映画『恋は雨上がりのように』のネタバレあらすじ|原作小説との違いを解説
小学館から発刊されている漫画雑誌『月刊!スピリッツ』にて2014年~2016年、『ビッグコミックスピリッツ』に移籍してからも2016年~2018年まで連載されていた人気恋愛漫画『恋は雨上がりのように』。
自分の親と同じくらい年齢の離れた男性を好きになった高校生の少女が、挫折しかけてる目標に心揺れ動きながらも、あの手この手で中年男性にアプローチをかける青春恋愛漫画の傑作です!!
目標を諦めかけている17歳の高校生が、ひょんな事からレストランの中年店長に優しくされ、思い詰めていた辛さもあってか恋に落ちてしまい・・・というどこかで聞いた事のあるストーリーの始まりですが、現実の世界でも年上の異性に惹かれてしまった経験があり、共感できる人も多いのではないでしょうか。
そんな人生経験豊富な年上に惹かれる若者の気持ちを情緒たっぷりに描いた漫画を実写化したのが映画『恋は雨上がりのように』ですね!
映画『恋は雨上がりのように』を観て、誰しもが経験する人生の先輩への憧れや恋心を思い出してみませんか?本記事の予習でそのお手伝いをできたらと思いますので、ぜひ最期までご覧になって行ってください!
目次
映画『恋は雨上がりのように』について
大人気恋愛漫画を、小松菜奈と大泉洋をメインキャストに迎えて実写化した映画が『恋は雨上がりのように』です。原作漫画の持つ叙情的で繊細な雰囲気を壊さぬよう描写しながらも、モラルの視点からも未成年と中年の恋に対する否定的なメッセージもきっちりと盛り込み、恋の行く末が簡単ではないという描き方をしている一風変わった恋愛ドラマになっています。
恋心を向けられ困惑する中年・近藤正己の視点だと若者へ大人が伝えられる道徳や人生のアドバイスとは何なのか?を考えられ、少女・橘あきらの視点から観れば大人の男性への憧れに共感できる不思議なバランスで物語が進行していき、すれ違う2人の気持ちの先が気になってくる恋愛ドラマの王道も押さえていて、思わず世界に引き込まれてしまう作品ですね。
本作のメガホンを取ったのは、数々のTVCMや、映画『帝一の國』などで知られる永井聡。原作漫画のファンだった事もあり、オファーを受けた際には逆に引き受けようか悩んでしまったそうです。しかし、キャスティングが小松菜奈と大泉洋のタッグだと提案され、それならば自分も観てみたいと思い監督を引き受けたそうです。原作を読んでいただけあり、見事な世界観の再現度ですね!
10秒でわかる!映画『恋は雨上がりのように』の簡単なあらすじ
陸上部に所属するエース選手の女子高校生・橘あきらは、有望されながらも足に大けがを負い陸上から遠ざかっていました。ある日、足の治療の通院帰りに雨宿りのためとあるレストランに入ると、レストランの店長・近藤正己にコーヒーをご馳走されます。表情が暗く落ち込んでるあきらを見た近藤が、サービスとして出したのです。コーヒーに手を付けないあきらを見た近藤は、手品などを見せてあきらを元気づけようとします。
その事がきっかけでレストランの中年店長・近藤に恋心を抱いたあきらは、怪我で休んでいる陸上の練習時間である放課後にレストランに勤務する事で近藤と接近できるかも、とアルバイトとして働きだしました。
しかしある時思い切って近藤に想いを伝えたあきらでしたが、あまりの歳の差に近藤から「友達としていよう」と断られてしまいます。その後、諦めきれないあきらがあの手この手で近藤にアプローチをかけていく中、陸上部の親友やライバルとの人間関係がこじれていくのでした。
映画『恋は雨上がりのように』ネタバレあらすじ
【あらすじ①】少女とおじさん
