懐かしくて温かい!映画愛に溢れた監督”山下敦弘”厳選作品7選!
『味園ユニバース』や『オーバー・フェンス』などの作品を手がけ、温かみのある作風が多くの人に愛されている映画監督・山下敦弘。スケールの大きな作品から、些細な日常を切り取った作品など、ジャンルに縛られず様々な映画を生み出されています。特に、のんびり楽しめる映画を探している方には山下監督の作品がおすすめです!!
山下敦弘さんは1976年8月29日生まれ、愛知県出身。特徴的なおヒゲとメガネ、帽子がトレードマークで、とても温厚な映画監督さんです!
愛知県立阿久比高等学校に通いながら自作映画を撮っていた山下監督。その後、大阪芸術大学芸術学部映像学科へ入学し、卒業制作で撮った「どんてん生活」をきっかけに注目されるようになりました。
山下監督の演出の魅力は、登場人物達の人間模様がとても丁寧に描かれていることです!世間の端っこにいるようなキャラクターが多く、観ていていると親近感が湧いてきます。
また、心にそっと寄り添ってくれるような温かい作風が特徴で、監督の優しさが作品からも感じられます。
そんな山下敦弘さんの監督した作品7選をご紹介します。小説や漫画が原作となった作品や、海外からも評価されている名作など、胸を張っておすすめできる映画をご用意しました!山下監督の人柄が分かる撮影秘話にも、ぜひ注目してください。
あなたの心に深く刻まれるような、素晴らしい作品ばかりです!
1. マイ・バック・ページ
出典:Amazon.com
あらすじ
舞台は1971年、学生運動が活発化し不安定な情勢となっていた日本。そんな中、理想に燃える新米ジャーナリスト・沢田雅巳(妻夫木聡)は、世の中を自分の手で変えようと企んでいる自称活動家の青年・梅山(松山ケンイチ)と出会う。
梅山は「4月に行動を起こす。」と言い張るが、誰も彼の言葉を信じていなかった。しかし、沢田だけは梅山に親近感をおぼえ、交流を深めていく。そして梅山は、武器を手に入れるために自衛隊基地を襲う計画を立て、そのことを沢田に打ち明けたが……。
溢れんばかりの映画愛!「マイ・バック・ページ」山下敦弘撮影秘話
・難しい時代をどう表現するか悩んでいたという山下監督。原作の川本三郎さんの小説がとても力になったとか。当時の時代背景がしっかり描かれているからこそ、リアリティのある作品に仕上がっているのですね!
・山下監督は主演の2人について「妻夫木君は役を作り込んでくるタイプ、松山君は臨機応変で柔軟性があるタイプ。」と話していたそうです。しっかり俳優さんの特徴を掴んで、演出されていたのでしょう!
山下敦弘監督にしか描けない!映画の魅力ポイント
今作は実在の事件がモチーフとなっている作品です。そのためとてもリアリティがあり、まるで事件を目の前で目撃しているかのような迫力があります。先の読めない展開に、最後までドキドキしっぱなしです!
また、ジャーナリストと活動家という立場が全く違う2人の心情も丁寧に描かれています。登場人物をとことん掘り下げた演出をする山下監督らしい一作。「鑑賞後にじっくり考えさせられるような作品を観たい。」という方におすすめです!
2. 苦役列車
出典:Amazon.com
あらすじ
日雇い労働をしながら、ただただその日暮らしをしている青年・北町貫多(森山未來)。人付き合いが苦手な貫多には友達も恋人もおらず、将来の夢も無かった。
そんな貫多は、日雇いの職場で専門学生・日下部正二(高良健吾)と出会い、初めて友達と呼べるような人が出来る。そして、正二の力を借りて古本屋で働く桜井康子(前田敦子)とも友達になれた貫多。少しずついい方向へ進み始めていた貫多だったが、友達という関係をよく理解していないため康子にしつこく迫ってしまい……。
溢れんばかりの映画愛!「苦役列車」山下敦弘撮影秘話
・ミュージシャンとしても活躍しているマキタスポーツさん。主題歌を狙って山下監督に作曲した曲を聴かせたとか!でも監督に「主題歌狙ってるでしょ?」と、すぐにばれてしまったそうです。マキタスポーツさんの曲は、挿入歌として作中で流れます!
・青春時代を生きる主人公達を見ていて、監督自身も昔のことを思い出したとか。ちなみに、若い頃の山下監督はラップに挑戦していたそうですよ。ちょっと意外ですね!
山下敦弘監督にしか描けない!映画の魅力ポイント
芥川賞を受賞した西村賢太さんの小説が原作となっている今作。夢も希望もない青年の青春を描いた物語です。
人として最低なことばかりしてしまうけれど、どこか憎めない北町貫多というキャラクターに注目して頂きたいです!山下監督の手によって、殺伐とした雰囲気の中に青春の美しさが感じられる作品となっています。
また小説の良さを活かした演出がなされているので、原作を知っている方でも十分に楽しめる映画に仕上がっています!
