バットマンシリーズ6作目『ダークナイト』結末あらすじネタバレ | 狂気の怪演に引き込まれる!
アメリカンコミックの代表的出版社であるDCコミックスが発行している人気漫画『バットマン』。他には無いダークでゴシックな雰囲気の漂う同作品は数回実写映画化され、ヒットを飛ばしてきました。その第6弾となるのが今作『ダークナイト』。クリストファー・ノーラン監督によるバットマン新生シリーズ、ダークナイト・トリロジー3部作の2作目として制作されました。
よりダークにスタイリッシュに映像化された同シリーズは、バットマンファンならずとも独特の世界観に引き込まれてゆく、とても見応えのある骨太のアクション映画に仕上がっています。幼い頃に両親を失い、傷だらけになりながらもヒーローとしての使命と運命に葛藤するブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)の孤独な闘いを壮大に描いたドラマを堪能してみませんか。
目次
世界中で愛される劇場版『バットマン』シリーズについて
エンターテイメント作品を嗜む人なら誰しもが一度は聞いた事がある作品名『バットマン』。その歴史は古く、最初にDCコミックスの前身となる漫画雑誌に登場したのは1939年になります。作家であるビル・フィンガー、アーティストであるボブ・ケインの共作として長年世界中で愛読され、1966年にTVドラマシリーズの映画化作品として初めて劇場公開されました。その後、1989年に公開されたティム・バートン監督作品『バットマン』は好評を博し、アカデミー美術賞を受賞、続編であり1992年に同監督作品として公開された『バットマン・リターンズ』は前作程の興行収入には至らなかったものの、映画評論家からは好評を得ました。
その後、キャストを変更し、バットスーツやメカデザインも一新して1995年に公開された『バットマン・フォーエバー』では作品としての賛否は分かれたものの、第68回アカデミー賞において撮影賞、録音賞、音響編集賞ノミネート等、高い映画技術力を評価されました。
そして1997年、劇場版第4弾作品『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』が公開されます。しかしこの作品は前作程の興行的な成功は収められず、内容も酷評が目立つ映画作品となってしまいました。とはいえバットマンとタッグを組み活躍する相棒ロビンや敵役Mr.フリーズを演じたアーノルド・シュワルツェネッガーの登場等、キャラクター作品として十分楽しめる仕上がりになっています。
ここまでの4作品の系譜を辿る形で5作目も企画されていましたが、興行収入や前作の評価等を考え興行元であるワーナーブラザーズは手を引く事を決断。その後、数年の期間を開けてクリストファー・ノーラン監督によるバットマン新生3部作『バットマンビギンズ』『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』が誕生しました。
10秒でわかる『ダークナイト』の簡単なあらすじ
表の顔は億万長者であり実業家のブルース・ウェイン。正体はゴッサムシティの治安を悪党から護る闇の守護者バットマンであった。ある日、ピエロのマスクを被った強盗集団にゴッサムシティ銀行が襲撃される事件が発生する。金を強奪した直後、強盗団は仲間割れをし始め、最期の1人になるまで殺し合う。
生き残った男の正体は狂気の殺人道化師ジョーカー(ヒース・レジャー)。ジョーカーは銀行に預けられていたマフィアの金を強奪するとそのまま逃走。バットマン、正義の地方検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)、ゴッサム市警によるジョーカーとの闘いが繰り広げられるが、そんな中で捕まえたジョーカーの策略に陥れられ、それぞれの運命の歯車は大きく狂ってゆくのだった。
正義とは何なのか、悪とは何のことなのか、という重いテーマをジョーカーという狂人が登場人物に問いかけてくる展開は、アクションだけに留まらずサスペンスチックでとてもスリリングです!
『ダークナイト』ネタバレあらすじ
ここからはガッツリネタバレ有であらすじを結末まで解説していきますので、まだ御覧になっていない方は十分注意してくださいね!
