映画『おおかみこどもの雨と雪』ネタバレあらすじ | タイトルの本当の意味とは ?
2012年に公開された映画『おおかみこどもの雨と雪』。『バケモノの子』や『未来のミライ』など、多くの名作を生み出してきたアニメ制作会社「スタジオ地図」の人気作です!家族愛や親子がテーマとなっている今作は、世代を問わず誰もが楽しめる映画となっております。
今回は、そんな『おおかみこどもの雨と雪』をとことん解説していきたいと思います。ネタバレを含んだあらすじやキャラクター紹介、誰かに教えたくなる様な作品のトリビアなど盛りだくさん!
観たことがある方は魅力を再発見する機会に、観たことがない方は今作を好きになるきっかけになったら幸いです!!
目次
世界中で愛される『おおかみこどもの雨と雪』について
『おおかみこどもの雨と雪』は細田守監督の立ち上げたスタジオ地図の一作目となる作品です。脚本も監督自ら手掛けており、親子の熱い絆にほろっと泣ける優しい感動作となっております。
動員数は341万人、興行収入はなんと42億円!これは、2012年公開に公開された邦画の国内興行収入の中でベスト5に入る好記録です。
また、人気だけではなく作品としての評価も高く、「第36回日本アカデミー賞・最優秀アニメーション作品賞」など、多くの映画賞を獲得。
その人気は国内に留まらず、「第45回シッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門・最優秀長編作品賞」を獲得するなど世界からも高い評価を受けました。
親子の絆を繊細に描いた今作は国境を越えて、世界中で愛されている作品なのです!
また、魅力的なキャラクターの声を担当しているキャストの方々もかなり豪華で、ひたむきに生きる主人公を宮崎あおいさん、おおかみおとこのお父さんを大沢たかおさんが演じています。キャストの皆さんの丁寧で優しい演技も、今作に欠かせない魅力の一つとなっております!
10秒で分かる『おおかみこどもの雨と雪』
今作は、主人公の花(宮崎あおい)がミステリアスな彼(大沢たかお)と出会ったことで物語が始まります。運命的に惹かれ合い、恋をする二人。しかし、彼はおおかみおとこで純粋な人間ではありませんでした。
それでも愛を貫く花でしたが、彼が突然亡くなってしまいます。おおかみこどもの雨(少年期・西井幸人/幼年期・加部亜門)と雪(少女期・黒木華/幼年期・大野百花)を一人で育てる事になった花。人目を避けるために、田舎の村へ引っ越します。
花からの名一杯の愛を受け健やかに成長していく雨と雪でしたが、オオカミとして生きるか人間として生きるかの選択を迫られていました。
それぞれ複雑な思いを抱えながら自分の生きる道を選んでいく二人の成長、そしてそんな二人を見守る花の温かい愛を描いた作品です。
心がほっと温かくなる様な感動作を観たいという方におすすめの映画となっております!
『おおかみこどもの雨と雪』ネタバレあらすじ
ここからは、更に詳しく作品のあらすじを紹介していきます。ネタバレになりますので、まだご覧になっていない方はご注意ください!
