【ネタバレ解説】『君たちはどう生きるか』で眞人が迷い込んだ“下の世界”の設定まで徹底おさらい!不思議な世界の手がかりとは?
スタジオジブリにとっても、宮崎駿監督にとっても久しぶりの長編アニメーション映画が公開されました。その名も『君たちはどう生きるか』。
公開まもなく賛否が分かれる状態となっており、その不思議な内容に対して続々と考察が登場しています。果たして『君たちはどう生きるか』がどんな内容だったのか、改めて振り返りましょう。
目次
映画『君たちはどう生きるか』とは
『君たちはどう生きるか』は2023年7月14日に日本で公開されたアニメーション映画です。
監督は『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』を始め、多くのアニメーション映画を手がけてきており、『風立ちぬ』以来10年ぶりの新作となる宮崎駿監督。『風立ちぬ』の制作後に引退表明を行い、一度はスタジオジブリの長編アニメーション映画の制作部の解体を行なったのですが、後に引退は撤回され改めて制作体制を編成し直し、新作長編作品に取り組みました。
吉野源三郎氏の書いた児童小説「君たちはどう生きるか」からタイトルを拝借してはいるものの、あくまでも原作・脚本は宮崎駿氏の名前がクレジットされている、オリジナルの物語となっており、作中の重要なアイテムとして小説そのものが登場しています。
映画の上映前にキャスト情報やあらすじ、予告編などほとんどの情報を一切公開前に発表せず、鳥らしきものの頭部のビジュアルが映ったポスターのみが明かされるのみという、大手スタジオにしては異例のマーケティングに臨んだことでも話題になりました。
主題歌は米津玄師さんの『地球儀』。この主題歌についても、公開当日になるまで明かされることはありませんでした。
10秒で分かる!映画『君たちはどう生きるか』の簡単なあらすじ
戦時中の日本。病院の火事で母を失った少年・牧眞人(声:山時聡真)は、その喪失感を抱えたまま、父のショウイチ(声:木村拓哉)に連れられ、父の再婚相手である夏子(声:木村佳乃)のところへと疎開します。
新しい母にも、新しい学校にも馴染めずにいた眞人でしたが、亡くなった母から送られた児童小説「君たちはどう生きるか」を発見したことをきっかけに心境に変化が現れます。
そんな矢先に夏子が失踪してしまいます。サギ男(声:菅田将暉)に誘われるように、森の奥に隠された塔へと向かった眞人は、夏子を連れ戻すべく、塔の中に隠された異世界へと飛び込んでいくのでした──。
映画『君たちはどう生きるか』のネタバレあらすじ
映画『君たちはどう生きるか』のネタバレあらすじを結末に至るまで詳細に紹介します。以下、映画のネタバレが書かれているのでご注意ください。
【あらすじ①】新しい生活を迎えた眞人
出典:スタジオジブリ公式サイト(※画像は『風立ちぬ』のスクリーンショットです。)
戦争が始まって3年、少年・牧眞人は病院の火事によって母親の久子を失ってしまう。
時は流れ、眞人は母の喪失に対する思いをいまだに抱えたまま、父親のショウイチに連れられ、再婚相手であり新しい母となる夏子のところへ疎開することになる。
夏子や新しい家にも慣れない眞人。家の周辺では不審な動きをするアオサギが、眞人の様子を伺っていた。眞人もそんなアオサギのことが気になっており、アオサギを追っていく最中で森の中に入口が塞がれた塔が存在することに気づくのだった。
後日、新しく入った学校でも転校早々に生徒に暴力を振るわれた眞人は下校時に自らの頭部を石で打ち付け、大怪我を偽る。周りから心配され介抱を受ける眞人だったが、寝込む眞人のところへ、母親が待っていると謳うアオサギがやってくる。
木刀で立ち向かう眞人だったが、魚やカエルに覆われてしまう窮地を迎える。しかしそこへ助けに現れた夏子が放った矢によって眞人は救われる──。
気づくと眞人はベッドの中だった。果たしてさっきまでの出来事は夢だったのか、眞人はそれを確かめるように動き出した。
【あらすじ②】アオサギとの戦い
出典:スタジオジブリ公式サイト(※画像は『風立ちぬ』のスクリーンショットです。)
