人間ドラマを見たい方必見!犬童一心”監督のおすすめ映画7選!
「ジョゼと虎と魚たち」や「のぼうの城」で知られる犬童一心監督。ヒットメーカーとなった今でも「職業欄には映画監督とかけない。会社員と書く」というほど謙遜家。
犬童一心監督は東京都出身の1960年6月24日生まれ。中学生の頃から名画座通いを始めて、高校1年生の頃に自主映画の制作をします。東京造形大学卒業後は広告会社に就職し、多忙な日々で映画からは離れた生活を送っていたといいます。
お菓子や玩具のCM演出をたくさん作る中で、アニメに興味をもった犬童一心監督は、実写とアニメを融合させた短編「金魚の一生」を作り上げます。翌年の「二人が喋っている」で長編デビュー。その後、飛ぶ鳥を落とす勢いで名作を世に送り出している犬童一心監督。特徴として、繊細な恋を描いた作品や、人間ドラマが多いです!
今回はそんな犬童一心監督の作品を、有名作から、マイナーだけど見て頂きたいものまで、7つ用意しました。公開度順にご紹介するので、いい作品を見つけてください!
1.ジョゼと虎と魚たち
出典:Amazon.com
あらすじ
マージャン屋でバイトをする大学生の恒夫(妻夫木聡)は大学生活も女子との付き合いも適当にしていた。
ある夜、恒夫は乳母車を押す老婆(新屋英子)を見かける。興味本位で乳母車を覗くと、そこには包丁を持った少女ジョゼ(池脇千鶴)がいた。足が不自由で歩けない彼女は乳母車に乗って散歩をしていたのだ。そこから恒夫はジョゼと交流を深めていくのだが、不思議な雰囲気をもつ彼女に惹かれていくのであったーー。
ココがスゴい!「ジョゼと虎と魚たち」犬童一心の撮影裏話
・主演の妻夫木聡は本作について「本当にスタッフは優秀な方ばかりだったんですよ。監督も役者もスタッフも含め、みんなが熱くて、ひとつになれた作品だった」と語っています!
・原作は短編の小説です。映画は内容を大幅に追加して撮影されました。
・犬童一心監督は、オーディションで上野樹里が扉を開けた瞬間に「このこだ」と思ったそうです。オーディションでビンタをする機会があったんですが、監督の期待に答えるように、上野樹里は、本気でビンタしました。オーディションには他に100人以上いましたが、本当にビンタした人は他にいなかったそうです。
絶対見逃せない!この映画の見どころ!
ジョゼと恒夫のデートシーンです!恒夫は「この世で一番こわい虎をみる」「海を泳ぐ魚に触れて、冷たい水を感じる」などのジョゼのピュアな夢をひとつひとつ叶えていきます。
この映画を観ると、子供の頃のピュアな気持ちや、純粋に人を愛すことなど、大人になるにつれて忘れていくものを感じることができます。恒夫とジョゼの関係のように、ピュアな人といることで自分自身もピュアに近づくことができるかもしれません。
2.いぬのえいが
出典:Amazon.com
あらすじ
コメディや感動モノなど、「いぬ」をめぐる短編作品がリレー形式で綴られる作品。
〔A Dog’s Life〕、〔うちの子No.1〕、〔CMよ、どこへ行く〕〔ポチは待っていた〕〔恋するコロ〕〔犬語〕〔ねぇ、マリモ〕で構成される。
〔A Dog’s Life〕
オープ二ングの代わりになるアニメ。台詞はなく、歌が流れる。
〔うちの子No.1〕
舞台は公園。犬の散歩をしている、おじさん(佐野史郎)とおばさん(渡辺えり子)は、お互いの犬を褒めあう。しかし、だんだんと本音がでてきてけなし始める。そこにリムジンで大型犬4匹を連れた若奥さん(吉川ひなの)が登場する。
〔CMよ、どこへ行く〕
「ワンファクトリー」という会社のドッグフードのテレビCMに携わることになったCMプランナー山田賢太郎(中村獅童)は、クライアントのむちゃなリクエストに四苦八苦する。
〔ポチは待っていた〕
山田の子供の頃の物語。山田は公園でいつも一人ぼっちで遊んでいた。公園でアンパンを食べていると、一匹の柴犬がやってくる。山田がアンパンをあげると、柴犬がなついてく。
そこから山田は、柴犬にポチと名付け一緒に遊ぶようになる。しかし、山田は喘息の発作により入院してしまう。ポチは山田の帰りを待つーー。
〔恋するコロ〕
散歩が大好きなコロ(声:荒川良々)。飼い主の克彦(佐藤隆太)は散歩の途中でいつも知美(乙葉)の家の前に止まる。コロは知美の隣の家にいる犬に恋をするが…
〔犬語〕
犬の鳴き声が翻訳できる「バウリンガル」の話。「バウリンガル」を開発した丸山健太郎(田中要次)は子供の頃から、犬に吠えられることが多かった。何かメッセージを伝えてるのかもしれないと思った健太郎は、犬語の研究をする。犬からのメッセージとはーー。
〔ねぇ、マリモ〕
赤ちゃんの犬マリモの生涯の物語。人間よりも犬の方が寿命が短いこと、犬を飼うと悲しい思いをしてしまうことがテーマになっている。
ココがスゴい!「いぬのえいが」犬童一心の撮影裏話
・50種類90匹にも及ぶ犬が出演しています。おもわず「すごい!」と言いたくなる犬たちの演技に注目です。
・7名の監督によって作られました!凄く豪華ですよね。続編もあります!
