実話を元にした映画『罪の声』のあらすじをネタバレ解説|演技力が光る豪華キャスト集結
闇の中に葬られた事件の真相を追う――。2人の男と傷ましい過去が交差するミステリー映画『罪の声』。原作は実際に起きた「グリコ・森永事件」をモチーフに執筆され、満を持して映像化されました。
小栗旬さんと星野源さんが二大共演した作品であることでも知られ、豪華キャストが勢揃い。実力派のスタッフ・俳優陣で創り上げられた本作は多方面より高い評価を得ています。
作中で登場する「ギン萬事件」とは一体何なのか?なぜ当時の脅迫の声明に子供の声が使われているのか?
細部まで練られた濃厚なストーリーが味わえる骨太な映画です。数々の証言者と、同時に動き出す2人の主人公から目が離せませんよ。
本記事はネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意ください。モチーフとなった事件についても解説していきますね!
目次
映画『罪の声』について
『罪の声』の原作は2016年に発表された小説。作家・塩田武士氏が1984年に起きた「グリコ・森永事件」に強い興味を持ち、執筆へ至ったとか。
デビュー時からこの題材を取り扱うことを熱望し、5年の時を経て作品が完成。第7回・山田風太郎賞を受賞し、週刊文集が選ぶミステリー小説部門でも見事に1位を獲得。瞬く間に話題となりました。
高い評価を得て遂に2020年、小栗旬と星野源による二大キャストで映画化。意外にも2人は本作で初共演だったそうですよ。
第44回アカデミー賞や報知映画賞など数々の賞レースで成績を残し、大ヒットを記録します。
監督は『オレンジデイズ』や『逃げるは恥だが役に立つ』、『花束みたいな恋をした』で知られる土井裕泰さん。主にテレビドラマをメインに制作し、有名作品を次々と世に送り出しています。
10秒で分かる!映画『罪の声』の簡単なあらすじ
出典:東宝MOVIEチャンネル
京都でスーツの仕立て屋を生業とする男・曽根(星野源)。妻子に恵まれ幸せで穏やかな日々を送っていましたが、押し入れから父の遺品である謎のカセットテープ、そして英語で書かれたノートを見つけます。
カセットテープを再生すると、子供の声が。そしてノートには「ギンガ」「萬堂」の2文字がハッキリと書かれており、不審に思った曽根はネットで検索をしました。
すると1984年に発生し、今なお未解決の「ギン萬事件」の詳細がズラリ。そして再生したカセットテープの中身は、犯人が脅迫声明文として警察へ送った音声と全く同じだったのです。
更にこの声の主が自分であることを知り、困惑する曽根。父のことを良く知る人物へこの件を相談することになりました。
一方でとある新聞会社では、年末にギン萬事件の記事公開を控えています。社員の阿久津(小栗旬)は企画の応援を任せられ、事件について詳しく調べるように命じられていたのです。
曽根と阿久津、一つの事件を追う男たち……。未解決事件の真相やいかに?
