二度と戻らない”青春”が蘇る『スタンド・バイ・ミー』のグッとくる名言特集
スティーブン・キングの短編小説『死体』を映画化した『スタンド・バイ・ミー』。主題歌の『STAND BY ME』は、映画を観ていなくても一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
小さな町で退屈していた12歳の少年たちが死体探しをする2日間の冒険。大人になってからはひと夏の「小さな出来事」ですが、子どもの頃の彼らにとっては「大きな出来事」です。
そんな『スタンド・バイ・ミー』に出てくる、大きく心を揺さぶられる名言をご紹介いたします。
あなたはあの頃の「大きな冒険」、覚えていますか?
目次
- あらすじ
- 『スタンド・バイ・ミー』の心を大きく揺さぶる名言・名台詞
- 【名言①】「私たちは自分たちを知り、どこへ向かっているか知っていた」
- 【名言②】「人はみな変わってるさ」
- 【名言③】「自分を落とすな」
- 【名言④】「誰かが育てなければ才能も消えてしまう。君の親がやらないなら俺が守ってやる」
- 【名言⑤】「ただ、誰もぼくを知らない土地へ行きたい」
- 【名言⑥】「子供さ。子供時代は二度と来ない」
- 【名言⑦】「パパは君を知らない。君は大作家になるよ。書く材料に困ったら、ぼくらのことを書け」
- 【名言⑧】「英雄になるんだろ?」「こんなことじゃだめだ」
- 【名言⑨】「何だってできるさ」
- 【名言⑩】「またな」(ゴーディ)/「俺が先にお前を見かけなかったらね」(クリス)
- 【名言⑪】「12歳だったあの時のような友だちは、それからできなかった。もう二度と……」
- まとめ
あらすじ
出典:IMDb
主人公のゴーディ(リチャード・ドレイファス)は新聞で友人のクリス(リヴァー・フェニックス)の死を知り、彼と過ごした青春に思いを馳せる。
ゴーディ(ウィル・ウィーストン)はオレゴンの町で育った。人口も少ない小さな町だったが、12歳の子どもにとってはそれが世界のすべてだった。中学校に上がる最後の夏、いつものように友人4人で過ごしていた。しかし、ある日ある情報を入手する。行方不明になった少年の死体が森にあるのだという。もし僕たちが発見したら英雄になれる。4人は期待と不安を胸に冒険に出る。
『スタンド・バイ・ミー』の心を大きく揺さぶる名言・名台詞
出典:IMDb
主人公のゴーディ、親友のクリス、それに仲間のテディ(コリー・フェルドマン)とバーン(ジェリー・オコンネル)。彼ら4人は2日間、共に行動しています。ふざけあったり、度胸試しをしたり、恐ろしい夜を過ごしたり……子どもらしく楽しい冒険です。しかし、彼らにはそれぞれ悩みがあり複雑な家庭の事情があります。将来のこと、周りからの目、家族との関係、そして生と死。歩みを進めながら、ぽつりぽつりと悩みを打ち明けます。
大人になった今では言えない台詞、アドバイス、感情、相手を思う必死の言葉は心を大きく揺さぶります。
そんなまっすぐな言葉を、解説を交えてご紹介していきます。
【名言①】「私たちは自分たちを知り、どこへ向かっているか知っていた」
クズ鉄置場に忍び込み、休憩している場面を回想しているゴーディのナレーション。社会的な地位や役割に関係なく、自分がどんな人間でどこに行きたいかわかっていた、とゴーディは思い返しています。大人になるとやりたいことよりやらなくてはならないことやしがらみで、自分自身を見失ってしまいがちです。比べて小さい頃はシンプルに物事を見ていたようです。ゴーディのように、今思い返せばあの頃は……と気づく経験はありませんか?