【あらすじ①】花と彼の出会い
天涯孤独な身の花は、大学でミステリアスな青年・彼に出会う。てっきり学生かと思いきや彼は大学に通っておらず、ばれない様にこっそり授業を受けていた。人と深く関わろうとしない彼が気になった花は、一緒に勉強するようになる。
徐々に心を通じ合わせ、互いに惹かれていく二人。しかし花は、彼が人間からオオカミに変わっていく姿を目の当たりにしてしまう。実は彼はおおかみおとこで、絶滅したはずのニホンオオカミの末裔だったのだ。
重大な秘密を知ってもなお、彼を受け入れることを選んだ花。二人は一緒に暮らし始め、穏やかな生活を送るようになる。そして、花は人間とオオカミの血を持った子供を授かり、誰の力も借りずに出産することを決意した。
無事に姉の雪を生み、翌年には弟の雨を生んだ花だったが、その翌日に突然彼の姿が消えてしまう。雨の中探しに行った花が目にしたのは、オオカミの姿のまま川で亡くなっている彼だった。
一人残された花は、雪と雨を自分の手で守ると心に決める。雪と雨が人間としてもオオカミとしても生きられるようにと、三人は田舎の村へ引っ越し新しい生活を始めるのだった。
【あらすじ②】新しい三人の生活
人里離れたボロボロの家で暮らし始めた三人は、慣れない土地での生活に悪戦苦闘。畑は上手くいかず、ご近所付き合いもない花は全て一人で解決しようとしていた。しかし田舎での厳しい生活に落ち込む日々が続く。
そんな中、強面な90歳の韮崎のおじちゃん(菅原文太)に助けられたことをきっかけに村の人と仲良くなった花。人目を避けるために田舎へ引っ越してきたはずが、村の人達との温かい交流に救われるようになる。
そして、大自然に囲まれながらすくすくと成長していく雪と雨。活発でおてんばな雪は保育園に興味を持つなど、人と触れ合いたいと思うようになっていた。
一方、人付き合いが苦手で消極的な雨は人間ではなく自然へ興味を持つように。
花は性格の違う二人を優しく見守りながら、生活のために新しい仕事を始める。雪も小学生として新たなスタートをきり、三人の生活は今までと違うものになっていった。
【あらすじ③】雨と雪の葛藤
オオカミが保護されている場所があると知った花は、森についての展示が行われている「新川自然観察の森」という施設で働き始める。そこにいたのは、特別な許可を得て飼われていたものの飼い主が亡くなり、施設で預かることになったオオカミだった。
周りの子ども達に馴染めず学校を休みがちになった雨は、花の職場へ行ってオオカミと会うことが日課に。そして「勉強よりも自然のことを知りたい。」と考えるようになる。直接自然の世界を感じるため、山へ出かけることも多くなっていった。
一方で、雪は普通の人間として学校に通い、平和な毎日を送っていた。そんな中、転校生の藤井草平(平岡拓真)から「なんか獣臭い。」と言われ、草平を避けるようになる。そのことを問い詰められた雪は感情的になり、鋭い爪で草平に怪我を負わせてしまった。
学校を追い出されるのではないかとショックを受ける雪。しかし、草平は「突然やって来たオオカミにやられた。」と話し、雪を責めることはなかった。
そして成長していくにつれて、雨は自分のことをオオカミだと思い、雪は人間だと思うようになる。意見の食い違った二人は衝突し、大喧嘩へ発展。
そんな中、村には台風が接近し記録的な豪雨が降り注いでいた。
【あらすじ④】家族の決断
雨は降り続く豪雨で山の自然が崩れるのではないかと心配し、頻繁に山へ入るようになる。花はそんな雨を心配し山へ行かないよう説得するが、酷い台風の中でも雨は危険も顧みず山へ入ってしまうのだった。
学校へ雪を迎えに行こうとした花は、いつの間にか雨がいなくなっていることに気づく。山へ行ったのだと察し、雨を探すために山へ入ることに。しかしいくら探しても雨は見つからず焦り始めたその時、花は足を滑らせ急な斜面を転げ落ちてしまう。
その頃、学校で花が迎えに来るのを待っていた雪は草平と二人きりに。雪は草平の前でオオカミになり、「あの時、草ちゃんを傷つけたオオカミはわたし。」と本当のことを告げる。しかし、草平は驚くことなく、「分かってた、ずっと。」と言って雪を受け入れたのだった。
花が目を覚ますと、そこにはオオカミ姿の雨が。必死に呼び止める花に背を向け、雨は山を登っていく。もう雨が人間として家に戻ってくることはないと悟り、花は泣きながら手を伸ばした。しかし、空に高々と遠吠えをする姿を見て、雨がもう子どもではないことを知った花は、泣きながら「元気で、しっかり生きて!」と叫び旅立ちを見送った。
雨はオオカミとして生きていくことを、雪は人間として生きていくことを決めた二人。花はそんな二人の選択を受け入れ、雨と雪がいつまでも幸せであることを願いながら、穏やかな毎日を過ごすのだった。
『おおかみこどもの雨と雪』のキャスト
花/宮崎あおい
主人公の花を演じたのは、映画やドラマに引っ張りだこの宮崎あおいさん。
何度も日本アカデミー賞で優秀主演女優賞を獲得するなど、高い演技力が評価されている女優さんです。優しくも力強い声がとっても魅力的ですよね!