映画『罪の声』のネタバレあらすじ
【あらすじ①】ギン萬事件とは
曽根(星野源)は父の創り上げた「テーラー曽根」を継ぎ、スーツの仕立てを行っていた。すでに父は他界し、現在は妻・娘・母と暮らしている。
ある日曽根は押し入れから遺品が入った箱を開封する。中にはカセットテープと英文が書かれたノート。父は英語が話せなかったため、少々疑問が膨らんだ。
一方で新聞社に勤める阿久津(小栗旬)はロンドンへ出張中。1984年に起きた「ギン萬事件」の特集のため、遠方まで足を延ばしている。
そもそもギン萬事件とは大阪のお菓子メーカー・ギンガの社長が襲われ、身代金を要求された恐ろしい事件。社長は自力で命を守ったが、犯人らの脅威は留まることを知らなかった。
その後も店頭に並ぶ菓子へ毒物を入れるなどし、世間は大騒ぎ。棚からはギンガ社の菓子が消えるまでに追い込まれたが、それでも犯罪グループは警察への挑発をやめなかった。
結局グループの尻尾を掴めないまま時効を迎え、未だなお未解決のまま30年以上の時が経過したのである。
「当時怪しげな動きをしていた中国人を知っている」、取材相手に教えられるがまま阿久津は1人の女性を尋ねた。――が、有益な情報は得られないままだ。
【あらすじ②】父の過去とくらま天狗
遺品のカセットテープには、子供時代の曽根の声が録音されていた。だが途中で音声が切り替わり、「京都へ向かって、一号線を二キロ……」という意味深な言葉が流れ始める。
不信に思った曽根はノートに書かれた「ギンガ」「萬堂」の文字を検索。するとギン萬事件の検索結果がズラリと並び、当時犯人グループが脅迫として使った音声データが落ちていた。
嫌な予感がしつつも再生してみると、カセットテープの録音と同じ声、同じセリフ……。つまり曽根は自分の声が脅迫のネタとして使われていたことを知ってしまう。
このことを突き詰めるべく、父の昔からの知人を訪ねることに。その際に父の兄である達雄(宇崎竜童)の存在を聞かされる。
どうやら2人の父親(祖父)ギンガの社員だったらしく、過激派と勘違いされて殺されている過去があった。
達雄はこの件で激しい怒りを覚え、ギンガを敵に回す活動を始める。ギン萬事件の直前には周囲の食品工場の株価を調べるなど、不審な行動が見られたというのだ。
曽根は父と達雄、そして様々な人間が映っている写真を頼りに、ある小料理屋へと向かう。そこの板前に話を聞くと、ギン萬事件の犯罪グループ“くらま天狗”の会合が行われていたことを明かした。
このメンバーは裏社会に通じる人間もおり、マル暴の刑事・生島秀樹(阿部亮平)なども加わっていたご様子。
だが生島一家は後に行方が分からなくなったとのこと。謎が謎を呼ぶ中、曽根は父の過去を探り続けるのだった。
【あらすじ③】浮き彫りになるギン萬事件
ロンドンでは有益な情報を得られなかった阿久津は帰国し、記事のための調査を続けている最中。すると「当時のロンドンではギンガの株を外人が買っていた」情報を得る。
詳しい証券ディーラーに話を聞くと、実際に株を買っていたのは日本人とのこと。偽装口座で空売りすることを目的として購入したのではないか、という予想がたてられた。
最も事件当時はギンガの株も大暴落。ここで犯人グループが意図的に株価を操作し、利益を得ていたとしたら……?奴らの行動には色々と合点がいくのである。
阿久津は調査を進め、“キツネ目の男”を突き詰める。この人物は写真に載っており、証券ディーラー達も知っている顔だった。つまりこの男が何か事件に関与している、その事実は確信へと変わっていく。
“キツネ目の男”を掘れば掘るほど犯人グループのメンバーは浮き彫りになっていき、小料理屋の女将もやはり関与していた。
一方で曽根は消えた生島一家について知る女性と密会。実はカセットテープの声は3種類あり、その中に生島家の子供の声も入っていたという。
同級生からは「事件に関与した子供」とみなされ、人生が終わりだと嘆いていたらしい。一体子供らも今は何をしているか分からないが、「まだ生きているといいけど」と女性は呟いた。
【あらすじ④】出会った2人
つい先日曽根が小料理屋へ訪ねてきたと思ったら、次は阿久津。板前は「俺の存在を誰かに聞いたか?」と阿久津に問い、遂に2人は巡り巡って出会うこととなった。
しかし曽根からすれば新聞記者など、面白おかしく記事を取り上げる存在。一度は阿久津を追い返すが、ギン萬事件の被害者は自分だけでない――。その想いから2人で行動を共にすることを決心。
生島家の被害者・聡一郎(宇野祥平)へと辿り着き、話を聞くことに成功した。彼は現在もひっそりと生きており、なかなか姿を現すことさえままならない状態だったのである。