【名言②】「人はみな変わってるさ」
出典:IMDb
ゴーディが「僕って変かな?」とクリスに聞く場面です。最初はふざけて答えていたクリスですが、本気で聞いているのだとわかるとこう答えました。
相手に合わせてふざけることも真面目になることもできるのは、クリスの魅力のひとつです。
またこの場面は、ひとつの型にはめたがるゴーディの父親と、柔軟に人を見るクリスとの対比になっています。
【名言③】「自分を落とすな」
出典:IMDb
この夏が終わり、中学に上がると進学組と就職組に分かれてしまいます。進学組ではなく、クリスたちと同じ就職組に進むつもりのゴーディ。「友だちは大切だ」と言ったゴーディに対するクリスの台詞です。クリスはキツイ言い方をします。
しかしこれは、今ある目の前の友人じゃなくゴーディ自身の将来を大切にしてほしくて放った真剣な言葉だったのです。
【名言④】「誰かが育てなければ才能も消えてしまう。君の親がやらないなら俺が守ってやる」
出典:IMDb
父親に自分の才能を認めてもらえず自暴自棄になるゴーディ。唯一自分を認めてくれていた兄の死の影響も強いのでしょう。そんなゴーディに対し、彼の物書きの才能に気づいているクリスはこう言って説得します。ただの12歳の少年が、こんなにも力強く友を救うセリフを言えるでしょうか。とにかくこの一言はカッコよすぎる。
正義感が強く友人思いのクリスの気持ちが伝わってきて、胸が熱くなります。
【名言⑤】「ただ、誰もぼくを知らない土地へ行きたい」
出典:IMDb
家庭の悪さゆえに、信じていた人にも裏切られてしまったクリスの台詞。最初クリスは父や兄のように犯罪に手を染めたり暴力を振るったりする人間になろうとします。「この子はあの家の子だから……」と言われてしまい、彼自身を見てもらえないからです。しかし、彼は変わろうとしています。誰にも言えなかった苦しみを泣きながら打ち明けるこのシーンは、クリス自身の人の良さも相まってとても切ないです。
【名言⑥】「子供さ。子供時代は二度と来ない」
出典:IMDb
テディとバーンがふざけて水に沈め合う場面。「子供っぽいぞ」とクリスに言われて言い返したテディの台詞です。テディは度が過ぎたふざけ方をよくしています。それは彼の家庭環境によるものが大きく、しばしば情緒不安定で泣いてしまう場面もあります。
でもこのシーンのテディはほんとうに無邪気なんです。ここからさらにクリスは「だがバカは一生続く」とニヤリと言い放ち、一緒にふざけはじめます。二度と来ない子供時代を楽しんでいる彼らを少しうらやましく思える一幕。
【名言⑦】「パパは君を知らない。君は大作家になるよ。書く材料に困ったら、ぼくらのことを書け」
出典:ソニー・ピクチャーズ
ゴーディが深く傷つき、怖くて言えなかったことを打ち明けるシーン。泣くゴーディにクリスは、まるで本当の父親のように優しく肩を抱き静かな声で話しかけます。作家になると信じて疑わない姿は、亡くなったゴーディの兄とも重なります。
父親とうまくいっていないゴーディは、クリスのこの行動にどれだけ救われたでしょうか……。この一言があったからこそ、大人になったゴーディはこの冒険を思い出すのです。
【名言⑧】「英雄になるんだろ?」「こんなことじゃだめだ」
出典:IMDb
死体を見つけてから「こんなことで英雄になったってダメだ」と考え直すゴーディの台詞。このシーンの直前、4人は生死が関わるほど危険な状況にありました。その状況を乗り越えたゴーディは、精神的にかなり成長したようです。
ゴールまで来て「ゴールしない」選択をすることは大人でもなかなかできません。決断する意志の強さと子供ゆえのまっすぐさがまぶしいです。
【名言⑨】「何だってできるさ」
出典:IMDb
一生この町にいるのかと悩むクリスに言ったゴーディのセリフ。気休めで言ったセリフではありません。冒険をした彼らは、この町が小さいことに気づきます。この町が世界のすべてではないと気づいたゴーディ。そして、他でもないゴーディの言葉だからクリスも真剣に聞きます。
この2人、実は似た者同士なのです。互いに自分自身を低く評価し、相手の才能を見抜き導こうとしています。その互いのかけがえのなさが美しいです。彼らの信頼関係も伝わってくる熱いシーンに心が打たれます。
【名言⑩】「またな」(ゴーディ)/「俺が先にお前を見かけなかったらね」(クリス)
出典:IMDb
上記のセリフに続く、ゴーディーとクリスの掛け合い。握手の後に交わしたこのやり取りを最後に、クリスは町を出ていきました。
原文:「See you」(ゴーディ)/「Not if I see you first」(クリス)
直訳すると、「俺が先にお前を見かけなかったらね。できればお前とはもう会いたくない」といった意味合いになりますが、もちろん本気でこのようなセリフを吐いた訳ではありません。
心の底から信頼し合った”友”だからこそ、このように皮肉めいたやり取りができるんです。「またな」の裏返しであり、なんとも遠回しな挨拶。青春時代に、なんだか照れくさくてこのような掛け合いを友と交わした事があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「12歳」の彼らが言葉を交わし合ったのは、これが最後でした。物語もエンディング間近で、なんともしんみりとさせられるセリフです。
【名言⑪】「12歳だったあの時のような友だちは、それからできなかった。もう二度と……」
出典:ソニー・ピクチャーズ
原文:The Writer: I never had any friends later on like the ones I had when I was twelve. Jesus
友人と冒険した夏を回想していたゴーディはこう締めくくります。大人になると、自分と似たような境遇、価値観や生き方を持っている人を選んだり、損得勘定だけで一緒にいる人間を選んでしまうようになってしまう事があります。しかし、子どもの頃はそんな小難しい事情を一切考えずに、ただ「席が近かったから」なんていう単純な理由だけで誰かとの友情が始まったりしませんでしたか?
全然タイプが違う、けれど何故かいつも一緒にいる、という不思議な人間関係。「12歳のあの時だったからこそ友人になり、あんなにふざけあえた」というのはなんだか奇跡のようにも感じます。
ゴーディはそんな奇跡のような日々を懐かしく思い、笑顔になるのでした。観ている私たちにも、そんな奇跡のような瞬間に出会えた友の事を思い出させてくれるようなセリフです。
まとめ
出典:IMDb
『スタンド・バイ・ミー』に出てくる名言をご紹介しました。自分の弱いところをさらけだして感情をむき出しにしたり、友人のために自分を犠牲にしたり、唐突にふざけてみたり……大人になると抑制してしまう言動も、彼らは躊躇なくします。
そんな彼らの言葉は、子供だから言えるまっすぐな台詞ばかり。ゴーディが背中を押されたように、迷ったときは彼らの言葉に励まされてみませんか。