絶対見逃せない!この映画の見どころ!
短編作品のオムニバスという長所を生かして、喜怒哀楽が詰め込まれているところです!
楽しい作品や、本気で泣かせてくる作品まであるので、犬好きの方だけでなく、映画をみて笑うのが好きな方、映画を見て泣くのが好きという方など誰が見ても楽しめる作品です!
3.メゾン・ド・ヒミコ
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あらすじ
塗装会社に勤める吉田沙織(柴咲コウ)は母親と共に暮らしていたが、数年前に母親は他界する。沙織は親戚に借りた借金が残り、お金に困っていた。
そんなある日、沙織のもとに、ゲイの青年・岸本春彦(オダギリジョー)が訪ねてくる。
春彦は、家を出て行った沙織の父親・卑弥呼(田中泯)の恋人だという。春彦は「卑弥呼が末期のガンである」ことと、「1日3万円で『メゾン・ド・ヒミコ』でバイトを手伝って欲しい」ことを沙織に伝える。借金を抱えている沙織はお金に目がくらみ「メゾン・ド・ヒミコ」を手伝うことにするーー!
ココがスゴい!「メゾン・ド・ヒミコ」犬童一心の撮影裏話
・春彦役のオダギリジョーは、ずっと犬童一心監督と仕事をしたいと思っていたそうです。本作で願いが叶いました!
・舞台はゲイの老人ホームです。珍しい舞台ですが、リアルに描かれています。
・オダギリジョーの演技力が溢れ出ています。本作は彼の出演作の中でも人気の作品です。
絶対見逃せない!この映画の見どころ!
「同性愛」と「性別を超えた愛」の違いをテーマにしているところが見どころです。
沙織とゲイの春彦は惹かれあいますが、いざベッドシーンになったときに、春彦は躊躇します。沙織はそれにショックを受けますが、春彦の愛には性欲がなかったのでしょう。性別の壁をなくした愛を感じていたのだと思います。愛の奥深さを浮き彫りにしていますよね。
性欲と愛は別物ということを示唆しているのか、単に同性愛者は異性を愛すことが出来ないことを表しているのか。私は前者だと思いますが、鑑賞者によって意見が分かれそうですね。
4.眉山
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あらすじ
ふるさとの徳島を離れ東京で働く河野咲子(松島奈々子)のもとに、病院から彼女の母親・河野達子(宮本信子)が入院したと連絡が入る。
数十年ぶりに故郷に帰る咲子。思っていたよりも元気だった母親の姿を見て安心したのもつかの間、担当医から母親の余命は数ヶ月だと聞かされる。母親に対していい印象をもっていなかった咲子であったが、その思いは少しづつ変わり始めるーーー。
ココがスゴい!「眉山」犬童一心の撮影裏話
・犬童監督は松嶋菜々子、大沢たかお、宮本信子の3人について「最初に原作を読んで、考えた理想のキャストがこの3人」と語っています。
・原作はさだまさしの小説です。さだまさしは「映像作家の手によって別の世界に広がっていくことは本当にうれしい。」と、喜びを語りました。
・宮本信子は、夫の死を機に映画への出演を控えていましたが、本作で10年ぶりの出演をしました。
絶対見逃せない!この映画の見どころ!