生島一家は父の死後、青木組に後を追われ組織内で自由のない生活を強いられていた。姉は運悪く事故で死亡し、より軟禁が厳しいものとなっていく。
そこで彼を助けたのは津村(若葉竜也)という男。苦しい日々を送る聡一郎を助けようと、青木組の敷地に放火したのだ。
その後津村とは別れ、逃亡の毎日を過ごす聡一郎。保険証も仕事もない状態で、罪の意識にさいなまれ30年の時を過ごしてきた……。
話を聞いた阿久津ら「非難されるべきはあなたじゃない」と告げ、真相を突き詰めるべく再度ロンドンへ向かう。
阿久津が旅立つ頃曽根は、母・真由美(梶芽衣子)の寿命が刻一刻と近づいていることを知った。悪性の腫瘍が彼女の体を蝕んでいたからである。
なぜか入院を拒み、やたらと帰宅したがる真由美。カセットテープとノートを回収しようとし、モノがないことに焦る。
そこへやってきた曽根は事実を確認するべく「なぜ僕の声が入っているの。録音したのは誰?」と問い詰めた。しばらく真由美は黙っていたが、母である彼女張本人が録音したことを白状。過去の経緯について口を開き始め……。
【あらすじ⑤】声を録音した人物は……
真由美は結婚をしたが、学生運動に参加していた事実を隠していた。しかし夫の兄である達郎とは学生運動時代に出会っていたのである。
結婚相手の兄に過去を知られているという気まずさ。そして達雄より直々に連絡が入り、彼自身がギン萬事件の犯人であることを告げられる。
真由美は真実を隠したがったがために、達雄の言うままに事件へと協力をしてしまったのだ……。
ロンドンへ旅立った阿久津は、人づてで生存している達雄と出会った。ギン萬事件の発端は刑事を辞めた生島であり、ロンドンで学生運動後ひっそりと暮らす彼を訪ねてきたことから始まったと言う。
「世の中にガツンと一発食らわせたい」、そんな生島の想いから“キツネ目の男”、青木組など様々なメンバーが集った。しかし急遽集結した人々、チームワークなどもなく、株の利益もあまり芳しくなかったことから、メンバーの関係は悪化していく。
青木組を敵に回して生島は死亡。結局全てのの足もつかなかったが、何も得ることなく事件は収束してしまった。
達雄は後悔する素振りもなく、肯定するような口調でもなかった。しかし罪の意識が薄いことから阿久津が一蹴。「被害に遭った子供達のことを考えたことがあるのか」と、聡一郎や曽根の話題を出すと――、彼は何も言えぬままその場に立ち尽くしてしまったのだ。
阿久津の記事は世間で評判となり、紙面を大きく飾るほどになった。そして聡一郎は被害者として記者会見を開き、火事の日以来生き別れとなった母を求めることに。後に2人は再会することとなる。
そして真由美は腫瘍に冒されて死亡。真実が解明され、新たなスタートを切った曽根の元に、阿久津が仕立てを求めにやってくる。2人は不思議な絆で結ばれ、それぞれ前へと進みだしたのであった。
豪華俳優陣が集結!映画『罪の声』のキャストを紹介
阿久津英士/小栗旬
新聞記者の阿久津は気が乗らぬまま「ギン萬事件」を調べるべく、ロンドンへ飛ばされます。最初は尻尾を掴めず悪戦苦闘していましたが、真実に近づくにつれて自分の立場、事件の重さを痛感したことでしょう。
曽根との出会いは彼自身の“何か”を変えました。きっと事件収束後も2人の関係は続いていると思われます。
人間味あふれる阿久津を演じるのは小栗旬さん。『花より団子』の花沢類役で多くの女性のハートを鷲掴み!ドラマや映画など多彩に活躍する俳優さんですよ。
小栗旬が主演を務めるおすすめ映画10選を撮影裏話と一緒に紹介!曽根俊也/星野源
幸せな家庭を築く曽根。父の遺品を見つけたことにより、真実を確かめるべく動き始めるのでした。父や夫としての立場、事件に関与してしまったこと、様々な想いが彼を激しく苦しめます。
ですが阿久津の存在により、少しは曽根の気持ちも救われたはず。新たな人生のスタートを切ることができたのです。
曽根を演じるのは星野源さん。京都弁がとても新鮮で、今までとは少し違う印象を覚えますよね。『コウノドリ』、『逃げ恥』などに出演し、アーティストとしての顔も持っています。
映画『罪の声』は実話がベース!徹底解説
実在した事件をモチーフに制作された『罪の声』。1984年に起きた傷ましい出来事を知らない人も多いでしょう。前知識があると、再度観返した時にピンときやすいものです。
また本作の鑑賞後「登場人物が多すぎてよく分からなかった」「犯人グループや被害者について一旦整理したい」と思う人も多いとか。
この章では映画をもっと楽しむために、『罪の声』を分かりやすく解説していきますね!