3. もらとりあむタマ子
あらすじ
主人公・坂井タマ子(前田敦子)は大学卒業後も就職せずに、父・坂井善次(康すおん)のいる実家でのんびり過ごしていた。特に手伝いもせずに朝から食べては寝てを繰り返し、テレビに文句を言うタマ子。そんな娘にしびれを切らした善次は強く叱りつけるも、タマ子は結局何もしなかった。
そんな中、善次に恋人ができ再婚の話まで持ち上がる。その出来事をきっかけに、タマ子は改めて自分の将来について考え始めるが……。
溢れんばかりの映画愛!「もらとりあむタマ子」山下敦弘撮影秘話
・今作はタマ子の1年間を描いた作品なのですが、季節ごとに集中して撮り、間が空いてまた撮るという一風変わった撮影スケジュールだったとか!鑑賞中には、ぜひ季節の移ろいにも注目して頂きたいです!
・映画の雰囲気と同じように、現場もほのぼのとしていて楽しかったという山下監督。出演者さんと監督の優しい雰囲気がふんだんに活かされた作品となっております!
山下敦弘監督にしか描けない!映画の魅力ポイント
前田敦子さんが自堕落な女性を演じると話題になった今作。山下監督の作品には、ちょっぴりだらしない人物が登場することが多いのですが、タマ子もその1人です。
この作品の魅力は、やはり父と娘の軽快なやり取りでしょう!まるで本物の親子かというほど息ぴったりで、絶妙な距離感を演出しています。
山下監督の作り出す、穏やかでのんびりしているのに、普通とは少し違う独特な雰囲気に魅了されること間違いなし!観ている人の背中をそっと押してくれる優しい物語です。
4. 味園ユニバース
あらすじ
「赤犬」というバンドのマネージャーをしている少女・佐藤カスミ(二階堂ふみ)は、ある過去を引きずっていた。そんなカスミが出会ったのは、記憶喪失でなぜか歌が上手い男(渋谷すばる)だった。名前すら覚えていなかったその男にカスミはポチ男と名付ける。そして行く宛のないポチ男を自宅のスタジオで働かせることに。
最初は噛み合わなかった2人も徐々に打ち解けていき、カスミはポチ男を赤犬のボーカルとして雇おうとする。しかし、ポチ男の記憶が戻ってしまったことをきっかけに、2人の日常が壊れてしまい……。
溢れんばかりの映画愛!「味園ユニバース」山下敦弘撮影秘話
・「自分の仕事の8割はキャスティング。」という山下監督。映画を撮る時には、誰に演じてもらうかを特に真剣に考えるそうです。登場人物を丁寧に掘り下げる山下監督の作風は、監督のこの考えから生まれたものだったのでしょう!
・山下監督は撮影中に、「これは面白い、いける!」と革新したそうです!監督の予想通り、今作は公開エリアが拡大しロングラン上映されました。
山下敦弘監督にしか描けない!映画の魅力ポイント
今作は渋谷すばるさんの初単独主演作品で、多くの賞を受賞するなど高く評価されました。
今でも実在する味園ビルのユニバースが舞台となっているため、物語にリアリティがあり登場人物も生き生きしています。生活感を感じるセットや、何気ない会話など山下監督のこだわりが沢山詰まっている作品です。
今作の魅力は、心に直接響いてくる圧倒的な歌声です!渋谷すばるさんの力強い歌を、山下監督の演出が更に引き立ています。どこか懐かしさを感じる感動作、ぜひご覧ください!
5. オーバー・フェンス
あらすじ
妻と離婚し、職業訓練校で働きながら代わり映えしない毎日を送る男・白岩義男(オダギリジョー)。義男は、誘われて行ったキャバクラで独特の雰囲気を持つ危なげな女性・田村聡(蒼井優)に出会う。
「鳥になりたい。」と言う聡に不思議な魅力を感じた義男。その後、2人は互いのことを何も知らないまま勢いで身体を重ねてしまう。そこで「どうして結婚指輪を外してないの?」と聡に怒られた義男は、仕方なく自らの過去を語り出した。元妻を自分の所為で狂わせてしまったと話す義男に聡は激昂し……。
溢れんばかりの映画愛!「オーバー・フェンス」山下敦弘撮影秘話
・山下監督は、不思議な魅力のある田村聡という女性を表現するのにとても苦労したとか。蒼井優さんと探りさぐり人物像を固めていったそうですよ!
・今作は山下監督の30代最後の作品。「この先の自分に影響を与えてくれる映画。」とコメントしていたとか。監督の言葉通り、メッセージ性のある素晴らしい作品に仕上がっております!