【あらすじ①】ジョーカー登場、ゴッサムシティが荒れ狂う
ピエロマスクの犯罪者集団によってゴッサムシティ銀行が襲撃される。狙いは勿論金。一団は当初協力関係であったが、元々裏切るつもりで利用していたジョーカーの知略によって仲違いの殺し合いを起こす。手を組んでいた仲間ですら裏切って殺し、最後に残ったのはジョーカーただ1人。銀行に預けられていたマフィアの金を強奪して逃げるという危険を顧みない凶行に出たジョーカーであったが、その理由と目的は別にあったのだった。
主人公で資産家、実業家でもあるブルース・ウェインとも会合を行っていた中国系企業の社長ラウ(チン・ハン)だったが、実は悪事を働く裏の顔があり、ゴッサムシティの裏社会のマフィア達とも繋がり会合を行っていた。その会合へ突如としてジョーカーが現れラウやマフィア達を脅す。怯え切ったラウは中国へ逃亡するもバットマンによって悪事を暴かれ、マフィア達を追い詰めるための証人にするためにゴッサムシティへ連れ戻される。
その一連の事実を知ったマフィアはバットマンの存在を脅威に感じ、銀行から奪ったマフィアの資金でマフィアと交渉するという狂気と口車に乗せられ渋々ながらジョーカーを、バットマンを倒すために雇う事となる。ジョーカーは最初からこうなる事を計算して行動していたのだった。
ラウを連れ戻した事により、その証言から多くのマフィアを逮捕する事ができた警察。そんな中、テレビに出演したジョーカーは、バットマンが正体を明かさない限りゴッサムシティで人を殺し続けると脅迫めいた演説と殺しの演出を展開。バットマンや自分を邪魔する者達を殺すと示唆した狂気の言動を視聴者に発信するのだった。
【あらすじ②】牙を剥くジョーカー
ブルースが地方検事ハービーのために開いたパーティー。お酒を嗜み、ハービーの目覚ましい活躍とこれからのキャリアを皆で祝福する中、突如としてジョーカーが姿を現し、パーティー会場の他の招待客に向かって銃を振り回しながら到着していないハービーの居場所を聞き出そうと暴れ出す。
そんな中でふと目に留まった男性の招待客にナイフを突き付けるジョーカー。ブルース、ハービーの2人が想いを寄せる女性レイチェル・ドーズ(マギー・ジレンホール)は、自分が代わりに人質になるように名乗りを上げる。そこへバットマンが現れ戦闘状態になるも、窓を打ち破りレイチェルを外へと放り投げるジョーカー。追いかけて飛び降り、あわやの所で愛する人レイチェルを受け止め救出したバットマンなのだった。
この一件で事態を重く見たブルースは、ハービーが行う会見の場で自分がバットマンである事を公表すると心の中で誓う。しかし正義感の強いハービーが機転を利かせて自分がバットマンであると会見で発表してしまう。警察に連行されるハービーだったが、護送中を狙ったジョーカーに襲撃を受ける。ハービーの命を守るためバットマンが駆けつけ、死んだふりをしていた市警のゴードン(ゲイリー・オールドマン)の作戦によってついにジョーカーを逮捕する。
隔離された室内でバットマンがジョーカーの前に現れ、違法スレスレの厳しい尋問をするが、意に介す様子も無く狂気の策略を口にしだす。レイチェル、ハービー両名はジョーカーの手下によって誘拐されて人の目につかない場所に監禁され、爆弾とガソリンを使った仕掛けにより命に危険が迫っているというおぞましい告白であった。
ジョーカーからそれぞれの場所を聞き出したバットマンは、自身はレイチェルの元へ、市警のゴードンはハービーの元へ向かうよう指示して動き出す。しかしバットマンが到着した建物に囚われていたのはハービーで、ジョーカーが逆の場所を教えていたと理解する。この嘘によってレイチェルは爆発に巻き込まれて死に、ハービーも顔半分に大やけどを負ってしまう。
一方ジョーカーは体に忍ばせていた爆弾を使って警察署から脱走し、報酬として受け取った資金に火をつけて燃やし関わっていたマフィアとラウを殺してしまう。
【あらすじ③】混沌
ジョーカーがハービーの入院している病院に現れる。女性看護師の恰好をし、顔半分の歯と眼球が露出するほどの酷いやけどと、愛するレイチェルを失った傷心で寝込んでいるハービーに囁きかけた。ジョーカーに気づき敵意を露わに興奮するハービーをよそに、自らの額に銃口を突き付け、引き金をハービーに握らせるジョーカー。「殺したければこの場で自分を殺せ」とばかりに復讐の機会を与え詰め寄るジョーカーだったが、これこそが心理的な駆け引きを仕掛け、ハービーの抱いている復讐心をバットマンへ向けさせるための巧妙な罠であった。
病院を抜け出したハービーはもう1人のヒールへと堕ち、ジョーカーによって影で操られている復讐者トゥーフェイスとなり行動を起こし始める。そして、自身の手の甲へ投げられたコインの表裏で相手の生死を決めるゲームによって、レイチェルの死に責任を持つ者達を裁き始めたのだった。
一方ジョーカーはスタッフを人質に取り強引にテレビ出演し、ゴッサム市民は自分の仕掛けるゲームに参加するか街を出てゆくかを選べと要求する。事前に市民が街を出る際に通る橋に爆弾を仕掛けた事を警察に報告していたジョーカーは、このゲームの本当の要となる住民が向こう岸へ渡るために利用する船を用意させる事に成功する。
