【超厳選】これだけは抑えておきたいエドガー・ライト監督のおすすめ映画5選
人を笑わせ、ワクワクさせ、熱狂させる作品を世に出し続けているエドガー・ライト監督。
映画『アントマン』や『ベイビードライバー』などは記憶に新しいですよね。ヒット作品を手掛けているだけでなく、その容姿さえも美しい。今回は、そんなエドガー・ライト監督のおすすめ映画を5作品ご紹介していきたいと思います!
目次
エドガー・ライト監督の来歴
エドガー・ライト監督はイギリスのドーセット州出身の1974年4月18日生まれ。10代の頃に映画製作に興味を持ち、20歳にはなんと予算ゼロで『A Fistful of Fingers』を製作しました。(劇場限定公開の作品で、残念ながら現在では観る方法はありません……)
その後、BBCでコメディ番組の監督を務めました。そのコメディ番組『SPACED ~俺たちルームシェアリング~』は英国アカデミー賞、モントルー賞などにノミネートされ、エドガー・ライト監督は一躍人気監督となります。
そして長編デビュー作となる『ショーン・オブ・ザ・デッド』が2004年にイギリスで公開されました。この作品は興行収入1354万ドルの大ヒットとなりましたが、当時の日本では残念ながら劇場上映されず、DVD発売のみでした。しかし、2019年になんと、日本での劇場公開が叶ったのです!
エドガー・ライト監督のおすすめ映画
じわじわと日本でも人気が上がっているエドガー・ライト監督。作品に共通する特徴はなんといっても「キャラクター」と「テンポ」です。主人公も脇役たちも皆我が強く、なんだか憎めない愛嬌があります。そして「テンポ」が良いのです。それだけではありません!ストーリーのテンポが良いのはもちろん、動き・カットのリズムが気持ちよくて癖になります。さらに音楽との相性が抜群です!名曲に合わせたアクションに目が離せません!
ファンを魅了してやまないエドガー・ライト監督の映画監督作品は現在全部で5作。デビュー作の『ショーン・オブ・ザ・デッド』から、2017年に公開されアカデミー賞3部門でノミネートされた『ベイビー・ドライバー』まで、公開年度順にご紹介していきます。
1.ショーン・オブ・ザ・デッド
出典:映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』公式Facebook
あらすじ
イギリスの家電量販店で働く主人公のショーン(サイモン・ペッグ)。彼はいつも親友のエド(ニック・フロスト)と一緒。家でも食事の時でも、そしてデートの時でも……。ついに彼女のリズ(ケイト・アシュフィールド)に愛想を尽かされてフラれてしまう。ショックで飲んだくれた翌朝、なんと街はゾンビであふれている!やっぱりリズが心配なショーンは、エドと一緒に彼女と彼女の心を取り戻しに家を出る。
エドガー・ライト監督長編デビュー作!映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』の撮影裏話
■監督は、酒場「ウィンチェスター」が炎に包まれる演出をしたかったが、予算の都合で叶わなかった……
■この作品がきっかけでジョージ・A・ロメロ監督の『ランド・オブ・ザ・デッド』にゾンビ役で出演!
■エドガー・ライト監督自身のロンドン北部での生活を描写している
ゾンビなのにコミカル!?みどころポイント!
出典:映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』公式Facebook
本作の魅力はなんと言っても主人公ショーンの愛嬌と成長。リズにフラれてしまう程無気力で、年下からもなめられっぱなしの冴えない男性です。周りがゾンビだらけでも「はいはい、そこ通るよ」と言った感じで道路を渡るくらいの鈍感さには、笑ってしまうと同時に愛おしく感じてしまいます。
しかし、ゾンビとの対峙した時に発揮されるリーダーシップは同一人物だと思えないくらい頼りになるのです。明確な計画、臨機応変な対応力、そして人望……ゾンビを倒すたびに彼自身レベルアップします。ただのコメディゾンビものではなく、主人公の成長物語として魅力的な映画になっています。
それだけではなく、もちろん”ゾンビもの”としても楽しめます。ただ、でてくるゾンビは皆歩くタイプです。そして鈍感。ホラー映画なら物足りなさを感じるゾンビですが、エドガー・ライト監督にかかると魅力的なゾンビになります!ゾンビが襲いに来るまでの時間を利用して「どれ投げようか……」と吟味するシーンは、思い出しても、にやけてしまいます。この「恐ろしさ」と「コミカルさ」のバランスの良さはエドガー・ライト監督のゾンビ映画だからこその魅力です!
2.ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!
