社会派映画『ズートピア』の心に刺さる名言集 | 無意識の偏見と人種差別
2016年公開のディズニー映画「ズートピア」。個性豊かな動物たちが登場する”ファタジーな世界観”と、そこからは想像もつかない”メッセージ性の強いストーリー”に、大きく話題を呼んだ作品となりました!
”偏見・差別”という重たいテーマを扱った本作品は、「大人が観ても楽しめる」「大人にこそ観てほしい」ディズニー作品といえます。今回はそんな「ズートピア」から、私たちの心にズドンと響く、深すぎる名言・名シーンをご紹介します!
出典:映画『ズートピア』予告編
目次
- あらすじ
- 「ズートピア」の心に響く名言・名台詞
- 【名言①】「夢を持つことは素晴らしいこと。そうだよ、願えば叶うと思わなければね。」
- 【名言②】「一番怖いのは、理由もなく怖がること。」
- 【名言③】「人生とは歌を唄えば魔法のように夢が叶うアニメミュージカルではないのだ。」
- 【名言④】「全員と上手く付き合うことはできない。」
- 【名言⑤】「何だって?ナマケモノだから彼が早くないって?」
- 【名言⑥】「あなたはあんな肉食じゃない。」
- 【名言⑦】「世界はいつも壊れている。だからこそ優秀な警察官が必要なんだ。」
- 【名言⑧】「ちゃんと消すよ。48時間後にな。」
- 【名言⑨】「実際の人生は混沌としていて、私たちには限界もあるし、間違いだって犯す。」
- 【名言⑩】「あなたがどんな動物だろうが関係ない。より良い世界を目指して、心を覗けば変化はあなたの中で始まる。」
- まとめ
あらすじ
ウサギの「ジュディ」の夢は警察官になること。そんな彼女は夢を叶えるため、”誰でも何にでもなれる場所”「ズートピア」を訪れる。
警察学校を卒業し、憧れの警察官になったジュディ。しかし彼女を待っていたのは、”ウサギの警察官”である自分に対する、同僚達からの差別的な扱いだった。
雑用しか任せてもらえないことに不満を感じつつも、ジュディは日々全力で仕事をこなしていた。そんなある日、ジュディは街でキツネの「ニック」と出会う。
詐欺を繰り返して稼ぎを得ていたニックに、ジュディもまんまと騙されてしまう。しかしそれを逆手にニックの弱みを握ったジュディは、半ば強引にニックを自分の相棒にすることに。二人は最近ズートピアで話題になっている、「肉食動物の行方不明事件」の捜査へと向かうのだった。
「ズートピア」の心に響く名言・名台詞
ズートピアではたくさんの動物たちが生活しています。見た目も性格もさまざまな彼らが互いに”協調”と”対立”を繰り返していく様子は、まるで人間社会の縮図のようで、妙にリアリティがあります。
そんな現実味のある世界に生きる彼らのセリフは、時には”笑いと感動”を与えてくれて、時にはチクッと”私たちの心の痛い場所”を突いてきます。
今回はそんな名言・名台詞の中から、特に印象的なものを解説を交えながらご紹介していきます!
【名言①】「夢を持つことは素晴らしいこと。そうだよ、願えば叶うと思わなければね。」
子供の頃のジュディに、彼女の父親がかけた言葉です。警察官になるという夢をもつ娘に対して、夢を肯定しつつも「そんなに甘くない」と諭しています。
夢が広がるディズニー映画の世界で、初っ端からこの現実味のあるセリフ。ものすごい衝撃的ですよね。この作品がただのサクセスストーリーを描いたものではないことに、このセリフで気づかされます。
ニンジン農家としてウサギらしい人生を送っていたジュディの父親。愛する娘だからこそ、”願い”だけでは夢は叶わないという厳しい現実を伝えたかったのでしょう。
【名言②】「一番怖いのは、理由もなく怖がること。」
ズートピアに向けて旅立つ日、自分を心配する両親に向けてジュディが言ったセリフです。
警察官としてのジュディの初めての挑戦。彼女自身にも当然不安はあります。しかしこれまで数々の困難を跳ねのけてきたジュディにとって、”不安は何かを諦める理由にはならない”ということを感じ取っていたのです。
不安でなかなか一歩が踏み出せないときに背中をそっと押してくれる言葉ですね。
【名言③】「人生とは歌を唄えば魔法のように夢が叶うアニメミュージカルではないのだ。」
ズートピアの警察署に配属されたジュディは、一人前の警察官になるため張り切りって仕事に挑みます。そんな彼女に向けた「ボゴ署長」のセリフです。
ディズニーがそれを言うの!?というセリフですね(笑)。ミュージカル要素が多い自社の作品を壮絶に皮肉っています。これもジュディの父親のセリフ同様、この作品の世界が一筋縄ではいかない、リアリティを追及したものであることを表しています。
【名言④】「全員と上手く付き合うことはできない。」
ジュディの相棒となったキツネの「ニック」。彼は子供の頃に憧れのボーイスカウトに入ったものの、肉食動物という理由で他の動物たちから迫害された経験がありました。ニックがその過去を明かすとともに口にしたセリフです。