高校2年生の少女・橘あきら(小松菜奈)は「cafeレストラン ガーデン」で放課後にアルバイトをしていた。アキレス腱に大怪我を負ってしまい、心に傷を負ったあきらは打ち込んでいた陸上から距離を取りるようにアルバイトに勤しんでいる。
「cafeレストラン ガーデン」の店長・近藤正美(大泉洋)はバツイチで子供がいる冴えない中年男。ある雨の日、たまたま雨宿りでこの店を訪れた怪我を治療中のあきらだったが、優しくコーヒーをサービスした近藤に恋心を抱いてアルバイトとして入社してきたため、上司と部下という間柄になっていた。
ある時、来店した客がスマホを置き忘れていた事に先輩従業員・久保(濱田マリ)が気が付いて事務所へ持って来る。既に会計を済ませて自転車で帰ってしまった客だったので、諦めかけていた近藤と久保だったが、「店長、それ貸してください」とあきらがスマホを持ち走って追いかけだす。いくら何でも追いつけないと思った近藤だったが、陸上部のエースで100mの記録保持者でもあるあきらはその瞬足を活かして追いつき、スマホを渡して店へ戻ってくるのだった。
しかし怪我をしていた足で無理にダッシュをしてしまい、怪我を悪化せてしまう事態になる。近藤はあきらを自分の車に乗せて病院へ向かうと、重大な怪我にはなっていないと胸をなでおろすが、自分の監督責任を感じた近藤はあきらの家へお詫びに伺う事に。
翌日、コンビニに向かっていたあきらは偶然近藤と遭遇する。あきらを励まそうとファミレスへ連れていき、パフェをご馳走する近藤。怪我を悪化させた責任を感じている近藤は、あきらに嫌われてるのではないかと考えていたが、思いもよらぬ言葉を言われる。
「私、店長の事好きです」
しかし近藤は人としての好意だと勘違いし、「ありがとう」と軽い返事で返してしまう。それを受けたあきらが真剣な恋心だと訴えるも、近藤は戸惑いを隠し切れないのであった。
アキレス腱に怪我をし、走る事を止めていた時、リハビリの通院帰りに雨宿りで立ち寄ったこのレストランで頼んでもいないコーヒーを持ってきてくれたのが近藤だった。落ち込んでいたあきらにとって近藤の優しさは救いになり、すぐにそれは恋心へと変わった。その事がきっかけとなり「cafeレストラン ガーデン」でアルバイトをしている。
この過去を思い出したあきらは再び近藤に告白するも、28歳の歳の差と高校生とおじさんという立場もあって戸惑っている近藤に「考え直した方がいいよ」と諭されるのであった。
【あらすじ②】恋と友情
出典:IMDb
近藤がつい口走ってしまった言葉からなりゆきで1度デートをする事になった近藤とあきら。しかし、バイトの休憩中、気分が高揚して教科書に描いた落書きの相合傘をコックの加瀬(磯村勇斗)に見つかり、あきらの近藤への想いがバレてしまう。軟派な加瀬から口止めとしてデートを要求されたあきらは、渋々それを受けて加瀬とデートするのだった。
近藤とのデート当日、あきらは気合いを入れてオシャレをし、落ち合った2人は映画を観てお茶をして楽しんだ。「次のデートは店長の行きたい所へ連れて行ってください」と頼むあきらのアプローチによって半ば強引に2度目のデートをする事になった近藤は、あきらを図書館へ連れて行く。
近藤は若い頃作家を志していたが、いつしか夢を半分諦めて生きて来た。本に溢れた図書館をデートの場所に選んだのはそのためだ。旧友で作家の九条(戸次重幸)が出版した小説「波の窓辺」をデート帰りに購入し帰宅。小説を読み終えた近藤は、久し振りに九条と連絡を取り、会う約束をするのだった。
ある日、友人のはるか(清野菜名)と夏祭りに来ていたあきらは、偶然息子と遊びに来ていた近藤を見つける。近藤と親し気に話すあきらの様子を見ていたはるかは、あきらが恋をしている事に気が付く。陸上部に顔を出さず、アルバイトに明け暮れ、おじさんと恋愛をしている事が理解できないとあきらに伝えるはるか。互いに思うところのある2人は口論となり、喧嘩別れしてしまう。