出典:Amazon.com
あらすじ
勉学スポーツすべての分野で優秀な成績を収め、警察官として市民からの人望もあり、検挙率もトップのまさに絵にかいたようなエリート警察官のニコラス・エンジェル(サイモン・ペッグ)。エリートすぎるゆえにロンドンの平和なド田舎に左遷されてしまう。事件など起きそうにない平穏な村だが、ある日「事故」が起きる。「よくある」事故だと周りの仲間に言われるが、どうも怪しい……。事件なのか、それとも考えすぎなのか……。相棒のダニー(ニック・フロスト)と捜査に乗り出す。
パロディ映画は準備も大変!映画『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のエドガー・ライト撮影裏話
■エドガー・ライト監督はリサーチの為に約200本もの映画を観た!
■舞台となる田舎町は監督自身の生まれ育った町をイメージしている
■エンジェルが走る姿は『ターミネーター2』のT-2000を参考にしている
デコボココンビのバディ映画!みどころポイント!
ジャンルはコメディに分類される本作ですが、アクション要素もサスペンス要素もあり、警察官バディものとしても楽しめます。まさに一粒で二度も三度も四度も美味しい作品です!
都会から左遷されてきた主人公エンジェルは真面目で優秀な仕事人間です。対して異動先の村の人々は個性が服を着て歩いているような人物ばかり!一癖も二癖もある人間たちにもまれるエンジェルに目が離せません。都会の常識が通じない独特な雰囲気も癖になります。そんな中で孤立しても相棒と一緒に戦うストーリーは胸アツです!
インタビューで「好きな映画に対するラブレターを送るような愛情あふれるものがパロディ」と語っているように、エドガー・ライト監督は作品の中によく名作のパロディを入れています。この『ホット・ファズ』も例外ではありません。『バッドボーイズ2バッド』に『ダーティ・ハリー』に『ダイ・ハード』に……元の映画を知っているファンはニヤニヤしてしまうことでしょう。
元ネタを知らなくてももちろん楽しめるようになっています。なぜなら、相棒のダニーが映画の説明までしてくれるからです。それに元ネタを知らないのならエンジェルと同じ視点で楽しむことができるのです!
3.スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団
出典:Amazon.com
あらすじ
カナダで売れないバンドのベースをしているスコット・ピルグリム(マイケル・セラ)。ある日町にニューヨークからラモーナ(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)という不思議な女性が越してくる。一目見て恋に落ちたスコット。アタックのかいあって付き合うことになったのだが、元カレが現れて勝負を仕掛けてきた!なんと彼女を手に入れるためには、7人の元恋人を倒さなければならないという……。
エドガー・ライトとコミックの融合!映画『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』撮影裏話
■原作の世界を再現するために、主人公の家のモデルとなった建物を実際に撮影に使った
■映画会社は舞台をニューヨークにすることを提案していたが、エドガー・ライト監督は原作と同じカナダのトロントを舞台に選んだ
■製作費は『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』の約4倍!
■元カレ役の斎藤兄弟はキーボード初挑戦!
ファンを喜ばせるポイント盛りだくさん!みどころポイント!
コミックが原作である本作は、背景に擬音語が出たり、突然場面展開したりとコミック的表現が多いので、人を選ぶ作品と言えるかもしれません。出てくる敵を倒してレベルアップしたりアイテムやお金をゲットする表現は、コミック的というよりはゲーム的です。ゲームやアニメ、漫画のパロディが盛りだくさんで、ファンにはたまりません!しかも、エドガー・ライト監督は原作コミックのコマ割りまで表現しています。原作のテイストに寄せつつ映画としての流れを作っているのはエドガー・ライト監督だからこそできる神業です。
ファンを楽しませる小ネタ満載の作品なので、元ネタを知らなければ楽しめないのでは?と不安になるかもしれませんが、そんなことはありません。テンポの良い展開にハラハラする恋路、ツッコミ不在のボケの連続がたまりません!元カレたちが襲い掛かって来るという突飛な展開ですが「恋人の昔付き合っていた相手に対するライバル心・嫉妬心」というのは、身近な感情ではないでしょうか。そういう意味では、主人公にも元恋人たちにも感情移入できるラブストーリーなんです。
4.ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!
あらすじ
学生の頃、友人たち4人とパブ巡りをしたことが忘れられないゲイリー(サイモン・ペッグ)。20年ぶりに友人たちと再会し、当時は達成できなかった一晩で12軒のパブを巡る「ゴールデン・マイル」に再び挑む。
久しぶりの故郷、地元の人々。懐かしみながら「ゴールデン・マイル」を始めた面々だが、どうも様子がおかしい……。あやしみながらも彼らは12軒目のパブ「ワールズ・エンド」を目指す。
今度はSF!エドガー・ライト監督の『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!』撮影裏話
■『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』と本作、合わせて「スリー・フレーバー・コルネット3部作」と呼ばれている(3作品ともコルネット・アイスが出てくるため)。当初エドガー・ライト監督は冗談半分で言っていたのだが、本気で3部作にしようと本作にもコルネット・アイスが登場することになった。
■友人との再会がテーマとなっていて、エドガー・ライト監督サイモン・ペッグ、ニック・フロストの3人も6年ぶりの一緒の仕事。しばらく距離を置いてからの再会だったからこそこの脚本が書けたのだとか。
■劇中でピクシーズの『Stormy Weather』を流そうとしたが、使用料が高かったため、アップビートな曲に差し替えられた。
実は複雑な人間!?ストーリーのみどころポイント!