元ネタとなった「グリコ・森永事件」とは?
1984年に発生した「グリコ・森永事件」とは、『罪の声』に登場するギン萬事件と同じ内容の出来事。
当時の江崎グリコの社長が誘拐され、身代金を要求されました。その後グリコへの脅迫は止まらず、不二家や森永製菓など、他社の菓子メーカーにも被害が及んでしまったのです。
犯人の尻尾が掴めないまま、毒物入りの菓子が店頭に置かれ……。より事件は深刻化、国民を恐怖の渦へと巻きこむ事態にまで発展します。
脅迫の声明文やテープを送りつけた点も『罪の声』と全く一緒であり、犯人も1人ではなくグループだったそう。
「グリコ・森永事件」は加害者らの収束を示唆する声明文を最後に、未解決のまま終わりを迎えました。グループは自らを「かい人21面相」と名乗っており、この事件を「かい人21面相事件」と呼ぶこともあるのです。
概要をまとめると、いかに本作が事件に忠実か分かりますね。まるでフィクションのように思えますが、こんな恐ろしいことが昭和に起きていたとは……。未解決のまま時効となったのも人々を震撼させる理由の一つでしょう。
被害を受けた子どもは3人
幼い子どもの声を脅迫へと使ったのは、当時の声紋鑑定の精度も低く、声変りをすることから足がつきづらい理由からです。
何とも綿密に練られた策だ、と思ってしまいますが、自分の声が犯罪に用いられるほど心苦しいものはありません。
テープは全部で3本あり、声の主は曽根・生島姉弟。身代金を要求するための音声録音に協力させられていたのです。
自らの意思ではなく、周りの大人の手により加担させられた子どもたち……。そして被害者が曽根1人ではなく3名もおり、特に生島一家はその後も壮絶な人生を歩んでいます。
『罪の声』ではこのやるせない感情、行き場のない気持ちが痛いほど伝わってくるもの。曽根や生島姉弟の心情を考えると、観ているこちらまで胸が締め付けられるような思いでいっぱいになります。
「ギン萬事件」に至った経緯をおさらい!
『罪の声』はとにかく登場人物も多く、様々な証言者、疑わしき人物が流れるように登場します。序盤に出た人物をうっかり忘れてしまい、終盤になって「アレ?」となった人もいるのでは?
混乱しやすい“くらま天狗”、つまり犯罪グループのメンバーや事件に至った経緯をおさらいしましょう。
まず事の発端は生島です。彼は元マル暴の刑事で、学生運動を辞めた達雄へ相談へやってきます。
達雄は元々左翼の過激派であり、父が殺されたことから警察や資本主義を激しく憎んでいました。生島が「企業から金を奪い、儲けるにはどうしたらいいのか」と話を持ち掛けてくるので、2人で試行錯誤。
その末に出た答えが「企業を脅迫して株価を下げる→株の空売りをして金を得よう」だったのです。
生島も達雄も世の中に大きな不満を抱いており、それが原動力となってしまいました。この時達雄は海外のいたのですから、わざわざ追いかけて相談をしにやってきた生島も、相当なパワーを秘めていたのでしょう。
この2つの力が合わさり、メンバーが集結したことから悲惨な事件が生み出されたのです……。
犯罪グループ「くらま天狗」のメンバー概要
犯人と思われる人物が次々と登場しますが、くらま天狗のメンバーは以下の通り。
- 青木/青木組の組長
- 上東/金主
- 吉高/株の操作
- 金田貴志/(キツネ目の男)
- 金田哲司/自動車の窃盗
- 山下/青酸ソーダの調達
- 谷/無線傍受
ここにプラスして生島と達雄が加わり、合計9名で世の中をかく乱していきます。
一見有能なメンバーではありますが、あくまでこれは寄せ集め。目的は同じでも徐々に欲が深くなっていき、生島は青木に殺害されてしまったのです。
ギン萬事件はくらま天狗が勝利し、世の中を嘲笑っていたかのように思えますが、実際は内部分裂状態。決して全てが“うまくいった”とは言い切れないのでしょう。
映画『罪の声』にまつわる2つの疑問
①なぜ生島家の姉が殺されたのか?
