! 

【ポイント①】登場人物から学ぶ、それぞれの仕事の流儀

プラダを着た悪魔 あらすじ
出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

本作の魅力はファッションだけでなく、完璧なファッションに身を固めた女性たちが、戦場のような職場で自分の流儀を持ちながら、仕事に全力投球する姿が描かれていることでしょう。ミランダ、アンディ、エミリー3人の仕事のスタイルには、私たちにもとりいれられる多くのヒントが隠されているはずです!

ミランダ流仕事の流儀

常に最高のものを求めるミランダは、そのために無駄なものを切り捨てられる判断力を持っています。企画ミーティングでは、優れた企画を笑顔で歓迎する一方、斬新さに欠けた企画は容赦なく却下、次号の特集が気に入らなければボツにし、30万ドルもの損失さえいといません。

それは自身の周りにおく人材も同様で、ヘマをすれば容赦なくクビにし、「美」を追求する職場でヒールを履く姿勢すら見せないアンディには白い目を向けます。編集長のポストを守るために右腕ナイジェルの信頼を裏切ったのも、「ランウェイ」で最高の仕事ができるのは自分しかいないと判断したからです。

アンディ流仕事の流儀

最初は悪戦苦闘していたアンディですが、仕事は2手3手先を見て、言われたもの以上に仕上げるタイプのようです。そんな彼女はディナーの確認や着替えをスタジオに届けることも、ミランダに言われる前にこなします。失敗の制裁として『ハリー・ポッター』の次回作を要求された時も、原稿を入手しただけでなく、コピーに表紙をつけて、直接双子の娘たちに届けます。その上で予備のファイル用までミランダに提出し、文句のつけようがないほど完璧に仕事をこなしました。また急きょ参加したパーティーでも、万が一のために、しっかりと出席者の顔と名前を覚えたので、ピンチのエミリーをフォローできました。

エミリー流仕事の流儀

アンディ同様、かつては第2アシスタントとしてミランダの雑務をこなしてきたエミリーは、そこに付加価値をつけて働いています。メイクもファッションも楽しんでいる彼女にとって、大好きなファッション業界の最先端をいくミランダは憧れの存在のはず。第1アシスタントに昇格して、ミランダのスケジュール管理など、より重要な仕事を任せられることは、憧れの人からの信頼を勝ち得たという証明なのです。

また、パーティーでヴァレンティノのドレスを着ることを励みに、風邪をおして出勤したり、パリコレを楽しみに、ほぼ断食のようなダイエットに挑戦するなど、苦しい状況を乗り越えた後のご褒美が彼女を支えているのかもしれません。

【ポイント②】魅力的なファッションの数々

プラダを着た悪魔 あらすじ
出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

シャネル、アルマーニ、ティファニー……そしてプラダ。数々のハイ・ブランドを着こなすキャリアウーマンたちの魅力的なァッションが、目まぐるしく登場する本作。

衣装デザイナーを務めたのは、ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』などで数々の衣装デザインを経験してきたパトリシア・フィールドです。『プラダを着た悪魔』に登場する衣装は高く評価され、2007年のアカデミー賞衣裳デザイン賞にノミネートされました。また本作と同じNYには、パトリシア自身のブティックも構えているようですよ。

彼女の類稀なセンスで選び抜かれたコーディネートを、少しだけ見てみましょう!

アンディのファッション

プラダを着た悪魔 あらすじ

出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

華麗な変身を遂げたアンディのオフィスファッションは、1番左のコーディネート。ジャケットはシャネル。ツイードのミニスカートはクリスティーナ・ティのもの。

大胆にひらいた胸元には、ネックレスをして、グラマラスだけど上品な印象です。

足元はシャネルのサイハイブーツを履きこなし、さっそうと出勤する姿はラン・スルーでミランダから強烈なお説教を食らった彼女とはまるで別人。

コンパクトな黒のジャケット、ミニスカート、ロングブーツでスタイルアップしたシックなコーディネートに、前髪をパッツリ切ったキュートなロングヘアを、つややかになびかせます。

かつての、特にボディーラインも気にせずプチぽっちゃり体形に見え、なんとなく選んだトップス×なんとなく選んだスカート+寝起きと忙しさでぼさぼさの髪スタイルが、まるで遠い昔のようです。もともと大きい目とチャーミングな口元も、メイクアップしてより華やかに見せています。

ミランダのファッション

プラダを着た悪魔 あらすじ
出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

クライマックスで「ランウェイ」編集部からタクシーへ乗り込むミランダが、圧倒的な貫録で着こなすのがこちらのコーディネート。ライムグリーンの存在感たっぷりなファーコートは、デニス・バッソ。スタイリッシュなクロコのトートバッグはフェンディ。