山下敦弘監督にしか描けない!映画の魅力ポイント
人には言えない孤独を抱えた男女の恋模様を描いた今作。細かい描写や心情を大切にされている山下監督らしい、人間の奥深い悲しみを丁寧に表現した作品です。
今作の魅力は、少し壊れてしまっている義男と聡のキャラクター!ちぐはぐな2人ですが、観ているとなぜか応援したくなる不思議な魅力があります。
また映像も美しく温かみのある演出なので、鑑賞後にじんわりと感動が広がる名作となっております!
6. ぼくのおじさん
あらすじ
小学生の春山雪男(大西利空)の家には、居候している役立たずのおじさん(松田龍平)がいた。おじさんは大学の臨時講師で哲学を教えているが基本的に怠けてばかりで、家族の中でも厄介者として扱われている。そんなおじさんは見合いをすることになったが、本人はあまり乗り気ではない。しかし、見合い相手の稲葉エリー(真木よう子)に一目惚れをしてしまう。距離を縮めようとするおじさんだったが、実はエリーはハワイの日系4世でこれからハワイへ帰ってしまうというのだ。そこでおじさんは、どうにかハワイへ行けないかと考え始め……。
溢れんばかりの映画愛!「ぼくのおじさん」山下敦弘撮影秘話
・個性的なおじさんを演じた松田龍平さんは、山下監督に「どう演じたらいいですか?」と聞いたところ、「ちょっと俺も分からないんだよね。」と言われたとか!山下監督のおちゃめな一面が分かるエピソードです!
・ハワイでの撮影ということで、松田龍平さんと事前に「ハワイに行って浮足立たないようにしよう。」と話していたという山下監督。春山雪男を演じた子役の大西利空さんがプールに行くのを羨ましく思っていたそうです!現場の和やかな雰囲気を感じますね。
山下敦弘監督にしか描けない!映画の魅力ポイント
今作は、だらしないおじさんにスポットを当てた作品。コメディチックで気軽に観られる映画なので、のんびり過ごす休日の一作に最適です!
この映画の魅力は、個性的な登場人物達が織りなすへんてこりんな空気感です。山下監督の優しい人柄がそのまま投影されたかのような、穏やかでほっこりした雰囲気となってます。
実際にハワイで撮影されているため、現地の良さをそのまま感じられる癒し系映画です!
7. ハード・コア
あらすじ
曲がったことが大嫌いで、純粋すぎるあまり世間に馴染めずにいた主人公・権藤右近(山田孝之)。右近の仕事は、胡散臭い活動家・金城銀次郎(首くくり栲象)の元で埋蔵金を掘るというものだった。同じ様に世間から見放された唯一の友達・牛山(荒川良々)と共に仕事へ励む日々。
そんな右近の様子を見に来た、一流商社で働く出来のいい弟・権藤左近(佐藤健)。兄とは違って器用な左近だったが、実は彼も世間に対して不満を抱いている。
右近、左近、牛山の人生は、ある高性能ロボットに出会ったことで大きく変わり始め……。
溢れんばかりの映画愛!「ハード・コア」山下敦弘撮影秘話
・元々親交があった山下監督と山田孝之さんは、前から映画の構想を話し合っていたとか!2人の原作漫画への愛が炸裂した、クオリティの高い作品となっております。
・山下監督は「今作が遺作でもいい。」と話していたとか!それほど監督の思いが詰まっているのですね。これからも山下監督の素晴らしい作品が生まれ続けることを、心から祈っております!
山下敦弘監督にしか描けない!映画の魅力ポイント
熱狂的なファンが多い漫画「ハード・コア 平成地獄ブラザーズ」を映画化した今作。世間に馴染むことのできない男たちが、ロボットとの出会いを通して成長していく物語です。
今作の魅力は、コメディとシリアスの絶妙なバランス!くすっとしてしまう場面もあれば、真剣に考えさせられる場面もあります。そのため、作品の振り幅が大きく何度観ても楽しめる内容です!
また、山下監督の熱いメッセージや思いがふんだんに盛り込まれているのも魅力。男くさくてかっこいい、ハードボイルドな映画が好きな方にはたまらない一作ですのでぜひ!
まとめ
山下敦弘監督のおすすめ映画7選をご紹介しました。
どの作品にもメッセージ性あり、映画を愛する気持ちが伝わってきましたね!登場人物を深く掘り下げ、心情の変化も丁寧に描くのが山下監督の映画の魅力です。
また撮影秘話では、出演者さんとの仲睦まじい様子も感じられました。優しくておちゃめな監督の人柄が愛されているのでしょう。
これからも、国を問わず多くの人を感動させてくれること間違いなしです。山下監督のさらなるご活躍を期待しましょう!
この記事が、皆さんと素敵な映画の出会いの場になったら幸いです!