【あらすじ③】ライバルと大雨
ある時、「cafeレストラン ガーデン」にあきらとは別の高校の陸上部の学生・倉田みずき(山本舞香)が訪ねてくる。みずきはあきらに憧れて目標としており、いつか追い越してやるという意気込みで陸上に打ち込み、あきらの記録と同タイムを叩き出していた。みずきは陸上から離れているあきらを挑発して発破をかけ、復帰を促すように振る舞う。みずきの挑発に冷静な態度を見せるあきらだったが、心の内では陸上への未練が刺激され揺れ動いていた。
別の日、風邪をひいて熱を出した近藤は、自宅で安静にしていた。するとその夜、大雨の中ずぶ濡れになったあきらが訪ねてくる。驚いた近藤だったが、ひどい恰好のあきらを見かねて自宅へ迎え入れ雑談をしていると、突然停電が起きる。次の瞬間、あきらが近藤に抱きつく。いきなりの事に慌てる近藤だったが、気が付くとあきらを受け入れて抱きしめていた。
停電が直り、明かりがつくと近藤は正気を取り戻してあきらから離れる。冷静になった近藤は、以前と同じように「友達になろう」と優しくあきらの想いを遠ざけ、タクシーに乗せて家へと送り帰すのだった。
あくる日、熱が悪化して倒れてしまった近藤が目を覚ますと、九条が料理を作って介抱してくれていた。近藤は意識が朦朧とする中で「孤独死する」と九条に助けの電話を入れていたらしい。
【あらすじ④】青空と笑顔
出典:IMDb
近藤は息子の徒競走の練習のコーチをあきらに頼んでいた。友人として引き受けたあきらは、近藤と息子の3人で浜辺でダッシュのトレーニングをしている。この所、ずっとバイトに「あえて」出ていたあきらを見ていた近藤は、陸上にもう一度打ち込みたいあきらの本音を感じ取り、作家を諦めていた自分に重ねて本当にやりたい事をするように遠回しに優しく促す。
「来月は(バイトのシフト)入らなくていいから。人手は足りてるんだ」
様々な人から助言や想いを受け取っていたあきらは、近藤の考えを理解し、微笑み返す事で応える。帰宅したあきらは、母に「捨てといて」と渡していたユニフォームとスパイクシューズをどうしたか聞いてみた。「捨てるわけないでしょ」、と母はあきらの復帰を信じて大切に取って置いてくれたのだった。
出典:IMDb
こうして友人のはるかと朝練を再開し、陸上部に戻ったあきら。ある日、川沿いの土手を陸上部員達とランニングをしていると、近藤の乗った車とすれ違う。互いに気が付いた2人は立ち止まると、気を使ったはるかは部員を連れて先に走り出す。
近藤は自分に昇進の話が来ているとあきらに告げると、嬉しそうに喜ぶあきら。「私達、友達ですね」と涙を浮かべながら確認したあきらは、「友達だったら、普通、メールとかすると思うんです」と話し、「私、店長とメールしたいです」と一歩踏み出す。
それを聞いた近藤は、いつもの優しい笑顔で微笑み返すのであったーー。
映画『恋は雨上がりのように』のキャスト|再現度高め個性派揃い
橘あきら/小松菜奈
風見沢高等学校に通う2年生、17歳の少女で本作の主人公。以前は陸上部のエース選手で、短距離では大会記録も持っている将来を切望される存在でした。しかし、1年生の秋に練習中にアキレス腱に大怪我をしてしまい、走る事が困難になった彼女は精神的なショックを受け陸上部から離れるようになってしまいます。その後、近藤と出会って近藤が店長を務めるファミレスでアルバイトをするようになりました。落ち込んでいた時に優しくしてくれた近藤に恋心を抱いています。
あきらを演じているのはモデル出身で女優としても大活躍の期待の若手・小松菜奈です。長身でスタイル抜群、黒髪ポニーテールが似合う彼女には、クールビューティーのあきら役はピッタリではないでしょうか。走ってる姿もカッコいいですね!