ゲイリーは昔は皆から一目置かれる存在で輝いていました(少なくとも彼の記憶では……)。その後地元を出て、皆は大人になって目指すものなりたい人物像が変わっていきます。そうして、友人たちは社会的に成功したり、家庭をもったりします。ところが、ゲイリーは違います。今も昔も変わりません。悪ガキだった頃の栄光が忘れられないのです。
そんなゲイリーが変わろうとするのが本作のみどころです。やり遂げられなかった壁を乗り越えようとする成長物語が本質なのです。そうは言っても観ているとゲイリーに腹が立つ場面がたくさん出てきます。ゲイリー役のサイモン・ペッグがインタビューで役作りについて「この映画の悪役はゲイリーにしたかったんだ」と語っています。学生時代から今に至るまでの行動、そして物語のラスト……確かに善人とは言えません。観終わった後ラストについて考えさせられます。そんな複雑な人間が主人公だからこそ、観終わった後に不思議な余韻が残るのでしょう。
本作にはそういったシリアスな面がある一方、周りを巻き込むおバカコメディでもあります。「何が何でもビールを飲むぞ!」という姿勢は一貫性があり、観ていて気持ちが良いです。物語前半は比較的ゆっくりとしたテンポで進むのですが、後半になるにつれて意外な展開とアクションに目が離せません!
これまでの作品でも音楽の演出に力を入れてきたエドガー・ライト監督。本作もかなり凝っています。エドガー・ライト監督とサイモン・ペッグの2人が10代~20代前半の頃の思い出の曲のプレイリストを作って、その中でも1987年~1992年の曲を採用したのだとか。本作は主人公ゲイリーの青春時代の映画であると同時に、監督の青春時代の映画でもあるのです。
5.ベイビー・ドライバー
あらすじ
主人公ベイビー(アンセル・エルゴート)は犯罪組織の「逃がし屋」。銀行強盗などで逃げる時の運転手の役割を担っている。そのドライブテクニックは最高だ。警察の車でもヘリコプターでさえも彼らを追うことができない程のスゴ腕なのだ。ベイビーの特徴はいつもイヤホンで音楽を聞いていること。小さい頃の事故の後遺症の耳鳴りを音楽で消しているのだ。音楽に乗って最高のドライブテクニックで逃し続ける毎日。
そんなある日デボラ(リリー・ジェームズ)と出会い恋に落ちる。次の仕事を最後に足を洗おうと決めるベイビーだが、その仕事をきっかけに周りを含め全ての歯車が狂い始める……。
音楽にアクションみどころいっぱいのエドガー・ライト監督の映画『ベイビー・ドライバー』撮影裏話
■『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』を撮り終えたジェームズ・ガン監督と楽曲が被っていないか確認していた
■使用楽曲は脚本の執筆前から決めていた
■序盤のベイビーがコーヒーを買いに行くシーンは1ショットの長回し!撮影に9時間、28テイクかかっている
父親との対決!?みどころポイント!
本作は今までのエドガー・ライト作品とは少し違います。コメディ要素がないのです。ふざけたりテンポの良いボケはありません。ですがストーリーのテンポの良さは健在です。本作の主役は音楽。公開時は「カーチェイス版『ラ・ラ・ランド』」と宣伝されていました。それくらい音楽が素晴らしいのです。
主人公ベイビーのiPodの音楽に合わせてカーチェイスやアクションが繰り広げられます。ミュージカルではないのですが、そう言われて納得できるほど動き・シーン・音楽がマッチしています。特にオープニングが素晴らしく、開始3分でエドガー・ライト監督の世界に引き込まれます!
主人公の性格も、今までのエドガー・ライト作品と違います。ひねくれている癖の強い人物ではなく、純粋で誠実です。家族や恋人と接するベイビーはとても誠実。そして、昔の罪を背負って仕事をする姿は、善悪の判断ができない子どものような純粋さがあります。そんなベイビーが自立して自分で自分の道を切り開こうとするのです。対して周りの大人たちはひねくれていますが……。
ベイビーの周りの大人は様々な父親像として立ちはだかります。見守り、厳しくし、優しくし、暴力をふるい、利用する……。みんな悪い父親です。その父親たちを乗り越える成長ストーリーとなっています。
まとめ
エドガー・ライト監督の5作品をご紹介しました。どの作品も観た後スカッとする素晴らしい作品です。熱狂的なファンを増やし続けるエドガー・ライト監督ですが、現在はサイコホラー映画の製作が進んでいるのだとか。これからもエドガー・ライト監督から目が離せません。