妊娠に苦しむ夏子をお見舞いする眞人だったが、いまだ馴染めない眞人は再びそっけない態度をとってしまう。眞人は夏子の部屋に自分を救ってくれた弓矢の存在を確認した。
拾ったアオサギの羽を使って、眞人はアオサギと戦うために弓矢を自作する。そんな矢先、自室で母・久子が残してくれた児童小説「君たちはどう生きるか」を発見する。それを読んだ眞人は思わず涙を流すのだった。
本を読み終わる頃、夏子が失踪したと屋敷中が大騒ぎになっていた。夏子が森に入っていく様子を見ていた眞人は、仕様人のキリコと共に夏子を追って森へと入っていった。アオサギによって二人は塔へと閉じ込められるのだが、そこに待っていたのは偽物の久子だった。
眞人は、自身の作った矢を放ってアオサギに攻撃する。アオサギの羽を使った矢は不思議とアオサギを狙って飛び、アオサギの嘴を貫くのだった。弱ったアオサギは、塔の上階に居る謎の人物からの命令により、“下の世界”へと案内を任されるのだった。
こうして眞人とキリコ、そしてアオサギは沈んでいく床から異世界へと入っていく──。
【あらすじ③】異世界に迷い込む眞人
出典:スタジオジブリ公式サイト(※画像は『崖の上のポニョ』のスクリーンショットです。)
島のようなところに落ちてきた眞人は、そこでペリカンの群れに襲われてしまう。眞人は群れに追われる形で閉ざされた門の先へと進んでしまったのだが、偶然船で通りかかった若い船乗りであるキリコに助けられ、その場を穏便に離れられるのだった。
キリコの仕事を手伝うことになった眞人は、キリコの暮らす集落で多数の住人たちや、小さく多数の不思議な生き物“ワラワラ”たちと出会う。彼らのために魚を捌いたりと奮闘する眞人の頑張りもあり、ワラワラたちは宙へと浮かんで行き上の世界へ向かおうとしていた。
しかし、そんなワラワラたちは突如現れたペリカンたちに続々と捕食されていってしまった。怒って止めようとする眞人だったが、そこへ突然舟に乗った少女が現れ、火の能力でペリカンたちを撃退していくのだった。彼女はヒミ。彼女が居るおかげでワラワラは上の世界へいけるのだった。
眞人はボロボロの状態になったペリカンにも遭遇する。ペリカンたちも生きるためにはワラワラを食べる必要があることを語られ、そのままペリカンは力尽きてしまった。
ペリカンを埋葬した眞人は、キリコの助言を受けて、どこからともなく現れたアオサギと共にナツコを探しに行くことにするのだった。アオサギの嘴の穴を塞ぐよう協力し合ううち、いつしか、眞人とアオサギの間にも絆が生まれていた。
【あらすじ④】夏子との和解
出典:スタジオジブリ公式サイト(※画像は『天空の城ラピュタ』のスクリーンショットです。)
アオサギの案内により、夏子が居るという鍛冶屋の家にやってきていた。しかし、鍛冶屋の家は人を食べるというセキセイインコたちに占拠されていた。アオサギの囮も虚しく、眞人はインコたちに捕らわれてしまう。
窮地に陥った眞人だったが、そこへ突然炎があがりヒミが眞人を助けに現れる。ヒミの家へと移動した眞人は、ヒミの案内により、夏子が産屋に居ることを教えてもらう。ヒミは実は夏子の姉であり、つまりは眞人の母だったのだ。
産屋へ向かう途中、二人は再びインコたちに襲われてしまう。慌てて逃れようとする二人は、いろんな世界へとつながる塔の仕組みを教えてもらいつつ、一瞬だけ眞人の居た世界へと踏み入れる。帰ることもできると促される眞人だったが、夏子を連れ戻していないことから、眞人はまだ帰れないと塔に残ることを決意する。
無事、夏子のいる産屋へとたどり着いた眞人。中へ入り、眞人は夏子に元の世界に戻るように訴えかけるのだが、おとなしかったはずの夏子も激昂し、二人は衝突する。産屋を取り囲む石の影響もあり、眞人とヒミは気絶してしまい、そこをインコによって捕らえられてしまうのだった。
【あらすじ⑤】塔からの脱出
出典:スタジオジブリ公式サイト(※画像は『ハウルの動く城』のスクリーンショットです。)
眞人は気づくと大叔父と遭遇することになった。この異世界は大叔父が積み上げた積み木によって均衡が保たれていたのだ。大叔父は眞人に自分の跡を継いでもらいたいと考えていた。