小松菜奈のおすすめ映画10本を厳選|唯一無二の透明感と演技力が魅力近藤正己/大泉洋
「cafeレストラン ガーデン」の店長。45歳バツイチの男性で、別れた妻との間に1人息子がいます。雨宿りでたまたま店を訪れたあきらの元気のない様子を見て、何気なくサービスでコーヒーを出して簡単な手品を披露した事から、あきらから想いをよせられるようになりました。28歳という歳の差に本人は困惑していて、傷つけないように何とかあきらに恋を諦めるよう説得しています。また、過去に作家を目指していた事があり、今でも時間がある時に執筆をしています。
近藤を演じるのはコミカルで芸達者な役者・大泉洋です。どこか頼りなさ気な雰囲気ととぼけた感じが近藤役に合っていますね!あきらに向けて時折見せる真剣な眼差しがカッコよくもあります。
喜屋武はるか/清野菜名
風見沢高校に通っているあきらの同級生で陸上仲間。あきらとは幼馴染で深い友情で結ばれていましたが、陸上を辞めているあきらと擦れ違いが生じ、少しずつギクシャクしていきました。中年男性の近藤との恋愛にも否定的でしたが、たまたまスポーツ用品店で近藤と会話する機会があり、その時に「悪い人ではない」という感想を持ち、少しだけ理解を示すようになります。
はるかを演じるのは最近ドラマや映画で目にする機会が増えたモデル出身の女優・清野菜名。ハキハキとした言動で人を引っ張るキャラクターのはるかの爽やかな雰囲気に合っている女優さんですね!日の目を浴びるまで苦労してきた彼女の女優としての今後の活躍にも期待です。
九条ちひろ/戸次重幸
近藤の大学時代の友人で小説家として活動しています。九条の出版した新書を購入した近藤がしばらくぶりに連絡を入れ、会って昔話に花を咲かせたり人生の悩みについて色々と言い合う関係性になりました。近藤にとってふとした時に刺さる言葉を投げかけてくる存在で、行動にも少なからず影響を及ぼしています。熱を出した近藤のために駆けつけてくれるなど情にも厚い人物ですね。
そんな九条を演じるのは、なんと大泉洋の本当の旧来の友人でもある俳優・戸次重幸。北海道ローカルTV番組でも共演している2人でもあるので、何の違和感も無く掛け合いを観ていられますね!
倉田みずき/山本舞香
あきらとは別の高校(南高校)に通う高校1年生の陸上短距離選手。あきらを目標、ライバル視していて、同タイムの記録を保持しています。陸上界から姿を消したあきらを挑発し、戻ってくるように仕向けます。みずき自身もアキレス腱に手術する程の怪我をした事があり、そこから復帰して今のタイムを出した経験から、あきらを鼓舞するように「cafeレストラン ガーデン」を訪れて来ました。
男勝りな性格のみずきを演じているのは若手女優・山本舞香。数多くのドラマや映画、CMなどに出演する勢いのある役者さんですね!小学生の時には空手で県大会で優勝した事もあり、運動神経も抜群の女優です。みずきが走るシーンでもその能力が垣間見えるくらい、素晴らしいダッシュをしています。
映画『恋は雨上がりのように』みどころ
恋に素直すぎる少女と人生経験豊富な中年の織りなすドラマ
出典:IMDb
恋に直球な少女に対して人生経験の長い中年男性が少女の未来を想い、他の選択肢に気が付くように気を配るも、互いの想いが掛け違いを起こす青春ドラマに注目です。
陸上から目を背けて恋に逃げ気味のあきら、現実を言い訳に作家という夢を諦め気味の近藤という、どこか似た者同士の2人が互いの気が付いていない部分を補い合い、変化して成長していく物語でもあります。
人生どこか諦め気味の近藤は若さの重要性を知っていて、気力、体力、立場が自由な時に情熱を持てる事に打ち込む大切さをあきらに伝えようとしました。そしてそんな盲目的な恋に耽るあきらからも、近藤は忘れかけていた大切な情熱の種のような感情を受け取る事となります。
お互いがこの凸凹なアンモラルな関係の中で成長するきっかけを得て、変化していく様は観ていて心地よいですね!