市民を乗せた船リバティー号と囚人を乗せたスピリット号。両船舶に爆弾を仕掛け、双方の船にお互いの船を爆破させる起爆スイッチを用意していた。夜12時を過ぎれば両方の船を爆破させると船内アナウンスを通して脅しをかけるジョーカー。自分達が助かりたければ相手の船を爆破するしかないーーーしかも一方は善良な市民、もう一方は犯罪を犯した囚人達。命の値踏みをかけさせて人間の本性を問うかのようなこのゲームを仕掛ける事こそ、混沌を好むジョーカーの真の狙いだったのだ。
【あらすじ④】正義の価値
ジョーカーの狙いとは裏腹に、リバティー号、スピリット号両乗客は爆破によって自分達が助かる道を拒否。爆破スイッチは押さないという正義の選択を貫いた市民と囚人達。
同時期、道徳的な問題点から秘密裏に開発をしていたゴッサムシティ全土の通信機器を傍受できるソナー探知機によってジョーカーの潜伏するビルを突き止め、戦闘の末に再びジョーカーを捕らえたバットマン。もうすぐ12時になる頃合いを見計らい「花火を見よう」と言うジョーカーだったが、バットマンがジョーカーに返した言葉は「花火は上がらない」。
正義を信じた者達はジョーカーとの心理戦、両方爆破するという嘘の圧力に屈せず、12時を過ぎても爆発は起こらないまま助かったのだった。しかし、またもやジョーカーが語りかける、「ハービーの事を知らないのか?」
その頃、復讐者トゥーフェイスとなったハービーは、市警ゴードンの家族を人質に廃墟に立て籠っていた。レイチェルを巻き込んで殺した関係者であるゴードンの家族の中から、最愛の1人を同じように殺してやると怒り狂い暴挙に出ていた。ゴードンの息子に手をかけようとするハービーだったが、直前でバットマンが割って入り止める。ジョーカーに嵌められた旨を伝えるも、もはや聞く耳を持たないハービーは、バットマンにコインゲームは仕掛ける。
ゲームの末、ゴードンの息子を射殺しようとしたハービーをバットマンが倒し、復讐者トゥーフェイスは正義の検事ハービーの名誉ある死という形で、闇へと葬られたのだった。
『ダークナイトのキャスト』
バットマン(ブルース・ウェイン)/クリスチャン・ベール
ダークナイト、バットマンシリーズの主人公。表の顔は資産家、実業家、ウェインエンタープライズのオーナーだが、もう一つの顔、ゴッサムシティを陰で守る闇の騎士バットマンでもある。
ジョーカー/ヒース・レジャー
世に混乱をもたらし、秩序の破壊を目論むマッドピエロ。知略と人を陥れる狡猾さでゴッサムシティ、バットマン、警察を恐怖に陥れた。
ハービー・デント(トゥーフェイス)/アーロン・エッカート
ゴッサムシティの平和を望み活動する熱い正義感を持つ地方検事。ジョーカーの策略に嵌って私刑執行人トゥーフェイスとなり、歪んだ正義の道へと進んでしまう。
レイチェル・ドーズ/マギー・ジレンホール
ハービーと同じく検事。ブルース、ハービー両名から好意を持たれている。心優しく人の痛みがわかる正義感の強い女性。
ジェームズ・ジム・ゴードン/ゲイリー・オールドマン
バットマンと密かに手を組んで行動する市警察。バットマンが立ち回りやすいように影で助け船を出す存在でもある。バットマンにとって協力者でもあり数少ない理解者の1人。
『ダークナイト』の見どころ
バットマンといえば闇夜に紛れて闘う派手な格闘アクションや、漆黒で独特のデザインのマシン、メカニックなど、全面に打ち出されたSFヒーローとしてのカッコよさも魅力ではありますが、ダークナイトと言えば今作のもう1人の主人公と扱っても違和感の無いジョーカーという敵キャラクターでしょう!
若くして亡くなった俳優、故ヒース・レジャーの圧倒的な役作りによってジョーカーそのものになりきった怪演は、映画ファンに語り継がれ映画史に刻まれる程の強烈なインパクトを残しました。特に戦闘能力が高いわけでも権力があるわけでも無い、名誉にもお金にも興味が無い。秩序の破壊という目的達成のため、内側から湧き出る悪意のみで人々を恐怖の底へと引きずり落とす新感覚の敵を、ぜひ体感してみて欲しいです!
『ダークナイト』のトリビア
【その①】病院爆破のシーンはCG無しで撮影!?デマ情報の真相
作中で病院をCG無しで爆破、それを後目にジョーカーが歩き続けるというシーンがあるのですが、撮影用の爆破装置が上手く起動せずにズレて爆発。しかしそのまま演技続行し、その一発撮りを故ヒース・レジャーがアドリブでやりきったというデマが流れました。
本当は全て計算ずくの爆破と演技だったのですが、どこからが演技でどこからが素なのかわからない程役に入り込んでいたヒースの、役者としての能力の高さが生んでしまったデマ情報かもしれませんね!一見の価値大ありです!
【その②】骨太の撮影秘話
撮影時に世界に4台しか存在しないカメラを使用していたのですが、スタッフが過酷な撮影に没頭するあまり壊してしまいました。なんと当時の価格で日本円にして2億円以上したそうです。細かい部分の修正以外にCGをできるだけ使わずに撮影するという、ダークナイトのリアリティーに拘った手法が災いしてしまったのかもしれません!
【その③】本物の警察官を起用
ダークナイトに登場するエキストラの警察官はほとんどの方が、現職の警察官だったそうです。人の機微や細かな所作まで含め、とにかくリアリティーに拘った映像を撮りたかったのがわかりますね!
まとめ
文学や哲学のエッセンスを交え、通常のヒーローアクションとは一線を画す雰囲気を視聴者に体験させてくれる新生バットマン映画、『ダークナイト』。天才クリストファー・ノーラン監督によって生み出された新たなヒーロー像をぜひ鑑賞してみてはどうでしょうか。