宮崎あおいさんが演じる花は身寄りのない天涯孤独な女の子。奨学金で大学に通い、アルバイトを掛け持ちして生活しています。
オオカミ男である彼と出会い恋をしますが、そんな最愛の彼も無くしてしまう花。彼女はいつも一人で、子ども達を守っていました。どんな困難からも逃げず、母親として真っ直ぐ生きる強さを持った女性です!
作品の中で観ている人と一緒に成長していくような、素朴で親しみやすい雰囲気が魅力のキャラクターとなっております!
雪/黒木華(少女期)、大野百花(幼年期)
少女期の雪を演じたのは、ナチュラルな演技が世界からも注目されている黒木華さん。
山田洋次監督の作品『小さいおうち』では、日本の女優で4人目となる『第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞』を獲得しました。細やかな演技が光る、とっても素敵な女優さんです!
黒木華さん演じる雪は、成長していくにつれて徐々に大人びていく繊細な少女。学校に通い始めたのをきっかけに、オオカミではなく人間として生きていくことを選びます。時には傷つきながらも懸命に生きる、花と似たような強さを持った人物です!
また、転校生の草平を意識し始めるなど、思春期の揺れ動く心がリアルに表現されているキャラクターでもあります。
強さを兼ね備えつつもどこか儚げで目が離せない、「美しい」という言葉がぴったりな女の子ではないでしょうか!
雨/西井幸人(少年期)、加部亜門(幼年期)
少年期の雨を演じたのは、テレビや映画、舞台など幅広く活動されている西井幸人さん。
湊かなえさん原作の映画『告白』で映画初出演を果たし、殺人を犯した少年という難しい役どころを見事に演じきりました。今後のさらなる活躍が期待される、若手俳優さんです!
西井幸人さんが演じた雨は、自然へ強い興味を持つ少年。幼い頃はとても泣き虫で甘えん坊な性格でしたが、大人になるにつれて物静かな性格になっていきます。
そして山へ入るようになり、自由で壮大な自然に惹かれた雨は、オオカミとして生きていくことを選択するのです。ふらっとどこかへ消えてしまいそうな雰囲気が切ないキャラクターとなっております!
掴みどころのない空気感が亡くなったお父さんを彷彿とさせる、不思議な魅力を持った少年です!
彼/大沢たかお
オオカミ男の彼を演じたのは、国内外で活躍する俳優の大沢たかおさん。
幕末の医療を描いたドラマ『JIN-仁-』では多くのドラマ賞で主演俳優賞を獲得しました。また、海外での活動も積極的に行っていて、2005年に制作された映画『イントゥ・ザ・サン』ではハリウッドデビューを果たしています!
大沢たかおさんが演じる彼は、オオカミ男でありながらそのことを隠して生きる男性。作中に名前が出てこないのも特徴で、ミステリアスな雰囲気が印象的な人物となっております!
花と恋に落ち子どもを授かりますがオオカミ姿のまま川で亡くなってしまう彼。その後、花が意識をなくした時に夢へ出てきて、優しい言葉を投げかけます。
ミステリアスな中にも、優しさと温かい心を感じる素敵なキャラクターです!
藤井草平/平岡拓真
転校生の藤井草平を演じているのは、現在は俳優業を引退されている平岡拓真さん。
2013年に公開された映画『中学生円山』では準主役を演じ、コミカルな演技が話題となりました。今作では、等身大の演技がとても魅力的で子どもと大人の狭間で揺れる心をリアルに表現しています!