その矢先に目覚めると眞人はインコたちにとらわれていた。アオサギによって救出されるのだが、ちょうどインコたちはインコの王に連れられ、大叔父に何らかの交渉をしようとしていることを知る。
王の後を追いかける眞人とアオサギは、そのさきでヒミや大叔父と再会する。自分の元にたどり着いた眞人に対して、大叔父は穢れていないとされる13個の積み木を渡し、均衡を保つ役目を引き継ぐよう頼むのだった。
しかし、眞人は自身の傷を見せ自身に悪意があることや、現世に帰る意思を訴え、それを拒否する。その矢先に眞人を尾行してきていたインコの王が勝手に積み木を積み上げたことで、下の世界が崩壊を始めるのだった。
塔からの脱出を試みる眞人やヒミ。ヒミがこの先、火事で死んでしまうことを知っている眞人は、自分たちの世界へ来るよう促すが、ヒミは眞人の母になりたいと死を知っていながらもそれを拒絶した。
それぞれの世界へと帰っていく眞人とヒミこと久子、そして夏子。眞人が出ていくと共に塔は崩壊するのだった。下の世界の石を持っていた眞人は、まだ向こうの世界のことを覚えていたが、アオサギはその記憶もじきに忘れるといい、自身も姿を消していった。
こうして現実に戻り数年後、夏子のお腹の子も生まれてすっかり成長しており、戦争の終結から眞人は家族揃って疎開先から戻る未来を迎えるのだった。
映画『君たちはどう生きるか』の登場人物・キャスト
牧眞人/山時聡真
『君たちはどう生きるか』の主人公が牧眞人(まき まきと)です。
戦時中に病院の火事で母を亡くしてしまい、その喪失感を抱えつつ、父の再婚相手であり、母の妹でもある夏子と暮らすことになり複雑な感情を抱えていました。
裕福な家庭であることから、疎開先の学校でも早々にいじめられてしまうことになるのですが、その際には自らの顔を自分で傷つけて、父親を余計に怒らせるという嫌らしい一面も持っており、この映画はその眞人が自身の“悪意”向き合う物語でもありました。
牧眞人役を演じたのは俳優の山時聡真(さんとき そうま)さんです。ドラマや映画などに多数出演していたのですが、あまり大役を演じてきた経歴はない中、今回の映画で主役に大抜擢されました。
アオサギ/菅田将暉
夏子の暮らす屋敷の周辺に生息しているのがアオサギです。
一見、普通のアオサギなのですが眞人がやってきたことをきっかけに徐々に普通ではない様子を見せるようになります。
人語を喋ったかと思えば、その口の中からは中年のおじさんの顔をのぞかせたりと“サギ男”の本性を現し、眞人を屋敷の近くに閉ざされた塔へと誘う役割を担います。
当初は眞人のことを誘い込むだけでなく、矢で殺されかけるなど敵対状態にあったものの、次第に親交が深まったことでいつのまにか和解し、物語の終盤では眞人から“友人”扱いされるようになります。
アオサギ役を演じたのは俳優の菅田将暉さん。アニメーションの吹き替えは『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(2017)の島田典道役で主演を務めていたり、洋画の吹替では『シャザム!』(2019)でシャザム役を務めるなど声の演技でも大役を経てきています。
夏子/木村佳乃
眞人の新しい母となったのが夏子です。眞人を生んだ母である久子の妹でもあります。
心優しく落ち着いており、眞人に対しても親しく声をかける一方で、眞人と同じく本人もうまく距離を取れていないようで、作中では関係のぎこちなさを感じさせるような様子もしばしば。一方で新しい夫のショウイチとの仲も悪くはないようで、作中でも帰宅した夫を温かく迎え入れる様子も描かれました。
弓が使えるようで自室には立派な弓が登場。夢かはわからないものの、眞人がカエルに埋もれそうになったシーンでは、自ら勇ましく助けに出る様子も見せました。
夏子役を演じたのは俳優の木村佳乃さん。『映画プリキュアドリームスターズ!』(2017)のシズク役や洋画吹替では『ジュラシック・ワールド』シリーズ(2015〜)でクレア役などを務めていますが、実はそれよりも遥か前にTVアニメ『中華一番!』(1997)でも声優経験がありました。
久子/木村佳乃
眞人の生みの親であり、夏子の姉が久子です。
病院に入院した際に火事に遭ってしまい帰らぬ人となりました。
