映画『渇き。』ネタバレ | ヤバさ劇薬級のバイオレンスムービーは実話だった!?

10代の性犯罪や暴力を描いたR15指定作品、『渇き。』。手がけたのは『下妻物語』や『告白』など、センセーショナルな作品を多く世に出してきた中島哲也監督です。

ベストセラー小説『果てしなき渇き』がもととなった本作も、衝撃的な内容と独特の世界観が話題となりました。同時に時系列がシャッフルされているため、わかりにくい!疲れる!という口コミも。そこでこの記事では難解な時系列を整理しつつ、わかりやすく解説します。

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ヤバすぎる映画『渇き。』について

スピード感溢れる演出と、過激な暴力描写、そしてショッキングなストーリーで賛否両論を巻き起こした『渇き。』は、中島哲也監督の世界観が詰まった一作。原作は第3回このミステリーがすごい!大賞を受賞した『果てしなき渇き』です。

2014年に公開され、同年スペイン・シッチェス映画祭で主演の役所広司さんが日本人初となる最優秀男優賞に輝きました。さらに米テキサス・オースティンのファンタスティック映画祭では最優秀脚本賞、そのほかトロントやロンドン、釜山の映画祭でも注目を浴びています。

独特な世界観とわかりにくい時系列から、好き嫌いははっきりと分かれる作品ですが、俳優陣の演技だけでも観る価値あり本作で女優としてブレイクした小松菜奈さんがヒロインを演じ、妻夫木聡さん、オダギリジョーさんなども出演。深い闇へと堕ちていく人間模様を、実力派俳優陣が鬼気迫る演技で見せてくれています!

映画『渇き。』のネタバレあらすじ

出典:渇き。 15秒TVCM Ver.1

妻の不倫現場で暴力沙汰を起こして以来、荒んだ生活をするようになった元刑事の藤島(役所広司)。ある日、離婚した元妻と暮らす一人娘・可南子(小松菜奈)が失踪する。加奈子の部屋から出てきたのは覚せい剤の粉。

藤島は加奈子の学校周りから探りはじめるうちに、愛娘の’裏の顔’を知っていくことに。容姿端麗でカリスマ的存在の加奈子が持つ天使と悪魔の顔は、同級生たちを闇の底へと落としていく。そしてそんな加奈子の人気を利用し、欲望の実現に群がる権力者たち。果たして加奈子はどこにいるのか――。

全員狂気に満ちた共感度ゼロのバイオレンスムービーを、斬新な構成とスタイリッシュな映像で見せる中島哲也ワールド。賛否両論、好きか嫌いか、アクの強い一作です!

’毒味’したい方のために、ここから先はネタバレであらすじを解説していきます。

【『渇き。』ネタバレあらすじ①】藤島の生活と加奈子の失踪

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出典:映画『渇き。』公式サイト

2013年、藤島は埼玉県で発生したコンビニ強盗の第一発見者となる。すでに藤島は元妻の不倫現場で起こした暴力事件を機に依願退職し、統合失調症を患いながら、しがない警備員として勤務していた。コンビニ強盗の事件を担当する刑事は浅井(妻夫木聡)。そんな折、元妻となった桐子(黒沢あすか)から1本の連絡が入った。

「加奈子、そっちに行ってない?」

高校生の娘・加奈子が失踪したのだ。急いで桐子のマンションへ向かい、加奈子の部屋を漁って出てきたのは覚せい剤の白い粉。そして、神経内科で処方された薬。加奈子の交友関係を洗い出しながら、藤島は独自で捜索を開始する。

何人かの同級生に会う藤島。なかには明らかに’シャブ漬け’となっている女子がいることに藤島は気づく。さらに「緒方」という同級生の自殺が明らかになるとともに、「松永」という男が浮上。かなりの素行不良だったという松永が、加奈子とどう関わっていたのか、藤島はさらに捜索を進める。藤島は元担任・東(中谷美紀)へも話を聞きに行き、松永が加奈子に覚せい剤を流していたと気づく。

作中ではシャッフルされるように「3年前」も描かれる。加奈子のボーイフレンド・瀬岡=ボク(清水尋也)の視点だ。同級生から壮絶な虐めを受ける瀬岡。孤立する暮らしの中で、瀬岡にとって唯一の癒しは加奈子だった。容姿端麗、淡々と、そして凛とした加奈子に惹かれる瀬岡だった。