平岡拓真さん演じる藤井草平は、明るい性格ながらも複雑な家庭環境にいる少年。両親が再婚し、自分の居場所がなくなってしまいます。そんな中でも、雪のことを大切に思っている草平。雪がオオカミだと知りながら、その秘密を誰にも話さずに彼女を守り続けていたのです。
不器用ながらも雪を思い続ける、純粋でかっこいいキャラクターとなっております!
誰かに教えたくなる『おおかみこどもの雨と雪』トリビア!
今作には「そうだったの!?」と驚いてしまうようなトリビアが沢山あります。その中でも、ぜひみなさんに知って頂きたい3つのトリビアをご紹介!
【その1】タイトルに隠された意味とは!?
1つ目は『おおかみこどもの雨と雪』というタイトルに隠されたトリビア。雪の方が先に生まれたのに、雨が最初にきているのには理由があります。
「おおかみこども」という言葉の順番に注目してみると、「おおかみとして生きる雨」、「人間のこどもとして生きる雪」という意味になります。実はタイトルに、二人の選ぶ選択が最初から提示されていたのです!
【その2】実はあの人も出演していた!?
2つ目は今作のキャストにまつわるトリビア。実は作中に少しだけ登場するキャラクターの声優さんがとても豪華なんです!
雪の担任の先生を演じているのは、人気俳優の染谷将太さん。花と世間話をする奥さん達は麻生久美子さんと谷村美月さんが。そして、台風についてのニュースを読み上げるアナウンサーは、桝太一アナが演じています!
ぜひどんな演技をされているのか、注目してご覧ください。
【その3】キャラクターの名前の由来とは!?
3つ目は今作のキャラクターの名前についてのトリビア。主人公の花、姉の雪、弟の雨など、どれも可愛らしい名前ですよね。監督は、その時目に見えたものをそのまま名前につけるのが好きなのだとか!
そして、名前が一切出てこない彼。監督は彼のことを「おおかみおとこ」とあえてひらがなで表記することで、オオカミ男の持つ強くて怖いイメージではなく心優しい印象になるよう工夫したそうです!
様々なトリビアが隠されている今作。ぜひ、もう一度『おおかみこどもの雨と雪』を観て、今まで気づけなかった新たな魅力を見つけてみてください!
細田守監督が『おおかみこどもの雨と雪』へ込めた思い
今作は監督本人が脚本も務めているということもあって、監督の熱い思いが作中へ沢山込められています。
監督が今作を作ろうと思ったきかっけは「身近な人たちが母親として子どもを育てる様子が、とても輝いて見えたから。」だそうです!いくつもの試練や困難を乗り越えながら子育てをする女性の姿がリアルに描かれている今作。監督が「母」という存在を心から敬い、リスペクトしているからこそ、ここまで繊細に表現されているのです!
また、『おおかみこどもの雨と雪』は一見ファンタジーな作品に見えますが、現実に生きる人々へのメッセージが込められています。
オオカミとして生きるか人として生きるかを選択する雨と雪。人間も同じ様に、大切な決断をしなければいけない時がありますよね。どの学校に進学するか、どんな仕事に就くか、誰と結婚するか。人生は決断の連続です。
どんな選択をしても前を向いて強く生きることの大切さを、今作は雨と雪の生き方を通して教えてくれます!
子どもから大人まで楽しめる『おおかみこどもの雨と雪』は、監督の「子どもを育てる母たちへの思い」、そして「決断をする人たちへのメッセージ」が込められた、奥深い作品です!
まとめ
映画『おおかみこどもの雨と雪』についてご紹介させて頂きました!
あらすじや作品のトリビア、監督の思いなど予備知識があると作品をより楽しむことが出来ますよね。今作は本当に細かい部分までこだわられているので、観れば観るほどその魅力にはまっていくとても素晴らしい映画です。
ぜひ、観る度に新しい発見がある名作『おおかみこどもの雨と雪』をあなたのお気に入りの一作にしてください!
いつか子供に伝えたい!『おおかみこどもの雨と雪』の名言に学ぶ家族の形 夏が来る度見たくなる!細田守監督のおすすめ映画特集 全俺が泣いた。最高にエモい感動アニメ映画15選!!