冷たげなミランダの表情をシックに飾るのは、ヴェルサーチのサングラスです。ダナ・キャランのニットを大きなカヴァリのベルトでウエストマークし、スエードのパンプスはエルメスで決めるなど、全身ゴージャスな装いです。しかし、ミランダはそうしたハイ・ブランドの数々を華麗に取り入れつつ、あくまでも優れたビジネスウーマンの印象を与えるスマートなコーディネートでまとめています。サングラスも登場するシーンに合わせて色を変えるなど、小物づかいも効かせています。

エミリーのファッション

プラダを着た悪魔 あらすじ出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

目のさめるような鮮やかな赤毛と、ガラス玉のような青い瞳を強調するアイメイクが印象的なエミリーのコーディネートは、そのほとんどがヴィヴィアン・ウエストウッドのものだそうです。

カラーレスなコーディネートが多いエミリーですが、髪や目といったチャームポイントをメイクで強調して、個性を引き立たせています。「ランウェイ」の面接にきたアンディを出迎えた時のコーディネートでは、ブラックで統一された服装に、レザーベルトやチェーンネックレスを加えて、少しハードなテイストです。

こんなクールなコーディネートと、アイメイクでキリッと目力も強いお姉さんが、初対面の相手の服装を見るなり「人事部の、冗談かしら?」だなんて飛びきりの皮肉を口にするのですから、これは怖そうな先輩だなぁと、強烈な印象を抱かせるはずですよね。

【ポイント③】映画を彩る音楽

目を楽しませてくれるファッションと同じように、本作ではシーンと上手く調和した数々の音楽が耳を楽しませてくれます。この章では、劇中の特に印象深い場面で登場する、3つの曲をご紹介します。

“Suddnly I See”

KT Tunstall – Suddenly I See (Official Video)

オープニングで流れるのは、KTタンストールの”Suddnly I See”。汚れていない下着を探し、何となく組み合わせた服装で面接に向かうアンディ。その日1日の気分を決めるお洒落なランジェリーを身に着け、クローゼットから完璧なコーディネートを考え、気持ちが弾むメイクをし、美しくヒールを履きこなして出勤する「ランウェイ」の女性たち。

2種類の女性たちの対比が印象的な、このオープニング曲は、リズミカルでさわやかなボーカルから、将来への期待に胸を弾ませるアンディと、誇りを持って情熱を持った職場へ向かう女性たちの活き活きとした躍動を感じさせます。

“Jump”

Madonna – Jump (Official Music Video)

マドンナが2006年にリリースした曲。

アンディが出勤初日からエミリーに電話でたたき起こされ、怒涛の日々の幕開けを予感するシーンでかかります。まだ職場に慣れていない浮足立ったアンディは、さっそく先輩社員のエミリーから手厳しい扱いを受けます。修羅場をくぐりぬけてきたエミリーだからこそ、この仕事の華やかな表舞台とその裏側のシビアな側面を心得ているのです。

いきなり初めての世界に飛び込んで四苦八苦するアンディの、居心地悪さに共感できる一方で、そんな分野にもプロとしてキャリアを積んできた人々が確実に存在していることが理解できるシーンです。

“Vogue”

Madonna – Vogue (Official Music Video)

全力でファッション業界に飛び込む覚悟をしたアンディが、装いも新たに「ランウェイ」へ出勤するシーン。そのバックで流れるのは、「ランウェイ」のモデルとなった雑誌「VOGUE」の名に由来したマドンナの曲、その名も”Vogue”です。クールなサウンドをバックに、次々とコーディネートを変えていくアンディを追いかけるこの場面は、「ランウェイ」の掲げる「内なる美」をファッションで体現しはじめるアンディが、内面まで磨かれて笑顔を見せながら楽しげにNYの街並みを歩く姿が印象的です。彼女はもう、興味のない目の前の仕事で憔悴しきっていた女の子ではなく、情熱を胸にNYを闊歩する女性の一人になったのだと分かるシーンです。

『プラダを着た悪魔』の編集長は実在する!?

プラダを着た悪魔 あらすじ
出典:映画『プラダを着た悪魔』公式facebook

編集長のミランダには、実在のモデルがいると噂されているのをご存知でしょうか?モデルになったのは、ハイ・ファッション雑誌「VOGUE」米国版の編集長、アナ・ウィンター氏であると言われています。

ただ、原作者のローレン・ワイズバーガー氏はこの噂を否定しているようです。

いずれにしてもウィンター氏は、かつて黒人モデルが表紙を飾ることが珍しかった時代に、ナオミ・キャンベルを「VOGUE」の表紙に登場させるするなど、本作のミランダのように、斬新なセンスでファッション業界に大きな影響を与えました。

2008年には長年のファッション業界への貢献が認められ、英国女王から「デイム」の称号まで授与されています。

まとめ

こなすのに精いっぱいな仕事にも、情熱を持てる部分を探して飛び込むこと、忙しいからこそ、ファッションに力を入れて自信をつけること、自分にとって何が大事で、そのためにどんなリスクは受け入れられるか判断すること……忙しい日々を送る皆さんが、ようやくリラックスしてこの映画を観る時、そんな日々を乗り越えるヒントが見つかるのではないでしょうか。

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