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不条理&バイオレンス!!コーエン兄弟のおすすめ映画7選!

ひとっとび編集長

『バートン・フィンク』『ファーゴ』、『ノーカントリー』など、コアな映画ファンの心をつかんで離さないコーエン兄弟。

兄のジョエル・コーエン(1954年11月29日)と弟のイーサン・コーエン(1957年9月21日)は、アメリカのミネソタ州で生まれました。

少年時代から読書・映画鑑賞が大好きだった二人は、ジョエルが買った8ミリ映画撮影用機材を手に、好きな映画のリメイクや、オリジナル映画を制作していました。

その後、ニューヨーク大学で映画制作を学んだジョエルは、映画製作現場で働くようになります。そんなジョエルの元に、プリンストン大学で哲学を学んだイーサンが訪ねたことが、二人の共同映画製作のきっかけになるのです。

1984年にデビュー作『ブラッド・シンプル』を発表した兄弟は、自主製作映画界で一気に注目を集め、その後も数々の話題作を生み出していきました。

二人の作る映画は、スリラー・バイオレンスに笑いを織り交ぜた独特で難解な作風ながら、見るものに不思議な魅力を感じさせてくれます!

コーエン兄弟のおすすめ映画7選

バスターのバラード
出典:映画『バスターのバラード』 公式Facebook

それでは、そんな二人の作る作品の中でも、特に魅力的で心に残る7作品を公開年順にご紹介します!

どの作品も、コーエン兄弟特有の不思議な魅力がたっぷり詰まっています!

1.ブラッド・シンプル

映画 ブラッドシンプル
出典:Amazon.com

あらすじ

テキサス州で酒場を営むジュリアン・マーティ(ダン・ヘダヤ)は、妻のアビー(フランシス・マクドーマンド)と酒場従業員のレイ(ジョン・ゲッツ)が浮気をしていると考え、私立探偵であるローレン・フィッセル(M・エメット・ウォルシュ)に浮気の調査をさせていた。

調査報告から妻の浮気を確信したマーティは、今度はアビーとレイの殺害をフィッセルに依頼する。引き受けたかに思えたフィッセルだったが、フィッセルはマーティを殺害し、店の金庫から金を奪う。

現場を見たレイはマーティ殺害をアビーの仕業と思い込む――。

コーエン兄弟映画『ブラッド・シンプル』のトリビア

■物語は旧約聖書をモチーフにしている。

■ジョエルはこの映画をきっかけにアビー役のフランシス・マクドーマンドと婚約した。

『ブラッド・シンプル』の注目ポイント!

コーエン兄弟の記念すべきデビュー作である本作は、登場人物の「真剣に行動しているがどこかおかしい」シュールさと、日常のどこかに潜んでいるようなバイオレンスさが同居する、まさに二人の作風のルーツとも言える作品です!

ちょっとしたボタンのかけ違いで話がどんどんこじれていく様は、後の『ファーゴ』などにも見られるコーエン兄弟の得意分野!

映画タイトルの『ブラッド・シンプル』は、ハードボイルド小説家のダシール・ハメットが用いた言い回しで、「恐怖や困惑の果てについに殺人を犯してしまうこと」を指します。

この言葉の通り、極限状態の登場人物達の欲や情が行きつく先がありありと描かれた、息つく暇を与えてくれないスリラーサスペンス作品です!

この作品以後、兄弟の作品によく出演することになる女優・フランシス・マクドーマンドのデビュー作でもあり、彼女の演技にも注目です!

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2.バートン・フィンク

映画 バートン・フィンク
出典:Amazon.com

あらすじ

ニューヨークの劇作家であるバートン・フィンク(ジョン・タトゥーロ)は、ハリウッド大手スタジオから映画脚本の執筆オファーを受け、スタジオ専属の脚本家になる。

ハリウッドの不気味なホテルで脚本執筆にとりかかるバートンだったが、全く捗らない。

そんな中、バートンは尊敬する作家である、W・P・メイヒュー(ジョン・マホーニー)に出会い、アドバイスを求めたが、メイヒューは酒に溺れ、すっかり自堕落になってしまっていた。

バートンは落胆するが、メイヒューの秘書兼愛人であるオードリー・テイラー(ジュディ・デイヴィス)に心を奪われる。

ある時、オードリーと一夜を明かしたバートンだったが、目覚めたときにはオードリーは無残な死体になっていた。取り乱したバートンはハリウッドで得た友人であるホテル隣室のチャーリー・メドウズ(ジョン・グッドマン)にこのことを相談するが――。

コーエン兄弟映画『バートン・フィンク』のトリビア

■この映画の構想は、実際にコーエン兄弟が脚本執筆に苦労した体験に基づき作られた。

カンヌ国際映画祭史上、初めての主要三部門制覇を果たした作品。この作品の複数受賞以降、複数部門の受賞が”アリ”となった。

『バートン・フィンク』の注目ポイント!