【『渇き。』ネタバレあらすじ②】暴力団石丸組と加奈子の関わり

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出典:映画『渇き。』公式サイト

松永を追い詰めようとした藤島だが、松永とその仲間らに殴られて気を失ってしまう。目が覚めるとそこは橋の下。松永はすでに死体となって転がっていた。そこへ到着した刑事の浅井。「娘さんに何かありました?松永と関わりありましたよね?」と近寄る。

松永は暴力団・石丸組に追われていたのだった。そして、コンビニ強盗で殺害されたひとりが松永の後輩だったことが明らかになっていた。浅井はコンビニ強盗事件のために石丸組を追い、藤島は加奈子の捜索のために石丸組を追いはじめる。

加奈子捜索を続けるある夜、酔って自分の部屋へと戻った藤島は先回りしていた何者かに襲われる。ナイフを突きつけながら「どこだ?お前の娘が隠したものは?」と問われる藤島。

てっきり覚せい剤のことだと思った藤島は「かばんの中だ」と答えるも、「シャブに用はない」と一蹴されてしまう。戸惑う藤島に、「知らないんだな、自分の娘が何をしていたか……」という言葉が投げられる。その男は加奈子を「ゴミ」と呼び、藤島と一緒にいた娼婦をためらうことなく殺してみせ、加奈子の殺害計画を暗に示していた。

「3年前」の描写では、瀬岡と加奈子の交流が描かれる。瀬岡は加奈子にパーティーへ誘われる。迷っている瀬岡だったが、「もっと私のことを知って欲しい」と加奈子に言われてパーティーへの参加を決意した。

【『渇き。』ネタバレあらすじ③】未成年売春を斡旋していた加奈子

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出典:映画『渇き。』公式サイト

物語は、ここからスピード感を増して展開していく。

加奈子の同級生からコインロッカーの鍵を受け取った藤島は、とあるファイルを見つける。そこには加奈子が通っていた神経内科の医師をはじめとする中年の男達が、加奈子や、加奈子よりも若い女の子と乱交に及ぶ写真が入っていた。すべてを把握し、発狂寸前となる藤島。

そして、男たちの中には警察関係者の姿もあった。その写真を浅井へと渡すも、浅井は写真の件については触れるなと藤島を追い、さながらカーチェイスの様相に。浅井たち警察車両を巻いた藤島は、神経内科の医師のもとへと行き、ナイフを突きつける。

しかし医師から出た言葉は「あんたの娘が誘ってきたんだ……!」。そう、未成年の売春を斡旋していたのは加奈子だったのだ。

医師のもとから去ろうとしたところを石丸組に拉致された藤島は、すべての真相を聞くこととなった。売春グループの元締めとなっていたのは石丸組。同級生に声をかけ、女の子を斡旋していたのが加奈子。しかし加奈子は、証拠写真を客に送りつけるというルール違反を犯していた。そのために、石丸組は加奈子を追いかけていたのだった。

しかし依然として加奈子の行方はわからない。石丸組は現役の警察官・愛川(オダギリジョー)の写真を藤島に渡す。愛川は加奈子が送った写真によって追い詰められた権力者・チョウと呼ばれる老人が殺し屋として雇っていた人物だ。

愛川を始末したい石丸組は、藤島を焚きつけた。藤島は愛川の妻をレイプ、子と共に拉致し、ビルの屋上に愛川を呼び出した。愛川、そして浅井をはじめとする刑事たちも追いつく。躊躇なく妻や子を殺した愛川だったが、愛川本人は浅井に撃たれてしまう。売春をもみ消したい浅井は、愛川の死を「自殺」としたのだった。

引き続き、シャッフルされるように「3年前」の瀬岡が描かれる。パーティーで男に犯された瀬岡は、心を壊してしまっていた

【『渇き。』ネタバレあらすじ④】加奈子を殺害したのは元担任、そして瀬岡は。

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出典:映画『渇き。』公式サイト

3年前、瀬岡は売春が行われていたホテルの一室で加奈子と会う。加奈子に自分がレイプされている写メを見せられ、「これ、マジうける」と高笑いされ殺意を抱く瀬岡。しかし、瀬岡は誰かに首をナイフで切り裂かれてしまうのだった。