小松菜奈の存在感に圧倒される!
原作漫画の橘あきらの凛とした気品のある佇まいと、スタイルの良い長身スレンダーなルックスが小松菜奈の雰囲気にマッチしすぎていて、それだけでも一見の価値ありです!
黒髪をなびかせ、スラっとした長い手足を振って走る姿はとても美しく、漫画キャラクター・あきらの特徴でもあった鋭い眼光も彼女のクールな目元と合っていて驚くほどの再現度ですね。正に漫画の世界から飛び出してきた人といった存在感です。
橘あきら役は小松菜奈しかいない、と言えるのではないでしょうか!
近藤正己のおじさんらしさが妙にリアル
出典:IMDb
大泉洋演じる近藤のうだつの上がらない中年キャラも味が出ています。勤務先のレストランの従業員達からはバカにされ気味で、客のクレームにペコペコと頭を下げ、それでも会社のため、家族のために腐らずに毎日を生きている雰囲気が、世のお父さん像と重なってリアルに映ります。
青春真っただ中のあきら達若者のドラマと中年組の織りなすドラマが対比となり、人生の先輩としてあきらを見守る父性に溢れた近藤の優しさがよりはっきりわかって心が洗われます。
映画『恋は雨上がりのように』漫画、アニメ、実写映画のラストの違い
『恋は雨上がりのように』は3つのメディアで作品化されていて、それぞれの作品の物語は結末に違いがあります。ここでは各作品における終わり方について比較してみたいと思います。
漫画版『恋は雨上がりのように』最終回
出典:Amazon
近藤はあきらに惹かれていたものの、あきらの人生を想って淡々とした別れを選択をします。バイトから外す事をあきらに告げ、了承したあきらと近藤は互いに別々の道を歩む事となりました。
バイトを辞めたあきらは陸上部に復帰し、大会へ出場します。長いブランクのあったあきらは不安になるも、「このまま走らなくなってしまう事の方がもっと怖い。あの人だって同じはず。」と、近藤を示唆する想いを胸に抱いて自分を鼓舞し、大会を優勝しました。
一方、近藤の心にもあきらの存在がありました。一方的な別れを告げた近藤はあきらに恨まれているかもと、引っ掛かりが残っていますが、若者の未来を考えたら恨まれるくらいが丁度いいと割り切っています。
しかし、あきらは恨むどころか近藤から貰った日傘を練習中に差し、まだ近藤を想っている事を示して物語は幕を下ろすのでした。
ポイント解説
2014年~2018年まで二つの漫画雑誌を跨いで連載されていた漫画版ですが、その最終回は賛否両論が巻き起こり物議を醸しだしました。
終わり方の流れとして違和感は無いのですが、近藤があきらから受け取った手紙を読まずに置いておいたり、あきらが陸上大会のレース中の心理描写で近藤の事を「あの人」と呼んだりと、恋の結末を具体性に欠けた描写で描いたため、一部の読者から反感を買い炎上騒動へと発展してしまいました。
とはいえ、あきらと近藤がそれぞれの道を前向きに捉えて進んでいる事は間違いなさそうなので、一つのハッピーエンドの形として受け取っても良いのではないでしょうか。
アニメ版『恋は雨上がりのように』最終回
ある日、近藤が仕事で本社へ向かう際、必要な書類を店に忘れてしまっていた事に気が付きます。店にいたあきらがその事に気が付き、追いかけて近藤が居たバス停まで持ってきてくれました。
持ってきた書類を近藤に渡すあきら。近藤が「大丈夫?」と足について気にかけると、あきらは「雨はもう上がります」と返答。
近藤が傘をたたむと、雲の間から陽が差し込んできます。あきらに話しかけようとした時、携帯に電話がかかってきました。仕事の電話で話し込む近藤を見たあきらは、そのまま店へと戻っていきます。