一人の脚本家の苦悩を描く、コーエン兄弟の出世作である作品です!

バートンの精神が不安定になるほど薄気味悪く見えてくるホテルの描写が特徴的であり、ホテルの壁紙が剥がれてくる場面や、奥行きが随分広く見えるホテルの廊下など、夢と現実が入り乱れたかのような演出に、疑問と期待で画面にくぎ付けにされます。

見方次第で見え方が変わる」と兄弟が言うように、様々な解釈をすることができる映画になっており、見終わってからの考察が楽しい作品です!

特に、旧約聖書のパロディが多く、元ネタ探しをするのもまた一興です!

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3.ファーゴ

ファーゴ
出典:映画『ファーゴ』 公式Facebook

あらすじ

自動車販売店で働くジェリー・ランディガード(ウィリアム・H・メイシー)は多額の借金を抱えており、返済のため、妻のジーン(クリステン・ルドルード)の狂言誘拐を企てる。

しかし、ジーン誘拐を請け負ったチンピラ二人組が警察官と目撃者を射殺してしまう。

警察署女性署長のマージ・ガンダーソン(フランシス・マクドーマンド)は事件を追うが、事件はどんどん大きくなっていき……。

コーエン兄弟映画『ファーゴ』のトリビア

■『ファーゴ』は、舞台の一つであるノースダコタ州の都市ファーゴから取っているものだが、作中ではファーゴよりもミネソタ州のブレイナードにいる時間のほうがずっと長い。イーサン曰く、「(映画タイトルが)ブレイナードじゃクールじゃないだろ?」との事。

■映画冒頭で「これは実話である」と書かれているが、実際には実話をもとにした話ではなく、映画の演出としてこの文が使われている。

■撮影に使われた粉砕機は、現在ファーゴのビジターセンターに展示されている。

『ファーゴ』の注目ポイント!

「不条理さ」と「追い詰められた人間の行動」を描いた本作品は、兄弟のデビュー作である『ブラッド・シンプル』をブラッシュアップしたような内容です!

兄弟の持ち味であるブラックジョークも更にレベルアップしており、冒頭の「この物語は実話に基づいている」という文章も実はウソという悪ふざけっぷり!

しかし、ウソにウソを重ねてどんどんまずくなっていく登場人物達の様と、追い詰められた人間が起こす突発的な行動には、確かなリアリティがあり、ブラックコメディの中に秘められた人間の本質のようなものが感じられる作品です。

フランシス・マクドーマンドが演じる女警察署長であるマージ・ガンダーソンの、刑事としての日常という視点で見ることができる作品でもあり、彼女の目線で物語を見るのも一つの楽しみ方としてとてもおすすめです!

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4.レディ・キラーズ

映画 レディ・キラーズ
出典:Amazon.com

あらすじ

信心深いクリスチャンであるマンソン夫人(イルマ・P・ホール)の自宅に下宿した一人の男。

ゴースウェイト・ヒギンソン・ドア教授(トム・ハンクス)と名乗るその男は、実は天才的な知能犯罪者。教授はマンソン夫人の自宅地下から繋がるカジノ船の金庫を狙っていたのだ。

順調に思えた教授の計画だったが、家主のマンソン夫人が思わぬ障害となって立ちはだかる――。

コーエン兄弟映画『レディ・キラーズ』のトリビア

■1955年に作られた『マダムと泥棒』という映画のリメイク作品。

■コーエン兄弟の作品はこれまでジョエルが監督、イーサンが製作として別々にクレジットがされていたが、この作品から監督・製作共に兄弟の連名となった。

『レディ・キラーズ』の注目ポイント!

トム・ハンクス主演のクライム映画!となれば、格好良くてスタイリッシュなものを連想させますが、そこはコーエン兄弟。当人たちはすごく真面目にやっているはずなのに、ちょっとした手違いでどんどんおかしなことになっていくというコメディ作品になっています!

映画後半になるにつれ、教授の気苦労と不幸さに同情的になってしまい、気が付けば犯罪者である教授たちを応援してしまう、そんな不思議な気持ちにさせられてしまう作品です!

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5.ノーカントリー

映画 ノーカントリー
出典:Amazon.com

あらすじ

ベトナム帰還兵であるルウェイン・モス(ジョシュ・ブローリン)は、偶然死体の山と共に札束の詰まったブリーフケースを見つける。

ブリーフケースを持ち去ったモスは、ギャングに追われる身となってしまう。

モスを追う殺し屋のアントン・シガー(ハビエル・バルデム)、二人を追う老保安官のエド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)。

3人の運命は複雑に交錯していく――。

コーエン兄弟映画『ノーカントリー』のトリビア

■原題は「no country for old men」、直訳すると「年寄りに住む国はない」というタイトル。ウィリアム・バトラー・イェイツの詩から引用されている。

■コーエン兄弟は、この作品について「今まで手掛けた作品の中で最も暴力的な作品」と語っている。

『ノーカントリー』の注目ポイント!