場面が変わり、写真をもとに藤島が次に向かった先は、元担任である東。写真には、小学生の娘が写っていたのだ。シラをきり通せない東が語ったのは、加奈子の狂気そのものだった。

加奈子は夏期講習で東の娘に出会い、売春グループへと引き入れていた。娘が急に持ちはじめた携帯電話が加奈子からのプレゼントだったと知った東は、加奈子に接触。その際、加奈子は東の車内で写真を見せた。そこに写るのは裸でベッドに横たわり、カメラに笑顔を向ける娘の姿。

泣いて怒りを向ける東に、無理強いしたわけじゃないと言う加奈子。「いくつだと思ってるの?」と問われると、満面の笑みで「でも、そこが人気なんです!オジサマたちに」と返す。その言葉にカッとなった東はハンドルを切り、人気のない場所へと移動。その場所でさらに煽るような言葉を受けた東は、加奈子をナイフで刺したのだった。

その話を聞いた藤島は東に拳銃を突きつけ、加奈子の遺体を埋めた場所へと移動させる。雪深い林の奥、真っ白な銀世界ではどこに埋めたのかもうわかるはずもない。泣きながら雪を掘る東をケリ飛ばし、「何年かかろうが見つけろ」と藤島。

日が暮れた車内、「娘に会わせて(家に帰して)、できないなら殺して」と懇願する東の横で、藤島は自分の腕に注射器を当てた。翌朝、逃げようとする東に追いついた藤島は「今日はあいつの誕生日だ。18になった」と語りながら背を向ける。その瞬間、東は持っていたスコップで藤島の後頭部を殴打。

よろめきながら東を追い、「あいつは生きてる。あいつは、俺だ。あいつは、親の手で、ちゃんと……ぶっ殺す」そう言って、藤島は雪を掘り起こし続けるのであった。

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映画『渇き。』のキャスト/登場人物

藤島昭和/役所広司

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出典:映画『渇き。』公式サイト

主人公・藤島を演じるのは幅広い層から支持を得る人気俳優の役所広司さんです。本作での藤島はひとことで言うと「クズ」。娘・加奈子に迫ったり、元妻や愛川妻をレイプしたりとかなりのクズさ。それほどクズな役ながらも、目を離せなくなってしまうのは役所広司さんが持つ演技力の賜物でしょう。破天荒な元刑事という役柄は、日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞した『虎狼の血』を思い起こさせます。本作でも、温かい家庭に憧れながらも荒れ狂う中年男を見事に演じ切っています。

藤島加奈子/小松菜奈

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出典:映画『渇き。』公式サイト

本作でキーパーソンとなるヒロイン・加奈子を演じたのは、独特な雰囲気が魅力の小松菜奈さん。実は本作が彼女にとっての長編映画デビューだったそう。2017年には『沈黙-サイレンス-』でハリウッドデビューも果たし、期待値が上がり続ける女優さんです。本作では加奈子の持つ色気、カリスマ性、そして狂気を淡々とした演技で表現してくれています。

浅井/妻夫木聡

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出典:映画『渇き。』公式サイト

刑事・浅井を演じているのはご存知、妻夫木聡さん。作中の浅井は刑事としてシュッとしながらも、ひょうひょうともみ消しを行う「クズ」。同じクズでも人間味のある藤島とは違い、どこかサイコパスのようなクズさが見られます。『ウォーターボーイズ』などのポップな映画から、『悪人』や『怒り』などシリアスな映画にも出演する妻夫木聡さん。本作では、そんな妻夫木聡さんの表現力の広さをいっそう強く感じられます

映画『渇き。』4つのネタバレ考察

『渇き。』は時系列も人物相関図もシャッフルされているため、「あのシーンはどういうこと?」「あの人はなぜ殺されたの?」という疑問が多く残ります。物語で大きな疑問点となる部分をここで解消していきます。

【『渇き。』ネタバレ考察①】そもそも加奈子の目的は?

加奈子がチョウ達に近づいたのは、最初のボーイフレンドがチョウ達にまきこまれたことによって自殺したため。最初のボーイフレンドは「緒方」でした。瀬岡同様にレイプされた緒方は自殺し、加奈子は復讐心から売春に手を染めはじめたのです。

【『渇き。』ネタバレ考察②】コンビニ強盗事件の真相は?