カセットテープの声の主は3名いる、と先ほど説明しましたが、曽根と聡一郎は命を落としていません。それなのに生島家の姉・望だけが殺された理由は何だったのでしょうか?
ハッキリと作中では言及されていないのですが、当時の望は幼き子供ではありません。16歳と自分の意思を持ち、青木組の寮からの逃亡を図ったのです。
まだ物事が深く理解できていない聡一郎とは異なり、彼女を野放しにしておけば組が危なくなる可能性大。万が一逃げ出され、自分たちの行いを警察にチクられては困りますからね。
邪魔な人間は先に消しておく――。望は抵抗が激しかったからこそ、早い段階で殺されてしまったのだと思われます。
②キツネ目の男って何だったの?
“キツネ目の男”と言われた金田貴志。似顔絵もたいへん印象的ですが、彼が一体どうなったのか、何者だったのかについては最後まで明かされていないんです。
金田だけ素性が分からず、軍人崩れといった説明しかありませんでしたね。これがまた『罪の声』の怖いポイントで、事件が丸く収まっていないことを示唆しているようにも感じます……。
映画『罪の声』はここが見どころ!
淡々と描かれているのがイイ?内容がギッシリ詰まった新しいミステリー
ミステリーやサスペンスものって犯人発見後、一気に盛り上がりを見せるパターンが一般的ですよね。しかし『罪の声』は時効になった事件ということもあり、良い意味でとても淡々としているんです。
例えくらま天狗のメンバーが分かっても、達雄のありかを突き止めても、現代では逮捕することができません。
ですから当時犯罪に手を染めていた人間を前にしても、ただ話や考えを聞くことしかままならないのです。
即逮捕!の流れがないからこそ、流れるように濃い物語が展開されていきます。正直なところ「このシーンがイチバンの盛り上がり」という部分はあまりありません。
その代わり時間内の全てが注目すべきポイントで、見どころであると言えます。今までのミステリーとはひと味違う楽しみ方ができる、そんな作品でしょう。
事件は解決していない、鑑賞者の心に深く刻まれる結末
事件の真相を突き止め、聡一郎が世に出たことから事件はあたかも収束したように思えます。
しかしくらま天狗に直接罰が下されることはなく、出回ったテープが消されることはありません。つまり事件は永遠に未解決のまま、と考える方が正しいでしょう。被害に遭った3名の心の傷が消えることもないのです。
だからこそ私たち鑑賞者は事件の重さ、悲惨さについて改めて考える必要があります。二度とこのような出来事を繰り返さない、そんな強いメッセージをぜひ受け取ってほしく思います。
まとめ
実在した事件を忠実に、リアリティたっぷりで描いた映画『罪の声』。重々しい出来事が観賞した人々の心にどう刺さるのか?それを今一度考えさせられる作品です。
登場人物が多く、淡々とストーリーが進むことからやや理解しづらい部分はあります。けれどもそれを乗り越えてまでも観たくなる、不思議な中毒性が本作にはあるでしょう。
もし一度で理解できなかった場合は、本記事の解説を読んでから繰り返し鑑賞すると◎より物語の神髄や人間関係、事件の発端や想いについてじっくりと味わうことができますよ。
2020年度の邦画では最高傑作とも呼べる映画です。ぜひご覧くださいね。