社会では誰とでも仲良くすることを求められますが、それが時には残酷で大きな障壁になることもあります。全員と仲良くすることだけが唯一の道ではない、それが彼なりに辿り着いた一つの答えなのかもしれません。
【名言⑤】「何だって?ナマケモノだから彼が早くないって?」
これは”名言”というよりは、このセリフにより作中のとある場面を”面白く”感じられる要素なのですが、ジュディとニックは事件の捜査のため、ナマケモノの「フラッシュ」が働く免許センターを訪れます。先を急ぎたいジュディは、おっとりとした雰囲気のフラッシュに不安そうな様子。そんな彼女にニックが言ったセリフです。
「人を見た目で判断するな」という格好いいセリフにも聞こえるのですが、実はニックはジュディを困らせたくて適当なことを言っただけ。結局、フラッシュはナマケモノの名に恥じないのんびりとした動きで、ジュディに大いに時間を取らせてしまうのでした。
しかし物語のラスト、二人が猛スピードで爆走するスポーツカーを捕まえると、運転席から顔を出したのはなんとフラッシュ。やっぱり「人を見た目で判断してはいけない」ということをジュディとニックは思い知らされた、なんとも面白いエピソードです。
【名言⑥】「あなたはあんな肉食じゃない。」
調査中の事件で発生した”肉食動物の凶暴化”について報道陣から質問されたジュディは、根拠も無いまま”肉食動物としてのDNAに原因がある”と口走ってしまいます。信頼していた相棒の心無い言葉に傷つくニック。そんな彼にジュディが慌てて言ったセリフです。
ニックを思うジュディの優しい言葉のようにも聞こえますが、この言葉にも結局、「肉食動物は肉食動物である」というジュディの偏見が表れています。
偏見に悩まされてきたジュディですら、他の誰かに偏見を持ってしまっているのです。人種差別という問題がいかに複雑で、解決困難なものであるかを思い知らされます。
【名言⑦】「世界はいつも壊れている。だからこそ優秀な警察官が必要なんだ。」
報道陣に向けたジュディの言葉をきっかけに、ズートピアでは肉食動物を排除する動きが加速します。責任を感じてひどく落ち込んだ様子のジュディに対して、ボゴ署長が言ったセリフです。
きっかけこそジュディの発言ですが、元々ズートピアでは人種差別の問題が見え隠れしていました。そのことを自覚したボゴ署長が、彼女のことを”優秀な警察官”として認め、励ましています。
「責任を一人で背負うな」「自分がやれることをやれ」そんなボゴ署長の気持ちが伝わってくるアツいセリフですね。
【名言⑧】「ちゃんと消すよ。48時間後にな。」
ニックと再会したジュディは、肉食動物である彼を傷つけた自分の発言について、「何もかも私が悪かった」と謝ります。この言葉をこっそりと”録音機能付きのニンジン型のペン”で録音していたニックは、「ちゃんと消すよ。48時間後にな。」と言いながら彼女の謝罪を受け入れるのでした。
実はこれ、冒頭でジュディがニックと出会い、詐欺をはたらいた彼の弱みを握り、強引に相棒にした時と全く同じやり取り!
あの時とは立場が逆転し、今度はニックが同じ形でジュディに仕返しをすることで、二人の間から緊張感が和らぎ晴れて後腐れなく仲直りできるという名シーンなんです。
このシーンのニックがもうとにかく優しくて茶目っ気たっぷりでカッコイイ!ニックの優しさ、そして二人の強い絆を感じられる、心温まるエピソードですね。
【名言⑨】「実際の人生は混沌としていて、私たちには限界もあるし、間違いだって犯す。」
ズートピアを騒がせた事件は全て解決し、隅に追いやられていた肉食動物たちの生活も元通りになりました。そんな事件解決の立役者となったジュディが、最後に語ったセリフです。
”偏見を持たれる側”だったジュディですが、同時に彼女自身も”偏見を持つ側”になる可能性を持っていました。ズートピアでの出来事を通してそのことに気づいたジュディが、”自分の間違いを認めること”の大切さを教えてくれています。
【名言⑩】「あなたがどんな動物だろうが関係ない。より良い世界を目指して、心を覗けば変化はあなたの中で始まる。」
1つ前に紹介したセリフに続く、ジュディの言葉です。「ズートピア」のテーマともいえるような素敵なセリフですね。
ある種の”理想”を抱いてズートピアを訪れたジュディでしたが、”現実”はそんな単純なものではありませんでした。様々な問題で溢れかえるズートピアでジュディが学んだことは、その問題に対して自分も”当事者”として向き合うこと。このセリフにはそんなジュディの想いが込められています!
まとめ
以上、「ズートピア」の名言・名台詞をご紹介しました!
ディズニーらしからぬ現実味のあるセリフの数々は、厳しくもありながら、それ故に心に響くものばかりでしたね。彼らの言葉を思い出せば、私たちもどんな問題にでも立ち向かっていけるはずです!