咲子と達子の関係性が見どころです。シングルマザーとして咲子を育て上げた達子でしたが、咲子は達子のことを冷ややかな目で見ていました。
しかし、大人になり、達子の話を聞くことで、咲子の想いは変わっていきます。これは、話し合うことは重要だというメッセージだと考えられます。親子関係が上手くいっていない家庭もあるとは思いますが、話し合って想いを伝えると、改善されるかもしれません。
5.ゼロの焦点
出典:Amazon.com
あらすじ
広告会社に勤める鵜原憲一(西島秀俊)と商社に勤める禎子(広末涼子)は10の歳の差があったが結婚する。式を挙げてまもなく、憲一は仕事で金沢に出張する。しかし、憲一はそのまま帰ってこなかった。
禎子は失踪した夫を探しに行く。一方、憲一の失踪と同時期に連続殺人事件が起こる。実は事件には共通点があり、被害者はすべて憲一に関わりのある人物であったのだ。「夫の失踪の理由とは」「連続殺人事件の犯人と目的とは」すべての謎が明らかになるとき、禎子には衝撃の事実が待ち受けていたーー。
ココがスゴい!「ゼロの焦点」犬童一心の撮影裏話
・中谷美紀は、犬童一心監督は「悪名高き監督」といいます。撮影が朝まで長引くこともあるからだそうです。
・犬童一心監督は女性の心情を汲み取る名手として定評があるんですが、本作にもよく現れていたそうです。出演者は「男性監督は思考が男っぽくなるか、女々しすぎる方が多いけど、犬童一心監督は女性と同じ目線で心情を語ることが出来る」と褒めていました。
・崖上で主人公と犯人が相対する演出は、ドラマなどで多様化され、有名になりましたが、本作がこの演出の原型という位置付けのようです。
絶対見逃せない!この映画の見どころ!
戦後の日本の様子をうまく表現している点が見どころです!本作は戦後すぐの日本が舞台なんですが、社会の亀裂や、今では考えられない女性への差別が描かれています。
時代の背景を上手く表現したサスペンス作品だからこそ、こんなにも人気を博したんだと思います。
6.のぼうの城
あらすじ
天下統一目前の秀吉には唯一落とせない城があった。忍城(おしじょう)だ。
その城には、村民から絶大な人気を得る成田長親(野村葛斎)という城代がいた。秀吉は忍城に、2万の大軍で攻撃を開始する。対して、長親は500人で挑もうとする。2万対500という前代未聞の戦が始まるーー。
ココがスゴい!「のぼうの城」犬童一心の撮影裏話
・特撮作品で知られる樋口真嗣監督と、人間ドラマに定評がある犬童一心監督の作品です。二人の強みがでています!
・乗馬のシーンがあり、出演者は撮影前に2ヶ月練習したそうです。
・本作は2011年9月17日に公開の予定だったんですが、水攻めのシーンがあることから、東日本大震災による津波の被害に配慮して、公開が延期されました。
絶対見逃せない!この映画の見どころ!
当時の人びとの生活風景が見どころでしょう!のぼうの城は「生活が苦しい」や「戦が怖い」というイメージが強い戦国時代を、楽しい様子で描いています。当時と今じゃ戦のイメージや、死ぬことの考え方って違うと考えれますよね。
本作は、当時の価値観を表現しているので、現代と昔の考えの違いを感じられます。過去をみて、今をどう生きるかを考え直せる作品です。楽しめる作品をお探しの方にはオススメです。
7.猫は抱くもの
あらすじ
元アイドルのアラサー女子・沙織(沢尻エリカ)は、思い通りにいかない自分に嫌気が差し、投げやりな生き方をしていた。
そんな彼女の心のよりどころは、こっそり飼っているロシアンブルーの猫・良男(吉沢亮)だけであった。沙織と共に時間を過ごすうちに、良男は自分が人間で、沙織の恋人と思い込んでしまうーー。
ココがスゴい!「猫は抱くもの」犬童一心の撮影裏話
・猫役の吉沢亮には、猫を飼って14年になる犬童一心監督が具体的に指導したそうです!
・犬童一心監督はクランクアップのインタビューで「相棒になる猫の存在の大きさを表現したい」と意気込みを語りました。
・吉沢亮がキャットフードに見立てたクッキーを食べるシーンがあるんですが、パサパサすぎて台詞を言うのに苦労したそうです。
絶対見逃せない!この映画の見どころ!
擬人化された猫の演技は見どころです。飼い主の手に優しく自分の手を添える仕草や、猫の独特の走り方など、細かい動きまで表現されているので、猫好きの方には共感できる部分が多いと思います。
また、実景ではなくあえてセットで撮影したシーンがあるんですが、擬人化した猫と世界観をマッチさせる為です。不思議な世界観をもつ本作ですが、セット以外にも、ミュージカル要素が取り入れられたりもします。こだわりとファンタジー要素が溢れた作品になっています。
まとめ
以上、犬童一心監督のオススメ作品を7つご紹介しました。
繊細な人間の心情を描くことが得意の監督。今回ご紹介した作品にも表れていると思います。犬童一心監督の作品をまだ見たことがない方や、見た事あるけど他の作品も気になる方はぜひ参考にしてください!