電話を切ると、「橘さん!」と声をかける近藤。その声に店に戻ろうとしていたあきらは振り返り、近藤に向かって全力で走り出して胸に飛び込みました。
しかしそれは近藤が一瞬脳裏に描いた想像です。
振り向いたあきらに近藤は「いつか、僕ら、それぞれが約束を果たしたら…」と語りかけ、あきらが「教えます、すぐに必ず…」と応えます。
その後、友人のはるかのスマホにSNS着信が入りました。
「もう一度、一緒に風を見よう」
あきらからのメッセージに涙を浮かべて喜ぶはるか。あきらは結んだ髪を解き、再び雨上がりで水浸しで輝くグラウンドへ戻る決意をするのでした。
そして近藤の書いた小説の原稿用紙が見上げた空に浮かびます。
「恋は雨上がりのように」
ポイント解説
2018年1月~2018年3月までフジテレビ系ノイタミナ他で放送されていたアニメ版ですが、原作漫画を踏襲しながらも、最終話では随所にオリジナル要素を散りばめた展開になっています。
特に、近藤の想像シーンは印象的ですね。大の大人でもやはり1人の男として、相手が2回り以上離れた女性からの好意だったとしても、そのような恋の物語を描いてしまうという事でしょうか。
また、あきらから陸上復帰のメッセージを受け取ったはるかが流す涙のシーンもとても感動的でした。誰よりもあきらを心配して待っていたはるかの想いがやっと届いた、という物語でも外せない大切なシーンだと思います。
全体的に詩的な言葉と美麗な映像を織り交ぜてフェードアウトしていく見せ方で、近藤の書き上げた小説と2人の物語がリンクするというのも心に残る最後だと思います。漫画、実写とも違う魅力的なラストではないでしょうか。
実写映画版『恋は雨上がりのように』最後のシーン
あきらとは友人関係となった近藤に本社から昇進の話が来ます。一方、あきらは陸上部に復帰し、再び短距離でトップを目指すため練習を再開していました。
ある日、あきらが陸上部の皆で川沿いの土手をランニング中、近藤の乗った車とすれ違います。互いに気が付いた2人は、あきらは立ち止まって歩み寄り、近藤は車を止めて降りました。
昇進するかもしれないという報告をする近藤と、その話を聞いて嬉しそうに祝福するあきら。少し間を開けて「私達、友達ですね」と確認するあきら。少しためらいながらも続けて「友達なら、普通、メールとかすると思うんです、私、店長とメールしたいです」と友達関係の中で勇気を出して一歩踏み出しました。
その言葉を聞いた近藤は優しく微笑み返し、物語は終わりを迎えます。
ポイント解説
映画『恋は雨上がりのように』の結末は、2人の物語がこれからも続いていく事が伝わってくる終わり方ですね。
今後、あきらと近藤の恋がどのようになっていったのかはわかりませんが、少なくとも未来へ向かって希望を持って踏み出す2人の決断が晴れやかに描かれているハッピーエンドの形で幕を下ろしました。
メールでやりとりを始めた2人はどのような間柄になっていったのでしょうか?視聴者の想像に委ねる描写ではありますが、雨の上がった晴れやかな青空の下で歩み出した2人の物語は、きっと素敵な未来を迎える事だと思います。
まとめ
新たな青春映画の形として評判を呼んだ映画『恋は雨上がりのように』。中年男性と女子高校生の恋物語という、描き方によっては抵抗感を持たれそうな難しいテーマを、主人公2人の成長物語として描き切っている良作ですね。
本記事で興味を持った方はぜひ映画を、映画を既に観た方は漫画版やアニメ版をチェックしてみてはどうでしょうか。