なんといっても、アントン・シガーを演じるハビエル・バルデムの怪演が光る作品です!

殺し屋としての不気味さとサイコさを、コーエン兄弟特有のカット割りと、直接的には見せない殺しの演出で存分に表現されており、シガーが出てくるたびに画面から目が離せなくなってしまいます!

会話が全く噛み合わず、おかっぱ頭のギョロっとした目つきで圧倒的な強さを見せるシガーの存在感は、アカデミー賞の助演男優賞に相応しいものと言えるでしょう!

この作品もまた、コーエン兄弟がよくテーマにしている「人生の不条理さ」を描いたものであり、ラストシーンの持つ意味について考察するのも、この作品の楽しみ方の一つです!

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6.トゥルー・グリット

トゥルーグリット
出典:映画『トゥルー・グリット』 公式Facebook

あらすじ

父を殺された14才の少女マティ・ロス(ヘイリー・スタインフェルド)は敵討ちのため、腕が立つ保安官のルースター・コグバーン(ジェフ・ブリッジス)を雇う。

しかし、コグバーンは元泥棒で大酒飲み。コグバーンを信用できないマティは敵討ちの旅に同行する。犯人の追跡にテキサス・レンジャーのラ・ビーフ(マット・デイモン)も加わり、父を殺した男のチェイニー(ジョシュ・ブローリン)を追う旅に出る。

コーエン兄弟映画『トゥルー・グリット』のトリビア

■1969年の映画『勇気ある追跡』のリメイク作品

■マティ役は1万人以上のオーディションを経ても選ばれず、最終的にロサンゼルスでヘイリー・スタインフェルドが発掘された。

『トゥルー・グリット』の注目ポイント!

コーエン兄弟の作品の中でも特にエンタメ色が強い作品になっています!

気丈な少女と飲んだくれ保安官とテキサスレンジャーの復讐のロードムービーである本作品は、それぞれのキャラクターの立ちっぷりと、西部劇の醍醐味であるガンアクションが見事に融和した見ごたえ十分な王道作品となっております!

また、「復讐」をテーマにした本作品では、「復讐の対価、代償」についても触れており、ラストシーンではコーエン兄弟の出したこのテーマに対する答えを窺い知ることができます。

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7.バスターのバラード

バスターのバラッド
出典:映画『バスターのバラード』 公式Facebook

あらすじ

アメリカ西部開拓時代を舞台とする6つの物語。

陽気なカウボーイで生粋の無法者であるバスター・スクラッグス(ティム・ブレイク・ネルソン)の話を始めとした、ブラックユーモアと皮肉がたっぷりの「」と「不条理」の短編集。

コーエン兄弟映画『バスターのバラード』のトリビア

■当初は映画にする予定はなく、6つの単独短編作品だった。

■Netflixでの公開前に、アメリカの3つの映画館で4日間だけ先行上映されている。

『バスターのバラード』の注目ポイント!

劇場で一般公開せず、Netflixにて独占配信され、話題を呼んだ作品です。

6つの短編からなるオムニバス映画である本作品。それぞれの作品は「死」という共通のテーマをもって描かれています。

この6本の中でも特にお勧めの物語が表題にもなっている「バスターのバラード」です!

超がつくほど陽気なガンマンである彼は、カメラ目線で私たちにガンガン話しかけてきます。「第四の壁」を明るい口調でガンガン超えてくる様は、まるでマーベル・コミックのヒーロー「デッドプール」そのもの!そして、バスターは強さまでもヒーロー級!

撃てば百発百中、銃がなくとも腕っぷしと機転で軽口を叩きながら相手をなぎ倒していくその様には、バイオレンスでありながら、一種の清々しさを感じてしまいます!

ラストシーンの不条理さと諸行無常さを含め、「コーエン節」全開の1本です!

まとめ

コーエン兄弟監督作品を公開年順にご紹介しました。

コーエン兄弟の作品は、人生の不条理さと、無常さを描いたものが数多くあり、私たちに人生とは何かを考えさせられるものばかりです。

これからのコーエン兄弟の作品にも注目です。

この記事を書いた人
ひとっとび編集長
ひとっとび編集長

映画の情報サイト『映画ひとっとび』の編集長。 映画を「なんとな〜く」探している方から、「この映画の考察が知りたい!」というマニアな方まで楽しめるサイトを目指しています! 皆さんの映画ライフがもっと充実するお手伝いができますように。