幼い頃に屋敷の近くの塔に迷い込み、しばらく行方をくらましていたのですが、一年後に突然再び帰ってきたという不思議な逸話を持っていました。
久子役を演じたのは夏子と同じく木村佳乃さんです。
牧ショウイチ/木村拓哉
眞人の父親が牧ショウイチです。
戦闘機の工場を経営しており、戦時下でありながらも裕福な状況にあります。成功者であることを堂々と誇示するところがあり、眞人をわざわざ他の生徒が見ているところへ車で送ったりと自慢気な様子を見せます。
息子の眞人を大事に思っており、眞人が怪我をして帰ってきた際には自身の地位を使って抗議しようというそぶりを見せたり、眞人や夏子が塔へ出て行ってしまった際は自ら刀を持ち出して乗り込もうとする強気な一面を見せました。
ただし、本編ではあまり良いところは見せられず、どちらかといえば情けない様子の方が目立つキャラクターとなりました。
ショウイチ役を務めたのは、俳優・タレントなどマルチな活躍を見せる木村拓哉さん。吹替の仕事も多数経験があり、スタジオジブリ作品でも『ハウルの動く城』(2004)でハウル役を担当しています。
ヒミ(若い頃の久子)/あいみょん
眞人が塔の中の異世界で出会った少女がヒミです。
キリコからは“ヒミさま”と呼ばれ、炎を操ることでペリカンに食べられそうになる“ワラワラ”たちを救う様子を見せました。そのほかにも炎を経由して空間を移動するなど、特殊な能力を持っています。
しかしその正体は、幼い頃の久子でした。塔に迷い込んだ夏子のことや、眞人のことも知っていたりとその存在は作中でも謎が多いです。夏子の居る産屋に「眞人を入れる」という禁忌を自覚しながらも冒して、大叔父にも影響を与えるなど、塔の中の世界の事情や人物にもかなり通じている様子でした。
ヒミ役を演じたのは、歌手のあいみょんさんでした。『クレヨンしんちゃん 新婚力行ハリケーン〜失われたひろし〜』(2019)で本人役を務めて以来の声優業でしたが、前回が本当にチョイ役での出演だったので、本格的な演技での出演は今作が初めてです。
キリコ/柴崎コウ
夏子の屋敷に暮らすお世話係の老婆の一人がキリコです。
タバコが好きで、眞人にタバコを貰おうと姑息な様子を見せたり、塔に侵入しようとする眞人を必死に止めようとしたりと人間臭さを感じさせるキャラクターです。
しかし異世界に入ると、若い状態となったキリコが登場。獲物を取れない住人たちの代わりに漁を行ったり、“ワラワラ”たちのために食料を捌いたりと面倒見の良い姿を見せてくれました。
キリコ役を務めたのは、女優や歌手として活躍する柴咲コウさん。『名探偵コナン 絶海の探偵』(2013)のゲストキャラ藤井七海役や、吹替では映画『クルエラ』(2021)で主演のクルエラ役を務めました。
インコの王様/ 國村隼
異世界で暮らすインコたちを統べているのがインコの王様でした。
眞人が産屋に入ったことを責め、インコたちを代表して大叔父に交渉に臨む役を担いました。配下のインコたちに対しては、威厳のある態度を見せた一方で、大叔父の前では、大叔父の積み木を勝手に組み上げて盛大に崩すなど失態を見せました。
インコの王を務めたのは俳優の國村隼さん。過去にも『風立ちぬ』(2013)の服部役でジブリ作品の声優を務めていました。
大叔父 /火野正平
かつて失踪したとされ、異世界で眞人が終盤で出会うのが久子の家系の大叔父です。
かつて、空から飛来した石を建物で覆って、塔を建てた張本人でしたが、あまりその事実も知られていないようで、読みかけの本を開いたまま失踪した人物とされていました。
積み木を積み上げて異世界をなんらかの力で保とうとしているようでしたがそれにも限界があったようで、眞人のような自身の血筋の者に、自分の跡を継がせようとするのですが、それもかなわず最後には塔の崩壊を迎えました。
大叔父役を務めたのは俳優の火野正平さんです。映画『極道の妻たち』シリーズや『必殺』シリーズなど多数の実写作品に出演してきましたが、アニメーション作品の声優仕事はあまり前例がなく、今作が貴重な出演作の一つとなりました。
あれはなんだったのか?『君たちはどう生きるか』の謎たち
出典:スタジオジブリ STUDIO GHIBLI公式Twitter