元締めとなっていた石丸組が、売春組織の撮影者を消すために起きた事件でした。石丸組としては、写真などバラまかれて信用をすべて失ってはたまったものじゃなかったのです。それだけ利益があったということでもあります。

【『渇き。』ネタバレ考察③】なぜ瀬岡だった?

加奈子のターゲットとなってしまった瀬岡ですが、「なぜ、彼?」という疑問が残ります。しかし瀬岡に近づく時点で加奈子の心はすでに崩壊していることを考えると、「誰でも良かった」というのが答えでしょう。加奈子に想いを寄せて操りやすく、力的にも弱い瀬岡はちょうど良かったのではないでしょうか。

【『渇き。』ネタバレ考察④】加奈子はサイコパス?

登場人物に、まともな人間はひとりとしていません。主人公・藤島は暴力的で、作中では「激怒依存症」なる言葉も使われるほど。浅井や愛川のサイコパスっぷりは一目瞭然。さらに一見普通そうに見えた医師が実は少女売春と、全員がそれぞれ狂気を持ち合わせているクズです。そんな中で最も狂気を光らせるのが、主人公・加奈子

容姿端麗で成績優秀、まぎれもなく「学園のマドンナ」として男女問わず愛されていた加奈子。そんな加奈子の狂気は、天使と悪魔という二面性として描かれます。目の前で首をナイフで引き裂かれても動じず常に淡々とし、この狂気を演じ切った小松菜奈さんは本当にお見事。ただ容姿端麗なだけでは表現できない役柄です。

作中で同級生や瀬岡を騙し、元担任の東に東の娘がどれほど客に高く売れていたか説明する加奈子ですが、その姿は意図的に相手を狂わせていることがわかります。こういった描写から、「加奈子はサイコパスではないのか」とたびたび議論を巻き起こしていた本作。

しかししっかり見てみると、加奈子には人間味があるのです。ボーイフレンドが殺されたことへの復讐心、異常性を持つ父親と不倫していた母親という家庭環境。「現在」の加奈子は感情をうしない他人を操っている怪物かもしれませんが、それは決して生まれ持ったものではなく、作られたものであることを感じさせます。

さらに加奈子の「一度堕ちるともう戻れない」や「まともってなに?」といったセリフから、父親同様に本来は普通の愛情を求めていたけど、上手くいかずに堕ち続けてしまう人物なのではないでしょうか?

もちろん作中ではっきり言及されることはなく、加奈子の人間性には曖昧さを残しています。観る人によって、「自分とは関係ないどこか遠くの人物」であったり、「自分の中にもいるかもしれない悪魔」であったりするのが本作の見どころと言えるでしょう。

映画『渇き。』が実話って本当?

冒頭でも触れたとおり、『渇き。』の原作となったのは『果てしなき渇き』です。原作者である深町秋生氏は2003年に起きた「プチエンジェル事件」に着想を得たそう。この事件の首謀者は未成年デートクラブとして「プチエンジェル」を運営していました。

女子中高生、さらには小学生までの若い女の子を都内でスカウトして雇い、下着販売や写真撮影、ビデオの販売等によって巨額が利益を出していたのです。事が発覚したのは小学校6年生の少女2人が、首謀者契約のマンションに監禁されたことがきっかけでした。

保護者が捜索願いを出し、マスコミにも報じられ逮捕状も出たものの、首謀者は自殺。監禁された少女のひとりが脱出に成功。そこから逮捕された少女たちはなんと1,500人以上に及びました。

2,000名を超える顧客リストも押収されていますが、ほとんどが偽名のため事件は闇の中へ。しかしその顧客リストには多くの著名人がいたのでは?と言われている事件です。たしかに映画『渇き。』のストーリーとも酷似しています。

が、そもそも真相は闇の中という事件ですので、どこが本当でどこが創作なのかなどはわかりません

まとめ

観終わったあとには疲労感もあり、決してスッキリとはいかない作品です。しかし俳優陣のエネルギッシュな演技とスタイリッシュな演出に心を奪われます。登場人物の狂気味わってください!

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