映画『君たちはどう生きるか』の作中に登場した異世界。そこには不思議な秩序の世界が多数登場しました。改めて、その不思議な設定を振り返りましょう。
●大叔父が建てた塔
夏子の暮らす屋敷の近くの森に、密かに残っていた巨大な塔が眞人を異世界へ誘う入り口となりました。
この塔は大叔父が空から飛来したとされる巨大な石を囲うように建設したものであることが中盤にお世話係の老婆の口から明かされました。建設の際には死人や怪我人が出ていたり、久子が迷い込んで、一年間失踪した場所ともされる曰く付きの場所で、地下には迷路が隠されていたりとその危険性から、土で入口が埋め立てられ侵入ができないようになっていました。
内側には広間があったり、さらには地下には広い異世界が広がっています。屋敷の内側には複数の世界や時代に繋がる扉が並んでおり、眞人や久子はこの塔の仕組みを介して時を超えて出会うこととなります。
ちなみにこの別次元へと通じる扉は、ドアノブを離してしまった瞬間に扉は見えなくなり戻ってこれなくなるとヒミから語られました。
●門と墓
眞人が異世界に迷い込んで最初に訪れるのが“墓”です。
この墓について、誰の墓なのかなど詳細は作中で語られることはありませんでした。
墓の前には大きな門があり「我を学ぶものは、死す」という文字が記されています。眞人はペリカンに追いやられる形で門の先へと侵入してしまうのですが、キリコに手助けされる形で“墓の主”が怒る前にその場を離れることができました。
キリコが唱えた呪文や後ろを見てはいけないという儀式、墓の主の正体、アオサギの羽があったおかげでペリカンに食べられなかった眞人など、作中でも謎の多いシーンでした。
●キリコの周辺世界
キリコと出会った海の近くには、多数の船が並んでいましたが、そこに乗っているのは半透明な不思議な人々でした。みんな幻で、この世界は死んでる人の方が多いと語られていることから、彼らが死んでいる存在であることが想像できます。
死んでいる彼らは殺生ができないとされ、キリコは彼らに代わって生き物を殺す役を担っていたようです。
そんなキリコが生き物を殺して面倒を見ていたもう一つの存在がワラワラです。白くて丸い生き物で熟すと飛ぶという性質を持っており、キリコからはその後に“上で生まれる”という説明がなされていました。
しかし、上に行く前にペリカンによって次々と食べられてしまうシーンが登場。そう簡単に“生まれる”ことはできないのかもしれません。
●セキセイインコたち
異世界で文明を築いていた存在がセキセイインコたちです。
セキセイインコといっても、大人並みの体格を持っていたり、言語や道具を使う能力や、王という存在がいたりとその様子はまるで人間のようでした。
眞人を食べてしまおうとしたりと、捕食する文化があるようでしたが、子供を身ごもっていたことから夏子を食べられないという証言が登場していることからも、誰でも食べて良いわけではなく何かしらのルールがあるようです。
また、飽和状態を感じさせるインコたちの集落は逼迫していそうで、インコの王様が眞人が禁忌を冒したことをきっかけにわざわざ大叔父に交渉に出向くなど、インコたちの世界の秩序や大叔父との力関係のようなものを感じさせるシーンも登場しました。
大叔父の暮らすエリアを訪れたインコが、現実世界と同様の小柄なセキセイインコを「ご先祖様」と表現していたことから、インコたちの未来の姿が彼らなのかもしれません。
まとめ
『君たちはどう生きるか』の作中には一回では理解できないような、意味深なセリフや世界観、設定がたくさん登場する映画となっていました。その一つ一つの意味はすべてを理解しようとするとなかなか難しいところはあるかもしれませんが、その分、「あれはどういう意味なのか」といった点を語り合うにはもってこいの作品と言えるでしょう。
それは宮崎駿自身の投影なのか。はたまたアニメーション業界の風刺なのか。はたまた現実の世界を表した次世代へのメッセージなのか。そのどれもであるかもしれないし、どれでもないかもしれない。そんな何度も味わいがいのある、“底の見えない”映画でした。
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